【課題を解決するための手段】
【0007】
(1) 上記目的を達成する本発明の処理器具は、
処理のために加えられた下方押圧力が対象面押圧盤部を経て処理対象面に作用する処理器具であって、
前記対象面押圧盤部の下面に、下向きに起立し畝状に伸びる多数の可撓性のフィンを備え、
前記対象面押圧盤部に加わった下方押圧力が前記フィンを介して処理対象面に作用するものであり、それにより、前記フィンは、畝状に伸びる方向に対し側方に屈曲し得るものであることを特徴とする。
【0008】
処理器具の対象面押圧盤部の下面に、畝状に伸びる弾性材料製の多数のフィンを備え、前記対象面押圧盤部に加わった下方押圧力が前記フィンを介して処理対象面に作用する。対象面押圧盤部に加わった下方押圧力がフィンを介して処理対象面に作用することにより、前記フィンは、畝状に伸びる方向に対し側方に屈曲し得、フィンの屈曲は、下方押圧力の解除により復元し得る。
【0009】
処理対象面に対し、直接又は清掃用シート体若しくはその他のシート体等を介して多数のフィンの各稜線部(又は各稜線部及び側面)が作用するので、処理対象面に対する作用が面的ではなく多数のフィンによる線的な作用が実現され、処理対象面に対する処理効果を高めることができる。
【0010】
また、対象面押圧盤部の特定部分に偏って比較的強く下方押圧力が加わった場合、その特定部分のフィンに比較的強い下方押圧力が作用して対象面に対しフィンが押圧され屈曲する。
【0011】
例えば、対象面押圧盤部の何れか一方の側に比較的強く下方押圧力が加わった場合、当該一方の側においてフィンに比較的強い下方押圧力が作用して対象面に対しフィンが押圧され屈曲する。そのため、対象面押圧盤部は、当該一方の側へやや下降傾斜し、他方の側へやや上昇傾斜するので、当該他方の側のフィンは、対象面に対し浮いた状態となったり、浮き気味又は弱く接することとなり易い。特に、各フィンの稜線が対象面押圧盤部の下面に沿ってその下面の下方に設定された平面状の仮想面に接するように形成されている場合にこのようになり易い。
【0012】
従って、対象面押圧盤部に作用させる下方押圧力の大きさと位置を適切に調整することによって、フィンを介して対象面に対し所望の処理を行うことができる。
【0013】
例えば対象面押圧盤部の底部を清掃用シート体で覆った状態においては、対象面押圧盤部に対し処理方向後方側において下方押圧力を比較的強く加え、処理方向前方において下方押圧力を実質上作用させずにフィンを対象面上に浮いた状態或いは浮き気味又は弱く接する状態として処理器具を前進させることにより、前方の対象面上の塵埃を清掃用シート体の下側に取り込み、その後、処理方向前方において対象面押圧盤部に対し十分な下方押圧力を作用させ処理方向後方において下方押圧力を実質上作用させずにフィンを対象面上に浮いた状態或いは浮き気味又は弱く接する状態として処理器具を後退させることにより、清掃用シート体の下側に取り込んだ塵埃を清掃用シート体により拭き取ることができる。
【0014】
(2) 本発明の処理器具は、上記各フィンの稜線が、対象面押圧盤部の下面に沿ってその下面の下方に設定された仮想面に接するように形成されているものとすることができる。
【0015】
この場合、各フィンは、それらの稜線が、対象面押圧盤部の下面に沿ってその下面の下方に設定された仮想面に接するように形成されている。
【0016】
そのため、処理対象面に対し多数のフィンの多数の稜線による線的な処理効果を高めることができる。
【0017】
また、対象面押圧盤部の特定部分に偏って比較的強く下方押圧力が加わった場合、その特定部分を中心とする比較的広い範囲のフィンに比較的強い下方押圧力が作用して対象面に対しフィンが押圧され屈曲することとなり易い。例えば対象面押圧盤部の何れか一方の側に比較的強く下方押圧力が加わった場合、当該一方の側において比較的広い範囲のフィンに比較的強い下方押圧力が作用して対象面に対しフィンが押圧され屈曲することとなり易く、他方の側においても、広い範囲のフィンが対象面に対し浮いた状態となったり、浮き気味又は弱く接することとなり易い。
【0018】
(2-1) 上記仮想面は、主たる処理方向の中間部に向かって下方に凸となる曲面であるものとすることができる。
【0019】
この場合、各フィンは、それらの稜線が、対象面押圧盤部における処理方向の中間部に向かって下方に凸となる曲面状の仮想面に接するように形成されている。そのため、対象面押圧盤部に対し下方押圧力が作用して対象面に対しフィンが押圧されて屈曲することにより、広い範囲にわたるフィンが対象面に接することとなる一方、対象面押圧盤部に対する下方押圧力が十分に作用していない場合は対象面に接するフィンが十分に屈曲しないので対象面に接するフィンの範囲は狭くなり、フィンが対象面から浮いている範囲が広くなる。
【0020】
従って、対象面押圧盤部に作用させる下方押圧力の大きさと位置を適切に調整することによって、フィンを介して対象面に対し所望の処理を適確に行うことをできる。
【0021】
(2-2) 上記仮想面は、主たる処理方向に直交する方向において一定高さであるものとすることができる。
【0022】
この場合、仮想面が、主たる処理方向に直交する方向において一定高さであるため、処理対象面に対する処理を、主たる処理方向に直交する方向において同等に行うことが可能である。
【0023】
(3) 本発明の処理器具は、上記フィンが、進行方向が主たる処理方向に沿い振幅が前記進行方向に直交する方向である波形状をなすものとすることができる。
【0024】
この場合の各フィンは、波形の進行方向が主たる処理方向に沿い波形の振幅が進行方向に直交する方向である波形状をなすので、各フィンがなす波形は周期的に繰り返される。
【0025】
そのため、対象面押圧盤部の下面側が処理対象面上に位置するようにして処理器具を主たる処理方向に移動させた場合に、処理作業中に生じ得る処理対象面に対する対象面押圧盤部の下面の傾斜の変化に応じて、主たる処理方向においてフィンが処理対象面に作用する位置が変化しても、各フィンは処理対象面に対しほぼ同様に作用する。
【0026】
(3-1) 上記フィンは、上記主たる処理方向に直交する方向において多数並列状に、且つ、それらの並列隣接する波形状のフィンの向かい合う山部の頂点同士の前記処理方向に直交する方向における間隔が上記振幅の4分の1以下であるか又は向かい合う山部の前記処理方向に直交する方向における位置が重複するものとすることができる。
【0027】
上記対象面押圧盤部の下面に、波形の進行方向が主たる処理方向に沿うと共に主たる処理方向に直交する方向の振幅を有する波形状をなす畝状の弾性材料製のフィンを、前記処理方向に直交する方向において多数並列状に、且つ、それらの並列隣接する波形状のフィンの向かい合う山部の頂点同士の前記処理方向に直交する方向における間隔が前記振幅の4分の1以下であるか又は向かい合う山部の前記処理方向に直交する方向における位置が重複するように有する。
【0028】
従って、畝状のフィンが多数並列した範囲における前記処理方向に直交する方向のほとんど何れの位置においても、前記処理方向において何れかのフィンが波形状に振れつつ存在し、前記処理方向における何れの位置にもフィンが存在しない部分があったとしても、そのような部分は、前記処理方向に直交する方向において、フィンの振幅の4分の1以下であるため、対象面押圧盤部の下面側が対象面上に位置するようにして処理器具を前記処理方向に移動させた場合に、処理器具が移動した対象面のほぼ全体に対し、何れかのフィンが作用し得る。例えば対象面押圧盤部の底部を清掃用シート体で覆った状態においては、並列隣接する波形状のフィンにより対象面上に押圧された清掃用シート体により、対象面上の塵埃が波形状フィンの何れかの位置において捕捉され易い。
【0029】
(4) 本発明の処理器具は、対象面押圧盤部の下側を覆うように対象面処理用シートを保持するための保持部を備えるものとすることができる。