(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
基台に設けられ基板の搬入、搬出および位置決め保持を行う基板搬送装置と、前記基台に対し前記基板の搬送方向およびそれと直交する方向に移動可能に支持された移動台と、前記基板に実装する電子部品を供給する部品供給装置と、前記移動台に取付けられ前記部品供給装置により供給された電子部品を吸着する吸着ノズルを有し前記吸着ノズルに吸着された前記電子部品を前記基板搬送装置に位置決め保持された前記基板上に実装する部品実装ヘッドと、前記吸着ノズルに吸着された電子部品を撮像する部品カメラとを備えた電子部品実装装置において、
前記部品実装ヘッドに、前記部品カメラによって撮像されるマークを設け、
前記吸着ノズルで吸着する電子部品に応じて、前記マークを使用して部品位置を認識する第1の部品認識ステップと、前記マークを使用せずに部品位置を認識する第2の部品認識ステップとを切り替えて部品位置を認識するとともに、
前記第2の部品認識ステップは、前記吸着ノズルの中心と電子部品の中心をずらして電子部品を吸着することにより、前記マークを電子部品により覆い隠して部品位置を認識することを特徴とする電子部品実装装置。
【背景技術】
【0002】
一般に電子部品実装装置においては、部品供給位置から電子部品を吸着ノズルにより吸着し、回路基板上の定められた座標位置に実装するようになっている。この種の電子部品実装装置においては、吸着ノズルで吸着した電子部品を回路基板に搬送する途中で部品カメラ上を通過させ、部品カメラによって、吸着ノズルの中心に対する電子部品の芯ずれおよび角度ずれを認識するようになっている。そして、それら芯ずれおよび角度ずれを補正し、電子部品を回路基板の定められた座標位置に正確に実装するようにしている。
【0003】
ところで、部品の実装効率を高めるために、吸着ノズルを部品カメラ上で停止させずに電子部品を撮像することが行われているが、吸着ノズルを部品カメラ上で停止させずに高速で通過させると、部品カメラに対して電子部品を撮像するタイミングを合わせたとしても、撮像のずれを発生し、吸着ノズルの中心に対する電子部品の芯ずれおよび角度ずれを正確に認識することができなくなる。
【0004】
このために、吸着ヘッド等に基準となるマークを設け、このマークを電子部品と同時に撮像することにより、マークを基準として電子部品を認識することが試みられている。この種の電子部品実装装置として、例えば、特許文献1に記載されたものが知られている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載のものは、ヘッドユニット5に実装用ヘッド20に対応して部品認識用のマーク25を設け、実装用ヘッド20に吸着された部品とマーク25を、撮像ユニット17によって同時に撮像することにより、部品の吸着状態を精度良く認識できるようにしたものである。
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載のものにおいては、実装用ヘッド20を使って、例えば大型の部品を実装するような場合には、撮像対象部品に対応するマーク25についてのみバックライト照明を行えるように、照明条件を制御できるようになっているが、照明条件の制御のためにコスト高となるとともに、マークを用いない部品認識を行うことができないため、マークによって部品認識に悪影響を及ぼす問題がある。
【0008】
本発明は、上記した問題点を解決するためになされたもので、基準マークを用いた部品位置の認識と、基準マークを用いない部品位置の認識を使い分けることにより、部品位置を的確に認識できるようにした電子部品実装装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するため、請求項1に係る発明の特徴は、基台に設けられ基板の搬入、搬出および位置決め保持を行う基板搬送装置と、前記基台に対し前記基板の搬送方向およびそれと直交する方向に移動可能に支持された移動台と、前記基板に実装する電子部品を供給する部品供給装置と、前記移動台に取付けられ前記部品供給装置により供給された電子部品を吸着する吸着ノズルを有し前記吸着ノズルに吸着された前記電子部品を前記基板搬送装置に位置決め保持された前記基板上に実装する部品実装ヘッドと、前記吸着ノズルに吸着された電子部品を撮像する部品カメラとを備えた電子部品実装装置において、前記部品実装ヘッドに、前記部品カメラによって撮像されるマークを設け、前記吸着ノズルで吸着する電子部品に応じて、前記マークを使用して部品位置を認識する第1の部品認識ステップと、前記マークを使用せずに部品位置を認識する第2の部品認識ステップとを切り替えて部品位置を認識する
とともに、前記第2の部品認識ステップは、前記吸着ノズルの中心と電子部品の中心をずらして電子部品を吸着することにより、前記マークを電子部品により覆い隠して部品位置を認識することである。
【0011】
請求項2に係る発明の特徴は、
基台に設けられ基板の搬入、搬出および位置決め保持を行う基板搬送装置と、前記基台に対し前記基板の搬送方向およびそれと直交する方向に移動可能に支持された移動台と、前記基板に実装する電子部品を供給する部品供給装置と、前記移動台に取付けられ前記部品供給装置により供給された電子部品を吸着する吸着ノズルを有し前記吸着ノズルに吸着された前記電子部品を前記基板搬送装置に位置決め保持された前記基板上に実装する部品実装ヘッドと、前記吸着ノズルに吸着された電子部品を撮像する部品カメラとを備えた電子部品実装装置において、前記部品実装ヘッドに、前記部品カメラによって撮像されるマークを設け、前記吸着ノズルで吸着する電子部品に応じて、前記マークを使用して部品位置を認識する第1の部品認識ステップと、前記マークを使用せずに部品位置を認識する第2の部品認識ステップとを切り替えて部品位置を認識するとともに、前記部品カメラ上で停止させずに電子部品を撮像する場合には、電子部品を前記マークと重ならないように吸着し、前記部品カメラ上で停止して電子部品を撮像する場合には、電子部品を前記マークを覆い隠すように吸着することである。
【0012】
請求項3に係る発明の特徴は、
基台に設けられ基板の搬入、搬出および位置決め保持を行う基板搬送装置と、前記基台に対し前記基板の搬送方向およびそれと直交する方向に移動可能に支持された移動台と、前記基板に実装する電子部品を供給する部品供給装置と、前記移動台に取付けられ前記部品供給装置により供給された電子部品を吸着する吸着ノズルを有し前記吸着ノズルに吸着された前記電子部品を前記基板搬送装置に位置決め保持された前記基板上に実装する部品実装ヘッドと、前記吸着ノズルに吸着された電子部品を撮像する部品カメラとを備えた電子部品実装装置において、前記部品実装ヘッドに、前記部品カメラによって撮像されるマークを設け、前記吸着ノズルで吸着する電子部品に応じて、前記マークを使用して部品位置を認識する第1の部品認識ステップと、前記マークを使用せずに部品位置を認識する第2の部品認識ステップとを切り替えて部品位置を認識するとともに、電子部品と前記マークとが重なったもしくは重なるおそれのある部位を認識し、該部位を電子部品の画像処理に使用しないようにしたことである。
【0013】
請求項4に係る発明の特徴は、
基台に設けられ基板の搬入、搬出および位置決め保持を行う基板搬送装置と、前記基台に対し前記基板の搬送方向およびそれと直交する方向に移動可能に支持された移動台と、前記基板に実装する電子部品を供給する部品供給装置と、前記移動台に取付けられ前記部品供給装置により供給された電子部品を吸着する吸着ノズルを有し前記吸着ノズルに吸着された前記電子部品を前記基板搬送装置に位置決め保持された前記基板上に実装する部品実装ヘッドと、前記吸着ノズルに吸着された電子部品を撮像する部品カメラとを備えた電子部品実装装置において、前記部品実装ヘッドに、前記部品カメラによって撮像されるマークを設け、前記吸着ノズルで吸着する電子部品に応じて、前記マークを使用して部品位置を認識する第1の部品認識ステップと、前記マークを使用せずに部品位置を認識する第2の部品認識ステップとを切り替えて部品位置を認識するとともに、前記マークを付けた吸着ノズルと、前記マークのない吸着ノズルとの2種類用意し、前記部品カメラ上で停止させずに電子部品を撮像する場合には、前記マークを付けた吸着ノズルを前記部品実装ヘッドに装着し、前記部品カメラ上で停止して電子部品を撮像する場合には、前記マークのない吸着ノズルを前記部品実装ヘッドに装着するようにしたことである。
【発明の効果】
【0014】
上記のように構成した請求項1に係る発明によれば、部品実装ヘッドに、部品カメラによって撮像されるマークを設け、吸着ノズルで吸着する電子部品に応じて、マークを使用して部品位置を認識する第1の部品認識ステップと、マークを使用せずに部品位置を認識する第2の部品認識ステップとを切り替えて部品位置を認識するようにしたので、マークを用いた部品位置の認識と、マークを用いない部品位置の認識とを使い分けることができ、マークを用いない部品位置の認識においては、マークによって部品位置の認識に悪影響を与えることがない。
【0015】
しかも、請求項1に係る発明によれば、第2の部品認識ステップは、吸着ノズルの中心と電子部品の中心をずらして電子部品を吸着することにより、マークを電子部品により覆い隠して部品位置を認識するようにしたので、電子部品を吸着ノズルの中心に対してずらして吸着するだけで、マークを隠すことができ、これによって、マークを必要としない部品位置の認識を、特別な構成要素を付加することなく、的確に行うことができる。
【0016】
請求項2に係る発明によれば、部品カメラ上で停止させずに電子部品を撮像する場合には、電子部品をマークと重ならないように吸着し、部品カメラ上で停止して電子部品を撮像する場合には、電子部品をマークを覆い隠すように吸着するので、吸着ノズルに対する電子部品の吸着のしかたを変えるだけで、部品カメラ上で停止させずに電子部品を撮像する態様と、部品カメラ上で停止して電子部品を撮像する態様とを、容易に切り替えることができる。
【0017】
請求項3に係る発明によれば、電子部品とマークとが重なったもしくは重なるおそれのある部位を認識し、該部位を電子部品の画像処理に使用しないようにしたので、マークによって部品位置の認識に時間を要したり、あるいは部品位置を誤認識したりする恐れがなく、部品位置を迅速かつ正確に認識することができる。
【0018】
請求項4に係る発明によれば、マークを付けた吸着ノズルと、マークのない吸着ノズルとの2種類用意し、部品カメラ上で停止させずに電子部品を撮像する場合には、マークを付けた吸着ノズルを部品実装ヘッドに装着し、部品カメラ上で停止して電子部品を撮像する場合には、マークのない吸着ノズルを部品実装ヘッドに装着するようにしたので、吸着ノズルの交換によって、マークを用いた部品位置の認識と、マークを用いない部品位置の認識とに容易に切り替えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の第1の実施の形態を示す電子部品実装装置の斜視図である。
【
図2】第1の実施の形態に係る部品実装ヘッドを示す図である。
【
図4】電子部品実装装置を制御する制御装置を示す図である。
【
図5】第1の実施の形態に係る部品位置を認識するフローチャートを示す図である。
【
図6】マークを使用して部品位置を認識する説明図である。
【
図7】マークを使用しないで部品位置を認識する説明図である。
【
図8】本発明の第2の実施の形態を示す部品位置を認識する説明図である。
【
図9】第2の実施の形態においてリード付部品を認識する説明図である。
【
図10】本発明の第3の実施の形態を示す電子部品実装装置の平面図である。
【
図11】第3の実施の形態に係る吸着ノズルを示す側面図である。
【
図13】第3の実施の形態に係る動作を説明するフローチャートを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1に示すように、電子部品実装装置10は、部品供給装置20、基板搬送装置30および部品移載装置40を備えている。
【0021】
部品供給装置20は、一例として、基台11上に複数のカセット式のフィーダ21をX軸方向に並設して構成したものからなる。フィーダ21は、基台11に設置されたデバイス台22に着脱可能に装着され、多数の電子部品を間隔を有して一列に収容したテープを巻回した供給リール23を有している。フィーダ21の内部には、図示してないが、テープをピッチ送りする駆動源となるモータが内蔵され、このモータによってテープが1ピッチずつ送り出され、テープに収容された電子部品がフィーダ21の先端部に設けられた部品供給位置に順次供給される。
【0022】
基板搬送装置30は、回路基板BをX軸方向に搬送するとともに、所定位置に位置決め保持するもので、一例として、搬送手段31、32を2列並設したダブルコンベアタイプのもので構成されている。各搬送手段31、32は、基台11上にそれぞれ一対のガイドレール33、34を互いに平行に対向させてそれぞれ水平に並設している。搬送手段31,32には、ガイドレール33、34によって案内される回路基板Bを支持して搬送する一対のコンベアベルト(図示せず)が並設されている。
【0023】
部品移載装置40はXYロボットからなり、XYロボットは、基台11上に装架されて部品供給装置20および基板搬送装置30の上方に配設され、ガイドレール41に沿ってX軸方向と直交するY軸方向に移動可能なY軸移動台43を備えている。Y軸移動台43のY軸方向移動は、ボールねじを介してY軸サーボモータ44により制御される。Y軸移動台43には、X軸移動台45がX軸方向に移動可能に案内支持され、X軸移動台45のX軸方向移動は、ボールねじを介してX軸サーボモータ46により制御される。
【0024】
X軸移動台45には、部品実装ヘッド47が取付けられ、この部品実装ヘッド47に、
図2に示すように、昇降軸48がX軸およびY軸方向と直交するZ軸方向(上下方向)昇降可能に、かつZ軸線O1の回りに回転可能に支持されている。昇降軸48は、Z軸サーボモータ49およびθ軸サーボモータ50(
図4参照)により、Z軸方向への移動および回転角度が制御されるようになっている。昇降軸48の下端には、吸着ヘッド54が設けられ、この吸着ヘッド54に電子部品Pを吸着する吸着ノズル55が、昇降軸53の回転軸線O1上に保持されている。
【0025】
吸着ヘッド54の下面には、
図2に示すように、電子部品Pの位置を認識する際の基準となるマーク56が設けられている。マーク56は、吸着ノズル55中心軸線O1に対して所定の角度方向に所定量d1だけオフセットした位置に配設され、基台11に取付けられた部品カメラ57によって電子部品Pと同時に撮像されるようになっている。一方、X軸移動台45には、回路基板Bに設けられた基準マーク(図示せず)を撮像する基板カメラ58(
図1参照)が取付けられている。なお、マーク56は、吸着ヘッド54を支持した部品実装ヘッド47の本体側に設けてもよいし、吸着ノズル55に設けてもよく、部品実装ヘッド47に直接あるいは吸着ヘッド54もしくは吸着ノズル55のいずれに設けた態様も、部品実装ヘッド47にマークを設けることに含まれるものである。
【0026】
ここで、吸着ヘッド54(もしくは吸着ノズル55)に設けられるマーク56は、
図3に示すように、電子部品実装装置10で扱われる電子部品Pのうち、比較的小型の電子部品P(部品種A)を吸着ノズル55で吸着する際には、電子部品Pによって覆い隠されることなく、これにより、部品カメラ57によって電子部品Pと同時に撮像できるようになっている。一方、比較的大型の電子部品P(部品種B)を吸着ノズル55で吸着する際には、電子部品Pによって覆い隠すことができる位置に設けられ、電子部品Pの撮像時にマークによって悪影響を与えないようになっている。
【0027】
電子部品実装装置10は、
図4に示すように、制御装置70を有している。制御装置70は、CPU71,ROM72,RAM73およびそれらを接続するバス74を備え、バス74には入出力インターフェース75が接続されている。入出力インターフェース75には、部品実装ヘッド47をY軸およびX軸方向に移動するY軸およびX軸サーボモータ44、46、および昇降軸48をZ軸方向に移動するZ軸サーボモータ49、ならびに昇降軸48をZ軸線の回りに回動するθ軸サーボモータ50を制御するモータ制御回路76が接続されている。また、入出力インターフェース75には、部品カメラ57および基板カメラ58によって撮像された画像データを画像処理する画像処理装置77と、吸着ノズル55で吸着する電子部品Pに応じて、マーク56を用いて部品位置を認識する後述する第1の部品認識ステップと、マーク56を用いずに部品位置を認識する後述する第2の部品認識ステップとに切り替える切り替え制御回路80等が接続されている。
【0028】
次に、上記した実施の形態における電子部品実装装置10の動作について説明する。なお、以下においては説明の便宜上、比較的小型の部品種Aの電子部品Pについては、部品カメラ57上で停止させずに部品位置を認識するようにし、比較的大型の部品種Bの電子部品Pについては、部品カメラ57上で停止させて部品位置を認識するようにしており、これら部品種A、Bに基づいて、部品位置の認識ステップが切り替えられるようにしている。
【0029】
制御装置70からの指令に基づいて、基板搬送装置30のコンベアベルトが駆動され、回路基板Bがガイドレール33(34)に案内されて所定の位置まで搬送され、位置決めクランプされる。次いで、Y軸サーボモータ44およびX軸サーボモータ46が駆動されることにより、Y軸移動台43およびX軸移動台45がY軸方向およびX軸方向に移動され、部品実装ヘッド47が部品供給装置20の部品供給位置まで移動される。
【0030】
部品実装ヘッド47が部品供給位置まで移動された状態で、昇降軸48とともに吸着ヘッド54がZ軸サーボモータ49によってZ軸方向に下降され、吸着ヘッド54に設けた吸着ノズル55により、部品供給位置に供給された電子部品を吸着する。
【0031】
続いて、Y軸移動台43およびX軸移動台45の移動により、部品実装ヘッド47が回路基板B上の定められた座標位置まで移動されるが、その途中の部品カメラ57の上方を通過する際に、部品カメラ57によって吸着ノズル55で吸着された電子部品Pを撮像することにより、吸着ノズル55に対する電子部品Pのずれ量や、電子部品Pの吸着姿勢を認識する。そして、電子部品Pのずれ量や、電子部品Pの吸着姿勢を補正した上で、電子部品Pを回路基板Bの所定位置に実装する。
【0032】
この場合、吸着ノズル55で吸着された電子部品Pの部品種がAかBかを、ステップ100で判別し、部品種がAであると判別された場合には、ステップ102に移行し、同ステップ102において、吸着ノズル55により電子部品Pを吸着する際に、電子部品Pによってマーク56を覆い隠さないように、電子部品Pを偏心した位置で吸着する(
図6参照)。
【0033】
すなわち、吸着ノズル55の中心軸線O1に対するマーク56の座標位置、および電子部品Pの大きさは既知であるので、吸着ノズル55の中心軸線O1に対する電子部品Pの中心OPを、
図6に示すように、マーク56より遠ざかる方向に、ΔX1、ΔY1だけずれた位置で吸着することにより、電子部品Pによってマーク56を覆い隠さないように吸着することができる。これにより、次のステップ104において、電子部品Pを吸着した吸着ノズル55を、部品カメラ57上で停止させずに通過する際に、部品カメラ57によって電子部品Pを撮像することにより、マーク56も同時に撮像することができる。次いで、ステップ106において、画像処理装置77により、マーク56を基準にして電子部品Pの位置を認識することにより、吸着ノズル55に吸着した電子部品Pを、部品カメラ57上で停止させずに認識する場合においても、撮像のずれの発生を抑制でき、吸着ノズル55の中心に対する電子部品Pの芯ずれおよび角度ずれを正確に認識できるようになる。
【0034】
上記したステップ102、104、106により、マーク56を用いて部品位置を認識する第1の部品認識ステップを構成している。
【0035】
一方、ステップ100において、吸着ノズル55で吸着した電子部品Pが部品種Bであると判別された場合には、ステップ108に移行し、同ステップ108において、吸着ノズル55によって電子部品Pを吸着する際に、電子部品Pによってマーク56を覆い隠すように、電子部品Pを偏心した位置で吸着する。
【0036】
すなわち、
図7に示すように、吸着ノズル55の中心軸線O1に対する電子部品Pの中心OPを、マーク56に近づく方向に、ΔX2、ΔY2だけずれた位置で吸着することにより、電子部品Pによってマーク56を覆い隠すように吸着する。これにより、次のステップ110において、電子部品Pを吸着した吸着ノズル55を、部品カメラ57上で停止させた状態で、部品カメラ57によって電子部品Pを撮像し、次いで、ステップ112において、画像処理装置77によって画像処理する際に、マーク56によって電子部品Pの画像処理に影響を及ぼすことなく、電子部品Pの位置認識を正確かつ迅速に行うことができるようになる。
【0037】
上記したステップ108、110、112により、マーク56を用いずに部品位置を認識する第2の部品認識ステップを構成している。
【0038】
このように、上記した第1の実施の形態によれば、電子部品Pの種類に応じて、吸着ノズル55によって電子部品Pをマーク56と重ならないように吸着したり、あるいは、吸着ノズル55によって電子部品Pをマーク56を覆い隠すように吸着するようにしたので、部品カメラ57上で停止させずに電子部品Pを撮像する場合には、電子部品Pの位置をマーク56を基準にして認識でき、しかも、部品カメラ57上で停止して電子部品Pを撮像する場合には、電子部品Pの認識にマーク56が邪魔になることがなく、電子部品Pの位置認識を電子部品Pに応じて、的確に行うことができるようになる。
【0039】
図8は、本発明の第2の実施の形態を示すもので、吸着ヘッド54(あるいは吸着ノズル55)にマーク56を設けた点は、第1の実施の形態と同じであるが、電子部品Pを画像処理装置77によって画像処理する際に、
図8に示すように、電子部品Pとマーク56とが重なる部位を認識し、当該部位を電子部品Pの画像処理に使用しないようにしたものである。なお、画像処理に使用しない部位は、必ずしも電子部品Pとマーク56とが重なっていなくても、マーク56が電子部品Pに接近し、重なるおそれのある部位も含む。
【0040】
これにより、例えば、
図9に示すように、側方にリードL1を有するリード付電子部品P1を画像処理する際においては、電子部品Pとマーク56とが重なった部位のリード部分ZAを除いたリードL1を使用して、電子部品Pの画像処理を行う。なお、一般に、リード付電子部品P1は大型の部品が多く、部品カメラ57上で停止して部品位置を認識するようになっている。
【0041】
次に本発明の第3の実施の形態を、
図10〜
図12に基づいて説明する。第3の実施の形態における電子部品実装装置10は、上記した第1の実施の形態で述べたと同様に、X軸方向に並設された複数のカセット式フィーダ21にて構成された部品供給装置20と、回路基板BをX軸方向に搬送するとともに、所定位置に位置決め保持する基板搬送装置30と、XYロボットからなる部品移載装置40を備えている。
【0042】
部品移載装置40は、Y軸方向に移動可能なY軸移動台43と、Y軸移動台43上にX軸方向に移動可能に支持されたX軸移動台45を有している。X軸移動台45上には、電子部品Pを吸着する吸着ノズル55(
図2参照)を備えた部品実装ヘッド47と、回路基板Bの基準マーク等を撮像する基板カメラ58が取付けられている。また、基台11上には、吸着ノズル55によって吸着された電子部品の吸着状態を撮像する部品カメラ57が設けられている。
【0043】
さらに、第3の実施の形態における電子部品実装装置10には、複数の吸着ノズル55を着脱可能に収納したノズル収納装置100が設けられている。ノズル収納装置100には、
図11および
図12に示すように、マーク156を付けた吸着ノズル55Aと、マークのない吸着ノズル55B(図示せず)の2種類が収納されている。マーク156は吸着ノズル55Aのバックプレート55A1の下面に吸着ノズル55Aの中心軸線O1に対して径方向に所定量d1だけオフセットした位置に設けられ、部品カメラ58によって電子部品Pと同時に撮像できるようになっている。ノズル収納装置100に収納された吸着ノズル55A、55Bは、回路基板Bに実装される電子部品Pの種類に応じて、部品実装ヘッド47に装着される。すなわち、比較的小型の電子部品Pであって、部品カメラ57上で停止させずに位置を認識する場合には、マーク156付きの吸着ノズル55Aが部品実装ヘッド47に装着され、比較的大型の電子部品Pであって、部品カメラ57上で停止させて位置を認識する場合には、マークなしの吸着ノズル55Bが部品実装ヘッド47に装着される。なお、吸着ノズル55A、55Bをノズル収納装置100と部品実装ヘッド47との間で交換する構成は既に公知の技術であり、例えば、特開2000−244193号公報に記載のものを利用できる。
【0044】
次に第3の実施の形態における動作を
図13のフローチャートに基づいて説明する。
ステップ200で、吸着ノズル55(55A、55B)に吸着される電子部品Pの部品種がAかBかが判別され、部品種がAであると判別された場合には、ステップ202に移行する。ステップ202においては、現在部品実装ヘッド47の吸着ヘッド54に装着されている吸着ノズルが、部品種Bの電子部品Pを吸着するマークなしの吸着ノズル55Bである場合には、マーク156の付いた吸着ノズル55Aに交換すべき交換指令を発し、これに基づいて、部品実装ヘッド47がノズル収納装置100に移動され、吸着ヘッド54に装着された吸着ノズル55Bを取外してノズル収納装置100に収納するとともに、ノズル収納装置100に収納されているマーク156の付いた吸着ノズル55Aを吸着ヘッド54に装着する。その後、ステップ204に移行し、吸着ノズル55Aによって部品供給装置20の部品供給位置に供給された電子部品Pを吸着する。勿論、部品実装ヘッド47の吸着ヘッド54に装着されている吸着ノズルが、部品種Aの電子部品Pを吸着するマーク156の付いた吸着ノズル55Aである場合には、ノズル交換を行うことなく、ステップ204に移行する。
【0045】
次いで、ステップ206において、電子部品Pを吸着した吸着ノズル55Aを、部品カメラ57上で停止させることなく、部品カメラ57によって電子部品Pとマーク156を同時に撮像する。続いて、ステップ208において、画像処理装置77により、マーク156を基準にして電子部品Pの位置を認識する。
【0046】
一方、ステップ200において、部品種Bであると判別された場合には、ステップ210に移行し、同ステップ210において、部品実装ヘッド47の吸着ヘッド54に装着されている吸着ノズルが、部品種Aの電子部品を吸着するマーク156の付いた吸着ノズル55Aである場合には、マークなしの吸着ノズル55Bに交換すべき交換指令を発し、上述したようにしてノズル交換を行う。その後、ステップ212において、吸着ノズル55Bによって部品供給装置20の部品供給位置に供給された電子部品Pを吸着する。
【0047】
次いで、ステップ214において、電子部品Pを吸着した吸着ノズル55Bを、部品カメラ57上で停止させた状態で、部品カメラ57によって電子部品Pを撮像し、しかる後、ステップ216において、画像処理装置77によって電子部品Pの位置を認識する。
【0048】
なお、第3の実施の形態においては、ステップ204、206、208によって、マーク56を用いて部品位置を認識する第1の部品認識ステップが構成され、ステップ212、214、216によって、マーク56を用いずに部品位置を認識する第2の部品認識ステップが構成されている。
【0049】
上記した第3の実施の形態によれば、電子部品Pの種類に応じて、吸着ノズル55をマーク156の付いたものとマークなしのものとに交換して、電子部品Pを吸着するようにしたので、上記した第1の実施の形態で述べたものと同様に、部品カメラ57上で停止させずに電子部品Pを撮像する場合には、マーク156を基準にして電子部品Pの位置を認識できるようになり、部品カメラ57上で停止して電子部品Pを撮像する場合には、マークが邪魔になることなく電子部品Pの位置を認識できるようになる。
【0050】
上記した実施の形態においては、フィーダ式の部品供給装置20を備えた電子部品実装装置10について説明したが、本発明は、トレイ式の部品供給装置20を備えたものにも適用可能であり、基板搬送装置30および部品移載装置40についても、実施の形態のものに限定されるものではない。
【0051】
斯様に、本発明は、特許請求の範囲に記載した本発明の主旨を逸脱しない範囲内で、種々の変形が可能であることは勿論である。