(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5791345
(24)【登録日】2015年8月14日
(45)【発行日】2015年10月7日
(54)【発明の名称】気液分離器
(51)【国際特許分類】
B01D 45/12 20060101AFI20150917BHJP
B04C 5/103 20060101ALI20150917BHJP
F22B 37/32 20060101ALI20150917BHJP
【FI】
B01D45/12
B04C5/103
F22B37/32 A
【請求項の数】1
【全頁数】5
(21)【出願番号】特願2011-92325(P2011-92325)
(22)【出願日】2011年4月18日
(65)【公開番号】特開2012-223687(P2012-223687A)
(43)【公開日】2012年11月15日
【審査請求日】2014年3月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】000133733
【氏名又は名称】株式会社テイエルブイ
(72)【発明者】
【氏名】関 利行
【審査官】
中村 泰三
(56)【参考文献】
【文献】
特開2005−034751(JP,A)
【文献】
実開昭61−104898(JP,U)
【文献】
特開2006−349254(JP,A)
【文献】
特開2009−096966(JP,A)
【文献】
特開平10−186079(JP,A)
【文献】
特開昭62−095113(JP,A)
【文献】
実開昭63−160922(JP,U)
【文献】
特開2003−269336(JP,A)
【文献】
特開2004−346751(JP,A)
【文献】
特開平11−057357(JP,A)
【文献】
米国特許第06702877(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 45/12
B04C 5/103
F22B 37/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケーシングと排気管で形成する環状空間に旋回羽根を配置し、前記環状空間の上方を入口に連結し、前記排気管の下端から内側の孔を通してその上方を出口に連結し、前記環状空間の下方に旋回室と前記旋回室の下方に排液弁室を形成して前記排液弁室の下部を排液口に連結したものにおいて、前記排気管の外表面に沿って流下する液体が集まる複数の縦向きの溝を前記排気管の外表面に形成したことを特徴とする気液分離器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蒸気や圧縮空気や各種ガス等の気体中に混入している復水や凝縮水等の液体をケーシング内に旋回流を起こして遠心力によって分離する気液分離器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の気液分離器は、例えば特許文献1に開示されている。これは、ケーシングと排気管で形成する環状空間に旋回羽根を配置し、環状空間の上方を入口に連結し、排気管の下端から内側の孔を通してその上方を出口に連結し、環状空間の下方に旋回室と該旋回室の下方に排液弁室を形成して該排液弁室の下部を排液口に連結したものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−28422
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来の気液分離器は、入口から環状空間に入った流体を旋回羽根で旋回せしめて遠心力の作用で気体中の液体を外側に振り出し、この外側に振り出した液体をケーシングの内周壁に沿って排液弁室に流下させて排液口から排出し、液体の分離された気体を排気管の下端から排気管の内側の孔を通して出口に流出させるものであるが、微小な液体が排気管の外表面に沿って流下して気体流と共に出口に運び出されてしまうために、気液の分離効率が悪い問題点があった。
【0005】
したがって本発明が解決しようとする課題は、排気管の外表面に沿って流下する微小な液体が出口に運び出されることのない気液分離器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本発明の気液分離器は、ケーシングと排気管で形成する環状空間に旋回羽根を配置し、環状空間の上方を入口に連結し、排気管の下端から内側の孔を通してその上方を出口に連結し、環状空間の下方に旋回室と該旋回室の下方に排液弁室を形成して該排液弁室の下部を排液口に連結したものにおいて、排気管の外表面に複数の縦向きの溝を形成したことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明は、排気管の外表面に複数の縦向きの溝を形成したことにより、排気管の外表面に沿って流下する微小な液体が複数の縦向きの溝に集まり大きくなって外側に振り出され易くなるので、微小な液体が気体流と共に出口に運び出されることがなくなり、気液の分離効率を高めることができるという優れた効果を生じる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の実施の形態に係わる気液分離器の断面図である。
【
図2】
図1の排気管の一部を半径方向に切断した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態について、
図1乃至
図2を参照して説明する。ケーシングは本体1に出入口部材2と底蓋3を夫々溶接して形成する。出入口部材2は左右に入口4と出口5を有し、入口4に入口フランジ6を溶接し、出口5に出口フランジ7を溶接する。底蓋3は下端中央に排液口8を有し、排液口8に排液管9を溶接する。本体1は円筒形状で上部内面の直径を大きく形成する。本体1の上部内面と下部内面との間の環状の段部に、二重のほぼ円筒形状の排気管10を載せ、排気管10を出入口部材2との間で固定する。排気管10の外側円筒は真直ぐな形状で内側円筒よりも低く形成する。外側円筒は省略して本体1で兼用することもできる。排気管10の内側円筒は上部が上方に向って緩やかに拡がり、下部が下方に向って緩やかに拡がった形状で、下端部が水切り部16を成す。排気管10の内側円筒の外表面にその周方向にほぼ一定の間隔で複数の縦向きの溝20を形成する。溝20は断面をコ字状や台形状や三角形状や半円状に形成することができる。
【0010】
排気管10の内外円筒の間に形成される環状空間11に、排気管10と一体に旋回羽根12を形成する。入口4は連通孔13を通して下方の環状空間11に連結し、排気管10の内側円筒の内側は上方の出口5に連結する。本体1の下部内面と底蓋3の内面との間に旋回室14と、旋回室14の下方に液溜室15を形成し、液溜室15の下端を排液口8に連結する。旋回室14と液溜室15とを隔てる隔壁部材17を配置する。隔壁部材17は円板形状で外周に複数個の突起18を有する。突起18の間の隔壁部材17外周縁と本体1内周壁との間に液体通過用隙間19を形成する。
【0011】
入口4から入った液体を含む気体は旋回羽根12で旋回せしめられる。液体は遠心力の作用で外側に振り出されて分離され、本体1の内周壁に沿って流下し、突起18の間の液体通過用隙間19を通って液溜室15に流入する。排気管10の外表面に沿って流下する微小な液体は複数の縦向きの溝20に集まり大きくなって外側に振り出されて分離され、本体1の内周壁に沿って流下し、突起18の間の液体通過用隙間19を通って液溜室15に流入する。液溜室15に流入した液体は排液口8から系外に排出される。排気管10の下端を通過した気体は排気管10の内側円筒の内側を通って出口5から流出する。
【0012】
排気管10の外表面に沿って流下する微小な液体は複数の縦向きの溝20に集まり大きくなって外側に振り出されて分離されるので、微小な液体が気体流と共に出口5に運び出されることがなくなり、気液の分離効率を高めることができる。
【産業上の利用可能性】
【0013】
本発明は、蒸気や圧縮空気や各種ガス等の気体中に混入している復水や凝縮水等の液体をケーシング内に旋回流を起こして遠心力によって分離する気液分離器に利用することができる。
【符号の説明】
【0014】
1 本体
2 出入口部材
3 底蓋
4 入口
5 出口
8 排液口
10 排気管
11 環状空間
12 旋回羽根
14 旋回室
15 液溜室
16 水切り部
17 隔壁部材
18 突起
19 液体通過用隙間
20 縦向きの溝