特許第5791317号(P5791317)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許5791317-熱応動式スチームトラップ 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5791317
(24)【登録日】2015年8月14日
(45)【発行日】2015年10月7日
(54)【発明の名称】熱応動式スチームトラップ
(51)【国際特許分類】
   F16T 1/10 20060101AFI20150917BHJP
   F16K 31/68 20060101ALI20150917BHJP
   F16K 7/17 20060101ALI20150917BHJP
【FI】
   F16T1/10
   F16K31/68 B
   F16K7/17 B
【請求項の数】1
【全頁数】5
(21)【出願番号】特願2011-57219(P2011-57219)
(22)【出願日】2011年3月15日
(65)【公開番号】特開2012-193785(P2012-193785A)
(43)【公開日】2012年10月11日
【審査請求日】2014年2月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】000133733
【氏名又は名称】株式会社テイエルブイ
(72)【発明者】
【氏名】西村 祐貴
【審査官】 加藤 一彦
(56)【参考文献】
【文献】 特開平6−300187(JP,A)
【文献】 特開2010−266012(JP,A)
【文献】 米国特許第2289020(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16T 1/10
F16T 1/02
F16K 7/17
F16K 31/68
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
弁ケーシングで入口と弁室と出口を形成し、導出路を有する弁座部材を弁室と出口との間に配置し、上下二つの壁部材と、両壁部材の間に外周縁を固着したダイヤフラムと、上壁部材とダイヤフラムとの間に封入した膨脹媒体と、ダイヤフラムに連結した弁部材とから成る温度制御機素を弁室内に配置し、膨脹媒体の膨脹収縮によるダイヤフラムの変位によって弁部材を弁座部材に離着座せしめて導出路を開閉するものであって、ダイヤフラムの外周縁固定部と弁部材連結部との間に環状突出部を形成すると共に、膨脹媒体の膨脹時にダイヤフラムの下面が当接する下壁部材の上面をダイヤフラムの下面と同一あるいは近似する形状に形成したものにおいて、膨脹媒体の収縮時にダイヤフラムの上面が当接する上壁部材の下面をダイヤフラムの上面と同一あるいは近似する形状に形成したことを特徴とする熱応動式スチームトラップ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種蒸気使用機器や蒸気配管で発生する復水を自動的に排出するスチームトラップに関し、特に、蒸気と復水で加熱冷却されその温度に応じて膨脹収縮する媒体を含む温度制御機素を用いて、所定温度以下の復水を系外へ排出する熱応動式スチームトラップに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の熱応動式スチームトラップは、例えば特許文献1に開示されている。これは、弁ケーシングで入口と弁室と出口を形成し、導出路を有する弁座部材を弁室と出口との間に配置し、上下二つの壁部材と、両壁部材の間に外周縁を固着したダイヤフラムと、上壁部材とダイヤフラムとの間に封入した膨脹媒体と、ダイヤフラムに連結した弁部材とから成る温度制御機素を弁室内に配置し、膨脹媒体の膨脹収縮によるダイヤフラムの変位によって弁部材を弁座部材に離着座せしめて導出路を開閉するものにおいて、ダイヤフラムの外周縁固定部と弁部材連結部との間に環状突出部を形成すると共に、ダイヤフラムの下面が当接する下壁部材の上面をダイヤフラムの下面と同一あるいは近似する形状に形成したものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平6−300187号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来の熱応動式スチームトラップは、ダイヤフラムの外周縁固定部と弁部材連結部との間に環状突出部を形成しているので、ダイヤフラムが膨脹媒体の膨脹収縮作用によって変形し易くなり、変位量も大きくなるものである。また、ダイヤフラムの下面が当接する下壁部材の上面をダイヤフラムの下面と同一あるいは近似する形状に形成しているので、膨脹媒体の膨脹による大きな力によりダイヤフラムが下壁部材に当接してもダイヤフラムに折れ曲がり等が生ずることを防止でき、耐用寿命を長く保つことができるものである。しかしながら、膨脹媒体の収縮による大きな力によりダイヤフラムが上壁部材に当接するとダイヤフラムに折れ曲がり等が生ずることとなり、耐用寿命を長く保つことができないという問題点があった。
【0005】
したがって本発明が解決しようとする課題は、ダイヤフラムの耐用寿命を長く保つことができるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本発明の熱応動式スチームトラップは、弁ケーシングで入口と弁室と出口を形成し、導出路を有する弁座部材を弁室と出口との間に配置し、上下二つの壁部材と、両壁部材の間に外周縁を固着したダイヤフラムと、上壁部材とダイヤフラムとの間に封入した膨脹媒体と、ダイヤフラムに連結した弁部材とから成る温度制御機素を弁室内に配置し、膨脹媒体の膨脹収縮によるダイヤフラムの変位によって弁部材を弁座部材に離着座せしめて導出路を開閉するものであって、ダイヤフラムの外周縁固定部と弁部材連結部との間に環状突出部を形成すると共に、ダイヤフラムの下面が当接する下壁部材の上面をダイヤフラムの下面と同一あるいは近似する形状に形成したものにおいて、ダイヤフラムの上面が当接する上壁部材の下面をダイヤフラムの上面と同一あるいは近似する形状に形成したものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、ダイヤフラムの外周縁固定部と弁部材連結部との間に環状突出部を形成すると共に、ダイヤフラムの下面が当接する下壁部材の上面をダイヤフラムの下面と同一あるいは近似する形状に形成したものにおいて、ダイヤフラムの上面が当接する上壁部材の下面をダイヤフラムの上面と同一あるいは近似する形状に形成したものであるので、膨脹媒体の膨脹による大きな力によりダイヤフラムが下壁部材に当接してもダイヤフラムに折れ曲がり等が生ずることを防止でき、また、膨脹媒体の収縮による大きな力によりダイヤフラムが上壁部材に当接してもダイヤフラムに折れ曲がり等が生ずることを防止でき、耐用寿命を長く保つことができるという優れた効果を生じる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施の形態に係わる熱応動式スチームトラップの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態について、図1を参照して説明する。上ケーシング1と下ケーシング2とをねじ結合して、内部に弁室3を有する弁ケーシングが形成される。上ケーシング1に入口4が、下ケーシング2に出口5が形成される。弁室3と出口5との間の隔壁6に、弁座部材7がねじ結合されている。弁座部材7の中央に、弁室3と出口5とを連通する貫通導出路8が形成されている。弁座部材7の上方に、温度制御機素9が位置する。温度制御機素9は、注入口10を有する上壁部材11と、注入口10を密封する栓部材12と、上壁部材11との間に収容室13を形成する第1ダイヤフラム14と、収容室13に密封した膨脹媒体15と、弁座部材7に離着座して導出路8を開閉する弁部材16と、弁部材16を環状部材17と共に固着する第2ダイヤフラム18と、第1及び第2ダイヤフラム14,18の外周縁を上壁部材11との間に挟んで固着する下壁部材19と、上壁部材11に固着したストッパー20とから成る。膨脹媒体15は、水、水より沸点の低い液体、或いはそれらの混合物で形成される。
【0010】
第1ダイヤフラム14は同心円状の環状突出部21を複数個有する波形に形成されている。第1ダイヤフラム14の環状突出部21に沿うように第2ダイヤフラム18も同心円状の環状突出部22を複数個有する波形に形成されている。膨脹媒体15の膨脹時に第2ダイヤフラム18の下面が当接する下壁部材19の上面も第2ダイヤフラム18の下面の波形に沿うように、第2ダイヤフラム18の下面と同一あるいは近似する同心円状の波形状部23を有する形状に形成されている。また、膨脹媒体15の収縮時に第1ダイヤフラム14の上面が当接する上壁部材11の下面も第1ダイヤフラム14の上面の波形に沿うように、第1ダイヤフラム14の上面と同一あるいは近似する同心円状の波形状部24を有する形状に形成されている。第1及び第2ダイヤフラム14,18に設ける環状突出部は夫々少なくとも1つ形成すればよく、また、第1及び第2ダイヤフラム14,18の形状に沿うように上壁部材11の下面と下壁部材19の上面が形成されればよい。
【0011】
温度制御機素9は、下ケーシング2の内面に一体に形成された複数個のリブ25内に収容され、下ケーシング2の内面に取付けられた弾性部材26によって下方に付勢され、リブの底壁に下壁部材19の外周下面が当たって保持されている。
【0012】
上記実施例の熱応動式スチームトラップの動作は下記の通りである。入口4から弁室3に流入する流体の温度が低い場合、膨脹媒体15は収縮し、第1及び第2ダイヤフラム14,18が弁室3内の流体圧力によって持上げられ、弁部材16が弁座部材7から離座して導出路8を開けている。これによって、低温流体即ち復水が出口5から排出される。このとき、第1ダイヤフラム14の上面が上壁部材11の下面とストッパー20の下面に当接する。低温流体の排出によって弁室3に高温流体が流入してくると、膨脹媒体15が膨脹し、第1及び第2ダイヤフラム14,18を介して弁部材16を弁座部材7に着座せしめて導出路8を閉止し、高温流体即ち蒸気の流出を防止する。このとき、第2ダイヤフラム18の下面と下壁部材19の上面との間には僅かな隙間があり、膨脹媒体15がさらに膨脹すると、コイルスプリング26の付勢力に抗して温度制御機素9が上方に変位し、第2ダイヤフラム18の下面と下壁部材19の上面とが当接する。
【産業上の利用可能性】
【0013】
本発明は、膨脹媒体を含む温度制御機素を用いて各種蒸気使用機器や蒸気配管で発生する所定温度以下の復水を系外へ排出する熱応動式スチームトラップに利用することができる。
【符号の説明】
【0014】
1 上ケーシング
2 下ケーシング
3 弁室
4 入口
5 出口
7 弁座部材
8 導出路
9 温度制御機素
11 上壁部材
14 第1ダイヤフラム
15 膨脹媒体
16 弁部材
18 第2ダイヤフラム
19 下壁部材
21,22 環状突出部
23,24 波形状部
図1