特許第5791674号(P5791674)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5791674
(24)【登録日】2015年8月14日
(45)【発行日】2015年10月7日
(54)【発明の名称】硬貨収納装置
(51)【国際特許分類】
   G07D 9/00 20060101AFI20150917BHJP
   G07D 3/00 20060101ALI20150917BHJP
【FI】
   G07D9/00 418Z
   G07D3/00 Z
【請求項の数】5
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-177348(P2013-177348)
(22)【出願日】2013年8月28日
(65)【公開番号】特開2015-46066(P2015-46066A)
(43)【公開日】2015年3月12日
【審査請求日】2014年10月2日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003562
【氏名又は名称】東芝テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100089118
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 宏明
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 慶一
【審査官】 大谷 謙仁
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−302520(JP,A)
【文献】 特開2005−056210(JP,A)
【文献】 特開2011−197763(JP,A)
【文献】 特開2001−175909(JP,A)
【文献】 特開2010−134600(JP,A)
【文献】 特開2006−190009(JP,A)
【文献】 特開2009−175782(JP,A)
【文献】 特開2001−093020(JP,A)
【文献】 特開平10−307941(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07D 9/00
G07D 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部から硬貨を受け入れる受入部と、
前記受入部が受け入れた硬貨の正否を識別する識別部と、
前記識別部が正常であるとした硬貨を収納する収納部と、
前記受入部から前記識別部を経て前記収納部まで硬貨を搬送する搬送部と、
前記識別部が正常でないとした異常硬貨を前記搬送部から落下させて除くリジェクト部と、
異常硬貨を排出または保管する先であるリジェクト先と、
エンドレスベルトと、該エンドレスベルトを回転駆動させる駆動部と、末広がりの囲いであって、前記リジェクト部と前記エンドレスベルトとの間に位置し、前記囲いの上縁で、前記リジェクト部が異常硬貨を落下させる位置を囲み、前記囲いの下縁を前記エンドレスベルト上に位置させ、下縁のリジェクト搬送方向下流側の部分に、前記囲いの内外を連通させ異常硬貨を排出するスリットが設けられたカバーと、を有し、前記リジェクト部が落下させた異常硬貨を前記エンドレスベルトに乗せて前記リジェクト先まで搬送するリジェクト搬送部と、
を備える硬貨収納装置。
【請求項2】
前記受入部は、外部から硬貨を受け入れる開口と、該開口が受け入れた硬貨のうち厚さまたは変形が過度のもの以外を1枚ずつ分離して前記識別部へと排出する分離部と、を有し、
前記スリットは、高さ寸法が、前記分離部が排出する硬貨の最大高さより高く形成されている
ことを特徴とする請求項1に記載の硬貨収納装置。
【請求項3】
前記リジェクト搬送部は、前記搬送部の搬送速度よりも速い速度で、前記エンドレスベルトによる異常硬貨の搬送を行う
ことを特徴とする請求項1または2に記載の硬貨収納装置。
【請求項4】
前記カバー内の前記エンドレスベルト上面から上方へ前記スリットの高さ寸法以上かつ径最小正貨の直径寸法未満の高さである複数個所に、硬貨の存在を検知する硬貨検知部をさらに備え、
前記リジェクト搬送部は、前記硬貨検知部が硬貨を検知すると、前記駆動部に、前記エンドレスベルトの回転方向を逆転させて駆動させる
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の硬貨収納装置。
【請求項5】
前記リジェクト搬送部は、前記エンドレスベルトの逆転中に、前記硬貨検知部が硬貨を検知しなくなったら、前記エンドレスベルトの回転方向を正転に戻す
ことを特徴とする請求項4に記載の硬貨収納装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、硬貨収納装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の硬貨収納装置は、外部から取り込んだ硬貨の正否を識別部で識別し、識別部が正常であるとした硬貨(正常硬貨、正貨)を収納する。識別部が異常であるとした硬貨(異常硬貨)は、リジェクト部によって取り除かれる。
【0003】
リジェクト部が取り除いた異常硬貨を、装置外部ないし装置内部のリジェクト先へ運ぶものには、重力を利用し、落下や滑り、転がりによって異常硬貨を移動させるものや、エンドレスベルトを用いるものがある。
【0004】
エンドレスベルトを用いる場合、ベルト上面に異常硬貨を1枚ずつ寝かせた状態で乗せる必要がある。なぜなら、ベルト上面に異常硬貨が堆積したり立った状態を保ったりしていると、異常硬貨がリジェクト先へ至るまでの間にエンドレスベルト上から滑り落ちるおそれがあり、この場合には、装置内部に異常硬貨が詰まるなどの不都合が発生してしまうからである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、異常硬貨が装置内部で詰まる不都合がない硬貨収納装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態の硬貨収納装置は、受入部と、識別部と、収納部と、搬送部と、リジェクト部と、リジェクト先と、リジェクト搬送部と、を備える。受入部は、外部から硬貨を受け入れる。識別部は、前記受入部が受け入れた硬貨の正否を識別する。収納部は、前記識別部が正常であるとした硬貨を収納する。搬送部は、前記受入部から前記識別部を経て前記収納部まで硬貨を搬送する。リジェクト部は、前記識別部が正常でないとした異常硬貨を前記搬送部から落下させて除く。リジェクト先は、異常硬貨を排出または保管する先である。リジェクト搬送部は、エンドレスベルトと、該エンドレスベルトを回転駆動させる駆動部と、末広がりの囲いであって、前記リジェクト部と前記エンドレスベルトとの間に位置し、前記囲いの上縁で、前記リジェクト部が異常硬貨を落下させる位置を囲み、前記囲いの下縁を前記エンドレスベルト上に位置させ、下縁のリジェクト搬送方向下流側の部分に、前記囲いの内外を連通させ異常硬貨を排出するスリットが設けられたカバーと、を有し、前記リジェクト部が落下させた異常硬貨を前記エンドレスベルトに乗せて前記リジェクト先まで搬送する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、実施形態の硬貨釣銭機の外観を示す斜視図である。
図2図2は、実施形態の硬貨釣銭機の内部構成を示す平面図である。
図3図3は、実施形態の受入部、識別部、搬送部、リジェクト部、およびリジェクト搬送部、の位置関係を示す斜視図である。
図4図4は、実施形態の受入部、識別部、搬送部、リジェクト部、およびリジェクト搬送部、の位置関係を示す縦断右側面図である。
図5図5は、実施形態においてリバースローラの表面の曲率に合致する形に変形した異常硬貨が隙間を通り抜ける様子を説明する図である。
図6図6は、実施形態の硬貨釣銭機が備える制御系の一部の接続関係を示すブロック図である。
図7図7は、実施形態の制御部が実行するプログラムの流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
硬貨収納装置の実施形態である硬貨釣銭機について図面を用いて説明する。図1は、硬貨釣銭機1の外観を示す斜視図である。図2は、硬貨釣銭機1の内部構成を示す平面図である。硬貨釣銭機1は、受入部2、識別部3、収納部4、搬送部5、リジェクト部6、払出部7、およびリジェクト受皿(リジェクト先の一例)8を備えている。
【0009】
受入部2は、外部に開かれた開口21を有し、該開口21から硬貨を受け入れて、硬貨を装置内部へ取り込む。識別部3は、受入部2が受け入れた硬貨の正否を識別する。収納部4は、識別部3が正常であるとした硬貨(正常硬貨、正貨)を収納する。搬送部5は、受入部2から識別部3を経て収納部4まで硬貨を搬送する。リジェクト部6は、識別部3が正常でないとした硬貨(異常硬貨)を搬送部5から落下させて除く。払出部7は、釣銭としての硬貨を収納部4から外部へと払い出す。リジェクト受皿8は、リジェクト部6により除かれた異常硬貨が排出される先である。
【0010】
搬送部5は、搬送面51と搬送ベルト52とを有している。搬送面51は、金属板の一平面で、硬貨を下面から支える。搬送ベルト52は、エンドレスベルトであって、一対のプーリ(不図示)によって所定の張力で張られて搬送面51上に配され、一方のプーリが駆動されることによって回転する。該搬送ベルト52は、搬送面51上の硬貨の上面に接して回転することによって、硬貨を搬送面51に沿って滑らせて収納部4へと搬送する。
【0011】
硬貨釣銭機1は、リジェクト搬送部9をさらに備えている。図3は、受入部2、識別部3、搬送部5、リジェクト部6、およびリジェクト搬送部9、の位置関係を示す斜視図である。図4は、同じく上記各部の位置関係を示す縦断右側面図である。
【0012】
リジェクト部6は、搬送面51に形成された孔61と、孔61を開閉する開閉部(不図示)とを有し、識別部3の出力に基づいて開閉部に孔61を開閉させることにより、搬送部5から異常硬貨を除く。
【0013】
リジェクト搬送部9は、孔61の下からリジェクト受皿8まで、異常硬貨を搬送する。リジェクト搬送部9は、リジェクトベルト91と、カバー92とを有している。
【0014】
リジェクトベルト91は、エンドレスベルトであって、一対のプーリ93に架け渡され、複数のテンションローラ94により所定の張力に調節され、モータ(不図示)の駆動力が付与されて、回転駆動される。ここで、プーリ93、テンションローラ94、モータなどにより、駆動部95(図6)が構成される。なお、リジェクトベルト91は、駆動部95により、リジェクト受皿8へ異常硬貨を搬送する正転だけでなく、反対向きの逆転も可能である。
【0015】
リジェクトベルト91による異常硬貨の搬送速度は、搬送ベルト52の硬貨の搬送速度よりも速く設定されている。つまり、リジェクト搬送部9は、搬送部5よりも速い速度で、異常硬貨の搬送を行う。
【0016】
カバー92は、末広がりのスカート状の囲いであって、孔61とリジェクトベルト91との間に位置する。カバー92の上縁は、リジェクト部6が異常硬貨を落下させる位置すなわち孔61の周りを囲む。カバー92の下縁は、リジェクトベルト91上に位置する。このようなカバー92は、孔61からリジェクトベルト91上に落下した異常硬貨を、リジェクトベルト91上から滑落させず、リジェクトベルト91上に保つ。
【0017】
カバー92の下縁のリジェクト搬送方向下流側の部分には、スリット92aが設けられている。スリット92aは、カバー92の内外を連通させ、このスリット92aにより、孔61からカバー92内に落下した異常硬貨が、カバー92内からカバー92外へ通り抜け可能となっている。
【0018】
スリット92aの高さの説明に先立ち、ここで、受入部2の説明を追加する。受入部2は、分離部22をさらに備えている。分離部22は、取込ベルト221とリバースローラ222とを有している。
【0019】
取込ベルト221は、受入部2の底であり、開口21が受け入れた硬貨を受け止める。また、取込ベルト221は、エンドレスベルトであって、一対のプーリ223に所定の張力で架け渡され、回転駆動されることにより、硬貨を搬送部5方向へ移動させる。
【0020】
リバースローラ222は、取込ベルト221の上面に所定間隔の隙間gをあけて対向し、また、取込ベルト221の終端寄りつまり搬送部5寄りに位置する。ここで、上記隙間gの寸法は、厚さ最大硬貨の厚さ程度である。
【0021】
そして、リバースローラ222は、取込ベルト221の回転方向と同方向に回転し、リバースローラ222の取込ベルト221に対向する部分は、取込ベルト221の上面が移動する方向と逆向きに動く。
【0022】
これにより、取込ベルト221上に堆積した硬貨が1枚ずつ分離され、搬送部5および識別部3へ向けて排出される。このとき、厚さまたは変形が過度の異常硬貨は、受入部2内に残される。厚さが過度の異常硬貨としては、例えば、ゲームのメダルや、他国の硬貨など自国の硬貨よりも厚いものがある。変形が過度の異常硬貨は、変形により、上記隙間gを通り抜けられない高さとなった硬貨である。
【0023】
ここで、変形硬貨でも、リバースローラ222の表面の曲率に合致する変形程度であって、リバースローラ222の表面に巻き付くような方向で搬送されてきた場合には、隙間gを通り抜け可能となる。図5は、リバースローラ222の表面の曲率に合致する形に変形した異常硬貨が隙間gを通り抜ける様子を説明する図である。したがって、分離部22が排出する可能性がある異常硬貨の最大高さHは、厚さ最大硬貨がリバースローラ222の表面の曲率程度に変形した場合の高さである。
【0024】
ただし、実際に、リバースローラ222の表面の曲率程度に大きく変形した異常硬貨が隙間gを通り抜ける可能性は、高くないと考えられる。その理由は、上述したようにリバースローラ222の取込ベルト221に対向する部分が取込ベルト221上面の移動方向と逆向きに動いている上、取込ベルト221と異常硬貨との接触面積よりもリバースローラ222と異常硬貨との接触面積の方が大きくなるために、異常硬貨はリバースローラ222からの力をより受けて戻される、と考えられるからである。
【0025】
スリット92aは、高さ寸法が、上述の分離部22が排出する可能性がある異常硬貨の最大高さHよりも、やや高い程度に設定されている。言い換えると、スリット92aの高さは、最大高さHまでの異常硬貨を排出可能な高さに設定されている。このようなスリット92aは、リジェクトベルト91上に重ならずに寝かせられた状態の異常硬貨を、カバー92外へと出す。
【0026】
カバー92は、末広がりの形状であるので、異常硬貨搬送方向の上流側の内壁面である前壁面92bおよび下流側の内壁面である後壁面92cが、カバー92の内側へ傾いている。言い換えると、前壁面92bおよび後壁面92cとリジェクトベルト91の上面との間の角が、いずれも鋭角になっている。
【0027】
そして、カバー92の内壁面のうち、前壁面92bおよび後壁面92c以外の部分である一対の側壁面92dには、硬貨検知部96が配されている。硬貨検知部96は、例えば光センサによって実現され、異常硬貨の存在を検知する。
【0028】
硬貨検知部96は、カバー92内のリジェクトベルト91上面から上方へ、スリット92aの高さ寸法以上かつ径最小正貨の半径寸法程度〜直径寸法未満の高さである複数個所に、設けられている。孔61から落下した異常硬貨は、稀に、リジェクトベルト91上に立った状態で、リジェクトベルト91の回転方向と逆方向に回転するなどして、立った状態を保つことがある。硬貨検知部96は、リジェクトベルト91上に立った状態を保っている異常硬貨を検知する。
【0029】
図6は、硬貨釣銭機1が備える制御系の一部の接続関係を示すブロック図である。硬貨釣銭機1は、制御部100をさらに備えている。制御部100は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)およびRAM(Random Access Memory)(いずれも不図示)等から構成される。ROMは、CPUが実行する各種プログラムや各種データを記憶するものである。RAMは、CPUが各種プログラムを実行する際に一時的にデータやプログラムを記憶するものである。このような制御部100は、プログラムに従うことにより、硬貨釣銭機1の各部を統括的に制御する。
【0030】
また、リジェクト搬送部9は、リジェクト搬送制御部90をさらに備えている。制御部100は、プログラムを実行することによりリジェクト搬送制御部90として機能する。リジェクト搬送制御部90は、硬貨検知部96の出力に基づいて駆動部95を制御する。図7は、リジェクト搬送制御部90が実行するプログラムの流れを示すフローチャートである。
【0031】
リジェクト搬送制御部90は、識別部3やリジェクト部6と制御部100との情報伝達からリジェクトの有無を判断する(ステップS1)。リジェクトの有無の判断は、識別部3による正貨か異常硬貨かの識別結果でもよいし、リジェクト部6の開閉部の作動状態であってもよい。リジェクト搬送制御部90は、ステップS1で、リジェクトがあるまで待機し(ステップS1のNo)、リジェクトがあったと判断すると(ステップS1のYes)、駆動部95によりリジェクトベルト91を正転させる(ステップS2)。これにより、リジェクト部6が孔61から落下させた異常硬貨が、リジェクト受皿8へと搬送される。
【0032】
リジェクトベルト91の正転中に、硬貨検知部96が、所定時間以上継続的に異常硬貨の存在を検知した場合(ステップS3のYes)には、カバー92内で、異常硬貨が立った状態を保っていると考えられる。そこで、リジェクト搬送制御部90は、リジェクトベルト91を逆転させる(ステップS4)。これにより、リジェクトベルト91上で立った状態を保っていた異常硬貨は、バランスをくずすか、後壁面92cにぶつかるかして、リジェクトベルト91上に倒れて寝かせられた状態となる。
【0033】
リジェクト搬送制御部90は、リジェクトベルト91の逆転中に、硬貨検知部96が、異常硬貨の存在を継続的に検知しなくなるまで(ステップS5のYes)、リジェクトベルト91の逆転を続ける。そして、リジェクト搬送制御部90は、ステップS5で、硬貨検知部96が、異常硬貨の存在を継続的に検知しなくなると(ステップS5のNo)、ステップS2に戻り、リジェクトベルト91を正転させる。
【0034】
ステップS3で、硬貨検知部96が、異常硬貨を継続的に検知しない場合(ステップS3のNo)には、リジェクト搬送制御部90は、孔61から落下した異常硬貨がリジェクト受皿8へ至るに十分な時間が経過したところで、リジェクトベルト91の正転を停止して(ステップS6)、処理を終える。
【0035】
このような構成において、硬貨釣銭機1は、受入部2が外部から硬貨を受け入れて内部へ取り込むと、搬送部5が、識別部3を経て収納部4へ、硬貨を搬送する。また、硬貨釣銭機1は、払出部7により、釣銭としての硬貨を収納部4から外部へ払い出す。
【0036】
識別部3が、硬貨を正常でないと識別した異常硬貨は、リジェクト部6が、所定のタイミングで、孔61から落下させて搬送部5から取り除く。ここで、所定のタイミングとは、例えば搬送部5の搬送速度と識別部3からリジェクト部6までの距離から算出できる時間に基づくタイミングである。
【0037】
孔61から落下した異常硬貨は、カバー92内のリジェクトベルト91上に落ちる。リジェクトベルト91による異常硬貨の搬送速度が、搬送ベルト52による硬貨の搬送速度よりも速いので、例え異常硬貨のリジェクトが立て続けにあったとしても、カバー92内で、異常硬貨が重ならない。また、孔61から落下した異常硬貨がカバー92内でリジェクトベルト91上に立ったとしても、リジェクトベルト91が逆転されることにより異常硬貨が寝かせられる。よって、異常硬貨はリジェクトベルト91上に重ならずに寝かせられた状態でスリット92aから出る。そして、異常硬貨は、リジェクトベルト91によりリジェクト受皿8まで搬送される。
【0038】
このように、本実施形態によれば、異常硬貨の搬送にエンドレスベルトであるリジェクトベルト91を用いても、カバー92が設けられていることにより、リジェクトベルト91上に落下した異常硬貨がリジェクトベルト91外へ散乱することがなく、また、異常硬貨がリジェクトベルト91上面から滑り落ちて装置内部に詰まるなどの不都合の発生を防止できる。
【0039】
さらに、本実施形態によれば、カバー92が末広がりの形状であるので、カバー92内壁に異常硬貨が立て掛けられて留まるおそれが少ない。
【0040】
なお、本実施形態では、リジェクト受皿8をリジェクト先の一例とし、異常硬貨を装置外部へ排出するようにしているが、実施にあたっては、異常硬貨を装置内部に保管するように構成してもよい。
【0041】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0042】
1…硬貨釣銭機、
2…受入部、21…開口、22…分離部、
221…取込ベルト、222…リバースローラ、223…プーリ、
3…識別部、
4…収納部、
5…搬送部、51…搬送面、52…搬送ベルト、
6…リジェクト部、61…孔、
7…払出部、
8…リジェクト受皿、
9…リジェクト搬送部、
91…リジェクトベルト、92…カバー、93…プーリ、94…テンションローラ、
92a…スリット、92b…前壁面、92c…後壁面、92d…側壁面、
100…制御部、90…リジェクト搬送制御部、95…駆動部、96…硬貨検知部。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0043】
【特許文献1】特開2004−302520号公報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7