特許第5791617号(P5791617)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5791617エレクトロスラグ再溶解前のマルテンサイト系ステンレス鋼の脱気
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5791617
(24)【登録日】2015年8月14日
(45)【発行日】2015年10月7日
(54)【発明の名称】エレクトロスラグ再溶解前のマルテンサイト系ステンレス鋼の脱気
(51)【国際特許分類】
   C21C 7/00 20060101AFI20150917BHJP
   C21C 7/068 20060101ALI20150917BHJP
   C22B 9/18 20060101ALI20150917BHJP
   C22C 38/00 20060101ALN20150917BHJP
   C22C 38/46 20060101ALN20150917BHJP
【FI】
   C21C7/00 B
   C21C7/068
   C22B9/18 F
   !C22C38/00 302Z
   !C22C38/46
【請求項の数】4
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2012-533672(P2012-533672)
(86)(22)【出願日】2010年10月11日
(65)【公表番号】特表2013-507531(P2013-507531A)
(43)【公表日】2013年3月4日
(86)【国際出願番号】FR2010052141
(87)【国際公開番号】WO2011045514
(87)【国際公開日】20110421
【審査請求日】2013年9月19日
(31)【優先権主張番号】0957109
(32)【優先日】2009年10月12日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】505277691
【氏名又は名称】スネクマ
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】特許業務法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】フエレール,ロラン
(72)【発明者】
【氏名】フイリプソン,パトリツク
【審査官】 國方 康伸
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−043744(JP,A)
【文献】 特開平07−238344(JP,A)
【文献】 特開2006−265570(JP,A)
【文献】 特開2007−302954(JP,A)
【文献】 特開平07−068369(JP,A)
【文献】 特開昭60−177139(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C22B 1/00−61/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
マルテンサイト系ステンレス鋼を製造する方法であって、前記鋼のインゴットのエレクトロスラグ再溶解のステップと、次に前記インゴットを冷却するステップとを備え、該エレクトロスラグ再溶解ステップの前に、液体金属状態のインゴットが前記インゴット中で3ppm未満の水素含有率を得るのに十分な時間にわたって真空脱気を受け、前記真空脱気の前に前記インゴットが周囲雰囲気にて精錬を受けることを特徴とする方法。
【請求項2】
請求項1に記載のマルテンサイト系ステンレス鋼を製造する方法であって、前記再溶解ステップで使用したスラグが事前に脱水されていることを特徴とする方法。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のマルテンサイト系ステンレス鋼を製造する方法であって、前記エレクトロスラグ再溶解ステップの後に、前記インゴットが前記インゴット中で3ppm未満の水素含有率を得るのに十分な時間にわたって真空脱気を受けることを特徴とする方法。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載のマルテンサイト系ステンレス鋼を製造する方法であって、前記鋼の炭素含有率が、鋼がこれより下で亜共析である炭素含有率より低いことを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マルテンサイト系ステンレス鋼を製造する方法に関し、該方法は、前記鋼のインゴットのエレクトロスラグ再溶解のステップと、続いて前記インゴットを冷却するステップとを備える。
【背景技術】
【0002】
本発明において、別途指摘しない限り、組成物のパーセンテージは、重量によるパーセンテージである。
【0003】
マルテンサイト系ステンレス鋼は、10.5%を超えるクロム含有率を有し、本質的にマルテンサイトである構造の鋼である。
【0004】
このような鋼の疲労挙動は、このような鋼から製造される部品の耐用寿命が最長化されるように、可能な限り良好であることが重要である。
【0005】
この目的のために、鋼の介在物特徴を改善すること、即ち鋼中に存在する所望でない介在物(合金、酸化物、炭化物、および金属間化合物の相)の量を減少させることが求められている。このような介在物は、サイクル負荷の下で鋼の早期破壊を生じる亀裂発生部位として作用する。
【0006】
実験的には、この鋼の試験片に行われた、即ち課された変形下での各レベルの疲労負荷での疲労試験の結果では大きなばらつきが観察され、耐用寿命(この鋼の疲労試験片の破断を生じるサイクル数に相当)は広範囲で変動する。介在物は統計的な意味では、鋼の疲労耐用寿命の最小値(範囲のうち低い値)の原因である。
【0007】
疲労挙動におけるばらつきを低減するために、即ちこれらの低い値を上昇させるために、および平均疲労挙動値を上昇させるためにも、鋼の介在物特徴を改善することが必要である。エレクトロスラグ再溶解技法、ESRが公知である。この技法では、鋼インゴットはるつぼに入れられ、るつぼにはスラグ(無機物、例えば石灰、フッ化物、マグネシア、アルミナ、方解石の混合物)が投入されて、インゴットの下端がスラグ中に浸漬される。次に電流をインゴットに流すと、インゴットは電極として作用する。この電流は、スラグを加熱および液化するのに、ならびに鋼電極の下端を加熱するのに十分な高さである。この電極の下端はスラグと接触しているので、これが溶解して細滴の形でスラグ中を通過し、次にスラグ層の下で固化し、これが浮揚して新たなインゴットを形成して、このインゴットは徐々に成長する。スラグはとりわけ、スラグ層の下に位置する新たなインゴットの鋼が最初のインゴット(電極)よりも少ない介在物を含有するように、鋼滴から介在物を抽出するフィルタとして作用する。この操作は、大気圧下および空気中で行う。
【0008】
ESR技法は、介在物を排除することによってマルテンサイト系ステンレス鋼の疲労挙動のばらつきを低下することができるが、このばらつきは部品の耐用寿命に関してはなお大きすぎる。
【0009】
発明者により行われた超音波を使用する非破壊試験は、前記鋼が既知の水素欠陥(フレーク)を実際には含まないことを示した。
【0010】
疲労挙動結果のばらつき、特に結果の範囲の下端値はこのため、鋼における亀裂の早期発生の別の所望でない機構によるものであり、早期疲労破断を生じる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の目的は、これらの低い値を上昇させて、マルテンサイト系ステンレス鋼の疲労挙動のばらつきを減少させ、平均疲労挙動を上昇させることができる製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本目的は、エレクトロスラグ再溶解ステップの前に、インゴット中で3ppm[百万分率]未満の水素含有率を得るのに十分な時間にわたって、インゴットが真空脱気を受けることで達成される。
【0013】
このような手段は、鋼内の軽元素によって構成される(産業用非破壊試験手段によって検出できない)微視的寸法の気相の形成を減少させて、このため疲労した鋼の早期破壊を生じさせる前記微視的相からの亀裂の早期発生を回避する。
【0014】
本発明およびこれの利点は、非限定的な例によって示される実施の以下の詳細な説明からより良好に理解することができる。説明は、添付図面を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の鋼および従来技術の鋼の疲労耐用寿命曲線を比較する。
図2】疲労負荷曲線を示す。
図3】樹枝状晶および枝状晶間領域を示す図である。
図4】破壊を発生させた気相を示す、疲労後の破壊表面の電子顕微鏡を使用して撮影した写真である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
ESR法の間に、スラグによって濾過された鋼は冷却され、徐々に固化してインゴットを形成する。本固化は冷却の間に起こり、図3に示すように樹枝状晶の成長を伴う。マルテンサイト系ステンレス鋼の状態図と一致して、最初の固化粒に相当する樹枝状晶10は、定義によりアルファ生成(alphagenic)元素がより豊富であるが、樹枝状晶間領域20はガンマ生成(gammagenic)元素がより豊富である(状態図への公知のてこの原理の応用)。アルファ生成元素は、フェライト型構造(低温でより安定である構造:ベイナイト、フェライト−パーライト、マルテンサイト)に有利な元素である。ガンマ生成元素は、オーステナイト構造(高温にて安定である構造)に有利な元素である。このため樹枝状晶10と樹枝状晶間領域20との間に偏析が起こる。
【0017】
化学組成物中のこの局所偏析は次に、製造中ずっと、続く高温形成操作の間でさえ保持される。このためこの偏析は、固化したままのインゴットおよび続いて変形されたインゴットの両方に見出される。
【0018】
材料がいったん固化すると、最初に樹枝状晶10が冷却の間にフェライト構造に変態するが、一方樹枝状晶間領域20は、より低い温度にて一部または全体が変態し、このためオーステナイト構造をより長期にわたって保持する。
【0019】
前記固体状態冷却の間、オーステナイトおよびフェライト型微細構造の共存を有する局所性の構造的不均一性が存在する。このような条件下では、軽元素(H、N、O)は、フェライト構造よりもオーステナイト構造での溶解性が高く、樹枝状晶間領域20にて濃縮される傾向を有する。この濃度は、樹枝状晶間領域における大量のガンマ生成元素によって上昇する。300℃未満の温度において、軽元素はきわめて低い速度で拡散するだけであり、この領域に捕捉されたままである。樹枝状晶間区域のフェライト構造への完全または部分変態の後、ある濃度条件下でこれらの気相の溶解限度に達すると、これらの気相は気体(または高い展性および非圧縮性を提供する物理状態にある物質)のポケットを形成する。
【0020】
冷却期の間、ESR終了時のインゴット(続いて変形されたインゴット)の直径が大きいほど(もしくはより一般的には、インゴットの最大寸法が大きいほど)、またはインゴットの冷却速度が低いほど、軽元素が樹枝状晶から樹枝状晶間領域に向かって拡散する傾向が大きく、樹枝状晶間領域では軽元素は、フェライト構造およびオーステナイト構造の共存期間にわたって濃縮されるようになる。樹枝状晶間領域において、これらの軽元素の溶解度を局所的に超過するリスクが強まる。軽元素の濃度がこの溶解度を超過するときに、前記軽元素を含有する微視的な気体ポケットが次に鋼中に出現する。
【0021】
加えて冷却が終了する間に、樹枝状晶間領域のオーステナイトは、鋼の温度が周囲温度よりも高いマルテンサイト変態温度Msを下回ったときに、局所的にマルテンサイトに変態する傾向がある。しかしマルテンサイトは、オーステナイトよりも低い軽元素の溶解度閾値を有する。このためさらに微視的な気相がマルテンサイト変態の間に鋼中に出現する。
【0022】
鋼が熱間形成(例えば鍛造)の間に受ける、続いての変形の間に、これらの相は延伸されてシート形にされる。
【0023】
疲労負荷下で、これらのシートは、亀裂発生に必要なエネルギーを低下させることによって亀裂の早期発生の原因となる、応力集中部位として作用する。これは次に鋼の早期破壊を生じて、疲労挙動の結果で低い値を生じる。
【0024】
このような結論は、図4の電子顕微鏡写真が示すように、発明者らの観察によって裏付けられている。
【0025】
マルテンサイト系ステンレス鋼の破壊表面のこの写真では、実質的に球状の区域Pが見られ、ここから亀裂Fが広がっている。この区域Pは、これらの亀裂Fの形成の始点にある軽元素によって構成された気相のフットプリントであり、亀裂Fは伝播および凝集によって巨視的な破壊区域を生成する。
【0026】
発明者らはマルテンサイト系ステンレス鋼に試験を行って、エレクトロスラグ再溶解の前に、液体状態のこのような鋼が3重量ppm未満の前記インゴット中のH(水素)含有率を得るのに十分な時間にわたって真空脱気操作を受けるときに、第1に、このH(水素)含有率は、この鋼のエレクトロスラグ再溶解の後に形成されやすい気相中のHとO(酸素)とN(窒素)との間の再結合を生じるのに不十分であることを見出した。
【0027】
第2に、気体状元素のこのように減少した量は、フェライト構造と共存するオーステナイト構造中での濃縮後のマルテンサイトにおいてさえ、これらの気相の溶解度を超えて生じる量を下回ったままである。このことにより、樹枝状晶間領域におけるガンマ生成元素の濃度および樹枝状晶におけるアルファ生成元素の濃度を、実質的に一定に維持することができる。所望でない気相が鋼中に形成するリスクはこのため低下する。
【0028】
好ましくは、スラグはESRるつぼ内での使用前に脱水される。実際に、エレクトロスラグ再溶解、ESRからの鋼インゴット中のHの濃度は、前記インゴットのエレクトロスラグ再溶解前の前記インゴット中のHの濃度よりも高い可能性がある。次にESR方法の間に、水素はスラグからインゴット中に通過することができる。事前にスラグを脱水することによって、スラグ中に存在する水素の量が最小化され、このためESR方法の間にスラグからインゴット中に通過できる水素の量が最小化される。
【0029】
好ましくはESRの前に、液体金属インゴットは、エレクトロスラグ再溶解ステップの後にインゴット中で3ppm未満の水素含有率を得るのに十分な時間にわたって真空脱気を受ける。
【0030】
合金を真空脱気する方法は公知であるため、以下の説明は簡潔に行う。真空脱気は、少なくとも低真空が産生される容器内に静止液体インゴットを配置することに存する。または前記真空脱気は、容器に含有された液体鋼を、真空が産生されている取り鍋に連結されたラインに浸漬することによって行われ得る。鋼はこの柄杓中に、取り鍋に及ぼされている真空によって吸引され、次にラインを介して容器中に再び戻る。取り鍋は両方とも液体鋼中に浸漬される入口ラインおよび出口ラインも含み得て、鋼は入口ラインから進入して出口ラインから出て、取り鍋を通過する。
【0031】
鋼は一般に、真空脱気方法の上流にて周囲雰囲気での精錬を受ける。前記精錬は、微細な化学濃度を得られ、所望の範囲内で硫黄および炭素含有率を可能な限り多く減少させることができる。マルテンサイト系ステンレス鋼では、使用される大半の経済的な産業用装置は、周囲雰囲気にて行われる酸素脱炭(AOD)である。このAOD方法と、これに続く上記のような真空脱気によって構成される組合せは、VOD(真空酸素脱炭)などの真空容器内で行われる、不純物を抽出する方法よりも、安価であり、迅速に実施されるという利点を有する。
【0032】
発明者らは、本発明の方法を使用して、即ちESRの前に上のパラメータを用いるインゴットの脱気によって作製したZ12CNDV12鋼に対して試験を行った。これらの結果を下に示す。
【0033】
Z12CNDV12鋼の組成は次の通りであり(DMD0242−20規格、インデックスE):
C(0.10%から0.17%)−Si(<0.30%)−Mn(0.5%から0.9%)−Cr(11%から12.5%)−Ni(2%から3%)−Mo(1.50%から2.00%)−V(0.25%から0.40%)−N(0.010%から0.050%)−Cu(<0.5%)−S(<0.015%)−P(<0.025%)、および基準:
4.5≦(Cr−40.C−2.Mn−4.Ni+6.Si+4.Mo+11.V−30.N)<9
を満足した。
【0034】
図1は、本発明の方法によってもたらされた改善を定性的に示す。実験的に、サイクル引張り負荷を受ける鋼試験片を破断するために必要な破断までのサイクル数Nの値を、偽交番応力C(これらの試験に使用されるSnecma規格DMC0401に従って、課された変形下での試験片に対する負荷)の関数として得た。
【0035】
このようなサイクル負荷を図2に図示する。期間Tは1サイクルを表す。応力は、最大値C最大と最小値C最小との間で変化する。
【0036】
統計的に十分な数の試験片に疲労試験を行うことによって、発明者らは点N=f(C)を得て、これから平均統計C−N曲線を引いた(疲労サイクルの回数Nの関数としての応力C)。次に(than)負荷の標準偏差を所与の回数のサイクルについて計算した。
【0037】
図1において、第1の曲線15(細線)は、従来技術に従って製造された鋼について得られた(図式的な)平均曲線である。この第1の平均C−N曲線は、細点線で示された2本の曲線16および14の間にある。これらの曲線16および14は第1の曲線15から+3σおよび−3σの距離にそれぞれ位置して、σはこれらの疲労試験の間に得られた実験点の分布の標準偏差である;±3σは統計学では、99.7%の信頼区間に相当する。これらの2本の点線の曲線14および16の間の距離はこのため、結果のばらつきの尺度である。曲線14は、部品の寸法の制限因子である。
【0038】
図1において、第2の曲線25(太線)は、図2による負荷の下で本発明に従って製造された鋼に対して行った疲労試験結果から得られた(図式的な)平均曲線である。この第2の平均C−N曲線は、第2の曲線から+3σおよび−3σの距離にそれぞれ位置する、太点線として示された2本の曲線26と24の間に存在し、σは、これらの疲労試験の間に得られた実験点の標準偏差である。曲線24は、部品の寸法の制限因子である。
【0039】
なお、第2の曲線25は第1の曲線15の上に位置し、これは、負荷レベルCの疲労負荷の下で、本発明に従って製造された鋼試験片が平均で、従来技術の鋼試験片が破断するサイクル数よりも大きいサイクル数Nにて破断することを意味する。
【0040】
加えて、太点線で示された2本の曲線26と24との間の距離は、細点線で示された2本の曲線16と14との間の距離よりも小さく、これは本発明に従って製造された鋼の疲労挙動のばらつきが、従来技術の鋼の疲労挙動のばらつきよりも小さいことを意味する。
【0041】
図1は、下の表1にまとめた実験結果を示す。
【0042】
表1は、温度250℃におけるゼロ最小応力C最小、N=20000サイクル、およびN=50000サイクルでの、図2による低サイクル疲労負荷の結果を示す。「疲労」は、負荷周波数が約1Hzのオーダーであることを意味する(周波数は1秒当りの周期数Tとして定義される。)。
【0043】
【表1】
【0044】
なお、所与の値のサイクル数Nでは、本発明の鋼を破断するのに必要な最小疲労負荷値は、従来技術の鋼を破断するのに必要な疲労負荷の最小値M(100%に固定)よりも高い。本発明の鋼のこのサイクル数Nにおける結果のばらつき(=6σ)は、従来技術の鋼の結果のばらつき(最小値Mのパーセンテージとして表されるばらつき)よりも小さい。
【0045】
有利には、マルテンサイト系ステンレス鋼の炭素含有率は、鋼が亜共析である炭素含有率、例えば0.49%の含有率よりも低い。実際に、低い炭素含有率によって、合金元素のより良好な拡散および1次または貴炭化物(primary or noble carbides)の溶解温度の低下が可能となり、より良好な均質化がもたらされる。
【0046】
エレクトロスラグ再溶解の前に、例えばマルテンサイト鋼は空気中で製造される。
図1
図2
図3
図4