(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、に、添付図面を参照して、実施形態に係るドアパネルについて説明する。なお、以下では、既に説明した構成要素と同様のものには同じ符号を付してその説明を省略する。
【0010】
[第1実施形態]
まず、第1実施形態を説明する。
図1は、本実施形態のドアパネルの構成を示す展開斜視図である。
図2は、本実施形態でドアパネルを組み立てることを示す側面図である。
図3は、本実施形態で、突起と切欠(何れも後述)との当接状態を示す水平断面図である。
【0011】
エレベータのドアパネル10は、ドアパネル正面を形成する平板部12と、平板部12の上部に一体的に形成されている上補強部14(吊り元補強部)と、平板部12の下部に接着されて配置された下補強部16と、平板部12の裏面側に配置されて上下方向に延びる縦補強部材18と、縦補強部材18を平板部12の裏面側に接着させる接着手段20と、縦補強部材18の上部を上補強部14に固定する上固定手段22と、縦補強部材18の下部を下補強部16に固定する下固定手段24と、を備える。
【0012】
本実施形態では、平板部材を折り曲げ加工することで、平板部12とこれに連続する上補強部14とで構成される上補強部付き平板部13を形成している。上補強部14はこの平板部材の上部を折り曲げ加工してなるものである。下補強部16は平板部12とは別体に製造されており、平板部12の裏面側に接着剤で固定されている。下補強部16は略ケース状であって内部は空洞である。
【0013】
縦補強部材18は、上下方向に細長い部材であって、両側部側がそれぞれクランク状に折り曲げ加工された形状になっている。この縦補強部材18は、縦補強部材上部で上補強部14に固定される中央部30と、中央部30の両サイド側から平板部12に向けてそれぞれ延び出す一対の側部32と、側部32にそれぞれ連続し外側に折り曲げられ平板部12に面接触する一対の面接触部34と、を有する。本実施形態では、接着手段20として接着剤Gを用いるが、両面テープなどの他の手段を用いることも可能である。
【0014】
縦補強部材18の側部32の一方には、下端から下方へ延び出す2本の差込用の突起36p、36qが連続している。下補強部16には、この突起36p、36qがそれぞれ挿入される2つの切欠38p、38qが形成されている。
【0015】
本実施形態では、突起36p、36qは、縦補強部材18の折り曲げ加工前の部材である平板部材を製造する際に予め形成しておいたものであり、突起36p、36qの厚みは側部32の厚み、すなわち、この平板部材の厚みと同じである。本実施形態では、
図3に示すように、一方の突起36pでは、ドアパネル10に平行な水平方向Uの一方向側が切欠38pの縁38peに当接し、他方の突起38qでは、上記水平方向Uの他方向側が切欠38qの縁38qeに当接するように、切欠38p、38qの形成位置が設定されている。従って、
図3に示すように、切欠38p、38qの形成位置は、突起38p、38qの板厚分だけ水平方向Uの位置が重なる位置にされている。そして、上補強部14と下補強部16との間隔Lと、縦補強部材18の突起36p、36qを除いた側部32の長さLとが同じになっており、しかも上固定手段22がリベットRで固定する手段であることによって、縦補強部材18の上下方向移動が防止されている。このように縦補強部材18の上下方向移動が防止されている状況で、下固定手段24は、突起36p、36qと、切欠38p、38qとを有する構成にされている。
【0016】
また、縦補強部材18の中央部30の上部にはリベット孔26が形成され、上補強部14のうちこのリベット孔に対応する部位にリベット孔28が形成されている。
【0017】
(作用、効果)
以下、本実施形態の作用、効果について述べる。ドアパネル10を製造するには、まず、切断加工、曲げ加工などを行って、下補強部16、平板部12と上補強部14とが連続してなる上補強部付き平板部13、および、縦補強部材18を予め製造しておく。
【0018】
そして、平板部12の下部の所定位置に下補強部16を接着剤Gで固定する。この状態では切欠38p、38qが下補強部16の上側の所定位置に位置している。
【0019】
接着剤の固化により下補強部16が平板部12に完全に固定された後、面接触部34の被接着面(平板部12側の面)に接着剤Gを塗布し、更に、縦補強部材18の突起36p、36qをそれぞれ切欠38p、38qに挿入する。この結果、縦補強部材18の自重により突起36p、36qの基端側に連続する縦補強部材部分が下補強部16に当接して下補強部16によって支えられ、縦補強部材18の下部が所定高さ位置に位置決められる。
【0020】
更に、縦補強部材18を完全に上下方向にまで立てて平板部12に当接させ、面接触部34を平板部12に接着剤Gで接着させる。そして、リベット孔26、28にリベットRを打ち込んで、縦補強部材18と上補強部14とを固定する。
【0021】
本実施形態により、平板部12の裏面側に縦補強部材18を、位置ずれせずにかつ溶接せずに短時間で固定することができ、ドアパネル10の製造効率が向上する。
【0022】
また、縦補強部材18を組み付ける際、突起36p、36qをそれぞれ切欠38p、38qに差し込むことで、縦補強部材18の自重により突起36p、36qの基端側に連続する縦補強部材部分が下補強部16に当接して支えられ、縦補強部材18の下部が所定高さ位置に位置決められる。従って、作業員が縦補強部材18の高さ位置を調整しなくてもよいので、作業性が向上し、製造時間が更に短縮される。
【0023】
また、一方の突起36pでは、ドアパネル10に平行な水平方向Uの一方向側が切欠38pの縁38peに当接し、他方の突起36qでは、上記水平方向Uの他方向側が切欠38qの縁38qeに当接するように、切欠38p、38qの形成位置が設定されている。この結果、突起36p、36qの両者が水平方向Uに沿って移動すること、すなわち、縦補強部材18が水平方向に沿って移動することが規制されている。従って、面接触部34を平板部12に押圧することで縦補強部材18を正しい配置位置に配置することができる。
【0024】
なお、接着剤Gを塗布する際、面接触部34ではなく平板部12の接着領域に塗布してもよい。
【0025】
[第2実施形態]
次に、第2実施形態を説明する。
図4は、本実施形態でドアパネルを組み立てることを示す側面図である。本実施形態では、第1実施形態に比べ、上補強部の構造、縦補強部材の上部構造、および、上固定手段(上補強部と縦補強部材上部との固定手段)が異なる。
【0026】
本実施形態のドアパネルは、ドアパネル正面を形成する平板部12と、平板部12の上部に別体として接着された上補強部44と、下補強部16と、平板部12の裏面側に配置されて上下方向に延びる縦補強部材48と、縦補強部材48を平板部12の裏面側に接着させる接着手段20と、縦補強部材48の上部を上補強部44に固定する上固定手段42と、縦補強部材48の下部を下補強部16に固定する下固定手段24と、を備える。
【0027】
縦補強部材48の上部には、突起36p、36qを上下逆向きにした突起46p、46qが上方へ延び出している。上補強部44は下補強部16を上下逆向きにした構成にされており、下面側に、突起46p、46qがそれぞれ挿入される2つの切欠が形成されている。この構成により、上固定手段42は下固定手段24を上下逆向きにした構成にされている。
【0028】
本実施形態のドアパネルを製造するには、第1実施形態と同様にして下補強部16を平板部12に接着する。
【0029】
そして、縦補強部材48の面接触部34の被接着面に接着剤Gを塗布し、更に、縦補強部材48の突起36p、36qをそれぞれ38p、38qに挿入する。この結果、第1実施形態と同様、縦補強部材48の自重により突起36p、36qの基端側に連続する縦補強部材部分が下補強部16に当接して下補強部16によって支えられ、縦補強部材48の下部が所定高さ位置に位置決められる。
【0030】
本実施形態では、その後、縦補強部材48を完全に上下方向にまで立てて平板部12に当接させ、面接触部34を平板部12に接着剤Gで接着させる。
【0031】
そして、上補強部44の被接着面(平面部12側の面)に接着剤Gを塗布し、縦補強部材48の突起46p、46qが上補強部44の各切欠に挿入するように、上補強部44を縦補強部材48の上方から下降させて配置し、被接着面を平板部12に当接させて接着させる。その際、被接着面に塗布した固化前の接着剤Gの粘性を利用して、縦補強部材48の位置を少しずらして突起46p、46qを各切欠へ挿入することが可能である。
【0032】
本実施形態により、第1実施形態と同様の効果を奏することに加え、リベットR(
図1参照)を用いる必要がなく製造効率を更に上げることができる効果も奏する。
【0033】
なお、縦補強部材48を平板部12に当接させる前に、突起46p、46qを切欠に挿入させて上補強部44を縦補強部材48上に配置するとともに、突起36p、36qをそれぞれ切欠38p、38qに挿入して縦補強部材48の高さ位置を下補強部16で支えさせた位置にして、縦補強部材48および上補強部44を平板部12に同時に当接させて接着させてもよい。
【0034】
[第3実施形態]
次に、第3実施形態を説明する。
図5は、本実施形態でドアパネルを組み立てることを示す側面図である。
図6(a)および(b)は、それぞれ、第3実施形態で、下補強部に突起を形成して縦補強部材を組み付けることを示す斜視図、および、縦補強部材の底面側の斜視図である。
【0035】
本実施形態では、第1実施形態に比べ、下補強部の構造、縦補強部材の下部構造、および、下固定手段(下補強部と縦補強部材下部との固定手段)が異なる。
【0036】
本実施形態のドアパネルは、ドアパネルを構成する平板部12および上補強部14を有する上補強部付き平板部13と、平板部12の下部に接着されて配置された下補強部56と、平板部12の裏面側に配置されて上下方向に延びる縦補強部材58と、縦補強部材58を平板部12の裏面側に接着させる接着手段20と、縦補強部材58の上部を上補強部14に固定する上固定手段22と、縦補強部材58の下部を下補強部56に固定する下固定手段54と、を備える。
【0037】
図6(a)および(b)に示すように、縦補強部材58の下部には、第1実施形態で説明した突起36p、36qに代えて、縦補強部材58の中央部50の下部を内側に折り曲げられてなる底部52に切欠59p、59qが形成されており、下補強部56の上面側には、第1実施形態で説明した切欠38p、38qに代えて、上方に突出する突起57p、57qが形成されている。突起57p、57qは、下補強部56を構成する平板部材に切り込みを入れて上方へ折り曲げることにより形成されている。
【0038】
本実施形態のドアパネルを製造するには、第1実施形態と同様にして下補強部56を平板部12に接着する。
【0039】
そして、縦補強部材58の面接触部34の被接着面に接着剤Gを塗布し、更に、縦補強部材58の切欠59p、59qに突起57p、57qが挿入されるように縦補強部材58を下補強部56の上方から下降させる。この結果、第1実施形態と同様、縦補強部材58の自重により突起57p、57qの基端側に連続する縦補強部材部分が下補強部56に当接して下補強部56によって支えられ、縦補強部材58の下部が所定高さ位置に位置決められる。
【0040】
その後、第1実施形態と同様にして、縦補強部材58を平板部12に接着させるとともに縦補強部材58の上部を上補強部14にリベットで固定する。
【0041】
本実施形態により、第1実施形態と同様の効果を奏することができることに加え、突起57p、57qの形成が容易である。
【0042】
[第4実施形態]
次に、第4実施形態を説明する。
図7は、本実施形態でドアパネルを組み立てることを示す側面図である。本実施形態では、第3実施形態に比べ、上補強部の構造、縦補強部材の上部構造、および、上固定手段(上補強部と縦補強部材の上部との固定手段)が異なる。
【0043】
本実施形態のドアパネルは、平板部12と、第2実施形態で説明した上補強部44と、第3実施形態で説明した下補強部56と、平板部12の裏面側に配置されて上下方向に延びる縦補強部材68と、縦補強部材68を平板部12の裏面側に接着させる接着手段20と、縦補強部材68の上部を上補強部44に固定する上固定手段62と、縦補強部材68の下部を下補強部56に固定する下固定手段54と、を備える。
【0044】
縦補強部材68の上部には、第2実施形態で説明した突起46p、46qに代えて、縦補強部材68の中央部60の上部を内側に折り曲げられてなる天井部63に2つの切欠が形成されており、上補強部44には、切欠59p、59qに代えて下方に突出する突起67p、67qが形成されている。突起67p、67qは、突起57p、57qと同様に、上補強部44を構成する平板部材に切り込みを入れて下方へ折り曲げることにより形成されている。
【0045】
本実施形態のドアパネルを製造するには、第3実施形態と同様にして、下補強部56を平板部12に接着し縦補強部材68を平板部12の裏面側に接着する。
【0046】
その後、上補強部44の被接着面(平面部12側の面)に接着剤Gを塗布し、上補強部44の突起67p、67qが天井部63の2つの切欠にそれぞれ挿入されるように、上補強部44を縦補強部材68の上方から下降させて配置し、被接着面を平板部12に当接させて接着させる。その際、上補強部44の被接着面に塗布した固化前の接着剤Gの粘性を利用して、縦補強部材68の位置を少しずらして突起67p、67qを天井部63の切欠への挿入することが可能である。
【0047】
本実施形態により、第3実施形態と同様の効果を奏することに加え、リベットR(
図1参照)を用いる必要がなく製造効率を更に上げることができる効果も奏する。
【0048】
以上、いくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲はそれらに限定することは意図していない。例えば、切欠の開口形状は、長方形状に限らず、
図8に示すような丸孔状の切欠78p、78qであってもよい。この場合、一方の突起(例えば突起36p)では、ドアパネルに平行な水平方向Uの一方向側が切欠78pの縁78peに当接し、他方の突起(例えば突起36q)では、水平方向Uの他方向側が切欠78qの縁78qeに当接するように、切欠78p、78qの形成位置が設定されていると、2本の突起の両者が水平方向Uに沿って移動すること、すなわち、縦補強部材(例えば縦補強部材18)が水平方向に沿って移動することが規制され、面接触部34の被接着面を平板部12に押圧することで縦補強部材を正しい配置位置に配置することができて好ましい。また、丸孔状に限らず、
図9に示すような三角形孔状の切欠79p、79qであってもよい。
【0049】
また、これらの実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。