特許第5791005号(P5791005)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5791005
(24)【登録日】2015年8月14日
(45)【発行日】2015年10月7日
(54)【発明の名称】管継手用ロックリング
(51)【国際特許分類】
   F16L 21/08 20060101AFI20150917BHJP
【FI】
   F16L21/08 B
【請求項の数】1
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2012-282425(P2012-282425)
(22)【出願日】2012年12月26日
(65)【公開番号】特開2014-126101(P2014-126101A)
(43)【公開日】2014年7月7日
【審査請求日】2014年9月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】000142595
【氏名又は名称】株式会社栗本鐵工所
(74)【代理人】
【識別番号】100074206
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 文二
(74)【代理人】
【識別番号】100084858
【弁理士】
【氏名又は名称】東尾 正博
(74)【代理人】
【識別番号】100112575
【弁理士】
【氏名又は名称】田川 孝由
(74)【代理人】
【識別番号】100166796
【弁理士】
【氏名又は名称】岡本 雅至
(72)【発明者】
【氏名】山本 雅之
(72)【発明者】
【氏名】吉田 義徳
(72)【発明者】
【氏名】高木 啓介
【審査官】 黒石 孝志
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−64491(JP,A)
【文献】 実開平4−133093(JP,U)
【文献】 特開2002−323181(JP,A)
【文献】 実開昭57−12888(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16L 21/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
受口(11)に挿し口(12)が挿入される管継手に使用され、受口(11)の内周に形成されたロックリング溝(13)に収容されるものであり、リング部(2)を受口(11)の開口側が大径となるテーパー状とすると共に、一箇所で分割して弾力的に拡縮径可能とし、リング部(2)に外径方向に立ち上がる複数個の脚突起(3)を設け、ロックリング溝(13)への収納時に、リング部(2)の大径端と脚突起(3)とで管軸方向の移動を規制し、挿し口(12)に受口(11)からの引抜力が作用すると、挿し口(12)の外周の抜止突起(16)がリング部(2)の小径端に当接して、受口(11)から挿し口(12)が抜け止めされる管継手用ロックリング(1)において、前記脚突起(3)のうち、リング部(2)の分割部に臨むものの両端部を、周方向に対して傾斜した角度で曲げることにより形成し、脚突起(3)の端面が基部から連続してリング部(2)の小径側の端面と面一となるようにしたことを特徴とする管継手用ロックリング。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、水道管等の離脱防止管継手に用いるロックリングに関するものである。
【背景技術】
【0002】
水道管等の管継手において、地震等に伴う離脱を防止する構造のものとして、下記特許文献1に記載されたロックリングを使用するものが知られている。
【0003】
このロックリング51は、図6に示すように、テーパー状としたリング部52を、一箇所で分割して弾力的に拡縮径可能とし、リング部52の小径端側に外径方向に立ち上がる脚突起53を3個設けたものとされている。
【0004】
そして、上記ロックリング51は、図7及び図8に示すように、一方の管の受口11に他方の管の挿し口12が挿入される管継手の施工に際し、受口11の内周に形成されたロックリング溝13に収容する。
【0005】
ロックリング溝13は、受口11の内周に迫り出す抜止壁14とその奥側の入止壁15の間に形成され、抜止壁14は、上下二箇所で分割されている。また、挿し口12の開口端側の外周には、全周に亘って抜止突起16が形成されている。
【0006】
ロックリング51をロックリング溝13へセットする際には、リング部52の大径側が受口11の開口側へ向くようにして、縮径するように撓ませつつ、リング部52の分割部と抜止壁14の分割部を一致させ、抜止壁14の分割部を介し受口11の開口側からロックリング溝13へ進入させた後、リング部52の弾性により復元させる。
【0007】
このようにロックリング51をロックリング溝13に収容すると、リング部52の大径端が抜止壁14に、脚突起53が入止壁15にそれぞれ当接することにより、ロックリング51の管軸方向の移動が規制される。
【0008】
その後、挿し口12を、抜止突起16がロックリング51を乗り越えて、その奥側へ達する深さまで受口11に挿入し、受口11の開口端部の内周と挿し口12の外周との間にゴム輪17を介在させ、受口11のフランジに押輪18を宛がって、これらをボルトとナットとから成る締付部材19で締め付けると、シール性が確保される。
【0009】
このような管継手構造とすると、地震等により挿し口12に受口11からの引抜力が作用したとき、挿し口12の抜止突起16がロックリング51のリング部52の小径端に当接して抜け止めされ、水道管等の管路寸断による被害発生が防止される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】意匠登録第1439581号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、上記のようなロックリング51は、脚突起53をプレスにより曲げて形成する際、脚突起53の基部の曲率半径が小さいと割れが発生しやすく、曲率半径を大きくすると、リング部52自体及び脚突起53から成るリング部52の小径端側の端面に大きな凹入部が生じ、引抜力の作用時におけるリング部52の小径端側と挿し口12の抜止突起16との接触面積を大きく確保することができず、特に引抜力に対応できなくなる訳ではないが、継手構造の安定性を高める余地がある。
【0012】
そこで、この発明は、より安定した継手構造にすることが可能なロックリングを得ることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するため、この発明は、受口に挿し口が挿入される管継手に使用され、受口の内周に形成されたロックリング溝に収容されるものであり、リング部を受口の開口側が大径となるテーパー状とすると共に、一箇所で分割して弾力的に拡縮径可能とし、リング部に外径方向に立ち上がる複数個の脚突起を設け、ロックリング溝への収納時に、リング部の大径端と脚突起とで管軸方向の移動を規制し、挿し口に受口からの引抜力が作用すると、挿し口の外周の抜止突起がリング部の小径端に当接して、受口から挿し口が抜け止めされる管継手用ロックリングにおいて、前記脚突起のうち、リング部の分割部に臨むものの両端部を、周方向に対して傾斜した角度で曲げることにより形成し、脚突起の端面が基部から連続してリング部の小径側の端面と面一となるようにしたのである。
【発明の効果】
【0014】
この管継手用ロックリングでは、リング部の小径端側に曲げ加工に伴う割れや凹入部を生じさせることなく、分割部に臨む脚突起を形成することができ、ロックリング溝に収容した状態で、引抜力の作用時における挿し口の抜止突起とリング部の小径端側との接触面積を大きく確保することができるので、より安定した継手構造を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】この発明の実施形態に係る管継手用ロックリングの斜視図
図2】同上のロックリングの(a)平面図、(b)正面図
図3】同上のロックリングを使用した管継手構造の断面図
図4】同上の受口側端面図
図5】同上の継手構造の切断斜視図
図6】従来の管継手用ロックリングの斜視図
図7】同上のロックリングを使用した管継手構造の断面図
図8】同上の受口側端面図
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、この発明の実施形態を添付図面に基づいて説明する。
【0017】
図1及び図2に示すように、このロックリング1は、ステンレス鋼、ステンレスばね鋼又は耐食塗装を施したばね鋼等の金属板をプレスにより曲げて形成され、テーパー状としたリング部2を、図中上部の一箇所で分割して弾力的に拡縮径可能とし、リング部2に外径方向に立ち上がる3個の脚突起3を設けたものとされている。
【0018】
脚突起3は、リング部2の分割部の両側と、分割部の反対側である図中下部にそれぞれ配置されており、図中下部の1個の脚突起3と、図中上部の2個の脚突起3とは、形成方法及び形状が異なっている。
【0019】
図中下部の1個の脚突起3は、基部両側方でリング部2を少し切り込んで、起立方向へ折り曲げることにより形成されている。この脚突起3の基部を除く外面は、リング部2の小径側の端面と面一となっている。
【0020】
図中上部の2個の脚突起3は、分割部に臨むリング部2の両端部を、周方向に対して傾斜した角度で曲げることにより形成されている。この脚突起3の端面は、基部から連続してリング部2の小径側の端面と面一となっている。
【0021】
上記ロックリング1は、上述の従来のものと同様、図3乃至図5に示すように、一方の管の受口11に他方の管の挿し口12が挿入される管継手の施工に際し、受口11の内周に形成されたロックリング溝13に収容する。
【0022】
ロックリング溝13は、受口11の内周に迫り出す抜止壁14とその奥側の入止壁15の間に形成され、抜止壁14は、上下二箇所で分割されている。また、挿し口12の開口端側の外周には、全周に亘って抜止突起16が形成されている。
【0023】
ロックリング1をロックリング溝13へセットする際には、リング部2の大径側が受口11の開口側へ向くようにして、縮径するように撓ませつつ、リング部2の分割部と抜止壁14の分割部とを一致させ、抜止壁14の分割部を介し受口11の開口側からロックリング溝13へ進入させた後、リング部2の弾性により復元させる。
【0024】
このようにロックリング1をロックリング溝13に収容すると、リング部2の大径端が抜止壁14に、脚突起3が入止壁15にそれぞれ当接することにより、ロックリング1の管軸方向の移動が規制される。
【0025】
その後、挿し口12を、抜止突起16がロックリング1を乗り越えて、その奥側へ達する深さまで受口11に挿入し、受口11の開口端部の内周と挿し口12の外周との間にゴム輪17を介在させ、受口11のフランジに押輪18を宛がって、これらをボルトとナットとから成る締付部材19で締め付けると、シール性が確保される。
【0026】
このような管継手構造とすると、地震等により挿し口12に受口11からの引抜力が作用したとき、挿し口12の抜止突起16がリング部2の小径端側(リング部2自体及び脚突起3の基部から成る)でロックリング1に当接して抜け止めされ、水道管等の管路寸断による被害発生が防止される。
【0027】
また、ロックリング1の製造に際し、リング部2の小径端側に曲げ加工に伴う割れや凹入部を生じさせることなく、分割部に臨む脚突起3を形成することができ、ロックリング1を受口11のロックリング溝13に収容した状態で、引抜力の作用時における挿し口12の抜止突起16とリング部2の小径端側との接触面積を大きく確保することができるので、より安定した継手構造を得ることができる。
【符号の説明】
【0028】
1 ロックリング
2 リング部
3 脚突起
11 受口
12 挿し口
13 ロックリング溝
14 抜止壁
15 入止壁
16 抜止突起
17 ゴム輪
18 押輪
19 締付部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8