(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5791302
(24)【登録日】2015年8月14日
(45)【発行日】2015年10月7日
(54)【発明の名称】バーナ装置
(51)【国際特許分類】
F23R 3/28 20060101AFI20150917BHJP
F23R 3/36 20060101ALI20150917BHJP
F02C 7/00 20060101ALI20150917BHJP
F02C 7/22 20060101ALI20150917BHJP
F02C 7/228 20060101ALI20150917BHJP
【FI】
F23R3/28 D
F23R3/28 F
F23R3/36
F02C7/00 D
F02C7/22 A
F02C7/22 B
F02C7/228
【請求項の数】20
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2011-30726(P2011-30726)
(22)【出願日】2011年2月16日
(65)【公開番号】特開2011-169577(P2011-169577A)
(43)【公開日】2011年9月1日
【審査請求日】2014年1月8日
(31)【優先権主張番号】10154116.7
(32)【優先日】2010年2月19日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】390039413
【氏名又は名称】シーメンス アクチエンゲゼルシヤフト
【氏名又は名称原語表記】Siemens Aktiengesellschaft
(74)【代理人】
【識別番号】100075166
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 巖
(74)【代理人】
【識別番号】100133167
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 浩
(72)【発明者】
【氏名】アンドレアス べッチャー
(72)【発明者】
【氏名】ティモスィー エイ フォックス
(72)【発明者】
【氏名】トーマス グリープ
(72)【発明者】
【氏名】トビアス クリーガー
(72)【発明者】
【氏名】スティーヴン エイ ラマイアー
【審査官】
佐藤 健一
(56)【参考文献】
【文献】
特開平08−054119(JP,A)
【文献】
特開平08−261467(JP,A)
【文献】
特開2003−148734(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2006/0026966(US,A1)
【文献】
特開平08−005075(JP,A)
【文献】
特表2003−517553(JP,A)
【文献】
特開2000−356315(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02C 1/00−9/58
F23R 3/00−7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つのホルダ(37)と該ホルダ(37)に流れ方向に固定された少なくとも2本の燃料ノズル(40)とを備えたバーナ装置であって、
各燃料ノズル(40)がホルダ側基部(45)を有し、該ホルダ側基部(45)がホルダ側に、ホルダ(37)の当接面(55)に接する当接面(60)を有し、ホルダ側基部(45)から一体形成された少なくとも2つの燃料ノズル噴射頭部(47a、47b)が流れ方向に延び、ホルダ側当接面(60)がホルダ(37)の方向に突出する少なくとも2つの延長突起部を有し、各延長突起部がそれぞれ1つの流路を形成し、これらの延長突起部を通って、流れ方向において前記延長突起部に後置されホルダ側基部(45)のホルダ側当接面(60)に配置された出口(65)を通して燃料が燃料ノズル噴射頭部(47a、47b)に導入されることを特徴とするバーナ装置。
【請求項2】
前記延長突起部のバーナ側に燃料を供給する少なくとも2つの分配路が、燃料ノズルから見てホルダの反対側に設けられていることを特徴とする請求項1に記載のバーナ装置。
【請求項3】
前記少なくとも2つの延長突起部が少なくとも油路(50a)とガス路(51)であることを特徴とする請求項1又は2に記載のバーナ装置。
【請求項4】
もう1つの油路(50b)が存在していることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1つに記載のバーナ装置。
【請求項5】
それぞれの油路(50a、50b)が燃料ノズル噴射頭部(47a、47b)に油を供給することを特徴とする請求項4に記載のバーナ装置。
【請求項6】
前記延長突起部がホルダ側基部(45)のホルダ側当接面(60)における出口(65)に結合されていることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1つに記載のバーナ装置。
【請求項7】
ホルダ(37)に複数の貫通孔が設けられ、前記複数の延長突起部がホルダ(37)におけるこれらの貫通孔を通して貫通されていることを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1つに記載のバーナ装置。
【請求項8】
前記延長突起部が第1取付け要素を備えた反流れ方向の端部(34)を有し、
これらの延長突起部がホルダ(37)における貫通孔を通して貫通され、
これらの延長突起部が第1取付け要素と協働する第2取付け要素によってホルダ(37)に固定されている、ことを特徴とする請求項7に記載のバーナ装置。
【請求項9】
前記第1取付け要素および第2取付け要素がねじ結合要素であり、第1取付け要素が雄ねじであり、第2取付け要素がナットであることを特徴とする請求項8に記載のバーナ装置。
【請求項10】
第1取付け要素がホルダにぴったり接する冠状取付け具(63)であり、第2取付け要素として溶接継手が設けられ、該溶接継手によって取付け具(63)がホルダ(37)に溶接されていることを特徴とする請求項8に記載のバーナ装置。
【請求項11】
第1取付け要素とホルダ(37)との間に少なくとも1つのシールが存在していることを特徴とする請求項8ないし10のいずれか1つに記載のバーナ装置。
【請求項12】
ホルダ側基部(45)のホルダ側当接面(60)とホルダ(37)との間に少なくとも1つのシールが存在していることを特徴とする請求項1ないし11のいずれか1つに記載のバーナ装置。
【請求項13】
前記少なくとも1つのシールがC形シールあるいはO形シールリングであることを特徴とする請求項11又は12に記載のバーナ装置。
【請求項14】
少なくとも燃料ノズル噴射頭部(47a、47b)、ホルダ側基部(45)並びに出口(65)付きホルダ側当接面(60)が鋳造品として形成されていることを特徴とする請求項1ないし13のいずれか1つに記載のバーナ装置。
【請求項15】
前記延長突起部が燃料ノズル(40)のホルダ側基部(45)における出口(65)に溶接されていることを特徴とする請求項1ないし14のいずれか1つに記載のバーナ装置。
【請求項16】
前記延長突起部が少なくともホルダ側基部(45)の燃料ノズル噴射頭部(47a、47b)並びに出口(65)付きホルダ側当接面(60)と単一部材の形に形成されていることを特徴とする請求項1ないし15のいずれか1つに記載のバーナ装置。
【請求項17】
燃料ノズルのホルダ側当接面(60)が、該ホルダ側当接面(60)をホルダ(37)の当接面(55)に固定するための少なくとも1つの開口を有していることを特徴とする請求項1ないし16のいずれか1つに記載のバーナ装置。
【請求項18】
前記開口が孔であり、固定手段がねじ結合あるいはボルト結合であることを特徴とする請求項17に記載のバーナ装置。
【請求項19】
燃料ノズルのホルダ側当接面(60)に少なくとも6個の孔(73)が設けられ、これらの孔(73)が該ホルダ側当接面(60)全体にわたり分布されていることを特徴とする請求項18に記載のバーナ装置。
【請求項20】
請求項1ないし19のいずれか1つに記載のバーナ装置を備えていることを特徴とするガスタービン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はバーナ装置および特にガスタービンにおけるバーナ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ガスタービンは主要構造部品として圧縮機、動翼付きタービン並びに少なくとも1つの燃焼器を有している。タービンの動翼は通常はガスタービン全体を通して延び負荷例えば発電機に連結されている軸に動翼輪の形で配置されている。その動翼を備えた軸はタービンランナやロータとも呼ばれている。動翼輪間に静翼輪が存在し、この静翼輪はタービンを通して作動媒体を案内するノズルとして用いられる。
【0003】
ガスタービンの運転中、圧縮機から圧縮空気が燃焼器に供給される。その圧縮空気は燃料例えば油あるいはガスと混合され、その混合気は燃焼器において燃焼される。その高温の燃焼ガスは作動媒体として燃焼器出口からタービンに供給され、そこで膨張して衝撃を動翼に伝達し仕事をして冷える。その場合、静翼は衝撃伝達を最適にするために用いられる。
【0004】
特許文献1に記載され特にいわゆる管形燃焼器に利用されるようなガスタービンの典型的なバーナ装置は一般に、リングの円周に一様に分布された複数の燃料ノズルを備えたリング状ホルダを有している。それらの燃料ノズルに燃料噴射開口が配置され、その燃料噴射開口によって燃料が空気供給路に噴射される。燃料ノズルは予混合火炎、即ち、空気と燃料が点火前に混合される火炎を発生するために使用されるバーナの主要段となっている。火炎におけるNOx発生を最少にするために、予混合バーナは空気・燃料希薄混合気で、即ち、燃料含有量が比較的少ない混合気で運転される。
【0005】
環状の燃料分配器リングの中央を通って典型的にはパイロットバーナが延びている。このパイロットバーナは拡散バーナとして形成され、即ち、これは燃料が空気と予め混合されずに直接注入される火炎を発生する。パイロットバーナはガスタービンを起動するためのほかに予混合火炎を安定するためにも用いられる。その予混合火炎は有害物質発生を少なくするためにしばしば、パイロット火炎の支援なしでは火炎不安定が生じてしまう混合空燃比の範囲で運転される。
【0006】
上述のようなバーナ装置は典型的には、燃料を燃焼器に供給するために、金属ブロックから機械加工されホルダに溶接された複数の燃料ノズルを有している。そのホルダはそこに加工設置された燃料通路を通して燃料を個々のノズルに分配する。
【0007】
燃料通路の機械加工に対して十分な場所を用意するために、ホルダ半製品および従って将来のホルダは或る最低の厚みを有していなければならない。これはバーナ装置の重量並びに材料費を高める。さらにその機械加工は作業費がかかる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許第6082111号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の課題は、有利なバーナ装置を提供すること、特にガスタービン用の有利なバーナ装置を提供することにある。もう1つの課題はそのようなバーナ装置を備えた有利なガスタービンを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この課題は請求項1に記載のバーナ装置によって解決される。即ち、「1つのホルダと該ホルダに流れ方向に固定された少なくとも2本の燃料ノズルとを備えたバーナ装置であって、各燃料ノズルがホルダ側基部を有し、該ホルダ側基部がホルダ側に該ホルダ側基部がホルダの当接面に接する当接面を有し、ホルダ側基部から一体形成された少なくとも2つの燃料ノズル噴射頭部が流れ方向に延び、ホルダ側当接面がホルダの方向に突出する少なくとも2つの延長突起部を有し、各延長突起部がそれぞれ1つの流路を形成し、これらの延長突起部を通って流れ方向において延長突出部に後置されホルダ側基部のホルダ側当接面に配置された出口を通して燃料が燃料ノズル噴射頭部に導入されることを特徴とする。」
本発明の有利な実施態様は従属請求項2〜19に記載されている。ガスタービンに関する課題は請求項20に記載のガスタービンによって解決される。即ち、「請求項1ないし19のいずれか1つに記載のバーナ装置を備えていることを特徴とする。」
【0011】
本発明に基づくバーナ装置は、1つのホルダ並びにこのホルダに流れ方向に取り付けられた複数の燃料ノズルを有している。本発明に基づいて、ホルダが燃料分配器として利用される場合にホルダが最低の高さ即ち或る厚みを有していなければならないことが認識されている。燃料分配器として形成されたホルダは燃焼器において高温燃焼ガスに直接曝されるので、ホルダは耐熱材料例えば超合金で作られねばならない。しかし、これは非常に高価である。
【0012】
本発明によれば、バーナ装置は1つのホルダとこのホルダに固定された少なくとも2本の燃料ノズルを有している。本発明に基づいて、各燃料ノズルはまたホルダ側基部を有し、このホルダ側基部はホルダ側にホルダ側基部がホルダの当接面に接する当接面を有している。その場合、ホルダ側基部から一体形成された少なくとも2つの燃料ノズル噴射頭部が流れ方向に延びている。
【0013】
その場合、ホルダ側当接面はホルダの方向に突出する少なくとも2つの延長突起部を有し、各延長突起部はそれぞれ1つの流路を形成し、これらの延長突起部を通って流れ方向において延長突出部に後置されホルダ側基部のホルダ側当接面に配置された出口を通して燃料が燃料ノズル噴射頭部に導入される。この目的のために、その出口は1つの内管あるいは1つの配管を有することもできる。
【0014】
これによって、ホルダにおける分配路を省略することができる。従って、ホルダの材料厚さを減少することができ、これにより、重量およびコストが減少される。さらにホルダの燃料ノズルとは反対側の部位におけるバーナ装置の組込み空間の大きさについての要求は従来技術よりも厳しくない。また全体としてホルダの機械加工も容易になる。
【0015】
好適には、延長突起部のバーナ側に燃料を供給する少なくとも2つの分配路が、燃料ノズルから見てホルダの反対側に設けられている。これらの分配路がいまやホルダの反対側に位置し、また(元来の分配路のように)高温燃焼ガスに直接接触しないので、これらの分配路はいまや安価な材料で作ることができる。これによって、大きくコストが削減できる。即ち、燃料は(流れ方向に見て)ホルダの上流で既に分配され、ホルダの下流では流路に分配されない。
【0016】
特に有利な実施態様において、少なくともこの2つの延長突起部は少なくとも油路とガス路である。加えてもう1つの油路が存在している。従って、少なくとも2つの燃料ノズル噴射頭部にそれぞれ別個の油路で油が供給され、そのようにして異なって制御することもできる。
【0017】
好適には、これらの延長突起部は、即ち、特にこれらの流路は燃料ノズルのホルダ側基部のホルダ側当接面における出口に形状結合的および/又は材料結合で結合されている。特にこの結合手段はねじ結合あるいは溶接結合である。
【0018】
有利な実施態様において、このホルダに複数の貫通孔が設けられている。ホルダにおけるこれらの貫通孔を通していまや複数の延長突起部が、即ち、複数の流路が貫通されている。
【0019】
好適には、これらの延長突起部特に流路は第1取付け要素を備えた反流れ方向の端部を有している。またこれらの延長突起部が、即ち、流路がホルダにおける貫通孔を通して貫通されている。さらにこれらの延長突起部が第1取付け要素と協働する第2取付け要素によってホルダに固定されている。その第1取付け要素および第2取付け要素はねじ継手とすることができ、特に第1取付け要素は雄ねじであり、第2取付け要素はナットである。
【0020】
これに代えて、第1取付け要素をホルダにぴったり接する冠状取付け具とすることができる。これは溶接結合あるいは材料結合によってホルダにホルダ側で結合されている。従って、その溶接結合あるいは材料結合がいわば第2取付け要素となっている。溶接結合ないし材料結合は、貫通孔がタービンにおける望ましくないガスあるいは圧縮空気の通過を生ずることを防止する。
【0021】
好適には、第1取付け要素とホルダとの間に少なくとも1つのシールが存在している。そのかわりにあるいはそれに加えて、ホルダ側基部のホルダ側当接面とホルダとの間に少なくとも1つのシールが存在する。このシールは特に空気通過を封じるために出口を取り囲んで配置されている。
【0022】
好適には、少なくとも1つのシールはC形シールあるいはO形シールリングである。
【0023】
有利な実施態様において、少なくとも燃料ノズル噴射頭部、ホルダ側基部並びに出口付きホルダ側当接面は鋳造品として形成されている。
【0024】
好適には、延長突出部は燃料ノズルのホルダ側基部における出口に溶接されている。出口が内管を有するか配管として形成されているとき、延長突出部は内管ないし配管に溶接されている。
【0025】
これに代えて、延長突出部は少なくともホルダ側基部の燃料ノズル噴射頭部並びに出口付きホルダ側当接面と一体形成することができる。
【0026】
好適には、燃料ノズルのホルダ側当接面はホルダにホルダ側当接面を固定するための少なくとも1つの開口を有している。この開口は孔とすることができる。ホルダはそれに対応した複数の開口あるいは孔を有している。ホルダ側当接面はホルダにねじ結合あるいはボルト結合によって固定することができる。これらのボルトはねじの代わりにアキシャル荷重なしで、迅速に且つ頻繁に分解される結合に対してしばしば採用される。
【0027】
好適には、ホルダ側当接面にねじ結合用ないしボルト結合用の少なくとも6個の孔が設けられ、これらの孔はホルダ側当接面全体にわたり分布されている。当接面全体にわたる孔の分布パターンによって、燃料ノズルは急速に減衰される高い固有周波数を有している。これによって、燃料ノズルは固有周波数に対して安定している。
【0028】
このバーナ装置は特にガスタービンに設けられている。
【0029】
以下の図を参照した実施例の説明から本発明の他の特徴、特性および利点が理解できる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図2】従来におけるガスタービン用バーナ装置の斜視図。
【
図3】燃料ノズル噴射頭部とホルダとを備えた本発明に基づくバーナ装置の斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0031】
先に、ガスタービンを概略断面図で示した
図1を参照して、従来のガスタービンの構造および機能について説明する。ガスタービン1は圧縮機部分3、燃焼部分4およびタービン部分7を有し、この実施例では燃焼部分4はそれぞれバーナ6が配置された複数の管形燃焼器5を有しているが、基本的には1つの環状燃焼器を有することもできる。ランナとも呼ばれるロータ9はガスタービン1の上述の全部分を通して延び、圧縮機部分3に圧縮機動翼輪11が付けられ、タービン部分7にタービン動翼輪13が付けられている。隣り合う圧縮機動翼輪11間および隣り合うタービン動翼輪13間にそれぞれ圧縮機静翼15から成る静翼輪ないしタービン静翼17から成る静翼輪が配置されている。それらの静翼15、17はそれぞれガスタービン1の車室19からロータ9の方向に向けて半径方向に延びている。
【0032】
ガスタービン1の運転中、空気が空気入口21を通して圧縮機部分3に吸い込まれる。そこで空気は回転する圧縮機動翼11によって圧縮され、燃焼部分4におけるバーナ6に導かれる。その空気はバーナ6において気体燃料ないし液体燃料と混合され、その混合気は燃焼器5において燃焼される。そして高温高圧の燃焼ガスが作動媒体としてタービン部分7に供給される。その燃焼ガスはタービン部分を通過する間にタービン動翼13に衝撃を伝達し、その間に膨張し冷える。その膨張済みの冷えた燃焼ガスは排気口23を通してタービン部分7から出る。伝達された衝撃はロータ9を回転運動させ、この回転運動が圧縮機および負荷例えば発電機や工業用作業機械を駆動する。その場合、タービン静翼17の静翼輪は、タービン動翼13への衝撃伝達を最適にするために、作動媒体を案内するためのノズルとして用いられる。
【0033】
図2は燃焼部分4の従来のバーナ6を斜視図で示している。このバーナ6は主要構成要素として燃料分配器リング27と、この燃料分配器リング27から出ている8本の燃料ノズル29と、これらの燃料ノズル29の噴射頭部領域にそれぞれ配置された8個のスワーラ(旋回流発生器)31とを有している。複数の燃料分配器リング27および燃料ノズル29は共にバーナハウジングを形成し、燃料案内管がそのバーナハウジングを通ってスワーラ31の内部に配置された噴出開口まで延びている。燃料ノズル29は燃料分配器リング27に溶接される。バーナはそれぞれ接続短管(図示せず)を介して複数の燃料入口管に接続される。バーナ6はフランジ35によって、燃料ノズル29が燃焼器内部に向くように管形燃焼器に取り付けられる。
【0034】
図2に示されたバーナ6は8本の燃料ノズル29を有しているが、異なった本数の燃料ノズルを装備することもできる。その燃料ノズル29の数は8本より多くも少なくもでき、例えばそれぞれ専用のスワーラを有する6本の燃料ノズル29あるいは12本の燃料ノズル29を設置することもできる。さらに通常、バーナの中央にパイロット燃料ノズルが配置されている。このパイロット燃料ノズルは
図2では見通しよくするために図示されていない。
【0035】
燃焼過程中に空気は圧縮機からスワーラ31によって案内され、そこで空気は燃料と混合される。続いてその空気・燃料混合気は燃焼器5の燃焼域において燃焼され、作動媒体が発生される。
【0036】
ホルダ27は各燃料ノズル29に燃料を分配する目的を有している。そのためにホルダ27は内部に複数の燃料流路が設けられ、これから各燃料ノズル29に燃料が供給される。燃料をホルダ27に導く燃料入口管に対する複数の接続口がホルダ27に存在し、燃料はそのホルダ27において各燃料ノズル29に分配される。その場合、異なった種類の燃料も利用できる。そのために燃料ノズル29は燃料が流出する少なくとも1つの燃料開口を有している。
【0037】
これらの燃料流路は典型的には円筒状ホルダ半製品に機械加工で切削して設けられ、続いて溶接された部材で塞がれる。配管用の貫通路も機械加工でホルダ半製品に設けられる。その貫通路およびガス路の機械加工に対する十分な場所を用意するために、ホルダ半製品従って後のホルダは或る最低の厚みを有していなければならない。これはバーナ装置の重量および材料費を高める。また機械加工は作業費がかかり、これに伴って高いコストが生ずる。別の問題は、ホルダ27に対する燃料ノズル29の組立にある。これは燃料ノズル29がホルダ27に対して垂直に溶接されねばならないからである。またこの製造は非常に時間がかかり、大きな経費とそれによる高いコストが伴って生ずる。また燃料ノズルはスワーラ31に溶接されている。ホルダ27は燃料ノズル29と同じように高温に曝される。従って、ホルダ27並びに燃料ノズル29は耐熱材料例えば耐食性ニッケル合金で作られねばならない。しかしこの材料は同じくコストを非常に高める。
【0038】
これはいまや本発明によって回避される。本発明によれば、1つのホルダ37とこのホルダ37に流れ方向に固定された少なくとも2本の燃料ノズル40とを備えたバーナ装置が設置されている(
図3)。その各燃料ノズル40はホルダ側基部45を有し、このホルダ側基部45はホルダ側にホルダ37の当接面55に接する当接面60を有している。そのホルダ側基部45から一体形成された少なくとも2つの燃料ノズル噴射頭部47a、47bが流れ方向に、即ち、燃焼器5の方向に出ている。ホルダ側当接面60はホルダ37の方向に突き出した少なくとも2つの延長突起部を有し、これらの延長突起部は特に流路として、特に油路50aおよびガス路51として形成されている。これらの延長突起部は管路としても作ることができる。流路50a、51を通してそれぞれ燃料がホルダ側基部45のホルダ側当接面60における後で詳述する出口65を通って燃料ノズルに導入される。そのためにそれらの出口65に図示されていない1本の管を設けることもできる。この実施例では特に2つの油路50a、50bが設けられている。この形態は、ホルダ側基部45から燃焼器5の方向に延びる一体形成された2つの燃料ノズル噴射頭部47a、47bにいまやそれぞれの油路50a、50bから燃料が供給されるので特に有利である。
【0039】
ホルダ37に複数の貫通孔(別個に図示されず)が設けられ、これらの貫通孔を通して油路50a、50bおよびガス路51がホルダ37を貫通して導かれている。
【0040】
ホルダ側基部45のホルダ側当接面60に複数の燃料の出口65(
図4)が設けられている。これらの出口65は後から例えば穿孔によって設けられるか製作時に同時に製造することができる。流路50a、50b、51はいまやその出口65に形状結合的におよび/又は材料結合されている。出口65が内管を有するか配管として形成されていることによって、流路50a、50b、51は出口65に接続されている。燃料は流路50a、50b、51を通して搬送され、燃料ノズル40にそれぞれの出口65を通して流入し、燃料ノズル噴射頭部47a、47bに導かれる。
【0041】
ここで形状合致的結合ないし材料的結合とは、流路50a、50b、51が出口65に溶接されているか、製作時に例えば鋳造によって同時に設けられていることを意味する。
【0042】
ホルダ側に少なくとも1つの分配路(図示せず)が設けられているが、通常は油およびガスに対する2つの分配路が設けられ、この分配路は流路50a、50b、51にそれぞれホルダ側で相応した燃料を供給する。この分配器リングは燃焼器における高温ガスに直接曝されないので、これは安価な材料で作れる。
【0043】
さらに、ホルダのノズル噴射頭部とは反対側の部位におけるバーナ装置の組込み空間についての要件は従来技術よりも厳しくない。全体としてホルダの機械加工作業も容易である。
【0044】
流路50a、50b、51はホルダ37の貫通孔を通り抜けている。また流路50a、50b、51はそれぞれ第1取付け要素を備えた反流れ方向先端34を有し、その第1取付け要素と協働する第2取付け要素でホルダ37に固定されている。
【0045】
その第1取付け要素および第2取付け要素はねじ継手とすることができる。
【0046】
ここで示された実施例において、その固定はホルダ37にぴったり接しホルダ37にホルダ側が形状が合うように結合され特に溶接された延長突起部63によって与えられている。また、第1取付け要素例えば延長突起部63とホルダ37との間に少なくとも1つのシールが置かれる。しかしここでは溶接継手自体をシールとして形成することもできる。
【0047】
ホルダ側基部45のホルダ側当接面60とホルダ37との間にも特に出口65を取り囲んでシールが置かれる。そのシールはここでは溶接継手でもよい。
【0048】
燃料ノズルのホルダ側当接面60は6個の孔73を有している(
図5)。ホルダ37はそれに対応した開口あるいは孔を有している。これらの孔73を通してねじ結合あるいはボルト結合によって燃料ノズル40がホルダ37に固定される。それらの孔73はホルダ側当接面60全体にわたって分布されている。そのような孔73の分布によって燃料ノズル40は急速に減衰される高い固有振動数を有する。従って、燃料ノズル40は固有振動数に対して安定している。ねじ結合ないしボルト結合は溶接された延長突起部63に加えて燃料ノズル40をホルダ37に固定し、そのようにして運転中における圧力荷重の大部分を受ける。その圧力荷重は従来における燃料ノズルの場合には大部分が燃料ノズル噴射頭部47a、47bおよび流路によって燃料ノズル噴射頭部に伝達され、これはバーナ装置の寿命を著しく短縮しまっていた。ホルダ37への延長突起部63の溶接により燃料ノズル40を追加的にホルダ37に固定することができる。
【0049】
ホルダ側当接面60における孔73並びにそれに対応したホルダ37における穴/孔は大きな寸法公差で設計でき、これによって、迅速且つ単純な組立が可能である。
【0050】
本発明に基づくバーナ装置によれば、コストを著しく低減することができる。これは、燃料分配器として形成されたホルダ37がいまや従来における燃料分配器として形成されたホルダ27より著しく薄い厚さを有することに起因する。すべての孔ないし開口は、特に精密な寸法公差が要求されず守られる必要もないので、迅速に且つ容易に作れる。そして、寿命が著しく高められる。ただ溶接継手だけを検査すればよいので、これは頻繁に実施できる。溶接継手は欠陥なしに非常に容易に標準的に修復ないし補修することもでき、これは部品に寿命を長くする働きをする。
【符号の説明】
【0051】
37:ホルダ、40:燃料ノズル、45:ホルダ側基部、47a、47b:燃料ノズル噴射頭部、50a:油路、51:ガス路、55,60:当接面、63:取付け具、65:出口、73:孔。