特許第5791384号(P5791384)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許5791384-気液分離器 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5791384
(24)【登録日】2015年8月14日
(45)【発行日】2015年10月7日
(54)【発明の名称】気液分離器
(51)【国際特許分類】
   B01D 50/00 20060101AFI20150917BHJP
   B01D 45/12 20060101ALN20150917BHJP
【FI】
   B01D50/00 501B
   B01D50/00 501G
   B01D50/00 501J
   B01D50/00 502A
   !B01D45/12
【請求項の数】1
【全頁数】5
(21)【出願番号】特願2011-134234(P2011-134234)
(22)【出願日】2011年6月16日
(65)【公開番号】特開2013-659(P2013-659A)
(43)【公開日】2013年1月7日
【審査請求日】2014年6月4日
(73)【特許権者】
【識別番号】000133733
【氏名又は名称】株式会社テイエルブイ
(72)【発明者】
【氏名】関 利行
【審査官】 中村 泰三
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−162480(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0229510(US,A1)
【文献】 実開昭61−061009(JP,U)
【文献】 特開平04−210205(JP,A)
【文献】 特開平04−313314(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 50/00
B01D 45/12
B01D 46/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケーシングと排気管で形成する環状空間に旋回羽根を配置し、旋回羽根の上方を入口に連結し、排気管の内側の孔を通してその上方を出口に連結し、環状空間の下方に旋回室と該旋回室の下方に液溜室を形成して該液溜室の下部を排液口に連結し、排気管と旋回室の間に下端部にプラグを設けた流体ろ過用の円筒状フィルターを配置したものにおいて、円筒状フィルターの内側に円筒状フィルターの軸方向に沿って放射状に衝突板を配置し、円筒状フィルターの内側とプラグの下方を連通する液体通過用の連通孔をプラグに設けたことを特徴とする気液分離器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蒸気や圧縮空気や各種ガス等の気体中に混入している復水や凝縮水等の液体をケーシング内に旋回流を起こし遠心力によって分離する気液分離器に関し、特にケーシング内に流体をろ過するフィルターを配置したものに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の気液分離器は、例えば特許文献1に開示されている。これは、ケーシングと排気管で形成する環状空間に旋回羽根を配置し、旋回羽根の上方を入口に連結し、排気管の内側の孔を通してその上方を出口に連結し、環状空間の下方に旋回室と該旋回室の下方に液溜室を形成して該液溜室の下部を排液口に連結し、排気管と旋回室の間に下端部にプラグを設けた流体ろ過用の円筒状フィルターを配置したものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−340452号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来の気液分離器においては、分離された液体が再び気体流に巻き込まれて出口に運び出されてしまうために気液の分離効率が悪い問題点があった。これは、旋回室の中央よりを旋回して円筒状フィルター内に流入した微少な液体が液溜室側に流下できないためである。
【0005】
したがって本発明が解決しようとする課題は、分離された液体が液溜室側に流下し易くして気液の分離効率の良い気液分離器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本発明の気液分離器は、ケーシングと排気管で形成する環状空間に旋回羽根を配置し、旋回羽根の上方を入口に連結し、排気管の内側の孔を通してその上方を出口に連結し、環状空間の下方に旋回室と該旋回室の下方に液溜室を形成して該液溜室の下部を排液口に連結し、排気管と旋回室の間に下端部にプラグを設けた流体ろ過用の円筒状フィルターを配置したものにおいて、円筒状フィルターの内側に円筒状フィルターの軸方向に沿って衝突板を配置し、円筒状フィルターの内側とプラグの下方を連通する液体通過用の連通孔をプラグに設けたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、円筒状フィルターの内側に円筒状フィルターの軸方向に沿って衝突板を配置し、円筒状フィルターの内側とプラグの下方を連通する液体通過用の連通孔をプラグに設けたことにより、旋回室の中央よりを旋回して円筒状フィルター内に流入した微少な液体が衝突板に衝突して分離され衝突板に沿って流下し連通孔を通して液溜室側に流下するので、分離された液体が液溜室側に流下し易くなるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施の形態に係わる気液分離器の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態について、図1を参照して説明する。ケーシングは円筒状本体1と出入口部材2をクランプ継手3で結合し、本体1の下部に底蓋4を溶接により結合して形成する。出入口部材2には左右同軸上に入口6と出口7を設け、上端中央にプラグ孔5を設ける。プラグ孔5は逆洗用の流体配管を接続したり圧力計を接続したりするために使用する。底蓋4には下端中央に排液口8を設ける。出入口部材2に連通口9を開けた弁座16をネジ結合する。出入口部材2と弁座16の間には排気管10の上端の内向きフランジを間に挟むことにより、排気管10を出入口部材2に固定する。排気管10は二重のほぼ円筒形状で、内側円筒の上下端部を末広がりに形成する。排気管10の外側円筒は省略して本体1で兼用することもできる。排気管10の内外円筒の間に形成される環状空間11に、排気管10と一体に旋回羽根12を形成する。
【0010】
入口6は連通孔13を通して下方の環状空間11に連結し、排気管10の内側は弁座16の連通口9を介して上方の出口7に連結する。本体1の下部内面と底蓋4の内面との間に旋回室14と、この旋回室14の下方に液溜室15を形成し、液溜室15の下端を排液口8に連結する。旋回室14と排気管10の内側に長尺円筒状の中空フィルター22を配置する。フィルター22は上端を弁座16に溶接により固定し、下端部にプラグ23を溶接により固定する。フィルター22は多数の微細な貫通孔を有し、入口6と環状空間11を流下してきた流体からゴミやスケール等の異物を捕捉して流体を出口7側へ排出するものである。フィルター22のろ過粒度は0.5マイクロから10マイクロ程度が好適である。フィルター22は全長の約半分が排気管10内に位置し、残りの約半分が旋回室14内に位置する。
【0011】
フィルター22の内側にフィルター22の軸方向に沿って衝突板25を配置する。衝突板25は上端部及び下端部をフィルター22に溶接により固定する。本実施の形態では衝突板25は放射状に左右及び前後に4枚配置する。プラグ23はフィルター22の内側とプラグ23の下方を連通する液体通過用の連通孔26を有する。旋回室14と液溜室15の間に隔壁部材17を配置する。隔壁部材17は円板形状で外周に4個の突起18を有し、突起18の外端を底蓋6に溶接によりして固定する。突起18の間の隔壁部材17外周縁と底蓋6内周壁との間に液体通過用隙間19を形成する。
【0012】
上記の気液分離器の動作は次の通りである。入口6から入った液体やゴミやスケール等の異物を含む気体は旋回羽根12で旋回される。質量の大きな液体や粒度の大きな異物は遠心力の作用で外側に振り出されて分離され、本体1の内周壁に沿って流下し、液体通過用隙間19を通して液溜室15に流入して排液口8から系外に排出される。フィルター22の内側へ通過した気体は連通口9を通して出口5から流出する。
【0013】
旋回室14の中央よりを旋回してフィルター22内に流入した微少な液体は衝突板25に衝突して分離され衝突板25に沿って流下し、連通孔26を通して液溜室15側に流下して排液口8から系外に排出される。
【産業上の利用可能性】
【0014】
本発明は、気体中に混入している液体をケーシング内に旋回流を起こし遠心力によって分離すると共にケーシング内に流体をろ過するフィルターを配置したあらゆる種類の気液分離器に利用することができる。
【符号の説明】
【0015】
1 本体
2 出入口部材
3 クランプ継手
4 底蓋
5 プラグ孔
6 入口
7 出口
8 排液口
9 連通口
10 排気管
11 環状空間
12 旋回羽根
13 連通孔
14 旋回室
15 液溜室
16 弁座
17 隔壁部材
18 突起
19 液体通過用隙間
22 フィルター
23 プラグ
25 衝突板
26 連通孔
図1