特許第5791564号(P5791564)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5791564
(24)【登録日】2015年8月14日
(45)【発行日】2015年10月7日
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G06F 1/32 20060101AFI20150917BHJP
   G06F 3/12 20060101ALI20150917BHJP
   B41J 29/38 20060101ALI20150917BHJP
   H04N 1/00 20060101ALI20150917BHJP
【FI】
   G06F1/32 Z
   G06F3/12 336
   G06F3/12 310
   B41J29/38 D
   B41J29/38 Z
   H04N1/00 107Z
   H04N1/00 C
【請求項の数】5
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2012-113693(P2012-113693)
(22)【出願日】2012年5月17日
(65)【公開番号】特開2013-242613(P2013-242613A)
(43)【公開日】2013年12月5日
【審査請求日】2014年4月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114971
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 修
(72)【発明者】
【氏名】坂部 圭治
【審査官】 脇水 佳弘
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−218223(JP,A)
【文献】 特開2010−219893(JP,A)
【文献】 特開2011−159047(JP,A)
【文献】 特開2006−285903(JP,A)
【文献】 特開2007−219644(JP,A)
【文献】 特開2007−110240(JP,A)
【文献】 特開2007−281781(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 1/26−1/32
B41J 29/38
G06F 3/12
H04N 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワークインターフェイスを有する第1モジュールと、
仮想ネットワークで前記第1モジュールに接続される第2モジュールと、
前記第1モジュールおよび前記第2モジュールのいずれかで起動するアプリケーションが前記仮想ネットワーク上で使用するポート番号を登録し、登録されている前記ポート番号と同一のポート番号を使用するアプリケーションの起動を禁止する起動制御部と、
を備え、
前記起動制御部は、前記アプリケーションの起動処理において送信される、前記仮想ネットワーク上で使用するポート番号が登録されているか否かの問合せを、前記仮想ネットワークを介して受け付け、そのポート番号が登録されている場合には、前記起動処理を中止させるための応答を、前記仮想ネットワークを介してそのアプリケーションに送信すること、
を特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記起動制御部は、前記第1モジュール内に存在することを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記第1モジュールは、通常モードおよび省電力モードにおいて動作し、
前記第2モジュールは、前記通常モードにおいて動作し、前記省電力モードにおいて動作を停止すること、
を特徴とする請求項記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記アプリケーションのプログラムを記憶する不揮発性記憶装置をさらに備え、
前記第2モジュールは、前記プログラムを実行するプロセッサーを有し、
前記第2モジュールのプロセッサーは、前記アプリケーションの起動処理において、前記プログラムに従って、当該アプリケーションから前記仮想ネットワーク上で使用するポート番号が登録されているか否かの問合せを、前記仮想ネットワークを介して前記起動制御部に送信し、前記起動処理を中止させるための応答が前記仮想ネットワークを介して前記起動制御部から受信された場合、前記起動処理を中止すること、
を特徴とする請求項記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記第2モジュールは、印刷機能、画像読取機能、およびファクシミリ機能のいずれかを実現するモジュールであることを特徴とする請求項1から請求項のうちのいずれか1項記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、プロセッサーの性能向上に伴い仮想化技術が普及しつつある。仮想化技術によれば、1台の装置において複数のモジュールで複数のオペレーティングシステムを稼動し、複数のモジュール間で通信を行うために仮想ネットワークを構築して、それらで連携しつつ互いに異なる処理を並行して実行させることが可能である(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−138397号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述のように、複数のモジュール間で通信を行うために仮想ネットワークが構築される場合、1つのモジュールにのみ物理的なネットワークインターフェイスを設け、ネットワークインターフェイスが接続される外部ネットワークと仮想ネットワークとの間にルーター機能部を設けることで、すべてのモジュールが、外部ネットワークに対する通信を行えるようにすることが考えられる。
【0005】
各モジュールでは、装置の機能を実現するためのアプリケーションが実行され、このアプリケーションが仮想ネットワークを介して外部ネットワークに対する通信を行う。アプリケーションは、TCP(Transmission Control Protocol)、UDP(User Datagram Protocol )などのプロトコルを使用する場合、自己の使用するポート番号を起動時に仮想ネットワークインターフェイスに対して指定し、仮想ネットワークインターフェイスは、そのポート番号宛てのパケットを受信すると、そのパケットで受信したデータをアプリケーションに渡す。
【0006】
仮想ネットワーク上に複数のモジュールが存在する場合、それぞれのモジュールにおいて独立してポート番号が管理されるため、あるモジュールで起動しているアプリケーションと同一のポート番号を使用する別のアプリケーションを別のモジュールで実行することが可能である。しかし、異なる複数のモジュールで同一のポート番号を使用するアプリケーションがそれぞれ動作していると、ネットワーク通信において不具合が生じる可能性がある。
【0007】
例えば、外部ネットワーク上の端末装置からそのポート番号を宛先としたパケットが受信され、ルーター機能部によって、そのパケットが仮想ネットワークに送出された場合、その端末装置の正しい通信相手であるアプリケーションとは異なるアプリケーション(正しい通信相手と同一のポート番号を使用する別のアプリケーション)にそのパケットが受信され、そのアプリケーションが、誤ってそのパケットに対して応答する可能性がある。
【0008】
本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、仮想ネットワーク上に複数のモジュールが存在する場合においてどのモジュールでアプリケーションを実行しても外部ネットワークとの通信が正しく行われる画像形成装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するために、本発明では以下のようにした。
【0011】
これにより、仮想ネットワーク上に複数のモジュールが存在する場合においてどのモジュールでアプリケーションを実行しても、同一のポート番号を使用するアプリケーションが複数のモジュールで別々に重複して起動されることがなくなり、外部ネットワークとの通信が正しく行われる。
【0012】
本発明に係る画像形成装置は、ネットワークインターフェイスを有する第1モジュールと、仮想ネットワークで第1モジュールに接続される第2モジュールと、第1モジュールおよび第2モジュールのいずれかで起動するアプリケーションが仮想ネットワーク上で使用するポート番号を登録し、登録されているポート番号と同一のポート番号を使用するアプリケーションの起動を禁止する起動制御部とを備える。そして、起動制御部は、アプリケーションの起動処理において送信される、仮想ネットワーク上で使用するポート番号が登録されているか否かの問合せを、仮想ネットワークを介して受け付け、そのポート番号が登録されている場合には、起動処理を中止させるための応答を、仮想ネットワークを介してそのアプリケーションに送信する。
【0013】
また、本発明に係る画像形成装置は、上記の画像形成装置に加え、次のようにしてもよい。この場合、起動制御部は、第1モジュール内に存在する。
【0014】
また、本発明に係る画像形成装置は、上記の画像形成装置に加え、次のようにしてもよい。この場合、第1モジュールは、通常モードおよび省電力モードにおいて動作し、第2モジュールは、通常モードにおいて動作し、省電力モードにおいて動作を停止する。
【0015】
これにより、第2モジュールが省電力モードから通常モードに復帰するときに、起動制御部が稼動しているので、その復帰時に第2モジュールで起動するアプリケーションについて起動を禁止するか否かの判定を直ちに行うことができる。
【0017】
また、本発明に係る画像形成装置は、上記の画像形成装置に加え、次のようにしてもよい。この場合、画像形成装置は、アプリケーションのプログラムを記憶する不揮発性記憶装置をさらに備える。また、第2モジュールは、プログラムを実行するプロセッサーを有する。そして、第2モジュールのプロセッサーは、アプリケーションの起動処理において、プログラムに従って、当該アプリケーションから仮想ネットワーク上で使用するポート番号が登録されているか否かの問合せを、仮想ネットワークを介して起動制御部に送信し、起動処理を中止させるための応答が仮想ネットワークを介して起動制御部から受信された場合、起動処理を中止する。
【0018】
また、本発明に係る画像形成装置は、上記の画像形成装置に加え、次のようにしてもよい。この場合、第2モジュールは、印刷機能、画像読取機能、およびファクシミリ機能のいずれかを実現するモジュールである。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、画像形成装置において、仮想ネットワーク上に複数のモジュールが存在する場合に、どのモジュールでアプリケーションを実行しても外部ネットワークとの通信が正しく行われる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1図1は、本発明の実施の形態に係る画像形成装置の構成を示すブロック図である。
図2図2は、図1に示す画像形成装置におけるアプリケーションの起動処理について説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図に基づいて本発明の実施の形態を説明する。
【0022】
図1は、本発明の実施の形態に係る画像形成装置の構成を示すブロック図である。図1に示す画像形成装置1は、端末装置2との通信を、外部ネットワーク3を介して行う。画像形成装置1は、プリンター、スキャナー、複合機などの装置である。端末装置2は、外部ネットワーク3を介して、画像形成装置1内のアプリケーションとデータ通信して、各種処理を画像形成装置1に実行させる。外部ネットワーク3は、ローカルエリアネットワークなどといったIP(Internet Protocol)ネットワークである。
【0023】
画像形成装置1は、省エネモジュール11、およびモジュール12を有する。省エネモジュール11、およびモジュール12は、それぞれ、独立したハードウェアであって、通信線などによって互いに接続されているとともに、それぞれ独立して動作の実行/停止を行うことができるように構成されている。
【0024】
この画像形成装置1は、動作モードとして、通常モードと省電力モードを有しており、省エネモジュール11は、通常モードおよび省電力モードにおいて動作し、モジュール12は、通常モードにおいて動作するが、省電力モードにおいて動作を停止する。これにより、省電力モードでは画像形成装置1の消費電力が抑えられる。なお、通常モードと省電力モードとの間での動作モードの切り替えは、所定のイベントが検出されると、図示せぬ制御回路などにより実行される。
【0025】
この画像形成装置1において、省エネモジュール11は、物理的な外部ネットワーク3に接続されるネットワークインターフェイス21を有し、モジュール12は、そのような物理的なネットワークに接続されるネットワークインターフェイスを有さない。また、省エネモジュール11およびモジュール12は、仮想化技術により仮想ネットワーク13で互いに接続される。仮想ネットワーク13は、共有メモリーを使用して構築されたり、周辺機器インターフェイスなどによる通信路上に構築されたりする。
【0026】
この仮想ネットワーク13は、外部ネットワーク3とは異なるIPネットワークとなる。例えば、外部ネットワーク3は、ネットワークアドレス10.183.0.0を有し、ネットワークインターフェイス21のIPアドレスは10.183.X1.Y1、ネットワークインターフェイス82のIPアドレスは10.183.X2.Y2などとなり、仮想ネットワーク13は、ネットワークアドレス192.168.0.0を有し、仮想ネットワークインターフェイス41のIPアドレスは192.168.0.Z1、仮想ネットワークインターフェイス71のIPアドレスは192.168.0.Z2などとなる。
【0027】
省エネモジュール11は、さらに、記憶装置22およびプロセッサー23を有する。
【0028】
記憶装置22は、不揮発性の記憶装置であって、プロセッサー23において実行されるアプリケーション44のプログラム31などのプログラム、そのプログラムで使用されるデータなどを記憶している。このアプリケーション44は、例えばサーバーアプリケーションであって、起動処理において、当該アプリケーション44が仮想ネットワーク上で使用するポート番号が登録されているか否かの問合せを起動制御部43に送信し、そのポート番号が登録されており起動処理を中止させるための応答が起動制御部43から受信された場合、起動処理を中止する。
【0029】
プロセッサー23は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)などを有し、記憶装置22などからプログラムをRAMへロードし、CPUにより実行することで、オペレーティングシステムを稼動させるとともに、各種処理部を実現する。プロセッサー23では、仮想ネットワークインターフェイス41、ルーター機能部42、起動制御部43などが実現される。
【0030】
仮想ネットワークインターフェイス41は、仮想ネットワーク13を介してネットワーク通信を行う。
【0031】
ルーター機能部42は、外部ネットワーク3と仮想ネットワーク13との間でアドレス変換などの処理を行う。ルーター機能部42は、外部ネットワーク3から受信されたネットワークインターフェイス21のIPアドレス宛のパケットの宛先ポート番号を変更せずに、仮想ネットワークインターフェイス41で仮想ネットワーク13へ送出する。
【0032】
起動制御部43は、省エネモジュール11およびモジュール12のいずれかで起動するアプリケーション44,72が仮想ネットワーク13上で使用するポート番号を登録し、登録されているポート番号と同一のポート番号を使用するアプリケーションの起動を禁止する。
【0033】
具体的には、起動制御部43は、アプリケーション72の起動処理において送信される、仮想ネットワーク13上で使用するポート番号が登録されているか否かの問合せを、仮想ネットワーク13を介して受け付け、そのポート番号が登録されている場合には、起動処理を中止させるための応答を、仮想ネットワーク13を介してそのアプリケーション72に送信する。
【0034】
例えば、起動制御部43は、画像形成装置1内のモジュール11,12のいずれかから登録要求のあったポート番号を、テーブルとしてRAMなどで保持し、問合せを受信すると、そのテーブルを参照して、問合せのポート番号が登録されているか否かを判定する。
【0035】
また、モジュール12は、印刷機能、画像読取機能、ファクシミリ機能などといった、この画像形成装置1の有する各種機能のいずれかを実現するモジュールである。モジュール12は、記憶装置51およびプロセッサー52を有する。
【0036】
記憶装置51は、不揮発性の記憶装置であって、プロセッサー52において実行されるアプリケーション72のプログラム61などのプログラム、そのプログラムで使用されるデータなどを記憶している。このアプリケーション72は、例えばサーバーアプリケーションであって、起動処理において、当該アプリケーション72が仮想ネットワーク13上で使用するポート番号が登録されているか否かの問合せを、仮想ネットワーク13を介して起動制御部43に送信し、そのポート番号が登録されており起動処理を中止させるための応答が起動制御部43から仮想ネットワーク13を介して受信された場合、起動処理を中止する。
【0037】
プロセッサー52は、CPU、RAMなどを有し、記憶装置51などからプログラムをRAMへロードし、CPUにより実行することで、オペレーティングシステムを稼動させるとともに、各種処理部を実現する。プロセッサー52では、仮想ネットワークインターフェイス71などが実現される。仮想ネットワークインターフェイス71は、仮想ネットワーク13を介してネットワーク通信を行う。
【0038】
このように、モジュール11,12のそれぞれにおいて別々にオペレーティングシステムが稼動し、ポート番号などのリソースがモジュール11,12のそれぞれにおいて別々に管理される。
【0039】
また、端末装置2は、例えばパーソナルコンピューターであって、およびネットワークインターフェイス82を有し、プロセッサー81で実行されるアプリケーション91が、ネットワークインターフェイス82を使用して、外部ネットワーク3を介して画像形成装置1のアプリケーション44,72と通信を行う。
【0040】
次に、上記画像形成装置の動作について説明する。
【0041】
まず、省エネモジュール11が起動すると、プロセッサー23がプログラムを実行することにより、仮想ネットワークインターフェイス41、ルーター機能部42、および起動制御部43が動作を開始する。その後、プロセッサー23は、アプリケーション44のプログラム31を実行する。このとき、アプリケーション44は、自己の使用するポート番号を起動制御部43に対して登録する。
【0042】
他方、モジュール12が起動すると、プロセッサー52がプログラムを実行することにより、仮想ネットワークインターフェイス71が動作を開始する。その後、プロセッサー52は、アプリケーション72のプログラム31を実行する。
【0043】
このとき、プロセッサー52は、プログラム31に従って、以下の起動処理を行う。図2は、図1に示す画像形成装置におけるアプリケーション72の起動処理について説明するフローチャートである。
【0044】
まず、プロセッサー52は、プログラム31の実行を開始すると(ステップS1)、当該プログラム31がネットワーク通信に使用するポート番号を特定し、そのポート番号が自己の使用するポート番号であることを仮想ネットワークインターフェイス71に対して指定し(ステップS2)、そのポート番号が登録されているか否かを、仮想ネットワーク13を介して起動制御部43に問い合わせる(ステップS3)。
【0045】
そして、その問合せに対する応答を受信すると、プロセッサー52は、プログラム31に従って、その応答に基づいて起動の可否を判定する(ステップS4)。
【0046】
その応答が、そのポート番号が登録されていない旨の応答である場合には、プロセッサー52は、プログラム31に従って、起動可と判定し、起動処理を継続して、アプリケーション72を稼動させ(ステップS5)、起動処理が完了すると、そのポート番号の登録要求を、仮想ネットワーク13を介して起動制御部43に送信する(ステップS6)。
【0047】
省エネモジュール11の起動制御部43は、その登録要求を受信すると、そのポート番号を登録し、その後、そのポート番号の登録が削除されるまで、そのポート番号についての問合せがあると、登録されている旨の応答を送信する。
【0048】
その後、プロセッサー52は、プログラム31の実行を終了する際には、まず、自己の使用しているポート番号の登録削除要求を、仮想ネットワーク13を介して起動制御部43に送信し(ステップS7)、起動制御部43においてそのポート番号の登録が削除されてから、プログラム31を終了する(ステップS8)。なお、ステップS7の処理はプログラム31に記述されており、プロセッサー52は、プログラム31に従ってその処理を実行する。
【0049】
一方、起動制御部43からの応答が、ポート番号が登録されている旨の応答である場合には、プロセッサー52は、起動処理を中止し(ステップS9)、プログラム31を終了する。例えば、アプリケーション44とアプリケーション72が同一のポート番号を使用し、アプリケーション44が先に起動した場合には、アプリケーション72は、稼動しない。
【0050】
なお、ここでは、アプリケーション72の起動について詳細に説明したが、アプリケーション44も同様にして起動する。
【0051】
そして、端末装置2のアプリケーション91は、外部ネットワーク3を介して、画像形成装置1のアプリケーション44とネットワーク通信を行う場合には、アプリケーション44のポート番号を指定してネットワーク通信を行い、画像形成装置1のアプリケーション72とネットワーク通信を行う場合には、アプリケーション72のポート番号を指定してネットワーク通信を行う。なお、ルーター機能部42は、外部ネットワーク3と仮想ネットワーク13との間でIPアドレスの変換を行うが、宛先ポート番号の変換は行わない。
【0052】
以上のように、上記実施の形態によれば、この画像形成装置1は、ネットワークインターフェイス21を有する省エネモジュール11と、仮想ネットワーク13で省エネモジュール11に接続されるモジュール12と、モジュール11,12のいずれかで起動するアプリケーションが仮想ネットワーク13上で使用するポート番号を登録し、登録されているポート番号と同一のポート番号を使用するアプリケーションの起動を禁止する起動制御部43とを備える。
【0053】
これにより、仮想ネットワーク13上に複数のモジュール11,12が存在する場合においてどのモジュールでアプリケーションを実行しても、同一のポート番号を使用するアプリケーションが複数のモジュール11,12で別々に起動されることがなくなり、外部ネットワーク3との通信が正しく行われる。
【0054】
つまり、画像形成装置1内の複数のモジュール11,12において起動処理を正常に完了した複数のアプリケーション44,72は、常に異なるポート番号でネットワーク通信を行う。
【0055】
また、画像形成装置1内の複数のモジュール11,12のいずれにおいても、ポート番号を変更することなく、アプリケーション44,72を稼動させることができる。例えば、アプリケーション44をモジュール12で稼動させてもよいし、アプリケーション72を省エネモジュール11で稼動させてもよい。つまり、アプリケーション44,72を稼動させるモジュールが限定されずに済み、アプリケーション44,72のプログラム31,61を変更することなく、アプリケーション44,72を稼動させるモジュールを選択することができる。例えば、特定のモジュールに負荷が集中しないように、アプリケーション44,72を稼動させるモジュールを適宜選択することができる。
【0056】
なお、上述の実施の形態は、本発明の好適な例であるが、本発明は、これらに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の変形、変更が可能である。
【0057】
例えば、上記実施の形態では、画像形成装置1においてネットワークインターフェイスを有さないモジュールは1つであるが、モジュール12と同様のモジュールを画像形成装置1の機能ごとに複数、仮想ネットワーク13に接続するようにしてもよい(つまり、省エネモジュール11を含め3以上のモジュールが仮想ネットワーク13に接続するようにしてもよい)。この場合、各モジュールで実行されるアプリケーションは、上述のアプリケーション72と同様の起動処理(図2)を実行する。
【0058】
また、上記実施の形態では、起動制御部43は、省エネモジュール11で稼動しているが、その代わりに、モジュール12で稼動してもよい。
【0059】
また、上記実施の形態において、起動制御部43は、ポート番号の問合せ時に、そのポート番号が登録されていなければ、そのときに、そのポート番号を登録するようにしてもよい。その場合、ポート番号の登録要求を別途送信する必要はない。その代わりに、上記実施の形態において、起動制御部43は、ポート番号の問合せ時に、そのポート番号を仮登録しておき、所定時間内に、登録要求が受信されない場合には、その仮登録を破棄し、所定時間内に登録要求が受信された場合には、その本登録とするようにしてもよい。そして、ポート番号の仮登録の状態のときにそのポート番号の問合せがあった場合、ポート番号が登録済みである旨の応答するようにしてもよい。あるいは、ポート番号の仮登録の状態のときにそのポート番号の問合せがあった場合、ポート番号が仮登録である旨の応答をし、ポート番号が仮登録である旨の応答を受信した場合には、所定時間後に再度、ポート番号の問合せを実行させるようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0060】
本発明は、例えば、省エネ機能を有する、プリンター、複合機などの画像形成装置に適用可能である。
【符号の説明】
【0061】
1 画像形成装置
11 省エネモジュール(第1モジュールの一例)
12 モジュール(第2モジュールの一例)
13 仮想ネットワーク
21 ネットワークインターフェイス
22,51 記憶装置(不揮発性記憶装置の一例)
31,61 プログラム
42 ルーター機能部
43 起動制御部
44,72 アプリケーション
52 プロセッサー
図1
図2