(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、この従来の抵抗測定装置には、以下の解決すべき課題が存在している。すなわち、この抵抗測定装置では、ヒューズが溶断している状態において、装置外部から一対の測定用プローブ間に電圧が印加されているときに、警告ランプが点灯駆動される。したがって、この抵抗測定装置には、測定用プローブ間に外部から電圧が印加されていない状態において、ヒューズの溶断を検出できない、つまり、装置単体でヒューズの溶断を検出できないという解決すべき課題が存在している。
【0006】
本発明は、かかる課題を改善すべくなされたものであり、装置単体でヒューズの溶断を検出し得る抵抗測定装置を提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成すべく本発明に係る抵抗測定装置は、
第1接続端子に接続された第1プローブおよび
第2接続端子に接続された第2プローブを介して測定対象体に測定用電流を供給する電源部と、前記
第1接続端子と前記電源部とを接続する電路に配設されたヒューズと、前記
第2接続端子に接続されて前記測定用電流の電流値を測定する電流測定部と、前記
第1接続端子と前記
第2接続端子との間に発生する電圧の電圧値を前記測定対象体の両端間電圧値として測定する電圧測定部と、前記電流値および前記両端間電圧値に基づいて前記測定対象体の抵抗値を測定する抵抗測定処理を実行する処理部とを備えた抵抗測定装置であって、
前記電流測定部は、非反転入力端子が基準電位に接続され、反転入力端子が前記第2接続端子に接続され、かつ前記反転入力端子と出力端子との間に帰還抵抗が接続されて前記測定用電流を電圧に変換して出力する演算増幅器と、当該演算増幅器から出力される電圧に基づいて前記電流値を測定する前記処理部とで構成され、前記電圧測定部は、一端側が前記第1接続端子に接続されると共に他端側が前記基準電位に接続されて当該第1接続端子に発生する電圧を検出すると共に分圧して出力する検出抵抗部と、当該検出抵抗部から出力される電圧に基づいて前記測定対象体の両端間電圧を測定する前記処理部とで構成され、前記処理部は、前記電流値が予め規定された電流閾値未満であり、かつ前記両端間電圧値が予め規定された電圧閾値未満であるときに、前記ヒューズが溶断状態にあると判別
し、前記電流値が前記電流閾値以上の状態、および前記両端間電圧値が前記電圧閾値以上の状態の少なくとも一方の状態のときに、前記ヒューズが非溶断状態にあると判別する判別処理を実行する。
【0009】
また、請求項
2記載の抵抗測定装置は、請求項
1記載の抵抗測定装置において、前記処理部は、前記判別処理での判別結果を表示部に表示させる。
【発明の効果】
【0010】
請求項1記載の抵抗測定装置によれば、処理部が、判別処理を実行して、測定された測定用電流の電流値が電流閾値未満であり、かつ測定された両端間電圧の電圧値が電圧閾値未満であるときに、ヒューズが溶断状態にあると判別することにより、装置単体でヒューズの溶断を検出することができる。また、この抵抗測定装置によれば、測定対象体の接続状態の如何に拘わらず、ヒューズの溶断状態を検出することもできる。
【0011】
また、この抵抗測定装置によれば、処理部が、測定用電流の電流値が電流閾値以上の状態、および両端間電圧の電圧値が電圧閾値以上の状態の少なくとも一方の状態のときに、ヒューズが非溶断状態にあると判別することにより、装置単体でヒューズの非溶断状態(正常状態)を検出することができる。また、この抵抗測定装置によれば、測定対象体の接続状態の如何に拘わらず、ヒューズの溶断状態を検出することもできる。
【0012】
請求項
2記載の抵抗測定装置によれば、処理部が判別処理での判別結果を表示部に表示させることにより、ヒューズの溶断状態(または非溶断状態)を直ちに確認することができる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、添付図面を参照して、抵抗測定装置の実施の形態について説明する。なお、抵抗測定装置の一例として、測定対象体に直流電流を供給したときの測定対象体の抵抗を絶縁抵抗として測定する絶縁抵抗計を例に挙げて説明する。
【0015】
最初に、絶縁抵抗計1の構成について、
図1を参照して説明する。
【0016】
絶縁抵抗計1は、一例として、第1接続端子2、第2接続端子3、電源部4、ヒューズ5、電流電圧変換部6、検出抵抗部7、切替スイッチ8、A/D変換部9、処理部10および表示部11を備え、第1プローブ12および第2プローブ13を介して第1接続端子2と第2接続端子3との間に接続された測定対象体14の抵抗値(絶縁抵抗値)R1を、測定対象体14に流れる測定用電流I1と測定対象体14の両端間電圧Vmとに基づいて測定(算出)する。
【0017】
第1接続端子2には、第1プローブ12が接続される。また、第1接続端子2は、この第1プローブ12を介して測定対象体14の一端側に接続される。第2接続端子3には、第2プローブ13が接続される。また、第2接続端子3は、この第2プローブ13を介して測定対象体14の他端側に接続される。
【0018】
電源部4は、測定対象体14の抵抗値が大きいときには(予め規定された基準抵抗値(例えば、1MΩ以上のときには)
)定電圧源として機能して、予め規定された電圧値(例えば、1000V)の試験電圧(直流電圧)V1を生成して出力する(測定対象体14に印加する)ことにより、測定対象体14に測定用電流(直流電流)I1を供給する。また、電源部4は、測定対象体14の抵抗値が小さいときには(予め規定された基準抵抗値未満のときには)定電流源として機能して、予め規定された電流値(例えば、1mA)の測定用電流I1を測定対象体14に供給する。ヒューズ5は、第1接続端子2と電源部4の出力端子4aとの間の電路(つまり、第1プローブ12と電源部4とを接続する電路)L1に配設されている。
【0019】
電流電圧変換部6は、第2接続端子3に接続されて(第2接続端子3を介して第2プローブ13に接続されて)、測定対象体14に供給されている測定用電流I1を電圧Viに変換して切替スイッチ8に出力する。
【0020】
具体的には、電流電圧変換部6は、一例として、演算増幅器6aおよび帰還抵抗6bを備えている。演算増幅器6aは、非反転入力端子が回路グランド(基準電位)に接続され、反転入力端子は第2接続端子3に接続され、出力端子は切替スイッチ8に接続されている。帰還抵抗6bは、演算増幅器6aの反転入力端子と出力端子との間に接続されている。この構成により、電流電圧変換部6は、電源部4から測定対象体14に供給される測定用電流I1を第2接続端子3から入力すると共に、電圧Viに変換して出力する。また、演算増幅器6aでは、回路グランド(基準電位)に接続された非反転入力端子と反転入力端子はバーチャルショートの関係にあるため、演算増幅器6aの反転入力端子に接続されている第2接続端子3の電位、さらには第2接続端子3に接続された第2プローブ13の電位も回路グランドの電位(基準電位)に規定されている。
【0021】
検出抵抗部7は、一端側が電路L1におけるヒューズ5と第1接続端子2との間の部位に接続されると共に、他端側が回路グランドに接続されて、回路グランドの電位を基準としたときに第1接続端子2に発生する電圧を検出すると共に分圧して検出電圧V2(以下、「電圧V2」ともいう)として切替スイッチ8に出力する。本例では一例として、検出抵抗部7は、互いに直列に接続された状態で電路L1と回路グランドとの間に接続された分圧抵抗7a,7bで構成されている。
【0022】
この絶縁抵抗計1では、第1接続端子2は、電路L1およびヒューズ5を介して電源部4の出力端子4aに接続されている。この場合、電路L1およびヒューズ5での電圧降下は試験電圧V1と比較して小さいため、無視できると共に、第2接続端子3の電位は、上記したように回路グランドの電位に規定されている。したがって、検出抵抗部7は、第1接続端子2に発生する電圧を検出することにより、試験電圧V1、つまり各プローブ12,13間に発生する電圧Vmを検出すると共に、この電圧VmをA/D変換部9の入力定格に適合するレベルに分圧(降圧)して、電圧V2として出力する。なお、上記の電圧Vmは、第1接続端子2と第2接続端子3との間に測定対象体14が接続されているときには、測定対象体14の両端間電圧となる。このため、両端間電圧Vmともいう。
【0023】
切替スイッチ8は、電流電圧変換部6から出力される電圧Vi、および検出抵抗部7から出力される電圧V2を入力すると共に、これらのうちの処理部10によって選択された任意の一方を出力する。A/D変換部9は、切替スイッチ8から電圧Viが出力されているときには、この電圧ViをデジタルデータDiに変換して処理部10に出力する。また、A/D変換部9は、切替スイッチ8から電圧V2が出力されているときには、この電圧V2をデジタルデータDvに変換して処理部10に出力する。
【0024】
処理部10は、一例として、CPUおよびメモリ(いずれも図示せず)で構成されて、切替スイッチ8から電圧Viが出力されているときには、このデジタルデータDiに基づいて測定用電流I1の電流値を測定(算出)する。また、処理部10は、切替スイッチ8から電圧V2が出力されているときには、このデジタルデータDvに基づいて両端間電圧Vmの電圧値(両端間電圧値)を測定(算出)する。以上の構成により、電流電圧変換部6、切替スイッチ8、A/D変換部9および処理部10が、測定用電流I1を測定するための電流測定部Miを構成する。また、検出抵抗部7、切替スイッチ8、A/D変換部9および処理部10が、両端間電圧Vmを測定するための電圧測定部Mvを構成する。
【0025】
また、処理部10は、このようにして測定(算出)した測定用電流I1の電流値と両端間電圧Vmの電圧値とに基づいて測定対象体14の抵抗値R1を測定する抵抗測定処理と、ヒューズ5の状態が溶断状態か正常状態かを判別する判別処理(ヒューズ5の溶断・正常を検査する検査処理ともいえる)とを含む測定処理を実行する。メモリには、判別処理において使用する電流閾値Ithおよび電圧閾値Vthが予め算出されて記憶されている。この場合、電流閾値Ithは、一例として100nA程度に規定されて、測定用電流I1の電流値がゼロである(ゼロと見なせる程に極めて小さい状態である)か否かを判別するために使用される。具体的には、測定用電流I1の電流値は、電流閾値Ith未満のときにゼロであると見なし、電流閾値Ith以上のときにゼロではないと見なすものとする。また、電圧閾値Vthは、一例として100mV程度に規定されて、両端間電圧Vmの電圧値がゼロである(ゼロと見なせる程に極めて小さい状態である)か否かを判別するために使用される。具体的には、両端間電圧Vmの電圧値は、電圧閾値Vth未満のときにゼロであると見なし、電圧閾値Vth以上のときにゼロではないと見なすものとする。
【0026】
表示部11は、一例として、LCD(Liquid Crystal Display)などの表示装置で構成されている。表示部11は、処理部10から判別処理および抵抗測定処理での結果を入力して、画面に表示する。
【0027】
次に、絶縁抵抗計1の動作について、図面を参照して説明する。なお、第1接続端子2および第2接続端子3間には、第1プローブ12および第2プローブ13を介して測定対象体14が接続されているものとする。
【0028】
絶縁抵抗計1では、電源部4が試験電圧V1を出力している状態において、処理部10が、
図2に示す測定処理50を実行する。この測定処理50では、処理部10は、まず、試験電圧V1(つまり、両端間電圧Vm)および測定用電流I1を測定してメモリに記憶する(ステップ51)。具体的には、処理部10は、切替スイッチ8の接続状態を切り替えることによって電圧V2をA/D変換部9に入力しているときには、A/D変換部9から出力されるデジタルデータDvに基づいて両端間電圧Vmの電圧値を測定(算出)してメモリに記憶する。また、処理部10は、切替スイッチ8の接続状態を切り替えることによって電圧ViをA/D変換部9に入力しているときには、A/D変換部9から出力されるデジタルデータDiに基づいて測定用電流I1の電流値を測定(算出)してメモリに記憶する。
【0029】
次いで、処理部10は、判別処理52を実行する。この判別処理52では、処理部10は、まず、メモリに記憶されている両端間電圧Vmの電圧値、および測定用電流I1の電流値が共にゼロであるか否かを判別する(ステップ52a)。具体的には、処理部10は、メモリから両端間電圧Vmの電圧値および電圧閾値Vthを読み出して比較することにより、両端間電圧Vmの電圧値が電圧閾値Vth未満のときに、両端間電圧Vmの電圧値がゼロであると判別する。また、処理部10は、メモリから測定用電流I1の電流値および電流閾値Ithを読み出して比較することにより、測定用電流I1の電流値が電流閾値Ith未満のときに、測定用電流I1の電流値がゼロであると判別する。
【0030】
上記ステップ52aでの判別の結果、両端間電圧Vmの電圧値および測定用電流I1の電流値が共にゼロであるときには、処理部10は、ヒューズ5が溶断している(溶断状態にある)と判別してその旨を表示部11に表示させて(ステップ52b)、測定処理を完了する。これにより、測定対象体14についての抵抗値R1が測定されることなく(抵抗測定処理が実行されることなく)、測定処理が完了する。
【0031】
次いで、両端間電圧Vmの電圧値および測定用電流I1の電流値が共にゼロであるときに、ヒューズ5が溶断状態にあると判別する理由について説明する。
【0032】
ヒューズ5が溶断している状態(溶断状態)のときには、電源部4から出力されている試験電圧V1は、検出抵抗部7にも、第1接続端子2にも、さらには第1プローブ12にも出力(印加)されない状態となる。この場合、検出抵抗部7から電圧V2が出力される電路L2は、検出抵抗部7内で分圧抵抗7bを介して回路グランドに接続されているため、電路L2の電位は回路グランドの電位と同電位となる(つまり、検出抵抗部7から出力される電圧V2は、ゼロボルトとなる)。また、ヒューズ5の溶断状態では、各プローブ12,13間に接続されている測定対象体14の抵抗値の大小に拘わらず、電路L2の電位は回路グランドと同電位となり、検出抵抗部7から出力される電圧V2はゼロボルトとなる。なお、各プローブ12,13間に測定対象体14が接続されていないとき(未接続のとき)にも、電路L2の電位は回路グランドと同電位となり、検出抵抗部7から出力される電圧V2はゼロボルトとなる。したがって、
図3における左欄のNo.1,No.3,No.5に示すように、ヒューズ5の溶断状態においては、測定対象体14の接続状態(各プローブ12,13間に接続されているか否か、接続されているときには抵抗値が大きいか小さいか)に拘わらず、処理部10がこの電圧V2に基づいて測定(算出)する両端間電圧Vmの電圧値はゼロボルトとなる。
【0033】
また、ヒューズ5が溶断している状態のときには、測定対象体14の接続状態(各プローブ12,13間に接続されているか否か、接続されているときには抵抗値が大きいか小さいか)に拘わらず、電流電圧変換部6の帰還抵抗6bに測定用電流I1が流れない状態(帰還抵抗6bでの電圧降下がゼロボルトの状態)となる。この電流電圧変換部6では、演算増幅器6aの非反転入力端子が回路グランドに接続され、この非反転入力端子は反転入力端子とバーチャルショートの状態にある。このため、演算増幅器6aの反転入力端子は、回路グランドと同電位(つまり、回路グランドを基準としたときにゼロボルト)となっている。以上のことから、ヒューズ5の溶断状態においては、電流電圧変換部6から出力される電圧Viはゼロボルトとなる。したがって、
図3における左欄のNo.1,No.3,No.5に示すように、ヒューズ5の溶断状態においては、測定対象体14の接続状態(各プローブ12,13間に接続されているか否か、接続されているときには抵抗値が大きいか小さいか)に拘わらず、処理部10がこの電圧Viに基づいて測定(算出)する測定用電流I1の電流値はゼロアンペアとなる。
【0034】
一方、上記ステップ52aでの判別の結果、両端間電圧Vmの電圧値および測定用電流I1の少なくとも一方がゼロでないときには、処理部10は、ヒューズ5が正常である(溶断していない。非溶断状態にある)と判別して、抵抗測定処理を実行する(ステップ53)。
【0035】
次いで、両端間電圧Vmの電圧値および測定用電流I1の電流値の少なくとも一方がゼロでないときに、ヒューズ5が正常である(非溶断状態にある)と判別する理由について説明する。
【0036】
まず、ヒューズ5が正常である状態(正常状態)において、各プローブ12,13間に接続されている測定対象体14の抵抗値が小さいとき(基準抵抗値未満のとき)には、電源部4は、上記したように定電流源として機能して、予め規定された電流値の測定用電流I1を測定対象体14に供給することで、測定用電流I1の電流値を制限する。この場合、測定対象体14の抵抗値は小さいが、測定用電流I1が流れることによって測定対象体14の両端間には電圧が発生する。つまり、両端間電圧Vmは、ゼロボルトではない電圧となる。また、上述したように、電流電圧変換部6における演算増幅器6aの反転入力端子は、回路グランドの電位と同電位(つまり、回路グランドの電位を基準としたときにゼロボルト)になっている。これにより、検出抵抗部7は、この両端間電圧Vmを検出して分圧することにより、電圧V2を出力する。したがって、
図3における左欄のNo.4に示すように、ヒューズ5が正常状態であり、かつ各プローブ12,13間に接続されている測定対象体14の抵抗値が小さいときには、処理部10が、この電圧V2に基づいて測定(算出)する両端間電圧Vmの電圧値は小さい値ではあるものの、ゼロボルトではない電圧となる。
【0037】
また、ヒューズ5の正常状態において、各プローブ12,13間に接続されている測定対象体14の抵抗値が小さいときには、上記したように、電源部4から測定対象体14に対して、予め規定された電流値の測定用電流I1が供給されるため、電流電圧変換部6は、この測定用電流I1を電圧Viに変換して出力している。これにより、電圧Viはゼロボルトにはならず、処理部10がこの電圧Viに基づいて測定(算出)する測定用電流I1の電流値もゼロアンペアとはならない。したがって、
図3における左欄のNo.4に示すように、ヒューズ5が正常状態であり、かつ各プローブ12,13間に接続されている測定対象体14の抵抗値が小さいときには、処理部10が、この電圧Viに基づいて測定(算出)する測定用電流I1の電流値はゼロアンペアとはならない。
【0038】
次に、ヒューズ5の正常状態において、各プローブ12,13間に接続されている測定対象体14の抵抗値が大きいとき(基準抵抗値以上であって、ゼロオームに近い抵抗値ではないとき)には、電源部4は、上記したように定電圧源として機能して、予め規定された電圧値の試験電圧V1を測定対象体14に対して印加する。検出抵抗部7は、この試験電圧V1(測定対象体14の両端間電圧Vmでもある)を検出して、電圧V2(ゼロボルトではない電圧)として出力する。したがって、
図3における左欄のNo.6に示すように、ヒューズ5が正常状態であり、かつ各プローブ12,13間に接続されている測定対象体14の抵抗値が大きいとき(ゼロオームに近い抵抗値ではないとき)には、処理部10がこの電圧V2に基づいて測定(算出)する両端間電圧Vmの電圧値もゼロボルトでない電圧となる。
【0039】
また、上記のように、ヒューズ5の正常状態において、各プローブ12,13間に接続されている測定対象体14の抵抗値が大きいときには、電源部4から印加された試験電圧V1に起因して、測定対象体14に測定用電流I1が流れる。電流電圧変換部6は、この測定用電流I1を電圧Viに変換して出力している。これにより、電圧Viはゼロボルトではない電圧となる。したがって、
図3における左欄のNo.6に示すように、ヒューズ5が正常状態であり、かつ各プローブ12,13間に接続されている測定対象体14の抵抗値が大きいとき(ゼロオームに近い抵抗値ではないとき)には、処理部10がこの電圧Viに基づいて測定(算出)する測定用電流I1の電流値もゼロアンペアとはならない。
【0040】
また、ヒューズ5の正常状態において、各プローブ12,13間に測定対象体14が接続されていないとき(未接続のとき)には、電源部4は、上記したように定電圧源として機能して、予め規定された電圧値の試験電圧V1をヒューズ5を介して第1接続端子2に出力している。検出抵抗部7は、この試験電圧V1(測定対象体14の両端間電圧Vmでもある)を検出して、電圧V2(ゼロボルトではない電圧)として出力する。したがって、
図3における左欄のNo.2に示すように、ヒューズ5が正常状態であり、かつ各プローブ12,13間に測定対象体14が未接続のときには、処理部10がこの電圧V2に基づいて測定(算出)する両端間電圧Vmの電圧値もゼロボルトでない電圧となる。
【0041】
一方、ヒューズ5の正常状態において、各プローブ12,13間に測定対象体14が未接続のときには、測定用電流I1が発生しない。このため、電流電圧変換部6は、電圧Viとしてゼロボルトを出力している。したがって、
図3における左欄のNo.2に示すように、ヒューズ5が正常状態であり、かつ各プローブ12,13間に測定対象体14が未接続のときには、処理部10がこの電圧Viに基づいて測定(算出)する測定用電流I1の電流値もゼロアンペアとなる。
【0042】
以上のことから、両端間電圧Vmの電圧値および測定用電流I1の電流値の少なくとも一方がゼロでないときには、ヒューズ5は正常な状態(非溶断状態)にあると判別することができる。
【0043】
抵抗測定処理では、処理部10は、測定した両端間電圧Vmの電圧値および測定用電流I1の電流値が共にゼロでないときには、これらの値に基づいて、測定対象体14の抵抗値R1を算出して、この抵抗値R1を表示部11に表示させる。これにより、抵抗測定処理が完了すると共に、測定処理も完了する。
【0044】
このように、この絶縁抵抗計1によれば、処理部10が、判別処理52を実行して、測定された測定用電流I1の電流値が電流閾値Ith未満(例えば、ゼロと見なせる状態)であり、かつ測定された両端間電圧Vmの電圧値が電圧閾値Vth未満(例えば、ゼロと見なせる状態)であるときに、ヒューズ5が溶断状態にあると判別することにより、装置単体でヒューズ5の溶断を検出することができる。また、この絶縁抵抗計1によれば、測定対象体14の接続状態の如何に拘わらず、ヒューズ5の溶断状態を検出することができる。
【0045】
また、この絶縁抵抗計1によれば、処理部10が判別処理52においてヒューズ5が溶断状態にあると判別したときに、この判別結果を表示部11に表示させることにより、ヒューズ5の溶断状態を直ちに確認することができる。
【0046】
なお、上記の絶縁抵抗計1では、処理部10が、判別処理52において、測定された測定用電流I1の電流値が電流閾値Ith未満(ゼロと見なせる状態)であり、かつ測定された両端間電圧Vmの電圧値が電圧閾値Vth未満(ゼロと見なせる状態)であるときに、ヒューズ5が溶断状態にあると判別する構成を採用しているが、上記したように、両端間電圧Vmの電圧値および測定用電流I1の電流値の少なくとも一方がゼロでないときには、ヒューズ5は常に正常な状態(非溶断状態)になっている。このため、上記した判別処理52に代えて、
図4に示す判別処理62を実行する構成を採用することもできる。
【0047】
この判別処理62を実行する構成を採用する絶縁抵抗計1Aでは、処理部10が、両端間電圧Vmの電圧値および測定用電流I1の電流値の少なくとも一方がゼロでない(例えば、上記した電圧閾値Vthや電流閾値Ithと比較して、ゼロでないと見なせる状態)か否かを判別し(ステップ62a)、両端間電圧Vmの電圧値および測定用電流I1の電流値の少なくとも一方がゼロでないと判別したときに、ステップ53に移行して抵抗測定処理を実行し、それ以外のときには、ステップ52bに移行して、ヒューズ5が溶断状態にある旨を表示部11に表示させる。
【0048】
したがって、この判別処理62を採用した絶縁抵抗計1Aにおいても、判別処理52を採用した上記の絶縁抵抗計1と同様にして、装置単体でヒューズ5の状態(正常か溶断か)を判別することができる。また、測定対象体14の接続状態の如何に拘わらず、ヒューズ5の溶断状態を検出することができる。なお、絶縁抵抗計1Aの構成は、処理部10が判別処理52に代えて判別処理62を実行する構成を除き、
図1に示すように、上記した絶縁抵抗計1と同一である。このため、同一の他の各構成要素については同一の符号を付して重複する説明を省略する。
【0049】
また、抵抗測定装置の一例として、絶縁抵抗計を例に挙げて説明したが、ヒューズを有する他の抵抗測定装置におけるヒューズの溶断状態の検出にも適用することができるのは勿論である。