(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
判定対象の受信信号から所定長のシンボル期間のサンプルを、上記シンボル期間の整数倍の長さからなる単位検出期間内において複数に亘り時系列的にLステップ(Lは2以上の整数)に亘り順次シフトさせて抽出し、その抽出したサンプル毎に、予め規定した参照シーケンスとの間で相関値を求め、かかる処理をK個(Kは2以上の整数)の単位検出期間において繰り返し実行するスライディング相関演算手段と、
上記各ステップについて、全ての単位検出期間の間でサンプルの相関値の平均を求めるステップ毎平均演算手段と、
上記ステップ毎平均演算手段により上記ステップ毎に求められた相関値の平均について、更に全ての上記ステップの間で平均を求める相関平均演算手段と、
上記相関平均演算手段により算出されたステップの間の相関値の平均と、予め設定した閾値とを比較することにより、上記受信信号が所望の信号であるか否かを判定する判定手段とを備えること
を特徴とする受信信号判定装置。
【背景技術】
【0002】
アナログテレビからデジタルテレビへの移行に伴い、ある程度の周波数が開放されてそれらの周波数帯域が移動通信に使用されるようになっている。特に、新しい通信サービスや様々なアプリケーションが次々に実用化されている昨今において、この無線帯域の割り当ては細分化され、複雑なものとなっている。このようにして割り当てられた各通信サービスが無線帯域において混在している中で、更に新たな通信サービスをこの無線帯域に割り当てるのは徐々に困難になりつつある。
【0003】
このため、近年においてTV White Space(TVWS)を利用した無線通信ネットワークの標準化が進められており、IEEE802標準がTVWSにおいて共存するための手法の標準化も進められている。このため、これら異なるIEEE802標準の通信システムを同じ周波数帯においていかに共存させるかが特に重要になり、特に最近における無線通信機会の飛躍的な増大に伴い、その重要性はより増している。
【0004】
また、このTVWSでは、実際にライセンスフリーで自由に使用できるTV帯域がより広く存在している。特に免許不要で運用可能な無線通信規格としては、上述したIEEE802に加え、ECMA、IEEE SCC41等が検討されているが、これらの規格では、テレビ放送業者をファーストユーザとしている。そしてファーストユーザがTV帯域を用いて放送を行っていない場合に限り、当該TV帯域をセカンダリユーザによる無線通信のために開放する。これにより、TV帯域の効率な利用を促進することが可能となる。
【0005】
セカンダリユーザが実際にTV帯域において通信の開始を望む場合には、先ず当該TV帯域をファーストユーザが使用しているか否かを判別する必要がある。そしてファーストユーザがTV帯域を使用していないことを判別した場合に、初めてセカンダリユーザがTV帯域を使用して通信を行うことができる。実際にその判別を行うためには、TV帯域における現時点でのTV信号の有無を判別するための技術が必要とされる。
【0006】
従来におけるTV信号の有無を判別するための受信信号判定装置は、特に欧州等のディジタルTV規格であるDVB−Tにおいて、非特許文献1に示す技術が開示されている。この非特許文献1の開示技術は、TV信号に応じた参照シーケンスを予め設定し、その設定した参照シーケンスを参照することで、受信信号がTV信号であるか否かを判別するものである。実際には、判別対象の受信信号と参照シーケンスとの間で相関値を求め、求めた相関値に基づいてTV信号の有無を判別する。特にこの非特許文献1には、相関値を取得する前に、周波数オフセット見積りと信号電力平坦化とを行うことで、相関値そのものの信頼性を向上させる方法が記載されている。
【0007】
また、従来においては例えば特許文献1に示す技術も提案されている。当該技術では、あくまで処理時間の短縮化、低コスト性を維持しつつ、非常に低いパワーレベルのTV信号を低SNRにおいて検知することを目的とした、新しいスライディング相関の方法を見出したものである。
【0008】
なお、これらの特許文献1の開示技術が提案される以前から、参照シーケンスとの間で求めた相関値を利用してTV帯域における現時点でのTV信号の有無を判別する方法は既に一般化されている。
【0009】
図11は、従来における一般的な受信信号判定装置7の例を示している。この受信信号判定装置7は、TVチャンネルBPF71と、特定帯域抽出フィルタ72と、ベースバンド変換部73と、ADコンバータ(ADC)74と、時間オフセット補正部75と、周波数オフセット補正部76と、バッファ77と、相関部78と、バッファ79と、平均化部80と、判定部81とを備えている。
【0010】
この受信信号判定装置7は、判定対象として受信した受信信号を先ずTVチャンネルBPF71において所望の通過帯域へとフィルタリングし、特定帯域抽出フィルタ72において更に狭い特定通過帯域へとフィルタリングする。これにより受信信号の判定をする上で必要の無い帯域を実質的にカットすることができる。そして、この受信信号は、ベースバンド変換部73においてベースバンド帯域の信号に周波数変換され、ADC74においてアナログデジタル変換が施され、更に時間オフセット補正部75において後述する参照シーケンスに対して時間差が無いよう補正され、周波数オフセット補正部76において、周波数オフセットが補正される。
【0011】
これらの処理を経た受信信号はバッファ77において一時的に格納された後、相関部78において参照シーケンスとの間で相関値が求められる。
図12は、この受信信号を時系列的に表示したものである。受信信号は、1OFDMシンボルの長さTからなるサンプルrxを順次抽出する。このサンプルrxは、それぞれ時間的にずらして、rx
1、rx
2、・・・、rx
kを順次抽出するが、このサンプルrxの間隔はΔτの分だけ互いに離間させて抽出することを前提としている。この間隔Δτは必ずしも同一の間隔である必要はなく、それぞれ図中に示すΔτ
1、Δτ
2、・・・、Δτ
k-1と互いに異なる間隔であってもよい。ちなみに、このサンプルの抽出全期間は、kT+ΣΔτ
iで表される。
【0012】
このようにして抽出された各サンプルは、相関部78において参照シーケンスとの間で相関値が求められる。そして、求められた相関値はバッファ79において一時的に格納され、平均化部80において平均化される。
【0013】
ここでそれぞれのサンプルrx
1、rx
2、・・・、rx
kについての相関値をRx
1、Rx
2、・・・、Rx
kとした場合、平均化部80において求められる相関値の平均値は以下式によって求められる。
【0014】
【数1】
【0015】
即ち、相関値をRx
1、Rx
2、・・・、Rx
kの絶対値の総和を、サンプル数kで除したものを相関値の平均とするものである。
【0016】
判定部81は、この平均化部80において求められた相関値の平均値を、予め設定した閾値とを比較する。そして、この閾値より大きい場合には、受信信号がTV信号である旨を、また閾値以下の場合には、受信信号がTV信号でない旨を判別することが可能となる。
【0017】
図13は、従来における他の受信信号判定装置8の例を示している。受信信号判定装置8は、スライディング相関を用いて受信信号がTV信号であるか否かを判定するものであり、TVチャンネルBPF71と、特定帯域抽出フィルタ72と、ベースバンド変換部73と、ADコンバータ(ADC)74と、時間オフセット補正部75と、周波数オフセット補正部76と、バッファ77と、平均化部91と、スライディング相関部92と、バッファ79と、平均化部92と、絶対値計算部93と、ピーク検出部94と、判定部81とを備えている。
【0018】
この受信信号判定装置8は、TVチャンネルBPF71〜バッファ77において、上述した受信信号判定部8と同様の処理を行う。平均化部91は、このバッファ77に格納した受信信号について平均化処理を施す。そして、このスライディング相関部92においては、以下に説明するスライディング相関処理を行う。
図14は、受信信号を時系列的に表示したものである。受信信号は、1OFDMシンボルの長さTからなるサンプルrx
i(j)を順次抽出する。このサンプルrx
i(j)の抽出は、最初のシンボル期間Tの2倍の長さからなる単位検出期間内において、rx
1(1)、rx
2(1)、rx
3(1)、・・・、rx
k(1)のサンプルを抽出する。このサンプル抽出は、互いに時間軸上において重複するようにして抽出する。
図14の例では、サンプル間の抽出時間差がτ
1、τ
2、・・・、τ
k-1とされおり、最初のサンプルrx
1(1)から最後のサンプルrx
k(1)までの抽出時間差はΣτ
iである。すなわち、このスライディング相関については、サンプルの抽出開始時を複数ステップに亘りシフトさせて抽出を行うものである。最初の単位検出期間内においてサンプルの抽出を行った後、その次に続く単位検出期間においても同様にサンプルの抽出を行う。このようなサンプル抽出処理を、最後の単位検出期間に至るまで行う。
【0019】
このようにして抽出された各サンプルは、スライディング相関部92において参照シーケンスとの間で相関値が求められる。そして、求められた相関値はバッファ79において一時的に格納され、平均化部93において平均化される。
【0020】
ここでそれぞれのサンプルrx
1(1)、rx
2(1)、・・・rx
L(1),rx
1(2)、rx
2(2)、・・・rx
L(2),・・・,rx
1(k)、rx
2(k)、・・・rx
L(k))についての相関値をRx
1(1)、Rx
2(1)、・・・Rx
L(1),Rx
1(2)、Rx
2(2)、・・・Rx
L(2),・・・,Rx
1(k)、Rx
2(k)、・・・Rx
L(k)とした場合、平均化部93において求められる相関値の平均値は以下式によって求められる。
【0021】
【数2】
【0022】
これらの式の意味するところは、最初に相関値Rx
1(1)、Rx
1(2)、Rx
1(3)、・・・・Rx
1(L)について平均を求める。次に相関値Rx
2(1)、Rx
2(2)、Rx
2(3)、・・・・Rx
2(L)について平均値を求める。同様にしてRx
i(j)(j=1、2、・・・L)におけるiを変化させてkに至るまで平均をそれぞれ求める。絶対値計算部94において、上述した式に基づいて、求めた平均値の絶対値をそれぞれ求める。次にピーク検出部95において、求めた平均値の絶対値の中から以下の式によって最も大きな値を特定する。
【0023】
【数3】
【0024】
その最も大きな値をRx
max値とする。最後に判定部81においてRx
max値と、予め設定した閾値とを比較することで、受信信号がTV信号であるか否かを判別する。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0038】
図1は、本発明を適用した第1の実施形態としての受信信号判定装置1のブロック構成例を示している。この受信信号判定装置1は、判定対象としての無線信号を受信するTVチャンネルBPF11と、このTVチャンネルBPF11に接続されたベースバンド変換部12と、ベースバンド変換部12に接続されたADコンバータ(ADC)13と、ADC13にそれぞれ接続されてなる時間オフセット補正部14及び周波数オフセット補正部15と、これら時間オフセット補正部14及び周波数オフセット補正部15にそれぞれ接続されたバッファ16と、バッファ16に接続された選択スライディング相関部17と、選択スライディング相関部17に接続されたバッファ18と、バッファ18に接続された絶対値計算部19と、絶対値計算部19に接続された平均値計算部20と、平均値計算部20に接続された判定部21とを備えている。
【0039】
TVチャンネルBPF11は、判別対象としての受信信号を受信した場合において、所定の周波数帯域に通過特性を有するRF信号を入力として受け入れるものである。即ち、TVチャンネルBPF12は、受信信号を上記所定の周波数帯域にフィルタリングするための帯域通過フィルタとして構成される。ちなみに、その帯域幅は、それぞれのTV信号における規格に応じて、例えば、6MHz、7MHz、8MHz等に設定されているものであってもよい。TVチャンネルBPF11は、上述した処理を施した受信信号をベースバンド変換部12へと出力する。
【0040】
ベースバンド変換部12は、TVチャンネルBPF11から供給されてくるRF信号としての受信信号についてベースバンド帯域の信号に周波数変換する。このベースバンド変換部12は、TVチャンネルBPF11に入力されるRF信号が、伝送のために変調された信号になっていることに対応して行うものであるが、これを設けることは必須ではなく、以降の信号処理をRF帯域で行うようにしてもよいことは勿論である。
【0041】
ADC13は、入力されたアナログ信号としての受信信号を所定の周波数でサンプリングし、デジタル信号に変換するものである。このADC13によりAD変換を行うことにより、以降の信号処理、特に時間オフセット補正部14における処理を効率的行うことが可能となる。
【0042】
時間オフセット補正部14は、後述する選択スライディング相関部17における参照シーケンスとの間における相関算出動作の前段階として、当該参照シーケンスとの時間差(時間オフセット)を取り除くようにして、デジタル信号からなる受信信号をタイムシフトさせることにより補正するものである。この時間オフセット部14により、デジタル信号としての受信信号は、参照シーケンスに対して時間差が無くなるように補正される。これにより、後述する選択スライディング相関部17における相関値の算出結果は、時間オフセットを行わない場合と比較してより大きな値となり、S/N比の観点からもより検出、判定に適したものとなる。
【0043】
周波数オフセット補正部15は、ADC13から入力されてくる受信信号について周波数オフセットを補正するものである。即ち、受信信号は、TVチャンネルBPF11により受信されるまでの間に、無線により空中を伝搬されるものであるから、その周波数成分がその伝搬過程において何らかの影響を受けている可能性もある。このため、この周波数オフセット補正部15により行われる周波数オフセットを施すことにより、後述する選択スライディング相関処理を行う際に、より計算精度を向上させることが可能となる。
【0044】
時間オフセット補正部14、周波数オフセット補正部15の各処理は双方行わないものであってもよいし、何れか一方のみ行うものであってもよいし、双方行うものであってもよい。
【0045】
図2は、かかる周波数オフセット補正部15のブロック構成例を示している。周波数オフセット部15は、FFT部41と、FFT部41に接続された周波数オフセット見積り部45及びバッファ42と、バッファ42及び周波数オフセット見積り部45に接続された周波数補正部43と、周波数補正部43に接続された逆FFT部とを有している。
【0046】
FFT部41は、ADC13から入力された受信信号に対して高速フーリエ変換(FFT)を施し、周波数軸上のスペクトラム情報に変換する。バッファ42は、FFT部41から出力されてくる情報をバッファリングする。また周波数オフセット見積り部45は、FFT部41から与えられたスペクトラム情報を所定の周波数情報と比較してマッチングを行い、FFT部41から与えられたスペクトラム情報の周波数オフセットを見積もる。ここでマッチングを行う所定の周波数情報とは、判別対称信号が例えばDVB−Tのような信号において定められているOFDM方式の各サブキャリアについての周波数情報である。
【0047】
この周波数オフセット見積り部45による見積りで得られた主端数オフセットに関する情報は、周波数補正部43に送信される。周波数補正部43は、周波数オフセット見積り部45から供給されてくる周波数オフセットの見積り値に基づいて、周波数軸上で周波数オフセットを補正する。逆FFT部44は、周波数補正部43から供給されてくる信号を時間領域の信号に変換し、これをバッファ16へと出力する。
【0048】
バッファ16は、時間オフセット補正部14により上述した時間オフセットが施された受信信号、又は周波数オフセット補正部15により上述した周波数オフセットが施された受信信号が供給される。このバッファ16は、これら供給された受信信号を一時的に格納する。
【0049】
選択スライディング相関部17は、このバッファ16に格納されている受信信号を読み出し、後述する選択スライディング相関処理を行う。この選択スライディング相関部17は、読み出した受信信号と、参照シーケンスとの間で相関値を算出するものである。ここで読み出した受信信号と、参照シーケンスとは、既に時間オフセット補正部14による働きにより、それらの間における時間オフセットがほぼ補正された状態となっている。ちなみに、この選択スライディング相関部17は、上述した時間オフセット補正部15において見積もられた範囲に基づいて、計算範囲を決めるようにしてもよい。この選択スライディング相関部17により求められた相関値は、バッファ18において一時的に格納される。
【0050】
絶対値計算部19は、このバッファ18から相関値を読み出して、その絶対値を計算する。絶対値計算部19により計算された相関値の絶対値は、平均値計算部20へと送られる。平均値計算部20は、その相関値の絶対値について平均値を計算する。これら絶対値計算部19、平均値計算部20による処理の詳細は後述する。
【0051】
判定部21は、平均値計算部20により求められた相関値の平均値を、予め設定した閾値とを比較する。そして、この閾値より大きい場合には、受信信号がTV信号である旨を、また閾値以下の場合には、受信信号がTV信号でない旨を判別する。
【0052】
次に、上述の如き構成からなる第1の実施形態としての受信信号判定装置1の動作について説明をする。
【0053】
先ず判定対象として受信した受信信号を先ずTVチャンネルBPF11において所望の通過帯域へとフィルタリングする。これにより受信信号の判定をする上で必要の無い帯域を実質的にカットすることができる。そして、この受信信号をベースバンド変換部12においてベースバンド帯域の信号に周波数変換し、ADC13においてアナログデジタル変換を施す。そして、このデジタル信号としての受信信号を時間オフセット補正部14において参照シーケンスに対して時間差が無いよう補正し、周波数オフセット補正部15において上述した周波数オフセット処理を施す。ちなみに、時間オフセット補正部14、周波数オフセット補正部15における各処理は、何れか一方のみを行うようにしてもよい。
【0054】
次にこれらオフセット処理が施された受信信号を一時的にバッファ16に記憶させた後、選択スライディング相関部17による選択スライディング相関処理を行う。
【0055】
選択スライディング相関処理では、
図3に示すように、受信信号は、1OFDMシンボルの長さTからなるサンプルrx
iを順次抽出する。このサンプルrx
iの抽出は、最初のシンボル期間Tの2倍(整数倍であってもよい)の長さからなる単位検出期間内において、rx
1、rx
2、rx
3、・・・、rx
kのサンプルを抽出する。このサンプル抽出は、互いに時間軸上において重複するようにして抽出する。
図3の例では、サンプル間の抽出時間差がτ
1、τ
2、・・・、τ
k-1とされおり、最初のサンプルrx
1から最後のサンプルrx
kまでの抽出時間差はΣτ
iである。すなわち、このスライディング相関については、サンプルの抽出開始時を複数ステップに亘りシフトさせて抽出を行うものである。
【0056】
ちなみに、この第1の実施形態では、あくまで一つの単位検出期間内においてサンプルの抽出を行うことを前提としている。そして一つの単位検出期間においてサンプル検出が終わった場合には、サンプル抽出処理を終了する。
【0057】
このようにして抽出された各サンプルは、選択スライディング相関部17において参照シーケンスとの間で相関値が求められる。ここでそれぞれのサンプルrx
1、rx
2、・・・、rx
kについての相関値をRx
1、Rx
2、・・・、Rx
kとする。次に、この算出した相関値において絶対値計算部19において絶対値を求める。その結果、相関値の絶対値|Rx
1|、|Rx
2|、・・・、|Rx
k|が得られることとなる。
【0058】
次に平均値計算部20において、これら相関値の絶対値の平均を求める。その平均値は具体的には下記の式により求められる。
【0060】
最後にこの求めた|Rx
i|の平均値を、閾値との間で比較を行う。
【0061】
上述した構成からなる本発明を適用した第1の実施形態においては、判定対象の受信信号から所定長のシンボル期間のサンプルを、単位検出期間内において複数に亘り時系列的に順次シフトさせて抽出し、その抽出したサンプル毎に、参照シーケンスとの間で相関値を求める。そして、求めたサンプル毎の相関値の平均を求め、当該平均と、予め設定した閾値とを比較することにより、受信信号が所望の信号であるか否かを判定する。
【0062】
これにより、相関値の最大値に基づいて受信信号を判定する従来技術と比較して、本発明は相関値の平均値に基づいて判定を行うため、判定精度をより向上させることが可能となる。
【0063】
図4は、本発明を適用した第2の実施形態としての受信信号判定装置2のブロック構成例を示している。この受信信号判定装置2は、上述したTVチャンネルBPF11と、ベースバンド変換部12と、ADC13と、時間オフセット補正部14及び周波数オフセット補正部15と、バッファ16と、選択スライディング相関部17と、バッファ18とを備え、更にこのバッファ18に接続された平均化部31と、平均化部31に接続された絶対値計算部19と、平均値計算部20と、判定部21とを備えている。
【0064】
この第2の実施形態において、上述した第1の実施形態と同一の構成要素については、同一の符号を付すことにより、以下での説明を省略する。
【0065】
平均化部31は、バッファ18において記録されている相関値について後述する平均化処理を施すものである。この平均化部31は、かかる相関値の平均を計算した後、これを絶対値計算部へと出力する。
【0066】
次に、上述の如き構成からなる第2の実施形態としての受信信号判定装置2の動作について説明をする。
【0067】
TVチャンネルBPF11による通過帯域へとフィルタリング、ベースバンド変換部12によるベースバンド帯域の信号に周波数変換、ADC13によるアナログデジタル変換、時間オフセット補正部14による参照シーケンスに対する時間差が無いような補正、周波数オフセット補正部15による各処理、バッファ16による格納処理は、上述した第1の実施形態の動作と同一である。
【0068】
次に選択スライディング相関処理では、
図5に示すように、1OFDMシンボルの長さTからなるサンプルrx
i(j)を順次抽出する。このサンプルrx
i(j)の抽出は、最初のシンボル期間Tの2倍の長さからなる単位検出期間内において、rx
1(1)、rx
2(1)、rx
3(1)、・・・、rx
k(1)のサンプルを抽出する。このサンプル抽出は、互いに時間軸上において重複するようにして抽出する。
図5の例では、サンプル間の抽出時間差がτ
1、τ
2、・・・、τ
k-1とされおり、最初のサンプルrx
1(1)から最後のサンプルrx
k(1)までの抽出時間差はΣτ
iである。すなわち、このスライディング相関については、サンプルの抽出開始時を複数ステップに亘りシフトさせて抽出を行うものである。最初の単位検出期間内においてサンプルの抽出を行った後、その次に続く単位検出期間においても同様にサンプルの抽出を行う。このようなサンプル抽出処理を、最後の単位検出期間に至るまで行う。
【0069】
このようにして抽出された各サンプルは、選択スライディング相関部17において参照シーケンスとの間で相関値が求められる。そして、求められた相関値はバッファ18において一時的に格納され、平均化部31において平均化される。
【0070】
ここでそれぞれのサンプルrx
1(1)、rx
2(1)、・・・rx
L(1),rx
1(2)、rx
2(2)、・・・rx
L(2),・・・,rx
1(k)、rx
2(k)、・・・rx
L(k))についての相関値をRx
1(1)、Rx
2(1)、・・・Rx
L(1),Rx
1(2)、Rx
2(2)、・・・Rx
L(2),・・・,Rx
1(k)、Rx
2(k)、・・・Rx
L(k)とした場合、平均化部31において求められる相関値の平均値は以下式によって求められる。
【0072】
これらの式の意味するところは、最初に相関値Rx
1(1)、Rx
1(2)、Rx
1(3)、・・・・Rx
1(L)について平均を求める。次に相関値Rx
2(1)、Rx
2(2)、Rx
2(3)、・・・・Rx
2(L)について平均値を求める。同様にしてRx
i(j)(j=1、2、・・・L)におけるiを変化させてkに至るまで平均をそれぞれ求める。これらの平均の算出は、平均化部31において実行する。その結果、この平均化部31では、Rx
1の平均値、Rx
2の平均値、Rx
3の平均値、・・Rx
iの平均値がそれぞれ求められる。
【0073】
また、絶対値計算部19において上述した式に基づいて、求めた平均値の絶対値をそれぞれ求める。その結果、この絶対値計算部19では、Rx
1の平均値の絶対値、Rx
2の平均値の絶対値、Rx
3の平均値の絶対値、・・Rx
kの平均値の絶対値がそれぞれ求められる。
【0074】
次に平均値計算部20において、絶対値計算部19において計算されたRx
1の平均値の絶対値、Rx
2の平均値の絶対値、Rx
3の平均値の絶対値、・・Rx
kの平均値の絶対値について、更にこれらの平均を以下の式によって求める。
【0076】
即ち、この第2の実施形態においては、所定長のシンボル期間のサンプルを、シンボル期間の整数倍の長さからなる単位検出期間内において複数に亘り時系列的にLステップ(Lは2以上の整数)に亘り順次シフトさせて抽出する。そして、その抽出したサンプル毎に、予め規定した参照シーケンスとの間で相関値を求め、かかる処理をK個(Kは2以上の整数)の単位検出期間において繰り返し実行する。そして、これらの全てのK個の単位検出期間の間で対応するステップ間でサンプルの相関値の平均を求める。次に、ステップ毎に求められた相関値の平均について、全てのLステップの間で平均を求める。
【0077】
そして最後に判定部21において、この求めた平均値を、閾値との間で比較を行う。
【0078】
図6は、本発明を適用した第3の実施形態としての受信信号判定装置3のブロック構成例を示している。この受信信号判定装置2は、上述したTVチャンネルBPF11と、ベースバンド変換部12と、ADC13と、時間オフセット補正部14及び周波数オフセット補正部15と、バッファ16と、バッファ16に接続された平均化部32と、平均化部32に接続された選択スライディング相関部17と、バッファ18と、絶対値計算部19と、平均値計算部20と、判定部21とを備えている。
【0079】
この第3の実施形態において、上述した第1の実施形態と同一の構成要素については、同一の符号を付すことにより、以下での説明を省略する。
【0080】
平均化部32は、バッファ16において記録されている受信信号について後述する平均化処理を施すものである。この平均化部32は、かかる平均を計算した後、これを選択スライディング相関部17へと出力する。
【0081】
次に、上述の如き構成からなる第3の実施形態としての受信信号判定装置3の動作について説明をする。
【0082】
TVチャンネルBPF11による通過帯域へとフィルタリング、ベースバンド変換部12によるベースバンド帯域の信号に周波数変換、ADC13によるアナログデジタル変換、時間オフセット補正部14による参照シーケンスに対する時間差が無いような補正、周波数オフセット補正部15による各処理、バッファ16による格納処理は、上述した第1の実施形態の動作と同一である。
【0083】
平均化部32は、
図7に示すように、単位検出期間からなる信号を切り出す。ちなみにこの単位検出期間は、所定長のシンボル期間の整数倍の長さからなるものであればいかなる長さで構成されていてもよい。次に平均化部32は、この切り出した単位検出期間について
図7に示すように平均値を求める。
【0084】
次に選択スライディング相関部17は、この平均化された単位検出期間内においてシンボル期間長のサンプルを、複数に亘り時系列的に順次シフトさせて抽出し、その抽出したサンプル毎に、予め規定した参照シーケンスとの間で相関値を求める。その詳細については、本発明の実施形態1と同一であることから、その説明を引用することにより以下での説明を省略する。
【0085】
また、選択スライディング相関部17より後段のバッファ18、絶対値計算部19、平均値計算部20、判定部21の各処理は、本発明の実施形態1と同様である。
【0086】
以上、実施形態2、3について、その構成と動作について説明をしたが、これらによっても相関値の平均値に基づいて判定を行うため、判定精度をより向上させることが可能となる。
【0087】
なお、本発明は、上述した実施形態1〜3に限定されるものではなく、以下に説明する実施形態4〜6により具現化されるものであってもよい。
【0088】
図8は、実施形態4のブロック構成を示している。この実施形態4は実施形態1の変形例としての受信信号判定装置1´である。
【0089】
受信信号判定装置1´は、上述したTVチャンネルBPF11と、ベースバンド変換部12と、ADC13と、時間オフセット補正部14及び周波数オフセット補正部15と、バッファ16と、選択スライディング相関部17と、バッファ18と、絶対値計算部19と、平均値計算部20と、判定部21とを備え、この絶対値計算部19と平均値計算部20との間には出力選択部35が設けられている。
【0090】
この受信信号判定装置1´は、受信信号判定装置1と同一の構成要素については同一の符号を付すことにより、以下での説明を省略する。
【0091】
出力選択部35は、この絶対値計算部19から出力される相関値の絶対値のうち、任意のもの、或いは所定の条件のものを選択する。この出力選択部35は、選択した相関値の絶対値のみを平均値計算部20へと送る。
【0092】
受信信号判定装置1であれば全ての相関値の絶対値について平均を求めていたのに対して、このような受信信号判定装置1´では、あくまで求めた相関値の絶対値について、その一部を選択し、これについて平均を求めるものである。
【0093】
図9は、実施形態5のブロック構成を示している。この実施形態5は実施形態2の変形例としての受信信号判定装置2´である。
【0094】
受信信号判定装置2´は、TVチャンネルBPF11と、ベースバンド変換部12と、ADC13と、時間オフセット補正部14及び周波数オフセット補正部15と、バッファ16と、選択スライディング相関部17と、バッファ18と、平均化部31と、絶対値計算部19と、平均値計算部20と、判定部21とを備え、絶対値計算部19と平均値計算部20との間には出力選択部35が設けられている。
【0095】
この受信信号判定装置2´は、受信信号判定装置2と同一の構成要素については同一の符号を付すことにより、以下での説明を省略する。
【0096】
受信信号判定装置2であれば全ての相関値の絶対値について平均を求めていたのに対して、このような受信信号判定装置2´では、あくまで求めた相関値の絶対値について、その一部を選択し、これについて平均を求めるものである。
【0097】
図10は、実施形態6のブロック構成を示している。この実施形態6は実施形態3の変形例としての受信信号判定装置3´である。
【0098】
受信信号判定装置3´は、TVチャンネルBPF11と、ベースバンド変換部12と、ADC13と、時間オフセット補正部14及び周波数オフセット補正部15と、バッファ16と、平均化部32と、選択スライディング相関部17と、バッファ18と、絶対値計算部19と、平均値計算部20と、判定部21とを備え、絶対値計算部19と平均値計算部20との間には出力選択部35が設けられている。
【0099】
この受信信号判定装置3´は、受信信号判定装置3と同一の構成要素については同一の符号を付すことにより、以下での説明を省略する。
【0100】
受信信号判定装置3であれば全ての相関値の絶対値について平均を求めていたのに対して、このような受信信号判定装置3´では、あくまで求めた相関値の絶対値について、その一部を選択し、これについて平均を求めるものである。
【0101】
以上、説明した実施形態4〜6における処理は、以下の式により現される。
【0103】
ここでN≧1かつN≦kの整数であり、出力選択部35によって選択された相関値の絶対値の数を示している。またRx_sel(j)は、選択した相関値の絶対値を示している。
【0104】
上述した実施形態4〜6においても、実施例1〜3と同様の効果を奏することとなり、また出力選択部35で、相関値の絶対値について一部のみ選択するため、更に装置側における処理の負担を軽減させることも可能となり、装置そのもののコストパフォーマンスを向上させることも可能となる。