(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記スタティックミキサーは、前記吐出方向に向かうに従ってねじられたねじり羽根を前記吐出方向に沿って6個以上備えることを特徴とする、請求項1または2に記載の塗布装置。
前記拡大部を区画するための、前記マニホールドに対して着脱可能なアタッチメント部材が、前記マニホールドの前記吐出方向上流側における前記第1方向端部に設けられていることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の塗布装置。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1〜
図11を参照して、本発明の塗布装置の一実施形態について説明する。
【0023】
図3において、紙面左右方向を「左右方向」(第1方向あるいは幅方向)とし、紙面上下方向を「前後方向」(第2方向あるいは厚み方向)とし、紙厚方向を「上下方向」(第3方向あるいは吐出方向)とし、具体的には、
図3に記載の方向矢印に準拠する。
図3以外の図面についても、
図3の方向を基準
とする。
【0024】
なお、
図8において、マニホールド21(後述)、シム13(後述)およびアタッチメント部材25(後述)の相対配置を明確に示すために、第2ブロック12(後述)を省略している。さらに、
図9において、シム13、第1ブロック11および第2ブロック12の相対配置を明確に示すために、アタッチメント部材25を省略している。
【0025】
図1において、この塗布装置1は、粒子および樹脂を含むワニス(後で詳述する)を塗布するための塗布装置である。塗布装置1は、タンク2と、ポンプ3と、スタティックミキサー4と、ノズル5とを備える。タンク2、ポンプ3、スタティックミキサー4およびノズル5は、ワニスの吐出方向上流側から下流側に向かって、順次配置されている。
【0026】
タンク2は、ワニスを貯蔵するリザーバであって、塗布装置1の上側部分に設けられている。
【0027】
ポンプ3は、タンク2と配管61を介して接続されており、具体的には、タンク2の
後側に配置されている。ポンプ3は、タンク2内に貯蔵されるワニスをスタティックミキサー4に圧力を負荷して吐出できるポンプであれば特に限定されず、例えば、モーノポンプ(具体的には、ヘイシンモーノポンプ(兵神装備社製)として市販されるポンプなど)などが挙げられる。
【0028】
スタティックミキサー4は、上下方向に沿って延びるように配置されている。スタティックミキサー4は、ポンプ3の下側に配置されており、ポンプ3の下端部に接続されている。スタティックミキサー4としては、特に限定されず、例えば、改訂六版 化学工学便覧の第453頁に記載されるような、Kenics mixer型、Sulzer SMV型、Sulzer SMX型、Tray Hi−mixer型、Komax mixer型、Lightnin mixer型、Ross ISG型、Bran&Lube mixer型のスタティックミキサーが挙げられる。好ましくは、
図2に示すKenics mixer型が用いられる。
【0029】
Kenics mixer型のスタティックミキサー4は、上下方向に延びる直管6と、直管6に収容されるねじり羽根7とを備える。
【0030】
ねじり羽根7は、吐出方向下流側に向かうに従って時計回り(右回り)に180度ねじられた右ねじり羽根8と、吐出方向下流側に向かうに従って反時計回り(左回り)に180度ねじられた左ねじり羽根9とを備える。右ねじり羽根8および左ねじり羽根9は、それぞれ、複数(
図2では、9個)設けられており、吐出方向に沿って交互に配置されている。また、右ねじり羽根8の吐出方向下流側端縁と、左ねじり羽根9の吐出方向上流側端縁とは、吐出方向に投影したときに、直交するように、接合されている。また、右ねじり羽根8の吐出方向上流側端縁と、左ねじり羽根9の吐出方向下流側端縁とは、吐出方向(上下方向)に投影したときに、直交するように、接合されている。
【0031】
スタティックミキサー4の寸法は、適宜設定されており、例えば、管長が、例えば、10mm以上、好ましくは、30mm以上であり、また、例えば、400mm以下、好ましくは、350mm以下である。また、内径は、例えば、3mm以上、好ましくは、5mm以上であり、また、例えば、30mm以下、好ましくは、15mm以下である。また、管長/内径比は、例えば、3以上、好ましくは、5以上であり、また、例えば、30以下、好ましくは、25以下である。さらに、スタティックミキサー4がKenics mixer型である場合には、各右ねじり羽根8および各左ねじり羽根9の吐出方向長さは、例えば、3mm以上、好ましくは、5mm以上であり、また、例えば、50mm以下、好ましくは、30mm以下である。
【0032】
ノズル5は、例えば、スロットダイコータであって、具体的には、
図1に示すように、スタティックミキサー4の下側に配置されており、スタティックミキサー4の下端部に接続されている。ノズル5は、上下方向および左右方向に延びる厚肉平板形状に形成されている。ノズル5は、第1ブロック11と、第1ブロック11の前側に対向配置される第2ブロック12と、第1ブロック11および第2ブロック12の間に介在するシム13とを備える。
【0033】
第1ブロック11は、例えば、ステンレスなどの金属、あるいは、アクリル樹脂などの樹脂から形成されている。第1ブロック11は、好ましくは、耐久性の観点から、金属から形成されている。
【0034】
図3および
図9に示すように、第1ブロック11は、上下方向および左右方向に延びる厚肉平板形状をなし、具体的には、平面視および正面視において、略矩形状に形成され、側面視において、上側部分が略矩形状に形成され、下側部分が、下側に向かうに従って前後方向長さが短くなる略三角形状に形成されている。また、第1ブロック11は、前面の中央部が後側に凹む有底枠形状に形成されている。第1ブロック11は、上壁46aと、下壁46bと、1対の側壁46cとを一体的に備える。
【0035】
上壁46aは、左右方向に延びる平面視略矩形状、かつ、正面視略矩形状に形成されている。また、上壁46aは、
図6および
図7に示すように、側面視において、上側部分が略矩形状をなし、下側部分の下面47が湾曲面となるように形成されている。具体的には、上壁46aの下面47は、後方に向かうに従って次第に下側に湾曲する円弧形状に形成されている。
【0036】
下壁46bは、上壁46aの下端部に隣接して設けられている。下壁46bは、
図4および
図8に示すように、左右方向に延びる底面視略
矩形状、かつ、正面視略矩形状に形成されている。また、下壁46bは、
図6および
図7に示すように、側面視において、その下面が前側に向かうに従って下方に直線状に傾斜する傾斜面として形成されるとともに、その上面48が前側に向かうに従って下方に直線状に傾斜する傾斜面として形成される。下壁46bの上面48の上端縁は、上壁46aの下面47の下端縁に連続するように形成されている。
【0037】
1対の側壁46cは、
図8および
図9に示すように、上壁46aおよび下壁46bの左右方向両端部に連続しており、上下方向に延びる平面視略矩形状に形成されている。また、側壁46cは、側面視において、上側部分が略矩形状をなし、下側部分が、下側に向かうに従って前後方向長さが短くなる略三角形状に形成されている。
【0038】
そして、第1ブロック11では、上壁46a、下壁46bおよび1対の側壁46cの前面が、面一の正面視略矩形枠状に形成されている。また、
図6および
図8に示すように、第1ブロック11では、上壁46aの下面47と、下壁46bの上面48と、1対の側壁46cの内面(内側面)とから、マニホールド21が形成される。マニホールド21は、後述する供給孔20から供給されるワニスを左右方向に広げるために設けられる。
【0039】
具体的には、マニホールド21は、流入部50および流出部51を備える。
【0040】
流入部50は、上壁46aの下面47と、1対の側壁46cの内面(内側面)とによって形成される。流入部50は、左右方向および前後方向(吐出方向に対する直交方向)に沿う開口断面積が、下方(吐出方向下流側)に向かうに従って拡大するように、形成されている。この流入部50によって、流入空間52が仕切られる。
【0041】
流出部51は、下壁46bの上面48と、1対の側壁46cの内面(内側面)とによって形成される。流出部51は、左右方向および前後方向(吐出方向に対する直交方向)に沿う開口断面積が、吐出方向に向かうに従って縮小するように、形成されている。この流出部51によって、流出空間53が、流入空間52に連通するように、仕切られる。
【0042】
このマニホールド21によって、マニホールド空間が仕切られる。
【0043】
マニホールド空間は、流入空間52と、流出空間53とから形成される。
【0044】
また、上壁46aには、上壁46aを上下方向に貫通する供給孔20が形成されている。供給孔20は、スタティックミキサー4(
図1および
図2参照)から供給されるワニスをキャビティ49(後述する)に案内するために上壁46aに形成されており、略円柱形状にされている。また、
図3に示すように、供給孔20は、平面視において、上壁46aの左右方向略中央部に設けられている。なお、
図6に示すように、供給孔20の下端部は、下側斜め前方に屈曲して、上壁46aの下面47に開口されている。
【0045】
また、
図8に示すように、上壁46aおよび1対の側壁46cには、それらの前面から後方に向かって穿孔される第1固定孔28が形成される。第1固定孔28は、互いに間隔を隔てて複数設けられている。具体的には、第1固定孔28は、上壁46aの前面において、左右方向に等間隔を隔てて形成されている。また、第1固定孔28は、1対の側壁46cの前面において、上下方向に等間隔を隔てて形成されている。
【0046】
さらに、
図5および
図8に示すように、1対の側壁46cには、左右方向を貫通する第2固定孔29が形成されている。第2固定孔29は、側壁46cにおいて、流入空間52(
図6参照)に連通する位置に設けられている。
【0047】
そして、
図7および
図8に示すように、マニホールド21には、アタッチメント部材25が装着されている。
【0048】
アタッチメント部材25は、マニホールド21の上側(吐出方向上流側)部分において、左右方向に互いに間隔を隔てて2つ設けられている。
【0049】
各アタッチメント部材25は、
図3の破線および
図7に示すように、左右方向に延びる平面視略矩形状をなし、その左右方向外側面が、上下方向に延びる平坦状に形成されている。また、アタッチメント部材25は、側面視扇状をなし、その下面が平坦面に形成されており、上面が、後方に向かうに従って次第に下側に湾曲する円弧形状に形成されている。
図8の太線および細線のハッチングで示されるように、アタッチメント部材25は、正面視略三角形状(具体的には、直角三角形状)に形成されている。また、2つのアタッチメント部材25の下面は、正面視において、左右方向外側に向かうに従って下側に傾斜する傾斜面として形成されており、それらは、左右方向に互いに対向するように配置されている。
【0050】
また、
図7に示すように、アタッチメント部材25には、上下方向および左右方向に投影したときに、第1ブロック11から前側にわずか突出する突出部分が形成されている。
【0051】
図7および
図8に示すように、アタッチメント部材25の下面の左右方向両外端縁は、前後方向に投影したときに、上壁46aの下面47の下端縁に重なるように配置されている。また、アタッチメント部材25の下面の左右方向内端縁は、供給孔20の左右方向両端部に隣接して、供給孔20を露出するように、供給孔20の下端部の左右方向両外側に隣接配置されている。
【0052】
このアタッチメント部材25がマニホールド21に装着されることによって、キャビティ49の流入空間52に、左右方向長さが、下側に向かうに従って、次第に長くなる拡大部33が形成される。
【0053】
拡大部33は、供給孔20を中心として、その左右方向長さが、下方に向かうに従って、次第に長くなるように、略逆V字形状に形成されている。
【0054】
第2ブロック12は、例えば、アクリル樹脂(具体的には、ポリメタクリル酸メチル)、シリコーン樹脂などの透明樹脂などの透明材料から形成される透明部材である。
【0055】
第2ブロック12は、
図9に示すように、左右方向に延びる平板形状をなし、下端部が、下側に向かうに従って前後方向長さが短くなる略三角形状に形成されている。また、第2ブロック12は、前後方向に投影したときに、第1ブロック11と重複するように形成されている。第2ブロック12の上面および両側面は、第1ブロック11における上面および両側面と面一に形成され、また、第2ブロック12の下端部は、第1ブロック11における下端部と、前後方向に投影したときに、同一位置に配置されている。
【0056】
なお、図示しないが、第2ブロック12には、正面視において、第1ブロック11と同じ配置および大きさの複数の第1固定孔28(
図8参照)が形成されている。
【0057】
シム13は、例えば、第1ブロック11と同様の材料から形成されている。シム13は、下側に開放される正面視略逆U字形状の薄板である。
図8の細線のハッチングが参照されるように、シム13は、前後方向に投影したときに、上壁46aの前面、および、1対の側壁46cの前面に重複するように、第1ブロック11および第2ブロック12の間に介在されている。
【0058】
なお、図示しないが、シム13には、正面視において、第1ブロック11と同じ配置および大きさの複数の第1固定孔28が形成されている。
【0059】
次に、ノズル5の組み付けについて、
図9および
図10を参照して説明する。
【0060】
まず、第1ブロック11、アタッチメント部材25、シム13および第2ブロック12のそれぞれを用意する。
【0061】
次いで、第1ブロック11のマニホールド21に、アタッチメント部材25を装着するとともに、上壁46aの前面および1対の側壁46cの前面にシム13を配置する。
【0062】
具体的には、アタッチメント部材25を、マニホールド21の流入部50に嵌め込んだ後、図示しない固定部材(図示せず、例えば、ねじ、ボルトなど)を第2固定孔29(
図5および
図8参照)に挿通し、アタッチメント部材25に到達させ、これによって、アタッチメント部材25をマニホールド21に固定する。
【0063】
また、シム13を、上
壁46aの前面および1対の側壁46cの前面に接触させる。
【0064】
次いで、第2ブロック12の後面を、シム13の前面と、アタッチメント部材25の前面とに接触させる。続いて、図示しない固定部材を、第1ブロック11、シム13および第2ブロック12の第1固定孔28(
図8参照)に挿通し、固定する。これによって、第1ブロック11および第2ブロック12によって、シム13を挟み込み、ノズル5を組み付ける。
【0065】
これによって、
図6に示すように、ノズル5には、第1ブロック11のマニホールド21と、シム13の内側面と、第2ブロック12の後面とによって仕切られるキャビティ49が形成される。
【0066】
これとともに、第1ブロック11の下壁46bの前面と、シム13の内側面と、第2ブロック12の後面とによって仕切られるスリット56が形成される。スリット56は、
図8が参照されるように、左右方向に延びる平面視略矩形状に開口され、また、
図6に示すように、上下方向に延びる側面視略矩形状に開口されている。
【0067】
また、
図4および
図6に示すように、スリット56の下端部(吐出口)は、スロット57が開口される。スロット57は、底面視において、左右方向に細長く延びる略矩形状のワニスの吐出口に形成される。
【0068】
また、スリット56を仕切る下壁46b、シム13および第2ブロック12は、吐出部23とされる。
【0069】
さらに、第1ブロック11の下壁46bの下端部の下面、および、第2ブロック12の下端部の下面は、いずれも平坦面であって、ドクター26とされる。
【0070】
ノズル5の寸法は、ワニスの物性(粘度を含む)、塗膜60(
図11参照)の形状および/または厚さによって適宜設定され、特に限定されない。ノズル5の幅(左右方向長さ)は、例えば、30mm以上、好ましくは、50mm以上であり、また、例えば、500mm以下、好ましくは、200mm以下である。また、供給孔20の内径は、例えば、2mm以上、好ましくは、5mm以上であり、また、例えば、30mm以下、好ましくは、15mm以下である。また、キャビティ49、スリット56およびスロット57の幅(左右方向長さ)は、例えば、10mm以上、好ましくは、30mm以上であり、また、例えば、450mm以下、好ましくは、150mm以下である。また、流入空間52の上下方向長さは、例えば、3mm以上、好ましくは、5mm以上であり、また、例えば、80mm以下、好ましくは、50mm以下であり、前後方向長さは、例えば、3mm以上、好ましくは、5mm以上であり、また、例えば、50mm以下、好ましくは、30mm以下である。流出空間53の上下方向長さは、例えば、3mm以上、好ましくは、5mm以上であり、また、例えば、80mm以下、好ましくは、50mm以下である。
【0071】
また、アタッチメント部材25の幅(左右方向長さ)は、例えば、5mm以上、好ましくは、15mm以上であり、また、例えば、200mm以下、好ましくは、70mm以下である。また、アタッチメント部材25の上下方向長さは、例えば、3mm以上、好ましくは、5mm以上であり、また、例えば、80mm以下、好ましくは、50mm以下である。また、アタッチメント部材25の前後方向長さは、例えば、3mm以上、好ましくは、5mm以上であり、また、例えば、50mm以下、好ましくは、30mm以下である。
【0072】
スリット56の前後方向長さおよびスロット57(吐出口)の前後方向長さは、シム13の前後方向の長さと実質的に同一であり、例えば、0.1mm以上、好ましくは、0.5mm以上であり、また、例えば、3mm以下、好ましくは、2mm以下である。
【0073】
なお、この塗布装置1には、
図1に示すように、ノズル5を前後方向、左右方向および/または上下方向に移動可能な移動装置55が、ポンプ3の上側に隣接して設けられている。
【0074】
次いで、この塗布装置1を用いてワニスを塗布する方法について、
図1および
図11を参照して説明する。
【0075】
この方法では、まず、ワニスを調製する。
【0076】
ワニスは、粒子および樹脂を必須成分として含有する。
【0077】
粒子としては、塗膜の用途および目的に応じて適宜設定され、例えば、蛍光体、充填剤が挙げられる。
【0078】
蛍光体は、波長変換機能を有しており、例えば、青色光を黄色光に変換することのできる黄色蛍光体、青色光を赤色光に変換することのできる赤色蛍光体などが挙げられる。
【0079】
黄色蛍光体としては、例えば、(Ba,Sr,Ca)
2SiO
4;Eu、(Sr,Ba)
2SiO
4:Eu(バリウムオルソシリケート(BOS))などのシリケート蛍光体、例えば、Y
3Al
5O
12:Ce(YAG(イットリウム・アルミニウム・ガーネット):Ce)、Tb
3Al
3O
12:Ce(TAG(テルビウム・アルミニウム・ガーネット):Ce)などのガーネット型結晶構造を有するガーネット型蛍光体、例えば、Ca−α−SiAlONなどの酸窒化物蛍光体などが挙げられる。
【0080】
赤色蛍光体としては、例えば、CaAlSiN
3:Eu、CaSiN
2:Euなどの窒化物蛍光体などが挙げられる。
【0081】
蛍光体の形状としては、例えば、球状、板状、針状などが挙げられる。好ましくは、流動性の観点から、球状が挙げられる。
【0082】
蛍光体の最大長さの平均値(球状である場合には、平均粒子径)は、例えば、0.1μm以上、好ましくは、1μm以上であり、また、例えば、200μm以下、好ましくは、100μm以下でもある。
【0083】
蛍光体の比重は、例えば、2.0以上であり、また、例えば、9.0以下である。
【0084】
蛍光体は、単独使用または併用することができる。
【0085】
蛍光体の配合割合は、樹脂100質量部に対して、例えば、0.1質量部以上、好ましくは、0.5質量部以上であり、例えば、80質量部以下、好ましくは、50質量部以下でもある。
【0086】
充填剤は、塗膜の靱性を向上させるためにワニスに配合され、例えば、シリコーン粒子などの有機微粒子、例えば、シリカ、タルク、アルミナ、窒化アルミニウム、窒化ケイ素などの無機微粒子が挙げられる。
【0087】
充填剤の比重は、例えば、0.5以上であり、また、例えば、7.0以下である。
【0088】
充填剤の最大長さの平均値(球状である場合には、平均粒子径)は、例えば、0.1μm以上、好ましくは、0.5μm以上であり、また、例えば、200μm以下、好ましくは、100μm以下でもある。
【0089】
充填剤は、単独使用または併用することができる。
【0090】
充填剤の配合割合は、樹脂100質量部に対して、例えば、0.1質量部以上、好ましくは、0.5質量部以上であり、また、例えば、70質量部以下、好ましくは、50質量部以下でもある。
【0091】
蛍光体と充填剤とを併用する場合の配合割合は、樹脂100質量部に対して、蛍光体と充填剤との合計量が例えば、0.1質量部以上、好ましくは、0.5質量部以上であり、例えば、80質量部以下、好ましくは、60質量部以下でもある。
【0092】
樹脂としては、例えば、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂などの硬化性樹脂が挙げられる。
【0093】
また、樹脂として、例えば、ポリオレフィン(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体など)、アクリル樹脂(例えば、ポリメタクリル酸メチルなど)、ポリ酢酸ビニル、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリアクリロニトリル、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリアセタール、ポリエチレンテレフタレート、ポリフェニレンオキシド、ポリフェニレンスルフィド、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリアリルスルホン、熱可塑性ポリイミド、熱可塑性ウレタン樹脂、ポリアミノビスマレイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、ビスマレイミドトリアジン樹脂、ポリメチルペンテン、フッ化樹脂、液晶ポリマー、オレフィン−ビニルアルコール共重合体、アイオノマー、ポリアリレート、アクリロニトリル−エチレン−スチレン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、アクリロニトリル−スチレン共重合体などの熱可塑性樹脂も挙げられる。
【0094】
樹脂として、好ましくは、硬化性樹脂、より好ましくは、硬化性シリコーン樹脂が挙げられる。
【0095】
硬化性シリコーン樹脂としては、例えば、2段階硬化型シリコーン樹脂、1段階硬化型シリコーン樹脂などが挙げられる。
【0096】
2段階硬化型シリコーン樹脂は、2段階の反応機構を有しており、1段階目の反応でBステージ化(半硬化)し、2段階目の反応でCステージ化(完全硬化)する硬化性シリコーン樹脂である。
【0097】
また、Bステージは、2段階硬化型シリコーン樹脂が、溶剤に可溶なAステージと、完全硬化したCステージとの間の状態であって、硬化およびゲル化がわずかに進行し、溶剤に膨潤するが完全に溶解せず、加熱によって軟化するが溶融しない状態である。
【0098】
1段階硬化型シリコーン樹脂は、1段階の反応機構を有しており、1段階目の反応で完全硬化する硬化性シリコーン樹脂である。
【0099】
また、硬化性シリコーン樹脂として、例えば、加熱により硬化する熱硬化性シリコーン樹脂、例えば、活性エネルギー線(例えば、紫外線、電子線など)の照射により硬化する活性エネルギー線硬化性シリコーン樹脂などが挙げられる。好ましくは、熱硬化性シリコーン樹脂が挙げられる。
【0100】
樹脂の比重は、例えば、蛍光体および/または充填剤の比重より軽く、具体的には、例えば、0.5以上であり、また、例えば、2.0以下である。
【0101】
樹脂の配合割合は、ワニスに対して、例えば、0.1質量%以上、好ましくは、0.5質量%以上であり、また、例えば、100質量%未満、好ましくは、99.5質量%以下である。
【0102】
また、ワニスには、必要により、溶媒や添加剤などの任意成分を適宜の割合で配合することができる。溶媒としては、例えば、ヘキサンなどの脂肪族炭化水素、例えば、キシレンなどの芳香族炭化水素、例えば、ビニルメチル環状シロキサン、両末端ビニルポリジメチルシロキサンなどのシロキサンなどが挙げられる。
【0103】
添加剤としては、例えば、分散剤、シランカップリング剤、レベリング剤の表面調整剤などが挙げられる。
【0104】
上記した各成分を配合して、撹拌混合することによって、ワニスを調製する。
【0105】
ワニスの25℃、1気圧の条件下における粘度は、例えば、1,000mPa・s以上、好ましくは、4,000mPa・s以上であり、また、例えば、1,000,000mPa・s以下、好ましくは、100,000mPa・s以下である。なお、粘度は、ワニスを25℃に温度調節し、E型コーンを用いて、回転数99s
−1で測定される。
【0106】
次いで、調製したワニスをタンク2に投入する。
【0108】
基材54は、シート状に形成されており、その外形形状は特に限定されず、例えば、
図1に示すように、平面視略矩形状(短冊状、長尺状を含む)などに形成されている。また、基材54は、水平方向に沿って配置される。
【0109】
基材54は、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)などのポリエステル樹脂、例えば、ポリプロピレンなどのポリオレフィン樹脂などの樹脂からシート状に形成されている。また、基材54を、例えば、金属から形成することもできる。基材54の表面には、剥離処理などを施すこともできる。
【0110】
次いで、
図11が参照されるように、ノズル5の吐出部23(スロット57)を、基材54に対向させて、吐出部23を基材54に近接させる。
【0111】
この際、ドクター26と基材54との上下方向長さを、例えば、塗膜60(
図10参照)の所望の厚み以上、あるいは、例えば、同じ厚みに設定し、具体的には、例えば、10μm以上、好ましくは、30μm以上であり、また、例えば、3000μm以下、好ましくは、2800μm以下に設定する。
【0112】
続いて、ポンプ3を駆動させるとともに、移動装置55によって、ノズル5を前方に水平移動させる。
【0113】
すると、ポンプ3の駆動により、ワニスは、タンク2からポンプ3を介してスタティックミキサー4に至る。すると、ワニスにおける粒子と樹脂とが均一に混合されながら、
図11に示すように、供給孔20を介してキャビティ49内に案内される。
【0114】
すると、ワニスは、流入空間52に流入し、拡大部33において、
図8が参照されるように、左右方向に次第に広げられるとともに、ポンプ3の駆動および/または重力によって、流出空間53に流出される。続いて、流出空間53において、
図6に示すように、ワニスは、前後方向に狭められながら、下方に流れ、スリット56に至る。その後、スロット57から基材54に向けて吐出される。
【0115】
基材54に吐出されたワニスは、
図11に示すように、前方に移動するノズル5の第1ブロック11のドクター26によって厚みが整えられる。
【0116】
その後、必要により、ワニスを乾燥させて、塗膜60を形成する。
【0117】
なお、ワニスを基材54に対して断続的に塗布することによって、塗膜60を枚葉式で形成することができ、あるいは、ワニスを基材54に対して連続的に吐出することによって、塗膜60を連続式で形成することもできる。なお、その後、連続式の塗膜60を、切断などの外形加工によって、枚葉式とすることもできる。
【0118】
その後、必要により、樹脂が硬化性樹脂を含む場合には、熱や活性エネルギー線などによって、硬化処理を施す。これによって、硬化後(あるいは半硬化後)の塗膜60を形成する。
【0119】
なお、樹脂が熱可塑性樹脂を含む場合には、塗布装置1にヒータを設けて、上記した処理を加熱して、樹脂を溶融あるいは軟化させながら、実施する。
【0120】
そして、この塗布装置1では、ノズル5に供給する前のワニスをスタティックミキサー4によって撹拌することができる。そのため、ワニスにおける粒子および樹脂の均一性を確保することができる。
【0121】
また、この塗布装置1では、マニホールド21を通過するワニスは、拡大部33において、下側(吐出方向下流側)に向かうに従って、左右方向(第1方向)外側に次第に広げられる。そのため、ワニスの吐出流れが緩慢になり、それに基づくワニスの滞留が生じることを防止することができる。その結果、マニホールド21においてワニスにおける粒子の不均一性を解消することができる。従って、得られる塗膜における粒子の均一性を十分に確保することができる。
【0122】
また、マニホールド21において、流入部50では、流出部51に比べて、上記したワニスの吐出流れが緩慢になり易く、それに起因するワニスの滞留を生じ易い。
【0123】
しかし、この塗布装置1では、拡大部33が流入部に設けられているので、上記したワニスの吐出流れが緩慢になることを防止して、ワニスの滞留が生じることを防止することができる。
【0124】
なお、スタティックミキサー4におけるねじり羽根7の数は、複数であれば特に限定されず、好ましくは、6以上(具体的には、
左ねじり羽根
9の数が3以上、右ねじり羽根8の数が3以上)、また、例えば、30以下(具体的には、
左ねじり羽根
9の数が15以下、右ねじり羽根8の数が15以下)である。この塗布装置1では、スタティックミキサー4は、ねじり羽根7を6個以上備えるので、ワニスにおける粒子および樹脂の均一性をより一層十分に確保することができる。
【0125】
図8の説明では、アタッチメント部材25をマニホールド21に対して着脱可能に構成しているが、例えば、図示しないが、アタッチメント部材25をマニホールド21と一体的に構成することもできる。好ましくは、アタッチメント部材25をマニホールド21に対して着脱可能に構成する。このような塗布装置1によれば、ワニスの特性に応じて、所望形状のアタッチメント部材25に交換することができる。具体的には、ワニスの粘度に応じて、アタッチメント部材25の下面(傾斜面)の傾斜角を変更する。詳しくは、粒子の種類、配合割合、形状、平均粒子径や、樹脂の種類、配合割合、粘度など、つまり、ワニスの処方に応じて、上記したアタッチメント部材25の(傾斜面)の傾斜角を変更して、上記したワニスの滞留を簡単に防止することができる。
【0126】
また、第2ブロック12を、透明部材としているが、例えば、金属からなる不透明部材とすることもできる。好ましくは、第2ブロック12を透明部材とする。このような塗布装置1によれば、透明部材である第2ブロック12を介して、拡大部33を含むキャビティ49を通過するワニスを目視することができるので、ワニスにおける粒子の状態を簡単に検査することができる。
【0127】
なお、拡大部33においてワニスの滞留を確認するために、上記した透明材料からなる第2ブロック12に限定されず、例えば、第2ブロック12において、拡大部33に対向する部分(例えば、窓部)を、透明材料から形成し、それ以外の部分を、不透明部材とすることもできる。
【0128】
なお、
図1の実施形態では、基材54に対して、ノズル5を移動させているが、例えば、基材54とノズル5とが相対移動すればよく、図示しないが、ノズル5に対して基材54を移動させることもできる。
【0129】
上記した説明では、スロット57を下方に向けるように、ノズル5を設けているが、例えば、側方または上方に向けることもできる。
【0130】
また、
図1の実施形態では、ノズル5を前方に移動させているが、移動方向はこれに限定されず、例えば、ノズル5を後方に移動させることもできる。この場合には、
図11が参照されるように、第2ブロック12のドクター26によって塗膜60の厚みを調整する。
【0131】
また、上記各実施形態において、スタティックミキサー4および/またはノズル5における各部品に、面取り加工などの加工処理を施すこともできる。
【実施例】
【0132】
以下に示す実施例および比較例における数値は、上記の実施形態において記載される対応する数値(すなわち、上限値または下限値)に代替することができる。
【0133】
実施例1
<ワニスの調製>
液状シリコーン樹脂(LR7665のA液、1段階硬化型シリコーン樹脂、比重1.0、信越化学工業社製)80質量部に、シリコーン粒子(トスパール2000B、比重1.32、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン社製)20質量部を添加し、さらに、YAG:Ce(Y−468、比重4.5、黄色蛍光体、ネモト・ルミマテリアル社製)15質量部を添加して、これらを攪拌混合して、ワニスを調製した。
【0134】
ワニスの25℃、1気圧の条件下における粘度は、40,000mPa・sであった。
【0135】
<基材への塗布>
図1〜
図11に示すように、タンク、ポンプ、スタティックミキサー、ノズル(アタッチメント部材付)および移動装置を備える塗布装置を用意した。スタティックミキサーおよびノズルの型式および寸法を以下に示す。
[スタティックミキサー]
Kenics mixer型
管長 260mm
内径 11mm
管長/内径比 23.6
右ねじり羽根の吐出方向長さ 10mm
左ねじり羽根の吐出方向長さ 10mm
右ねじり羽根の数 7
左ねじり羽根の数 8
[ノズル]
ノズルの幅(左右方向長さ) 70mm
供給孔の内径 10.5mm
キャビティの幅(左右方向の最大長さ) 54mm
流入空間の上下方向長さ 10mm
流入空間の前後方向長さ 10mm
流出空間の上下方向長さ 10mm
アタッチメント部材の幅 22mm
アタッチメント部材の上下方向長さ 10mm
アタッチメント部材の前後方向長さ 10mm
スロットの幅(左右方向の最大長さ) 50mm
スリットの前後方向長さ 10mm
スロットの前後方向長さ 10mm
次いで、調製したワニスをタンクに投入し、別途、PETからなる基材を用意した。
【0136】
次いで、移動装置によって、ドクターと基材との上下方向長さが400μmとなるように、ノズルのスロットを基材に対向させた。
【0137】
続いて、ポンプを駆動させるとともに、移動装置によって、ノズルを前方に140mmだけ水平移動させた。
【0138】
これによって、左右方向長さ54mm、前後方向長さが140mm、厚み0.4mmの塗膜を製造した。
【0139】
比較例1
ノズルにアタッチメント部材を装着しなかった以外は、実施例1と同様に処理して、塗膜を製造した。
【0140】
比較例2
塗布装置において、スタティックミキサーに代えて、直管を設けた以外は、実施例1と同様に処理して、塗膜を製造した。
【0141】
<評価>
実施例1および比較例1、2における塗布時のノズルにおけるワニスを第2ブロック側から目視にて観察した。その写真を
図12〜
図14に示す。
【0142】
ノズルにアタッチメント部材を装着しない比較例1では、上側空間の上端部および左右方向両端部の隅部に、YAG:Ce(黄色蛍光体)が希薄となる希薄部分を確認でき、隅部において、ワニスの滞留を確認できた。
【0143】
比較例2では、上側空間においてアタッチメント部材の下端面と、下側空間において、マニホールドの内面に沿って、YAG:Ce(黄色蛍光体)が希薄な流れを確認でき、ワニスにおいてYAG:Ce(黄色蛍光体)の濃度が不均一となる点を確認できた。
【0144】
比較例1および2に対して、実施例1では、ワニスにおいてYAG:Ce(黄色蛍光体)の希薄部分が確認されず、YAG:Ce(黄色蛍光体)が均一であることが分かった。