(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5791626
(24)【登録日】2015年8月14日
(45)【発行日】2015年10月7日
(54)【発明の名称】放射放出オプトエレクトロニクス半導体素子のクラス分類方法
(51)【国際特許分類】
H01L 33/00 20100101AFI20150917BHJP
G01J 3/46 20060101ALI20150917BHJP
【FI】
H01L33/00 K
G01J3/46 Z
【請求項の数】13
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2012-541396(P2012-541396)
(86)(22)【出願日】2010年11月16日
(65)【公表番号】特表2013-513228(P2013-513228A)
(43)【公表日】2013年4月18日
(86)【国際出願番号】EP2010067603
(87)【国際公開番号】WO2011067110
(87)【国際公開日】20110609
【審査請求日】2013年10月17日
(31)【優先権主張番号】102009056665.1
(32)【優先日】2009年12月2日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】599133716
【氏名又は名称】オスラム オプト セミコンダクターズ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Osram Opto Semiconductors GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100099483
【弁理士】
【氏名又は名称】久野 琢也
(72)【発明者】
【氏名】フェリックス ミヒェル
(72)【発明者】
【氏名】ユリウス ムシャヴェック
(72)【発明者】
【氏名】メアテン ニーベルシュッツ
【審査官】
村井 友和
(56)【参考文献】
【文献】
特開平11−103094(JP,A)
【文献】
特開2008−166826(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 33/00−33/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
放射放出オプトエレクトロニクス半導体素子(20)のクラス分類方法において、
放射放出オプトエレクトロニクス半導体素子(20)を準備するステップと、
前記放射放出オプトエレクトロニクス半導体素子(20)から動作時に放出された光の色度座標(8)を求めるステップと、
前記放射放出オプトエレクトロニクス半導体素子(20)を、前記求められた色度座標を含む所定の色度座標領域(6)に分類するステップとを備えており、
但し、前記所定の色度座標領域(6)は、複合的な曲線(1)と、該複合的な曲線(1)に平行な複数の線(13)と、複数のジャッド曲線(4)とによって規定される複数の色度座標領域から成るグループ(7)の中から選択され、前記複数の色度座標領域から成るグループの中から選択された複数の色度座標領域の内の少なくとも一つの色度座標領域は青色の色度座標を含む、及び/又は、相関色温度に対応付けることができない色度座標を含み、
前記複数の色度座標領域から成るグループ(7)の中から選択された複数の色度座標領域の内の少なくとも一つの色度座標領域は、拡張されたプランクの曲線(12)によって区切られるか、又は、拡張されたプランクの曲線(12)に接しており、該拡張されたプランクの曲線(12)はプランクの曲線(11)の高温終点(Tu)において該プランクの曲線(11)に続いており、該プランクの曲線(11)と共に前記複合的な曲線(1)を形成することを特徴とする、放射放出オプトエレクトロニクス半導体素子(20)のクラス分類方法。
【請求項2】
前記拡張されたプランクの曲線(12)は前記プランクの曲線(11)の高温終点(Tu)において、少なくとも一回連続微分可能に前記プランクの曲線(11)に続いている、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記拡張されたプランクの曲線(12)はCIEu’v’色空間において少なくとも二次のスプラインである、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記拡張されたプランクの曲線(12)はCIEu’v’色空間において二次のベジェスプラインである、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記スプラインを構成するための点(Tu)は前記プランクの曲線(11)の高温終点である、請求項3又は4に記載の方法。
【請求項6】
前記スプラインを構成するための点(P)は、前記高温終点(Tu)における前記プランクの曲線(12)への接線(14)上の点である、請求項3乃至5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記スプラインを構成するための点(S)はスペクトル軌跡(2)上に位置する、請求項3乃至6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記複数の色度座標領域から成るグループ(7)の中から選択された各色度座標領域に一つのアドレスを対応付け、
前記アドレスは、前記プランクの曲線(12)の前記高温終点(Tu)から、複合的な曲線(1)に沿った色度座標領域までの距離を表す、第1のパラメータ(p)を有しており、且つ、
前記アドレスは、ジャッド直線(4)に沿った前記複合的な曲線(1)から色度座標領域までの距離を表す、第2のパラメータ(j)を有しており、
前記複数の色度座標領域から成るグループ(7)の中から選択された各色度座標領域の大きさを、観察者が同一の色度座標領域に由来する色に関して差異を認識しないように選定する、請求項1乃至7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記複数の色度座標領域から成るグループ(7)の中から選択された各色度座標領域の大きさは、最大で3ステップマクアダム楕円の大きさに対応する、請求項1乃至8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記複数の色度座標領域から成るグループ(7)の中から選択された各色度座標領域の大きさは、1ステップマクアダム楕円(5)の大きさとほぼ同じであるか又は同じである、請求項1乃至9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
複合的な曲線に沿って測定された、前記複数の色度座標領域から成るグループ(7)の中から選択された各色度座標領域の大きさ(p)はCIEu’v’色空間において少なくとも0.001且つ最大で0.005である、請求項1乃至10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
ジャッド直線(4)に沿って測定された、前記複数の色度座標領域から成るグループ(7)の中から選択された各色度座標領域の大きさ(j)はCIEu’v’色空間において少なくとも0.001且つ最大で0.005である、請求項1乃至11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記所定の色度座標領域(6)に関する測定値をメモリユニット(21)に格納し、該メモリユニット(21)は前記放射放出オプトエレクトロニクス半導体素子(20)のためのモジュール支持体(22)上に固定されており、且つ該モジュール支持体(22)に電気的に接続されている、請求項1乃至12のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放射放出オプトエレクトロニクス半導体素子のクラス分類方法に関する。放射放出オプトエレクトロニクス半導体素子として、例えばルミネセンスダイオード、即ちレーザダイオード又は発光ダイオードが考えられる。
【0002】
放射放出オプトエレクトロニクス半導体素子の使用領域の多くにおいては、規格によって厳密に規定された発光色が設定される。製造プロセスに起因して、ある一つのタイプ及びメーカの放射放出オプトエレクトロニクス半導体素子において、直接的な比較において色差が際立つ可能性がある。従って、放射放出オプトエレクトロニクス半導体素子を相互に段階付けられたクラスもしくはビン(英語:bin)に分類すること、即ちクラス分類もしくはビニング(英語:binning)を行うことが必要になることが多い。
【0003】
クラス分類のための規格化されたシステムが既に多数存在している。
【0004】
刊行物US 6,900,471 B1には、青色の色度座標及び相関色温度を対応付けることができない色度座標を使用できない、クラス分類方法が開示されている。
【0005】
クラス分類の別の公知のシステムは例えばANSIクラス分類である。このクラス分類システムの利点は、このクラス分類システムが標準化されたクラス分類システムであるということである。更には、この分類システムのクラスはプランクの曲線(完全放射体軌跡(planckian locus)又は黒体軌跡(blackbody locus)とも称される)並びに同じ相関色温度の等温線ジャッド直線に合わせられている。クラスが色温度の領域全体にわたりジャッド直線についてもプランクの曲線についてもセンタリングされていないことが欠点として確認されている。更には、標準的なLEDの用途に関して個々のクラスの大きさが過度に大きい。より細かいクラス分類を行なうために同じ大きさのサブクラスにクラスを分類することは不可能である。最後に、ANSIクラス分類システムは全ての色度座標領域をカバーすることができず、それどころか相関色温度を対応付けることができる全ての色度座標領域もカバーすることができない。
【0006】
本発明が解決すべき課題は、多数の異なる放射放出オプトエレクトロニクス半導体素子の一貫性のあるクラス分類を実現する、クラス分類方法を提供することである。
【0007】
クラス分類方法の少なくとも一つの実施の形態によれば、先ず、放射放出オプトエレクトロニクス半導体素子が準備される。半導体素子は例えばレーザダイオード、レーザダイオードチップ、発光ダイオード又は発光ダイオードチップである。
【0008】
後続の方法ステップにおいては、動作時に放射放出オプトエレクトロニクス半導体素から放出される光の色度座標が求められる。色度座標を決定するために例えば分光測色器が使用される。
【0009】
色度座標を任意の色空間に基づき求めることができる。原理的には、ある色を一義的にその色度座標によって表すためにはいずれの色空間も適している。もっとも、比較及び再現性を達成するためには、色度座標が有利には正規化された色空間において決定される。例えば色度座標を、複数有るCIE色空間系の内の一つにおいて決定することができるか、又はDIN色空間系において決定することができる。
【0010】
続く方法ステップにおいては、求められた色度座標を含む所定の色度座標領域、即ちクラスへの放射放出オプトエレクトロニクス半導体素子の分類が行なわれる。
【0011】
使用される色空間系はこのために複数の色度座標領域から成るグループに分割される。即ち、所定の色度座標領域は放射放出オプトエレクトロニクス半導体素子を分類することができるクラスである。分類は例えば、求められた色度座標と所定の色度座標領域に分類されている色空間との比較、並びに、放射放出オプトエレクトロニクス半導体素子の、この放射放出オプトエレクトロニクス半導体素の求められた色度座標が存在する所定の色度座標領域への対応付けによって行なわれる。
【0012】
クラス分類方法の少なくとも一つの実施の形態によれば、所定の色度座標領域が複数の色度座標領域から成るグループの中から選択され、ここで複数の色度座標領域から成るグループの中の少なくとも一つの色度座標領域は青色の色度座標を含む。即ち、分類に使用される複数の所定の色度座標領域、つまりクラス又はBinは、相関色温度を対応付けることができない青色の色度座標を有する少なくとも一つの色度座標領域を含んでいる。
【0013】
クラス分類のための上述の従来のシステムにおいては、相関色温度を対応付けることができる色度座標領域しか存在しないので、青色の色度座標を有する色度座標領域は使用できない。即ち、クラス分類のためのそれらのシステムにおいては、放射放出オプトエレクトロニクス半導体素子の分類は、プランクの曲線の高温終点、即ち水色の色度座標において終了している。
【0014】
有利には、全ての色空間、又は実質的に全ての色空間を張る複数の色度座標領域から成るグループの中から所定の色度座標領域が選択される。即ち、複数の色度座標領域から成るグループの中から選択された複数の所定の色度座標領域を用いて、使用される全ての色空間、又は使用される実質的に全ての色空間を構成することができるので、あらゆる色度座標を所定の色度座標領域に対応付けることもできる。このようにして、全く異なる半導体素子、例えば赤色、緑色、青色又は黄色のようなカラー発光ダイオード、しかしながらまた白色発光ダイオードについて一貫性のあるクラス分類を実現することができる。「実質的に」全ての色空間とは、色空間の小さい領域、例えば色空間のマゼンダ色の領域が場合によっては使用されないことを意味している。
【0015】
本方法の少なくとも一つの実施の形態によれば、複数の色度座標領域から成るグループの中から選択された複数の所定の色度座標領域の内の少なくとも一つの所定の色度座標領域、即ち、分類を行なうことができる考えられる複数のクラスの内の一つのクラスが拡張されたプランクの曲線によって区切られるか、又は拡張されたプランクの曲線に直接的に接している。拡張されたプランクの曲線は、プランクの曲線の高温終点においてプランクの曲線に続いている。即ち、色温度が無限大に近付く高温終点において終端するプランクの曲線はこの点において青色の色度座標へと延長される。
【0016】
換言すれば、使用される色空間には、拡張されたプランクの曲線とプランクの曲線とから成る複合的な曲線が通っている。複数の色度座標領域から成るグループの中から選択された複数の色度座標領域の内の少なくとも一つの色度座標領域、有利には多数の色度座標領域は複合的な曲線に接しているか、又は、複合的な曲線によって区切られる。この場合、複合的な曲線は使用される色空間を有利には二つの別個の領域、即ち、曲線よりも上の領域と曲線よりも下の領域に区分する。このために、複合的な曲線は色空間の縁部からその色空間の反対側の縁部へと延びている。即ち、プランクの曲線とは異なり、複合的な曲線は色空間の中心において終端していない。
【0017】
有利には、プランクの曲線は拡張されたプランクの曲線によって、その高温終点において少なくとも一回連続微分可能に、即ち平滑に延長される。即ち、複合的な曲線はプランクの曲線の高温終点において少なくとも一回連続微分可能である。
【0018】
複合的な曲線がこの点において二回又は複数回連続微分可能であることも考えられる。
【0019】
複合的な曲線が例えば高温終点において二回連続微分可能である場合には、所定の色度座標領域の大きさは、それらの色度座標領域が複合的な曲線から大きく離れた位置にある場合でも非常に均一である。即ち、全体の色空間にわたり、色度座標領域の大きさは跳躍的に変化しない、又は殆ど跳躍的に変化しない。
【0020】
本発明による方法は、殊に、高温終点(相関色温度が無限大に向かう点)が、物理的に構成された色空間を二つの領域、即ち、相関色温度を有する色度座標及び相関色温度を有していない色度座標に分類する点であるという認識を基礎としている。青色の色度座標の方向へのプランクの曲線の拡張ないし延長は、従来のクラス分類システムでは使用することができない色空間の領域の分類も実現する。
【0021】
本方法の少なくとも一つの実施の形態によれば、拡張されたプランクの曲線はCIEu’,v’色空間において少なくとも二次のスプラインである。即ち、拡張されたプランクの曲線はCIEu’,v’色空間において、二次のスプライン又はそれよりも大きい次数のスプラインである。二次のスプラインはプランクの曲線の拡張に非常に適していることが分かった。特に、二次のベジェスプラインが、青色の色度座標の領域にプランクの曲線を拡張するための最も簡単で明白な可能性であることが分かった。CIEu’,v’色空間とは異なる色空間においては、拡張されたプランクの曲線の変換をスプラインとは異なる関数によっても表すことができる。しかしながら、CIEu’,v’色空間への逆変換により最初のスプラインが得られる。
【0022】
特に二次のスプラインを構成するためには三つの点が必要になる。
【0023】
本方法の少なくとも一つの実施の形態によれば、スプラインを構成するための点としてプランクの曲線の高温終点Tuが選択される。このようにして、プランクの曲線は高温終点において連続的に延長される。
【0024】
本方法の少なくとも一つの実施の形態によれば、スプラインを構成するための点Pとして、高温終点におけるプランクの曲線への接線上の点が選択される。このことは、複合的な曲線が高温終点において連続微分可能であることを実現する。
【0025】
例えば、高温終点におけるプランクの曲線への接線とスペクトル軌跡との交点を選択することができる。スペクトル軌跡は、色空間、例えば馬蹄状のCIE色空間を包囲する、スペクトル的に純粋な色の軌跡である。色空間の下側の終端はこの場合、純紫軌跡によって縁取られる。
【0026】
本方法の少なくとも一つの実施の形態によれば、スプラインを構成するための点Sとして、スペクトル軌跡上の点が選択される。このために、少なくとも360nm及び最大で410nmの波長を有する点、例えばスペクトル軌跡上の380nmの点が有意義であることが分かった。例えば380nmの点は、この点が人間の目によって依然として認識することができる最短波長を有するスペクトル色を表すことによって特徴付けられている。
【0027】
有利には、二次のスプラインが上述の三つの点に基づき構成される。スプラインをCIEu’,v’色空間において例えば以下のように表すことができる:
スプライン(t)=Tu*(1−t)^2+P*t*(1−t)+S*t^2、但しtは[0;1]の範囲にある;
【0028】
これによって拡張されたプランクの曲線は原点t=0において値Tuを有しており、且つ、その終点t=1において値Sを有している。
【0029】
色空間内の点の位置、即ち、色空間内の複数の点の色度座標及び色位置は、色空間系の選択に依存している。しかしながらそれらの点をあらゆる色空間系において一義的に表すことができるので、放射放出オプトエレクトロニクス半導体素子の本発明によるクラス分類方法は色空間に依存しない。この場合、色度座標領域への分類はプランクの曲線、また上述の構成点によって物理的に動機付けられる、青色の色度座標領域へのプランクの曲線の延長にのみ依存する。
【0030】
本方法の少なくとも一つの実施の形態によれば、複数の色度座標領域から成るグループの中から選択された各色座標領域に一つのアドレスが対応付けられる。アドレスは第1のパラメータを有しており、この第1のパラメータは、複合的な曲線に沿った色度座標領域の、プランクの曲線の高温終点からの距離又は経路長を表す。即ち、第1のパラメータは複合的な曲線に沿って測定される。複合的な曲線の相応の領域の実際の長さが決定される。
【0031】
更にアドレスは第2のパラメータを有しており、この第2のパラメータは、ジャッド直線に沿った複合的な曲線からの色度座標領域の距離又は経路長を表す。ジャッド直線の構成は、プランクの曲線及び拡張されたプランクの曲線に関する構成規則と同じ構成規則を用いて延長される。例えば、それらの線はCIE1960(uv)色空間を使用する場合には、複合的な曲線、即ちプランクの曲線及び拡張されたプランクの曲線の両方に垂直に延びている。複合的な曲線から出発し、且つこの複合的な曲線に沿って、並びにジャッド直線に沿って、全体の色空間を推定及びアドレッシングすることができる。
【0032】
クラス分類は、プランクの曲線及び拡張されたプランクの曲線から成る複合的な曲線のみを基礎としている事実に基づき、クラス分類方法を考えられるあらゆる公知の色空間系に変換することができ、従って、例えばCIE及び別の標準化委員会により場合によって提供される革新的な色空間にも適合させることができる。
【0033】
本方法の少なくとも一つの実施の形態によれば、複数の色度座標領域から成るグループの中から選択された各色度座標領域の大きさは、観察者が同一の色度座標領域に由来する色に関して差異を認識できないように選択される。
【0034】
即ち、個々の色度座標領域への分類は、観察者が同一の色を認識する色度座標が同一の色度座標領域内に位置するように行なわれる。
【0035】
各色度座標領域の大きさは有利には、その大きさが最大でも、3ステップマクアダム楕円の面積に対応するように選択される。特に有利には、複数の色座領域のグループから選択された各色度座標領域の大きさは、ほぼ又は最大で1ステップマクアダム楕円に対応する。
【0036】
このことは例えば、複合的な曲線に沿った、複数の色度座標領域から成るグループの中から選択された各色度座標領域の広がりはCIEu’v’色空間において少なくとも0.001且つ最大で0.005である。更にこの場合、ジャッド直線に沿った、複数の色度座標領域から成るグループの中から選択された各色度座標領域の広がりはCIEu’v’色空間において少なくとも0.001且つ最大で0.005である。例えば、CIEu’v’色空間において0.002を有する両方向における広がりが選択される。
【0037】
この記述を他の複数の色空間に変換することができる。広がりの選択は単一の自由パラメータを表す。ここではパラメータが、複数の色度座標領域から成るグループの中から選択された、そのようにして張られている色度座標領域が、ほぼ1ステップマクアダム楕円に対応する大きさを有するように物理的に有意義に選択されている。
【0038】
本方法の少なくとも一つの実施の形態によれば、所定の色度座標領域についての情報、即ち、放射放出オプトエレクトロニクス半導体素子が分類されているクラスがメモリユニットに記憶され、この記憶ユニットは例えば放射放出オプトエレクトロニクス半導体素子のためのモジュール支持体上に固定されており、また必要に応じてこのモジュール支持体に電気的に接続されている。
【0039】
モジュール支持体は例えば、プリント回路基板又は金属コアプレートのような回路基板で良く、この回路基板上には放射放出オプトエレクトロニクス半導体素子も固定されており、且つ電気的に接続されている。以下では、実施例及び所属の図面に基づき、本発明による、放射放出オプトエレクトロニクス半導体素子のクラス分類方法を詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【
図1B】種々の色温度に関する黒体のスペクトルを示す。
【
図2A】複合的な曲線及びこの複合的な曲線に平行な線並びにジャッド直線によって張られる空間を示す。
【
図4】オプトエレクトロニクス半導体素子の概略的な平面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0041】
図1A、1B、2A、2B、2C、3に基づき、本発明による方法を詳細に説明する。
【0042】
図4の概略的な平面図に基づき、本方法によりクラス分けされた放射放出オプトエレクトロニクス半導体素子を有するオプトエレクトロニクス半導体モジュールを詳細に説明する。
【0043】
図面において、同一、同様又は同機能の要素には同一の参照符号を付している。図及び図示した要素相互の大きさの比率は縮尺通りではないことに注意されたい。むしろ、個々の要素の中には、理解及び/又は説明を容易にするために意図的に拡大して表示したものがある。
【0044】
図1AにはCIE−XY色空間がグラフ状にプロットされている。馬蹄状の色空間は上方ではスペクトル軌跡2によって縁取られており、且つ、下方では純紫軌跡3によって閉じられている。色空間内にはプランクの曲線11が示されており、このプランクの曲線11はジャッド(Judd)直線(等温線:Isotherm)によって区切られている。プランクの曲線11は、温度0Kの点T0から、無限大に近付く温度を表す点Tuへと延びている。プランクの曲線11は水色の色度座標領域において終端している。
【0045】
ここでは、プランクの曲線11は複合的な曲線1に拡張されている。
【0046】
これに関して、プランクの曲線11には高温終点Tuにおいて拡張されたプランクの曲線12が繋がっている。複合的な曲線1は点Tuにおいて有利には少なくとも一回連続微分可能である。拡張されたプランクの曲線12は高温終点Tuから380nmの波長の点Sへと延びている。ここでは点Sが、スペクトル軌跡2と純紫軌跡3との交点である。
【0047】
上述したように、例えば発光ダイオードの従来のクラス分類方法は、色温度を対応付けることができるか、又はジャッド直線4を用いて相関色温度を対応付けることができる色度座標のみに関連付けられている。その他の色度座標、例えば青色の色度座標領域は、複合的な曲線1を介してクラス分類に使用することができる。
【0048】
図1Bには黒体のスペクトルが種々の色温度に関してプロットされている。この図においては、複数の曲線が無限大に近付く色温度、即ち点Tuに集束していることが見て取れる。0付近の温度に関しては大きい指数的な上昇が生じ、また「等色関数(color matching functions)」X,Y,Zの値は800nmより大きい波長に関して0に近付く。
【0049】
ここでは高温終点Tuが曲線を描く座標系の構造に関する出発点として選定される。即ち、高温終点Tuは座標系の0点又は原点を形成する。高温終点Tuは、光が材料を通過するか否か、またどのような材料を光が通過するかに依存しないという利点を有している。高温終点は特に、真空及び空気中のプランクの曲線に関して同一のものである。
【0050】
図2Aにプロットされているグラフに基づき、本発明によるクラス分類方法を詳細に説明する。
図2Aは複合的な曲線1を示す。複合的な曲線1及びこの複合的な曲線1に平行な線13並びにジャッド直線4によって空間が張られ、この空間を図示されている二つのパラメータ、即ち複合的な曲線1上の経路長を表すpと、ジャッド直線4上の経路長を表すjとによってパラメータ化することができる。
【0051】
経路長p,jの長さは、それらの経路長によって張られた所定の色度座標領域6(即ち放射放出オプトエレクトロニクス半導体素子20の色度座標8を分類することができるクラス)が1ステップマクアダム楕円5にほぼ対応している大きさを有しているように選定される。この場合、一つの所定の色度座標領域6内の色度座標8の変動を観察者は認識することはできない。
【0052】
このためにp及びjは、マクアダム楕円がほぼ円形であるCIEu’v’色空間においては、例えばp=0.002及びj=0.002に選定されている。それらの経路長を他の複数の色空間に変換することができる。
【0053】
図2AにおいてはANSIクラス9も示されている。それらのクラス9は、プランクの曲線11に関してセンタリングされていない、異なる大きさを有していることが見て取れる。更にクラス分類は、色空間の制限的な領域においてしか実現できない。
【0054】
図2Bには、CIEu’v’色空間の拡大された部分が複合的な曲線1と共に示されている。
【0055】
図2Cにプロットされているグラフに基づき、拡張されたプランクの曲線12の構成を詳細に説明する。拡張されたプランクの曲線12は、上述したようなCIEu’v’色空間における構成点Tu、P、Sを用いてベジェスプラインとして構成されている。即ち、スプラインをCIEu’v’色空間において例えば以下のように表すことができる:
スプライン(t)=Tu*(1−t)^2+P*t*(1−t)+S*t^2、但しtは[0;1]の範囲にある
【0056】
第1の構成点は、プランクの曲線11の高温終点Tuであり、この高温終点TuはCIEu’v’色空間において座標u’=0.1801;v’=0.3953を有している。
【0057】
第2の構成点Sはここでは、光がスペクトル軌跡2上で380nmの波長を有している点である。点Sは座標u’=0.2568、v’=0.0165を有している。
【0058】
第3の構成点Pとしてここでは、高温終点Tuにおけるスペクトル軌跡2と接線14との交点が選定される。点Pの座標はu’=0.1412、v’=0.1559である。
【0059】
これらの構成点の選択は使用される色空間系に依存せず、従って、プランクの曲線11の延長に殊に良好に適している。しかしながら、プランクの曲線の他の有意義な延長も考えられる。ここで説明するクラス分類方法を別の複合的な曲線にも適用することができる。
【0060】
図2Cには、ジャッド直線4が示されており、このジャッド直線4はCIE(u,v)色空間において複合的な曲線から垂直に延びている。変換されたu’−v’色空間においては、この直交性はもはや存在していない。
【0061】
図3に基づき、所定の色度座標領域のアドレッシングを詳細に説明する。所定の色度座標領域のアドレス空間は、上述したように、経路長p及びjによって張られる。
【0062】
ここでは以下の術語が選択される:プランクの曲線11に沿って、経路長pは高温終点Tuから離れる方向においてプラスにカウントされ、pXXXでナンバリングされる。ここでXは1で始まる。
【0063】
拡張されたプランクの曲線12に沿って、距離はnXXXでナンバリングされる。
【0064】
相応に、ジャッド直線4に沿った距離は、複合的な曲線1の上ではjXXでナンバリングされ、複合的な曲線1の下ではkXXでナンバリングされる。
【0065】
従って、放射放出半導体素子の色度座標8が存在する、図中の所定の色度座標領域6はアドレスp004j03を有している。この所定の色度座標領域6は、複数の色度座標領域から成る比較的大きいグループ7内に存在しており、そのアドレス空間を以下のように表すことができる:p002k03−p004j03。
【0066】
即ち、放射放出オプトエレクトロニクス半導体素子の本発明によるクラス分類方法は、任意の色空間の所定の色度座標領域の区分のみを実現するのではなく、各色度座標領域、即ち各クラスの一貫性のあるアドレッシングも実現する。従って、一義的な術語によって、個々の色度座標領域6又は色度座標領域の組み合わせ7を表すことができる。
【0067】
図4には、モジュール支持体22を備えているオプトエレクトロニクス半導体素子が概略的な平面図で示されている。モジュール支持体22は例えば回路基板、例えば金属コアプレート又はプリント回路基板である。モジュール支持体22の上にはケーシング23、例えばセラミック支持体が被着されており、このセラミック支持体は三つの放射放出オプトエレクトロニクス半導体素子20、例えば発光ダイオードチップを担持している。
【0068】
それらの半導体素子20はそれぞれ本発明による方法によって所定の色度座標領域に分類されている。例えば、動作時にそれらの半導体素子20から放出される光はそれぞれ同一のクラスに属する色度座標を有している。
【0069】
それらの半導体素子20において求められている測定値、即ち、例えば半導体素子20が分類されている所定の色度座標領域のアドレスは電子メモリユニット21に格納されている。この電子メモリユニット21は同様にモジュール支持体22上に固定されており、且つモジュール支持体22に電気的に接続されている。端子24を介してモジュールに外部から接触接続することができる。この端子24を介して色度座標情報もメモリユニット21から読み出すことができる。
【0070】
総じて、ここでは放射放出半導体素子の非常にフレキシブルなクラス分類方法が提供されている。本方法を種々の色空間系に適応させることができる。更には、本方法をプランクの曲線が真空において決定されるか空気中で決定されるかに依存せずに実施することができる。更には、この方法を他の光形成モジュール、例えば蛍光ランプ、放電ランプ又はエレクトロルミネセンスランプにも適用することができる。
【0071】
本発明は実施例に基づく上記の説明によってそれらの実施例に限定されるものではない。むしろ本発明はあらゆる新規の特徴並びにそれらの特徴のあらゆる組み合わせを含むものであり、これには殊に特許請求の範囲に記載した特徴の組み合わせ各々が含まれ、このことはそのような組み合わせ自体が特許請求の範囲あるいは実施例に明示的には記載されていないにしても当てはまる。
【0072】
本願は、ドイツ連邦共和国特許出願第102009056665.1号の優先権を主張するものであり、その開示内容は参照により本願に含まれるものとする。