特許第5791490号(P5791490)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5791490エレベータ非常停止装置およびエレベータ非常停止方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5791490
(24)【登録日】2015年8月14日
(45)【発行日】2015年10月7日
(54)【発明の名称】エレベータ非常停止装置およびエレベータ非常停止方法
(51)【国際特許分類】
   B66B 5/12 20060101AFI20150917BHJP
【FI】
   B66B5/12 C
【請求項の数】4
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2011-283526(P2011-283526)
(22)【出願日】2011年12月26日
(65)【公開番号】特開2013-133183(P2013-133183A)
(43)【公開日】2013年7月8日
【審査請求日】2014年3月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】000236056
【氏名又は名称】三菱電機ビルテクノサービス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110423
【弁理士】
【氏名又は名称】曾我 道治
(74)【代理人】
【識別番号】100111648
【弁理士】
【氏名又は名称】梶並 順
(74)【代理人】
【識別番号】100147566
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100161171
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 潤一郎
(72)【発明者】
【氏名】須藤 啓三
【審査官】 葛原 怜士郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−343696(JP,A)
【文献】 特開2004−149231(JP,A)
【文献】 特開平03−067882(JP,A)
【文献】 特開平11−199153(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 5/02
B66B 5/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転可能に設けられ、回転速度が第1の所定値を超えた場合に非常停止する調速機綱車と、
前記調速機綱車に巻き掛けられ、かごの昇降に連動して移動し、前記調速機綱車の非常停止により非常停止する調速機ロープと、
前記かごに設けられ、前記調速機ロープが非常停止することにより、前記かごを非常停止させる非常止め装置と
を備えたエレベータ非常停止装置であって、
前記調速機綱車の回転速度を検出する調速機エンコーダと、
前記調速機ロープを非常停止させる調速機ロープブレーキと、
前記調速機ロープブレーキを制御する調速機ロープブレーキ制御装置と
をさらに備え、
前記調速機ロープブレーキ制御装置は、主ロープを介して前記かごを昇降させる巻上機の動作情報と前記調速機エンコーダが検出する前記調速機綱車の回転速度情報とに基づいて前記主ロープの破断の有無を判定し、前記主ロープが破断したと判定する場合に、前記調速機ロープブレーキにより前記調速機ロープを非常停止させ
前記巻上機は、前記主ロープが巻き掛けられる巻上機綱車と、前記巻上機綱車の回転速度を検出する巻上機エンコーダとを有しており、
前記調速機ロープブレーキ制御装置は、前記巻上機の前記動作情報として、前記巻上機エンコーダが検出する前記巻上機綱車の回転速度情報を用い、前記調速機綱車の回転速度と前記巻上機綱車の回転速度との差が第2の所定値を超えた場合に、前記主ロープが破断したと判定することを特徴とするエレベータ非常停止装置。
【請求項2】
前記巻上機は、前記主ロープが巻き掛けられる巻上機綱車と、前記巻上機綱車を制動する巻上機ブレーキとを有しており、
前記調速機ロープブレーキ制御装置は、前記巻上機の前記動作情報として、前記巻上機ブレーキの作動情報を用い、前記巻上機ブレーキが前記巻上機綱車を制動している場合であって、前記調速機綱車の回転速度が第3の所定値を超えた場合に、前記主ロープが破断したと判定することを特徴とする請求項1に記載のエレベータ非常停止装置。
【請求項3】
前記かごが昇降する時における前記巻上機綱車を回転させる巻上機モータに供給される負荷電流を検出する電流検出装置をさらに備え、
前記巻上機は、前記調速機ロープブレーキが前記調速機ロープを非常停止させている場合に、前記かごの昇降の試運転を行うようになっており、
前記調速機ロープブレーキ制御装置は、前記調速機ロープブレーキにより前記調速機ロープが非常停止している場合であって、前記試運転の時の前記負荷電流が第4の所定値を超えた場合に、前記調速機ロープブレーキによる前記調速機ロープの非常停止を解除させることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のエレベータ非常停止装置。
【請求項4】
かごの昇降に連動して移動する調速機ロープが巻き掛けられた調速機綱車の回転速度が第1の所定値を超えた場合に、前記調速機綱車が非常停止することにより、前記調速機ロープが非常停止して、非常止め装置が前記かごを非常停止させるエレベータ非常停止方法であって、
前記調速機綱車の回転速度を検出する調速機回転速度検出工程と、
主ロープを介して前記かごを昇降させる巻上機の動作情報と前記調速機回転速度検出工程で検出される前記調速機綱車の回転速度情報とに基づいて、前記主ロープの破断の有無を判定する主ロープ破断判定工程と、
前記主ロープ破断判定工程で前記主ロープが破断したと判定された場合に、調速機ロープブレーキが前記調速機ロープを非常停止させる調速機ロープ非常停止工程と、
前記調速機ロープ非常停止工程で前記調速機ロープが非常停止することにより、前記非常止め装置が前記かごを非常停止させるかご非常停止工程と
を備え
前記巻上機は、前記主ロープが巻き掛けられる巻上機綱車と、前記巻上機綱車の回転速度を検出する巻上機エンコーダとを有しており、
前記主ロープ破断判定工程では、前記巻上機の前記動作情報として、前記巻上機エンコーダが検出する前記巻上機綱車の回転速度情報を用い、前記調速機綱車の回転速度と前記巻上機綱車の回転速度との差が第2の所定値を超えた場合に、前記主ロープが破断したと判定することを特徴とするエレベータ非常停止方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、調速機ロープが非常停止することにより、非常止め装置がかごを非常停止させるエレベータ非常停止装置およびエレベータ非常停止方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、回転速度が所定値を超えた場合に非常停止する調速機綱車と、調速機綱車に巻き掛けられ、かごの昇降に連動して移動し、調速機綱車の非常停止により非常停止する調速機ロープと、かごに設けられ、調速機ロープが非常停止することにより、かごを非常停止させる非常止め装置とを備えたエレベータ非常停止装置であって、かごに接続された主ロープの移動速度と、主ロープが巻き掛けられた巻上機綱車の回転速度とを比較して、巻上機綱車に対する主ロープのスリップを検出するスリップ検出装置と、スリップ検出装置が巻上機綱車に対する主ロープのスリップを検出した場合に、調速機ロープを非常停止させる調速機ロープブレーキとを備えたエレベータ非常停止装置が知られている。巻上機綱車に対する主ロープのスリップが発生した場合に、調速機ロープが調速機ロープブレーキにより非常停止して、非常止め装置がかごを非常停止させる。これにより、巻上機綱車に対する主ロープのスリップが発生した場合に、調速機綱車の回転速度が所定値を越える前に、かごが非常停止することができる。その結果、巻上機綱車に対する主ロープのスリップが発生してかごが非常停止する時のかご内の乗客に与える衝撃を小さくすることができる(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−149231号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、主ロープが破断した場合には、巻上機綱車に対する主ロープのスリップが発生しないので、調速機ロープブレーキが作動しない。したがって、調速機綱車の回転速度が所定値を超えるまで、かごが非常停止しない。つまり、主ロープが破断した場合に、調速機綱車の回転速度が所定値を越える前にかごを非常停止させることができない。その結果、主ロープが破断した場合には、かごが非常停止する時のかご内の乗客に与える衝撃が大きくなってしまうという問題点があった。
【0005】
この発明は、かごが非常停止する時のかご内の乗客に与える衝撃を小さくすることができるエレベータ非常停止装置およびエレベータ非常停止方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係るエレベータ非常停止装置は、回転可能に設けられ、回転速度が第1の所定値を超えた場合に非常停止する調速機綱車と、前記調速機綱車に巻き掛けられ、かごの昇降に連動して移動し、前記調速機綱車の非常停止により非常停止する調速機ロープと、前記かごに設けられ、前記調速機ロープが非常停止することにより、前記かごを非常停止させる非常止め装置とを備えたエレベータ非常停止装置であって、前記調速機綱車の回転速度を検出する調速機エンコーダと、前記調速機ロープを非常停止させる調速機ロープブレーキと、前記調速機ロープブレーキを制御する調速機ロープブレーキ制御装置とをさらに備え、前記調速機ロープブレーキ制御装置は、主ロープを介して前記かごを昇降させる巻上機の動作情報と前記調速機エンコーダが検出する前記調速機綱車の回転速度情報とに基づいて前記主ロープの破断の有無を判定し、前記主ロープが破断したと判定する場合に、前記調速機ロープブレーキにより前記調速機ロープを非常停止させ、前記巻上機は、前記主ロープが巻き掛けられる巻上機綱車と、前記巻上機綱車の回転速度を検出する巻上機エンコーダとを有しており、前記調速機ロープブレーキ制御装置は、前記巻上機の前記動作情報として、前記巻上機エンコーダが検出する前記巻上機綱車の回転速度情報を用い、前記調速機綱車の回転速度と前記巻上機綱車の回転速度との差が第2の所定値を超えた場合に、前記主ロープが破断したと判定する
【0007】
この発明に係るエレベータ非常停止方法は、かごの昇降に連動して移動する調速機ロープが巻き掛けられた調速機綱車の回転速度が第1の所定値を超えた場合に、前記調速機綱車が非常停止することにより、前記調速機ロープが非常停止して、非常止め装置が前記かごを非常停止させるエレベータ非常停止方法であって、前記調速機綱車の回転速度を検出する調速機回転速度検出工程と、主ロープを介して前記かごを昇降させる巻上機の動作情報と前記調速機回転速度検出工程で検出される前記調速機綱車の回転速度情報とに基づいて、前記主ロープの破断の有無を判定する主ロープ破断判定工程と、前記主ロープ破断判定工程で前記主ロープが破断したと判定された場合に、調速機ロープブレーキが前記調速機ロープを非常停止させる調速機ロープ非常停止工程と、前記調速機ロープ非常停止工程で前記調速機ロープが非常停止することにより、前記非常止め装置が前記かごを非常停止させるかご非常停止工程とを備え、前記巻上機は、前記主ロープが巻き掛けられる巻上機綱車と、前記巻上機綱車の回転速度を検出する巻上機エンコーダとを有しており、前記主ロープ破断判定工程では、前記巻上機の前記動作情報として、前記巻上機エンコーダが検出する前記巻上機綱車の回転速度情報を用い、前記調速機綱車の回転速度と前記巻上機綱車の回転速度との差が第2の所定値を超えた場合に、前記主ロープが破断したと判定する
【発明の効果】
【0008】
この発明に係るエレベータ非常停止装置によれば、回転可能に設けられ、回転速度が第1の所定値を超えた場合に非常停止する調速機綱車と、調速機綱車に巻き掛けられ、かごの昇降に連動して移動し、調速機綱車の非常停止により非常停止する調速機ロープと、かごに設けられ、調速機ロープが非常停止することにより、かごを非常停止させる非常止め装置と、調速機綱車の回転速度を検出する調速機エンコーダと、調速機ロープを非常停止させる調速機ロープブレーキと、調速機ロープブレーキを制御する調速機ロープブレーキ制御装置とを備え、調速機ロープブレーキ制御装置は、主ロープを介してかごを昇降させる巻上機の動作情報と調速機エンコーダが検出する調速機綱車の回転速度情報とに基づいて主ロープの破断の有無を判定し、主ロープが破断したと判定する場合に、調速機ロープブレーキにより調速機ロープを非常停止させるので、主ロープが破断した場合に、調速機綱車の回転速度が第1の所定値を超える前にかごを非常停止させることができる。その結果、かごが非常停止する時のかご内の乗客に与える衝撃を小さくすることができる。
【0009】
この発明に係るエレベータ非常停止方法によれば、かごの昇降に連動して移動する調速機ロープが巻き掛けられた調速機綱車の回転速度が第1の所定値を超えた場合に、調速機綱車が非常停止することにより、調速機ロープが非常停止して、非常止め装置がかごを非常停止させるエレベータ非常停止方法であって、調速機綱車の回転速度を検出する調速機回転速度検出工程と、主ロープを介してかごを昇降させる巻上機の動作情報と調速機回転速度検出工程で検出される調速機綱車の回転速度情報とに基づいて、主ロープの破断の有無を判定する主ロープ破断判定工程と、主ロープ破断判定工程で主ロープが破断したと判定された場合に、調速機ロープブレーキが調速機ロープを非常停止させる調速機ロープ非常停止工程と、調速機ロープ非常停止工程で調速機ロープが非常停止することにより、非常止め装置がかごを非常停止させるかご非常停止工程とを備えているので、主ロープが破断した場合に、調速機綱車の回転速度が第1の所定値を越える前にかごを非常停止させることができる。その結果、かごが非常停止する時のかご内の乗客に与える衝撃を小さくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】この発明の実施の形態1に係るエレベータ装置を示す構成図である。
図2】この発明の実施の形態2に係るエレベータ非常停止装置の要部を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、この発明の各実施の形態を図に基づいて説明するが、各図において、同一または相当の部材、部位については、同一符号を付して説明する。
【0012】
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1に係るエレベータ装置を示す構成図である。図において、エレベータ装置は、昇降路1を昇降するかご2と、かご2の移動方向に対して反対方向に昇降路1を昇降する釣合い錘3と、一端部がかご2に接続され、他端部が釣合い錘3に接続された主ロープ4と、機械室5に設けられ、主ロープ4を移動させる巻上機6と、かご2の昇降に連動して移動する調速機ロープ7とを備えている。また、エレベータ装置は、かご2の速度が上限値を超えた場合に、調速機ロープ7を非常停止させる調速機8と、主ロープ4が破断した場合に、調速機ロープ7を非常停止させる調速機ロープブレーキ9と、調速機ロープブレーキ9を制御する調速機ロープブレーキ制御装置10と、調速機ロープ7が非常停止することにより、かご2を非常停止させる非常止め装置11とを備えている。
【0013】
巻上機6は、主ロープ4が巻き掛けられる巻上機綱車61と、巻上機綱車61の回転速度を検出する巻上機エンコーダ62と、巻上機綱車61の停止中に巻上機綱車61を制動する巻上機ブレーキ63とを有している。主ロープ4は、巻上機綱車61が回転することにより移動する。つまり、巻上機綱車61は、主ロープ4を介して、かご2を昇降させる。巻上機綱車61および巻上機ブレーキ63は、エレベータ制御盤(図示せず)により制御される。
【0014】
調速機8は、機械室5に回転可能に設けられ調速機ロープ7が巻き掛けられる調速機綱車81と、調速機綱車81の回転速度を検出する調速機エンコーダ82と、昇降路1に設けられ調速機ロープ7が巻き掛けられる張り車83とを有している。調速機綱車81は、調速機ロープ7および非常止め装置11を介してかご2に連結されている。したがって、調速機綱車81は、かご2の昇降に連動して回転する。調速機綱車81は、調速機綱車81の回転速度が第1の所定値を超えた場合に非常停止するようになっている。第1の所定値は、かご2が速度の上限値で昇降する時の調速機綱車81の回転速度となっている。この例では、かご2の速度の上限値は、定格速度の1.4倍の速度となっている。これにより、かご2の速度が、定格速度の1.4倍を超えた場合に、調速機綱車81が非常停止する。なお、かご2の速度の上限値は、定格速度の1.4倍に限らず、その他の値であってもよい。
【0015】
調速機ロープブレーキ9は、機械室5に設けられている。調速機ロープブレーキ9は、調速機ロープ7を把持する把持位置と、調速機ロープ7から離れる離間位置との間で変位する。調速機ロープブレーキ9は、調速機ロープ7を把持することにより、調速機ロープ7を非常停止させる。
【0016】
調速機ロープブレーキ制御装置10は、巻上機エンコーダ62から、巻上機エンコーダ62が検出する巻上機綱車61の回転速度情報(動作情報)が入力される。また、調速機ロープブレーキ制御装置10は、巻上機ブレーキ63が巻上機綱車61を制動している場合に、巻上機ブレーキ63から、巻上機ブレーキ63が巻上機綱車61を制動していることを示す作動情報(動作情報)が入力される。また、調速機ロープブレーキ制御装置10は、調速機エンコーダ82から、調速機エンコーダ82が検出する調速機綱車81の回転速度情報が入力される。
【0017】
調速機ロープブレーキ制御装置10は、巻上機エンコーダ62から入力される巻上機綱車61の回転速度情報と、調速機エンコーダ82から入力される調速機綱車81の回転速度情報とに基づいて、主ロープ4の破断の有無を判定する。具体的には、調速機ロープブレーキ制御装置10は、巻上機綱車61の回転速度と調速機綱車81の回転速度との差が第2の所定値を超えた場合に、主ロープ4が破断したと判定する。また、調速機ロープブレーキ制御装置10は、主ロープ4が破断したと判定する場合に、調速機ロープブレーキ9を把持位置に変位させる。これにより、調速機ロープ7が非常停止する。第2の所定値としては、主ロープ4が破断した場合に、調速機綱車81の回転速度が第1の所定値を超える前に調速機ロープブレーキ9が調速機ロープ7を非常停止させることができる値が設定される。したがって、調速機ロープ7は、主ロープ4が破断した場合に、調速機綱車81の回転速度が第1の所定値を超える前に、非常停止する。
【0018】
また、調速機ロープブレーキ制御装置10は、巻上機ブレーキ63から入力される作動情報と、調速機エンコーダ82から入力される調速機綱車81の回転速度とに基づいて、主ロープ4の破断の有無を判定する。具体的には、調速機ロープブレーキ制御装置10は、巻上機ブレーキ63から作動情報が入力された場合であって、調速機エンコーダ82から入力された調速機綱車81の回転速度が第3の所定値を超えた場合に、主ロープ4が破断したと判定する。この場合にも、調速機ロープブレーキ制御装置10は、調速機ロープブレーキ9を把持位置に変位させる。これにより、調速機ロープ7が非常停止する。第3の所定値としては、主ロープ4が破断してかご2が降下を開始した場合に、調速機綱車81の回転速度が第1の所定値を超える前に調速機ロープブレーキ9が調速機ロープ7を非常停止させることができる値が設定される。したがって、調速機ロープ7は、巻上機綱車61が停止中に主ロープ4が破断した場合に、調速機綱車81の回転速度が第1の所定値を超える前に、非常停止する。また、この第3の所定値としては、主ロープ4が破断してかご2が降下を開始して、戸開状態でかご2が走行することを防ぐ戸開走行保護装置(図示せず)が作動する速度にかご2が達するまでに、調速機ロープブレーキ9が調速機ロープ7を非常停止させる値が設定される。したがって、主ロープ4が破断することにより、戸開走行保護装置によるかご2の停止を行うことができない場合であっても、戸開走行保護装置によりかご2が停止する範囲内に、かご2を非常停止させることができる。
【0019】
非常止め装置11は、調速機ロープ7に連結されている。非常止め装置11は、かご2を案内するガイドレール(図示せず)と係合する係合位置と、ガイドレールとの係合が解除される解除位置の間で変位する。非常止め装置11は、非常止め装置11の位置が係合位置にある場合に、かご2を非常停止させる。非常止め装置11は、調速機ロープ7が非常停止することにより、解除位置から係合位置に変位して、かご2を非常停止させる。
【0020】
調速機ロープ7、調速機8、調速機ロープブレーキ9、調速機ロープブレーキ制御装置10および非常止め装置11からエレベータ非常停止装置が構成されている。
【0021】
次に、エレベータ装置の動作について説明する。まず、巻上機エンコーダ62は、巻上機綱車61の回転速度の検出(巻上機回転速度検出工程)を開始し、調速機エンコーダ82は、調速機綱車81の回転速度の検出(調速機回転速度検出工程)を開始する。これにより、巻上機綱車61の回転速度情報および調速機綱車81の回転速度情報は、調速機ロープブレーキ制御装置10に常時入力される。
【0022】
その後、かご2の上昇中に、主ロープ4が破断すると、巻上機綱車61がかご2を上昇させる方向に回転しているにもかかわらず、かご2が減速しさらに下降を開始する。これにより、調速機ロープ7が、かご2に連動して移動する。
【0023】
その後、調速機ロープブレーキ制御装置10は、巻上機綱車61の回転速度情報と調速機綱車81の回転速度情報とに基づいて、主ロープ4の破断の有無を判定する(主ロープ破断判定工程)。調速機ロープブレーキ制御装置10は、主ロープ4が破断したと判定する場合に、調速機ロープブレーキ9を把持位置に変位させる。これにより、調速機ロープブレーキ9が調速機ロープ7を非常停止させる(調速機ロープ非常停止工程)。
【0024】
その後、調速機ロープ7が非常停止することにより、非常止め装置11がかご2を非常停止させる(かご非常停止工程)。
【0025】
また、かご2の停止中に、主ロープ4が破断すると、巻上機ブレーキ63による巻上機綱車61への制動力に関係なく、かご2が下降を開始する。これにより、調速機ロープ7が、かご2の下降に連動して移動を開始する。この場合、巻上機ブレーキ63は、巻上機綱車61を制動中であるので、作動情報を調速機ロープブレーキ制御装置10に入力する(作動情報入力工程)。
【0026】
その後、調速機ロープブレーキ制御装置10は、巻上機ブレーキ63の作動情報と調速機綱車81の回転速度情報とに基づいて、主ロープ4の破断の有無を判定する(主ロープ破断判定工程)。調速機ロープブレーキ制御装置10は、主ロープ4が破断したと判定する場合に、調速機ロープブレーキ9を把持位置に変位させる。これにより、調速機ロープブレーキ9が調速機ロープ7を非常停止させる(調速機ロープ非常停止工程)。
【0027】
その後、調速機ロープ7が非常停止することにより、非常止め装置11がかご2を非常停止させる(かご非常停止工程)。
【0028】
以上説明したように、この発明の実施の形態1に係るエレベータ非常停止装置によれば、回転可能に設けられ、回転速度が第1の所定値を超えた場合に非常停止する調速機綱車81と、調速機綱車81に巻き掛けられ、かご2の昇降に連動して移動し、調速機綱車81の非常停止により非常停止する調速機ロープ7と、かご2に設けられ、調速機ロープ7が非常停止することにより、かご2を非常停止させる非常止め装置11と、調速機綱車81の回転速度を検出する調速機エンコーダ82と、調速機ロープ7を非常停止させる調速機ロープブレーキ9と、調速機ロープブレーキ9を制御する調速機ロープブレーキ制御装置10とを備え、調速機ロープブレーキ制御装置10は、主ロープ4を介してかご2を昇降させる巻上機6の動作情報と調速機エンコーダ82が検出する調速機綱車81の回転速度情報とに基づいて主ロープ4の破断の有無を判定し、主ロープ4が破断したと判定する場合に、調速機ロープブレーキ9により調速機ロープ7を非常停止させるので、主ロープ4が破断した場合に、調速機綱車81の回転速度が第1の所定値を超える前にかご2を非常停止させることができる。その結果、かご2が非常停止する時のかご2内の乗客に与える衝撃を小さくすることができ、かご2内の乗客に不快感を与えることを低減させることができる。
【0029】
また、このエレベータ非常停止装置によれば、巻上機6は、主ロープ4が巻き掛けられる巻上機綱車61と、巻上機綱車61の回転速度を検出する巻上機エンコーダ62とを有しており、調速機ロープブレーキ制御装置10は、巻上機6の動作情報として、巻上機エンコーダ62が検出する巻上機綱車61の回転速度情報を用い、調速機綱車81の回転速度と巻上機綱車61の回転速度との差が第2の所定値を超えた場合に、主ロープ4が破断したと判定するので、主ロープ4の破断が発生した場合に、調速機綱車81の回転速度が第1の所定値を超える前に、かご2を非常停止させることができる。
【0030】
また、このエレベータ非常停止装置によれば、巻上機6は、主ロープ4が巻き掛けられる巻上機綱車61と、巻上機綱車61を制動する巻上機ブレーキ63とを有しており、調速機ロープブレーキ制御装置10は、巻上機6の動作情報として、巻上機ブレーキ63の作動情報を用い、巻上機ブレーキ63が巻上機綱車61を制動している場合であって、調速機綱車81の回転速度が第3の所定値を超えた場合に、主ロープ4が破断したと判定するので、かご2の停止中に主ロープ4の破断が発生した場合に、調速機綱車81の回転速度が第1の所定値を超える前に、かご2を非常停止させることができる。
【0031】
また、この発明の実施の形態1に係るエレベータ非常停止方法によれば、かご2の昇降に連動して移動する調速機ロープ7が巻き掛けられた調速機綱車81の回転速度が第1の所定値を超えた場合に、調速機綱車81が非常停止することにより、調速機ロープ7が非常停止して、非常止め装置11がかご2を非常停止させるエレベータ非常停止方法であって、調速機綱車81の回転速度を検出する調速機回転速度検出工程と、主ロープ4を介してかご2を昇降させる巻上機6の動作情報と調速機回転速度検出工程で検出される調速機綱車81の回転速度情報とに基づいて、主ロープ4の破断の有無を判定する主ロープ破断判定工程と、主ロープ破断判定工程で主ロープ4が破断したと判定された場合に、調速機ロープブレーキ9が調速機ロープ7を非常停止させる調速機ロープ非常停止工程と、調速機ロープ非常停止工程で調速機ロープ7が非常停止することにより、非常止め装置11がかご2を非常停止させるかご非常停止工程とを備えているので、主ロープ4が破断した場合に、調速機綱車81の回転速度が第1の所定値を越える前にかご2を非常停止させることができる。その結果、かご2が非常停止する時のかご2内の乗客に与える衝撃を小さくすることができ、かご2内の乗客に不快感を与えることを低減させることができる。
【0032】
実施の形態2.
図2はこの発明の実施の形態2に係るエレベータ非常停止装置の要部を示すブロック図である。図において、エレベータ装置は、かご2が昇降する時における巻上機綱車61を回転させる巻上機モータ(図示せず)に供給される負荷電流を検出する電流検出装置12をさらに備えている。電流検出装置12が検出する負荷電流情報は、調速機ロープブレーキ制御装置10に入力される。
【0033】
この例では、調速機ロープ7、調速機8、調速機ロープブレーキ9、調速機ロープブレーキ制御装置10、非常止め装置11および電流検出装置12からエレベータ非常停止装置が構成されている。
【0034】
巻上機綱車61(図1)は、調速機ロープブレーキ9が調速機ロープ7を非常停止させている場合に、エレベータ制御盤(図示せず)の制御により、かご2の昇降の試運転を行うようになっている。この場合の試運転とは、かご2を数cm程度だけ昇降させる運転であり、かご2を非常停止させた後に調速機ロープ7が破断しているか否かを判定するための運転である。かご2は、調速機ロープ7が非常停止している場合には、通常運転のように昇降することはできないが、数cm程度の昇降は可能となっている。
【0035】
調速機ロープブレーキ制御装置10は、調速機ロープブレーキ9により調速機ロープ7が非常停止している場合に、試運転により巻上機綱車61(図1)が僅かに回転する時における電流検出装置12が検出する負荷電流が第4の所定値を超えたか否かを判定する。調速機ロープブレーキ制御装置10は、調速機ロープブレーキ9により調速機ロープ7が非常停止している場合であって、試運転により巻上機綱車61が僅かに回転する時の負荷電流が第4の所定値を超えた場合に、調速機ロープブレーキ9による調速機ロープ7の非常停止を解除させる。第4の所定値としては、かご2や釣合い錘3を昇降させるために必要な負荷電流の値が設定される。その他の構成は、実施の形態1と同様である。
【0036】
次に、かご2の非常停止が解除される場合のエレベータ装置の動作について説明する。実施の形態1に記載のように、調速機ロープ7が非常停止して、非常止め装置11がかご2を非常停止させた後、エレベータ制御盤が試運転を開始して、電流検出装置12は、巻上機綱車61に供給される負荷電流を検出する(負荷電流検出工程)。
【0037】
その後、調速機ロープブレーキ制御装置10は、負荷電流が第4の所定値を超えたか否かを判定する。調速機ロープブレーキ制御装置10は、負荷電流が第4の所定を超えたと判定する場合に、主ロープ4が破断していないとして、調速機ロープブレーキ9を離間位置に変位させる。これにより、調速機ロープ7の非常停止が解除されて、かご2の非常停止が解除される(かご非常停止解除工程)。その後、エレベータ制御盤は、かご2が上昇するように、巻上機綱車61を回転させる。これにより、非常止め装置11が係合位置から解除位置に自動的に変位する。以上により、かご2の非常停止が解除される場合のエレベータ装置の動作が終了する。
【0038】
以上説明したように、この発明の実施の形態2に係るエレベータ非常停止装置によれば、かご2が昇降する時における巻上機綱車61を回転させる巻上機モータに供給される負荷電流を検出する電流検出装置12をさらに備え、巻上機6は、調速機ロープブレーキ9が調速機ロープ7を非常停止させている場合に、かご2の昇降の試運転を行うようになっており、調速機ロープブレーキ制御装置10は、調速機ロープブレーキ9により調速機ロープ7が非常停止している場合であって、試運転の時の負荷電流が第4の所定値を超えた場合に、調速機ロープブレーキ9による調速機ロープ7の非常停止を解除させるので、誤検出により、かご2が非常停止した場合に、かご2の非常停止を自動的に解除することができる。その結果、エレベータ装置を自動復帰させることができる。
【0039】
なお、上記実施の形態2では、電流検出装置12が検出する負荷電流情報が電流検出装置12から調速機ロープブレーキ制御装置10に入力される構成について説明したが、これに限らず、例えば、エレベータ制御盤から負荷電流情報が調速機ロープブレーキ制御装置10に入力される構成であってもよい。
【0040】
また、各上記実施の形態では、巻上機6の動作情報として、巻上機エンコーダ62が検出する巻上機綱車61の回転速度情報および巻上機ブレーキ63の作動情報の両方を用いる構成について説明したが、何れか一方のみを用いる構成であってもよい。
【0041】
また、各上記実施の形態では、調速機ロープブレーキ制御装置10は、かご2が昇降中に、調速機綱車81の回転速度情報と巻上機綱車61の回転速度情報とに基づいて主ロープ4の破断を判定する構成について説明したが、これに限らず、調速機ロープブレーキ制御装置10は、かご2が停止中にも、調速機綱車81の回転速度情報と巻上機綱車61の回転速度情報とに基づいて主ロープ4の破断を判定する構成であってもよい。この場合、調速機ロープブレーキ制御装置10は、調速機綱車81の回転速度情報と巻上機ブレーキ63の作動情報とに基づいた主ロープ4の破断の判定を行わなくてもよい。
【0042】
また、各上記実施の形態では、巻上機ブレーキ63の作動情報が巻上機ブレーキ63から調速機ロープブレーキ制御装置10に入力される構成について説明したが、これに限らず、例えば、エレベータ制御盤から巻上機ブレーキ63の作動情報が調速機ロープブレーキ制御装置10に入力される構成であってもよい。
【符号の説明】
【0043】
1 昇降路、2 かご、3 釣合い錘、4 主ロープ、5 機械室、6 巻上機、7 調速機ロープ、8 調速機、9 調速機ロープブレーキ、10 調速機ロープブレーキ制御装置、11 非常止め装置、12 電流検出装置、61 巻上機綱車、62 巻上機エンコーダ、63 巻上機ブレーキ、81 調速機綱車、82 調速機エンコーダ、83 張り車。
図1
図2