(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1を参照すると、この図には、単孔式手術で使用できる手術器具10の一実施例が示してある。手術器具10は、ハンドルアッセンブリ12、ハンドルアッセンブリ12の遠位端から延びる細長いシャフト14、及び細長いシャフトの遠位端に連結されたエンドエフェクタアッセンブリ16を含む。手術器具の様々な実施例において、エンドエフェクタアッセンブリ16は、掴みジョー、切り離しジョー、又は切断用ハサミ、又は別の手術用ツールを含んでいてもよい。幾つかの実施例では、手術器具10は、エンドエフェクタアッセンブリ16に電気的に接続する電気コネクタを含んでいてもよく、この場合、エンドエフェクタアッセンブリ16は電気手術ツールを含む。
【0011】
幾つかの実施例では、細長いシャフト14及びエンドエフェクタアッセンブリ16は、所定の大きさのトロカールカニューレ等のアクセスポートを通過する大きさを備えている。例えば、本明細書中に説明した手術器具10は、5mmのトロカールカニューレ、10mmのトロカールカニューレ、12mmのトロカールカニューレ、15mmのトロカールカニューレ、又はこの他の大きさのトロカールカニューレと関連して使用される大きさを備えていてもよい。
【0012】
幾つかの実施例では、ハンドルアッセンブリ12は、インライン形態において、手術器具10の細長いシャフト14が形成する長さ方向軸線に関して全体に長さ方向に延びる低プロファイル形態を有する。幾つかの実施例では、ハンドルアッセンブリ12は、全体に長さ方向に伸びていてもよく、使用者が握り易くするため及び使用者の快適性を高めるため、湾曲した人間工学的グリップ部分(
図9A乃至
図9D参照)を備えている。有利にはん、低プロファイルのハンドルにより、切開部位から近位方向に延びる器具の大きさを小さくし、かくして切開部位と隣接した他の手術ツールとの干渉を減少する。
【0013】
図2A及び
図2Bを参照すると、これらの図には、湾曲した輪郭を持つ切り離しジョー18を持つエンドエフェクタアッセンブリ16の一実施例が示してある。有利には、切り離しジョー18の輪郭が湾曲しているため、エンドエフェクタアッセンブリは、単一の挿入部位を通して挿入された他の手術器具とオフセットした組織を掴むことができる。湾曲した輪郭を持つジョーは、デバイスの遠位端を細長いシャフトの中心線からずらして移動でき、遠位端の視認性を改善する。更に、遠位端が湾曲しているため、身体の他の構造の後側にある組織構造へのアクセスが改善される。
【0014】
幾つかの実施例では、湾曲した輪郭は、約60°の角度円弧(angular arc) を形成できる。望ましくは、湾曲した輪郭は、約35°よりも大きい角度円弧を形成できる。他の実施例では、湾曲した輪郭は、約35°乃至約110°の角度円弧を形成でき、望ましくは、湾曲した輪郭は約45°乃至約95°の角度円弧を形成でき、更に望ましくは、湾曲した輪郭は約55°乃至約65°の角度円弧を形成できる。
【0015】
図3及び
図4を参照すると、デバイス10のエンドエフェクタアッセンブリ16の開閉は、シャットルトリガー20をハンドルアッセンブリ12の一方の側から他方の側まで交互に押すことによって行うことができる。幾つかの実施例では、ハンドルアッセンブリ12のハンドル本体22は、第1穴112と、全体に第1穴112と直径方向反対側の第2穴114とを含んでいてもよい。トリガー20は、第1作動面122及び第1作動面の反対側の第2作動面124を含んでいてもよい。枢動ピン等の枢軸が、第1作動面122と第2作動面124との間の所定の箇所でトリガー20をハンドル本体22に連結できる。トリガーが第1位置即ち開放位置にある場合、
図3に示すように、第1作動面122が第1穴112の外に延びており、第1穴112から突出している。トリガーが第2位置即ちトグル位置にある場合、
図4に示すように、第2作動面124が第2穴114の外に延びており、第2穴114から突出している。
【0016】
図3及び
図4の参照を続行すると、幾つかの実施例では、器具10は、エンドエフェクタアッセンブリ16をハンドルアッセンブリ12に回転自在に連結する回転機構を含んでいてもよい。幾つかの実施例では、ハンドルアッセンブリ12は、細長いシャフト14に連結された回転自在のノブ17を含んでいてもよい。ノブ17は、細長いシャフト14及びエンドエフェクタアッセンブリ16を細長いシャフト14の長さ方向中央軸線を中心として回転するのに使用できる。例示の実施例では、回転自在のノブ17はハンドルアッセンブリ12の遠位端に配置されている。幾つかの実施例では、回転自在のノブ17及び細長いシャフト14は、ハンドルアッセンブリ12に関して360°回転できる。他の実施例では、ハンドルアッセンブリ12は、回転自在のノブ17及び細長いシャフトの回転移動を360°よりも小さい角度範囲に制限するストップを含む。幾つかの実施例では、以下に更に詳細に説明するように、ハンドルアッセンブリは、エンドエフェクタアッセンブリ16を細長いシャフト14に関わらず最大360°回転する追加の回転機構を含んでいてもよい。
【0017】
幾つかの実施例では、腹腔鏡手術器具10のハンドルは対称であってもよい。これにより、ハンドルアッセンブリ12自体を回転することによってエンドエフェクタアッセンブリ16の回転を行うことができる。他の実施例では、ハンドルアッセンブリ12は、非対称な人間工学的形状を備えていてもよい。非対称なハンドルの場合には、手術器具は、望ましくは、ハンドルアッセンブリの回転自在のノブを回転することによってエンドエフェクタアッセンブリを回転できるように、上文中に説明した回転自在のノブを含んでいてもよい。インラインの対称なハンドル形態により、ハンドルの大きさによる不当なハンドル干渉を生じることなく、二つ又はそれ以上のハンドルを互いに近付けて配置でき、移動できる。ハンドルは、使用者の手のひらの中で360°回転でき、これによりノブ17の回転を使用せずに、遠位エンドエフェクタアッセンブリ16をこれに相当する程度回転できる。更に、必要であれば、同じ目的で回転ノブ17を使用してもよい。幾つかの実施例では、シャットルトリガー20は、多くの空間をとらずに、低プロファイルのハンドルアッセンブリ12の外側にほんの僅か突出するように設計されており、リンク機構によって作動ロッドに連結されている。
【0018】
図3及び
図4の参照を続行すると、ハンドルアッセンブリ12は、エンドエフェクタアッセンブリ16を作動するためのリンク機構を含んでいてもよい。リンク機構は、ハンドルアッセンブリ12のハンドル本体22に連結されていてもよい。図示のように、リンク機構は、ハンドル本体22に枢着されたトリガー20と、第1端がトリガー20に枢着された作動リンク24と、作動リンク24の第2端に枢着された作動シャフト26とを含む。例示の実施例では、トリガー20はハンドル本体の遠位端の近くでハンドル本体22に枢着されており、作動リンク24はトリガー20とハンドル本体22との間の連結部の近位側でトリガーに枢着されており、作動リンク24はトリガー20と作動リンク24との間の連結部の近位側で作動シャフト26に枢着されている。他の実施例では、トリガー、作動リンク、及び作動シャフトは、エンドエフェクタアッセンブリに作動的に連結する様々な形状及び構成を備えていてもよい。
【0019】
作動シャフト26は、金属又はプラスチック製のロッドやチューブ等の剛性部材、又はワイヤやケーブル等の可撓性部材のいずれであってもよい。トリガー20を移動し、リンク機構を開放位置とトグル位置との間で作動することにより、作動シャフト26を細長いシャフト14に関して長さ方向に摺動する。作動シャフト26は細長いシャフト14内を少なくとも部分的に延びていてもよく、エンドエフェクタアッセンブリ16に作動的に連結されていてもよい。
【0020】
図3は、リンク機構を開放位置で示し、エンドエフェクタアッセンブリ16は開放している(例えば、グラスパーのジョー又はハサミのブレードが互いから間隔が隔てられている)。
図4は、リンク機構をトグル位置で示し、エンドエフェクタアッセンブリ16は閉鎖している(例えば、グラスパーのジョー又はハサミのブレードが互いに接触している)。リンク機構がトグル位置にある状態でトリガー20を移動し、作動リンク24を枢動してトグル位置にし、エンドエフェクタアッセンブリ16を閉鎖位置に係止する。かくして、有利には、本明細書中に説明したリンク機構は、エンドエフェクタアッセンブリ16が不時に開放しないようにするのに使用できる係止機構を含んでいてもよい。
【0021】
例示のリンク機構の利点は、デバイスのエンドエフェクタアッセンブリ16の開閉並びに係止/係止解除を行うのに同じシャットルトリガー20を使用できるということである。係止は、シャットルトリガー20を作動し、エンドエフェクタアッセンブリ16を組織上で閉鎖し、トリガー20に追加の圧力を及ぼすことによって連結されたリンクをデバイスの中心線上で押し、リンク機構をトグル位置まで移動することによって行われる。リンク又はシャフトの変形を使用し、トグルの形成中に及ぼされるエンドエフェクタアッセンブリの圧力を制限してもよい。シャットルトリガーを逆方向に押すことによってエンドエフェクタアッセンブリ16を再び開放してもよい。幾つかの実施例では、
図9を参照して詳細に論じるように、追加の又は別の係止機構がハンドルアッセンブリに位置決めされていてもよい。
【0022】
有利には、
図1、
図3、及び
図4に示すように、低プロファイルのハンドル及びリンク機構を持つ手術器具では、医師は、ハンドルを切開部の近位側で比較的自由に且つ制限されていない態様で移動でき、切開部の遠位側の手術部位でチップを良好に見ることができる。こうした利点は、単一のアクセスポートを使用する手術等の手術部位の空間が限られた手術で特に明らかである。
【0023】
図5を参照すると、ジョーを備えたエンドエフェクタアッセンブリ16を持つ手術デバイスの幾つかの実施例では、ジョーは、様々な大きさの湾曲及び/又は様々な長さを備えて製造できる。例えば、
図2を参照して上文中に論じたように、細長いシャフトに関するジョーの湾曲の角度は、約35°乃至約110°の円弧状輪郭を含んでいてもよく、望ましくは、湾曲した輪郭は、約45°乃至約95°の角度円弧を形成してもよく、更に望ましくは、湾曲した輪郭は、約55°乃至約65°の角度円弧を形成してもよい。更に、例示の実施例では、ジョーのチップと手術器具の細長いシャフトの長さ方向中央軸線Aとの間のオフセット距離L1、L2、L3、L4は、約11.61mm乃至約19.38mm(約0.457インチ乃至約0.763インチ)の範囲内にあってもよい。特定の実施例では、オフセット距離は、少なくとも約7.62mm(約0.3インチ)であってもよい。幾つかの実施例では、オフセット距離は、約7.62mm乃至25.4mm(約0.3インチ乃至1.0インチ)であってもよく、望ましくは、オフセット距離は、約11.43mm乃至21.59mm(約0.45インチ乃至0.85インチ)であってもよく、更に望ましくは、オフセット距離は、13.97mm乃至17.78mm(0.55インチ乃至0.70インチ)であってもよい。チップの視認性及び組織構造へのアクセスは、エンドエフェクタアッセンブリのジョーの湾曲した輪郭及びオフセット距離を変化することによって最適化できる。
【0024】
図6を参照すると、幾つかの実施例では、細長いシャフト14’は、チップの視認性を更に向上でき且つ身体の他の構造の後側にある組織構造へのアクセスを改善できる角度セグメント40を含んでいてもよい。かくして、細長いシャフト14’は、細長いシャフトの近位端から長さ方向中央軸線に沿って延びる近位セグメント132、細長いシャフトの近位端と遠位端との間の角度セグメント40、及び角度セグメントから細長いシャフトの遠位端まで長さ方向中央軸線に対して横方向に延びる遠位セグメント142を含んでいてもよい。角度セグメント40は、長さ方向中央軸線に対する遠位セグメント134の横方向関係を決定する所定の屈曲角度(bend angle)を有する。幾つかの実施例では、屈曲角度は、約20°よりも大きくてもよい。幾つかの実施例では、屈曲角度は、約20°乃至約45°であってもよい。
【0025】
図6の参照を続行すると、有利には、角度をなした細長いシャフト14’を持つ手術器具を、単孔式手術で、真っ直ぐな細長いシャフト14を持つ別の手術器具と関連して使用してもよい。これは、外科医がこれらの器具のエンドエフェクタアッセンブリを互いに近接して位置決めできるように行われる。この際、手術器具の操作を容易にするため、これらの器具のハンドルアッセンブリは互いから間隔が隔てられる。
【0026】
図7を参照すると、この図には、
図6の角度をなした細長いシャフト14’で使用できるハンドルアッセンブリ12の一実施例が示してある。ハンドルアッセンブリ12は、エンドエフェクタアッセンブリ16を細長いシャフト14’に回転自在に連結する第1回転機構及び細長いシャフト14’をハンドルアッセンブリ12に回転自在に連結する第2回転機構を含んでいてもよい。例示の実施例では、ハンドルアッセンブリ12は、ハンドルアッセンブリ12の近位端と遠位端との間に位置決めされた回転自在のノブ17等の回転自在のアクチュエータを持つ第1回転機構を含む。第1回転機構は、ハンドルアッセンブリに回転自在に連結されている。例示のように、回転自在のノブ17は、角度をなしたシャフト14’内のクレビス/ジョーアッセンブリを回転し、エンドエフェクタアッセンブリ16をシャフト14’に対して回転する。幾つかの実施例では、エンドエフェクタアッセンブリは、回転自在のノブ17を使用して細長いシャフト14’に対して360°に亘って回転できる。他の実施例では、細長いシャフト14’に対するエンドエフェクタアッセンブリの回転を所定の角度範囲に制限してもよい。
【0027】
図7の参照を続行すると、例示のように、ハンドルアッセンブリ12は、更に、ハンドルアッセンブリ12の遠位端に位置決めされた回転自在のノブ27を持つ第2回転機構を含む。第2回転機構はハンドルアッセンブリ12に回転自在に連結されている。回転自在のノブ27は、角度をなした細長いシャフト14’をハンドルアッセンブリ12に対して回転する。幾つかの実施例では、細長いシャフト14’を回転でき、例えば180°の角度増分等の所定の角度増分が設けられた所定のストップのところで固定できる。かくして、第2回転機構を第1の所定のストップのところの第1位置まで回転でき、これにより、手術器具を外科医の右手で使用できると同時に別の器具を外科医の左手で掴むように、角度をなした細長いシャフト14’を位置決めする。第2回転機構は、第1の所定のストップから角度的に間隔が隔てられた第2の所定のストップのところの第2位置まで選択的に回転できる。これにより、手術器具を外科医の左手で使用できると同時に別の器具を外科医の右手で掴むように、角度をなした細長いシャフト14’を位置決めする。他の実施例では、所定のストップは、様々な角度間隔で所望の通りに配置されていてもよい。例えば、幾つかの実施例では、第2回転機構は、互いから間隔が隔てられた90°の角度で間隔が隔てられた四つの所定のストップを備えていてもよい。これは、右手で作動を行うための細長いシャフト14’の配向、左手で作動を行うための細長いシャフト14’の配向、別の手術器具の上方に位置決めできる細長いシャフト14’の配向、及び別の手術器具の下方に位置決めできる細長いシャフト14’の配向を定めるためである。
【0028】
図7の参照を続行すると、幾つかの実施例では、第2回転機構の所定のストップは、回転自在のノブ27及びハンドルアッセンブリ12に形成された選択的に結合できる特徴によって形成される。回転自在のノブ27には、所定のストップを形成するためにハンドルアッセンブリの遠位端に形成された戻り止め129等の一つ又はそれ以上の凹所と係合できるラッチ部材127が連結されていてもよい。
【0029】
図7の参照を続行すると、幾つかの実施例では、ハンドルアッセンブリ12は、ハンドルの本体に嵌め込まれた電気コネクタ11’を含んでいてもよい。例示のように、電気コネクタピンがハンドルアッセンブリの遠位端を越えて遠位方向に延びておらず、電気コネクタピンは、ハンドルの本体の凹所内に位置決めされている。有利には、このような嵌め込まれた電気コネクタ11’は、電気手術デバイスを使用して手術を行う場合に使用者の安全性を向上する。更に、有利には、嵌め込まれた電気コネクタ11’は、ハンドルアッセンブリを更に低プロファイルにし、手術部位で電気コネクタと施術者の手や指との間で、又は他の手術器具と衝突が生じる危険を低減する。
【0030】
図8を参照すると、この図には、手術器具用のハンドルアッセンブリの一実施例が示してある。
図3及び
図4を参照して上文中に説明したように、トリガー20及びリンク機構をトグル位置に配置したとき、手術器具のエンドエフェクタアッセンブリを所定位置に係止できる。
図8の実施例では、リンク機構は、トグル位置の形成を容易にするため、作動シャフト26と作動リンク24との間に配置できるばね60を含む。ばね60は、張力又は圧縮力がばね定数と関連した所定値に達したとき、圧縮(伸長)し、ジョーのクランプ力を制限し、リンクをトグル位置に置くのに必要な力を発生する。例えば、シャフト引っ張り力が所定量(即ち31.75kg(70ポンド))に達すると、ばねは圧縮(伸長)を開始し、ジョーに加わる力の量を制限する。追加のリンク及びトリガーの移動により、作動ロッドにこれ以上の力を加えることなく、ばねだけを伸長(圧縮)する。かくして、有利には、例示のリンク機構を使用して、エンドエフェクタアッセンブリ16によって保持された組織に所定の一定の力を加えることができる。ひとたびリンクが作動ロッドの中心線を越えて押されると、リンクはトグル位置になり、ジョーが開放しないようにする。シャットルトリガー20を逆方向に押すと、ばね60が再び伸長(圧縮)し、これによりロッドの中心線を越えてリンクを押し戻し、エンドエフェクタアッセンブリ16を解放できる。
【0031】
図9A及び
図9Dを参照すると、ハンドルアッセンブリ12’の幾つかの実施例では、エンドエフェクタアッセンブリ16を閉鎖位置に係止するために上文中に説明したトグル機構を使用する代わりに、又はこれに加えて、リンク機構に設けられたシャットルトリガーラチェット機構70を使用してエンドエフェクタアッセンブリ16を係止する。ラチェット機構70は、シャットルトリガー20がハンドルアッセンブリ12に関して開放位置に向かって移動しないようにし、リンクを持つ作動シャフト26が移動しないようにし、ジョー又は他のエンドエフェクタを係止する少なくとも一つのラチェット位置を持つラチェット72を含む。ラチェット機構70は、トリガー20を開放位置又は閉鎖位置に向かって自由に移動できる自由位置まで移動できる。ラチェット機構のラチェット72は、ハンドル本体に位置決めされた一つ又はそれ以上の歯を含んでいてもよい。ばね負荷された対応する爪74をシャットルトリガー20に位置決めできる。爪74は、一つ又はそれ以上のラッチ位置を形成するラチェットの歯72と係合するように形成されていてもよい。例示のように、ラチェット72は多数の歯を有し、これによりエンドエフェクタアッセンブリの一杯に開放した位置と一杯に閉鎖した位置との間に漸次ラッチ位置が形成される。
【0032】
図9A及び
図9Dの参照を続行すると、爪74は、トリガー20に位置決めされた解放ボタン76、76’に作動的に連結されていてもよい。解放ボタン76、76’を押すことによって、爪74をラチェット72の歯から遠ざかる方向に移動し、トリガー20を自由に移動できるようにする。例えば、ラチェット機構70がラッチ位置にある状態で解放ボタン76、76’を押すことにより、トリガー20を開放位置に移動できる。更に、幾つかの場合では、ばね負荷された爪をラチェットと係合することなく、トリガーが開放位置から閉鎖位置まで自由に移動できるのが望ましい。かくして、閉鎖位置に向かうトリガーの作動中、解放ボタン76、76’を押すことができる。所望であれば、こうした閉鎖作動中にラチェットと係合するように、解放ボタンに作用する圧力を取り除くことができる。
【0033】
図9A及び
図9Dの参照を続行すると、望ましくは、解放ボタン76、76’をトリガー20の作動面に位置決めしてもよい。例示の実施例では、解放ボタン76は、シャットルトリガー20の第2作動面即ち上作動面に位置決めされる。例示のように、使用者は、トリガー20を開放形態に向かって移動するため、上作動面を自然に押圧する。かくして、有利には、解放ボタン76、76’がこのように配置されているため、エンドエフェクタアッセンブリを開放するのが望ましい場合、自由位置へのラチェット機構の解放を容易にする。解放ボタン76、76は、爪74がラチェット72の歯と係合する方向に向かって押圧されるように押圧されていてもよい。例えば、爪74をラチェット72の歯と係合するように押圧するコイルばね78、78’等の押圧部材がトリガー20及び解放ボタン76、76’に当接していてもよい。
【0034】
この係合解除を行うことができるように解放ボタン76、76’をトリガー20の上作動面に連結するため、様々なアッセンブリを使用してもよい。例えば、
図9Aに示すハンドルアッセンブリ12’の実施例では、解放ボタン76はトリガー20に摺動自在に連結されている。例示の摺動自在の連結には、解放ボタン76に形成されたスロット内で摺動するトリガー20に連結されたポスト即ちピンが含まれるが、他の実施例では、他の摺動アッセンブリが考えられる。
図9Dに示すハンドルアッセンブリ12’の実施例では、解放ボタン76は、トリガー20の上作動面の遠位隅部のところにある枢動点を中心としてトリガー20に枢着されている。
【0035】
図9A乃至
図9Dを参照すると、手術器具の特定の実施例では、ハンドルアッセンブリ12’は、全体に長さ方向に延びているけれども、多数の手術器具を単一の手術ポート内に位置決めできる性能を大幅に損なうことなく、使用者に対する人間工学的効果を高める湾曲したグリップ部分を含む。かくして、有利には、幾つかの実施例では、ハンドルアッセンブリ12’は、僅かに非対称であってもよく、大きさを実質的に大きくすることなく、使用者に対する快適性を改善する。更に、手術器具の特定の実施例に関して本明細書中に論じた様々な特徴を、ハンドルアッセンブリの様々な実施例で組み合わせることができる。例えば、
図9Bは、ラチェット機構がないハンドルアッセンブリ12’を示し、
図9Cは、
図7に関して上文中に論じた実施例と同様に二つの回転機構及び二つの対応する回転自在のノブ17、27を持つ角度をなした細長いシャフトで使用するためのラチェット機構がないハンドルアッセンブリ12’を示す。これは、特定の手術器具、例えばハサミ及び解剖器は、ラチェットを使用せずに使用できるが、例えばグラスパー等の他の器具は、有利には、ラチェット機構を含んでいてもよい。
図9B及び
図9Cの実施例では、ハンドルアッセンブリ12’は、製造効率及びラチェット機構を含む他の器具との部品の共通性を提供するためラチェット歯を含む。ラチェット機構がない手術器具の他の実施例では、ハンドルアッセンブリにはラチェット歯が設けられていなくてもよい。
図9Dは、人間工学的に湾曲したグリップ部分を持つハンドルアッセンブリ12’及びラチェット機構70を持ち、電気コネクタが設けられていないハンドルアッセンブリ12’を示す。本願の範囲内の手術器具の様々な他の実施例において、本明細書中に論じた特徴のこの他の様々な組み合わせを行うことができると考えられる。
【0036】
図9A及び
図9Bを参照すると、特定の実施例において、作動シャフト26への電気コネクタ11’の電気接続部は、導電性ワイヤ15又は導電性ばね15’等の導電性部材を含んでいてもよい。幾つかの実施例では、導電性部材は、電気コネクタ11’と作動ロッド26とを電気的に接触し、エンドエフェクタアッセンブリの開放位置からエンドエフェクタアッセンブリの閉鎖位置までの作動ロッド26の作動サイクルに亘って電気コネクタ11’及び作動ロッド26との電気的接触を維持する大きさを備えている。
【0037】
図10を参照すると、リンク機構を持つハンドルアッセンブリ別の実施例が示してある。例示の実施例では、器具のエンドエフェクタアッセンブリの開閉は、スロットが設けられたトリガー20’及びデバイスの作動シャフト26に連結されたピン80によって行うことができる。ピン80は、トリガー20内のスロット82内で移動し、このスロットによって拘束される。シャットルトリガー20をいずれかの方向に押すことによって、ピン80及び連結された作動シャフト26はトリガー20のスロットの輪郭に従って器具のエンドエフェクタアッセンブリを開閉する。
【0038】
図11を参照すると、幾つかの実施例では、手術器具のエンドエフェクタアッセンブリ16の開閉は、生理食塩水、鉱油、又はゲル等の非圧縮性流体100が提供する液圧作用によって行うことができる。流体はハンドル90の内部に蓄えられていてもよく、移動自在のハンドル102に連結された小径のピストン92を引っ張ることによって移動される。流体の移動によって発生した圧力により、作動シャフトに連結された大径のピストンを押す。作動シャフトは器具のジョーに連結されており、ジョーを閉鎖する。液圧回路は、適当な位置で、ガスケット或いはO−リング等の他のシール104でシールされている。使用者が小さな力を入力することにより作動シャフトに高い引張力を発生するため、非圧縮性流体が使用される。ハンドル内の力増倍率(force multiplier)は、ピストンの面積比に等しい。液圧作用により、ハンドルは適当なジョー作動力を送出でき、外科医の手のひらにフィットする小さくコンパクトな形態に設計できる。更に、ハンドルは、作動ロッドを押して器具のジョーを閉鎖するように設計することができる。ハンドルは、更に、器具のジョーを開放形態に戻す圧縮ばね106を含んでいてもよい。
【0039】
幾つかの実施例では、排煙チャンネル/経路が器具の設計に追加されていてもよい。真空ラインを取り付けることができるコネクタがハンドルに追加されていてもよい。コネクタは、ハンドル又はシャフトの頂部に配置されていてもよい。電気手術中に発生する煙は、器具のシャフトに引き込まれ、シャフト又はハンドルのコネクタを通して排出される。器具は、別の態様では、電気手術中に発生した煙をシャフトを通して逃がすことができる手動式のバルブを備えたベントキャップを含む。
【0040】
臨床的使用中、先ず最初に、体壁を通してトロカール又はゲルポイントTM等のアクセスデバイスを配置し、体壁を横切る開口部を形成する。次いで、器具の遠位端が体壁の開口部を越えて延び、手術部位と隣接して位置決めされるまで、器具をアクセスデバイスのシールを通して挿入する。次いで、グラスパー/解剖器ジョー又はハサミを使用し、シャットルトリガーを押すことによって組織を操作し又は切断する。
【0041】
幾つかの実施例では、新規な器具の製造方法は、プラスチック製構成要素の射出成形及び金属製構成要素の機械加工及び鋳造である。
【0042】
本願は、特定の好ましい実施例及び例を開示するが、本発明には、特定の開示の実施例のみならず他の変形例も含まれ、及び/又は発明の使用及びその明らかな変形及び等価物が含まれるということは当業者には理解されよう。更に、これらの発明の様々な特徴は、単独で使用されてもよいし、上文中に明白に説明したようにこれらの発明の他の特徴と組み合わせて使用されてもよい。かくして、本明細書中に開示した本発明の範囲は、上文中に説明した開示の特定の実施例に限定されず、以下の特許請求の範囲を正当に読むことのみによって決定されるべきである。