特許第5791288号(P5791288)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5791288
(24)【登録日】2015年8月14日
(45)【発行日】2015年10月7日
(54)【発明の名称】飛散防止用ネット
(51)【国際特許分類】
   E04G 21/32 20060101AFI20150917BHJP
【FI】
   E04G21/32 B
【請求項の数】3
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2011-24070(P2011-24070)
(22)【出願日】2011年2月7日
(65)【公開番号】特開2012-162915(P2012-162915A)
(43)【公開日】2012年8月30日
【審査請求日】2014年2月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】000213286
【氏名又は名称】シーキューブ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107700
【弁理士】
【氏名又は名称】守田 賢一
(72)【発明者】
【氏名】後藤 波太郎
【審査官】 渋谷 知子
(56)【参考文献】
【文献】 特開平08−074422(JP,A)
【文献】 特開2007−247161(JP,A)
【文献】 実開平07−040913(JP,U)
【文献】 実開平03−036033(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04G 21/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
同形の四枚の金属製矩形枠体を備え、内方に隣接して位置させた二枚の前記矩形枠体をその内側縁で互いにヒンジ結合するとともに、前記二枚の矩形枠体の各外側縁と外方に位置させた二枚の前記矩形枠体の各内側縁とを互いにヒンジ結合して、これら矩形枠体が互いに隣接して連なった展開状態とこれら矩形枠体を平面視で略M字状に折曲させつつ互いに折り重ねた収納状態とに変形可能となし、かつこれら矩形枠体の枠空間を覆うようにシート体を装着するとともに、前記シート体には下辺から一定高さ以上の範囲に開口を形成して、当該開口にネット体を覆着し、前記矩形枠体には前記下辺の下面の適宜個所に回動可能に長尺の脚体が軸着されており、前記脚体の端部には上面に磁石が装着されて、前記脚体は、前記矩形枠体の下辺に沿うように回動されて前記磁石が前記下辺に吸着し当該下辺の下面に沿って収納される収納状態と、前記下辺に対して交差する方向に引き出される進出状態との間で回動させられることを特徴とする飛散防止用フェンス。
【請求項2】
前記脚体は長手方向の中央から一端寄りの位置で前記矩形枠体の下辺下面に軸着されており、前記磁石は前記脚体の他端上面に装着されている請求項1に記載の飛散防止用フェンス。
【請求項3】
前記外方に位置させた矩形枠体と、前記内方に隣接して位置させた矩形枠体との間に架設されて、これら矩形枠体を互いに直角に折り曲げた状態に保持するステー体を設けた請求項1又は2に記載の飛散防止用フェンス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は道路工事現場に設置して舗装材やコンクリート材の破砕片の飛散を防止する飛散防止用ネットに関する。
【背景技術】
【0002】
道路の補修工事等においては、舗装材やコンクリート材のはつり作業時に破砕片が飛散する。この場合、通常の工事現場で使用される鋼板製の間仕切りでは運搬や設置に難渋する。そこで、比較的短時間に終了する道路補修工事等では、現場周囲に簡易的なシート掛けをしたり、間に合わせの合板等で現場周囲を囲ったりしていた。
【0003】
なお、特許文献1には、上方を鋼網、下方を鋼板、柱を鋼製パイプとした3枚の壁部材を観音開き可能に連接した構造の飛散防止用フェンスが示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平8−74422
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上述した従来の問題を解決するもので、道路補修のような簡易な工事において、工事現場に簡易に運搬して設置でき、舗装材やコンクリート材のはつり作業時に生じる破砕片の飛散を確実に防止する飛散防止用フェンスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本第1発明では、同形の四枚の金属製矩形枠体(1A〜1D)を備え、内方に隣接して位置させた二枚の前記矩形枠体(1B,1C)をその内側縁で互いにヒンジ結合するとともに、前記二枚の矩形枠体(1B,1C)の各外側縁と外方に位置させた二枚の前記矩形枠体(1A,1D)の各内側縁とを互いにヒンジ結合して、これら矩形枠体(1A〜1D)が互いに隣接して連なった展開状態とこれら矩形枠体(1A〜1D)を平面視で略M字状に折曲させつつ互いに折り重ねた収納状態とに変形可能となし、かつこれら矩形枠体(1A〜1D)の枠空間を覆うようにシート体(2)を装着するとともに、前記シート体(2)には下辺から一定高さ以上の範囲に開口(25)を形成して、当該開口(25)にネット体(26)を覆着し、前記矩形枠体(1A〜1D)には前記下辺の下面の適宜個所に回動可能に長尺の脚体(14)が軸着されており、前記脚体(14)の端部には上面に磁石(141)が装着されて、前記脚体は、前記矩形枠体の下辺に沿うように回動されて前記磁石(141)が前記下辺に吸着し当該下辺の下面に沿って収納される収納状態と、前記下辺に対して交差する方向に引き出される進出状態との間で回動させられることを特徴とする。
【0007】
本第1発明によれば、矩形枠体を平面視で例えば略コ字状に展開して、工事現場の片側を大きく囲むようにできる。マンホール撤去やその蓋高調整等の簡易な工事では、横断歩道側や車道側に面した工事現場の片側を囲めば十分な場合が多いから、本第1発明の飛散防止用フェンスが有効である。また、本第1発明の飛散防止用フェンスは、全体重量を軽量にできるから、シート体を装着した矩形枠体を互いに折り重ねた収納状態にして容易に持ち運ぶことができる。したがって、道路補修やマンホール撤去等における工事現場の移動に応じて、飛散防止用フェンスを即座に移動して再設置することができる。また、飛散防止用フェンスは下辺から一定高さ以上をネット体で構成してあるから、ネット体を介してフェンス内外を透視でき、通行者や作業者に安心感を与えることができる。また、脚体を下辺と交差するように進出させることにより、風等の影響を受けることなく矩形枠体を確実に起立姿勢に維持することができる。不使用時には脚体を矩形枠体の下辺に沿った収納状態にすれば、飛散防止用フェンスの持ち運びが容易となる。
【0008】
本第2発明では、前記脚体(14)は長手方向の中央から一端寄りの位置で前記矩形枠体(1A〜1D)の下辺下面に軸着されており、前記磁石(141)は前記脚体(14)の他端上面に装着されている。
【0010】
本第3発明では、前記外方に位置させた矩形枠体(1A,1D)と、前記内方に隣接して位置させた矩形枠体(1B,1C)との間に架設されて、これら矩形枠体(1A,1Bと1C,1D)を互いに直角に折り曲げた状態に保持するステー体(15)を設ける。
【0011】
飛散防止用フェンスをこのような形状に折り曲げることによって、工事現場を囲みつつ、より安定的に当該フェンスを起立させることができる。
【0012】
上記カッコ内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【発明の効果】
【0013】
以上のように、本発明の飛散防止用フェンスによれば、道路補修のような簡易な工事において、工事現場に簡易に運搬して設置でき、舗装材やコンクリート材のはつり作業時に生じる破砕片の飛散を確実に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の一実施形態を示す、飛散防止用フェンスの枠構造の平面図である。
図2】飛散防止用フェンスの枠構造の正面図である。
図3】シート体の半部正面図である。
図4】設置された飛散防止用フェンスを内方から見た斜視図である。
図5】設置された飛散防止用フェンスを外方から見た斜視図である。
図6】防音シートを装着した状態の飛散防止用フェンスを内方から見た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1には飛散防止用フェンスを構成する枠構造の平面図を示し、図2にはその正面図を示す。枠構造は4枚の同形の矩形枠体1A,1B,1C,1Dで構成されている。各矩形枠体1A〜1Dは角型金属チューブを組み合わせたもので、周囲の枠部11と中央の縦桟部12とで構成されている(図2)。隣接して内方に位置させた二枚の矩形枠体1B,1Cは、互いの内側縁の上下二個所でヒンジ部材13によって結合されている。各矩形枠体1B,1Cの外方にはそれぞれ一枚の矩形枠体1A,1Dが位置させられて、これら矩形枠体1A,1Dの内側縁が上記矩形枠体1B,1Cの外側縁と上下二箇所でヒンジ部材13によって結合されている。
【0016】
図1図2は矩形枠体1A〜1Dが互いに隣接して連なった展開状態にある場合を示しており、これらの図に示すような通常使用状態では、中央に位置する二枚の矩形枠体1B,1Cを直線状に位置させるとともに、両端に位置する矩形枠体1A,1Dを矩形枠体1B,1Cに対して直角に折曲させて、枠構造全体を平面視で略コ字状(図1)に展開して、工事現場の片側を大きく囲むようにする。なお、マンホール撤去やその蓋高調整等の簡易な工事では、横断歩道側や車道側に面した工事現場の片側を囲めば十分な場合が多い。
【0017】
各矩形枠体1A〜1Dには下辺の適宜位置に脚体14が設けてある。これら脚体14は上記下辺と同幅の平板の長尺体で、長手方向の中央から一端寄りで枠体下辺の底面に回動可能に軸着されている。脚体14の他端には上面に磁石141が装着してある。このような構造により、脚体14を枠体下辺に沿うように回動させると他端の磁石141が当該下辺に吸着して、下辺の下面に沿って脚体14が収納される。脚体14を使用する場合には図1に示すようにこれを回動させて上記下辺と交差するように進出させる。これにより、矩形枠体1A〜1Dが確実に起立姿勢に維持される。なお、進出させた脚体14上にウエイト等を載せれば、さらに確実に矩形枠体1A〜1Dを起立姿勢に保つことができる。
【0018】
矩形枠体1A,1Dの上辺には、矩形枠体1B,1Cとの連結部に近い上面に一端を回動可能に軸着してステー体15が設けてある。ステー体15の先端板面には通孔が形成してあり、当該通孔を矩形枠体1B,1Cの上辺に設けたピン体151(図2)に嵌装して、図1に示すように折曲コーナ部でステー体15を両矩形枠体1A,1Bと1C,1D間に掛け渡すことによって、矩形枠体1A,1Dを矩形枠体1B,1Cに対して略直角に保持することができる。枠構造をこのような形状にすることによって、工事現場を囲みつつ、より安定的に枠構造を起立させることができる。なお、枠構造は必ずしも平面視でコ字状にする必要はなく、現場の状況に応じて種々の形状に矩形枠体1A〜1Dの相対折り曲げ角度を変更して使用することができる。
【0019】
ここで、枠構造は、展開状態から以下の手順で容易に収納状態にすることができる。すなわち、脚体14を進出状態から収納状態とした後、ステー体15の掛け渡し状態を解消して矩形枠体1A,1Dをそれぞれ矩形枠体1B,1Cに折り重ねる(図1の矢印)。この後、矩形枠体1A,1Dが折り重ねられた矩形枠体1B,1C同士をさらに折り重ねる(図1の矢印)。これにより、枠構造を、その4枚の矩形枠体1A〜1Dを互いに折り重ねた収納状態とすることができる。
【0020】
上記矩形枠体1A〜1Dにはその枠空間を覆うように0.4mm厚程度の樹脂製のシート体2が装着される。シート体2の略半部の裏面図を図3に示す。シート体2は左右対称形で、その高さHは、下辺に沿って形成された一定幅hの裾部21を除いてほぼ矩形枠体1A〜1Dと同一となっている。シート体2の長さは4枚の矩形枠体1A〜1Dを連ねた長さにほぼ等しくしてある。そして、その左右縁と上縁には間隔をおいて多数の鳩目穴22が形成されている。また、シート体2には裾部21に沿って長手方向へ一定幅の取付片23がその上縁で取り付けられており、取付片23には長手方向へ間隔をおいて鳩目穴24が形成されている。
【0021】
シート体2には下辺から一定高さの位置にその両端部を除きほぼ全長に亘って当該シート体2の上縁近くに至る開口25が形成されており、この開口25にはネット体(例えば平岡織染(株)商品名ターポスクリーン)26が覆着されている。ネット体26には長手方向の上下複数位置に矩形枠体1A〜1Dの縦枠部111(図2)と縦桟部12に対応させて結束片27が設けられている。各結束片27は左右方向の中央がネット体26に止着されるとともに、各結束片27の左右端部には鳩目穴28が形成されている。
【0022】
シート体2は図4に示すように、鳩目穴22,24,28に結束紐を通して、直接ないし取付片27を介して矩形枠体1A〜1Dの枠部11や縦桟部12に結束装着される。シート体2が枠構造に装着された状態の飛散防止用フェンスを外方から見た斜視図を図5に示す。このような飛散防止用フェンスで工事現場を囲むことによって、はつり作業時等に生じた舗装材やコンクリート材の破砕片はシート体2やネット体26によって上記フェンス外への飛散が阻止される。
【0023】
このような飛散防止用フェンスは全体重量を15Kg程度の軽量とできるから、シート体2を装着した状態で既述のように、枠構造をその4枚の矩形枠体1A〜1Dが互いに折り重ねられた収納状態にして容易に持ち運ぶことができる。したがって、道路補修やマンホール撤去等における工事現場の移動に応じて、飛散防止用フェンスを即座に移動して再設置することができる。また、飛散防止用フェンスは上部をネット体で構成してあるから、ネット体を介してフェンス内外を透視でき、通行者や作業者に安心感を与えることができる。
【0024】
なお、本実施形態で示した飛散防止用フェンスのシート体2の表側に図6に示すように防音シート(例えば(株)クラレ 商品名サウンドシャッタ)3を覆着すると、工事で生じた騒音がフェンス外へ発散するのを有効に防止することができる。なお、図6では、防音シート3を表側から上記フェンスに被せた後、防音シート3の後縁の複数個所を、先端にフック(図示略)を備えたゴム紐31で矩形枠体1A〜1Dの下辺に係止して位置決めしている。
【符号の説明】
【0025】
1A,1B,1C,1D…矩形枠体、14…脚体、15…ステー体、2…シート体、25…開口、26…ネット体。
図1
図2
図3
図4
図5
図6