特許第5791696号(P5791696)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5791696インクジェットダイレクト製版用インクおよびその調製方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5791696
(24)【登録日】2015年8月14日
(45)【発行日】2015年10月7日
(54)【発明の名称】インクジェットダイレクト製版用インクおよびその調製方法
(51)【国際特許分類】
   C09D 11/36 20140101AFI20150917BHJP
【FI】
   C09D11/36
【請求項の数】5
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2013-500304(P2013-500304)
(86)(22)【出願日】2010年9月15日
(65)【公表番号】特表2013-525513(P2013-525513A)
(43)【公表日】2013年6月20日
(86)【国際出願番号】CN2010076794
(87)【国際公開番号】WO2011116590
(87)【国際公開日】20110929
【審査請求日】2012年10月3日
(31)【優先権主張番号】201010130875.5
(32)【優先日】2010年3月22日
(33)【優先権主張国】CN
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】506281853
【氏名又は名称】中国科学院化学研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100121603
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 元昭
(72)【発明者】
【氏名】李 會玲
(72)【発明者】
【氏名】李 剛
(72)【発明者】
【氏名】宋 延林
【審査官】 松波 由美子
(56)【参考文献】
【文献】 中国特許出願公開第101063014(CN,A)
【文献】 中国特許第100562804(CN,C)
【文献】 中国特許出願公開第1789347(CN,A)
【文献】 国際公開第2010/021186(WO,A1)
【文献】 特開2008−081651(JP,A)
【文献】 特開2008−075017(JP,A)
【文献】 特開2009−249578(JP,A)
【文献】 特開2008−239790(JP,A)
【文献】 特開平08−324145(JP,A)
【文献】 特開2008−230023(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09D 11/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
製版プレートの画像解像度の向上に役立つインクジェットダイレクト製版用インクであって、前記インクの全質量に対する質量%で計算した場合に、
架橋性樹脂:10%〜30%と、
低沸点溶剤:10%〜35%と、
高沸点貧溶剤:5%〜30%と、
バルク溶剤:5%〜75%と、
を含み、
前記架橋性樹脂は、エポキシ樹脂、フェノール樹脂およびシリコーン樹脂からなる群より選択される少なくとも1種であり、
前記低沸点溶剤は、100℃未満の沸点を有する溶剤であり、
前記高沸点貧溶剤は、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートであり、
前記バルク溶剤は、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、シクロヘキサノン、ジエチレングリコールモノエチルエーテルおよびプロピレングリコールモノメチルエーテルプロピオネートからなる群より選択される少なくとも1種である
インク。
【請求項2】
前記低沸点溶剤がエタノール、ジエチルエーテルおよび酢酸エチルからなる群より選択される少なくとも1種である、画像解像度の向上に役立つ
請求項1に記載のインクジェットダイレクト製版用インク。
【請求項3】
画像解像度の向上に役立つ請求項1または2に記載のインクジェットダイレクト製版用インクの調製方法であって、
前記インクの全質量に対する質量%で計算した場合に、架橋性樹脂10%〜30%と、低沸点溶剤10%〜35%と、高沸点貧溶剤5%〜30%と、バルク溶剤5%〜75%とを混合して室温で攪拌することにより混合物を生成する工程と;
前記架橋性樹脂が完全に溶解した後に、ジルコニウムボールを前記混合物に加えてボールミル粉砕を行う工程と;
砂芯漏斗を用いた多段階濾過を行ってボールミル粉砕によって得られた液体中の不溶物質および/または不純物を除去することにより、第1の濾液を得る工程と;
その後、孔径0.22μmの濾膜を用いて前記第1の濾液を濾過することにより、前記第1の濾液中の微細な不溶物質および/または不純物をさらに除去し、それによって前記インクである第2の濾液を得る工程とを含み;
前記架橋性樹脂は、エポキシ樹脂、フェノール樹脂およびシリコーン樹脂からなる群より選択される少なくとも1種であり、
前記低沸点溶剤は、100℃未満の沸点を有する溶剤であり、
前記高沸点貧溶剤は、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートであり、
前記バルク溶剤は、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、シクロヘキサノン、ジエチレングリコールモノエチルエーテルおよびプロピレングリコールモノメチルエーテルプロピオネートからなる群より選択される少なくとも1種である
インクジェットダイレクト製版用インクの調製方法。
【請求項4】
前記低沸点溶剤がエタノール、ジエチルエーテルおよび酢酸エチルからなる群より選択される少なくとも1種である
請求項3に記載のインクジェットダイレクト製版用インクの調製方法。
【請求項5】
前記室温で攪拌する期間が8〜12時間の範囲である
請求項3に記載のインクジェットダイレクト製版用インクの調製方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクの分野および画像解像度の向上に役立つインクに関し、特に、インクジェットダイレクト製版(computer−to−plate(CTP))技術でのダイレクト印刷によって製版プレートを作成するのに用いられて画像解像度の向上に役立つインクおよびその調製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェットCTP技術は、インクジェット印刷装置を用いて基板上に直接画像を印刷するために用いられる技術である。
インクジェットCTP技術は、レーザ画像形成技術および感熱画像形成技術に比べて、インクジェットプリンタのスプレーノズルの孔サイズに起因して解像度に限界があり画質が劣るという主要な欠点がある。
現在、CTPには2つの方法がある。
一方の方法は、ブランク基板に直接インクを吹き付けて画像を形成する方法であり、これは安価で簡便である。
この方法で用いられるインクは、水溶性インク溶液、熱硬化性インク、または紫外線(UV)硬化型インクであり得る。
しかし製造された製版プレートの印刷耐性は10,000または20,000枚であり、画質および解像度は比較的低い(133LPIより低く、そのため画像形成解像度および画質に対する要求が高くない分野、例えば新聞印刷業界などでしか適用できない)。
他方の方法は、マスキング状態でポジティブPS製版プレートにインクを吹き付ける方法であり、感光コーティングは化学分解性または光重合性であり得る。
ネガディブ製版プレートは省略できる。
しかしそれでも露光および現像は必要であり、印刷条件はすべて従来のPS印刷の条件に類似である。
そのため、プロセスは複雑であり、消耗材料のコストは高い。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、インクジェットダイレクト製版に用いられて製版プレートの画像解像度の向上に役立つインクを提供することである。
処理前のアルミニウム基板(例えば中国特許出願第200610011259.1号(CN100460327C)に記載のアルミニウム基板)または市販の陽極酸化アルミニウム基板に印刷するために該インクを用いて製版プレートを作成することができる。
作成した製版プレートは高い印刷耐性と高い解像度とを有する。
このように本発明は、現行のインクジェットCTPプロセスの欠点を克服し、インクジェットCTPの開発および応用を制限している問題を解決する。
【0004】
本発明の別の目的は、インクジェットダイレクト製版に用いられて製版プレートの画像解像度の向上に役立つインクの調製方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者は、現行のインクジェットCTPプロセスにおける低画質の主な原因は以下であることを発見した。
処理前のアルミニウム基板(中国特許出願第200610011259.1号参照)と市販の陽極酸化アルミニウム基板は共に高い固有表面エネルギーを有しており、その結果、無機溶剤と有機溶剤とが共に上記2種類の基板の表面上で容易に広がり浸透し得る。
そのため、通常のインクは上記2種類の基板の表面上で大きく拡散し、インクが表面に吹き付けられた場合に低画質となる。
非浸透現象は、液体−固体界面または液体−液体界面において固体と液体の表面張力が異なること、または液体と液体の表面張力が異なることによって、浸透が起こらないという現象である。
非浸透現象は具体的には、固体表面上の液体が収縮して液滴になること、または液体が別の液体の表面上で有効に広がることができず、そのために当該別の液体の表面上で液滴として存在することを意味する。
本発明は、非浸透現象を利用して、上記アルミニウム基板の表面上に高解像度画像を生成する。
具体的には、本発明のインクがインクジェットプリンタのスプレーノズルからアルミニウム基板の表面に印刷された後、インク中の、高沸点貧溶剤と低沸点溶剤および/またはバルク溶剤との液体−液体界面における界面張力が、低沸点溶剤が蒸発するにつれて変化する。
これにより、低沸点溶剤および/またはバルク溶剤の系と高沸点貧溶剤との界面で非浸透が起こる。
溶解した架橋性樹脂を含む低沸点溶剤および/またはバルク溶剤の系は収縮してアルミニウム基板の表面上に小さいインクドットを形成する。
これにより、高解像度画像を形成される。
高沸点貧溶剤は、熱効果プロセス中に完全に蒸発するため、その後の印刷プロセスには影響を与えない。
印刷画像のない空白部分は湿し水として作用する水で直接湿らせ、これにより基板の汚染を効果的に防ぎ、材料節約と環境保護の要件を満たす。
アルミニウム基板の表面に対する、本出願のインクの非浸透プロセスを図1に示す。
【0006】
本出願のインクは、インクジェットダイレクト製版に用いられて画像解像度の向上に役立つものであり、少なくとも1種類の架橋性樹脂と混合溶剤とによって生成される。
インクジェットプリンタを用いて、特殊処理したアルミニウム基板(中国特許出願第200610011259.1号参照)または市販の陽極酸化アルミニウム基板に上記インクを印刷することにより、印刷画像を形成することができる。
この画像は、これにより、硬化後、高解像度画像が形成される。
得られた製版プレートは印刷に直接用いることができ、後処理なしで高質インクジェットCTP製版プレートが得られる。
【0007】
本発明の第1の目的は、インクジェットダイレクト製版プロセスに用いられて画像解像度の向上に役立つインクを提供することである。
当該インクは、インクの全質量に対する質量%で計算した場合に、
架橋性樹脂:10%〜30%と、
低沸点溶剤:10%〜35%と、
高沸点貧溶剤:5%〜30%と、
バルク溶剤:5%〜75%と、
を含む。
【0008】
架橋性樹脂は、エポキシ樹脂、フェノール樹脂およびシリコーン樹脂などからなる群より選択される少なくとも1種である。
これらの種類の樹脂は、一般的なインク成分であり市販されている。
これらの種類の樹脂は、熱硬化性、すなわち、特定の温度以上でのみ硬化する樹脂である。
インクはインクジェットプロセスでは硬化せず、従ってインクジェットプリンタの印刷ノズルが詰まることはない。
【0009】
低沸点溶剤は、100℃未満の沸点を有する溶剤であり、そのため高度に蒸発性である。
低沸点溶剤は例えば、エタノール、ジエチルエーテルおよび酢酸エチルなどからなる群より選択される少なくとも1種であり得る。
【0010】
高沸点貧溶剤は、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートである。
高沸点貧溶剤は、低沸点溶剤および/またはバルク溶剤と混合して安定した分散系を形成することができ、インク系の希釈剤として用いられる。
【0011】
バルク溶剤は、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、シクロヘキサノン、ジエチレングリコールモノエチルエーテルおよびプロピレングリコールモノメチルエーテルプロピオネートなどからなる群より選択される少なくとも1種である。
【0012】
本発明が提供するインクは、好ましくは、インクを調製するための混合液中の不溶物質および/または不純物を多段階濾過によって除去することによって得られた濾液である。
【0013】
本発明の第2の目的は、画像解像度の向上に役立つインクジェットダイレクト製版用インクの調製方法を提供することである。
当該方法は、インクの全質量に対する質量%で計算した場合に、架橋性樹脂10%〜30%と、低沸点溶剤10%〜35%と、高沸点貧溶剤5%〜30%と、バルク溶剤5%〜75%とを混合して室温で(好ましくは8〜12時間)攪拌することにより混合物を生成する工程と;架橋性樹脂が完全に溶解した後に、ジルコニウムボールを混合物に加えてボールミル粉砕を(通常20〜30時間)行う工程と;砂芯漏斗を用いた多段階濾過を行ってボールミル粉砕によって得られた液体中の不溶物質および/または不純物を除去することにより、第1の濾液を得る工程と;その後、孔径0.22μmの濾膜を用いて第1の濾液を濾過することにより、ボールミル粉砕によって得られた液体中の微細な不溶物質および/または不純物をさらに除去し、それによって本発明に記載されたインクである第2の濾液を得る工程とを含む。
【0014】
本発明のインク中の架橋性樹脂は良好な親脂性および熱硬化性を有している。
高沸点貧溶剤は、非常にゆっくりと蒸発する特徴を有しており、これによりインクが蒸発によって急速に乾燥しないことが保証される。
バルク溶剤は、インクジェットプリンタの基準を満たし且つインクジェット印刷用インクの工業的基準(QB/T2730.1−2005)を実質的に満たす基本的物理特性を有している。
調製されたインクは、適度な拡散性、製版プレートの高解像度、インクによるマークの高い親脂性、高い印字速度、高い耐久性などの特徴を有する。
【0015】
上記インクをアルミニウム基板に印刷し、130℃で20分間硬化させると、印刷に直接用いることができる高解像度の製版プレートが得られる。
他の化学処理は不要である。
【0016】
インクジェットCTP7600システム(中国特許出願第200510132248.4号(CN1800982A)、名称「Inkjet Imaging Based Computer−to−Plate Method and Apparatus(「インクジェット画像形成に基づくダイレクト製版方法および装置)」参照)に上記インクを用いた場合、得られた製版プレートは、98%のスクリーンドット再現性および175LPIまでの解像度を達成することができる。
印刷結果は、印字速度が高く、スクリーンドットの情報は完全で、耐久性はおよび50,000枚以上であることを示している。
【発明の効果】
【0017】
インクジェットダイレクト製版プロセスに用いられて画像解像度の向上に役立つ本発明のインクは、インクジェットプリンタを用いて処理済みアルミニウム基板または市販の陽極酸化アルミニウム基板の表面に印刷された場合に、高解像度の印刷画像を形成することができる。
その後、作成された製版プレートは硬化後、後処理なしで印刷に直接用いることができる。
従ってインクは高質インクジェットCTP製版プレートを得るために用いることができ、画像の高解像度を達成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1図1は、アルミニウム基板の表面上における、本発明の実施例1によるインクの非浸透プロセスのCCD画像を示し、画像中の点線で囲まれた領域はアルミニウム基板の表面上でインクが収縮した部分の境界を示す;aはアルミニウム基板の表面にインクが滴下されてから5秒後のインクの境界を示し、bはアルミニウム基板の表面にインクが滴下されてから10秒後のインクの境界を示し、cはアルミニウム基板の表面にインクが滴下されてから20秒後のインクの境界を示し、dはアルミニウム基板の表面にインクが滴下されてから30秒後のインクの境界を示す。
図2図2は、アルミニウム基板の表面上における、本発明の実施例2によるインクの非浸透プロセスの上面を示し、左側の図は、アルミニウム基板の表面にインクが滴下されたときのインク滴を示し、右側の図は、アルミニウム基板の表面にインクが滴下されてから2分後のインク滴の形状を示す;写真撮影および観察の便宜上、インク溶液の全量に対して1質量%の青色染料を添加しているが、実際の適用では染料は添加しない。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下の実施例において、アルミニウム基板の表面上におけるインクの非浸透プロセスのCCD画像を、接触角度測定器(OCA20、ドイツ、Beijing Eastern Data Physics Instrument Co., Ltd.)で観察し記録する。
アルミニウム基板の表面上におけるインクの非浸透プロセスの上面をカメラ(Canon S450、日本、Cannon Co.)を用いて撮影する。
この際、カメラとアルミニウム基板との間の距離は固定しておく。
【実施例】
【0020】
実施例1
インクの全質量に対する質量%として測定した場合に、フェノール樹脂(Liaoning Ruishida Co., Ltd.からの製品)10%、エタノール10%、エチレングリコール5%、およびエチレングリコールモノメチルエーテル75%を混合し、混合物を室温で8時間攪拌する。
樹脂が完全に溶解した後に、ジルコニウムボールを加えてボールミル粉砕を24時間行う。
ボールミル粉砕によって得られた液体を砂芯漏斗を用いた多段階濾過によって濾過することにより、不溶物質および/または不純物を除去する。
その後、孔径0.22μmの濾膜を用いてさらに濾過することにより、微細な不溶物質および/または不純物を除去して濾液を得る。
この濾液が、インクダイレクト製版に用いられて画像解像度の向上に役立つインクである。
【0021】
実施例1で調製したインクを3μl取って市販の陽極酸化アルミニウム基板の表面上に滴下する。
接触角測定器を用いた観察により、時間の経過と共に、図1に示すようにインクとアルミニウム基板との間の三相接触線が収縮することがわかる。
【0022】
上記インクをインクジェットCTP7600システムで用いると、作成した製版プレートは、98%以上のスクリーンドット再現性、175LPIまでの解像度、および50,000枚以上の耐久性を達成することができる。
【0023】
実施例2
インクの全質量に対する質量%として測定した場合に、シリコーン樹脂(Xinchuan Chemical (Tianjin)Co., Ltd.からの製品)30%、酢酸エチル30%、プロピレングリコール10%、およびエチレングリコールモノメチルエーテル30%を混合し、混合物を室温で12時間攪拌する。
樹脂が完全に溶解した後に、ジルコニウムボールを加えてボールミル粉砕を24時間行う。
ボールミル粉砕によって得られた液体を砂芯漏斗を用いた多段階濾過によって濾過することにより、不溶物質および/または不純物を除去する。
その後、孔径0.22μmの濾膜を用いてさらに濾過することにより、微細な不溶物質および/または不純物を除去して濾液を得る。
この濾液が、インクダイレクト製版に用いられて画像解像度の向上に役立つインクである。
【0024】
実施例2で調製したインク3gに青色染料0.003gを添加し、混合物をシェイクして均質にする。
その後、得られたインク混合物3μlをアルミニウム基板の表面上に滴下する。
非浸透プロセスを観察し、図2に示す非浸透プロセス中の上面をカメラで記録する。
【0025】
上記インクをインクジェットCTP7600システムで用いると、作成した製版プレートは、98%以上のスクリーンドット再現性、175LPIまでの解像度、および50,000枚以上の耐久性を達成することができる。
【0026】
実施例3
インクの全質量に対する質量%として測定した場合に、フェノール樹脂とシリコーン樹脂との混合物20%(フェノール樹脂とシリコーン樹脂とは質量比1:1で混合する)、ジエチルエーテル30%、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート30%、およびエチレングリコールモノメチルエーテル25%を混合し、混合物を室温で10時間攪拌する。
樹脂が完全に溶解した後に、ジルコニウムボールを加えてボールミル粉砕を24時間行う。
ボールミル粉砕によって得られた液体を砂芯漏斗を用いた多段階濾過によって濾過することにより、不溶物質および/または不純物を除去する。
その後、孔径0.22μmの濾膜を用いてさらに濾過することにより、微細な不溶物質および/または不純物を除去して濾液を得る。
この濾液が、インクダイレクト製版プロセスに用いられて画像解像度の向上に役立つインクである。
【0027】
上記インクをインクジェットCTP7600システムで用いると、作成した製版プレートは、98%以上のスクリーンドット再現性、175LPIまでの解像度、および50,000枚以上の耐久性を達成することができる。
【0028】
実施例4
インクの全質量に対する質量%として測定した場合に、エポキシ樹脂(South Asia Epoxy Resin (Kunshan) Co., Ltd.からの製品)15%、酢酸エチルとジエチルエーテルとの混合物35%(酢酸エチルとジエチルエーテルとは質量比2:3で混合する)、エチレングリコール5%、およびシクロヘキサノン45%を混合し、混合物を室温で8時間攪拌する。
樹脂が完全に溶解した後に、ジルコニウムボールを加えてボールミル粉砕を24時間行う。
ボールミル粉砕によって得られた液体を砂芯漏斗を用いた多段階濾過によって濾過することにより、不溶物質および/または不純物を除去する。
その後、孔径0.22μmの濾膜を用いてさらに濾過することにより、微細な不溶物質および/または不純物を除去して濾液を得る。
この濾液が、インクダイレクト製版プロセスに用いられて画像解像度の向上に役立つインクである。
【0029】
上記インクをインクジェットCTP7600システムで用いると、作成した製版プレートは、98%以上のスクリーンドット再現性、175LPIまでの解像度、および50,000枚以上の耐久性を達成することができる。
【0030】
実施例5
インクの全質量に対する質量%として測定した場合に、フェノール樹脂とエポキシ樹脂との混合物10%(フェノール樹脂とエポキシ樹脂とは質量比4:1で混合する)、エタノールと酢酸エチルとジエチルエーテルとの混合物10%(エタノールと酢酸エチルとジエチルエーテルとは質量比5:2:3で混合する)、エチレングリコール10%、およびエチレングリコールモノメチルエーテル70%を混合し、混合物を室温で12時間攪拌する。
樹脂が完全に溶解した後に、ジルコニウムボールを加えてボールミル粉砕を24時間行う。
ボールミル粉砕によって得られた液体を砂芯漏斗を用いた多段階濾過によって濾過することにより、不溶物質および/または不純物を除去する。
その後、孔径0.22μmの濾膜を用いてさらに濾過することにより、微細な不溶物質および/または不純物を除去して濾液を得る。
この濾液が、インクダイレクト製版プロセスに用いられて画像解像度の向上に役立つインクである。
【0031】
上記インクをインクジェットCTP7600システムで用いると、作成した製版プレートは、98%以上のスクリーンドット再現性、175LPIまでの解像度、および50,000枚以上の耐久性を達成することができる。
【0032】
実施例6
インクの全質量に対する質量%として測定した場合に、シリコーン樹脂とエポキシ樹脂との混合物10%(シリコーン樹脂とエポキシ樹脂とは質量比2:3で混合する)、エタノール10%、プロピレングリコール10%、およびエチレングリコールモノメチルエーテル70%を混合し、混合物を室温で12時間攪拌する。
樹脂が完全に溶解した後に、ジルコニウムボールを加えてボールミル粉砕を24時間行う。
ボールミル粉砕によって得られた液体を砂芯漏斗を用いた多段階濾過によって濾過することにより、不溶物質および/または不純物を除去する。
その後、孔径0.22μmの濾膜を用いてさらに濾過することにより、微細な不溶物質および/または不純物を除去して濾液を得る。
この濾液が、インクダイレクト製版プロセスに用いられて画像解像度の向上に役立つインクである。
【0033】
上記インクをインクジェットCTP7600システムで用いると、作成した製版プレートは、98%以上のスクリーンドット再現性、175LPIまでの解像度、および50,000枚以上の耐久性を達成することができる。
【0034】
実施例7
インクの全質量に対する質量%として測定した場合に、エポキシ樹脂10%、ジエチルエーテル25%、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート30%、およびシクロヘキサノン35%を混合し、混合物を室温で8時間攪拌する。
樹脂が完全に溶解した後に、ジルコニウムボールを加えてボールミル粉砕を20時間行う。
ボールミル粉砕によって得られた液体を砂芯漏斗を用いた多段階濾過によって濾過することにより、不溶物質および/または不純物を除去する。
その後、孔径0.22μmの濾膜を用いてさらに濾過することにより、微細な不溶物質および/または不純物を除去して濾液を得る。
この濾液が、インクダイレクト製版プロセスに用いられて画像解像度の向上に役立つインクである。
【0035】
上記インクをインクジェットCTP7600システムで用いると、作成した製版プレートは、98%以上のスクリーンドット再現性、175LPIまでの解像度、および50,000枚以上の耐久性を達成することができる。
【0036】
実施例8
インクの全質量に対する質量%として測定した場合に、フェノール樹脂とエポキシ樹脂との混合物10%(フェノール樹脂とエポキシ樹脂とは質量比2:3で混合する)、酢酸エチル10%、エチレングリコールとプロピレングリコールとの混合物10%(エチレングリコールとプロピレングリコールとは質量比2:3で混合する)、およびエチレングリコールモノメチルエーテル70%を混合し、混合物を室温で12時間攪拌する。
樹脂が完全に溶解した後に、ジルコニウムボールを加えてボールミル粉砕を24時間行う。
ボールミル粉砕によって得られた液体を砂芯漏斗を用いた多段階濾過によって濾過することにより、不溶物質および/または不純物を除去する。
その後、孔径0.22μmの濾膜を用いてさらに濾過することにより、微細な不溶物質および/または不純物を除去して濾液を得る。
この濾液が、インクダイレクト製版プロセスに用いられて画像解像度の向上に役立つインクである。
【0037】
上記インクをインクジェットCTP7600システムで用いると、作成した製版プレートは、98%以上のスクリーンドット再現性、175LPIまでの解像度、および50,000枚以上の耐久性を達成することができる。
【0038】
実施例9
インクの全質量に対する質量%として測定した場合に、フェノール樹脂とエポキシ樹脂との混合物15%(フェノール樹脂とエポキシ樹脂とは質量比5:5で混合する)、酢酸エチル10%、プロピレングリコールとジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートとの混合物10%(プロピレングリコールとジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートとは質量比1:4で混合する)、およびプロピレングリコールモノメチルプロピオネート65%を混合し、混合物を室温で12時間攪拌する。
樹脂が完全に溶解した後に、ジルコニウムボールを加えてボールミル粉砕を24時間行う。
ボールミル粉砕によって得られた液体を砂芯漏斗を用いた多段階濾過によって濾過することにより、不溶物質および/または不純物を除去する。
その後、孔径0.22μmの濾膜を用いてさらに濾過することにより、微細な不溶物質および/または不純物を除去して濾液を得る。
この濾液が、インクダイレクト製版プロセスに用いられて画像解像度の向上に役立つインクである。
【0039】
上記インクをインクジェットCTP7600システムで用いると、作成した製版プレートは、98%以上のスクリーンドット再現性、175LPIまでの解像度、および50,000枚以上の耐久性を達成することができる。
【0040】
実施例10
インクの全質量に対する質量%として測定した場合に、フェノール樹脂30%、酢酸エチル20%、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート20%、およびエチレングリコールモノエチルエーテルとシクロヘキサノンとの混合物30%(エチレングリコールモノエチルエーテルとシクロヘキサノンとは質量比9:1で混合する)を混合し、混合物を室温で12時間攪拌する。
樹脂が完全に溶解した後に、ジルコニウムボールを加えてボールミル粉砕を24時間行う。
ボールミル粉砕によって得られた液体を砂芯漏斗を用いた多段階濾過によって濾過することにより、不溶物質および/または不純物を除去する。
その後、孔径0.22μmの濾膜を用いてさらに濾過することにより、微細な不溶物質および/または不純物を除去して濾液を得る。
この濾液が、インクダイレクト製版プロセスに用いられて画像解像度の向上に役立つインクである。
【0041】
上記インクをインクジェットCTP7600システムで用いると、作成した製版プレートは、98%以上のスクリーンドット再現性、175LPIまでの解像度、および50,000枚以上の耐久性を達成することができる。
【0042】
実施例11
インクの全質量に対する質量%として測定した場合に、フェノール樹脂30%、酢酸エチル20%、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート20%、およびジエチレングリコールモノエチルエーテルとプロピレングリコールモノメチルエーテルプロピオネートとの混合物30%(ジエチレングリコールモノエチルエーテルとプロピレングリコールモノメチルエーテルプロピオネートとは質量比5:5で混合する)を混合し、混合物を室温で12時間攪拌する。
樹脂が完全に溶解した後に、ジルコニウムボールを加えてボールミル粉砕を24時間行う。
ボールミル粉砕によって得られた液体を砂芯漏斗を用いた多段階濾過によって濾過することにより、不溶物質および/または不純物を除去する。
その後、孔径0.22μmの濾膜を用いてさらに濾過することにより、微細な不溶物質および/または不純物を除去して濾液を得る。
この濾液が、インクダイレクト製版プロセスに用いられて画像解像度の向上に役立つインクである。
【0043】
上記インクをインクジェットCTP7600システムで用いると、作成した製版プレートは、98%以上のスクリーンドット再現性、175LPIまでの解像度、および50,000枚以上の耐久性を達成することができる。
【0044】
実施例12
インクの全質量に対する質量%として測定した場合に、フェノール樹脂30%、酢酸エチル20%、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート20%、およびエチレングリコールモノエチルエーテルとシクロヘキサノンとジエチレングリコールモノエチルエーテルとプロピレングリコールモノメチルエーテルプロピオネートとの混合物30%(エチレングリコールモノエチルエーテルとシクロヘキサノンとジエチレングリコールモノエチルエーテルとプロピレングリコールモノメチルエーテルプロピオネートとは質量比2:1:2:5で混合する)を混合し、混合物を室温で12時間攪拌する。
樹脂が完全に溶解した後に、ジルコニウムボールを加えてボールミル粉砕を28時間行う。
ボールミル粉砕によって得られた液体を砂芯漏斗を用いた多段階濾過によって濾過することにより、不溶物質および/または不純物を除去する。
その後、孔径0.22μmの濾膜を用いてさらに濾過することにより、微細な不溶物質および/または不純物を除去して濾液を得る。
この濾液が、インクダイレクト製版プロセスに用いられて画像解像度の向上に役立つインクである。
【0045】
上記インクをインクジェットCTP7600システムで用いると、作成した製版プレートは、98%以上のスクリーンドット再現性、175LPIまでの解像度、および50,000枚以上の耐久性を達成することができる。
図1
図2