特許第5790987号(P5790987)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5790987
(24)【登録日】2015年8月14日
(45)【発行日】2015年10月7日
(54)【発明の名称】電池及び電池の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01M 2/06 20060101AFI20150917BHJP
   H01M 2/30 20060101ALI20150917BHJP
   H01M 2/08 20060101ALI20150917BHJP
   H01M 2/26 20060101ALI20150917BHJP
【FI】
   H01M2/06 A
   H01M2/30 B
   H01M2/08 A
   H01M2/26 A
【請求項の数】9
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2011-83813(P2011-83813)
(22)【出願日】2011年4月5日
(65)【公開番号】特開2012-4105(P2012-4105A)
(43)【公開日】2012年1月5日
【審査請求日】2014年2月12日
(31)【優先権主張番号】特願2010-113283(P2010-113283)
(32)【優先日】2010年5月17日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】507151526
【氏名又は名称】株式会社GSユアサ
(74)【代理人】
【識別番号】100074332
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 昇
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 瞬
(72)【発明者】
【氏名】白石 悠
【審査官】 原 和秀
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭51−132533(JP,U)
【文献】 特開2000−090908(JP,A)
【文献】 特開2003−157812(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2004/0121230(US,A1)
【文献】 特開2006−286586(JP,A)
【文献】 特表2008−502120(JP,A)
【文献】 米国特許第07807285(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 2/06
H01M 2/08
H01M 2/26
H01M 2/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池ケースに形成された貫通孔にパッキンを介して挿通されると共に、前記電池ケース内の発電要素に接続された集電部材と外部端子とを接続するリベットを備えた電池であって、
前記リベットは軸方向の一端側で前記集電部材と接続され、前記一端側は軸方向に凹部状の筒状部を備え、該筒状部の底面が前記電池ケースにまで到達するか、前記電池ケースを超えて軸方向の他端側へ位置すると共に、前記筒状部の内径が軸方向の前記一端側から前記他端側にかけて連続的に小さくなり、該筒状部の厚みが前記一端側から前記他端側にかけて厚くなっていることを特徴とする電池。
【請求項2】
電池ケースに形成された貫通孔にパッキンを介して挿通されると共に、前記電池ケース内の発電要素に接続された集電部材と接続され、軸方向の他端側が外部端子となっているリベットを備えた電池であって、
前記リベットは軸方向の一端側で前記集電部材と接続され、前記一端側は軸方向に凹部状の筒状部を備え、該筒状部の底面が前記電池ケースにまで到達するか、前記電池ケースを超えて前記他端側へ位置すると共に、前記筒状部の内径が軸方向の前記一端側から前記他端側にかけて連続的に小さくなり、該筒状部の厚みが前記一端側から前記他端側にかけて厚くなっていることを特徴とする電池。
【請求項3】
前記筒状部の外径が軸方向の前記一端側から前記他端側にかけて小さくなっていることを特徴とする請求項1又は2に記載の電池。
【請求項4】
電池ケースに形成された貫通孔にパッキンを介して挿通されると共に、前記電池ケース内の発電要素に接続された集電部材と外部端子とを接続するリベットを備えた電池の製造方法において、
前記集電部材は貫通部を有し、軸方向の一端側に中実部を備えた前記リベットの該中実部を前記集電部材の貫通部から突出させた後、前記リベットの前記中実部に、底面が前記電池ケースにまで到達するか、前記電池ケースを超えて軸方向の他端側へ位置すると共に、厚みが前記一端側から前記他端側にかけて厚くなる凹部状の筒状部を形成することを特徴とする電池の製造方法。
【請求項5】
電池ケースに形成された貫通孔にパッキンを介して挿通されると共に、前記電池ケース内の発電要素に接続された集電部材と接続され、軸方向の他端側が外部端子となっているリベットを備えた電池の製造方法において、
前記集電部材は貫通部を有し、軸方向の一端側に中実部を備えた前記リベットの該中実部を前記集電部材の貫通部から突出させた後、前記リベットの前記中実部に、底面が前記電池ケースにまで到達するか、前記電池ケースを超えて前記他端側へ位置すると共に、厚みが前記一端側から前記他端側にかけて厚くなる凹部状の筒状部を形成することを特徴とする電池の製造方法。
【請求項6】
前記凹部状の筒状部が前記リベットの前記中実部にポンチを押し込むことによって形成されることを特徴とする請求項又はに記載の電池の製造方法。
【請求項7】
前記ポンチとして、前記リベットの外径寸法よりも小さい先端部を有するポンチを用いることを特徴とする請求項に記載の電池の製造方法。
【請求項8】
前記ポンチとして、先細り形状のポンチを用いることを特徴とする請求項又はに記載の電池の製造方法。
【請求項9】
前記リベットの前記中実部に凹部状の筒状部が形成されることによって、前記リベットの前記凹部状の筒状部の外径が外側に押し広げられることを特徴とする請求項乃至の何れか1項に記載の電池の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池ケースに形成された貫通孔にパッキンを介して挿通されるリベットであって、電池ケース内の発電要素に接続された集電部材と外部端子とを接続するリベット、あるいは、電池ケースに形成された貫通孔にパッキンを介して挿通されるリベットであって、電池ケース内の発電要素に接続された集電部材と接続され、軸方向の他端側が外部端子となっているリベットを備えた電池及び電池の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
上記電池として、例えば下記特許文献1に示す電池が提案されている。これは、発電要素を収納する電池ケース本体と、該電池ケース本体の開口を塞ぐ蓋とを備え、蓋に形成された貫通孔にパッキンを介して中実のリベット(リベット端子)を挿通するとともに、該リベットの軸方向の一端側が集電部材の貫通孔から突出するようにして集電部材を蓋の内面側に配置した後、リベットの一端側をかしめることにより、集電部材を固定し、かつ、パッキンを蓋に密着させて蓋とリベットとの間を密閉するようにしている。
【0003】
詳しくは、上記特許文献1の構成を図7(a)に示している。図7(a)は、かしめ処理のために、上下を反対にした状態を示しており、リベット21の一端側をかしめることによって、リベット21の一端側を横に広がった円弧形状に形成し、集電部材22を2つのパッキン24,25を介して蓋26に固定する。また、このとき、リベット21への加圧力が2つのパッキン24,25に伝達されることにより、パッキン24,25は蓋26に密着し、そのため、蓋26とリベット21との間が密閉される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−157812号公報(図2参照)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、リベット21の一端から軸方向中央部分21Aまでの距離(図7(a)の矢印の長さ)が長く、加圧力がリベット21の軸方向中央部分21Aにまで伝達され難いため、リベット21の軸方向中央部分21Aを十分に拡径させることができず、従って、他方のパッキン25(のうちの蓋26の貫通孔26Aに挿入された環状凸部)を該貫通孔26Aの内周面に密着させることができず、そのため、貫通孔26A周りを確実に密閉することができない場合がある。
【0006】
また、本発明者は、図7(b)に示すリベット27を用いて該リベット27と蓋26との間を密閉する方法も検討している。このリベット27は、一端側及び他端側が開放された一対の筒状部27A,27Bと、これら筒状部27A,27Bの間に位置するフランジ部27Cとを備えた中空リベットである。そして、このリベット27は、受け台20に載置して両端をかしめることによって、集電部材22及び端子板(バスバー)23を2つのパッキン28,29を介して蓋26に固定し、かつ、パッキン28,29を蓋26に密着させて蓋26とリベット27との間を密閉するようにしている(図7(c)参照)。
【0007】
しかしながら、この場合には、リベット27の一端側をかしめることによって加圧力が伝達されて、リベット27の軸方向中央部分27Dを拡径させることができるものの、その拡径させる力が小さいだけでなく、下側筒状部27Aが中空であるため、該下側筒状部27Aの弾性復元力によって、一旦拡径された軸方向中央部分27Dが縮径してしまうことがある。従って、実際には、パッキン28(のうちの蓋26の貫通孔26Aに挿入された環状凸部)を該貫通孔26Aの内周面に密着させることができず、そのため、貫通孔26A周りを確実に密閉することができない場合がある。さらに、リベット27の筒状部27Aの厚みは一定でかつ薄いため、リベット27に何らかの原因で大電流が流れた場合、筒状部27Aの根元(根本)部分が溶断するという問題があった。
【0008】
そこで、本発明はかかる状況に鑑みてなされたもので、電池ケースの貫通孔周りを確実に密閉することができる電池及び電池の製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
即ち、本発明に係る電池は、前述の課題解決のために、電池ケースに形成された貫通孔にパッキンを介して挿通されると共に、前記電池ケース内の発電要素に接続された集電部材と外部端子とを接続するリベットを備えた電池であって、前記リベットは軸方向の一端側で前記集電部材と接続され、前記一端側は軸方向に凹部状の筒状部を備え、該筒状部の底面が前記電池ケースにまで到達するか、前記電池ケースを超えて軸方向の他端側へ位置すると共に、前記筒状部の内径が軸方向の前記一端側から前記他端側にかけて連続的に小さくなり、該筒状部の厚みが前記一端側から前記他端側にかけて厚くなっていることを特徴としている。
【0010】
また、本発明に係る別の電池は、電池ケースに形成された貫通孔にパッキンを介して挿通されると共に、前記電池ケース内の発電要素に接続された集電部材と接続され、軸方向の他端側が外部端子となっているリベットを備えた電池であって、前記リベットは軸方向の一端側で前記集電部材と接続され、前記一端側は軸方向に凹部状の筒状部を備え、該筒状部の底面が前記電池ケースにまで到達するか、前記電池ケースを超えて前記他端側へ位置すると共に、前記筒状部の内径が軸方向の前記一端側から前記他端側にかけて連続的に小さくなり、該筒状部の厚みが前記一端側から前記他端側にかけて厚くなっていることを特徴としている。
【0011】
また、本発明に係る電池の製造方法は、電池ケースに形成された貫通孔にパッキンを介して挿通されると共に、前記電池ケース内の発電要素に接続された集電部材と外部端子とを接続するリベットを備えた電池の製造方法において、前記集電部材は貫通部を有し、軸方向の一端側に中実部を備えた前記リベットの該中実部を前記集電部材の貫通部から突出させた後、前記リベットの前記中実部に、底面が前記電池ケースにまで到達するか、前記電池ケースを超えて軸方向の他端側へ位置すると共に、厚みが前記一端側から前記他端側にかけて厚くなる凹部状の筒状部を形成することを特徴としている。
【0012】
また、本発明に係る別の電池の製造方法は、電池ケースに形成された貫通孔にパッキンを介して挿通されると共に、前記電池ケース内の発電要素に接続された集電部材と接続され、軸方向の他端側が外部端子となっているリベットを備えた電池の製造方法において、前記集電部材は貫通部を有し、軸方向の一端側に中実部を備えた前記リベットの該中実部を前記集電部材の貫通部から突出させた後、前記リベットの前記中実部に、底面が前記電池ケースにまで到達するか、前記電池ケースを超えて前記他端側へ位置すると共に、厚みが前記一端側から前記他端側にかけて厚くなる凹部状の筒状部を形成することを特徴としている。
【0013】
本発明によれば、リベットをかしめる際、例えば先端が尖ったポンチを用い、一端側の中実部分を軸方向の一端側から他端側に押し込むことによって、加圧力が作用する位置を電池ケース側に近づけることができるため、押し込まれた量だけ該リベット(の軸方向中央部分)が軸方向と直交する方向に確実に膨出する。従って、パッキンが電池ケースの貫通孔の内周面に確実に密着し、貫通孔周りを確実に密閉する。しかも、リベットが中実材料であるため、一旦変形すると、弾性復元しにくく(変形が戻りにくく)、電池ケースの貫通孔周りの密閉状態が確実に維持される。
【0014】
また、リベットの一端側を、底面が電池ケースにまで到達するか、電池ケースを超えて軸方向の他端側へ位置する筒状部となるようにすることによって、加圧力が作用する位置を電池ケース側に確実に近づけることができる。さらに、リベットの一端側を、厚みが軸方向の一端側から他端側にかけて厚くなる筒状部となるようにすることによって、かしめに伴って変形したリベットの弾性復元をより効果的に抑制するだけでなく、リベットにおける電流のパスが大きくなることで、電流が流れやすくなるため、リベットに大電流が流れても、筒状部の根元部分が溶断するといった問題も生じない。
【0015】
ここで、本発明に係る電池は、リベットの筒状部の外径が軸方向の一端側から他端側にかけて小さくなっている構成を採用することができる
【0016】
また、本発明に係る電池の製造方法は、例えば、凹部状の筒状部がリベットの中実部にポンチを押し込むことによって形成されるものであり、また、ポンチとして、リベットの外径寸法よりも小さい先端部を有するポンチを用いるのが好ましく、また、ポンチとして、先細り形状のポンチを用いるのが好ましく、また、リベットの中実部に凹部状の筒状部が形成されることによって、リベットの凹部状の筒状部の外径が外側に押し広げられるようにするのが好ましい。
【発明の効果】
【0017】
以上、本発明に係る電池及び電池の製造方法によれば、電池ケースに形成された貫通孔に挿通されたリベットの一端側に例えばポンチを押し込んで該リベットの一端側の中実部分を軸方向の一端側から他端側に押し込むことによって、押し込まれた量だけ該リベット(の軸方向中央部分)を軸方向と直交する方向に膨出させることができ、そのため、電池ケースの貫通孔周りを確実に密閉することができるようになる。
【0018】
しかも、本発明に係る電池及び電池の製造方法によれば、リベットの一端側を、底面が電池ケースにまで到達するか、電池ケースを超えて軸方向の他端側へ位置する筒状部となるようにすることによって、加圧力が作用する位置を電池ケース側に確実に近づけることができる。
【0019】
さらに、本発明に係る電池及び電池の製造方法によれば、リベットの一端側を、軸方向の一端側から他端側にかけて厚みが厚くなる凹部状の筒状部となるようにすることによって、かしめに伴って変形したリベットの弾性復元をより効果的に抑制し、これにより、電池ケースの貫通孔周りの密閉状態を確実に維持することができるばかりでなく、リベットにおける電流のパスが大きくなることで、電流が流れやすくなるため、リベットに何らかの原因で大電流が流れた場合であっても、筒状部の根元部分が溶断するといった事態が生じるのを効果的に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】(a)は下部を省略した電池の正面図、(b)は(a)で示した電池の平面図である。
図2】(a)は蓋に端子構造部を構成する部材を組付ける前の状態を示す縦断正面図、(b)は蓋に端子構造部を構成する部材を組付けた状態を示す縦断正面図、(c)はリベットにポンチを押し込んで蓋に端子構造部を構成する部材を固定した状態を示す縦断正面図である。
図3】(a)は図1(a)のリベット近辺を示す縦断正面図、(b)はリベットの外径が軸方向の一端側から他端側にかけて小さくなっている状態を示す縦断正面図である。
図4】(a)はリベットの一部を外部端子とした構成を示す縦断正面図、(b)はリベットの外径が軸方向の一端側から他端側にかけて小さくなっている状態を示す縦断正面図である。
図5】(a)は図3(a)よりもポンチ孔が深く形成された状態を示す縦断正面図、(b)は図4(a)よりもポンチ穴が深く形成された状態を示す縦断正面図である。
図6】(a),(b)は他のポンチの形状を示す側面図である。
図7】(a),(b),(c)は従来のリベットの固定方法を示す縦断側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明に係る電池の一例であるリチウム電池(以下、単に「電池」と言う)の一実施形態について、図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0022】
図1(a),(b)に、本実施形態に係る電池を示している。この電池は、上端がほぼ長方形に開口する金属製の電池ケース本体1と、該電池ケース本体1内に収納された発電要素(図示せず)と、電池ケース本体1の開口を塞ぐ蓋2と、該蓋2の長手方向両側に形成された円形の貫通孔2Aに密閉状態で固定される端子構造部3,3とを備えている。尚、本実施形態に係る電池は、自動二輪車や自動車などの車両に搭載する場合において適用できるが、その他の目的で使用することもできる。
【0023】
前記端子構造部3,3は同一構造であるため、一方(図中、左側)の端子構造部3について説明する。端子構造部3は、図1(a),(b)及び図2(a)に示すように、蓋2の貫通孔2Aに挿通されてかしめられるリベット4と、このリベット4に対して長手方向に所定距離を置いて配置される外部端子5と、これらリベット4と外部端子5とを接続するバスバー6と、バスバー6及びリベット4を蓋2に対して絶縁する2つの絶縁用のパッキン7,8と、リベット4に接続され、図示しない発電要素に接続される集電部材9とを備えている。そして、前記端子構造部3,3が蓋2に装着され、それら端子構造部3,3が装着された蓋2が電池ケース本体1の開口に溶接などにより取り付けられる。また、一端側が前記リベット4に接続されるバスバー6と、このバスバー6の他端側が接続される外部端子5とから、外部端子部が構成されている。
【0024】
前記リベット4は、金属製で中実材料からなり、同軸に配置される上下の円柱部4A,4Bと、それら円柱部4A,4B間に位置しかつ径外方向に突出するフランジ部4C(本実施形態では、平面視が円形)を備えた中実リベットである。上側(本発明に係る「他端側」に相当)の円柱部4Aが下側(本発明に係る「一端側」に相当)の円柱部4B(本発明に係る「中実部」に相当)よりも少し上下寸法を短くしているが、同一寸法にしてもよい。また、下側の円柱部4Bの直径が上側の円柱部4Aの直径よりも少し大きくしているが、同一であってもよいし、上側の円柱部4Aの直径が下側の円柱部4Bの直径よりも少し大きくしてもよい。ここでは、蓋2の貫通孔2Aの形状に合わせてリベット4の形状を円形にしているが、リベット4の形状を貫通孔2Aの形状に合わせなくてもよい。
【0025】
前記外部端子5は、外周面に螺子が形成された軸部5Aと、この軸部5Aの一端に設けられ、軸部5Aよりも大径となる寸法を有する頭部5Bとを備えたボルト状の部材からなり、バスバー6に形成された貫通孔6Aに軸部5Aを挿通し、リベット4を後述のようにかしめることによって、バスバー6を介して頭部5Bをパッキン7に押し付けて、外部端子5を固定している。
【0026】
前記バスバー6は、金属製でほぼ長方形の板状の部材からなり、一端側に前記軸部5Aを挿通するための貫通孔6Aを備えると共に、他端側にリベット4(の上側の円柱部4A)を挿通するための貫通孔6Bを備えている。
【0027】
前記一方のパッキン7(外部絶縁用パッキン)は、ポリプロピレンやポリエチレン等の樹脂(ゴムでもよい)を成形したもので、平面視ほぼ長方形で板状の本体部7Aと、この本体部7Aの外周縁に上方に突出してバスバー6の位置決めを行うための縦壁部7Bと、パッキン7の長手方向ほぼ中央部に設けられた、リベット4と外部端子5とをパッキン7の長手方向で位置決めするための突起部7Cと、リベット4の下側の円柱部4Bの一部に嵌め込まれる円筒状の環状凸部7Dとを備えている。
【0028】
また、他方のパッキン8(内部絶縁用パッキン)も同様に、ポリプロピレンやポリエチレン等の樹脂(ゴムでもよい)を成形したもので、平面視ほぼ長方形で板状の本体部8Aと、この本体部8Aの外周縁に下方に突出して前記集電部材9を水平方向において位置決めするための凸部8Bとを備えている。そして、パッキン8の本体部8Aのリベット4側部分には、蓋2の貫通孔2Aと同じ大きさに形成された貫通孔8Kが形成されている。
【0029】
前記集電部材9は、金属材料からなり、平面視ほぼ長方形で板状の本体部9Aと、この本体部9Aの一端から下方にほぼ90度折り曲げられた折り曲げ部9Bとを備えている。そして、前記本体部9Aのリベット4側部分には、リベット4の下側の円柱部4Bを挿入可能な貫通孔9Kが形成されている。
【0030】
本実施形態に係る電池の構成の説明は以上のとおりであり、次に、前記リベット4をかしめることによって、外部端子5、バスバー6、集電部材9をパッキン7,8を介して蓋2に一体的に固定する方法について説明する。
【0031】
まず、図2(a)に示すように、蓋2の上方に、上側のパッキン7をそれの環状凸部7Dが蓋2の貫通孔2Aに挿入されるようにして配置し、その上から、外部端子5をパッキン7の長手方向外側に配置するとともに、リベット4をパッキン7の長手方向内側に下側の円柱部4Bがパッキン7の環状凸部7Dに挿入されるようにして配置する。この状態から、バスバー6を一方の貫通孔6Aに外部端子5(の軸部5A)が挿通され、かつ、他方の貫通孔6Bにリベット4の上側の円柱部4Aが挿通されるように配置する(図2(b)参照)。
【0032】
続いて、蓋2の下方に、下側のパッキン8をそれの貫通孔8Kが上側のパッキン7の環状凸部7Dに外嵌するように配置する。さらに、この状態から、集電部材9をそれの貫通孔9Kがリベット4の下側の円柱部4Bに外嵌するように配置する(図2(b)参照)。
【0033】
前記のように全ての部材が蓋2に組まれた状態から、上下が反対になるように引っくり返し(図2(c)参照)、受け台11にリベット4の円柱部4A側を載置した状態で、リベット4の円柱部4B側を上方からかしめることによって、全ての部材5,6,9をパッキン7,8を介して蓋2に固定する。具体的には、上方からリベット4の外径寸法よりも小さな先端部10Aを有するポンチ10をリベット4の中心部分(中心部から多少ずれてもよい)に押し込んでリベット4の中央部分を蓋2側に押し込む。この押し込みによる加圧力(図2(c)及び図3(a)の矢印参照)が作用する位置を蓋2側に近づけることができるため、押し込まれた量だけ該リベット4が軸方向と直交する方向に確実に膨出する。そして、この膨出した膨出部分がパッキン7の環状凸部7Dを蓋2の貫通孔2Aの内周面2Hに強く押し付けることによって、パッキン7の環状凸部が貫通孔2Aの内周面2Hに密着し、蓋2の貫通孔2A周りが密閉される。尚、図2(b)から(c)への移行時に変化がわかり易いように、図2(b)において、パッキン7の環状凸部7Dの内周面とリベット4の円柱部4Bの外周面との間に隙間を形成している図にしているが、実際には、パッキン7の環状凸部7Dの内径とリベット4の円柱部4Bの外径とを同一ないし略同一にして、隙間がないか、あったとしても、微小な隙間にしている。
【0034】
前記ポンチ10は、先端側ほど先細りとなる円錐形状(先端が尖った形状)となっており、その先端面10Bは偏平になっている。従って、かしめ後のリベット4の発電要素側の端面には、内径が奥側ほど小さくなる凹部状の筒状部4Dが形成されることになる。また、そのため、リベット4の発電要素側の端面には、奥側ほど厚みが厚くなる凹部状の筒状部4Dが形成されることになる。また、ポンチ10によるリベット4の変形の程度が大きいと、図3(b)に示すように、外径が先端側ほど大きくなる(外径が奥側ほど小さくなる)凹部状の筒状部4Dが形成されることになる。因みに、この場合であっても、外径の変化率が内径の変化率よりも小さいため、奥側ほど厚みが厚くなっている。尚、パッキン7の環状凸部7Dを蓋2の貫通孔2Aの内周面2Hに押し付ける力(押圧力)を大きくするためには、筒状部4Dの底面4dの位置がパッキン7の環状凸部7Dの開口よりも環状凸部7D内に入り込むように、即ち、筒状部4Dの底面4dの位置が蓋2の貫通孔2Aにまで到達するように、ポンチ10を押し込むのが好ましい。また、ポンチ10をさらに深く押し込み、筒状部4Dの底面4dの位置がパッキン7の本体部7Aの上端にまで到達する、あるいはそれを超える等、筒状部4Dの底面4dの位置が蓋2を超えて軸方向の他端側へ位置するようにすることで、より一層強固にパッキン7の環状凸部7Dを蓋2の貫通孔2Aの内周面2Hに押しつけることができる。
【0035】
また、リベット4の筒状部4Dの(厚みが少ない)先端側は、前記ポンチ10とは別のポンチを用いるか、あるいは図示しないが、前記ポンチ10の円錐形状の根元部分に形成される段差端面によって、集電部材9の貫通孔9Kの内周面に密着した状態で、集電部材9の貫通孔9Kから突出する部分が径外方向に膨出して集電部材9の貫通孔9Kよりも大径となり、集電部材9を蓋2側へ押し付け、集電部材9を蓋2に確実に固定する。一方、リベット4の反対側は、受け台11からの反力を受けて押し潰されることにより、径外方向に膨出してバスバー6の貫通孔6Bよりも大径となるフランジ部4Fが形成されることで、バスバー6を蓋2側へ押し付け、バスバー6を蓋2に確実に固定する。
【0036】
以上、本実施形態では、先端が尖ったポンチ10をリベット4に押し込んでリベット4をかしめる場合、リベット4の軸方向での寸法を図7(a),(b)で示した一端側を潰してかしめる場合に比べて短くすることができるので、省スペース化を図ることができる。つまり、図7(a),(b)では、潰した部分がリベット4の軸方向に存在することになるが、本実施形態では潰さないで押し込むだけであるので、そのような潰した部分がリベット4の軸方向に存在することがなく、その分、リベット4を短くすることができるのである。
【0037】
しかも、本実施形態では、押し込むことで従来に比べてリベット4を軸方向と直交する方向(径外方向)に膨出させる力を効率よく発揮させることができるため、蓋2とリベット4との間(より具体的には、蓋2の貫通孔2A周り)を確実に密閉するために必要となるポンチ10の押し込み力(加圧力)の範囲を広範囲にすることができる利点がある。
【0038】
また、本実施形態では、リベット4の一端側を他端側にかけて厚みが厚くなる凹部状の筒状部4Dとなるようにリベット4の両端をかしめることによって、図7(b),(c)のリベット27に比して、かしめに伴って変形したリベット4の弾性復元をより効果的に抑制することができ、従って、パッキン7の環状凸部7Dを蓋2の貫通孔2Aの内周面2Hに押し付ける力(押圧力)が維持され、そのため、蓋2とリベット4との間(より具体的には、蓋2の貫通孔2A周り)の密閉状態を確実に維持することができる。
【0039】
しかも、図7(b),(c)では、リベット27の筒状部27Aの厚みは一定でかつ少ないため、リベット27に何らかの原因で大電流が流れた場合、筒状部27Aの根元部分が溶断するおそれがあるが、本実施形態では、筒状部4Dの奥側が肉厚となっており、リベット4における電流のパスが大きくなることで、電流が流れやすくなるので、そのような問題は生じない。
【0040】
ところで、図7(b),(c)のリベット27において、筒状部27Aの厚みが少なくない(厚みがある)とした場合、筒状部27Aの根元部分が溶断するおそれはないかもしれない。しかしながら、これに比べても、本実施形態のリベット4は、パッキン7(の環状凸部7D)との気密性が高く、軽量である。
【0041】
また、パッキン7の環状凸部7Dが他の部分よりも強く圧縮されることによって、図3(a),(b)に示すように、集電部材9と蓋2との間に僅かに入り込んで、集電部材9と蓋2との間も確実に密閉することができる。
【0042】
尚、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0043】
例えば、上記実施形態では、外部端子5とリベット4とをバスバー6で接続して外部端子部を構成したが、図4(a),(b)に示すように、リベット4が外部端子を兼用した構成、即ち、リベット4の他端側が外部端子となっている構成であってもよい。この場合、バスバーに代えて金属製の端子板12をリベット4に固定することになる。他の構成は、図1で示した外部端子5が無くなることにより、各寸法が短くなるだけで、同一の種類の部材を備えている。尚、図4(b)は、図3(b)と同様、外径寸法が変化した状態のリベット4を示している。
【0044】
また、上記実施形態では、ポンチ10の先端を蓋2の貫通孔2Aにまで到達するように押し込んだが、図4(a),(b)に示すように上側のパッキン7の本体部7Aの上端にまで到達する、あるいは図5(a),(b)に示すようにそれよりもさらに深くポンチ10を押し込むようにすれば、加圧力(図4(a),(b)及び図5(a),(b)の矢印参照)が作用する位置を図3(a),(b)に比べて蓋2を超えて他端側へ位置させることができ、より一層強固にパッキン7の環状凸部7Dを蓋2の貫通孔2Aの内周面2Hに押し付けることができる。
【0045】
また、上記実施形態では、全体が円錐形状のポンチ10を用いたが、図6(a)に示すように、先端部10Aのみがテーパー面を有する円錐形状のポンチ10であってもよい。あるいは、図6(b)に示すように、テーパー面10Tが軸芯側に凹んだ湾曲形状であってもよい。また、先細り形状とすることによって、図3(a),(b)及び図4(a),(b)に示すように筒状部4Dも同様に下側ほど先細りとなる形状にしたが、ほぼ同一径のポンチでリベット4をかしめてもよい。この場合、リベットに形成される凹部が上から下までほぼ同一径に構成されることになる。
【0046】
また、上記実施形態では、リベット4の下端側(電池ケース内側)にポンチを押し込んだが、リベット4の上端側(電池ケース外側)にポンチを押し込んでもよい。
【0047】
また、上記実施形態では、発電要素を収納する電池ケース本体1と、該電池ケース本体1の開口を塞ぐ蓋2とで電池ケースを構成したが、リベット4を挿通するための貫通孔は、電池ケース本体1に設け、外部端子5、バスバー6、集電部材9をパッキン7,8を介して電池ケース本体1に一体的に固定するようにしてもよい。
【0048】
また、上記実施形態では、一方のパッキン7(外部絶縁用パッキン)に、蓋2の貫通孔2Aに挿入される環状凸部7Dを設け、この環状凸部7Dをリベット4の膨出(拡径)に伴って蓋2の貫通孔2Aの内周面に密着させるようにしているが、環状凸部を他方のパッキン8に設けるようにしてもよい。但し、環状凸部の根元部分がリベット4の他端側、環状凸部の開口がリベット4の一端側となる配置の方が環状凸部を貫通孔2Aの内周面に密着させる効果が高いので、環状凸部は、ポンチ10を押し込む側とは反対側に配置されるパッキン7に設けるのが好ましい。
【0049】
また、上記実施形態では、集電部材9に貫通孔9Kを形成し、この貫通孔9Kにリベット4の円柱部4Bを挿通するようにしているが、集電部材9に形成されるのは、孔ではなく、切り欠き等であってもよい。
【符号の説明】
【0050】
1…電池ケース本体、2…蓋、2A…貫通孔、2H…内周面、3…端子構造部、4…リベット、4A,4B…円柱部、4C…フランジ部、4D…筒状部、4F…フランジ部、4d…底面、5…電極端子、5A…軸部、5B…頭部、6…バスバー、6A,6B…貫通孔、7,8…パッキン、9…集電部材、10…ポンチ、11…受け台、12…端子板
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7