(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明は、下記一般式で表される、
HS−(R−S
r)n−R−SH
(R
が−C2H4−O−CH2−O−C2H4−を
50モル%以上含む有機基及び/又は
下記の分岐アルキレン
基
【0020】
であり、nが1〜200の整数、rが1〜5の整数であり、rの平均値がが1.1以上1.8以下である。)
チオール基含有ポリマーである。
【0021】
Rは、好ましくは、
−C2H4−O−CH2−O−C2H4−
を50モル%以上含む有機基と、分岐アルキレン基を含む有機基である。分岐アルキレン基は、好ましくは、−O−CH
2−O−結合のモル数に対して、0〜70モル%である。
【0022】
Rは
、
−C
2H
4−O−CH
2−O−C
2H
4−
を50モル%以上含有する
。好ましくは、
−C
2H
4−O−CH
2−O−C
2H
4−
を70モル%以上含有する。
【0025】
で示される有機基であ
り、好ましくは、トリハロ有機化合物由来の多官能成分である。好ましい分岐トリハロ有機化合物は、トリハロアルキル化合物であり、より好ましい分岐トリハロ有機化合物は、トリハロプロパンである。好ましいトリハロプロパンのハロゲン原子は、塩素、臭素、およびヨウ素であり、より好ましいハロゲン原子は塩素原子である。
【0026】
本発明のチオール基含有ポリマー
HS−(R−Sr)n−R−SH
のrは、1〜5の整数であり、好ましくは、1〜3の整数である。rの平均値は、1.1以上1.8以下である。rの平均値が1.1未満である場合、ポリスルフィド結合による紫外線吸収性が低下し硬化後の耐候性や硬度が乏しくなる。また、rの平均値が1.8を超える場合は、顕著な低粘度、低比重、低ガラス転移温度、高耐熱性などの効果が得られない。
【0027】
rの平均値の好ましい範囲は、本発明のポリサルファイドポリマーが使用される用途・目的によって異なる。
【0028】
例を挙げると、航空機シーラント用途において、低Tg・低比重・低粘度・耐熱性がより要求される場合は、rの平均値は、1.1以上1.5以下が好ましく、さらに好ましくは、1.1以上1.3以下であると目的とする効果が大きい。航空機シーラント用途でも、低Tg・低比重・低粘度に加え、硬化後の高硬度が重視される場合は、rの平均値は1.3以上1.8以下が好ましく、さらに好ましくは、1.3以上1.5以下であると要求性能のバランスが良い。
【0029】
建築シーラント用途において、圧縮復元性・耐熱性をより要求される場合は、rの平均値は1.1以上1.5以下が好ましく、さらに好ましくは、1.1以上1.3以下であると目的とする効果が大きい。建築用シーラント用途でも、圧縮復元性・耐熱性に加え、耐候性が重視される場合は、rの平均値は1.3以上1.8以下が好ましく、さらに好ましくは、1.3以上1.5以下であると要求性能のバランスが良い。
【0030】
本発明のチオール基含有ポリマーは、nは1〜200の整数であり、好ましくは、nは1〜50の整数、より好ましくは、5〜50である。室温では液状であり、数平均分子量は、好ましくは、500〜50,000であり、より好ましくは、1,000〜10,000である。
【0031】
本発明のチオール基含有ポリマーを得るには、従来のポリサルファイドポリマーの製造方法として最も一般的である固体ポリサルファイドを経由して液状ポリマーを得る製造方法、相間移動触媒を用いた方法、末端ハロゲン化硫黄含有ポリマーを、水硫化ナトリウムと反応させること方法等が挙げられる。特に好ましいのは、相間移動触媒を用いた方法及び末端ハロゲン化硫黄含有ポリマーを、水硫化ナトリウムと反応させる方法である。
【0032】
本発明は、従来のポリサルファイドポリマーの骨格を維持し、すなわち−O−CH
2−O−結合を含むポリマーであり、国際公開2006/029144号記載の、ポリサルファイドポリマーと、−O−CH2−O−結合を全く含まないポリチオエーテルポリマー「パーマポールP3」のような異なる骨格を持つポリマーのブレンドポリマーとは構造が異なる。
【0033】
国際公開2009/131796号に記載のチオエーテル中の硫黄は、チオエーテル(−S−)結合のみ、つまりrの平均値が1.0に相当するが、本発明のポリマーは、
HS−(R−Sr)n−R−SH
における硫黄の平均値rが1.1以上1.8以下である。
【0034】
本発明のチオール基含有ポリマ−は、好ましくは、ガラス転移温度が、−85℃以上−50℃以下であり、より好ましくは、ポリマー粘度が、1Pa・s未満の場合は−85℃以上−75℃以下、1Pa・s以上5Pa・s未満の場合は−75℃以上−65℃以下、5Pa・s以上45Pa・s未満の場合は−75℃以上−55℃以下、45Pa・s以上100Pa・s未満の場合は−60℃以上−50℃以下である。
【0035】
本発明のチオール基含有ポリマ−は、好ましくは、50%重量減少温度が、300℃以上350℃以下であり、より好ましくは、310℃以上340℃以下である。
【0036】
本発明のチオール基含有ポリマ−は、好ましくは、23℃における比重が、1.18から1.28であり、より好ましくは、1.20から1.27である。
【0037】
本発明の硬化型組成物は、下記一般式で表される
HS−(R−S
r)n−R−SH
(R
が−C2H4−O−CH2−O−C2H4−を
50モル%以上含む有機基及び/又は
下記の分岐アルキレン
基
【0039】
であり、nが1〜200の整数、rが1〜5の整数であり、rの平均値が1.1以上1.8以下である。)
チオール基含有ポリマーと、酸化剤を含有する。
【0040】
本発明の硬化型組成物において、酸化剤としては、従来のポリサルファイドポリマーの硬化剤として用いられてきた物質が使用できる。これらの酸化剤の具体例としては、無機酸化剤、有機過酸化物、有機酸化剤などが挙げられる。
【0041】
無機酸化剤は、二酸化マンガン、二酸化鉛、過酸化亜鉛、過酸化カルシウム,二酸化鉄、過酸化バリウム、二酸化テルル、二酸化セレン、二酸化スズ、四酸化三鉛、過酸化ストロンチウム,過酸化リチウムなどの無機過酸化物、酸化亜鉛、酸化鉄(II)、酸化鉛、酸化鉄(III)、三酸化アンチモン,酸化マグネシウム、酸化コバルト、酸化カルシウム、酸化銅、酸化バリウムなどの無機酸化物、クロム酸ナトリウム、クロム酸カリウム,二クロム酸ナトリウム、二クロム酸カリウム、過塩素酸ナトリウム、過ホウ酸ナトリウム、過マンガン酸カリウム、過炭酸ナトリウムなどが挙げられる。この中でも、二酸化マンガン、二酸化鉛が好ましく、特に、二酸化マンガンが好ましい。
【0042】
有機過酸化物は、ハイドロパーオキサイド、ジアルキルパーオキサイド、パーオキシケタール、パーオキシエステル、パーオキシジカーボネート、ジアシルパーオキサイドなどが挙げられる。特にクメンハイドロパーオキサイド、p−メンタンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、t−ブチルパーオキシベンゾエートが特に硬度発現に優れており好ましい有機過酸化物である。上記有機過酸化物は2種類以上用いてもよい。
【0043】
有機酸化剤は、ニトロベンゼン、ジニトロベンゼン、パラキノンジオキシムなどが挙げられる。
【0044】
酸化剤の添加部数は、チオール基含有ポリマー100重量部に対して1〜50重量部であることが好ましい。1重量部未満では十分な硬化速度が得られず、50重量部を超えると混合直後に硬化して作業性が取れず、好ましくない。より好ましくは1〜30重量部であり、さらにより好ましくは、1〜20重量部であり、もっと好ましくは、5〜15重量部である。
【0045】
本発明の硬化型組成物は、下記一般式で表される
HS−(R−S
r)n−R−SH
(R
が−C2H4−O−CH2−O−C2H4−を
50モル%以上含む有機基及び/又は
下記の分岐アルキレン
基
【0047】
であり、nが1〜200の整数、rが1〜5の整数であり、rの平均値が1.1以上1.8以下である。)
チオール基含有ポリマーと、分子中に2個以上のイソシアネート基含有化合物を含有する。
【0048】
分子中に2個以上のイソシアネート基含有化合物は、ポリメチレンポリフェニレンポリイソシアネート(ポリメリックMDI)、トリフェニルメタントリイソシアネート、ジメチルトリヘニルメタンテトライソシアネート、ジイソシアネート化合物を用いたビウレット体、トリメチロールプロパン付加体、イソシアヌレート三量体などが挙げられる。
【0049】
ジイソシアネート化合物は、TDI(例えば、2,4−トリレンジイソシアネート(2,4−TDI)、2,6−トリレンジイソシアネート(2,6−TDI))、MDI(例えば、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(4,4’−MDI)、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(2,4’−MDI))、1,4’−フェニレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート(XDI)、テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)、トリジンジイソシアネート(TODI)、1,5−ナフタレンジイソシアネート(NDI)のような芳香族ジイソシアネート、エチレンジイソシアネート、プロピレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート(TMHDI)、リジンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネート(NBDI)のような脂肪族ジイソシアネート、トランスシクロヘキサン−1,4−ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、またこれらのカルボジイミド変性ジイソシアネートなどが挙げられる。上記イソシアネート化合物は2種類以上用いてもよい。
【0050】
本発明の硬化型組成物は、下記一般式で表される
HS−(R−S
r)n−R−SH
(R
が−C2H4−O−CH2−O−C2H4−を
50モル%以上含む有機基及び/又は
下記の分岐アルキレン
基
【0052】
であり、nが1〜200の整数、rが1〜5の整数であり、rの平均値が1以上1.8以下である。)
チオール基含有ポリマーと、分子中に2個以上のグリシジル基を含有するエポキシ樹脂とアミン類を含有する。
【0053】
分子中に2個以上のグリシジル基を含有するエポキシ樹脂は、ビスフェノールA、ビスフェノールF、レゾルシノール、ハイドロキノン、ピロカテコール、4,4−ジヒドロキシビフェニル、1,5−ヒドロキシナフタリンなどの多価フェノールにエピクロロヒドリンを付加させて得られるエポキシ樹脂、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリンなどの多価アルコールにエピクロロヒドリンを付加させて得られるエポキシ樹脂、及びオキシ安息香酸、フタル酸などの芳香族ジカルボン酸にエピクロロヒドリンを付加させて得られるエポキシ樹脂、末端にエポキシ基を有するポリサルファイドポリマー(商品名「FLEP−50」、「FLEP−60」いずれも東レ・ファインケミカル製)などが挙げられ、常温で液状のものが好ましい。
【0054】
本発明においては、エポキシ樹脂の配合量は、チオール基含有ポリマー100重量部に対して100〜1000重量部となるように配合することが好ましい。前記配合量が100重量部下回ると硬度・破壊応力が十分でなくなり、好ましくない。より好ましくは100〜700重量部である。さらにより好ましくは、100〜600重量部である。
【0055】
アミン類は、通常のエポキシ樹脂用硬化剤として公知のものでよい。アミン類は、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、ペンタエチレンヘキサミン、トリメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、テトラメチレンジアミンなどの脂肪族ジアミン、N,N−ジメチルプロピルアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルヘキサメチレンジアミンなどの脂肪族3級アミン類、N−メチルピペリジン、N,N’−ジメチルピペラジンなどの脂環族3級アミン類、ベンジルジメチルアミン、ジメチルアミノメチルフェノール、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノールなどの芳香族3級アミン類、エポキシ樹脂を過剰なアミンと反応させて製造されるポリアミンエポキシ樹脂アダクト、ポリアミン−エチレンオキサイドアダクト、ポリアミン−プロピレンオキサイドアダクト、シアノエチル化ポリアミン、主鎖がシリコンであるジアミン、または、ポリアミン類とフェノール類及びアルデヒド類などとを反応させて得られる脱水縮合物、2―エチル―4−メチルイミダゾールなどのイミダゾール類、変性ポリアミンなどが挙げられる。
【0056】
本発明においては、アミン類の配合量は、エポキシ樹脂100重量部に対して、1〜100重量部となるように配合することが好ましい。アミン類の配合量が、エポキシ樹脂100重量部に対して、1〜100重量部であると、硬化が速く、コスト的に有利である。エポキシ樹脂100重量部に対するより好ましくは、1〜80重量部であり、さらにより好ましくは、1〜60重量部である。
【0057】
本発明の硬化型組成物は、経済性、組成物を施工する際の作業性及び硬化後の物性を改良する目的で、必要に応じて、可塑剤、充填材、硬化促進剤、多官能性架橋剤、接着促進剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、粘着付与剤、流動性添加剤、ゴム・エラストマー、殺カビ剤、腐食防止剤、顔料、マスキング剤を含有してもよい。
【0058】
可塑剤としては、フタル酸ジブチル、フタル酸ブチルベンジル、フタル酸アルキル(C7−C9)ベンジルなどのフタル酸エステル、塩素化パラフィン、ジプロピレングリコールジベンゾエート、ジエチレングリコールジベンゾエート、トリエチレングリコールジベンゾエート、ジプロピレングリコールモノベンゾエート、水添ターフェニル、炭化水素系可塑剤、ハロゲン末端硫黄含有重合体などが挙げられる。
【0059】
可塑剤の添加部数は、硬化物の強度や伸び、さらには硬化前の粘度の設計によって設定されるが、チオール基含有ポリマー100重量部に対して1〜100重量部であることが好ましい。より好ましくは1〜50重量部であり、さらにより好ましくは、1〜30重量部である。
【0060】
充填剤は、炭酸カルシウム、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、シリカ、ケイ酸塩、硫酸塩などの無機充填剤やカーボンブラックなどが挙げられる。また、ポリアミドやポリエチレンのような軽量ポリマー充填剤、シリカ、アクリロニトリルやメタクリロニトリルや塩化ビニリデンなどの熱可塑性バルーン(熱膨張マイクロカプセル)、フェノールやエポキシなどの熱硬化性バルーン、シラスやフライアッシュやガラスやアルミナなどの無機系バルーンなどの中空充填剤などが挙げられる。充填剤は2種類以上用いてもよく、いずれの充填剤も、表面を脂肪酸、樹脂酸、界面活性剤、シランカップリング剤、パラフィンなどで処理したものを使用してもよい。
【0061】
炭酸カルシウムは、重質炭酸カルシウム、コロイド炭酸カルシウムが好ましい。一般に、重質炭酸カルシウムは、石灰石原石を機械的に粉砕・分級して所望の粒度とし得られた炭酸カルシウムである。またコロイド炭酸カルシウムは、石灰石原石をコークス等で混焼し、一旦酸化カルシウム(生石灰)を作製し、それを水と反応させて水酸化カルシウム(消石灰)とし、焼成時に発生した炭酸ガスと反応せしめ、所望の粒径、粒子形状とし得られた炭酸カルシウムである。
【0062】
充填剤の添加部数は、チオール基含有ポリマー100重量部に対して0.1〜500重量部であることが好ましい。より好ましくは1〜300重量部であり、さらにより好ましくは、10〜200重量部であり、もっと好ましくは、30〜60重量部である。
【0063】
硬化促進剤は、アルデヒド・アンモニア及びアルデヒド・アミン系、チオウレア系、グアニジン系、チアゾール系、スルフェンアミド系、チウラム系、ジチオカルバミン酸塩系、キサントゲン酸塩系などの加硫促進剤が挙げられる。具体的には、トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、ジフェニルグアニジン、テトラメチルチウラムジスルフィド、テトラエチルチウラムジスルフィド、テトラブチルチウラムジスルフィド、ヘキサメチレンテトラミンなどが挙げられる。上記加硫促進剤は2種類以上を用いても良い。
【0064】
硬化促進剤の添加部数は、硬化型組成物の硬化速度や、さらには使用温度によって設定されるが、チオール基含有ポリマー100重量部に対して1〜10重量部であることが好ましい。10重量部を超えると反応に関与しなかった残存の促進剤が硬化物の性能を落とす場合がある。より好ましくは1〜5重量部であり、さらにより好ましくは、1〜3重量部である。
【0065】
多官能性架橋剤は、トリメチロールプロパントリメルカプトプロピオネート、トリメチロールプロパントリメルカプトアセテート、ペンタエリスリトール−テトラキス−3−メルカプトプロピオネートなどが挙げられる。上記多官能性架橋剤は2種類以上を用いても良い。
【0066】
接着促進剤は、加水分解性シリル基と反応性有機官能基とを含有するシランカップリング剤が挙げられる。具体的には、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、2−(3,4エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、p−スチリルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N−2(アミノエチル)3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−2(アミノエチル)3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2(アミノエチル)3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−トリエトキシシリル−N−(1,3−ジメチル−ブチリデン)プロピルアミン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィドなどが挙げられる。また、ポリサルファイドポリマー“チオコールLP−3”と3―グリドキシプロピルトリメトキシシランを反応させて合成した末端トリメトキシシラン変性ポリサルファイドポリマーもシランカップリング剤として用いることができる。これらシランカップリング剤は2種以上を用いてもよい。
【0067】
紫外線吸収剤は、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、サリチル酸フェニル系、トリアジン系、ニッケル塩及びニッケル錯塩系が挙げられる。具体的には、2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−[2−ヒドロキシ−3(3,4,5,6−テトラ−ヒドロフタルイミドメチル)−5−メチルフェニル]ベンソトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3−t−ブチル−5−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−4−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3,5−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3,5−t−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−5−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−アミルフェニル)ベンゾトリアゾール、ニッケルジブチルジチオカルバメート、[2,2’−チオビス(4−t−オクチルフェノレート)]−2−エチルヘキシルアミン−ニッケルなどが挙げられる。
【0068】
酸化防止剤は、例えば、アミン系酸化防止剤、フェノール系酸化防止剤、ホスファイト系酸化防止剤、チオエーテル系酸化防止剤が上げられる。具体的には、1,3,5‐トリス[[3,5‐ビス(1,1‐ジメチルエチル)‐4‐ヒドロキシフェニル]メチル]‐1,3,5‐トリアジン‐2,4,6(1H,3H,5H)‐トリオン、1,1,3‐トリス(5‐tert‐ブチル‐4‐ヒドロキシ‐2‐メチルフェニル)ブタン、1,1‐ビス(4‐ヒドロキシ‐2‐メチル‐5‐tert‐ブチルフェニル)ブタン、2,2‐ビス[[[3‐(3,5‐ジ‐tert‐ブチル‐4‐ヒドロキシフェニル)プロピオニル]オキシ]メチル]プロパン‐1,3‐ジオール1,3‐ビス[3‐(3,5‐ジ‐tert‐ブチル‐4‐ヒドロキシフェニル)プロピオナート]、ビス(3‐tert‐ブチル‐4‐ヒドロキシ‐5‐メチルベンゼンプロパン酸)エチレンビス(オキシエチレン), 4,4′,4′′‐[(2,4,6‐トリメチルベンゼン‐1,3,5‐トリイル)トリス(メチレン)]トリス(2,6‐ジ‐tert‐ブチルフェノール)などが挙げられる。
【0069】
粘着性付与剤は、フェノール樹脂、クマロン・インデン樹脂、クマロン樹脂、ナフテン系油、ロジン、ロジンエステル、水素添加ロジン誘導体、テルペン樹脂、変性テルペン樹脂、テルペン・フェノール系樹脂、水添テルペン樹脂、α−ピネン樹脂、アルキルフェノール・アセチレン系樹脂、アルキルフェノール・ホルムアルデヒド系樹脂、スチレン樹脂、C6系石油樹脂、C9系石油樹脂、脂環族系石油樹脂、C6/C9共重合系石油樹脂、キシレン−ホルムアルデヒド系樹脂などが挙げられる。
【0070】
ゴム・エラストマーは、天然ゴム、ポリブタジエンゴム、アクリルゴム、ポリイソプレンゴム、スチレンーブタジエンゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、オレフィン系エラストマー、スチレン系エラストマー、塩化ビニル系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ポリアミド系エラストマー、ポリウレタン系エラストマー、ポリシロキサン系エラストマーなどが挙げられる。
【実施例】
【0071】
本発明を以下の実施例によりさらに詳細に説明する。
【0072】
SH含量の測定
試料をトルエンとピリジンの混合溶液に溶解し、ヨウ化カリウム水溶液を加えた後にヨウ素標準溶液を用いて滴定した。
【0073】
粘度の測定
東機産業製粘度計U−EIIを用いて25℃でのサンプル粘度を測定した。
【0074】
ポリマー比重の測定
23℃の雰囲気下で、比重測定用容器を用いて、23℃で24時間以上養生した蒸留水ならびにポリマーの質量を測定した。水の比重が1.0であると仮定して、容量に対するポリマー質量から、ポリマー比重を算出した。
【0075】
硬化物比重の測定
23℃の雰囲気下で、空気中と水中での質量を測定し、以下の式により
比重=空気中での質量/(空気中での質量−水中での質量)
比重を算出した。
【0076】
ガラス転移温度(Tg)の測定
TAInstruments製示差走査熱量計DSCQ10を用いて、約10mgのサンプルを―90℃から10℃まで、窒素雰囲気下で10℃/分で等速昇温した。得られたDSC曲線の階段状シグナルからTgを求めた。
【0077】
50%重量減少温度の測定
TAInstruments製熱重量測定装置TGAQ50を用いて、約30mgのサンプルを室温から500℃まで、窒素雰囲気下で10℃/分で等速昇温した。得られたTGA曲線において、重量が初期重量の50%になる温度を50%重量減少温度とした。
【0078】
硫黄の平均値の測定
下記のチオール基含有ポリマーの場合は
HS−(R−Sr)n−R−SH
(ここで、Rは−C
2H
4−O−CH
2−O−C
2H
4−、nが1〜200の整数である)、rが2、すなわち、ジスルフィド結合を有する場合には、13C−NMR分析を行うと、38.6〜38.8ppm付近に強いピークが存在する。rが1、すなわち、モノスルフィド結合を有する場合には、31.6〜32.2ppm付近に強いピークが存在する。本実施例においては、13C−NMR分析を行い、32.2ppm付近と38.8ppm付近のピーク強度から、それぞれモノスルフィド結合量とジスルフィド結合量を求めて、平均の硫黄含量を定量した。13C−NMR分析は、日本電子(株)製400MHzNMR装置を用い、溶媒にはCDCl3を用いた。
【0079】
促進耐候性の評価
JIS A 1415 WS−Aに従ってサンシャインウェザーメーター(Sunshine Weather Meter)(S.W.O.M.)で曝露し、500時間後、1000時間後、1500時間後、2000時間後の硬化物の表面状態を観察した。評価基準は以下のとおりで、○であれば良好と判断した。
○: クラッキングがない
×: クラッキングがある 。
【0080】
復元率の測定
2mm厚シートを6枚重ねた硬化型組成物を30%圧縮した状態で固定して90℃で24時間養生し、次いで圧縮を開放してから23℃で24時間養生したものについて、厚みを測定し、加熱圧縮に対する復元率を次式により
復元率(%)=(復元時厚み−圧縮時の厚み)/(初期厚み−圧縮時の厚み)×100
求めた。
【0081】
ダンベル引張物性の測定
直径約120mm×2mm厚のシート状硬化物から、JIS K6251記載のダンベル状5号形に調整した打ち抜き刃を用いてダンベル試験片3本を切り出した。切り出したダンベル試験片に20mmの標線を付け、オリエンテック製テンシロンRTA−500を用いて、500mm/分で引張り試験を行った。ダンベル引張り測定における、M100(N/mm2)は100%伸長時(標線が40mmになった時点)の応力、Tmax(N/mm2)は最大引張応力、Emax(%)は最大荷重時の伸び率である。試験数は1検体n=3とし、平均値を測定結果とした。
【0082】
硬度の測定
直径約110mm×2mm厚のシート状硬化物から、ダンベル試験片3本を切り出し、残りのシートを4枚重ね、約50mm×約50mm×8mm厚のブロック状硬化物に調整した。この8mm厚のブロック状に調整した硬化物を23℃の雰囲気下にてJIS K6253記載のタイプAデュロメータにて硬度測定を行った。
【0083】
実施例1
2Lのセパラブルフラスコを用いて、629.2gのビス(2−クロロエチル)ホルマール、10.8gの1,2,3−トリクロロプロパン、12.2gのテトラブチルアンモニウムブロマイド50wt%水溶液、572.6gの42%水硫化ナトリウム水溶液、644gの水、78.3gの硫黄、254.6gの48%水酸化ナトリウム水溶液を反応させて、固体ポリサルファイドを経由させずに、淡黄色透明液体ポリマーを得た。得られたポリマーの硫黄の繰り返し数rの平均値、SH含量、粘度、比重、ガラス転移温度、50%重量減少温度を表1に示す。
【0084】
実施例2
2Lのセパラブルフラスコを用いて、629.2gのビス(2−クロロエチル)ホルマール、10.8gの1,2,3−トリクロロプロパン、12.2gのテトラブチルアンモニウムブロマイド50wt%水溶液、568.9gの42%水硫化ナトリウム水溶液、650gの水、49.4gの硫黄、257.2gの48%水酸化ナトリウム水溶液を反応させて、固体ポリサルファイドを経由させずに、淡黄色透明液体ポリマーを得た。得られたポリマーの硫黄の繰り返し数rの平均値、SH含量、粘度、比重、ガラス転移温度、50%重量減少温度を表1に示す。
【0085】
実施例3
2Lのセパラブルフラスコを用いて、629.2gのビス(2−クロロエチル)ホルマール、10.8gの1,2,3−トリクロロプロパン、12.2gのテトラブチルアンモニウムブロマイド50wt%水溶液、563.7gの42%水硫化ナトリウム水溶液、659gの水、10.0gの硫黄、260.5gの48%水酸化ナトリウム水溶液を反応させて、固体ポリサルファイドを経由させずに、淡黄色透明液体ポリマーを得た。得られたポリマーの硫黄の繰り返し数rの平均値、SH含量、粘度、比重、ガラス転移温度、50%重量減少温度を表1に示す。
【0086】
比較例2
2Lのセパラブルフラスコを用いて、629.2gのビス(2−クロロエチル)ホルマール、10.8gの1,2,3−トリクロロプロパン、12.2gのテトラブチルアンモニウムブロマイド50wt%水溶液、562.4gの42%水硫化ナトリウム水溶液、661gの水、261.4gの48%水酸化ナトリウム水溶液を反応させて、固体ポリサルファイドを経由させずに、淡黄色透明液体ポリマーを得た。得られたポリマーの硫黄の繰り返し数rの平均値、SH含量、粘度、比重、ガラス転移温度、50%重量減少温度を表1に示す。
【0087】
実施例4
2Lのセパラブルフラスコを用いて、629.2gのビス(2−クロロエチル)ホルマール、10.8gの1,2,3−トリクロロプロパン、12.2gのテトラブチルアンモニウムブロマイド50wt%水溶液、528.6gの42%水硫化ナトリウム水溶液、718gの水、87.4gの硫黄、284.0gの48%水酸化ナトリウム水溶液を反応させて、固体ポリサルファイドを経由させずに、淡黄色透明液体ポリマーを得た。得られたポリマーの硫黄の繰り返し数rの平均値、SH含量、粘度、比重、ガラス転移温度、50%重量減少温度を表1に示す。
【0088】
実施例5
2Lのセパラブルフラスコを用いて、629.2gのビス(2−クロロエチル)ホルマール、10.8gの1,2,3−トリクロロプロパン、12.2gのテトラブチルアンモニウムブロマイド50wt%水溶液、526.8gの42%水硫化ナトリウム水溶液、721gの水、54.9gの硫黄、285.1gの48%水酸化ナトリウム水溶液を反応させて、固体ポリサルファイドを経由させずに、淡黄色透明液体ポリマーを得た。得られたポリマーの硫黄の繰り返し数rの平均値、SH含量、粘度、比重、ガラス転移温度、50%重量減少温度を表1に示す。
【0089】
実施例6
2Lのセパラブルフラスコを用いて、629.2gのビス(2−クロロエチル)ホルマール、10.8gの1,2,3−トリクロロプロパン、12.2gのテトラブチルアンモニウムブロマイド50wt%水溶液、525.7gの42%水硫化ナトリウム水溶液、723gの水、33.0gの硫黄、285.9gの48%水酸化ナトリウム水溶液を反応させて、固体ポリサルファイドを経由させずに、淡黄色透明液体ポリマーを得た。得られたポリマーの硫黄の繰り返し数rの平均値、SH含量、粘度、比重、ガラス転移温度、50%重量減少温度を表1に示す。
【0090】
実施例7
2Lのセパラブルフラスコを用いて、629.2gのビス(2−クロロエチル)ホルマール、10.8gの1,2,3−トリクロロプロパン、12.2gのテトラブチルアンモニウムブロマイド50wt%水溶液、524.5gの42%水硫化ナトリウム水溶液、725gの水、11.0gの硫黄、286.7gの48%水酸化ナトリウム水溶液を反応させて、固体ポリサルファイドを経由させずに、淡黄色透明液体ポリマーを得た。得られたポリマーの硫黄の繰り返し数rの平均値、SH含量、粘度、比重、ガラス転移温度、50%重量減少温度を表1に示す。
【0091】
実施例8
2Lのセパラブルフラスコを用いて、640.0gのビス(2−クロロエチル)ホルマール、12.1gのテトラブチルアンモニウムブロマイド50wt%水溶液、514.2gの42%水硫化ナトリウム水溶液、565gの水、11.1gの硫黄、288.3gの48%水酸化ナトリウム水溶液を反応させて、固体ポリサルファイドを経由させずに、淡黄色透明液体ポリマーを得た。得られたポリマーの硫黄の繰り返し数rの平均値、SH含量、粘度、比重、ガラス転移温度、50%重量減少温度を表1に示す。
【0092】
実施例9
2Lのセパラブルフラスコを用いて、640.0gのビス(2−クロロエチル)ホルマール、12.1gのテトラブチルアンモニウムブロマイド50wt%水溶液、589.4gの42%水硫化ナトリウム水溶液、482gの水、9.5gの硫黄、246.5gの48%水酸化ナトリウム水溶液を反応させて、固体ポリサルファイドを経由させずに、淡黄色透明液体ポリマーを得た。得られたポリマーの硫黄の繰り返し数rの平均値、SH含量、粘度、比重、ガラス転移温度、50%重量減少温度を表1に示す。
【0093】
【表1】
【0094】
表1に評価に用いるポリマーの特性値を示す。No.2〜4、7〜12のポリマーは、本発明のポリマーである。SH含量がほぼ同じNo.1〜5のポリマーを比較すると、硫黄の繰り返し数rの平均値が1.8以下の実施例1〜3と比較例2のポリマーは、rの平均値が2.0の比較例1のポリマーに比べて、低粘度、低ガラス転移温度、低比重であり、50%重量減少温度が増加し、耐熱性がよかった。また、SH含量がほぼ同じNo.6〜10のポリマーを比較すると、硫黄の繰り返し数rの平均値が1.1以上1.8以下の実施例5〜8のポリマーは、rの平均値が2.0の比較例3のポリマーに比べて、低粘度、低ガラス転移温度、低比重であり、50%重量減少温度が増加し、耐熱性がよかった。
【0095】
SH含量がほぼ同じポリマーを比較すると、rの平均値の値が低いポリマーほど粘度が低くなっており、シーリング材として配合する際には、作業性を確保するための溶剤の添加量を低減することが可能である。
【0096】
実施例10〜12
実施例1〜3(No.2〜4)のポリマー100重量部に対し、二酸化マンガン(ハニウェル社製 TYPE−FA)18重量部と、添加剤として、SRFカーボン35重量部、フタル酸ブチルベンジル18重量部、テトラブチルチウラムジスルフィド0.9重量部(大内新興化学工業製 ノクセラーTBT)を加え、三本ロールミルを用いて混練した。トータル38gの混合物を2mmの隙間ができるように調整した鉄板で挟み込み、70℃で2時間加熱養生して、2mm厚のシート状硬化組成物を作製した。得られたシートを23℃50%RHの雰囲下に1時間放置して除熱した。約20mm角に切り出した硬化物の比重、ガラス転移温度、50%重量減少温度、復元率、硬度、ダンベル物性値を求めた。比重を表2に、その他の物性を表3に示す。
【0097】
比較例4
実施例10〜12と同様にして、ポリマーとしてNo.1(東レ・ファインケミカル製チオコール「LP−3」と「LP−23」を6:4の比率でブレンドしたポリマー)を用いて硬化型組成物を作製し、比重を測定した結果を表2に示す。さらに、2mm厚のシート状硬化物のガラス転移温度、50%重量減少温度、復元率、硬度、ダンベル物性値を求めた。得られた結果を表3に示す。
【0098】
実施例13〜16
実施例4〜7(No.7〜10)のポリマー100重量部に対し、二酸化マンガン(ハニウェル社製 TYPE−FA)9重量部と、添加剤として、SRFカーボン35重量部、フタル酸ブチルベンジル9重量部、テトラブチルチウラムジスルフィド0.45重量部(大内新興化学工業製 ノクセラーTBT)を加え、三本ロールミルを用いて混練した。トータル34gの混合物を2mmの隙間ができるように調整した鉄板で挟み込み、70℃で2時間加熱養生して、2mm厚のシート状硬化組成物を作製した。得られたシートを23℃50%RHの雰囲下に1時間放置して除熱した。約20mm角に切り出した硬化物の比重を測定した。その結果を表2に示す。
【0099】
比較例5
実施例13〜16と同様にして、ポリマーとしてNo.6(東レ・ファインケミカル製チオコール「LP−3」と「LP−2」を1:9の比率でブレンドしたポリマー)を用いて硬化型組成物を作製し、比重を測定した結果を表2に示す。
【0100】
【表2】
【0101】
表2から、硫黄の繰り返し数rの平均値が1.1〜1.8の範囲のポリサルファイドポリマー(No.2〜4、7〜10)を用いた実施例10〜16の硬化型組成物が、一般的に使用されているrの平均値が2.0であるポリサルファイドポリマー(No.1、6)を用いた比較例4、5の硬化物に比べて、比重が低い。rの平均値が1.1〜1.8の範囲のポリサルファイドポリマーを用いた硬化型組成物は、より軽量化が求められる用途に適している。
【0102】
比較例6
実施例10〜12と同様にして、ポリマーとしてNo.5(比較例2のポリマー)を用いて2mm厚のシート状硬化型組成物を作製し、ガラス転移温度、50%重量減少温度、復元率、硬度、ダンベル物性値を求めた。得られた結果を表3に示す。
【0103】
【表3】
【0104】
表3から、硫黄の繰り返し数rの平均値が1.1〜1.8の範囲のチオール基含有ポリマー(No.2〜4)を用いた実施例10〜12の硬化型組成物が、一般的に使用されているrの平均値が2.0であるポリサルファイドポリマー(No.1)を用いた比較例4の硬化物に比べて、低ガラス転移温度、高耐熱性、高復元率を兼ね備えている。硫黄の繰り返し数rの平均値が1.0の比較例6の硬化型組成物は、低ガラス転移温度、高耐熱性は有しているものの、硬度が4と非常に低く、ダンベル引張り試験におけるM100やTmaxも低く硬化物としての実用性が得られなかった。
【0105】
表2と表3の結果から、rの平均値が1.1〜1.8の範囲のチオール基含有ポリマーを用いた硬化型組成物は、より軽量化や、より幅広い温度範囲での適合性が求められる航空機向けのシーリング材に適している。
【0106】
実施例17
実施例3のポリマー(No.4、rの平均値が1.1)100重量部に対して、表4に示す配合剤を添加してプラネタリーミキサーを用いて主剤を作製し、さらにヘキサメチレンジイソシアネート(旭化成製デュラネート50M−HDI、NCO含量5.0%)134重量部を加えて手練りでよく混錬した。混合物をアルミ板上に50mm×12mm×3mm厚のシート状に成型し23℃で3日、次いで50℃で3日間養生して硬化物を得た。得られた硬化物をS.W.O.M.を用いて促進耐候性評価を行った。得られた結果を表4に示す。
【0107】
比較例7
実施例17と同様にして、比較例2のポリマー(No.5、rの平均値が1.0)を用いた3mm厚の硬化物を作製し、S.W.O.M.を用いて促進耐候性評価を行った。得られた結果を表4に示す。
【0108】
【表4】
【0109】
表4から、硫黄の繰り返し数rの平均値が1.0(No.5)の比較例7に比べて、rの平均値が1.1(サンプル4)の実施例17の場合にはクラックの発生が起こりにくく、耐候性が向上することが確認できた。
【0110】
表3のダンベル引張り物性と表4の耐候性の結果から、rの平均値が1.1のポリサルファイドポリマーを用いた硬化型組成物はrの平均値が1.0のポリマーを用いた場合とは、特性が大きく異なることがわかる。
【0111】
実施例18
実施例3のポリマー(No.4、rの平均値が1.1)100重量部に対して、ジャパンエポキシレジン製エポキシ樹脂「エピコート828」100重量部とアデカ製芳香族3級アミン「アデカハードナーEHC30」5重量部を手練りでよく混練した後に23℃で7日間養生して1cm厚の試験片を作製した。得られた硬化型組成物のガラス転移温度と50%重量減少温度を測定した。得られた結果を表5に示す。
【0112】
比較例8
実施例18と同様にして、実施例3のポリマーの代わりにサンプル1(東レ・ファインケミカル製チオコール「LP−3」と「LP−23」を6:4の比率でブレンドしたポリマー)を用いて硬化型組成物を作製し、ガラス転移温度と50%重量減少温度を測定した。得られた結果を表5に示す。
【0113】
【表5】
【0114】
表5に示すように、硫黄の繰り返し数rの平均値が1.1のチオール基含有ポリマー(No.4)を用いた実施例18の硬化型組成物は、一般的に使用されているrの平均値が2.0であるポリサルファイドポリマー(No.1)を用いた比較例8の硬化物に比べて、低ガラス転移温度、高耐熱性を示すことが確認できた。