特許第5791575号(P5791575)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5791575
(24)【登録日】2015年8月14日
(45)【発行日】2015年10月7日
(54)【発明の名称】用紙搬送装置、画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 7/02 20060101AFI20150917BHJP
【FI】
   B65H7/02
【請求項の数】7
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2012-188108(P2012-188108)
(22)【出願日】2012年8月28日
(65)【公開番号】特開2014-43340(P2014-43340A)
(43)【公開日】2014年3月13日
【審査請求日】2014年7月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100167302
【弁理士】
【氏名又は名称】種村 一幸
(74)【代理人】
【識別番号】100135817
【弁理士】
【氏名又は名称】華山 浩伸
(72)【発明者】
【氏名】嶋津 弘三
【審査官】 ▲高▼辻 将人
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−249046(JP,A)
【文献】 特開2001−302021(JP,A)
【文献】 特開2008−290288(JP,A)
【文献】 特開2003−212386(JP,A)
【文献】 特開2008−162745(JP,A)
【文献】 特開平05−193786(JP,A)
【文献】 特開2011−031999(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
用紙が搬送される用紙搬送経路と、
前記用紙搬送経路における用紙の搬送音を検出する搬送音検出手段と、
前記用紙搬送経路において発生する複数種別の用紙搬送異常の内容と前記用紙搬送異常各々が発生するときに前記搬送音検出手段により検出される搬送音の内容との対応関係を示す異常対応情報が記憶された異常対応情報記憶手段と、
前記異常対応情報記憶手段に記憶された前記異常対応情報と前記搬送音検出手段により検出される搬送音とに応じて前記用紙搬送経路で発生した前記用紙搬送異常の内容を特定する異常特定手段と、
前記異常特定手段により特定された前記用紙搬送異常の内容に応じて、前記用紙搬送異常の内容ごとに予め定められた異常対応処理を実行する異常対応手段と、
前記用紙搬送経路上における前記用紙の通過タイミングを検出するための一又は複数の用紙通過検知センサーと、
を備え、
前記異常対応情報記憶手段に、前記用紙搬送路において前記用紙が正常に搬送されているときの搬送音に関する正常搬送音データが記憶されており、
前記異常特定手段は
記搬送音検出手段により検出された搬送音と前記正常搬送音データとを比較して前記搬送音にノイズが含まれているか否かを判断するものであると共に、前記異常対応情報記憶手段に記憶されている前記正常搬送音データを、前記用紙搬送路において前記用紙が正常に搬送されているときの搬送音に基づいて更新し、
前記用紙通過検知センサーの検知結果により前記用紙搬送異常が発生したと判断した場合に、前記用紙搬送異常の発生時に前記搬送音検出手段により検出される搬送音であって当該用紙搬送異常の内容を識別するためのジャム音声データを前記異常対応情報における前記搬送音の内容として記録する用紙搬送装置。
【請求項2】
前記用紙搬送異常の内容が、用紙が蛇腹状に変形すること、用紙が斜めに搬送されること、用紙に折れ部が生じること、用紙が破れること、用紙が重なって搬送されること、及び用紙に滑りが生じることのいずれか一つ又は複数を含むものである請求項1に記載の用紙搬送装置。
【請求項3】
前記異常対応手段は、前記用紙搬送異常の内容が用紙の搬送が可能である予め定められた内容である場合に、前記用紙搬送経路における用紙を予め定められた排紙先に搬送させるものである請求項に記載の用紙搬送装置。
【請求項4】
前記異常対応手段は、用紙を前記排紙先に搬送した後、用紙が積載された給紙カセットから新たな用紙の搬送を再実行するものである請求項に記載の用紙搬送装置。
【請求項5】
前記異常対応手段は、前記用紙搬送異常の内容が用紙の搬送が可能でない予め定められた内容である場合に、前記用紙搬送経路における用紙の搬送を停止させるものである請求項のいずれかに記載の用紙搬送装置。
【請求項6】
前記異常特定手段により特定された前記用紙搬送異常の内容を通知する異常通知手段を更に備えてなる請求項1〜のいずれかに記載の用紙搬送装置。
【請求項7】
請求項1〜のいずれかに記載の用紙搬送装置と、前記用紙搬送装置により供給される用紙に画像を形成する画像形成手段と、を備えてなる画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、用紙を搬送する用紙搬送装置、及びこれを備えてなる画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
プリンター、ファクシミリ装置、コピー機、及び複合機などの画像形成装置には、用紙を搬送する用紙搬送装置が搭載される。用紙搬送装置は、例えば用紙を挟持する複数の搬送ローラー対を回転させることにより用紙を搬送する。具体的に、画像形成装置において、用紙搬送装置は、給紙カセット又は手差しトレイなどに積載された用紙を画像形成部に搬送するために使用される。
一般に、用紙を搬送する用紙搬送経路で用紙が詰まるなどの用紙の搬送中に生じる用紙搬送異常はジャムと称される。また、例えば用紙搬送経路上に設けられた用紙検出センサーによる用紙の通過タイミングに応じてジャムの発生を検出するジャムの検出手法(以下、「従来手法」という)が従来から知られている。
一方、特許文献1には、用紙が定着ローラーから分離する際の音を集音し、その音に基づいて定着ローラーに用紙が巻き付くことに起因するジャムの発生を防止するための技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−317822公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、ジャムには、例えば用紙が蛇腹状に変形するもの、用紙に折れ部が生じるもの、用紙が破れるもの、用紙が重なって送られる重送などの種類がある。しかしながら、用紙の通過タイミングに基づいてジャムを検出する前記従来手法ではそのジャムの種類を特定することはできない。そのため、従来、ジャムの発生時には、ジャムの内容にかかわらず、搬送を停止するなどの同一処理を実行することしかできなかった。さらに、前記従来手法では、ジャムが発生してからジャムが検出されるまでにある程度の時間を要するため、例えば用紙が蛇腹状に変形するジャム等はその変形が深刻になるおそれもあった。なお、前記特許文献1に係る発明では、用紙が定着ローラーから分離する際の音が集音されているが、その音からジャムの内容は特定されていない。
従って、本発明は前記事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、用紙を搬送する用紙搬送経路で発生する用紙搬送異常の内容を特定することのできる用紙搬送装置及び画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記目的を達成するために本発明は、用紙が搬送される用紙搬送経路と、前記用紙搬送経路における用紙の搬送音を検出する搬送音検出手段と、前記用紙搬送経路において発生する複数種別の用紙搬送異常の内容と前記用紙搬送異常各々が発生するときに前記搬送音検出手段により検出される搬送音の内容との対応関係を示す異常対応情報が記憶された異常対応情報記憶手段と、前記異常対応情報記憶手段に記憶された前記異常対応情報と前記搬送音検出手段により検出される搬送音とに応じて前記用紙搬送経路で発生した前記用紙搬送異常の内容を特定する異常特定手段と、を備えてなる用紙搬送装置として構成される。
本発明によれば、前記用紙搬送経路で発生した用紙搬送異常の内容を、ユーザーの確認作業を伴うことなく、前記用紙搬送経路における用紙の搬送音と前記異常対応情報に基づいて自動的に特定することができる。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、前記用紙搬送経路で発生した用紙搬送異常の内容を、ユーザーの確認作業を伴うことなく、前記用紙搬送経路における用紙の搬送音と前記異常対応情報に基づいて自動的に特定することができる。従って、例えば用紙搬送経路で発生したジャムの内容によって異なる処理を自動的に実行することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の実施の形態に係る複合機の概略構成図。
図2】本発明の実施の形態に係る複合機のシステム構成の一部を示すブロック図。
図3】本発明の実施の形態に係る用紙搬送処理の手順の一例を説明するためのフローチャート。
図4】本発明の実施の形態に係る複合機における用紙搬送異常の発生時の搬送音の内容の一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下添付図面を参照しながら、本発明の実施の形態について説明し、本発明の理解に供する。なお、以下の実施の形態は、本発明を具体化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定する性格のものではない。
【0009】
<複合機Xの概略構成>
まず、図1を参照しつつ、本発明の実施の形態に係る複合機Xの概略構成について説明する。なお、図1(A)は、前記複合機Xの模式断面図、図1(B)は、図1(A)におけるA−A矢視図である。
前記複合機Xは、画像読取部1、ADF2、画像形成部3、給紙部4、制御部5、操作表示部6、及び集音マイク7などを備えた画像形成装置である。前記操作表示部6は、前記制御部5からの制御指示に従って各種の情報を表示し、前記制御部5に対して各種の情報を入力するタッチパネルなどである。なお、前記複合機Xは、本発明に係る画像形成装置の一例に過ぎない。例えばプリンター、ファクシミリ装置、及びコピー機なども本発明に係る画像形成装置に該当する。また、前記給紙部4及び前記制御部5を備えた装置が本発明に係る用紙搬送装置に該当する。
【0010】
前記画像読取部1は、コンタクトガラス11、読取ユニット12、ミラー13、14、光学レンズ15、及びCCD(Charge Coupled Device)16などを備えた画像読取手段である。前記コンタクトガラス11は、前記画像読取部1の上面に設けられており、前記複合機Xの画像読取対象となる原稿Pが載置される透明な原稿台である。そして、前記画像読取部1は、前記制御部5によって制御されることにより、前記コンタクトガラス11上に載置された原稿Pから画像データを読み取る。
前記読取ユニット12は、LED光源121及びミラー122を備えており、ステッピングモーター等の駆動モーターを用いた不図示の移動機構によって図1(A)における左右方向(副走査方向)へ移動可能に構成されている。そして、前記駆動モーターにより前記読取ユニット12が副走査方向に移動されると、前記LED光源121から前記コンタクトガラス11上に照射される光が副走査方向に走査される。
前記LED光源121は、図1(A)における奥行き方向(主走査方向)に沿って配列された多数の白色LEDを備えており、前記コンタクトガラス11上の読取位置12Aにある原稿Pに向けて1ライン分の白色光を照射する。なお、前記読取位置12Aは、前記読取ユニット12の副走査方向への移動に伴って副走査方向に移動する。
前記ミラー122は、前記LED光源121から前記読取位置12Aにある原稿Pに光を照射したときの反射光を前記ミラー13に向けて反射させる。そして、前記ミラー122で反射した光は、前記ミラー13、14によって前記光学レンズ15に導かれる。前記光学レンズ15は、入射した光を集光して前記CCD16に入射させる。
前記CCD16は、受光した光をその光量に応じた電気信号(電圧)に変換し、画像データとして出力する光電変換素子である。具体的に、前記CCD16は、前記LED光源121から光が照射されたときに前記原稿Pから反射した光に基づいて前記原稿Pの画像データを読み取る。前記CCD16で読み取られた画像データは前記制御部5に入力される。
【0011】
前記ADF2は、原稿セット部21、複数の搬送ローラー22、原稿押さえ23、及び排紙部24などを備えた自動原稿送り装置である。前記ADF2は、前記複合機Xの筐体によって前記コンタクトガラス11に対して開閉可能に支持されており、前記コンタクトガラス11のカバーを兼ねている。
前記ADF2は、前記搬送ローラー22各々を不図示のモーターで駆動させることにより、前記原稿セット部21にセットされた原稿Pを前記コンタクトガラス11上の読取位置12Aを通過させて前記排紙部24まで搬送させる。この際に、前記画像読取部1により前記読取位置12Aを通過する原稿Pから画像データが読み取られる。
前記原稿押さえ23は、前記コンタクトガラス11上の読取位置12Aの上方に原稿Pが通過できる間隔を隔てた位置に設けられている。前記原稿押さえ23は、主走査方向に長尺状を成しており、その下面(コンタクトガラス11側の面)には白色のシートが貼り付けられている。前記複合機Xでは、前記白色のシートの画像データが白色基準データとして読み取られる。そして、前記白色基準データは、周知のシェーディング補正などで用いられる。
【0012】
前記画像形成部3は、前記画像読取部1で読み取られた画像データ、又は外部のパーソナルコンピューター等の情報処理装置から入力された画像データに基づいて画像形成処理(印刷処理)を実行する電子写真方式の画像形成手段である。
具体的に、前記画像形成部3は、感光体ドラム31、帯電装置32、LSU(レーザスキャナユニット)33、現像装置34、転写ローラー35、除電装置36、定着ローラー37、及び加圧ローラー38などを備えている。そして、前記画像形成部3では、前記給紙部4から供給される用紙に以下の手順で画像が形成され、画像形成後の用紙は予め選択された後述の排紙トレイ45又は46に排紙される。
まず、前記帯電装置32によって前記感光体ドラム31が所定の電位に一様に帯電される。次に、前記LSU33により前記感光体ドラム31の表面に画像データに基づく光が照射される。これにより、前記感光体ドラム31の表面に静電潜像が形成される。そして、前記感光体ドラム31上の静電潜像は前記現像装置34によってトナー像として現像(可視像化)される。なお、前記現像装置34には、着脱可能なトナーコンテナ34Aからトナー(現像剤)が補給される。続いて、前記感光体ドラム31に形成されたトナー像は前記転写ローラー35によって用紙に転写される。その後、用紙に転写されたトナー像は、その用紙が前記定着ローラー37及び前記加圧ローラー38の間を通過する際に前記定着ローラー37で加熱されて溶融定着する。なお、前記感光体ドラム31の電位は前記除電装置36で除電される。
【0013】
前記給紙部4は、用紙搬送経路40、給紙カセット41、42、手差しトレイ43、複数の搬送ローラー44、排紙トレイ45、46、ジャム排紙トレイ47、及び搬送切替部48、49などを備えている。前記給紙部4は、前記制御部5によって制御されることにより、前記給紙カセット41、42に収容された用紙、又は前記手差しトレイ43に載置された用紙を、前記画像形成部3を通過させて前記排紙トレイ45又は46に搬送する。
前記用紙搬送経路40は、前記給紙カセット41、42又は前記手差しトレイ43から前記画像形成部3を経て前記排紙トレイ45、46に続いており、前記搬送ローラー44各々によって用紙が搬送される際の用紙搬送経路である。
前記給紙カセット41、42各々には、不図示の駆動モーターによって駆動され、前記給紙カセット41、42から用紙を取り出すピックアップローラー41A、42Aが設けられている。また、前記手差しトレイ43には、不図示の駆動モーターによって駆動され、前記手差しトレイ43から用紙を取り出すピックアップローラー43Aが設けられている。
複数の前記搬送ローラー44は、前記制御部5によって駆動が制御される駆動モーターにギアなどの駆動伝達部を介して連結されている。そして、複数の前記搬送ローラー44は、用紙を挟持した状態で前記駆動モーターの正逆転に伴って回転駆動することにより前記用紙搬送経路40上において用紙を双方向に搬送する。なお、前記画像形成部3の前記感光体ドラム31、前記転写ローラー35、前記定着ローラー37、及び前記加圧ローラー38等も用紙を搬送する前記用紙搬送経路40の一部を構成している。以下、用紙が前記給紙カセット41、42、前記手差しトレイ43から前記排紙トレイ45、46に向けて搬送されるときの前記搬送ローラー44の駆動を正転駆動、その逆方向に用紙が搬送されるときの前記搬送ローラー44の駆動を逆転駆動と称する。
前記排紙トレイ45、46各々は、前記画像形成部3による画像形成後の用紙の配置出先である。具体的に、前記用紙搬送経路40は、前記搬送切替部48で分岐して前記排紙トレイ45に続く搬送経路40A及び前記排紙トレイ46に続く搬送経路40Bを含んでいる。そして、前記画像形成部3による画像形成後の前記用紙搬送経路40上の用紙の搬送先は、前記搬送切替部48により前記搬送経路40A又は前記搬送経路40Bに切り替えられる。前記搬送切替部48は、例えば前記制御部5により駆動が制御されるソレノイドなどの駆動手段と、前記駆動手段によって作動することにより用紙の搬送先を前記搬送経路40A又は前記搬送経路40Bのいずれかに切り替える爪部材とを備えるものである。
前記ジャム排紙トレイ47は、前記用紙搬送経路40におけるジャム発生時における用紙の排出先専用のトレイである。具体的に、前記用紙搬送経路40は、前記搬送切替部49で分岐して前記給紙カセット42に続く搬送経路40C及び前記ジャム排紙トレイ47に続く搬送経路40Dを含んでいる。そして、前記搬送ローラー44の逆転駆動時における前記用紙搬送経路40上の用紙の搬送先は、前記搬送切替部49により前記搬送経路40C又は前記搬送経路40Dに切り替えられる。前記搬送切替部49は、前記搬送切替部48と同様に、例えば前記制御部5により駆動が制御されるソレノイドなどの駆動手段と、前記駆動手段によって作動することにより用紙の搬送先を前記搬送経路40A又は前記搬送経路40Bのいずれかに切り替える爪部材とを備える。
【0014】
前記集音マイク7は、前記用紙搬送経路40の近傍に配置されることにより、前記用紙搬送経路40上における用紙の搬送音を検出する搬送音検出手段である。前記集音マイク7によって検出される前記搬送音は前記制御部5に入力される。なお、図1に示す前記集音マイク7の設置箇所は一例に過ぎず、前記用紙搬送経路40上における用紙の搬送音を検出することができれば他の位置であってよい。また、本実施の形態では、前記集音マイク7が、前記用紙搬送経路40の近傍の一箇所に設けられている場合を例に挙げて説明するが、前記集音マイク7が前記用紙搬送経路40の周囲に複数設けられている構成も他の実施形態として考えられる。
そして、本実施の形態に係る前記複合機Xでは、前記制御部5によって後述の用紙搬送処理(図3のフローチャート参照)が実行されることにより、前記集音マイク7で検出された搬送音に基づいて前記用紙搬送経路40上で発生するジャム(用紙搬送異常)の種類が特定される。なお、ジャムの内容には、用紙が蛇腹状に変形すること、用紙が斜めに搬送されること、用紙に折れ部が生じること、用紙が破れること、用紙が重なって搬送されること、及び用紙に滑りが生じることのいずれか一つ又は複数が含まれる。
【0015】
ここに、図2は、前記複合機Xのシステム構成の一部を示すブロック図である。
図2に示すように、前記制御部5は、CPU51、ROM52、RAM53、及びEEPROM54などの制御機器を有している。そして、前記制御部5は、前記ROM52に記憶された所定の制御プログラムを前記CPU51で実行することにより、前記複合機Xを統括的に制御する。例えば、前記CPU51は、前記搬送ローラー44、前記搬送切替部48、前記搬送切替部49、及び前記画像形成部3などの各構成要素の動作を制御する。また、前記RAM53は揮発性の記憶手段、前記EEPROM54は不揮発性の記憶手段であって、例えば前記CPU51が実行する各種の処理の一時記憶手段として利用される。なお、前記制御部5は、集積回路(ASIC、DSP)などの電子回路で構成されたものであってもよい。
また、前記ROM52には、前記CPU51等のコンピューターに後述の用紙搬送処理(図3のフローチャート参照)を実行させるための用紙搬送プログラムが予め記憶されている。なお、前記用紙搬送プログラムは、CD、DVD、半導体メモリー(フラッシュメモリー)などのコンピューターが読み取り可能な記録媒体に記録されており、前記記録媒体から前記EEPROM54或いは前記複合機Xが備える不図示のハードディスク等の記憶手段にインストールされるものであってもよい。
【0016】
<用紙搬送処理>
以下、図3を参照しつつ、前記CPU51によって実行される用紙搬送処理の手順の一例について説明する。ここに、ステップS1、S2、・・・は前記CPU51により実行される処理手順(ステップ)の識別番号を表している。なお、本発明は、前記複合機Xにおいて前記用紙搬送処理の各処理手順を実行する方法、前記CPU51等のコンピューターに前記用紙搬送処理の各処理手順を実行させるためのプログラム、又は前記プログラムが記録されたコンピューター読み取り可能な記録媒体として捉えてもよい。
当該用紙搬送処理は、前記CPU51が、ユーザーによる前記操作表示部6の操作入力、又は外部のパーソナルコンピューター等の情報処理装置からの操作信号の受信により、プリント処理又はコピー処理などの画像形成処理のジョブ要求を受けた場合に実行する。ここに、前記ジョブ要求には、前記画像形成処理における用紙の給紙元(給紙カセット41、給紙カセット42、又は手差しトレイ43)及び排紙先(排紙トレイ45、又は排紙トレイ46)の給紙設定情報が含まれている。また、前記ジョブ要求に前記給紙設定情報が含まれていない場合、前記CPU51は、予め設定された初期設定に基づいて給紙元を前記給紙カセット41、排紙先を前記排紙トレイ45に設定する。なお、前記CPU51は、前記用紙搬送処理と並行して前記画像形成部3を制御することにより用紙に画像を形成する画像形成処理などを実行するがここでは説明を省略する。
【0017】
[ステップS1]
まず、ステップS1において、前記CPU51は、前記ピックアップローラー41A、42A、又は43Aを駆動させると共に前記搬送ローラー44を正転駆動させる。これにより、前記給紙部4では、前記給紙カセット41、前記給紙カセット42、又は前記手差しトレイ43から前記画像形成部3への用紙の搬送が開始される。
【0018】
[ステップS2]
また、ステップS2において、前記CPU51は、前記集音マイク7を駆動させることにより、前記用紙搬送経路40で発生する用紙の搬送音のサンプリングを開始する。なお、前記CPU51は、前記集音マイク7で検出された搬送音のサンプリングデータを前記RAM53又は前記EEPROM54に随時記録させる。以下、前記サンプリングデータを集音データと称する。前記集音データは、例えば前記搬送音の音量、波形、及びフーリエ変換結果などである。
【0019】
[ステップS3]
そして、ステップS3において、前記CPU51は、前記用紙搬送経路40における用紙の正常な搬送時には発生しないノイズが発生しているか否かを前記集音データに基づいて判断する。
具体的に、前記EEPROM54には、前記用紙搬送経路40において用紙が正常に搬送されているときの搬送音に関する正常搬送音データが予め記憶されている。例えば、前記正常搬送音データは、前記用紙搬送経路40で用紙が正常に搬送されているときの搬送音の音量、波形、及びフーリエ変換結果などである。そして、前記CPU51は、前記集音データと前記正常搬送音データとを随時比較し、前記集音データにノイズが含まれているか否かを判断する。例えば、前記CPU51は、前記集音データの音量が前記正常搬送音データの音量に比べて予め設定された所定量以上大きい場合にノイズが発生したと判断することができる。また、前記CPU51が、前記集音データ及び前記正常搬送音データの波形が予め設定された所定量以上乖離したこと、又は前記集音データに前記正常搬送データに含まれていない特定の周波数の音が含まれること等を条件にノイズが発生したと判断することも考えられる。さらに、前記CPU51は、前記集音データの音量が予め設定された上限音量以上であることを条件にノイズの発生と判断することも考えられる。なお、これらのノイズの検出手法は単なる一例に過ぎない。
ここで、前記CPU51が、前記複合機Xにおいて前記用紙搬送経路40で用紙が正常に搬送されているときに前記集音マイク7で検出される前記集音データに基づいて、前記EEPROM54に記憶された前記正常搬送音データを更新することも考えられる。例えば、前記CPU51は、前記集音データを新たな正常搬送音データとして前記EEPROM54に記憶された前記正常搬送音データを上書き保存する学習機能を有することも考えられる。これにより、前記CPU51は、前記複合機Xの経年劣化による搬送音の増大、又は前記複合機Xの実際の使用場所における環境音にかかわらず、前記ノイズの発生の有無を正確に判断することができる。
ここで、前記CPU51は、前記ノイズが発生していない場合には(S3のNo側)、処理をステップS4に移行させ、前記ノイズが発生したと判断すると(S3のYes側)、処理をステップS5に移行させる。
【0020】
[ステップS4]
ステップS4において、前記CPU51は、前記ジョブ要求で指示された画像形成処理が終了したか否かを判断する。ここで、前記画像形成処理が全て終了していないと判断した場合(S4のNo側)、前記CPU51は処理を前記ステップS3に戻す。一方、前記画像形成処理が全て終了したと判断した場合(S4のYes側)、前記CPU51は前記集音データのサンプリングを終了し、当該用紙搬送処理を終了する。
【0021】
[ステップS5]
ステップS5において、前記CPU51は、前記用紙搬送経路40上で発生したジャムの内容を前記集音マイク7による検出された前記集音データに基づいて特定する。ここに、係る処理を実行するときの前記CPU51が異常特定手段相当する。
具体的に、前記EEPROM54には、前記複合機Xで発生する可能性がある複数種別のジャムの内容と、前記ジャム各々が発生するときに前記集音マイク7により検出される搬送音(以下「ジャム音声データ」という)の内容との対応関係を示す異常対応情報が予め記憶されている。ここに、前記EEPROM54が異常対応情報記憶手段の一例である。そして、前記CPU51は、前記EEPROM54に記憶された前記異常対応情報と前記集音マイク7により検出された前記集音データとに応じて、前記用紙搬送経路40上で発生したジャムの内容を特定する。ここで、図4を参照しつつ、当該ジャムの内容の特定手法の具体例について説明する。
【0022】
ここに、図4は、前記正常搬送音データ及び前記ジャム音声データの内容の一例を示す図であり、(A)は前記正常搬送音データのフーリエ変換結果、(B)、(C)はジャム発生時における前記集音データのフーリエ変換結果の一例である。
図4(A)に示すように、前記正常搬送音データのフーリエ変換結果では、特定の周波数f1の周波数成分の値が閾値y1未満であり、特定の周波数f2の周波数成分が閾値y2未満である。一方、ある特定のジャムが発生した場合、そのときの前記集音データのフーリエ変換結果は、図4(B)に示すように前記周波数f1の周波数成分が前記閾値y1以上となる。また、他の種別のジャムが発生した場合、そのときの前記集音データのフーリエ変換結果は、図4(C)に示すように前記周波数f2の周波数成分が前記閾値y2以上となる。
そこで、前記異常対応情報には、前記複合機Xで発生する可能性があるジャムの内容ごとに、そのジャムが発生するときに前記集音マイク7により検出されるジャム音声データのフーリエ変換結果の内容が対応付けて記憶されている。例えば、前記異常対応情報では、下記の表1のように、集音データの内容が「周波数f1が閾値1以上」である場合には、ジャムの内容が「用紙が蛇腹状に変形するジャム」であり、集音データの内容が「周波数f2が閾値2以上」である場合には、ジャムの内容が「用紙に折り目が形成されるジャム」であることが定められている。
【表1】

前記複合機Xでは、このように設定された前記異常対応情報が前記EEPROM54に予め記憶されていることにより、前記CPU51は前記複合機Xで発生するジャムの内容を特定することができる。なお、ここでは、前記集音データのフーリエ変換結果に基づいてジャムの内容を特定する場合を例に挙げて説明したがこれに限らない。例えば、前記異常対応情報にジャムの内容ごとに対応する前記ジャム音声データの波形が記憶されており、前記ステップS5では、前記ジャム音声データの波形と前記集音マイク7で検出される集音データの波形とに基づいてジャムの内容を特定することも考えられる。なお、前記ジャム音声データの波形及び前記集音データの波形の比較は例えば画像処理によって行うなどの各種の従来手法を採用すればよい。
【0023】
[ステップS6]
そして、前記CPU51は、ステップS6以後の処理により、前記ステップS5で特定されたジャムの内容に応じて、前記ジャムの内容ごとに予め定められた異常対応処理(ステップS8、S62、S63)を実行する。これにより、前記ジャムの内容に応じて異なる対応を自動的に実行することが可能となる。ここに、係る処理を実行するときの前記CPU51が異常対応手段に相当する。
まず、ステップS6において、前記CPU51は、前記ステップS5で特定されたジャムの内容が、用紙の変形を伴うジャムであるか否かを判断する。例えば、用紙の変形を伴うジャムとして、用紙が蛇腹状に変形するジャム、又は紙が破れたジャムなどが予め設定されている。一方、例えば、用紙の滑りや重送などのジャムは、紙に変形が生じないジャムとして設定されている。なお、このようにジャムの内容ごとに設定された用紙の変形を伴うか否かの情報は前記異常対応情報と共に前記EEPROM54などに予め記憶されている。
ここで、前記CPU51は、ジャムの内容が用紙の変形を伴うジャムでない場合には(S6のNo側)、処理をステップS7に移行させ、ジャムの内容が用紙の変形を伴うジャムであると判断した場合は(S6のYes側)、処理をステップS61に移行させる。
【0024】
[ステップS7]
ステップS7において、前記CP51は、前記画像形成部3による前記用紙搬送経路40上の用紙へのトナー像の転写前であるか否かを判断する。具体的に、前記CPU51は、前記ステップS1における給紙開始時からの経過時間、又は前記画像形成部3に設けられた不図示のレジストセンサー等の用紙検出部による検出結果などに基づいて用紙へのトナー像の転写の有無を判断する。
ここで、前記CPU51は、用紙にトナー像が転写される前であると判断すると(S7のYes側)、処理をステップS8に移行させ、用紙にトナー像が転写された後であると判断すると(S7のNo側)、処理をステップS62に移行させる。
【0025】
[ステップS8]
ステップS8において、前記CPU51は、前記搬送ローラー44を逆転駆動させることにより、前記用紙搬送経路40上の用紙をその用紙が取り出された給紙元(給紙カセット41、42、手差しトレイ43など)に搬送させる。これにより、前記用紙搬送経路40上の用紙は前記給紙カセット41、42、又は前記手差しトレイ43に戻される。そして、前記ステップS8の実行後、前記CPU51は、処理を前記ステップS1に戻し、前記給紙カセット41、42、又は前記手差しトレイ43から新たな用紙の供給を開始する。従って、前記複合機Xでは、ジャムが生じた場合であっても、用紙の変形がなくトナー像が転写される前であれば、ユーザーによるジャム解除の処置を伴うことなく、その用紙を利用して前記ジョブ要求に対応する画像形成処理を再実行することができる。
【0026】
[ステップS61]
一方、ステップS61において、前記CPU51は、前記ステップS5で特定されたジャムの内容が、用紙の搬送が可能なジャムとして予め設定された種類のジャムであるか否かを判断する。例えば、用紙の搬送が可能なジャムとして、用紙に折れ部が形成された状態、用紙が重なって搬送される重送、用紙に蛇腹上の凹凸が一つだけ形成されたもの等が予め設定されている。一方、例えば、用紙に蛇腹状の凹凸が二つ又は三つ以上形成されたジャム、用紙が破れるジャム等は、用紙の搬送が可能でないジャムとして設定されている。なお、このようにジャムの内容ごとに設定された用紙の搬送が可能であるか否かの情報は前記異常対応情報と共に前記EEPROM54などに予め記憶されている。
ここで、前記CPU51は、ジャムの内容が用紙の搬送が可能なジャムである場合には(S61のYes側)、処理をステップS62に移行させ、ジャムの内容が用紙の搬送が可能なジャムでない場合は(S61のNo側)、処理をステップS63に移行させる。
【0027】
[ステップS62]
ステップS62において、前記CPU51は、前記搬送ローラー44を逆転駆動させると共に、前記搬送切替部49により用紙の搬送先を前記ジャム排紙トレイ43に切り替える。これにより、前記用紙搬送経路40上の用紙は前記ジャム排紙トレイ43に搬送される。そして、前記ステップS62の実行後、前記CPU51は、処理を前記ステップS1に戻し、前記給紙カセット41、42、又は前記手差しトレイ43から新たな用紙の供給を開始する。従って、前記複合機Xでは、ジャムが生じて用紙に変形があった場合であっても、その用紙を搬送することができる場合には、ユーザーによるジャム解除の処置を伴うことなく用紙を前記ジャム排紙トレイ47に排出させることができる。そして、ユーザーの作業を介することなく前記給紙カセット41、42、又は前記手差しトレイ43から新たな用紙が供給されるため、前記ジョブ要求に対応する画像形成処理を継続して実行させることができる。なお、前記ジャム排紙トレイ47を省略し、前記給紙カセット41、42のいずれか一方をジャム発生時の用紙の排紙先専用とすることも他の実施形態として考えられる。
【0028】
ところで、前記複合機Xのように二つの前記排紙トレイ45、46を有する場合には、一方を通常の画像形成処理の実行時の排紙先として用い、他方を前記ジャム排紙トレイ47と同様にジャム発生時の用紙の排紙先として用いることも考えられる。具体的には、前記ステップS62において、前記CPU51が、前記搬送ローラー44を正転駆動させると共に、前記搬送切替部48により用紙の搬送先を前記排紙トレイ46に切り替えることにより、用紙が前記排紙トレイ46に排紙される。
さらに、前記ステップS62において、前記CPU51が、ジャムの発生がトナー像の転写後である場合には用紙を前記排紙トレイ46に排紙させ、トナー像の転写前である場合には用紙を前記ジャム排紙トレイ47に排紙させることが考えられる。これにより、前記用紙搬送経路40における前記画像形成部3よりも用紙搬送方向上流側にトナーが付着することが防止される。もちろん、前記用紙搬送経路40上における前記画像形成部3よりも用紙搬送方向上流側に用紙からトナーを除去するクリーニング部材を配置しておき、前記トナー像の転写後の用紙を前記ジャム排紙トレイ47に排紙させてもよい。
【0029】
[ステップS63]
また、前記ジャムの内容が用紙の搬送が可能なジャムでない場合(S61のNo側)、前記CPU51は、続くステップS63において、前記搬送ローラー44を停止させて前記用紙搬送経路40上の用紙の搬送を停止し、当該用紙搬送処理を終了する。このように、当該用紙搬送処理では、前記集音マイク7によって検出される前記集音データに基づいてジャムの発生が検出され、ジャムの内容が特定され、そのジャムの内容に応じた処理が実行される。そのため、前記複合機Xによれば、用紙の通過タイミングによってジャムの発生を検出する従来手法に比べて早期の段階で搬送の停止の必要性を判断することができ、用紙の変形の程度が深刻化することを防止することができる。ここで、前記ステップS63において、前記CPU51は、前記操作表示部6にジャムが発生した旨及びそのジャムの内容を示すエラー表示などを行うことも考えられる。これにより、ユーザー又はサービスマンなどに前記ジャムの内容を把握させることができる。ここに、係る処理を実行するときの前記CPU51が異常通知手段に相当する。
【0030】
以上説明したように、前記複合機Xでは、前記集音マイク7により検出される集音データに基づいて前記用紙搬送経路40で発生するジャムの内容を特定することができる。従って、例えば前記用紙搬送経路40で発生したジャムの内容によって異なる処理を実行することが可能となる。具体的に、前記複合機Xでは、用紙を前記給紙カセット41、42、又は前記手差しトレイ43に戻すこと、前記ジャム排紙トレイ47に排出すること、又は給紙を停止することのいずれかが、ジャムの内容に応じて選択的に実行される。これにより、ジャムの内容によってはユーザーの処置を介在することなくジャムを解消して用紙の搬送を再開することができる。また、前記集音マイク7で検出される集音データに基づいてジャムの発生の有無及びジャムの内容を判断しているため、ジャムの発生からジャムの検出までの時間差を前記従来手法に比べて抑制することができ、ジャムの状態が深刻になることを防止することができる。例えば、用紙が蛇腹状に変形するジャムの発生時にその蛇腹状の凹凸の数が少ない段階で前記搬送ローラー44を停止させることができる。さらに、前記複合機Xによれば、用紙の通過タイミングに基づいてジャムを検出する従来手法とは異なり、用紙滑りなどの軽微な異常の発生を用紙の滑り音によって検出することができ、等倍ズレなどが生じている可能性をユーザーに報知することも可能である。
【0031】
ところで、前記実施の形態では、前記EEPROM54に、前記複合機Xで発生する可能性のあるジャムの内容を識別するための情報として、前記ジャムが発生したときに生じるジャム音声データが予め記憶されている場合について説明した。一方、前記複合機Xにおいて、前記CPU51が、前記集音マイク7で検出された集音データを前記ジャム音声データとして前記EEPROM54に適宜記憶させる学習機能を有することも考えられる。なお、前記ジャム音声データが既に前記EEPROM54に記憶されている場合、前記CPU51は、前記ジャム音声データを上書き保存する。
より具体的に、前記CPU51は、前記複合機Xにおいてジャムが発生した場合に、そのジャム発生時に前記集音マイク7で検出されていた集音データをそのジャムの内容を識別するためのジャム音声データとして前記EEPROM54に記録する。例えば、前記複合機Xには、前記用紙搬送経路40上における用紙の通過タイミングを検出するための用紙通過検知センサーが一つ又は複数設けられている。この場合、前記CPU51は、前記用紙通過検知センサーの検知結果に応じて、用紙が予め設定されたタイミングで検知されない場合に用紙詰まりが発生したと判断する。そして、用紙詰まりが発生すると、前記CPU51は、その直前に前記集音マイク7で集音された集音データを用紙詰まりに対応するジャム音声データとして前記EEPROM54に記憶させる。また、前記用紙通過検知センサーにより用紙が検知されている時間がその用紙のサイズに応じて予め設定された時間よりも長い場合に、用紙が連なって搬送されている重送と称されるジャムが発生していると判断する。この場合も同様に、重送が発生すると、前記CPU51は、その直前に前記集音マイク7で集音された集音データを重送に対応するジャム音声データとして前記EEPROM54に記憶させる。これにより、前記CPU51は、前記複合機Xにおいて実際にジャムが生じたときに前記集音マイク7で集音された集音データと前記EEPROM54に記憶された前記ジャム音声データとに基づいてジャムの内容を正確に特定することが可能となる。
【符号の説明】
【0032】
1 :画像読取部
2 :ADF
3 :画像形成部
4 :給紙部
40:用紙搬送経路
41:給紙カセット
42:給紙カセット
43:手差しトレイ
44:搬送ローラー
45:排紙トレイ
46:排紙トレイ
47:ジャム排紙トレイ
48:搬送切替部
49:搬送切替部
5 :制御部
51:CPU
52:ROM
53:RAM
54:EEPROM
6 :操作表示部
S1、S2、・・・:処理手順(ステップ)番号
X :複合機(画像形成装置の一例)
図1
図2
図3
図4