【課題を解決するための手段】
【0016】
より一般的には、本発明は、食品または飲料原料などの分配可能な物質、特にミルクなどの液体、または、他の温度劣化し得る物質を収容するためのキャビティと、分配可能な物質の1つ以上の特性を測定して、そのような特性をキャビティの外部に送信するための装置と、を備える容器に関する。
【0017】
本発明によれば、前記装置は、測定された前記特性を表わす信号、特に音声および/または電磁波信号をキャビティの外部に無線通信するようになっている送信器を備える。例えば、超音波信号が無線通信のために使用されてもよい。電磁波信号は、低周波、高周波、または、超高周波、一般的には30kHz〜3GHz、特に100〜1000kHz、例えば120〜150kHzの範囲の周波数を有してもよい。例えば、約125または135kHzの周波数を選択してもよい。
【0018】
一般に、キャビティは、キャビティ内の物質を環境から分離するために実質的に閉塞されあるいは閉塞可能である。例えば、通常は、閉塞されたキャビティは、例えばダクトを組み込むあるいはダクトに接続される出口、特に要求時に物質を供給するための閉塞可能な出口を有する。閉塞されたキャビティは、閉塞可能な蓋、または、キャビティに物質を充填するあるいは補充するための入口を有してもよい。この場合、装置は、この閉塞されたあるいは閉塞可能なキャビティ内に完全に封入させることができる。
【0019】
無線信号通信にしたがって、前記装置は、通常は、無線電源システムと共に配置される。
【0020】
容器のキャビティの内部から外部への無線通信のための前記装置を設けることにより、容器のキャビティに介入するあるいは上記キャビティを開放する必要なく、または、例えば通信ケーブルまたは電源ケーブルを介して外部からキャビティ内に延びる装置を使用する必要なく、キャビティ内の物質を監視することができる。そのため、物質の特性の測定に起因して、容器のキャビティの外部のファクタによる物質の汚染、変質、または、障害が起こらずあるいは実質的に起こらない。また、そのような測定・送信装置は、容器の既存の構造を変更することなくあるいは大きく変更することなく既存の容器に後付けすることができる。
【0021】
例えば、送信器は、無線信号を通信するためのアンテナを含む。上記送信器は、可視域の光信号であってもよい光信号または赤外光あるいは紫外光信号を通信するための光電素子を含んでもよい。
【0022】
一実施形態において、この装置は、装置内に収容されるバッテリなどの自律電源によって給電されるようになっている。一般に、バッテリは、送信器および測定装置に給電するのに適している。例えば、無線超音波通信で動作する装置は、そのような自律給電と組み合わされてもよい。
【0023】
他の実施形態において、装置は、キャビティの外部からの入力電磁信号、特に無線信号によって誘導される電流によって給電されるようになっている。また、光学的な入力信号によって電流を誘導することも考えられる。同様に、この入力電流は、送信器および測定装置に給電するために使用されてもよい。一般に、入力電流は、送信器で誘導された後、装置内の測定装置へ通信される。
【0024】
例えば、送信・測定装置は、RFIDのような電源と信号通信技術とを組み込む。装置のアンテナを介した入力無線信号により(または、光電コンバータを介した入力光信号により)誘導される電流は、装置の測定装置を給電し且つ測定された特性を表わす信号をアンテナ(または、発光体)を介して容器の外部に戻すために必要な電力を供給する。一般に、装置は、入力・出力信号を処理するようになっているCMOS回路などの集積回路を含む。変形において、装置は、無線音声または超音波通信装置と組み合わされる例えばRFID型の電磁的に誘導される電源装置を含んでもよい。
【0025】
別言するならば、装置は、遠隔無線電源のための構成を含んでもよい。
【0026】
そのような誘導電源装置は幾つかの利点を伴う。特に、装置は、バッテリ(または、外部給電ケーブル)を何ら動作させる必要がなく、また、ユーザによるバッテリ交換がどんなときも必要とされない。装置は、例えば洗浄を簡単にするために容易に封入されてもよくあるいは完全に防水されてもよい。これは、ユーザによる装置内へのアクセスがどんなときも必要とされず、したがって、そのようなアクセスが全く与えられてはならないからである。また、装置に給電するために機械的な接触が必要とされず、そのため、摩耗率が減少される。
【0027】
装置が初期セットアップのみを必要とし、この後、この後付けされた装置を取り扱うために特に行なわれるユーザによる更なる作業を殆ど必要としないため、これは、分配可能な物質を収容するための既存の容器に装置を後付けする場合に特に有益である。そのため、ユーザは、一般に、自分が以前にしていたようにシステムを使用し続け、一方、システム自体は、特に分配可能な物質の品質制御に関連する更なる利点を与える。
【0028】
無線通信装置のために利用され得る能動的および受動的なRFID技術は、良く知られており、特に売り物を追跡して監視するために、物品、物体、動物、更には人間を追跡する技術において広まっている。これについては、例えば米国特許第4,384,288号明細書、5,874,896号明細書、および、6,172,609号明細書を参照されたい。
【0029】
一般的に、送信器は測定・送信装置からおよび/または上記装置に無線情報を通信するための、および/または無線電力エネルギをこの装置に供給するための、アンテナを備える。
【0030】
一実施形態において、測定・送信装置は、上記1つ以上の特性を測定するための液位センサおよび/または温度センサ、特に、閉じられたキャビティの底部に配置される温度センサおよび/または液位センサを備える。
【0031】
キャビティは、キャビティからの物質の出口のための通路、特に閉塞可能な通路を有することができる。また、キャビティは、物質の入口のための開口、特に、取り外し可能な蓋で覆われる開口を有してもよい。測定・送信装置をこの取り外し可能な蓋に固定することができる。例えば、容器は、物質、一般的には液体食品または飲料物質などの液体のための管状出口を有する。
【0032】
キャビティは、物質を周囲温度よりも高いあるいは低い温度に維持するために断熱されてもよい。キャビティは、特に、魔法瓶のような容器などの真空フラスコ内に形成される。
【0033】
本発明の他の態様は、分配器、例えば液体食品の飲料分配器、特に茶および/またはコーヒー装置に関連する。
【0034】
例えば、分配器は、コーヒー、茶、または、スープ装置であり、特に、供給されるべき飲料または液体食品の原料、例えば挽いたコーヒーを収容するカプセルに熱水または冷水または他の液体を通過させることにより飲料または液体食品を供給するための装置である。用語“カプセル”は、密閉されたアルミニウムまたはプラスチックカプセルおよび/またはフィルタポッドなどの抽出/浸出チャンバ内に挿入されるようになっているポーション食品原料を収容する任意のタイプの適切なパッケージを意味する。
【0035】
容器のキャビティ内に収容される物質は、分配器を用いて液体食品または飲料を調製するプロセスで使用される液体ミルクなどの温度劣化し得る食品物質であってもよい。測定・送信装置は、劣化し得る食品物質の温度および液位を測定して、そのような劣化し得る食品物質を含む液体食品または飲料の分配を、キャビティ内でのその液位が更なる液体食品または飲料調製を可能にしない最小液位に達したときあるいはその温度が劣化をもたらすレベル、例えばミルクに関しては10または15℃を超える温度に達したときに停止するようになっているのが都合良い。
【0036】
分配器は、分配可能な物質、特にミルクなどの液体、または、他の温度劣化し得る物質の供給のための前述した容器と、容器のキャビティの外部に配置され、上記1つ以上の特性を表わす無線信号、特に音声および/または電磁波信号を容器のキャビティの内側に位置される送信器から受けるようになっているトランスデューサとを備える。
【0037】
分配器のトランスデューサは、上記容器の送信器から無線信号を受けるためのアンテナを含んでもよい。前述したように、送信器とトランスデューサとの間に光信号通信を配置することもできる。
【0038】
有利な実施形態において、装置は、キャビティの外部からの入力電磁信号、特に無線信号によって誘導される電流により給電されるようになっており、入力電磁信号が特に分配器のトランスデューサによって発せられる。
【0039】
分配器は、物質の特性を監視して、監視された特性が閾値に達するときに容器からの分配可能な物質の分配を許容しあるいは防止するようになっていてもよく、例えばコントローラまたはプロセッサを有してもよい。一般に、分配器は、物質がキャビティ内で最小液位に達するときおよび/または物質が最大または最小温度を超える温度を有するときに容器からの分配可能な物質の分配を防止するようになっている。分配器は、そのような特性を永久にあるいは定期的に監視するようになっていてもよく、あるいは、特に分配可能な物質を分配するための要求に基づいてそのような特性を断続的に監視するようになっていてもよい。
【0040】
一実施形態では、分配器がハウジングを有し、分配器のトランスデューサがハウジング内に組み込まれる。一般に、そのような分配器は一体のトランスデューサを伴って製造される。
【0041】
他の実施形態では、分配器がハウジングを有し、分配器のトランスデューサがハウジングの外部に配置される。一般に、分配器のトランスデューサは、分配器の製造後、その後の段階で分配器内にあるいは分配器上に後付けされる。
【0042】
本発明の更なる他の態様は、物質の1つ以上の特性を測定して、そのような特性を通信するための装置、特に、前述した容器または前述した分配器のための装置に関する。本発明によれば、装置は、これらの特性を表わす信号、特に音声および/または電磁波信号を装置の外部に無線通信するようになっている送信器を備える。
【0043】
ここで、概略図面を参照して本発明について説明する。