【課題を解決するための手段】
【0014】
これらの目的は、特許請求の範囲の請求項1に記載の特徴を有する保持装置、請求項19に記載の特徴を有する梱包および運搬用手段と、請求項23に記載の特徴を有するインジェクタ装置、ならびに請求項39および請求項40に記載の特徴を有する方法、によって解決する。
【0015】
本発明による眼内レンズ用保持装置は、底部が開放しかつ細長い形状で延びて存在する(延在する)支持部材を有する。さらに、この保持装置は、眼内レンズを保持する保持レールを有し、この保持レールを細長い支持部材上に配置する。細長い形状に関しては、特に、支持部材は、幅よりも長手方向の寸法が長くなるよう形成する。このことに関して、支持部材もレール状に設計し、細長い保持レールも、底部が開放する形状に形成する。特に、少なくとも所定領域における支持部材の断面は、底部が開放した反転したU字状に形成する。したがって、眼内レンズの保持力を改善することができ、また、このことによって、眼内レンズに対するアクセスが容易になり、より操作し易くなる。この構造によって、眼内レンズをインジェクタ装置の装填チャンバ内に装填するため、眼内レンズとともに、眼内レンズ用保持部を配置するケースを、注意深く開封する必要がなくなる。このようにして、保持装置は、インジェクタ装置に直接連結して眼内レンズをインジェクタ装置の装填チャンバ内に装填することができるよう構成することができる。
【0016】
好ましくは、支持部材および保持レールを、互いに相対移動可能にする。したがって、眼内レンズのインジェクタ装置への装填操作は、より機能的かつより簡単にすることができ、さらに、一方で装填チャンバ内でより正確に位置決めすることができ、他方で眼内レンズを保持レールから簡単に取り外すことができる。
【0017】
好ましくは、保持レールは、支持部材の長手方向軸線に沿ってもしくは平行に、および/または長手方向軸線に直交する方向に上下移動可能とする。支持部材に対する保持レールの可動性における種々の自由度により、インジェクタ装置に使用する際の保持装置の操作性が大幅に改善される。したがって、インジェクタ装置の装填チャンバ内への挿入操作中、眼内レンズの望ましくない位置決め、または保持レールからの眼内レンズの望ましくない離脱を回避することができる。
【0018】
好適には、保持レールが装填位置にあるとき、レンズを保持レールの底部側に配置し、この底部が開放した支持部材を介して自由にアクセスできるよう位置決めされるようにするのが好ましい。この構成によって、一方では保持装置における眼内レンズの確実な保持、および他方では所要に応じて保持レールからの眼内レンズの簡単な取り外しも可能となる。好適には、保持レールが装填位置にあるとき、レンズに対して横方向および底部の双方からアクセスすることができる。好適には、支持部材の長手方向に見て、眼内レンズの前面側および後面側のみ保持レールで固定し、それ以外の側面は自由にアクセスできるようにする。この場合も、インジェクタ装置の装填チャンバ内への眼内レンズの自動導入に関する特に有利な機能的原理を促進することができる。保持装置の他には、鉗子等の他の補助器具をもはや必要としなくなる。したがって、一方では望ましくない汚染を回避し、他方では挿入操作の際にユーザーによる望ましくない手動操作を減らすこともできる。したがって、インジェクタ装置の装填チャンバ内の望ましくない誤った位置に眼内レンズを挿入してしまうことを避けることができる。
【0019】
好適には、支持部材は、支持部材の頂部または外側に少なくとも1個のグリップ部材を有する構成とする。この構成によれば、ユーザーに掴むための簡単な操作性を与え、このことによって、保持装置全体を迅速かつ的確に保持、および移動することができる。
【0020】
好適には、支持部材は、底部が開放した基体を有し、この基体に、長手方向軸線と平行に延在する支持アームを配置し、これら支持アームは、支持部材の長手方向軸線の両側にそれぞれ配置する。支持部材のこの構造的形態によって、一方では極めて多くの側面からのアクセス可能性を有する極めて開放的な構造にすることができ、他方では高機能部分を提供し、この機能部分は重量を減らすこともできる。
【0021】
好適には、少なくとも1個の案内部材を、支持アームの互いに対向する内側面で、各支持アームに配置する。各案内部材は、収納空間をカバーするインジェクタ装置のカバーフラップに係合するように形成する。案内部材とカバーフラップと間の結合におけるこの自動的な機械化可能性によって、保持装置をインジェクタ装置に機械的に結合させる場合、カバーフラップの自動操作を達成することができる。このようにして、インジェクタ装置の装填チャンバ内に眼内レンズを導入する際に、ユーザーが、これらカバーフラップを直接かつ明確に保持し、これらカバーフラップを直接動かして閉鎖する必要がなくなる。したがって、保持装置のこの構造によって、一方ではユーザー側にとって、装填チャンバ内への眼内レンズ挿入がほぼ無接触とり、他方ではユーザーは、これらカバーフラップを明確に保持する必要がなく、インジェクタ装置のカバーフラップの自動閉鎖を自動的に達成することができる。このように、極めて機能的で協調動作シーケンスが自動的に行われ、このシーケンスは、幾つかの操作を管理する。したがって、この保持装置によって、インジェクタ装置のカバーフラップのほぼ自己閉鎖する構造を達成することができ、保持レールからの眼内レンズの自律的な自動取り外しが可能となる。
【0022】
好適には、支持部材の基体の下側端縁および/または少なくとも1個の支持アームの下側端縁に、位置決め部材を配置し、この位置決め部材によって、保持装置を運搬容器に固定して取り付けることができる。この構成によって、無防備で、ほぼ自由に移動できる状態で眼内レンズが運搬容器に挿入されることはもはやないことが保証される。したがって、眼内レンズを梱包して運搬するため、レンズのさらなる保護が本発明の保持装置によって保証される。レンズを保持装置に装着して、この保持装置を、位置が安定する方法で運搬容器に配置する。運搬においてでさえ、このように、運搬容器内で位置的に固定された取り付けを確実にすることができる。したがって、保持装置も、安定的に運搬容器内に位置決めすることができ、運搬容器内での保持装置の望ましくない前進後退を避けることができる。したがって、運搬容器内での運搬による保持装置の損傷も避けることができる。
【0023】
保持装置を一体ピースで形成して提供することができる。この構成では、支持部材および保持レールを単一部分として設計するが、この単一部分は、支持部材および保持レールのそれぞれに対するこれら構成要素の相対的可動性を確保する。したがって、とりわけ構成要素を削減した構造等の簡単かつ安価な製造が保証される。プラスチック材料製の保持装置の構成では、したがって、製造、例えば射出成形プロセスによって、迅速かつ経済的に形成できる。
【0024】
支持部材および保持レールは、個別の部分として提供することもできる。この構成では、個別の部分を取り出して、個別に交換することができる。このことによっても、使用効率を改善することができる。
【0025】
好適な実施形態では、支持部材を、細長いクランプ状に形成する。特に、支持部材は、底部に向けて拡開するよう形成する。したがって、断面図では、支持部材は、特に、底部が開放した中空体として形成し、この支持部材は、逆Y字状となる。長手方向軸線の方向では、支持部材は直線的形状であり、さらに、保持レール用のフード状の容器として形成する。支持部材をこのような特有形態にすることによって、特に機械的に安定した構成を実現することが可能となり、この構成では、垂直方向の押圧によって望ましくない変形が生じることなく、力作用を吸収および伝達する。さらに、このことによって、支持レールおよびこの支持レールに配置する眼内レンズをフード状に包囲して保護する。特に、取扱い易さおよび正確な管理の容易性が保証されるため、ユーザーは、極めて正確に導入動作を行うことができ、このことによって、インジェクタまたはレンズに対する損傷を回避することができる。
【0026】
好適には、支持部材は、幅が狭い上側部分、および幅が広い下側部分を有し、拡開する遷移部を上記上側部分と下側部分との間に形成し、この拡開する遷移部は、特に、底部および外部に向かって傾斜するよう延在させる。この形態によって、一方では、上側部分において支持部材に非常に優れたグリップ性能を付与することができる。さらに、この実施例は、保持装置の特定の操作状態で、上側部分に対する保持レールの安定した収容および装着を生ずる。さらに、レンズの装填チャンバへの装填における種々の操作段階で、インジェクタの構成要素、特に装填チャンバのカバーフラップの噛み付きまたは引っ掛かりが、遷移部の形状によって回避できる。遷移部の内側面に沿う構成要素の特別に滑らかな案内および摺動を得ることができ、さらにインジェクタの構成要素の極めて連続的でスムースな案内動作を得ることができる。
【0027】
好適には、上側部分および遷移部は、スリットであって、特に垂直方向に指向するスリットを有し、これらスリットは、保持レールを収容し、案内するよう形成する。このことによって、ほぼ狭い案内トラックがスリットによって存在することによって、支持部材と保持レールとの間の極めて正確な相対移動可能性を調整することができる。したがって、案内における望ましくない寸法公差に基因する望ましくない移動を避けることができる。さらに、空間的な一方向、特に垂直方向にのみ所望移動が、極めて正確に調整可能となる。さらに、別の実施形態では、スリットの代りに、溝を設ける。
【0028】
好適には、案内部材は、上側部分の互いに対向する側面で、底部に向けて、特に平行に延在させ、収容空間、特に、インジェクタ装置の装填チャンバにおけるカバーフラップの収容空間は、案内部材と下側部分の壁との間に形成する。
【0029】
好適には、上側部分および/または遷移部における案内部材の互いに対向する内側面のそれぞれに、少なくとも1個の膨隆部を形成する。このことによって、保持レールのための障壁または停止部を極めて簡単に設けることができ、しかもインジェクタの装填チャンバ内にレンズを装填する種々の操作段階における、極めて効果的な形状で設けることができる。
【0030】
好適には、保持レールは、支持部材に対して垂直方向に移動可能とし、この保持レールを、装填チャンバ内にレンズを装填する際に、膨隆部の下側における開始位置に配置し、さらに、垂直方向に見て膨隆部の上方の停止位置に配置し、また保持レール上方の膨隆部によって保持レールを保持する。
【0031】
好適には、保持レールは、底部の前端部および後端部のそれぞれに受容部を有し、インジェクタ装置の装填チャンバ領域に形成した係合部材が、組み立てた状態で受容部に係合するよう構成する。したがって、インジェクタ装置と保持レールとの間の位置的固定を、装填チャンバ内にレンズを装填する際に、確実かつ簡単に行うことができるとともに、インジェクタチューブに対する保持レールの装着を自動的に行うことができる。
【0032】
さらに、本発明は、眼内レンズ用の梱包および運搬用手段に関する。この手段は、本発明による運搬容器および本発明による保持装置、またはそれらの有里な変更形態を有する。保持装置は、運搬容器内に装填することができ、特に、梱包および運搬手段の仕上げ状態では、保持装置を、位置的に安定した状態で運搬容器内に配置する。この梱包および運搬用手段の仕上げ状態では、眼内レンズは、保持装置に配置する。この眼内レンズ用の梱包および運搬用手段では、上述した利点を、明確に発揮できる。管理容易性の向上に加えて、眼内レンズの損傷を減ずることができる。さらに、外科処置で必要な使用の際に眼内レンズを運搬容器から取り外すために、例えば鉗子等の他の補助器具を必要としない。
【0033】
好適には、眼内レンズは、機械的応力が加わらない状態で保持装置に配置する。このことによっても、眼内レンズの望ましくない装填および早期摩耗が回避される。
【0034】
特に、保持装置は、位置的に安定した方法で運搬容器に配置し、保持装置の位置決め部材は、運搬容器の位置決め領域であって、特にその内側底部に、破壊せずに着脱できるよう配置する。したがって、保持装置は、運搬容器の内側底部に固定的に位置決めする。このようにして、運搬時に、運搬容器内での保持装置の望ましくない移動を回避することができるので、運搬容器内での眼内レンズの望ましくない移動も回避することができる。例えば、ロック機構を形成することで、非破壊的な着脱可能アタッチメントを設けることができる。このように、位置決め部材はロック部材とすることができ、このロック部材が、位置決め領域に設ける凹部に係合する。
【0035】
したがって、一方では、保持装置を運搬容器内に簡単かつ確実に配置および装填できるとともに、迅速かつ簡単に運搬容器から取り外すこともできる。
【0036】
保持装置には、容器が密着係合するのが好ましい。
【0037】
好適には、滅菌水を運搬容器内に収容して、眼内レンズをこの滅菌水内に浸漬させて配置する。梱包後また運搬時も、レンズはこの滅菌水によって包囲されるので、ここでも望ましくない汚染物混入が回避される。特に、運搬容器は、その上面をカバーによって閉じられているので、やはり、汚染物は運搬容器の収納空間に入り込むことができない。さらに、この側面では、液体を損なうことなく運搬することができる。運搬容器の滅菌および無菌的閉鎖は、カバーによって確実なものとなる。この場合、カバーの付着および熱的な溶着結合を行うことができる。したがって、運搬容器は、保管用および運搬用に完全に閉鎖される。カバーは、少なくとも特定の領域が透明となるように形成することができるので、運搬容器内の保持装置および眼内レンズを見ることができる。眼内レンズを特徴付けるパラメータに関する情報を、カバーに表記することができる。
【0038】
さらに、本発明は、眼内レンズ用のインジェクタ装置に関し、このインジェクタ装置はインジェクタチューブを有し、このインジェクタチューブに、プランジャを変位可能に配置する。さらに、インジェクタ装置は装填チャンバを有し、この装填チャンバ内に眼内レンズを装填することができる。特に、装填チャンバは、インジェクタチューブに形成する。翼状のカバーフラップをインジェクタチューブに配置し、装填チャンバの開閉のために移動可能とする。インジェクタ装置は、本発明による眼内レンズ用の保持装置、またはその有利な変更形態を有する。保持装置は、装填チャンバ内にレンズを装填するために、装填チャンバの領域でインジェクタチューブに配置する。インジェクタ装置をこのように構成することによって、極めて機能的な構成を提供することができ、この構成によって、装填チャンバへの眼内レンズのより簡単でより正確な導入が保証される。このインジェクタ装置では、保持装置をインジェクタ装置に配置すると、装填チャンバ内の所望する位置に眼内レンズを装填するために、鉗子等の他の補助器具を必要としない点で、特に有利となる。保持装置およびインジェクタ装置が協調動作すると、眼内レンズを装填チャンバに自動的に装填することができる。
【0039】
インジェクタチューブは一体ピースとすることができる。好適な実施形態では、インジェクタチューブは2個の個別の部分により構成し、これらの各部分を組み付け、さらに、破壊せずに再び取り外すことができるようにする。好適には、インジェクタチューブの前方部または前方部分は、装填チャンバ、翼状のカバーフラップ、および挿入部材または射出カニューレを備える構成とする。この部分は、インジェクタチューブのもう一方の部分に組み付けることができる。
【0040】
さらに、ユーザーが直接掴んでカバーフラップを明確に手動で閉鎖する必要性はもはやない。カバーフラップの閉鎖は、保持装置によって自動的に保証される。
【0041】
眼内レンズの装填チャンバ内への導入に関する機能的原理の大幅な改善に加えて、インジェクタ装置によって、レンズのより位置的に安定した状態で汚染物混入なしに実行することもできる。
【0042】
好適には、眼内レンズを保持レールから装填チャンバ内に装填するため、保持装置の開放した底部側をインジェクタチューブに配置し、保持レールの少なくとも一部が装填チャンバ内に位置するよう配置する。このことによって、保持レールからの眼内レンズの望ましくない早期脱落を回避することができ、さらに、このようにすることで、装填チャンバ外への眼内レンズの落下を回避することもできる。
【0043】
眼内レンズを装填チャンバ内に装填するために、保持装置をインジェクタチューブの外部に形成する案内トラックと係合するよう配置し、さらに、この保持装置は、この案内トラックに沿って変位可能とするのが好ましい。保持装置は、インジェクタ装置に取り付けた状態で安定的に位置決めされるので、保持装置の望ましくない落下またはインジェクタ装置からの望ましくない離脱を回避することができる。機械的に安定した位置決めに加えて、強固な構成を提供することができ、このことによって、高品質に形成することもできる。したがって、望ましくない移動公差またはインジェクタ装置の保持装置からの望ましくない離脱を回避することができる。
【0044】
好適には、案内トラックは、インジェクタチューブの長手方向軸線に平行に、両側に形成する。このことによって、やはり、案内を精密かつ安全なものに改善することができる。案内トラックは、装填チャンバの端部に隣接するよう配置して、特に、装填チャンバの端部に形成し、インジェクタ装置のテーパーを付けた挿入部材から遠ざかるようにするのが好ましい。このように、インジェクタ装置の長手方向に見て、保持装置をほぼ挿入部材の前方でインジェクタチューブに装着し、これにより安定した位置決めを実現することができる。インジェクタチューブは、通常、挿入部材よりも厚みを持たせて形成するので、機械的により安定したアタッチメントを得ることもできる。
【0045】
好適には、インジェクタ装置に取り付けた保持装置を、インジェクタ装置の基本位置に取り付け可能とし、保持装置の支持部材における支持アームの案内部材がカバーフラップ上側端縁の周りをグリップして、カバーフラップを開放した状態にするようにインジェクタ装置を形成する。したがって、案内部材は、フラップ外面上のカム状形状部に係合する。この構成によって、保持装置をインジェクタチューブに装着する際に、案内部材のカバーフラップに対する係合が、ほぼ自動的に確実に行われるので、この場合も構成部品の簡潔かつ確実な結合が保証される。ユーザーによる不都合なさらなる介入は必要ない。
【0046】
好適には、カバーフラップは外側に案内トラックを有し、この案内トラックは支持アームの案内部材と係合し、保持装置が基本位置から取り外し位置に移動する際に、カバーフラップは自動的に第1中間閉鎖位置に移動可能となるように、インジェクタ装置を形成する。特に、このように、保持装置とインジェクタ装置との間の機械的結合に応じて、カバーフラップの案内動作も自動化され、このカバーフラップの移動の案内は、インジェクタ装置に対する保持装置の移動にリンクさせる。特に、インジェクタ装置のインジェクタチューブに対して保持装置を移動させる。少なくとも特定の領域において、インジェクタチューブに対する保持装置の移動方向を、インジェクタチューブの長手方向軸線の方向に方向付けるのが好ましい。したがって、保持装置はインジェクタ装置に対して後退可能とするのが好ましく、このことによって、カバーフラップの中間閉鎖位置を、案内部材とカバーフラップとの機械的結合によって調整可能にする。特に、案内部材はカバーフラップの外側に形成する案内トラックに係合する構成とする。このことによって、カバーフラップの移動を機械的に安定した状態で案内し、案内部材が、カバーフラップを包囲する位置から不慮に離脱するのを回避することができる。
【0047】
特に、カバーフラップの第1中間閉鎖位置は、保持装置の支持アームによって維持する。したがって、ここでも、この中間閉鎖位置をさらに維持することができるように、またはほぼ第1中間閉鎖位置に調整することができるようにするために、ユーザーが直接カバーフラップを保持する必要はない。保持装置とインジェクタ装置との機械的結合によって、この点において自動化が生じ、この自動化によって、一時的または部分的に他の構成要素に対する、ある構成要素の正確な移動および調整のそれぞれを保証する。これら異なる自動(自己)調整操作手順に対して、ユーザーは、保持装置を初期的に平行移動させるだけでよい。この初期移動を行うことによって、したがって、他の手順の大部分が自動的に行われる。
【0048】
好適には、カバーフラップの第1中間閉鎖位置への移動によって、保持レールに配置したレンズは、少なくともカバーフラップの1つの内側面と側方で接触するようにする。第1閉鎖位置では、カバーフラップは、これらのフラップがレンズの幅の狭い側面に直接隣接するほど完全に開放した位置からスタートして閉鎖される。このように、カバーフラップによるレンズの機械的保持が得られるとともに、レンズの位置が、このようにして、望ましくないシフトを生ずることは事実上もはや起こらない。
【0049】
好適には、カバーフラップがこの第1中間閉鎖位置からスタートして保持装置のさらなる移動を生ずる際に、保持レールは自動的に持ち上げることができ、さらに、この保持装置のさらなる移動によって、レンズを保持レールから自動的に取り外すことができるようにする。したがって、支持部材が初期移動から連続してさらに移動すると、このことによって、ここでも保持レールは自動的に影響を受けるので、特定の領域で保持レールは装填チャンバから上方へ持ち上げられ、このことによって、続いて、レンズが保持装置から自動的に取り外されるという結果を自動的に生ずる。このことは、特に、予め調整した第1中間閉鎖位置での、保持状態でカバーフラップはレンズに対して側方から衝合する。この場合も、保持装置のさらなる移動は、インジェクタチューブの長手方向の少なくとも特定の領域でやはり生じ、この初期移動は、インジェクタチューブの案内トラックによって案内され、これら案内トラックに対して、保持装置の係合部材、特に支持部材の係合部材が係合する。
【0050】
特に、案内トラックは非直線的に形成し、湾曲して上方に至る。このように、一方でインジェクタチューブの長手方向軸線方向の移動または長手方向軸線の方向に平行な移動が案内されるとともに、保持装置の持ち上げと、さらにこのことによる保持レールのインジェクタチューブの長手方向軸線に対して直交する方向の持ち上げも案内される。インジェクタ装置の基本位置からスタートする保持装置の移動であって、保持装置から眼内レンズを取り外すための操作のシーケンス全体は、インジェクタチューブにおける長手方向軸線の方向への移動に関して一方向に常に生ずる。
【0051】
眼内レンズが保持レールから取り外される動作位置からスタートする保持装置のさらなる移動を生ずる際に、カバーフラップは最終閉鎖位置に移動し、この移動も、保持装置のさらなる移動の際に、案内部材によって自動的に生ずる。この場合も、この最終位置を調整するためにユーザーが直接カバーフラップを掴む必要なく、自動的に達成される。ここでも、自動的に最終閉鎖位置に調整することができるように、ユーザーは、保持装置の初期移動を継続させるだけでよい。
【0052】
好適には、眼内レンズは、カバーフラップの閉鎖操作によって、装填チャンバ内で自動的に折り畳まれるようにする。したがって、この眼内レンズの折り畳みはインジェクタチューブで達成するので、さらに、折り畳まれた眼内レンズは、プランジャによってインジェクタチューブからインジェクタ装置のテーパーを付けた案内部材に内に押し込むことができる。
【0053】
カバーフラップを閉鎖する場合、さらに、その結果、保持装置がインジェクタチューブに対して移動して最終位置に達する場合、このことによって、保持装置は、破壊せずにインジェクタチューブから着脱可能に取り外すことができる。さらに、保持装置は、ユーザーが保持装置をさらに保持することを必要としないで、この最終位置に、保持装置をインジェクタチューブに位置的に安定した状態で配置する。例えば、ロック位置をこの位置に設けることができる。
【0054】
保持装置の基本位置に関する上述の位置、ならびにカバーフラップの中間閉鎖位置は、保持装置の初期移動経路に沿う触覚で知覚可能なロック位置を、ユーザーが感じ取ることができるようにすることもできる。
【0055】
特に有利な実施形態では、カバーフラップは、それぞれ、自由端縁に複数のグリップ突起を有する構成とする。特に、カバーフラップにおけるグリップ突起は、他のカバーフラップにおけるグリップ突起に対してオフセットして配置する。この構成によって、状況に特定のカバーフラップおよび保持装置の正確な位置は、それぞれ極めて正確に互いに整合する。さらに、移動の案内、ならびにカバーフラップ、とくにグリップ突起の保持装置およびレンズに対する機械的接触が、位置的に極めて正確に保証され、さらに機械的に十分な接触量が保証される。このことによって、望ましくない領域の接触を回避することができる。さらに、カバーフラップによる保持装置および/またはレンズの特定の領域への望ましくない力の影響を意図的に回避することもできる。
【0056】
好適には、保持装置、特に支持部材は、眼内レンズを装填チャンバ内に装填するため、インジェクタ装置の長手方向軸線に直交する一方向、特にインジェクタチューブの長手方向軸線に直交する一方向のみに移動可能とする。このことによって、組立体の扱いが簡単な動作となり、ユーザーにとって簡潔なものとなる。構成要素のそれぞれに対する正確な移動は、僅かな距離に亘るものであっても、このことによって、確実なものとすることもできて、位置的な正確に行われることを可能にする。
【0057】
好適には、眼内レンズを装填チャンバに装填するために、保持装置を、装填チャンバ上方でインジェクタチューブ上に装着する構成とする。特に、保持レールをインジェクタチューブにおける係合部材と係合させてインジェクタチューブに位置的に固定し、支持部材がそれに対して移動可能となるようにする。
【0058】
特に、保持装置をインジェクタチューブ状に装着した後に、開始位置からスタートして支持部材を下方に移動させることによって、カバーフラップのグリップ突起は、第1中間位置で遷移部の内側面に接触する。カバーフラップは、保持装置における案内部材によって、軸線方向を保持される。
【0059】
好適には、支持部材を下方にさらに移動させることによって、グリップ突起は、斜め上方に指向する遷移部の内側面に沿って案内され、このことによって、カバーフラップは第1中間閉鎖位置内に案内されて、眼内レンズの端縁がグリップ突起に接触する。
【0060】
この状態からスタートして、特に支持部材を繰り返しさらに下方に移動させることによって、眼内レンズを保持レールから自動的に取り外し、自動的に折り畳まれて装填チャンバ内に装着され、カバーフラップが閉鎖位置に自動的に導かれる。
【0061】
他の実施形態では、カバーフラップにグリップ突起を設けず、レンズの自動係合が可能となるとともに、フラップの開始位置から完全な閉鎖位置への各行程は、これらグリップ突起を有する実施形態によって行われる行程と類似するようにカバーフラップの内側面を形成する。グリップ突起を有する実施形態との相違点は、レンズが特別に形成されるフラップの内側面にのみ接触する点である。
【0062】
さらに、本発明は眼内レンズの梱包(パッケージング)方法に関し、この方法では、レンズを、本発明による保持装置に取り付ける、または本発明の有利な変更形態による保持装置に取り付ける。レンズが運搬容器内に、容器内の滅菌水に浸漬配置されるよう、保持装置を運搬容器内に位置を固定して装着する。レンズは、蒸気滅菌によって滅菌することができる。さらに、好適には、インジェクタ装置は、ETO法によって少なくとも特定の領域を滅菌し、特に、インジェクタチューブの内側、および挿入部材の特定の領域を滅菌するよう構成する。
【0063】
本発明による保持装置の有利な実施形態と同様に、梱包および運搬用手段の有利な実施形態および保持装置の有利な実施形態を、運搬容器内に眼内レンズを梱包することに関するこの方法の有利な実施形態として考慮する。
【0064】
さらに、本発明は、眼内レンズのインジェクタ装置内への装填方法に関し、このインジェクタ装置は、本発明によるインジェクタ装置にしたがって形成するか、または本発明の有利な変更形態によるインジェクタ装置にしたがって形成する。眼内レンズは、保持装置と、装填チャンバを閉鎖するカバーフラップを有するインジェクタチューブとの協働によって、保持装置からインジェクタ装置の装填チャンバ内に自動的に装填される。保持装置とインジェクタ装置との間の機械的結合、および保持装置とインジェクタチューブとの相対的移動によって、眼内レンズが装填チャンバ内に自動的に導入されると同時に、カバーフラップが開放位置から完全な閉鎖位置まで自動的に移動することが可能となる。これら方法は、他の補助手段および鉗子等の他の補助器具を使用してレンズを掴むことなく実施することができ、さらに、ユーザーは、それらを動作させることができるようにするために、直接カバーフラップを掴む必要はもはやない。インジェクタ装置上に固定した保持装置を用いて眼内レンズをインジェクタ装置の装填チャンバ内に挿入する方法では、ユーザーは、支持部材のグリップ部材で保持装置を掴み、この保持装置を初期移動経路にそってインジェクタチューブに対して動作させるだけでよい。保持装置のインジェクタ装置に対する機械的結合によって、保持装置からのレンズの取り外し、装填チャンバ内へのレンズの装填およびカバーフラップの閉鎖に関する全てのさらなる操作が自動的に実施される。保持装置とインジェクタ装置との間の機械的結合、特に、各装置の特定構成要素間の機械的結合によって、眼内レンズを装填するためのこれら手順は、正確かつ自己始動するよう保持装置の初期移動に依存した調和した順序で一時的および局所的に実施される。したがって、装着操作中のいかなる時でも、眼内レンズおよびカバーフラップが望ましくない位置にあることを回避することができる。
【0065】
保持装置の有利な変更実施形態およびインジェクタ装置の有利な変更実施形態は、眼内レンズをインジェクタ装置内に装填するための方法の有利な変更実施形態が考えられる。
【0066】
概して、保持装置、梱包および運搬用手段、およびインジェクタ装置によって総合システムを提供し、このことによって、レンズの製造および梱包から眼内へのレンズの挿入に至る極めて機能的な処置が保証される。特に、このことは、レンズの滅菌操作および無菌処置の達成、および使い勝手の良い管理容易性と、レンズの使用に応じる調和した手順に関して改善される。実際にこのようなレンズが外科処置で使用する場合、さらに本発明またはその有利な変更実施形態による梱包および運搬用手段がすでに医療従事者によって実施される場合、運搬容器からカバーを除去して梱包を開封するだけでよい。医療従事者は、保持部材を掴んで運搬容器から保持装置を取り出して、保持装置をインジェクタ装置上に固定して、上述の初期移動を実施することで、レンズを有するインジェクタチューブのさらなる自動装填が達成されるのを可能にする。
【0067】
本発明のさらなる特徴は、請求項、図面および図面の説明から明らかである。上述の特徴および特徴の組み合わせ、ならびに図面の説明および/または図面に示す説明で以下に説明する特徴および特徴の組み合わせとは、本明細書でそれぞれ示す組み合わせで用いることができるだけでなく、本発明の範囲を逸脱することなく、他の組み合わせで用いる、または単独で用いることもできる。特に、このことによって、1実施形態の単一の特徴または特徴の組み合わせを、他の実施形態の特徴および特徴の組み合わせと組み合わせて、新規の実施形態を生じさせることができる。
【0068】
本発明の実施形態を、概略図につき、以下により詳細に説明する。