(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5791704
(24)【登録日】2015年8月14日
(45)【発行日】2015年10月7日
(54)【発明の名称】光ファイバー加速度計
(51)【国際特許分類】
G01P 15/093 20060101AFI20150917BHJP
【FI】
G01P15/093
【請求項の数】17
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2013-509538(P2013-509538)
(86)(22)【出願日】2011年5月10日
(65)【公表番号】特表2013-526703(P2013-526703A)
(43)【公表日】2013年6月24日
(86)【国際出願番号】EP2011057467
(87)【国際公開番号】WO2011141445
(87)【国際公開日】20111117
【審査請求日】2014年4月16日
(31)【優先権主張番号】61/333,409
(32)【優先日】2010年5月11日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】504349973
【氏名又は名称】ブリュエル アンド ケアー サウンド アンド ヴァイブレーション メジャーメント エー/エス
(74)【代理人】
【識別番号】100094112
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 讓
(74)【代理人】
【識別番号】100101498
【弁理士】
【氏名又は名称】越智 隆夫
(74)【代理人】
【識別番号】100107401
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 誠一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100120064
【弁理士】
【氏名又は名称】松井 孝夫
(74)【代理人】
【識別番号】100154162
【弁理士】
【氏名又は名称】内田 浩輔
(72)【発明者】
【氏名】アンデルセン,スーレン
(72)【発明者】
【氏名】リヒト,トルベン ラスク
【審査官】
岡田 卓弥
(56)【参考文献】
【文献】
特開2010−78489(JP,A)
【文献】
特表2004−528538(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01P15/00−15/18
G01L 1/00− 1/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光ファイバー加速度計であって、
ベース構造体と、
第1のヒンジ要素により前記ベース構造体に可動に結合されている第1の振動質量体と、
第2のヒンジ要素により前記ベース構造体に可動に結合されている第2の振動質量体と、
前記第1の振動質量体及び前記第2の振動質量体にそれぞれ第1の取着接合部及び第2の取着接合部において結合されて、前記第1の振動質量体及び前記第2の振動質量体がそれぞれ前記第1のヒンジ要素及び前記第2のヒンジ要素の回りに変位することによって変化する歪を受ける、光ファイバーと、
を備える、光ファイバー加速度計。
【請求項2】
前記第1のヒンジ要素及び前記第2のヒンジ要素は共通の水平面内に配置される、請求項1に記載の光ファイバー加速度計。
【請求項3】
前記第1の振動質量体の重心及び前記第2の振動質量体の重心は前記共通の水平面内に置かれる、請求項2に記載の光ファイバー加速度計。
【請求項4】
前記第1の振動質量体及び前記第2の振動質量体と、前記第1のヒンジ要素及び前記第2のヒンジ要素と、前記ベース構造体とは、同じ材料で形成される、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の光ファイバー加速度計。
【請求項5】
前記材料は、ウォルフラム、ステンレス鋼、真鍮、銅、チタン又はシリコンの群から選択される金属材料を含む、請求項4に記載の光ファイバー加速度計。
【請求項6】
前記第1の振動質量体及び前記第2の振動質量体と、前記第1のヒンジ要素及び前記第2のヒンジ要素と、前記ベース構造体とは、成形又は機械加工によって単一の中実体から作製される、請求項4又は5に記載の光ファイバー加速度計。
【請求項7】
前記第1のヒンジ要素及び前記第2のヒンジ要素はそれぞれ、前記第1の振動質量体及び前記第2の振動質量体内の、前記ベース構造体に隣接した切込み又はピンチを含む、請求項6に記載の光ファイバー加速度計。
【請求項8】
前記第1の振動質量体と前記光ファイバーに接する前記第1の取着接合部との間に延びている第1のレバーと、
前記第2の振動質量体と前記光ファイバーに接する前記第2の取着接合部との間に延びている第2のレバーと、
を備える、請求項1乃至7のいずれか一項に記載の光ファイバー加速度計。
【請求項9】
第1の距離比であって、該第1の距離比は、前記第1の振動質量体の重心と前記第1のヒンジ要素との間の距離に対する、前記光ファイバーに接する前記第1の取着接合部と前記第1のヒンジ要素との間の距離として設定される、第1の距離比は、2よりも大きい、請求項1乃至8のいずれか一項に記載の光ファイバー加速度計。
【請求項10】
前記第1の振動質量体及び前記第2の振動質量体と、前記第1のヒンジ要素及び前記第2のヒンジ要素と、前記ベース構造体とは、中央の垂直面を中心に対称に配置される、請求項1に記載の光ファイバー加速度計。
【請求項11】
前記第1の振動質量体及び前記第2の振動質量体は、前記光ファイバーに向かって前記第1のヒンジ要素及び前記第2のヒンジ要素の共通の水平面よりも上に配置され、前記ベース構造体は、前記共通の水平面よりも下に配置される、請求項1乃至10のいずれか一項に記載の光ファイバー加速度計。
【請求項12】
水平面における前記ベース構造体の最大寸法は、4mm乃至40mmである、請求項1乃至11のいずれか一項に記載の光ファイバー加速度計。
【請求項13】
8mm乃至80mmの垂直軸に沿った最大寸法を有する、請求項1乃至12のいずれか一項に記載の光ファイバー加速度計。
【請求項14】
2グラム乃至400グラムの質量を有する、請求項1乃至13のいずれか一項に記載の光ファイバー加速度計。
【請求項15】
前記光ファイバーの、前記第1の取着接合部と前記第2の取着接合部との間に延びる歪を与えられるセクションは、ファイバーブラッググレーティング(FBG)を含む、請求項1乃至14のいずれか一項に記載の光ファイバー加速度計。
【請求項16】
前記第1の振動質量体及び前記第2の振動質量体と前記第1のヒンジ要素及び前記第2のヒンジ要素とを囲むとともに外部環境に対してシールするトランスデューサーハウジングを備える、請求項1乃至15のいずれか一項に記載の光ファイバー加速度計。
【請求項17】
光ファイバー加速度計を用いて遠隔の振動構造体の加速度を検出する方法であって、
請求項1乃至16のいずれか一項に記載の光ファイバー加速度計を前記振動構造体に取着するステップと、
光伝送ファイバーを前記光ファイバー加速度計の前記光ファイバーに光学的に結合するステップと、
広帯域光源を前記光伝送ファイバーに適用するステップと、
前記光ファイバー加速度計からの反射光の波長を検出するステップと、
前記反射光の前記波長を復調することによって前記光ファイバー加速度計の加速度を求めるステップと、
を含む、光ファイバー加速度計を用いて遠隔な振動構造体の加速度を検出する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一態様では、それぞれのヒンジ要素によりベース構造体に可動に結合されている第1の振動質量体(seismic mass:サイズモ質量体)及び第2の振動質量体を備える、光ファイバー加速度計に関する。光ファイバーが、第1の振動質量体及び第2の振動質量体がそれぞれ第1のヒンジ構造体及び第2のヒンジ構造体の回りに変位することによって変化する歪を受けるように第1の振動質量体及び第2の振動質量体に結合されている。
【背景技術】
【0002】
構造振動又は加速度をロバストにリモートセンシングする光ファイバー加速度計が当該技術分野において既知である。光ファイバー加速度計は、電磁的及び機械的な干渉に対して影響を受けにくいこと、優れた多重化能力、及び接続ケーブルの延長をサポートすること等の幾つかの望ましい特性を有する。これらの特性のため、風力エネルギー、石油・ガスの探鉱、宇宙空間等のような、多くの場合に遠隔かつ過酷な環境が広がる多くの特別な用途に、光ファイバー加速度計が第一に選ばれる。
【0003】
特許文献1が、過酷な環境のための高感度加速度計を開示している。この加速度計は、ヒンジによってベースに結合されている振動質量体を含む。振動質量体は、加速度計に加えられた水平力に応答してヒンジの回りに振子運動を行う。一対の光ファイバーが、加速度計に水平力が加えられる際に歪と圧縮とを交互にかけられるようにして加速度計のベースとハウジングとの間に相互接続される。
【0004】
しかしながら、当該技術分野では、より低コストで、又は改善された動作帯域幅とダイナミックレンジのようなより高い測定精度を有するように製造することができる、改善された光ファイバー加速度計を提供することが必要とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第6,891,621号
【発明の概要】
【0006】
本発明の第1の態様によると、光ファイバー加速度計であって、
ベース構造体と、
第1のヒンジ要素によりベース構造体に可動に結合されている第1の振動質量体と、
第2のヒンジ要素によりベース構造体に可動に結合されている第2の振動質量体と、
第1の振動質量体及び第2の振動質量体にそれぞれ第1の取着接合部及び第2の取着接合部において結合されて、第1の振動質量体及び第2の振動質量体がそれぞれ第1のヒンジ構造体及び第2のヒンジ構造体の回りに変位することによって変化する歪を受ける、光ファイバーと、
を備える、光ファイバー加速度計が提供される。
【0007】
第1のヒンジ要素及び第2のヒンジ要素は、加速度に応答して第1の取着接合部及び第2に取着接合部の変位が逆方向となることを確実にする。したがって、第1の振動質量体及び第2の振動質量体は協働して、第1の振動質量体と第2の振動質量体の総計に等しい質量を有する単一の振動質量体の変位によってもたらされるのと同じ力で光ファイバーに歪を与えるか又は光ファイバーを圧縮する。しかしながら、第1の振動質量体及び第2の振動質量体の独立した動きに起因して、本光ファイバー加速度計において、より大きな動作周波数範囲につながる、より高い高周波共振を達成することができる。加えて、光ファイバー加速度計の感度は、第1の振動質量体及び第2の振動質量体が双方とも加速度に応答して光ファイバーに歪を与えるため、単一の振動質量体を有する加速度計と比較して2倍である。
【0008】
本光ファイバー加速度計は、測定された加速度を示す光学読取り機構を備えることができる。そのような一実施の形態では、光ファイバーの、第1の取着接合部と第2の取着接合部との間に延びるセクションが、ファイバーブラッググレーティング(FBG)を含む。FBGを用いて、加速度計の所定の軸に沿った加速度の測定値として光ファイバーの歪を示す。この実施の形態では、静止状態下すなわち加速度ゼロの光ファイバーに所定レベルの歪が与えられるように、光ファイバーに予め張力を与えることができる。FBGを含むファイバー領域における誘起レベルの歪は、加速度下では、瞬時の加速に従っておよそ所定レベルの歪で動的に変化する。これは、歪を与えられているファイバー領域における対応する交互のレベルの歪につながり、この歪は、FBGからの反射光の波長変化を測定することによって検出することができる。
【0009】
同様に光学読取り機構を用いる別の実施の形態は、第1の取着接合部と第2の取着接合部との間の歪が与えられるファイバー領域の外側、例えば、それらの取着接合部の両側面の外側に配置されている2つのFBGによって画定されたファブリーペロー共振器を含む。そのような干渉計ベースの光学加速度計、及び上述した単一のFBGに関して、光学検出方式は、光度、光波長、又は透過光若しくは反射光の光位相さえもの復調に依存する可能性がある。
【0010】
本光ファイバー加速度計は好ましくは、可動かつ高感度の内部構成部材を外部環境の汚染から保護するように、気密シールされたトランスデューサーハウジングにパッケージされる。分離可能であり汎用の光ファイバー加速度計を提供するために、一対の光コネクターを好都合にトランスデューサーハウジングと一体化することができる。
【0011】
一実施の形態において、第1のヒンジ要素及び第2のヒンジ要素が共通の水平面内に配置される。さらに、第1の振動質量体の重心及び第2の振動質量体の重心は好ましくは、共通の水平面内に置かれる。第1のヒンジ要素及び第2のヒンジ要素と同じ水平面内に第1の振動質量体及び第2の振動質量体のそれぞれの重心を置くことは、交差軸感度、すなわち、光ファイバー加速度計の意図した感度軸に対して垂直な方向の加速度に対する感度を低減するのに役立つ。交差軸感度のこの低減は、共通の水平面に沿った加速度に関して、ベース構造体に対する第1の振動質量体及び第2の振動質量体の変位が大幅に防止されることから達成される。
【0012】
本発明の有利な実施の形態によると、第1の振動質量体及び第2の振動質量体と、第1のヒンジ要素及び第2のヒンジ要素と、ベース構造体とが、同じ材料で形成される。第1の振動質量体及び第2の振動質量体と、第1のヒンジ要素及び第2のヒンジ要素と、ベース構造体とは、光ファイバー加速度計のコヒーレントなコアを形成するように成形することができる。第1の振動質量体及び第2の振動質量体と、第1のヒンジ要素及び第2のヒンジ要素と、ベース構造体とは代替的に、フライス加工又は切削等の機械加工処理によって単一の中実体から作製されてもよい。光ファイバー加速度計コアのコヒーレントな又は一体の構造により、費用効果的な作製・組立て方法が提供される。さらに、感度、動作周波数範囲及び寸法等の、光ファイバー加速度計の重要な性能測定基準を、第1の振動質量体及び第2の振動質量体、第1のヒンジ要素及び第2のヒンジ要素並びにベース構造体のうちの1つ又は複数の適切な寸法を単に変えることによって非常に効率的なやり方で特定の用途に合わせるか又は適合させることができる。付加的に又は代替的に、第1の振動質量体及び第2の振動質量体と、第1のヒンジ要素及び第2のヒンジ要素と、ベース構造体とを形成する材料は、重要な性能測定基準を所望の目標測定基準に適合させるように変えることができる。
【0013】
第1の振動質量体及び第2の振動質量体と、第1のヒンジ要素及び第2のヒンジ要素と、ベース構造体とは、ウォルフラム、ステンレス鋼、真鍮、銅、チタン又はシリコンの群から選択される金属等の金属材料製で提供することができる。
【0014】
本発明の一実施の形態によると、第1のヒンジ要素及び第2のヒンジ要素が、第1の振動質量体及び第2の振動質量体内の、ベースに隣接したそれぞれの切込み又はピンチを含む。これらの切込みは、従来のフライス加工又は切削技法によって効率的なやり方で作り出すことができる。さらに、これらの切込みの物理的特性を例えば幅及び/又は高さに関して変更することができ、それによって、光ファイバー加速度計の性能測定基準を迅速かつ費用効果的なやり方で特定の目標測定基準に適合させることができる。
【0015】
本発明の更に別の実施の形態によると、第1のレバーが第1の振動質量体と光ファイバーに接する第1の取着接合部との間に延びており、第2のレバーが第2の振動質量体と光ファイバーに接する第2の取着接合部との間に延びている。第1のレバー及び第2のレバーは、第1のヒンジ構造体及び第2のヒンジ構造体を中心とした第1の振動質量体及び第2の振動質量体の或る特定の変位によって第1の取着接合部と第2の取着接合部との間の光ファイバーセクションに加えられる或るレベルの歪を増大させるように歪力の増幅を提供する。歪力の増幅量は第1の距離比に応じて決まる。第1の距離比は、第1の振動質量体の重心と第1のヒンジ要素との間の距離に対する、光ファイバーに接する第1の取着接合部と第1のヒンジ要素との間の距離として設定される。この第1の距離比は、2又は3又は5よりも大きいものとすることができる。好ましくは、第2の振動質量体の重心と第2のヒンジ要素との間の距離に対する、第2の取着接合部と第2のヒンジ要素との間の距離に関する、対応する、すなわち第2の距離比は、第1の距離比と実質的に同じである。
【0016】
第1のレバー及び第2のレバーのそれぞれは、適した取着法によってそれぞれの振動質量体に取着又は結合される別個の要素として提供することができるか、又は代替的に、例えば前述した単一の中実体を機械加工することによってそれぞれの振動質量体と一体形成されてもよい。
【0017】
本光ファイバー加速度計のコア構成部材は好ましくは、光ファイバー加速度計を通って延びる中央の垂直面を中心に対称に配置される。一実施の形態では、第1の振動質量体及び第2の振動質量体と、第1のヒンジ要素及び第2のヒンジ要素と、ベース構造体とは、中央の垂直面を中心して対称に配置される。これにより、製造が単純化し、より均一な周波数応答がもたらされ、意図した感度軸以外の他の軸に沿う加速度に対する感度が最小限となる。
【0018】
低コスト製造に特によく適した本光ファイバー加速度計の一実施の形態によると、第1の振動質量体及び第2の振動質量体は、光ファイバーに向かって第1のヒンジ要素及び第2のヒンジ要素の共通の水平面よりも上に配置され、ベース構造体は、共通の水平面よりも下に配置される。前に説明したように、第1のヒンジ要素及び第2のヒンジ要素は、ベース構造体に隣接するか又はベース構造体の中に延びる第1の振動質量体及び第2の振動質量体内にそれぞれの切込み又はピンチとして形成することができ、そのため、切込み自体が第1の振動質量体及び第2の振動質量体とベース構造体との間の物理的な分離線又は境界線を画定する。
【0019】
本光ファイバー加速度計は、特定のタイプの振動測定用途の制約及び所望の性能測定基準に応じて可変性の高い寸法で提供又は製造することができる。一実施の形態において、水平面におけるベース構造体の最大寸法が、4mm乃至40mm、好ましくは8mm乃至20mmである。光ファイバー加速度計は、8mm乃至80mm、例えば10mm乃至15mmの、垂直軸に沿った最大寸法を有することができる。
【0020】
光ファイバー加速度計の質量は概してその寸法に応じ、そのため、寸法の増加が加速度計の質量の増加につながる。多くの有用な実施の形態は、加速度計の質量が2グラム乃至400グラム、例えば5グラム乃至100グラムである。これらの好ましい加速度計質量範囲が、通常はトランスデューサーハウジングと、場合によっては1つ又は複数の光ファイバーコネクターとを備えるパッケージされた動作可能な光ファイバー加速度計の質量を規定する。
【0021】
光ファイバー加速度計は好ましくは、第1の振動質量体及び第2の振動質量体と第1のヒンジ要素及び第2のヒンジ要素とを囲むとともに外部環境に対してシールする上述のトランスデューサーハウジングを備える。トランスデューサーハウジングは好ましくは、光ファイバー加速度計の可動かつ脆性の内部構成部材、例えば上述の第1の振動質量体及び第2の振動質量体と第1のヒンジ要素及び第2のヒンジ要素とを被包するとともに外部環境の汚染から保護するように、外部環境に対して気密シールされる。トランスデューサーハウジングは、ねじ込み、接着、溶接、圧着、プレス嵌め、はんだ付け等のような適切な取着法によってベース構造体に取着することができる。
【0022】
トランスデューサーハウジングは、加速度を読み取る目的から、パッケージされた光ファイバー加速度計の内部の、歪が与えられる光ファイバー領域を外部の遠隔の広帯域光源に光学的に結合するために、1つ又は複数の光ファイバーコネクターを含むか又は支持することができる。光ファイバーコネクターのそれぞれは、外部からの歪、応力及び汚染物質に対して光ファイバーコネクターを保護する保護的な弾性ブシュのそれぞれのブシュ内に封入することができる。最後に、トランスデューサーハウジングは、光ファイバーの歪が与えられる部分(検知要素)と光ファイバーコネクターのそれぞれとの間に位置する長さ分の光ファイバーを緩衝することをサポートすることができる。
【0023】
本発明の第2の態様は、光ファイバー加速度計であって、
ベース構造体と、
第1のヒンジ要素により前記ベース構造体に可動に結合されている第1の振動質量体と、
第1の振動質量体の第1の取着接合部と、第2の取着接合部との間で結合されて、第1の質量体が第1のヒンジ構造体の回りに変位することによって変化する歪を受ける、光ファイバーと、
を備える、光ファイバー加速度計に関する。第1の振動質量体と、第1のヒンジ要素と、ベース構造体とは、成形、エッチング又は機械加工によって単一の中実体から作製される。
【0024】
本発明のこの第2の態様によると、第1の振動質量体と、第1のヒンジ要素と、ベース構造体とは、成形、エッチング又は機械加工によって単一の中実体から作製される。光ファイバー加速度計のコアの一体の構造により、費用効果的な作製・組立て方法が提供される。さらに、感度、動作周波数範囲或いは寸法等の重要な性能測定基準又は数値を、第1の振動質量体、第1のヒンジ要素及びベース構造体のうちの1つ又は複数の適切な寸法を単に変えることによって非常に効率的なやり方で特定の用途に合わせることができる。付加的又は代替的に、第1の振動質量体と、第1のヒンジ要素と、ベース構造体とを形成する材料は、特定の用途が課している性能測定基準又は制約を満たすように合わせることができる。本光ファイバー加速度計の関連する構成部材の寸法の変更は好都合に、プログラム可能な数値制御式のフライス加工機の適切なパラメーターを変更することによって行うことができる。ヒンジ要素の寸法が変更されるこの適合方法の有効性の一例は、
図5と併せた記載とともに以下で更に詳細に説明する。
【0025】
好ましい実施の形態によると、光ファイバー加速度計が、第2のヒンジ要素によりベース構造体に可動に結合されている第2の振動質量体を更に備え、光ファイバーが第2の振動質量体に第2の取着接合部により結合されている。光ファイバーを2つの振動質量体間に取り付けることによって、加速度に応答した第1の取着接合部及び第2の取着接合部の変位を、適切な加速度計設計によって逆方向にすることができる。したがって、後者の実施の形態では、第1の振動質量体及び第2の振動質量体は協働して、前に説明したように第1の振動質量体と第2の振動質量体の総計に等しい質量を有する単一の振動質量体の変位によってもたらされるのと同じ力で光ファイバーに歪を与えるか又は光ファイバーを圧縮する。明らかに、第1の態様に関して上記で説明した本発明の様々な実施の形態の機能部は、本発明の第2の態様による2つの個別に可動である振動質量体を有する光ファイバー加速度計においても有用である。このような一実施の形態において、光ファイバー加速度計の第1のヒンジ要素及び第2のヒンジ要素は共通の水平面内に配置される。
【0026】
本発明の第3の態様は、光ファイバー加速度計を用いて遠隔の振動構造体の加速度を検出する方法であって、
上述の実施の形態のうちのいずれかによる光ファイバー加速度計を振動構造体に取着するステップと、
光伝送ファイバーを光ファイバー加速度計の光ファイバーに光学的に結合するステップと、
広帯域光源、例えば赤外光源を光伝送ファイバーに適用するステップと、
光ファイバー加速度計からの反射光の波長を検出するステップと、
反射光の波長を復調することによって光ファイバー加速度計の加速度を求めるステップと、を含む、光ファイバー加速度計を用いて遠隔な振動構造体の加速度を検出する方法に関する。
【0027】
この方法によれば、加速度の読取りは、電磁的及び機械的な干渉に対して影響を受けにくいこと、優れた多重化能力、及び接続ケーブルの延長をサポートすることをもたらすように光領域内で行われる。光ファイバー加速度計が入射する広帯域光を光ファイバー加速度計のそれぞれに通すことを可能にする光入力部及び光出力部の双方を備える場合、振動検出システムが、カスケード式であるか又はデイジーチェーン式である複数の光ファイバー加速度計を含むことができる。複数の光ファイバー加速度計のそれぞれからの反射光の波長を異なる波長に個別に同調することができ、任意の特定の光ファイバー加速度計の反射光を個別に検出又は復調することが可能となる。
【0028】
本発明の好ましい実施形態を、添付の図面とともにより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】本発明の第1の実施形態による光ファイバー加速度計において使用する光ファイバー加速度計コアの3次元斜視図である。
【
図2】a)は
図1に示されている光ファイバー加速度計コアの概略正面図であり、b)は
図1に示されている光ファイバー加速度計コアの概略側面図である。
【
図3】光ファイバーが取り付けられた、
図1及び
図2に示されている光ファイバー加速度計コアの3次元斜視図である。
【
図4】a)は本発明の第2の実施形態による光ファイバー加速度計コアの3次元斜視図であり、b)は本発明の第2の実施形態による光ファイバー加速度計コアの3次元斜視図である。
【
図5】ヒンジ要素の寸法が異なっている3つの異なる変形形態における、
図1及び
図2に示されているコアに基づく光ファイバー加速度計に関する加速度計出力感度対周波数のプロットである。
【
図6】
図4a)及び
図4b)に示されている加速度計コアを含む、パッケージされた、すなわち完成した光ファイバー加速度計の3次元図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
図1は、本発明の第1の実施形態による光ファイバー加速度計コア1を示す。光ファイバー加速度計コア1すなわちコアは、第1のヒンジ要素8により第1の振動質量体13に可動に結合されている実質的に円筒又はディスク状のベース構造体3を含む。第2の振動質量体11も同様に、第2のヒンジ要素10によりベース構造体3に可動に結合されている。第1の振動質量体13は、下側の半円筒ディスク13の形態の2つの一体形成部と、光ファイバー加速度計コア1の垂直軸(不図示)に沿って下側の半円筒ディスク13から突出しているレバー7aとを含む。同様の形状の第2の振動質量体11は、下側の半円筒ディスクの形態の2つの一体形成部分と、光ファイバー加速度計コア1の垂直軸(不図示)に沿って下側の半円筒ディスクから延出する別のすなわち第2のレバー7bとを含む。
【0031】
第1のヒンジ要素8は、第1の振動質量体13及び/又は円筒状のベース構造体3内に水平の切込み、ピンチ又はカットアウト5によって形成されている。第1のヒンジ要素8の寸法は、光ファイバー加速度計の全体寸法に合わせて調整することができる。ヒンジ要素8、10のそれぞれの寸法及び材料を調節することによって、コンプライアンス又は剛性を好都合に調節するとともに特定の用途の要件に適合させることができる。ヒンジ要素の寸法を変えることの効果は、以下で
図5とともに更に詳細に説明する。
【0032】
本発明の本実施形態では、ヒンジ要素8の高さすなわち厚さが0.5mm乃至1.0mmであるのに対し、ヒンジ要素8の幅は0.25mm乃至0.75mmである。この幅は、中央の垂直なカットアウト12によって形成されている中央の垂直なベース壁から水平なカットアウト5に対して平行に延在する水平面に沿って測定されている。ヒンジ要素8の厚さは、光ファイバー加速度計コア1の垂直軸(不図示)に沿って測定された、水平なカットアウト5の高さに相当する。
【0033】
同様の形状の第2のヒンジ要素10は、第2の振動質量体11及び/又は円筒状のベース構造体3内に別のすなわち第2の水平な切込み、ピンチ又はカットアウト17によって形成されている。第2のヒンジ要素10の寸法は好ましくは、第1のヒンジ要素8の寸法と同一である。
【0034】
第1の振動質量体13のレバー7aの平坦な上部は、光ファイバー(不図示)を受け入れる形状及びサイズになっている、水平方向に延在する溝9aを含み、光ファイバーは、溝9aと、第2の振動質量体11の第2のレバー7bの平坦な上部内に刻み込まれている対応する形状の溝9bとを通って水平方向に延びる。光ファイバーは、接着、溶接、圧着、プレス嵌め、はんだ付け等のような適切な取着法によって、少なくとも部分的に溝9aを延びている第1の取着接合部において第1の振動質量体13にしっかりと取着又は結合される。光ファイバーのもう一方の部分も同様に、少なくとも部分的に溝9bを延びている第2の取着接合部において第2の振動質量体11にしっかりと取着又は結合される。したがって、光ファイバー加速度計コア1がその垂直軸に沿って、矢印15で示されている方向に往復動加速度下に置かれると、光ファイバーの、第1のレバーと第2のレバーとの間に水平方向に延びる部分が、第1の振動質量体13及び第2の振動質量体11の逆向きの変位に起因して可変の歪力を受ける。
【0035】
光ファイバーの、第1の取着接合部と第2の取着接合部との間に水平方向に延びる部分に配置されているファイバーブラッググレーティング(FBG)領域における光反射を用いて、
図3と併せた記載とともに以下で更に詳細に説明するように光ファイバーにおいて変化する歪力を測定するか又は求めることができる。
【0036】
図示のように、光ファイバー加速度計コア1は好ましくは、中央の垂直なカットアウト12を通って中心に延在している垂直面を中心に対称である。
【0037】
ベース構造体3は、約10mmのような8mm乃至12mmの直径を有することができる。対応する高さは6mm乃至12mmであるものとすることができる。
【0038】
光ファイバー加速度計コア1は好ましくは、一体すなわち単片の光ファイバー加速度計コア1を提供するために単一の中実金属片又は金属材料製のチャンクを例えばフライス加工又は微細加工によって機械加工することによって製造される。金属片又はチャンクは、ウォルフラム、ステンレス鋼、真鍮、銅又はチタンを含むことができる。第1の振動質量体13及び第2の振動質量体11(第1のレバー7a及び第2のレバー7bを含む)と、第1のヒンジ要素8及び第2のヒンジ要素10と、ベース構造体3とのこの一体形成により、従来の加速度計構造体の多くの小さな別個の構成部材又は部品の取扱いステップ及び組立てステップを排除する、非常に時間効率的かつ費用効果的である作製方法がサポートされる。
【0039】
図2a)及び
図2b)は、
図1に示されている光ファイバー加速度計コア1の2次元概略正面図及び2次元概略側面図である。第1のヒンジ要素8及び第2のヒンジ要素10は、点線20で示されている共通の水平面内に配置されている。本発明の本実施形態では、第1の振動質量体13の重心は、第1のヒンジ要素8及び第2のヒンジ要素10の共通の水平面20に対して上方向に垂直に変位する。同様に、第2の振動質量体11の重心は、共通の水平面20に対して上方向に垂直に変位する。
【0040】
図3は、光ファイバー30が取り付けられている光ファイバー加速度計コア1の3次元斜視図の縮尺図である。光ファイバー加速度計コア1の寸法は、表示値がメートル単位であるスケール31に示されている。
【0041】
光ファイバー30の、第1のレバー9a及び第2のレバー9bのそれぞれにある第1の取着接合部と第2の取着接合部との間に延びる歪が与えられる領域が、ファイバーブラッググレーティング(FBG)を含む。FBGを用いて、光ファイバーの変化する歪を、本加速度計の感度軸である垂直軸15に沿った、加速度計の加速度の測定値として検出する。光ファイバー30は好ましくは、所定の歪が光ファイバーに与えられるように予め張力が与えられる。光ファイバー加速度計の動作は以下の通りである:加速度が垂直軸15に沿って光ファイバー加速度計に加わると、第1の振動質量体13及び第2の振動質量体11がそれらのそれぞれのヒンジ要素の回りに変位する。それに応答して第1の取着接合部9a及び第2の取着接合部9bが、互いに対して接離するように逆の実質的に水平な方向に変位する。この動きが、ファイバー30の、FBGを含む歪が与えられる領域における歪の増減に変わる。この変化する歪は、FBGからの反射光の波長変化を測定することによって検出可能である。反射光は、光ファイバー加速度計から遠隔に位置する広帯域光源(例えば1550nmのLEDを含む)によって生成される入射光によるものとすることができる。広帯域入射光は、光ファイバー加速度計に結合された伝送光ファイバーを通じて光ファイバー加速度計に伝送されているとすることができる。したがって、伝送ファイバーは、光ファイバー加速度計への広帯域入射光と、光ファイバー加速度計から戻る狭帯域反射光との双方を伝搬することに関与する。代替的に、伝送された広帯域光の吸収の谷間(absorption dip)を検出して、FBGによって誘起された波長変化を求めることができる。
【0042】
狭帯域反射光の波長は以下の式(1):
【数1】
から求めることができ、式中、
Δλは反射波長の変化であり、
λ
0は無歪条件下での反射波長であり、
ζは弾性光学係数(歪下での相対屈折率変化)であり、
εは光ファイバーの縦歪である。
【0043】
図4a)は、本光ファイバー加速度計の第2の実施形態による光ファイバー加速度計コア40の側面図であり、
図4b)は、光ファイバー加速度計コア40の第2の実施形態の3次元斜視図である。
【0044】
本発明の第1の実施形態と比較して、本光ファイバー加速度計コア40は、交差軸の加速度の感度、すなわち、
図4a)の垂直矢印55に沿った加速度の指示方向に対して垂直な方向の加速度の感度の低減を提供する。
【0045】
図4b)の光ファイバー加速度計コア40すなわちコアは、第1のヒンジ要素48により第1の振動質量体53に可動に結合されている段付きの円筒又はディスク状のベース構造体43を含む。第2の振動質量体51も同様に、第2のヒンジ要素50により段付きのディスク状のベース構造体43に可動に結合されている。第1の振動質量体53が、下側の凹凸のある(irregular)実質的に半円筒のディスクの形態の2つの一体形成部と、光ファイバー加速度計コア40の垂直軸(不図示)に沿って下側の半円筒ディスクから突出するレバー47aとを含む。同様の形状の第2の振動質量体51が、下側の凹凸のある実質的に半円筒のディスクの形態の2つの一体形成部分と、光ファイバー加速度計コア40の垂直軸(不図示)に沿って下側の半円筒のディスク51から延出する別のすなわち第2のレバー47bとを含む。
【0046】
第1のヒンジ要素48は、第1の振動質量体53及び/又は段付きのディスク状のベース構造体43内に、切込み、ピンチ又はカットアウト45によって形成されている。
【0047】
第1のヒンジ要素48の寸法は、光ファイバー加速度計の全体寸法に合わせて調整することができる。ヒンジ要素48、50のそれぞれの寸法及び材料を調節することによって、コンプライアンス又は剛性を好都合に調節するとともに特定の用途の要件に適合させることができる。
【0048】
同様の形状の第2のヒンジ要素50は、第2の振動質量体51及び/又は円筒状のベース構造体43内に、別のすなわち第2の切込み、ピンチ又はカットアウト57(
図4b)を参照のこと)によって形成されている。第2のヒンジ要素50の寸法は好ましくは、第1のヒンジ要素48の寸法と同一である。第1の振動質量体53の第1のレバー47aの上部は、光ファイバー(不図示)を受け入れる形状及びサイズになっている、水平に延在する溝又は窪み49aを含み、光ファイバーは、溝49aと、第2の振動質量体51の第2のレバー47bの上部に刻み込まれた対応する形状の溝49bとを通って水平に延びる。光ファイバー30は、取り付けられる際、接着、溶着、圧着、はんだ付け等のような適切な取着法によって、少なくとも部分的に溝49aを延びている第1の取着接合部において第1の振動質量体53にしっかりと取着又は結合される。光ファイバーの別の部分も同様に、少なくとも部分的に第2の溝49bを延びている第2の取着接合部において第2の振動質量体51にしっかりと取着又は結合される。本発明の第1の実施形態に関して前に説明したように、光ファイバー加速度計コア40が、矢印55で示されている垂直軸に沿った往復動加速度下に置かれると、光ファイバーの、第1のレバー47a及び第2のレバー47b間に水平に延びる歪が与えられる部分が可変歪力を受ける。可変歪力は、加速度に応答して第1の振動質量体53及び第2の振動質量体51が、それらのそれぞれのヒンジ要素の回りに逆向きに変位することによって引き起こされる、第1の取着接合部及び第2の取着接合部の実質的に水平な逆方向の変位によって生じる。
【0049】
第1のヒンジ要素48及び第2のヒンジ要素50は、
図4a)に点線70で示されている共通の水平面内に配置されている。第1の実施形態と比較して、本実施形態では、第1の振動質量体の重心及び第2の振動質量体の重心が、第1のヒンジ要素48及び第2のヒンジ要素50も含む共通の水平面70内に置かれる。これにより、光ファイバー加速度計の交差軸感度、すなわち、点線70に沿って方向付けられる加速度に対する感度が効果的に最小限に抑えられるが、その理由は、第1の振動質量体53及び第2の振動質量体51の変位がそのような条件下では大幅に防止されるからである。
【0050】
第1の振動質量体53の外面は、取着接合部49aからベース43近くの接続点までの適所に光ファイバーを係止させる、光ファイバー用の刻み込まれた浅いガイドチャネル(不図示)を含むことができる。対応する浅いガイドチャネルが、第2の振動質量体51の外面にも刻み込まれている。浅いガイドチャネルは、ファイバー加速度計の段付きの円筒又はディスク状のベース構造体43まで、十分に画定されるようにして光ファイバーをガイドすること(ここで光ファイバーが丸まる可能性がある)に加えて、光ファイバーのガイド部分の曲率半径を適切に制限することをサポート及び維持する上での幾つかの目的から有益である。
【0051】
図5は、
図1及び
図2に示されているコアに基づく実験用光ファイバー加速度計に関して測定された加速度計出力感度対周波数のプロット60である。光ファイバー加速度計は、垂直方向の、すなわち最大感度軸である
図1の矢印15で示されている方向の所定の加速度下に置いた。実験用光ファイバー加速度計コア1の3つの異なる変形形態を、本光ファイバー加速度計のスケーラビリティを検証するためにヒンジ要素の寸法を異ならせてチタンで作製した。下側の曲線63は、ヒンジ要素の厚さすなわち高さが0.5mmであるとともに幅が約0.75mmである光ファイバー加速度計コアすなわちコアで測定したものである。真ん中の曲線62及び上側の曲線61はそれぞれ、幅が0.5mm及び0.25mmであるヒンジ要素に関して測定された加速度計出力感度を表している。予測されるように、ヒンジ要素のコンプライアンスの増加に起因して、ヒンジ要素の幅の低減に伴って実験用光ファイバー加速度計の高周波共振が低減する。同様に、ヒンジ要素の厚さの低減に伴って実験用光ファイバー加速度計の動作周波数範囲(すなわち、高周波共振よりもかなり下)の出力感度が増し、これは所与の加速度に関して光ファイバーに与えられた歪の増加を示す。ヒンジ要素の幅のこの調整は、本光ファイバー加速度計の性能測定基準を好都合かつ効率的なやり方で光ファイバー加速度計コアの選択機能部の幾何学的寸法を単に変えることによって特定の標的測定基準に合わせることができる方法を示すほんの一例を表している。
【0052】
図6は、
図4a)及び
図4b)に示されている加速度計コア40を含むパッケージされた、すなわち完成した光ファイバー加速度計75の3次元図である。カップ状の上側ハウジング部分65が、第1の振動質量体53及び第2の振動質量体51(
図4b)を参照のこと)と第1のヒンジ要素48及び第2のヒンジ要素50とを囲んでいる。カップ状の上側ハウジング部分65は、コアを封入するとともに可動かつ脆性の内部構成部材を外部環境における汚染から保護するように、段付きのディスク状のベース構造体43(
図4b)を参照のこと)の上面と接触している。一対の光ファイバーコネクター(不図示)が、外部からの歪、応力及び汚染物質に対して光ファイバーコネクターを保護する保護的な弾性ブシュ66a、66bのそれぞれのブシュ内に被包される。光ファイバーコネクターのそれぞれは、加速度を読み取る目的から、パッケージされた光ファイバー加速度計75の内部の歪が与えられる光ファイバーの領域と外部の遠隔光源とを光学的に結合するのに用いられる、LEMO(商標)が供給しているRedel−D miniature光コネクター等の工業規格コネクターを含むことができる。多重化構成では、光ファイバーコネクターの1つを、直列結合した別の光ファイバー加速度計に結合可能な光出力部として用いることができる。下側ハウジング部分67が、段付きのディスク状のベース構造体43(
図4b)を参照のこと)の下側部分を囲んでおり、カップ状の上側ハウジング部分65と当接して、光ファイバーの歪が与えられる部分(検知要素)と光ファイバーコネクターのそれぞれとの間に位置する長さ分の光ファイバーを緩衝することをサポートする完成した加速度計ハウジング又はトランスデューサーハウジングを形成する。