(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5791175
(24)【登録日】2015年8月14日
(45)【発行日】2015年10月7日
(54)【発明の名称】ロールペーパーホルダ
(51)【国際特許分類】
A47K 10/22 20060101AFI20150917BHJP
【FI】
A47K10/22 Z
【請求項の数】4
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2011-121228(P2011-121228)
(22)【出願日】2011年5月31日
(65)【公開番号】特開2012-245289(P2012-245289A)
(43)【公開日】2012年12月13日
【審査請求日】2014年2月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】000183462
【氏名又は名称】日本製紙クレシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100113022
【弁理士】
【氏名又は名称】赤尾 謙一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100110249
【弁理士】
【氏名又は名称】下田 昭
(74)【代理人】
【識別番号】100116090
【弁理士】
【氏名又は名称】栗原 和彦
(72)【発明者】
【氏名】川井 健造
【審査官】
藤脇 昌也
(56)【参考文献】
【文献】
登録実用新案第3098630(JP,U)
【文献】
米国特許第04762288(US,A)
【文献】
特開2005−137753(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47K 10/00 − 10/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロールペーパーの一端が載置されるベース部と、
前記ベース部の内面から突出して前記ロールペーパーの一端側の巻芯に挿入される下側ロールペーパー保持部と、
前記ロールペーパーの軸方向に延び、自身の一端が前記ベース部に接続される本体部と、
前記本体部の他端に接続されて前記ロールペーパーの他端側に対向するトップ部と、
前記トップ部に接続されて前記ベース部側に向かって弾性変形可能に延び、前記ロールペーパーの他端側の巻芯に挿入される上側ロールペーパー保持部と、を備え、
前記軸方向に見て、前記本体部は前記ロールペーパー側に向かって凸状に湾曲し、
前記軸方向に見て、前記上側ロールペーパー保持部の先端から前記トップ部の内面までの長さが、前記下側ロールペーパー保持部の長さより長く、
前記軸方向を上下に向けつつ前記ベース部を下側にして設置されるロールペーパーホルダ。
【請求項2】
前記軸方向に沿って、前記上側ロールペーパー保持部の先端から前記トップ部の内面までの長さが、前記トップ部の内面と前記ベース部の内面との間隔の1/2以上である請求項1記載のロールペーパーホルダ。
【請求項3】
前記上側ロールペーパー保持部の先端を、前記軸方向に垂直な方向に30mm弾性変形させるときの応力が1〜6Nである請求項1又は2記載のロールペーパーホルダ。
【請求項4】
樹脂で一体成形されてなる請求項1〜3のいずれかに記載のロールペーパーホルダ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キッチンタオル等のロールペーパーを収納するロールペーパーホルダに関する。
【背景技術】
【0002】
ロール状に巻き取られたキッチンタオルはキッチンやリビングで広く使われている。このキッチンタオルは、壁面に取り付けられた略箱型のディスペンサーに収納され、タオルを引出してミシン目でカットして使用するようになっている。
又、キッチンタオルを横向き(ロールの軸を水平方向)にして2つ割りの半円筒状の容器内に収納した後に容器を閉じ、使用時に容器を開けてキッチンタオルを引き出すようにしたホルダが開発されている(特許文献1参照)。
さらに、キッチンタオルを縦向きにし、台座上に直立させた軸にタオルの巻芯を挿し込むスタンド型のホルダが開発されている(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−44361号公報
【特許文献2】実開昭62−66590号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、略箱型のディスペンサーは重く占有空間も大きいと共に、壁面にビス止めするなどの設置に手間がかかるという問題がある。
又、特許文献1記載のホルダは、ロールを横向きに容器内に設置しているため、タオルをミシン目でカットする方向が引出し方向と一致し、ロールをしっかりと押さえないとカットしにくいという問題がある。
一方、特許文献1記載のホルダの場合、タオルの巻芯を支える軸を台座にネジ止めする必要があり、キッチンタオルの取付けが面倒となる。又、種々の幅のキッチンタオルに対応することができず、1種類の幅のキッチンタオルを取り付けることしかできない。
すなわち、本発明は、キッチンタオル等のロールペーパーを縦置きにして設置スペースを低減すると共に、ロールペーパーのカットがし易く、ロールペーパーの取付けが容易なロールペーパーホルダの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するため、本発明のロールペーパーホルダは、ロールペーパーの一端が載置されるベース部と、前記ベース部の内面から突出して前記ロールペーパーの一端側の巻芯に挿入される下側ロールペーパー保持部と、前記ロールペーパーの軸方向に延び、自身の一端が前記ベース部に接続される本体部と、前記本体部の他端に接続されて前記ロールペーパーの他端側に対向するトップ部と、前記トップ部に接続されて前記ベース部側に向かって弾性変形可能に延び、前記ロールペーパーの他端側の巻芯に挿入される上側ロールペーパー保持部と、を備え、
前記軸方向に見て、前記本体部は前記ロールペーパー側に向かって凸状に湾曲し、前記軸方向に見て前記上側ロールペーパー保持部の長さが前記下側ロールペーパー保持部の長さより長く、前記軸方向を上下に向けつつ前記ベース部を下側にして設置される。
このような構成とすると、キッチンタオル等のロールペーパーを縦置きにして設置スペースを低減する。さらに、ロールペーパーを縦置きにすれば、引き出したペーパーを下方向に引いてミシン目で切断する形となるので切断力がペーパー上部に集中し、ロール端面に手を添えるだけで比較的小さな力で切断でき、ロールペーパーのカットがし易くなる。又、ロールペーパーの巻芯を下方向から上側ロールタオル保持部に挿入するだけでロールペーパーを容易に取付けることができる。
さらに、上側ロールタオル保持部はロールペーパーの巻芯によって外側(本体部と反対側)に広げられ、弾性力によって反発してロールペーパーの巻芯を本体部側に押圧するように撓む。その結果、上側ロールタオル保持部がロールペーパーの外面を本体部に押し付けるので、ロールペーパーをミシン目でカットする際にロールペーパーが回転し難く、ロールペーパーを押さえなくともカットがし易い。
又、この湾曲部がロールペーパーに接するので、ロールペーパーを押さえる効果が大きいと共に、使用によりロールペーパーが小径となっても確実にロールペーパーを湾曲部で押さえることができる。
【0007】
前記軸方向に沿って、前記上側ロールペーパー保持部の先端から前記トップ部の内面までの長さが、前記トップ部の内面と前記ベース部の内面との間隔の1/2以上であるとよい。
このような構成とすると、ロールペーパーホルダの上下方向の内面の間隔よりやや短い軸長を有するロールペーパーから、上側ロールタオル保持部の先端とベース部の内面との間隔よりやや軸長の長いロールペーパーまで、種々の軸長のロールペーパーを1つのロールペーパーホルダで取り付けることができる。
【0008】
前記上側ロールペーパー保持部の先端を、前記軸方向に垂直な方向に30mm弾性変形させるときの応力が1〜6Nであるとよい。
このような構成とすると、上側ロールペーパー保持部を撓ませ易いと共に、適度な弾性力でロールペーパーの外面を本体部に押し付けることができる。
【0009】
本発明のロールペーパーホルダが樹脂で一体成形されてなると、製造が容易となると共に、種々のデザインを採用できる。
【発明の効果】
【0010】
この発明によれば、キッチンタオル等のロールペーパーを縦置きにして設置スペースを低減すると共に、ロールペーパーのカットがし易く、ロールペーパーの取付けが容易なロールペーパーホルダが得られる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の実施形態に係るロールペーパーホルダの斜視図である。
【
図3】ロールペーパーホルダにロールペーパーを収納する(取り付ける)態様を示す図である。
【
図4】ロールペーパーをロールペーパーホルダに収納した状態を示す斜視図である。
【
図6】可倒式の下側ロールタオル保持部を示す部分側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明の実施形態に係るロールペーパーホルダ100の斜視図を示す。ロールペーパーホルダ100はABS樹脂等の樹脂を一体成形してなり、略板状のベース部10と、ベース部10の内面10aから上方に突出する略半円筒状の下側ロールタオル保持部15と、上下方向に細長く延び、自身の一端12aがベース部10に接続される略板状の本体部12と、本体部12の他端12bに接続される略台形状のトップ部14と、トップ部14に接続されてベース部10側に向かって弾性変形可能に延びる略板状の上側ロールタオル保持部16と、を備えている。
なお、後述するように、本発明においては、本体部12が延びる方向(上下方向)に、ロールペーパーの軸を沿わせて(縦向きに)ロールペーパーホルダ100に収納する。従って、本体部12が延びる方向(
図1の上下方向)を、「ロールペーパーの軸方向」とする。
【0013】
ここで、ベース部10とトップ部14とは、本体部12の同一面側からそれぞれ水平に突出するように接続され、側面から見たとき、ベース部10及びトップ部14が本体部12を挟んでコの字状をなしている(
図2参照)。又、上側ロールタオル保持部16は、トップ部14のうち本体部12に接続された部位と反対側に接続されている。従って、側面から見たとき、本体部12及び上側ロールタオル保持部16がトップ部14を挟んで逆Jの字状をなしている(
図2参照)。
さらに、この実施形態では、本体部12の上下方向の所定位置に取付穴12hが開口しており、この取付穴12hにゴム製の吸盤20がそれぞれ取り付けられている。そして、本体部12の長手方向を上下方向に向けた状態で、吸盤20を壁面等の垂直面に吸着させることで、ロールペーパーホルダ100を設置することができる。
【0014】
正面方向から見て、本体部12は上下方向の中央部12cで最も幅狭となっている。又、
図2に示すように、側面から見たとき、本体部12はロールペーパー側に向かって凸状に湾曲しており、上下方向の中央部12cが最もロールペーパーに近接し、端部12a、12bに向かってロールペーパーから離間している。
ベース部10は、本体部12から突き出す側の両端部が角を丸められた形状をなし、下側ロールタオル保持部15はベース部10からわずかに突出(この例では突出高さL5(
図2)が約10mm)している。
又、正面方向から見て、上側ロールタオル保持部16は先端16aが半円形となる細長い舌片状に形成されている。又、
図2に示すように、側面から見たとき、上側ロールタオル保持部16は、トップ部14から外側に膨らむ円弧状に立ち下がりつつ、本体部12の中央部12cに向かって湾曲し、先端16aがほぼ中央部12cに対向するようになっている。さらに、先端16aは本体部12側に向かって球状に膨らむ窪みとなっていて、後述するロールペーパーの巻芯に先端16aがスムースに接することが可能になっている。
なお、上下方向に沿って、上側ロールタオル保持部16の長さ(
図2のL1)は、下側ロールタオル保持部15の長さL5より長い。
【0015】
図2は、ロールペーパーホルダ100の側面図である。上下方向に沿い、上側ロールペーパー保持部16の先端16aからトップ部14の内面14aまでの長さL1が、トップ部14の内面14aとベース部10の内面10aとの間隔L2の1/2以上になっている。この理由については後述する。
又、上下方向に沿い、上側ロールタオル保持部16と下側ロールタオル保持部15とは間隔を有している。さらに、上側ロールタオル保持部16は本体部12に対して接近及び離間する方向(
図2の左右方向、矢印参照)に弾性変形可能である。
【0016】
次に、
図3を参照し、ロールペーパーホルダ100にロールペーパー200を収納する(取り付ける)態様について説明する。
まず、上側ロールタオル保持部16と下側ロールタオル保持部15との間に、ロールペーパー200の上端200aを斜めに入れ、ロールペーパー200の巻芯200cを上側ロールタオル保持部16の先端16aに挿入する(
図3(a))。このとき、上側ロールタオル保持部16が本体部12から離間するように弾性変形してロールペーパー200を挿入し易くする(
図3(a)の矢印)。
ロールペーパー200としては、紙管の周りにシートを巻回したコアロールと、紙管を用いずに中心までシートを巻回し、中心部分を空洞としたコアノンロールのいずれも用いることができる。
【0017】
次に、ロールペーパー200を上方に移動させて上側ロールタオル保持部16の根元まで(トップ部14の内面14aに当接するまで)巻芯200cを挿入する。このとき、ロールペーパー200の軸方向の長さ(軸長)L4が、間隔L2より短いため、ロールペーパー200の下端200bと下側ロールタオル保持部15との間に隙間Gが生じ、ロールペーパー200を垂直にすることができる(
図3(b))。
最後に、ロールペーパー200を下側に押し付け、ロールペーパー200の下端200b側の巻芯200cを下側ロールタオル保持部15に挿入すると、ロールペーパー200の下端200bがベース部10の内面10aに載置される(
図3(c))。
このようにして、
図4に示すように、ロールペーパー200をロールペーパーホルダ100に収納することができる。
【0018】
さらに、このとき、上側ロールタオル保持部16はロールペーパー200の巻芯200cによって外側(本体部12と反対側)に広げられ、弾性力によって反発してロールペーパー200の巻芯200cを本体部12側に押圧するように撓む(
図3(c)の矢印)。その結果、上側ロールタオル保持部16がロールペーパー200の外面を本体部12に押し付けるので、ロールペーパー200をミシン目でカットする際にロールペーパー200が回転し難く、ロールペーパー200を押さえなくともカットがし易い。特に、本体部12をロールペーパー側に向かって凸状に湾曲させると、この湾曲部(本実施形態では中央部12c)がロールペーパー200に接するので、ロールペーパー200を押さえる効果が大きいと共に、使用によりロールペーパー200が小径となっても確実にロールペーパー200を湾曲部で押さえることができる。
なお、上側ロールペーパー保持部16の先端16aを、水平方向(上下方向に垂直な方向)に30mm弾性変形させるときの応力が1〜6Nであると、上側ロールペーパー保持部16を撓ませ易いと共に、適度な弾性力でロールペーパー200の外面を本体部12に押し付けることができる。
【0019】
さらに、本体部12をロールペーパー側に向かって凸状に湾曲させると、この湾曲部(中央部12c)が本体部12の前方側に位置するので、本体部12全体の重心が前方に移動してベース部10の重心に近くなる。その結果、ベース部10を自立させてロールペーパーホルダ100を縦置きした場合に、ロールペーパーホルダ100を安定して立たせることができる。
【0020】
以上のように、本実施形態によれば、キッチンタオル等のロールペーパーを縦置きにして設置スペースを低減する。さらに、ロールペーパーを縦置きにすれば、引き出したペーパーを下方向に引いてミシン目で切断する形となるので切断力がペーパー上部に集中し、ロール端面に手を添えるだけで比較的小さな力で切断でき、ロールペーパーのカットがし易くなる。又、ロールペーパーの巻芯で下方向から上側ロールタオル保持部に挿入するだけでロールペーパーを容易に取付けることができる。
【0021】
又、本実施形態においては、長さL1が間隔L2の1/2以上になっている。つまり、ロールペーパーホルダ100の上下方向の内面の間隔L2よりやや短い軸長を有するロールペーパーから、上側ロールタオル保持部16の先端16aとベース部10の内面10aとの間隔L3よりやや軸長の長いロールペーパーまで、種々の軸長のロールペーパーを1つのロールペーパーホルダ100で取り付けることができる。
例えば、間隔L2を290mm程度とし、L1を170mm程度とすれば、通常使用される軸長9インチ(約225mm)〜11インチ(約275mm)までの種々のロールペーパーを取り付けることができる。
なお、
図3(c)において、上側ロールタオル保持部16の先端16aがロールペーパー200の巻芯200cを本体部12側に押圧することから、この押圧部分が本体部12の湾曲部(本実施形態では中央部12c)となるよう、先端16aと湾曲部(中央部12c)とを近接させるとよい。
【0022】
図5は、ロールペーパーホルダ100の底面図である。本実施形態では、下側ロールタオル保持部15の半円筒部を本体部12側に向けているので、この半円筒部をロールペーパー200の巻芯200cの内面に沿わせ、ロールペーパー200の回転をスムースにすることができる。
なお、
図6に示すように、ベース部10から突出する取付部10tに、ヒンジ35aで下側ロールタオル保持部35が軸支され、ベース部10に対して下側ロールタオル保持部35が可倒式に(
図6の矢印参照)取り付けられてもよい。この場合、ロールペーパー200の下端でロールタオル保持部35を本体部12側に押すとロールタオル保持部35が本体側に倒れるので、ロールペーパー200の巻芯200cに下側ロールタオル保持部35を容易に挿入することができ、挿入後には内蔵されたバネの作用により
図6に示す状態に復元しロールタオルを保持する。
【0023】
本発明は上記した実施形態に限定されず、本発明の思想と範囲に含まれる様々な変形及び均等物に及ぶことはいうまでもない。
例えば、吸盤20の代わりにマグネットやフック等を本体部12に取り付け、壁面等の垂直面の取付対象に本体部12を固定してもよい。又、ベース部10の下面に脚等を設け、ロールペーパー200の下端を接地面から離して汚れ等の付着を防止するようにしてもよい。
ロールペーパーホルダを一体成形する場合に用いる樹脂は、加工適性、強度、耐久性に応じて任意の種類のものを選択できるが、例えばポリプロピレン、ABS樹脂、メタクリル酸メチル樹脂、ポリカーボネートが挙げられる。
【符号の説明】
【0024】
10 ベース部
10a ベース部の内面
12 本体部
12a,12b 本体部の端部
14 トップ部
14a トップ部の内面
15,35 下側ロールペーパー保持部
16 上側ロールペーパー保持部
L1 上側ロールペーパー保持部の先端からトップ部の内面までの長さ
L5 下側ロールペーパー保持部の長さ
100 ロールペーパーホルダ
200 ロールペーパー
200a,200b ロールペーパーの端部
200c ロールペーパーの巻芯