特許第5791181号(P5791181)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5791181
(24)【登録日】2015年8月14日
(45)【発行日】2015年10月7日
(54)【発明の名称】蓋装置及び収納装置
(51)【国際特許分類】
   B60R 7/04 20060101AFI20150917BHJP
【FI】
   B60R7/04 C
【請求項の数】3
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2011-163471(P2011-163471)
(22)【出願日】2011年7月26日
(65)【公開番号】特開2013-28189(P2013-28189A)
(43)【公開日】2013年2月7日
【審査請求日】2014年7月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】000229955
【氏名又は名称】日本プラスト株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100062764
【弁理士】
【氏名又は名称】樺澤 襄
(74)【代理人】
【識別番号】100092565
【弁理士】
【氏名又は名称】樺澤 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100112449
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 哲也
(72)【発明者】
【氏名】岩崎 英功
【審査官】 常盤 務
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−087167(JP,A)
【文献】 特開2006−291510(JP,A)
【文献】 特開2010−162968(JP,A)
【文献】 実開昭50−048440(JP,U)
【文献】 特開2005−067313(JP,A)
【文献】 特開2004−203067(JP,A)
【文献】 実開昭61−163725(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 7/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口部の縁部に沿って設けられたガイド溝部に沿って移動可能で、かつ、前記開口部を閉塞する位置で受部に係止可能な蓋装置であって、
前記ガイド溝部に沿って移動することで前記開口部を開閉する蓋装置本体と、
この蓋装置本体から突設され前記ガイド溝部に挿入される挿入軸と、
前記開口部を閉塞する方向の最前部に位置する前記挿入軸から前記開口部を閉塞する方向に向けて突設され、前記開口部を閉塞する位置で前記ガイド溝部の端部に当接する弾性変形可能な弾性変形部と、
この弾性変形部が前記ガイド溝部の一部に圧接されて弾性変形することで前記受部を越えてこの受部に対して係合される係止部と
を具備したことを特徴とする蓋装置
【請求項2】
蓋装置本体の両側方に挿入軸が突設された請求項記載の蓋装置と、
開口部、少なくとも一部がこの開口部の縁部に沿って設けられ前記各挿入軸が挿入される一対のガイド溝部、及び前記蓋装置を係止する受部を備えた収納部と
を具備したことを特徴とする収納装置。
【請求項3】
納部はガイド溝部に突設され、蓋装置が開口部を閉塞する位置では挿入軸を前記ガイド溝部の端部との間で保持する保持凸部を備えている
ことを特徴とする請求項記載の収納装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガイド溝部に沿って摺動可能な蓋装置及びこれを備えた収納装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車の運転席と助手席との間に配設され、上面などに開口部を有する収納部としてのボックス本体及びこの収納部の開口部を開閉する蓋装置としての蓋体であるシャッタを備えた合成樹脂製の収納装置としてのコンソールボックスが知られている。そして、コンソールボックスは、シャッタを開口部に沿って摺動させることにより開口部を開閉するように構成されている。
【0003】
このようなコンソールボックスにおいて、シャッタは、平板状の蓋装置本体としてのシャッタ本体の両側に摺動軸がそれぞれ複数ずつ突設されて構成されており、これら摺動軸が収納部の開口部の両側縁部に沿って設けられたガイド溝部に挿入されることでシャッタが収納部に対して摺動可能となっている(例えば、特許文献1参照。)。そして、シャッタには、開口部を完全に閉塞した位置、すなわち全閉位置で、ボックス本体側の受部に係止されるロック部が備えられている。
【0004】
このようなコンソールボックスの場合、シャッタにより開口部が全閉されてロック部により係止された状態で、シャッタと、このシャッタの端部に対向するボックス本体との間に隙間があると、車両の走行などにより生じる振動によってがたつきが生じるため、シャッタの端部とボックス本体とは、隙間なく接触した状態、いわゆるゼロ当てにする必要がある。
【0005】
しかしながら、ロック部はその構造上、シャッタの全閉位置よりも僅かに閉塞方向へと移動(オーバーラップ)させた位置で受部と係合され、この係合の後にシャッタを全閉位置に戻す、いわゆるオーバーストローク動作が必要であるため、全閉位置でシャッタの端部と開口部の端縁部との隙間をなくす構造とすると、このオーバーストローク動作ができなくなり、ロック部と受部とを係合できなくなるという問題がある。
【0006】
そこで、開口部の端縁部に弾性変形可能な弾性部材を別途配置し、全閉位置でシャッタの端部とこの弾性部材とが当接して弾性部材が変形することにより上記のようなオーバーストローク動作を可能とし、シャッタをボックス本体に確実に係止するとともにがたつきを防止することが考えられる。しかしながら、このような構成の場合、弾性部材が別途必要になり、部品点数が増加して製造コストが増加するだけでなく、弾性部材が開口部から露出することで見栄えが低下するという問題がある。
【0007】
また、摺動軸を中空状の弾性構造とすることにより、車両の走行により発生する振動を摺動軸の弾性作用により吸収してシャッタのがたつきを防止した構成も知られている(例えば、特許文献2及び3参照。)。しかしながら、このような構成の場合、通常10mm以下に設定されることが多いガイド溝部内を摺動する摺動軸に弾性を付加するためには、極めて細い成形型の構造によって全ての摺動軸を中空状としなければならない。そして、そのような微細な型構造の場合、極めて高温かつ高圧の溶融樹脂を繰り返し射出する環境下にあっては耐久性を確保することが容易でなく、頻繁なメンテナンスなどに起因する生産性の低下及び管理費の向上が懸念される。また、成形型の耐久性を向上させようとすると、様々な補強が必要となり、補強のために別途シャフトなどを取り付けることも合わせて製造コストを抑制することが容易でない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2008−24099号公報 (第4−7頁、図1及び図2
【特許文献2】特開2002−87167号公報 (第2−3頁、図2及び図3
【特許文献3】特開2003−90186号公報 (第4−6頁、図4及び図5
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上述のように、製造コストを増加させることなくシャッタのがたつきを効果的に抑制し、かつ、見栄えが低下しない構成が望まれている。
【0010】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、がたつきを効果的に抑制し、見栄えが良好で、かつ、製造コストを抑制した蓋装置及びこれを備えた収納装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1記載の蓋装置は、開口部の縁部に沿って設けられたガイド溝部に沿って移動可能で、かつ、前記開口部を閉塞する位置で受部に係止可能な蓋装置であって、前記ガイド溝部に沿って移動することで前記開口部を開閉する蓋装置本体と、この蓋装置本体から突設され前記ガイド溝部に挿入される挿入軸と、前記開口部を閉塞する方向の最前部に位置する前記挿入軸から前記開口部を閉塞する方向に向けて突設され、前記開口部を閉塞する位置で前記ガイド溝部の端部に当接する弾性変形可能な弾性変形部と、この弾性変形部が前記ガイド溝部の一部に圧接されて弾性変形することで前記受部を越えてこの受部に対して係合される係止部とを具備したものである。
【0012】
求項記載の収納装置は、蓋装置本体の両側方に挿入軸が突設された請求項記載の蓋装置と、開口部、少なくとも一部がこの開口部の縁部に沿って設けられ前記各挿入軸が挿入される一対のガイド溝部、及び前記蓋装置を係止する受部を備えた収納部とを具備したものである。
【0013】
請求項記載の収納装置は、請求項記載の収納装置において、納部はガイド溝部に突設され、蓋装置が開口部を閉塞する位置では挿入軸を前記ガイド溝部の端部との間で保持する保持凸部を備えているものである。
【発明の効果】
【0014】
請求項1記載の蓋装置によれば、開口部を閉塞する位置でガイド溝部の端部に当接する弾性変形部を、開口部を閉塞する方向の最前部に位置する挿入軸から開口部を閉塞する方向に向けて突設することにより、開口部を閉塞する位置から蓋装置本体をさらに開口部の閉塞方向へと移動させて弾性変形部をガイド溝部の端部に圧接させて弾性変形させることで、係止部が受部を越えてこの受部に係合するためのオーバーストロークを生じさせることができ、別途弾性部材などの部品点数の増加に起因する製造コストの増加を抑制しつつ蓋装置のがたつきを効果的に抑制できるとともに、弾性変形部はガイド溝部内に挿入される挿入軸に突設されているため、特に蓋装置が開口部を閉塞する位置でガイド溝部の外部に露出することがなく、見栄えが低下することがない。
【0015】
求項記載の収納装置によれば、請求項記載の蓋装置を備えることにより、蓋装置のがたつきを効果的に抑制し、見栄えが良好で、かつ、製造コストを抑制した収納装置を提供できる。
【0016】
請求項記載の収納装置によれば、請求項記載の収納装置の効果に加え、挿入軸を、蓋装置が開口部を閉塞する位置ではガイド溝部の端部とガイド溝部に突設した保持凸部との間に保持することにより、ガイド溝部の端部と保持凸部とによってこの挿入軸を比較的近い位置で挟持でき、蓋装置のがたつきをより効果的に抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の収納装置の一実施の形態を示す断面図であり、(a)は弾性変形部近傍を示し、(b)は係止部近傍のオーバーストローク状態を示し、(c)は係止部が受部に係合した状態を示す。
図2】同上収納装置の一部を拡大して示す斜視図である。
図3】同上収納装置の蓋体を示す斜視図である。
図4】同上収納装置の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の蓋装置及び収納装置の一実施の形態を図面を参照して説明する。
【0019】
図4において、10は収納装置としてのコンソールボックスで、このコンソールボックス10は、図示しない車両の内装部材であり、この車両の座席の側方、例えば運転席と助手席との間に位置して配置されるいわゆるセンターコンソールを構成している。なお、以下、前後方向(矢印A及び矢印Bに示す)、上下方向、及び、両側方向などの方向は、車両の直進状態を基準として説明する。
【0020】
そして、このコンソールボックス10は、車体のフロアに固定される収納装置本体としての収納部であるボックス本体11と、このボックス本体11に開閉可能に取り付けられる蓋装置としての蓋体であるシャッタ12とを備えている。
【0021】
図1及び図4に示すボックス本体11は、コンソール本体とも呼ばれるもので、例えば合成樹脂により形成した部材を組み合わせるなどして形成され、前後方向に細長く、上面に、開口部14が形成されているとともに、この開口部14の両側縁部から後部に亘って、シャッタ12を摺動(スライド)可能に保持するレールとしてのガイド溝部15(一方のみ図示)が形成されている。さらに、このボックス本体11の開口部14の前部には、シャッタ12を係止固定可能な受部としてのロック受部16が形成されている。
【0022】
開口部14は、互いに対向する第1の辺部としての短辺である前端部14a及び後端部14bと、互いに対向する第2の辺部としての長辺である左側部14c及び右側部14dとを有する、前後方向に長手状の四角形状に形成されている。そして、前端部14aの下端には、シャッタ12の前端部が嵌合可能な開口14eが形成されている。
【0023】
各ガイド溝部15は、それぞれ中央側すなわち開口部14側に向かって開口する断面略コの字状レールであり、ボックス本体11の上側の開口部14の左側部14c及び右側部14dの全体に亘って上縁部に沿って前後方向に直線状に位置する水平部21と、この水平部21の後部から下方へと滑らかに湾曲する一の湾曲部である上側湾曲部22と、この上側湾曲部22の下端から下方へと連続する下降部23と、この下降部23の下部から前方へと滑らかに湾曲する他の湾曲部である下側湾曲部24とを一体に備え、側面視で「つ」字状となっている。また、各ガイド溝部15の水平部21の前端部には、シャッタ12の前端位置すなわち開口部14を(完全に)閉塞する全閉位置を規制する端部(一部)である規制壁部21aが上下方向に沿って形成されている。さらに、各ガイド溝部15の水平部21の前側の下部には、シャッタ12を全閉位置で規制壁部21aとの間で保持するための保持凸部21bが突設されている。この保持凸部21bは、上面部が円弧状に形成されており、規制壁部21aに対して後方に離間された位置に配置されている。
【0024】
また、ロック受部16は、開口部14の幅方向の中央部に位置しており、ボックス本体11内で開口部14の前端部14aに対して後方に突出する突出部26の上部で、かつ、開口14eの下方に形成されている。さらに、このロック受部16は、突出部26の上部から前方へ向けて爪状に突出する突出受部16aと、この突出受部16aの下部に凹設された凹部16bとを一体に備えている。
【0025】
一方、図1ないし図4に示すシャッタ12は、リッド部、あるいはリッド体などとも呼ばれ、例えばABS樹脂などの硬質の部材すなわち合成樹脂により形成されたインナ部材28と、例えばエラストマなどの軟質の部材すなわち合成樹脂によりインナ部材28と一体にインサート成形されたアウタ部材29とにより構成された樹脂成形部品であり、全体として平板状で主としてシャッタ12の意匠面をなす蓋装置本体としての蓋体本体であるシャッタ本体31と、このシャッタ本体31から突設されガイド溝部15内に挿入されて外部に露出しない複数の挿入軸32と、シャッタ本体31に設けられた係止部としての尾錠部であるロック部33とを有している。そして、このシャッタ12は、平面上に載置した状態で、移動方向である前後方向を長手方向とし、前後方向については柔軟かつ弾性的に変形するとともに、両側方向には剛性を有して変形しない略板状の構造をなしている。
【0026】
シャッタ本体31は、相対的に前後方向に長いフロントセル部41と、相対的に前後方向に短い複数のリアセル部42とを有している。そして、このシャッタ本体31は、これらフロントセル部41とリアセル部42との上部、及び、リアセル部42とリアセル部42との上部がそれぞれアウタ部材29により構成されたヒンジ部43によって連結されているとともに、各リアセル部42の前後方向の中心近傍すなわち各リアセル部42の挿入軸32,32間の上部がヒンジ部43と同様の薄肉状に形成された変形可能部44となっていることにより、前後方向に柔軟かつ弾性的に変形可能となっている(図1(b)及び図3)。
【0027】
また、挿入軸32は、リアセル部42のそれぞれの両側に2つずつ、すなわち、1つのリアセル部42につき計4つずつ配置されている。これら挿入軸32は、ガイド溝部15に接触しない中心部分がインナ部材28により形成されており、この中心部分の基端側の外周を覆いガイド溝部15にシャッタ12の摺動中及び静止中のいずれの状態でも接触する部分がアウタ部材29により形成されている。さらに、シャッタ12が開口部14を閉塞する方向(前方向)の前側、例えば本実施の形態では最前部、すなわちシャッタ12の挿入軸32のうち最前部に位置する両側の挿入軸32には、位置規制形状である弾性変形部45がそれぞれ一体的に突設されている(図1(a)及び図2)。各弾性変形部45は、アウタ部材29により形成された軟質で、かつ、弾性を有する部分であり、各ガイド溝部15内に位置しているとともに、各ガイド溝部15の水平部21の規制壁部21aに当接する当接部となる先端部である前端部45aがシャッタ本体31の前端部31aよりも前方へと突出している。また、各弾性変形部45には、前端部45aよりも後方の位置に前後方向に長手状の孔部45bが上下方向に貫通して形成されている。したがって、各弾性変形部45の前端部45aは、前後方向に弾性的に変形可能となっている。そして、各弾性変形部45は、この前端部45aの弾性変形によって、シャッタ12の全閉位置に対して前方への若干のオーバーストロークSを生じさせるものである。なお、図1(b)において、シャッタ12のオーバーストロークSは、説明をより明確にするために誇張して示している。
【0028】
そして、ロック部33は、乗員などによりシャッタ12を開閉操作する際の操作部であり、ロック開口部51とこのロック開口部51の両側及び後側の周囲に位置する取手部52とを備えている(図1(b)及び図1(c))。また、ロック開口部51には、インナ部材28及びアウタ部材29とは別体で形成された係合部材としてのロックボタン53が進退可能に取り付けられている。このロックボタン53は、ロック開口部51から取手部52の前方に突出する被操作部53aと、この被操作部53aの下端部から前方へと延出してシャッタ本体31の下部に位置する延出部53bと、この延出部53bの前端部から下方に向けて爪状に突出する係合部としての係合爪部53cとを一体に備えており、回動軸53dにおいてシャッタ本体31に回動可能に軸支されている。そして、このロックボタン53は、この係合爪部53cの先端側がシャッタ12の全閉位置でロック受部16の凹部16bに係合することによりシャッタ12をボックス本体11に対して全閉位置で係止保持するものである。換言すれば、係合爪部53cの先端側は、全閉位置でロック受部16の突出受部16aよりも後方に位置している。この係合爪部53cの先端側の全閉位置でのロック受部16の突出受部16aに対する距離は、各弾性変形部45の前端部45aの弾性変形により生じるオーバーストロークS以下に設定されている。そして、このロックボタン53は、図示しない付勢手段としてのコイルスプリングあるいはトーションスプリングなどの弾性体により被操作部53aが前側、すなわち取手部52から離間される方向に向けて、換言すれば係合爪部53cが後方下側に向けて突出する方向(ロック受部16との係合を維持する方向)に向けて付勢されている。
【0029】
そして、コンソールボックス10は、シャッタ12の両側の挿入軸32をボックス本体11の両側のガイド溝部15に挿入することで、シャッタ12がボックス本体11に移動可能に組み合わされて構成される。
【0030】
コンソールボックス10は、シャッタ12の全閉位置でロックボタン53の係合爪部53cがロック受部16の凹部16bと係合し、ボックス本体11に対して摺動しないように固定されている。この状態で、シャッタ12の後端部はガイド溝部15の上側湾曲部22に沿って下方へと湾曲している。
【0031】
そして、乗員などがロックボタン53の被操作部53aを取手部52側へと押し込むようにロックボタン53と取手部52とを掴むことにより、弾性体の付勢に抗してロックボタン53が回動することで、ロックボタン53の係合爪部53cが前方上側へと移動してロック受部16の凹部16bとの係合が外れ、シャッタ12がボックス本体11に対して前後方向に摺動可能となる。
【0032】
この乗員などが取手部52を掴んで前後方向へと外力を加えることでシャッタ12を摺動させる。後方へと摺動したシャッタ12は、後部が上側湾曲部22及び下降部23と順次送られ、開口部14を完全に開いた位置、すなわち全開位置で、シャッタ12の後端部は下側湾曲部24に沿って前方へと湾曲して巻き込まれる。なお、挿入軸32は、各ガイド溝部15に接触することにより接触抵抗(摺動抵抗)を生じさせ、この接触抵抗によって、シャッタ12が所定の操作トルクで前後方向に摺動するとともに上側湾曲部22においてシャッタ12の自重が支持され、このシャッタ12が自重によってガイド溝部15の下降部23に沿って後方下側へと落下することが防止される。
【0033】
開口部14をシャッタ12により閉塞する際には、乗員などが取手部52を掴んでシャッタ12を前方へと摺動させる。そして、シャッタ12のロックボタン53の係合爪部53cの前部がロック受部16の後部と当接した状態でさらにシャッタ12を前方へと移動させると、係合爪部53cの前側がロック受部16の形状に沿って上方へと押し上げられることにより弾性体の付勢に抗してロックボタン53が回動軸53dを中心として回動する。このとき、シャッタ12の挿入軸32のうち最前部に位置する挿入軸32が各ガイド溝部15の保持凸部21bに乗り上げ、水平部21に上下から挟持されて若干弾性変形しつつ保持凸部21bを徐々に乗り越えていく。そして、シャッタ12の最前部に位置する各挿入軸32が保持凸部21bを完全に乗り越えたときに、クリック感が生じるとともにシャッタ12の最前部に位置する各挿入軸32が復帰変形し、かつ、これら挿入軸32から前方に突出する各弾性変形部45の前端部45aが各ガイド溝部15の規制壁部21aに当接してスプリング効果により弾性変形する(図1(a)の想像線)ことで、各弾性変形部45の前端部45aの変形量D分、シャッタ12に前方へのオーバーストロークSが生じる(図1(b))。このとき、シャッタ本体31の前端部は、開口14eに逃げた状態となるとともに、係合爪部53cの先端側がロック受部16の突出受部16aよりも前方に位置し、弾性体の付勢により、ロックボタン53が、係合爪部53cが後方下側へと突出するように回動軸53dを中心として復帰回動して係合爪部53cがロック受部16の凹部16bと係合する全閉位置となり(図1(c))、各弾性変形部45の前端部45aが各ガイド溝部15の水平部21の規制壁部21aに隙間なく接触した、いわゆるゼロ当て状態となる。また、シャッタ12の最前部に位置する各挿入軸32は、各ガイド溝部15の規制壁部21aと保持凸部21bとの間で前後方向に挟持されて保持される。
【0034】
このように、本実施の形態によれば、シャッタ12の全閉位置で各ガイド溝部15の規制壁部21aに当接する弾性変形部45を、シャッタ12の前側に位置する挿入軸32から突設することにより、シャッタ12の全閉位置からシャッタ本体31をさらに開口部14の閉塞方向である前方向へと移動させて弾性変形部45を各ガイド溝部15の規制壁部21aに圧接して弾性変形させることで、ロック部33のロックボタン53の係合爪部53cがロック受部16の突出受部16aを越えてロック受部16の凹部16bに係合するためのオーバーストロークSを生じさせることができる。この結果、開口部14の前端部14aなどに貼り付ける別途弾性部材などの部品点数の増加に起因する製造コストの増加を抑制しつつシャッタ12のがたつきを効果的に抑制できるとともに、各弾性変形部45は各ガイド溝部15内に挿入される挿入軸32に突設されているため、特にシャッタ12の全閉位置で各ガイド溝部15の外部に露出することがなく、見栄え(外観)が低下することがない。
【0035】
特に、本実施の形態では、弾性変形部45を、開口部14を閉塞する方向の最前部に位置する挿入軸32から突設し、開口部14を閉塞する位置でガイド溝部15の端部である規制壁部21aに当接させることにより、他の挿入軸32に弾性変形部45を突設する場合と比較して、開口部14を閉塞する位置からシャッタ本体31をさらに開口部14の閉塞方向へと移動させて弾性変形部45を弾性変形させる構成を容易に形成できる。
【0036】
また、弾性変形部45を突設したシャッタ12の最前部に位置する挿入軸32を、シャッタ12の全閉位置では各ガイド溝部15の規制壁部21aと各ガイド溝部15に突設した保持凸部21bとの間に保持することにより、各ガイド溝部15の規制壁部21aと保持凸部21bとによってこの挿入軸32を比較的近い位置で前後に挟持でき、シャッタ12のがたつきをより効果的に抑制できる。
【0037】
しかも、シャッタ12は、意匠面側である外側を軟質のアウタ部材29によって構成しているので、このアウタ部材29を用いることによって、弾性変形部45を容易に形成できる。
【0038】
この結果、車両の走行などに伴う振動によって、ボックス本体11に対するシャッタ12のがたつきに起因して発生する雑音を抑制でき、乗員などに不快感を与えることがない。すなわち、このようなシャッタ12を備えることで、シャッタ12のがたつきを効果的に抑制し、見栄えが良好で、かつ、製造コストを抑制したコンソールボックス10を提供できる。
【0039】
しかも、シャッタ12をインナ部材28とアウタ部材29とによるインサート成形とすることにより、各弾性変形部45を、各ガイド溝部15との摺動抵抗を設定するために軟質の合成樹脂により成形される挿入軸32の基端側と一体にアウタ部材29により形成できるので、例えばシャッタ12を成形するための成形型に微細な構造などを施すことなく、部品点数を抑制しつつ各弾性変形部45を形成することが容易になる。
【0040】
なお、上記の一実施の形態では、自動車の運転席と助手席との間に配置されるコンソールボックス10について説明したが、この構成に限らず、任意の収納装置に対して適用可能である。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明は、例えば運転席と助手席との間に位置して配置されるセンターコンソールとして好適に用いることができる。
【符号の説明】
【0042】
10 収納装置としてのコンソールボックス
11 収納部であるボックス本体
12 蓋装置としてのシャッタ
14 開口部
15 ガイド溝部
16 受部としてのロック受部
21b 保持凸部
31 蓋装置本体としてのシャッタ本体
32 挿入軸
33 係止部としてのロック部
45 弾性変形部
図1
図2
図3
図4