(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記金網は、複数の線材により菱形金網として構成された金網本体と、前記金網本体の周端部それぞれの端辺に沿って前記線材の内側に挿通された複数の外骨線と、枠体左右方向両側の前記外骨線と略平行に前記線材の内側に挿通されて前記金網本体の周端部の端辺に沿って配置された内骨線とを有し、
前記複数の外骨線及び前記内骨線は、前記金網本体の角部において互いに接合され、
前記金網の枠体左右方向の両端部は、前記受け部材と前記押さえ部材との間で前記線材とともに前記外骨線及び前記内骨線が挟み付けられることにより固定されていること
を特徴とする請求項4記載の車両走行路用ルーバーパネル。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、従来のルーバーパネル101では、複数の吸音パネルユニット120間に開口120aが設けられているため、落葉等の落下物や動物等がその開口120aを通して車両走行路まで侵入してしまい、車両の走行時の安全性を確保できなくなるという問題があった。
【0006】
このような問題を解決するため、例えば、特許文献4においては、隣り合う吸音パネルユニット120間の開口120aを覆うように複数の吸音パネルユニット120上に網状部材を配置する点について開示されている。また、このような問題を解決するため、隣り合う吸音パネルユニット120間の開口120aを覆うように、複数の線材を組み合わせてなる菱形金網等の金網を隣り合う吸音パネルユニット120間に取り付けるという考え方もある。
【0007】
しかしながら、ルーバーパネル101に菱形金網等の金網を取り付ける場合、金網そのものの自重や重量のある落下物等が金網に落下したときに、金網が容易に撓んだり捩れたりすることによって、金網の端部と吸音パネルユニット120との間に隙間が生じてしまい、その隙間からルーバーパネル101内に落下物等が侵入してしまう恐れがあるという問題点がある。
【0008】
そこで、本発明は、上述した問題点に鑑みて案出されたものであり、その目的とするところは、複数の吸音パネルユニットが枠体の一対の側枠間に架設されたルーバーパネルを用いる場合に、その吸音パネルユニット間に設けられた開口を通して落下物等が侵入するのを効果的に防止することを可能とする車両走行路用ルーバーパネルを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は、上述した課題を解決するために、鋭意検討の末、下記の車両走行路用ルーバーパネルを発明した。
【0010】
第1発明に係る車両走行路用ルーバーパネルは、複数の吸音パネルユニットが枠体の一対の側枠間に枠体前後方向に間隔を空けて架設された車両走行路用ルーバーパネルであって、隣り合う前記吸音パネルユニット間の開口を覆うように当該隣り合う吸音パネルユニット間に設けられた金網と、前記隣り合う吸音パネルユニット間の開口に枠体前後方向に沿って設けられた撓み防止部材とを備え、前記撓み防止部材は、前記隣り合う吸音パネルユニットそれぞれに係合された一対の係合部と、前記一対の係合部間に亘って設けられ、前記金網を下側から支持する支持部とを有することを特徴とする。
【0011】
第2発明に係る車両走行路用ルーバーパネルは、第1発明において、前記撓み防止部材は、前記支持部との間で前記金網を挟むように設けられた網留め部材を更に有し、前記網留め部材は、前記支持部、前記金網の網目及び当該網留め部材を貫通する締結ボルトに締結ナットを螺合することにより当該支持部に連結されていることを特徴とする。
【0012】
第3発明に係る車両走行路用ルーバーパネルは、第1発明又は第2発明において、前記撓み防止部材は、前記係合部の下面に設けられた弾性体からなる滑り止め部材を更に有することを特徴とする。
【0013】
第4発明に係る車両走行路用ルーバーパネルは、第1発明〜第3発明の何れかにおいて、前記隣り合う吸音パネルユニット間において前記一対の側枠から突出して設けられた一対の受け部材と、前記受け部材の上方に配置された押さえ部材とを更に備え、前記金網は、前記受け部材と前記押さえ部材との間で枠体左右方向の両端部が挟み付けられることにより固定されていることを特徴とする。
【0014】
第5発明に係る車両走行路用ルーバーパネルは第4発明において、前記金網は、複数の線材により菱形金網として構成された金網本体と、前記金網本体の周端部それぞれの端辺に沿って前記線材の内側に挿通された複数の外骨線と、枠体左右方向両側の前記外骨線と略平行に前記線材の内側に挿通され
て前記金網本体の周端部の端辺に沿って配置された内骨線とを有し、前記複数の外骨線及び前記内骨線は、前記金網本体の角部において互いに接合され、前記金網の枠体左右方向の両端部は、前記受け部材と前記押さえ部材との間で前記線材とともに前記外骨線及び前記内骨線が挟み付けられることにより固定されていることを特徴とする。
【0015】
第6発明に係る車両走行路用ルーバーパネルは、第4発明又は第5発明において、前記押さえ部材は、当該押さえ部材を貫通する締結ボルトに締結ナットが螺合されることにより、前記受け部材との間で前記金網の端部を挟み付けた状態で保持され、前記締結ボルトは、ボルト軸部が前記受け部材から上方に延びるように当該受け部材に接合されていること、を特徴とする。
【0016】
第7発明に係る車両走行路用ルーバーパネルは、第4発明〜第6発明の何れかにおいて、前記受け部材は、前記側枠に対して少なくとも2箇所以上が締結具により接合されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
第1発明によれば、金網の荷重を支持部から一対の係合部を介して吸音パネルユニットまで伝達することが可能となる。これにより、その金網の自重や金網上に落下した落下物の荷重等によって発生する金網の撓み、捩れを防止して、金網の端部と吸音パネルユニットとの間にその撓み、捩れにより生じる隙間からルーバーパネル内に落下物等が侵入するのを効果的に防止することが可能となる。
【0018】
第2発明によれば、撓み防止部材の支持部からの金網本体の浮き上がりや、その支持部上での金網の滑り動きを拘束することが可能となり、これにより、その金網の自重等による撓み、捩れをより有効に防止することが可能となる。また、金網に対して撓み防止部材を予め一体化しておくことが可能となり、撓み防止部材を作業現場で金網本体に取り付ける手間を不要とすることが可能となる。
【0019】
第3発明によれば、吸音パネルユニットに対する撓み防止部材の滑り動きを防止し、金網の撓み、捩れに対する撓み防止部材による防止効果を安定して発揮することが可能となる。また、寸法誤差、製作誤差等により吸音パネルユニットの上面に対して係合部の下面の高さ位置、傾きにずれが生じていても、そのずれを吸収することが可能となる。また、車両の走行等により吸音パネルユニットや金網等が振動した場合において、その振動により吸音パネルユニットと係合部とが接触、分離を繰り返すことによる騒音の発生を防止することが可能となる。
【0020】
第5発明によれば、押さえ部材からの押し付け力を外骨線及び内骨線それぞれに分散させることによって、その押し付け力が外骨線のみに集中することによる金網本体の潰れ変形を抑えることが可能となり、ひいては、その金網本体の潰れ変形により発生する網目の広がりや、意匠性の低下を防止することが可能となる。
【0021】
第6発明によれば、ルーバーパネルに対して金網を取り付ける取り付け作業時において、金網の網目内にボルト軸部を挿通させることによって、ボルト軸部に金網を引っ掛けた状態で次の作業を行うことができ、金網の取り付け作業時の作業性を良好なものとすることが可能となる。
【0022】
第7発明によれば、締結具による締結作業時の受け部材の回転を防止することが可能となり、一対の受け部材それぞれの受け面が予め平行となるように設けておくことにより、その受け面上に載置される金網に捩れが発生するのを防止することが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明を適用した車両走行路用ルーバーパネルを実施するための形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0025】
まず、第1実施形態に係るルーバーパネルについて、その基本的な構造について説明する。
【0026】
ルーバーパネル1は、
図1に示すように、車両走行路2が敷設された地下構造物3の天井部3aに用いられる。地下構造物3は、例えば、その天井部3aにおいて車両走行方向Xに沿ってスリット状の開口部3bが設けられた半地下構造物として構成される。第1実施形態に係るルーバーパネル1は、このような地下構造物3の天井部3aにおいて、車両走行方向Xや走行路幅方向Yと平行に架設された縦梁4及び横梁5間に設置される。また、第1実施形態に係るルーバーパネル1は、地下構造物3の開口部3bを塞ぐように、車両走行方向Xや走行路幅方向Yに並べて設置される。
【0027】
ルーバーパネル1は、
図2及び
図3に示すように、上面及び下面のそれぞれが開口された枠体10と、枠体10の一対の側枠11間に枠体前後方向Aに間隔を空けて架設された複数の吸音パネルユニット20とを備える。
【0028】
枠体10は、鋼板等の複数の板材を矩形状に組んで構成される。
【0029】
吸音パネルユニット20は、第1実施形態において、鉛直方向と略平行に設けられた中部吸音パネル21と、中部吸音パネル21の上部から略水平方向に延びるように設けられた上部吸音パネル22と、中部吸音パネル21の下部から略水平方向に延びるように設けられた下部吸音パネル23とを備えている。上部吸音パネル22と下部吸音パネル23とは、それぞれ水平方向に対して若干の角度だけ傾斜して設けられている。これにより、各吸音パネル22、23の上面に雨水等の水滴が付着した場合に、その水滴を傾斜勾配に沿って流すことによりルーバーパネル1の下方まで案内し、水滴が残留することによる吸音パネル22、23の腐食を防止することが可能となる。
【0030】
各吸音パネル21、22、23は、枠体左右方向Bに長い矩形状の箱体24と、箱体24の内部空間に充填された吸音材27とを備えている。
【0031】
箱体24は、
図4に示すように、その一つの外面が開口された有底状に形成されており、その開口部は、パンチング加工等により複数の透孔25aが形成された孔付き板25により閉塞されている。各吸音パネル21、22、23は、その孔付き板25の表面が、車両の走行に伴い発生する騒音を吸収するための吸音面となっている。第1実施形態においては、中部吸音パネル21の吸音面が上部吸音パネル22側を向くように配置され、上部吸音パネル22の吸音面が下側を向くように配置され、下部吸音パネル23の吸音面が下側を向くように配置されており、地下構造物3内での騒音を効果的に吸音可能となっている。
【0032】
吸音材27は、ガラスウール、ロックウール、ポリエステル繊維等の公知の吸音性のある材料から構成される。
【0033】
各吸音パネル21、22、23は、枠体10の一対の側枠11に対してドリルネジ等により接合されたり、一対の側枠11に取り付けられた図示しないブラケットを介してドリルネジ等により接合されることによって、枠体10に取り付けられる。
【0034】
吸音パネルユニット20は、遮音性、換気性、調光性を発揮し得るように構成されるものであり、そのような目的が達成されれば、その具体的な構造、断面形状について図示のものに特に限定するものではなく、公知の様々なものが用いられる。図示の例においては、吸音パネルユニット20が複数の吸音パネル21、22、23を有するものとして構成される場合を例示したが、単一の吸音パネルから構成されていてもよい。
【0035】
このようなルーバーパネル1は、第1実施形態において、枠体左右方向Bが走行路幅方向Yと平行になるよう設けられ、枠体前後方向Aが車両走行方向Xと平行になるように設けられる。
【0036】
次に、第1実施形態に係るルーバーパネル1の主要な特徴となる構成について説明する。
【0037】
第1実施形態に係るルーバーパネル1は、
図2〜
図9に示すように、隣り合う複数の吸音パネルユニット20間の開口20aを覆うように設けられた金網30と、隣り合う吸音パネルユニット20間の開口20aに枠体前後方向に沿って設けられた撓み防止部材40とを備えている。
【0038】
金網30は、
図10、
図11等に示すように、複数の線材32からなる金網本体31を備えている。金網本体31は、詳細は後述するように、複数の線材32により菱形金網として構成されているものを例示しているが、これ以外にも、平織金網、クリンプ金網、亀甲金網等から構成されていてもよい。
【0039】
金網本体31は、隣り合う吸音パネルユニット20間の開口20aを覆うことにより、その開口20aを通してルーバーパネル1内に落葉等の落下物や動物等が侵入するのを防止することを目的として設けられる。このような観点から、金網30の金網本体31は、隣り合う吸音パネルユニット20間の開口20aの平面視におけるほぼ全範囲を覆うように、その全体の寸法や網目34の寸法が調整されている。
【0040】
撓み防止部材40は、隣り合う吸音パネルユニット20それぞれの上面20bに上側から係合された一対の係合部41と、一対の係合部41間に亘って設けられた支持部42とを備えている。また、撓み防止部材40は、支持部42の両端部から上側に立ち上げて設けられた立ち上がり部43を備えており、その係合部41は、立ち上がり部43の上端から外側に延びて設けられている。吸音パネルユニット20は、第1実施形態において、その吸音パネルユニット20を構成する上部吸音パネル22が若干傾斜していることから、一対の係合部41は、それぞれの吸音パネルユニット20に対する係合高さ位置が若干ずれており、それに応じて支持部42の両側に配置される立ち上がり部43双方は、互いにその上下方向長さが相違している。撓み防止部材40は、第1実施形態において、一対の係合部41と支持部42と立ち上がり部43とが一体的に成形されている。
【0041】
撓み防止部材40は、第1実施形態において、支持部42との間で金網30を挟むように設けられた網留め部材45を更に備えている。また、撓み防止部材40は、その撓み防止部材40の支持部42、金網30の網目34及び網留め部材45を貫通する締結ボルト46と、その締結ボルト46に螺合される締結ナット47とを更に備えている。網留め部材45は、締結ボルト46に対して締結ナット47を螺合することにより撓み防止部材40の支持部42に連結されている。締結ナット47は、第1実施形態において、撓み防止部材40の支持部42の下面にそのナット底面が溶接等により接合されている。
【0042】
このような網留め部材45が設けられることにより、撓み防止部材40の支持部42からの金網30の浮き上がりを拘束することが可能となる。また、金網30の網目34を貫通するように締結ボルト46が設けられているため、撓み防止部材40の支持部42上での金網30の滑り動きを金網30に対する締結ボルト46の係合により拘束することが可能となる。これらによって、金網30の自重等による撓み、捩れをより有効に防止することが可能となる。また、金網30に対して撓み防止部材40を予め一体化しておくことが可能となり、撓み防止部材40を作業現場で取り付ける手間を不要とすることが可能となる。なお、撓み防止部材40の支持部42上での金網30の滑り動きを拘束する観点からは、締結ボルト46と締結ナット47の締め付けを強くして、金網30に対して網留め部材45による押し付け力を導入することとしてもよい。
【0043】
また、撓み防止部材40は、第1実施形態において、係合部41の下面41aに設けられたゴム等の弾性体からなる滑り止め部材48を更に備えている。滑り止め部材48は、係合部41の下面41aに接着等により予め取り付けられている。これにより、撓み防止部材40の係合部41が滑り止め部材48を介して吸音パネルユニット20の上面20bに係合されることになる。この結果、吸音パネルユニット20に対する撓み防止部材40の滑り動きを防止し、金網30の撓み、捩れに対する撓み防止部材40による防止効果を安定して発揮することが可能となる。また、寸法誤差、製作誤差等により吸音パネルユニット20の上面20bに対して係合部41の下面41aの高さ位置、傾きにずれが生じていても、そのずれを吸収することが可能となる。また、車両の走行等により吸音パネルユニット20や金網30等が振動した場合において、その振動により吸音パネルユニット20と係合部41とが接触、分離を繰り返すことによる騒音の発生を防止することが可能となる。
【0044】
なお、係合部41は、隣り合う吸音パネルユニット20それぞれの上面20bに上側から係合する構造ではなく、吸音パネルユニット20の側面にボルトやリベットで係合して取り付ける構造で設けられていてもよい。この場合、上記した撓み防止部材40を作業現場で取り付ける手間を不要とする効果は得られないものの、撓み防止部材40に最も求められる、金網30の自重や金網30上に落下した落下物の荷重等によって発生する金網30の撓み、捩れを効果的に防止することが可能となる。これにより、金網30の端部と吸音パネルユニット20との間に、その撓み、捩れにより生じる隙間からルーバーパネル1内に落下物等が侵入するのを効果的に防止するという効果が十分に発揮される。
【0045】
また、ルーバーパネル1は、第1実施形態において、隣り合う吸音パネルユニット20間において一対の側枠11から内側に突出して設けられた一対の受け部材50と、受け部材50の上方に配置された押さえ部材60とを備える。金網30は、その枠体左右方向Bの両端部30aが、受け部材50と押さえ部材60との間で挟み付けられることにより固定されている。
【0046】
受け部材50は、
図6〜
図8等に示すように、側枠11に対して接合された接合部51と、金網30が載置される受け部52とを備えており、受け部52が側枠11から内側に突出して設けられている。受け部材50は、第1実施形態において、接合部51と受け部52とにより断面L字状に形成されている。受け部材50は、第1実施形態において、一対の側枠11のそれぞれにつき一つ設けられている。
【0047】
受け部材50の接合部51は、第1実施形態において、リベットからなる締結具53により接合されている。受け部材50の接合部51は、この他にもドリルネジ等の締結具53や溶接等により接合されていてもよい。受け部材50の接合部51は、第1実施形態において、側枠11に対して少なくとも2箇所以上の部位が締結具53により接合されている。これにより、締結具53による締結作業時の受け部材50の回転を防止することが可能となり、一対の受け部材50それぞれの受け部52の受け面50aが予め平行となるように設けておくことにより、その受け面50a上に載置される金網30に捩れが発生するのを防止することが可能となる。
【0048】
押さえ部材60は、受け部材50の受け部52と相対向して設けられた押さえ部61を備えている。押さえ部材60は、第1実施形態において、断面凹溝状に形成されており、その凹溝がなす底部が押さえ部61として構成されている。
【0049】
押さえ部材60は、第1実施形態において、その押さえ部61と受け部材50の受け部52とを貫通する締結ボルト71と、締結ボルト71に螺合される締結ナット72とにより、受け部材50に対して着脱可能に連結されている。押さえ部材60は、締結ボルト71から締結ナット72を緩めて取り外すことにより、受け部材50から取り外し自在となる。
【0050】
押さえ部材60は、受け部材50の受け面50aとその押さえ面60aとの間に金網30の端部30aを挟み付けた状態で保持可能に構成されており、第1実施形態においては、締結ボルト71と締結ナット72の締め付けの程度を強くすることにより、その状態で保持することが可能とされている。
【0051】
受け部材50の受け面50a及び押さえ部材60の押さえ面60aは、金網30の金網本体31を構成する複数の線材32により形成される一つの網目34の各辺をなす線材32に少なくとも接触するように、それぞれの面の大きさが形成されている。これら受け面50a及び押さえ面60aは、第1実施形態において、金網30の枠体左右方向の端部30aについて、その枠体前後方向Aのほぼ全長に亘る範囲を挟み付けるように、それぞれの面の大きさが形成されている。
【0052】
締結ボルト71は、第1実施形態において、受け部材50の受け部52の下面にそのボルト頭部の底面が溶接等により接合され、そのボルト軸部71aが受け部材50の受け部52、金網30の網目34、押さえ部材60の押さえ部61を順に貫通するように設けられている。これにより、締結ボルト71は、そのボルト軸部71aが受け部材50を貫通して上方に延びるように接合されていることになる。これにより、後述のように、枠体10に対する金網30の取り付け作業時の作業性を良好なものとすることが可能となる。
【0053】
因みに、網留め部材45、受け部材50、押さえ部材60は、耐候性鋼材等の金属材料の他、樹脂材料等から構成される。
【0054】
また、一対の受け部材50それぞれの受け面50aや、撓み防止部材40の支持部42の上面は、それぞれの上に配置された金網30に捩れが発生しないように、それぞれ平行となるように、前述した左右への立ち上がり部43の上下方向の長さを相違させるなどして、設けておくことが好ましい。
【0055】
次に、第1実施形態に係るルーバーパネル1に対して金網30を取り付ける方法について説明する。
【0056】
まず、
図12に示すように、ルーバーパネル1の一対の側枠11の内側に一対の受け部材50を締結具53により予め接合しておく。
【0057】
次に、その一対の受け部材50の受け部52上に金網30の端部30aを上側から係合させる。このとき、撓み防止部材40の一対の係合部41が、隣り合う吸音パネルユニット20の上面20bに上側から係合される。
【0058】
また、このとき、締結ボルト71のボルト軸部71aが受け部材50から上方に延びるように設けられている場合、金網30の網目34内にボルト軸部71aを挿通させることによって、ボルト軸部71aに金網30を引っ掛けた状態で次の作業を行うことができ、金網30の取り付け作業時の作業性を良好なものとすることが可能となる。
【0059】
次に、受け部材50上に押さえ部材60を配置し、その受け部材50と押さえ部材60との間で金網30の端部を挟み付けるように押さえ部材60に押し付け力を導入し、押さえ部材60をその状態で保持することによって、金網30の枠体左右方向の両端部30aを固定する。第1実施形態においては、受け部材50及び押さえ部材60を貫通する締結ボルト71に対して締結ナット72を螺合し、その締め付けを強くすることにより押し付け力を導入した状態で保持する。
【0060】
以上の第1実施形態によれば、隣り合う複数の吸音パネルユニット20間の開口20aを覆うように金網30が設けられているので、落葉等の落下物や動物等がその開口20aを通してルーバーパネル1内に侵入するのを防止することが可能となる。
【0061】
特に、撓み防止部材40が設けられているので、金網30の荷重を支持部42から一対の係合部41を介して吸音パネルユニット20まで伝達することが可能となる。これにより、その金網30の自重や金網30上に落下した落下物の荷重等によって発生する金網30の撓み、捩れを防止して、金網30の端部と吸音パネルユニット20との間にその撓み、捩れにより生じる隙間からルーバーパネル1内に落下物等が侵入するのを効果的に防止することが可能となる。
【0062】
このような金網30の撓み、捩れを防止する観点から、撓み防止部材40は、一つの金網30につきその設けられる数について特に限定するものではなく、例えば、枠体左右方向Bに間隔を空けて二つ以上設けられていてもよいし、その設けられる位置についても特に限定するものではない。
【0063】
また、第1実施形態においては、ルーバーパネル1に金網30を取り付けるうえで、撓み防止部材40の一対の係合部41を隣り合う吸音パネルユニット20に係合させたり、押さえ部材60と受け部材50との間に金網30の端部30aを挟み付けたりするのみでよいため、吸音パネルユニット20に対して穴あけ加工をすることなく枠体10に金網30を取り付けることが可能となる。このため、そのような穴あけ加工をすることにより形成された穴から吸音パネルユニット20内に雨水が侵入するのを防止することが可能となる。また、第1実施形態においては、吸音パネルユニット20に対して穴あけ加工が不要となるので、吸音パネルユニット20の一部となる上部吸音パネル22と下部吸音パネル23とについて同じものを使いまわすことが可能となる。
【0064】
次に、第1実施形態に係るルーバーパネル1で用いられている金網30の詳細について説明する。
【0065】
金網30の金網本体31は、螺旋状に折り曲げられた複数の線材32が並列に配置され、隣り合う線材32の折曲部33同士が絡め合わせられた菱形金網として構成されている。
【0066】
線材32は、第1実施形態において、波形をなすように線材を一定のピッチで折り曲げることにより成形されるものである。複数の線材32は、隣り合う線材32の折曲部33同士が絡め合わせられることにより網目34が形成される。複数の線材32は、第1実施形態において、枠体前後方向Aに対して略平行となるように配置されている。隣り合う線材32は、それらの末端32aが互いに平行になるように逆向きに折り曲げられて、いわゆるナックル加工が施されているが、その末端32aの加工方法は特に限定するものではない。
【0067】
金網30は、第1実施形態において、金網本体31の周端部31aそれぞれの端辺に沿って線材32の内側に挿通された複数の外骨線35を更に備えている。複数の外骨線35は、金網本体31の周端部31aそれぞれの端辺に沿って、全体として矩形状をなすように挿通される。金網30の枠体左右方向Bの端部30aに挿通された外骨線35は、螺旋状の線材32の内側を通るように挿通されている。金網30の枠体前後方向の端部30aに挿通された外骨線35は、複数の線材32がなす網目34を貫通しつつそれぞれの線材32の内側を通るように挿通されている。
【0068】
また、金網30は、第1実施形態において、枠体左右方向B両側の外骨線35と略平行に線材32の内側に挿通された内骨線36を更に備えている。
【0069】
複数の外骨線35及び内骨線36は、金網本体31の角部31bにおいて互いに接合されている。複数の外骨線35はその端部35a同士が接合され、内骨線36はその端部36aが枠体前後方向A両側の外骨線35に接合されている。この接合手段としては、例えば、溶接、番線による接合が挙げられる。これにより、複数の外骨線35は、その形状がほぼ一定に保持されることになる。
【0070】
これにより、金網本体31が伸縮変形したときに、線材32の折曲部33や、隣り合う線材32の絡め合わせられた折曲部33同士が、ほぼ一定に形状が保持された複数の外骨線35に係合され、これによって、それ以上の金網本体31の伸縮変形を防止することが可能となる。即ち、金網本体31が伸縮変形しようとした場合でも、複数の外骨線35によってその金網本体31の形状を保持することが可能となる。
【0071】
金網30の枠体左右方向Bの両端部30aは、受け部材50と押さえ部材60との間で、線材32とともにこれら外骨線35及び内骨線36が挟み付けられることにより固定されている。これにより、押さえ部材60の押さえ面60aからの押し付け力を外骨線35及び内骨線36それぞれに分散させることによって、その押し付け力が外骨線35のみに集中することによる金網本体31の潰れ変形を抑えることが可能となり、ひいては、その金網本体31の潰れ変形により発生する網目34の広がりや、意匠性の低下を防止することが可能となる。
【0072】
また、このとき、受け部材50と押さえ部材60との間には、枠体左右方向Bの外骨線35や内骨線36と、枠体前後方向の外骨線35との交差部37が挟み付けられるようにしている。これにより、押さえ部材60により受け部材50に対して押さえ付けられている金網本体31の部分の近傍が、金網本体31の他の部分の自重等により撓んでしまうのを効果的に防止することが可能となる。
【0073】
列線32、外骨線35及び内骨線36は、例えば、鋼線、めっき鉄線等の線材から構成され、その材料は、例えば、鋼製材料等の金属材料から構成される。
【0074】
以上の第1実施形態に係る金網30によれば、複数の外骨線35により金網本体31の形状を保持することが可能となっているので、枠体10に対する金網30の取り付け作業時において、金網30の寸法合わせ作業をすることなく金網30を取り付けることが可能となり、その取り付け作業時の作業性の向上を図ることが可能となる。また、金網30の取り付け後においても、複数の外骨線35により金網本体31の形状を保持することが可能となっている。このため、金網30そのものの自重や重量のある落下物等が落下することによる金網30の撓みや捩れを防止することが可能となっており、その撓みや捩れにより発生する金網30の端部と吸音パネルユニット20との間の隙間からの落下物等の侵入を防止することが可能となる。また、このような効果を、金網本体31の周端部31aそれぞれに複数の外骨線35を挿通させたうえで、その複数の外骨線35を接合するのみといった簡単な組立作業を行うのみで発揮することが可能となっており、その組立作業時の作業性にも優れている。特に、その金網30の組立作業時において線材32同士の溶接をすることなく組立作業をすることができ、この点からも組立作業時の作業性に優れている。
【0075】
次に、第2実施形態に係るルーバーパネル1について説明する。なお、上述した構成要素と同一の構成要素については、同一の符号を付すことにより以下での説明を省略する。
【0076】
第2実施形態に係るルーバーパネル1は、
図13、
図14に示すように、第1実施形態と比較して、受け部材50及び押さえ部材60の構成が相違している。
【0077】
受け部材50は、第2実施形態において、一対の側枠11のそれぞれにつき枠体前後方向Aに間隔を空けて二つ設けられている。また、押さえ部材60は、その二つの受け部材50それぞれの上方に配置されており、一対の側枠11のそれぞれにつき二つ設けられている。受け部材50の受け面50a及び押さえ部材60の押さえ面60aは、第2実施形態において、金網30の枠体左右方向の端部30aについて、その枠体前後方向の二箇所の部位を挟み付けるように、それぞれの面の大きさが形成されている。
【0078】
以上、本発明の実施形態の例について詳細に説明したが、前述した実施形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。