特許第5791707号(P5791707)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5791707新規アウリスタチン誘導体およびその使用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5791707
(24)【登録日】2015年8月14日
(45)【発行日】2015年10月7日
(54)【発明の名称】新規アウリスタチン誘導体およびその使用
(51)【国際特許分類】
   C07K 7/06 20060101AFI20150917BHJP
   A61K 38/00 20060101ALI20150917BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20150917BHJP
【FI】
   C07K7/06ZNA
   A61K37/02
   A61P35/00
【請求項の数】23
【全頁数】125
(21)【出願番号】特願2013-513651(P2013-513651)
(86)(22)【出願日】2011年6月6日
(65)【公表番号】特表2013-533228(P2013-533228A)
(43)【公表日】2013年8月22日
(86)【国際出願番号】EP2011059300
(87)【国際公開番号】WO2011154359
(87)【国際公開日】20111215
【審査請求日】2014年5月13日
(31)【優先権主張番号】11158464.5
(32)【優先日】2011年3月16日
(33)【優先権主張国】EP
(31)【優先権主張番号】10165550.4
(32)【優先日】2010年6月10日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】505314468
【氏名又は名称】シアトル ジェネティックス, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(72)【発明者】
【氏名】レルヒェン, ハンス−ゲオルク
(72)【発明者】
【氏名】シュテルテ−ルートヴィヒ, ベアトリクス
(72)【発明者】
【氏名】ゴルフィア, スフェン
(72)【発明者】
【氏名】シューマッハー, ヨアヒム
(72)【発明者】
【氏名】クレンツ, ウルスラ
【審査官】 田中 晴絵
(56)【参考文献】
【文献】 特表2002−500233(JP,A)
【文献】 特表平11−503717(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07K
A61K 38/00
A61P 35/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)
【化112】
(式中、
は、水素、(C〜C)−アルキルまたは式Q−LもしくはQ−Lの基を表し、ここで、
は、前記窒素原子に対する結合点を表し、
は、ヒドロキシカルボニル、(C〜C)−アルコキシカルボニルまたはベンジルオキシカルボニルを表し、
は、直鎖(C〜C12)−アルカンジイルを表し、前記アルカンジイルは4回までメチルで置換されていてもよく、ここで、(a)2個の炭素原子が、互いに1,2−、1,3−もしくは1,4−の関係で架橋され、これらの間に存在する任意の炭素原子を含めて(C〜C)−シクロアルキル環もしくはフェニル環を形成し得るか、または(b)互いに隣接していない3つまでのCH基が−O−で置き換えられ得、
は、ヒドロキシル、アミノまたはモノ−(C〜C)−アルキルアミノを表し、
は、直鎖(C〜C12)−アルカンジイルを表し、前記アルカンジイルは4回までメチルで置換されていてもよく、ここで、(a)2個の炭素原子が、互いに1,2−、1,3−もしくは1,4−の関係で架橋され、これらの間に存在する任意の炭素原子を含めて(C〜C)−シクロアルキル環もしくはフェニル環を形成し得るか、または(b)互いに隣接していない3つまでのCH基が−O−で置き換えられ得、
は、メチルまたはヒドロキシルを表し、
は、水素またはメチルを表し、
は、イソプロピル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、フェニル、ベンジル、4−ヒドロキシベンジル、4−ヒドロキシ−3−ニトロベンジル、1−フェニルエチル、ジフェニルメチル、1H−イミダゾール−4−イルメチルもしくは1H−インドール−3−イルメチルを表すか、
または
とRが、両者が結合している炭素原子と一緒になって、

【化113】
の2−フェニルシクロプロパン−1,1−ジイル基を形成しており、式中の#は、分子のその他の部分に対する結合点を表し、
N−O基を含有している環Aは、式
【化114】
の単環式または二環式の必要に応じて置換されている複素環を表し、式中、
**は、カルボニル基に対する結合点を表し、
およびRは各々、水素、ヒドロキシル、(C〜C)−アルコキシまたはベンジルオキシを表し、
は、水素、フッ素、塩素、シアノ、メチルまたはトリフルオロメチルを表す)
の化合物、また、その塩および溶媒和物ならびに前記塩の溶媒和物。
【請求項2】
が、水素、(C〜C)−アルキルまたは式Q−LもしくはQ−Lの基を表し、ここで、
は、前記窒素原子に対する結合点を表し、
は、ヒドロキシカルボニルまたは(C〜C)−アルコキシカルボニルを表し、
は、直鎖(C〜C12)−アルカンジイルを表し、ここで、(a)2個の炭素原子が、互いに1,3−もしくは1,4−の関係で架橋され、これらの間に存在する1個もしくは2個の炭素原子を含めてフェニル環を形成し得るか、または(b)互いに隣接していない3つまでのCH基が−O−で置き換えられ得、
は、ヒドロキシル、アミノまたはメチルアミノを表し、
は、直鎖(C〜C12)−アルカンジイルを表し、前記アルカンジイルは、1個もしくは2個のメチルで置換されていてもよく、前記アルカンジイルの互いに隣接していない3つまでのCH基は−O−で置き換えられていてもよく、
が、メチルまたはヒドロキシルを表し、
が、水素を表し、
が、ベンジル、4−ヒドロキシベンジル、1−フェニルエチルもしくは1H−インドール−3−イルメチルを表すか、
または
とRが、両者が結合している炭素原子と一緒になって、式
【化115】
の2−フェニルシクロプロパン−1,1−ジイル基を形成しており、式中の#は、分子のその他の部分に対する結合点を表し、
N−O基を含有している環Aが、式
【化116】
の単環式または二環式の必要に応じて置換されている複素環を表し、式中、
**は、前記カルボニル基に対する結合点を表し、
は、水素、ヒドロキシルまたはベンジルオキシを表す、
請求項1に記載の式(I)の化合物、また、その塩および溶媒和物ならびに前記塩の溶媒和物。
【請求項3】
が、水素、メチルまたは式Q−LもしくはQ−Lの基を表し、ここで、
は、前記窒素原子に対する結合点を表し、
は、ヒドロキシカルボニル、メトキシカルボニルまたはエトキシカルボニルを表し、
は、直鎖(C〜C)−アルカンジイルを表し、ここで、2個の炭素原子が、互いに1,4−の関係で架橋され、これらの間に存在する2個の炭素原子を含めてフェニル環を形成し得、
は、ヒドロキシルまたはアミノを表し、
は、直鎖(C〜C)−アルカンジイルを表し、
が、メチルを表し、
が、水素を表し、
が、ベンジル、1−フェニルエチルもしくは1H−インドール−3−イルメチルを表すか、
または
とRが、両者が結合している炭素原子と一緒になって、式
【化117】
の(1S,2R)−2−フェニルシクロプロパン−1,1−ジイル基を形成しており、式中、
#1は、隣接している窒素原子に対する結合点を表し、
#2は、前記カルボニル基に対する結合点を表し、
N−O基を含有している環Aが、式
【化118】
の単環式または二環式の必要に応じて置換されている複素環を表し、式中、
**は、前記カルボニル基に対する結合点を表し、
は、水素、ヒドロキシルまたはベンジルオキシを表す、
請求項1または2に記載の式(I)の化合物、また、その塩および溶媒和物ならびに前記塩の溶媒和物。
【請求項4】
式(I−A)
【化119】
(式中、R、R、R、Rおよび環Aは請求項1、2または3において規定した意味を有し、原子団RとRを有するC炭素原子は、図示したS配置を有する)
である、請求項1、2または3に記載の化合物、また、その塩および溶媒和物ならびに前記塩の溶媒和物。
【請求項5】
式(II)の化合物
【化120】
(式中、Rは、請求項1〜4のいずれかに示した意味を有し、
PGは、例えば、(9H−フルオレン−9−イルメトキシ)カルボニル、tert−ブトキシカルボニルまたはベンジルオキシカルボニルなどのアミノ保護基を表す)
を、不活性溶媒中で、(II)のカルボキシル官能基の活性化を伴って、
[A]まず、式(III)の化合物
【化121】
もしくはその塩とカップリングさせて式(IV)の化合物
【化122】
(式中、RおよびPGは上記に示した意味を有する)
を得、次いで、この化合物を、不活性溶媒中で、カルボキシル官能基の活性化を伴って、式(V)
【化123】
(式中、R、Rおよび環Aは請求項1〜4のいずれかに示した意味を有する)
の化合物もしくはこの化合物の塩とカップリングさせて式(VI)
【化124】
(式中、R、R、R、環AおよびPGは上記に示した意味を有する)
の化合物を得るか、または
[B]式(VII)
【化125】
(式中、R、Rおよび環Aは請求項1〜4のいずれかに示す意味を有する)
の化合物もしくはこの化合物の塩とカップリングさせて、同様に式(VI)
【化126】
(式中、R、R、R、環AおよびPGは上記に示した意味を有したものである)
の化合物を得、
それぞれで得られる式(VI)の化合物を、次いで、慣用的なペプチド化学の方法によって脱保護し、本発明による式(I−B)
【化127】
(式中、R、R、Rおよび環Aは上記に示した意味を有する)
の化合物を得、続いて、これを、所望により、(i)式(VIII)
1A−X (VIII)
(式中、
1Aは、請求項1〜4のいずれかに示したRの意味を有するが、水素を表すものではなく、
Xは、例えば、クロリド、ブロミド、ヨージド、メシラート、トリフラートもしくはトシラートなどの脱離基を表す)
の化合物を用いる塩基誘導性アルキル化によって本発明による式(I−C)
【化128】
(式中、R1A、R、R、Rおよび環Aは上記に示した意味を有する)
の化合物に変換するか、
または(ii)式(IX)
【化129】
(式中、
1Bは、上記に示したR1Aの意味を有するが、アルキル鎖長はCH単位1つ分短い)
の化合物との適当な還元剤の存在下での反応によって式(I−D)
【化130】
(式中、R1B、R、R、Rおよび環Aは上記に示した意味を有する)
化合物に変換し、
この様式で得られる式(I−B)、(I−C)および(I−D)の化合物を、必要に応じて、そのエナンチオマーおよび/またはジアステレオマーに分離すること、および/または適切な(i)溶媒および/または(ii)塩基もしくは酸を用いてその溶媒和物、塩および/または前記塩の溶媒和物に変換すること
を特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の式(I)の化合物の調製プロセス。
【請求項6】
疾患の処置および/または予防のための組成物であって、請求項1〜4のいずれかに記載の化合物を含む、組成物
【請求項7】
がんおよび腫瘍障害の処置および/または予防のための方法における使用のための組成物であって、請求項1〜4のいずれかに記載の化合物を含む、組成物
【請求項8】
がん性障害および腫瘍障害の処置および/または予防のための医薬の調製のための請求項1〜4のいずれかに記載の化合物の使用。
【請求項9】
請求項1〜4のいずれかに記載の化合物を1種類以上の不活性な無毒性の医薬に適した補助剤と組み合せて含む医薬。
【請求項10】
請求項1〜4のいずれかに記載の化合物を1種類以上のさらなる活性化合物と組み合せて含む医薬。
【請求項11】
がん性障害および腫瘍障害の処置および/または予防のための請求項9または10に記載の医薬。
【請求項12】
有効量の少なくとも1種類の請求項1〜4のいずれかに記載の化合物または請求項9〜11のいずれかに記載の医薬を含む、ヒトおよび動物のがん性障害および腫瘍障害の処置および/または予防のための組成物
【請求項13】
前記化合物が、以下:
【化131】
【化132】
【化133】
【化134】
【化135】
【化136】
【化137】
【化138】
【化139】
【化140】
からなる群から選択される、請求項1に記載の化合物、またはその塩、溶媒和物もしくは前記塩の溶媒和物
【請求項14】
前記化合物が、以下:
【化141】
【化142】
【化143】
【化144】
からなる群から選択される、請求項13に記載の化合物、またはその塩、溶媒和物もしくは前記塩の溶媒和物
【請求項15】
前記化合物が、以下:
【化145】
からなる群から選択される、請求項13に記載の化合物、またはその塩、溶媒和物もしくは前記塩の溶媒和物
【請求項16】
前記化合物が、以下:
【化146】
【化147】
からなる群から選択される、請求項13に記載の化合物、またはその塩、溶媒和物もしくは前記塩の溶媒和物
【請求項17】
前記化合物が、以下:
【化148】
【化149】
【化150】
からなる群から選択される、請求項13に記載の化合物、またはその塩、溶媒和物もしくは前記塩の溶媒和物
【請求項18】
前記化合物は、
【化151】
である、請求項13に記載の化合物、またはその塩、溶媒和物もしくは前記塩の溶媒和物
【請求項19】
前記化合物は、
【化152】
である、請求項13に記載の化合物、またはその塩、溶媒和物もしくは前記塩の溶媒和物
【請求項20】
前記化合物は、
【化153】
である、請求項13に記載の化合物、またはその塩、溶媒和物もしくは前記塩の溶媒和物
【請求項21】
前記化合物は、
【化154】
である、請求項13に記載の化合物、またはその塩、溶媒和物もしくは前記塩の溶媒和物
【請求項22】
タンパク質に結合した請求項1〜4または13〜21のいずれかに記載の化合物を含む、抗増殖性コンジュゲート。
【請求項23】
前記タンパク質は抗体である、請求項22に記載の抗増殖性コンジュゲート。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、モノメチルアウリスタチンFの新規誘導体、この誘導体の調製方法、疾患の処置および/または予防のためのこの誘導体の使用、また、疾患、より詳しくは、過剰増殖性障害および/または血管新生障害、例えば、がん性障害などの処置および/または予防のための医薬を調製するためのこの誘導体の使用に関する。かかる処置は、単独療法として、あるいは他の医薬またはさらなる治療手段と併用して行われ得る。
【背景技術】
【0002】
がん性障害は、多種多様な組織における制御不能な細胞成長の帰結である。多くの場合、新しい細胞は、既に存在している組織内に貫入するか(浸潤性成長)、または遠隔器官に転移する。がん性障害は多種多様な器官において発生し、該疾患は、多くの場合、組織特異的様式で進行する。したがって、一般用語としての「がん性障害」という表記は、種々の器官、組織および細胞型の規定された疾患の大きな一群を示す。
【0003】
初期段階の腫瘍は、外科的および放射線療法的手段によって除去できる場合があり得る。転移した腫瘍には、一般的に、化学療法剤による緩和療法を施与することしかできない。その場合の目的は、生活の質の改善と残された寿命の延長の最適な並存を達成することである。
【0004】
現在、非経口で投与される化学療法剤のほとんどは、多くの場合、腫瘍組織または腫瘍細胞において標的指向型ではなく、むしろ、その全身性投与の結果、体内に非特異的に分布し、したがって、薬物への曝露が望ましくない箇所、例えば、健常な細胞、組織および器官などに内包される。これにより、不要な副作用およびさらには深刻な一般毒性効果がもたらされ、そのため、多くの場合、薬物の治療上有用な用量範囲が大きく制限されるか、または薬物療法の完全な中止が必要となることになり得る。
【0005】
したがって、一方において、腫瘍細胞または隣接周囲組織におけるこのような化学療法剤の改善された選択的アベイラビリティおよび関連する実際の追加刺激、ならびに他方において、毒性副作用の最小化は、数年の間、新しい化学療法剤の開発における焦点となっている。これまで、薬物を標的細胞内に効率的に導入する方法を開発するために多くの試みが行われている。薬物と細胞内標的との結合の最適化および細胞間、例えば近接細胞への薬物の分布の最小化は、それでもなお難題の構成要素のままである。
【0006】
例えば、モノクローナル抗体は、腫瘍組織および腫瘍細胞の標的指向型の対処に適している。がん性障害の臨床処置のためのかかる抗体の重要性は、近年、トラスツズマブ(ハーセプチン)、リツキシマブ(リツキサン)、セツキシマブ(アービタックス)およびベバシズマブ(アバスチン)などの薬剤の活性に基づいて、一般的に相当な増加が見られ、これらの薬剤は、以来、個々の特定の腫瘍障害の治療に承認されている[例えば、非特許文献1を参照のこと]。そのため、腫瘍関連抗原に対する内在化抗体を連結単位(「リンカー」)を介して細胞傷害剤に共有結合で連接させたいわゆるイムノコンジュゲート(例えば、前述のADCなど)にも、関心が顕著に増大してきている。ADCが腫瘍細胞内に導入され、続いて該コンジュゲートが切断されると、細胞傷害剤自体または細胞傷害剤から形成された細胞傷害活性を有する別の代謝産物のいずれかが腫瘍細胞内に放出され、該細胞内でその効果が直接的および選択的に発現され得る。このように、がん性障害の慣用的な化学療法と比べて、かなり近い範囲内の正常組織が損傷されないようにすることが可能となり得る[例えば、非特許文献2;非特許文献3;非特許文献4;非特許文献5を参照のこと]。
【0007】
また、抗体の代わりに、小分子薬物の球体のリガンドを、特異的標的位置(「標的」)(例えば、受容体など)に選択的に結合する結合剤として使用することも可能である[例えば、非特許文献6;非特許文献7を参照のこと]。また、細胞傷害薬とアドレス指定(addressing)リガンドとのコンジュゲートも知られており、これは、リガンドと薬物との間に薬物放出のための規定の切断点を示す。この種の「所定の切断点」は、例えば、ペプチド鎖内に存在するものであって、特定の部位で選択的に特異的酵素によって作用位置で切断され得るものであり得る[例えば、R.A.FirestoneおよびL.A.Telan,特許文献1を参照のこと]。
【0008】
アウリスタチンE(AE)およびモノメチルアウリスタチンE(MMAE)は、最初に海洋供給源から単離され、一部の場合で腫瘍細胞に対して非常に強力な細胞傷害活性を有する線状のプソイドペプチドの特定の一群であるドラスタチンの合成類似体である[概説については、例えば、非特許文献8;非特許文献9;非特許文献10を参照のこと]。
【0009】
【化1】
しかしながら、MMAEは、全身毒性が比較的高いという不都合を有する。また、この化合物は、抗体/活性化合物コンジュゲート(イムノコンジュゲート)の形態で利用された場合、抗体と活性化合物との間のリンカーと非適合性であり、酵素的に切断可能な所定の切断点をもたない[非特許文献11]。
【0010】
モノメチルアウリスタチンF(MMAF)は、C末端フェニルアラニン単位を有するアウリスタチン誘導体であり、MMAEと比べると中程度にすぎない抗増殖活性を示す。この事実は遊離カルボキシル基に起因している可能性が非常に高く、該基の極性および電荷がこの化合物の細胞到達能力に有害に影響している。これとの関連において、MMAFのメチルエステル(MMAF−OMe)が、細胞到達能を有する中性電荷のプロドラッグ誘導体として報告されており、これは、MMAFと比べて、種々の癌細胞株に対して数桁増大したインビトロ細胞傷害性を有する[非特許文献11]。この効果は、そのプロドラッグが細胞内に取り込まれた後、細胞内エステル加水分解によって速やかに放出されるMMAF自体によってもたらされると推測され得る。
【0011】
【化2】
しかしながら、単純なエステル誘導体を主体とする薬物化合物は、一般的に、意図され
る作用部位に関係なく、例えば、血漿中に存在しているエステラーゼによる非特異的エステル加水分解のために化学的不安定性のリスクに晒される;この非特異的加水分解により、治療におけるかかる化合物の有用性が有意に制限されることがあり得る。
【0012】
したがって、本発明の目的は、有効性が中程度にすぎないモノメチルアウリスタチンF(MMAF)を出発物質とする新規化合物を同定すること、および第1に全細胞アッセイにおいてより顕著に強力な細胞傷害活性を有し、第2に単純なエステル誘導体(MMAF−OMeなど)と比べて増大した血漿安定性を有する、特に、がん性障害の処置のためのこのような化合物を提供することであった。かかる物質は、抗増殖作用を有する(免疫)コンジュゲートを得るためのタンパク質(例えば、抗体など)あるいは低分子量リガンドに対する結合のための坦毒体として特に好適であり得る。
【0013】
モノメチルアウリスタチンF(MMAF)、またその種々のエステル誘導体およびアミド誘導体は、特許文献2に開示されている。C末端アミド置換フェニルアラニン単位を有するさらなるアウリスタチン類似体は、特許文献3に記載されている。特許文献4および特許文献5の特許請求の範囲には、フェニルアラニンの側鎖修飾に関係したMMAF類似体が記載されており、特許文献6の特許請求の範囲には、フェニルアラニンのカルボキシル基が修飾されたものが記載されている。最近、C末端を介して連結されたアウリスタチンコンジュゲートが特許文献7に報告されている[非特許文献12も参照のこと]。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】米国特許出願公開第2002/0147138号明細書
【特許文献2】国際公開第2005/081711号
【特許文献3】国際公開第01/18032号
【特許文献4】国際公開第02/088172号
【特許文献5】国際公開第2007/008603号
【特許文献6】国際公開第2007/008848号
【特許文献7】国際公開第2009/117531号
【非特許文献】
【0015】
【非特許文献1】G.P.AdamsおよびL.M.Weiner,Nat.Biotechnol.23,1147−1157(2005)
【非特許文献2】J.M.Lambert,Curr.Opin.Pharmacol.5,543−549(2005)
【非特許文献3】A.M.WuおよびP.D.Senter,Nat.Biotechnol.23,1137−1146(2005)
【非特許文献4】P.D.Senter,Curr.Opin.Chem.Biol.13,235−244(2009)
【非特許文献5】L.DucryおよびB.Stump,Bioconjugate Chem.21,5−13(2010)
【非特許文献6】E.Ruoslahtiら,Science 279,377−380(1998)
【非特許文献7】D.Karkanら,PLoS ONE 3(6),e2469(2008年6月25日)
【非特許文献8】G.R.Pettit,Prog.Chem.Org.Nat.Prod.70,1−79(1997)
【非特許文献9】G.R.Pettitら,Anti−Cancer Drug Design 10,529−544(1995)
【非特許文献10】G.R.Pettitら,Anti−Cancer Drug Design 13,243−277(1998)
【非特許文献11】S.O.Doroninaら,Bioconjugate Chem.17,114−124(2006)
【非特許文献12】S.O.Doroninaら,Bioconjugate Chem.19、1960−1963(2008)
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の好ましい実施形態において、例えば以下の項目が提供される。
(項目1)
式(I)
【化112】

(式中、
は、水素、(C〜C)−アルキルまたは式Q−LもしくはQ−Lの基を表し、ここで、
は、前記窒素原子に対する結合点を表し、
は、ヒドロキシカルボニル、(C〜C)−アルコキシカルボニルまたはベンジルオキシカルボニルを表し、
は、直鎖(C〜C12)−アルカンジイルを表し、前記アルカンジイルは4回までメチルで置換されていてもよく、ここで、(a)2個の炭素原子が、互いに1,2−、1,3−もしくは1,4−の関係で架橋され、これらの間に存在する任意の炭素原子を含めて(C〜C)−シクロアルキル環もしくはフェニル環を形成し得るか、または(b)互いに隣接していない3つまでのCH基が−O−で置き換えられ得、
は、ヒドロキシル、アミノまたはモノ−(C〜C)−アルキルアミノを表し、
は、直鎖(C〜C12)−アルカンジイルを表し、前記アルカンジイルは4回までメチルで置換されていてもよく、ここで、(a)2個の炭素原子が、互いに1,2−、1,3−もしくは1,4−の関係で架橋され、これらの間に存在する任意の炭素原子を含めて(C〜C)−シクロアルキル環もしくはフェニル環を形成し得るか、または(b)互いに隣接していない3つまでのCH基が−O−で置き換えられ得、
は、メチルまたはヒドロキシルを表し、
は、水素またはメチルを表し、
は、イソプロピル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、フェニル、ベンジル、4−ヒドロキシベンジル、4−ヒドロキシ−3−ニトロベンジル、1−フェニルエチル、ジフェニルメチル、1H−イミダゾール−4−イルメチルもしくは1H−インドール−3−イルメチルを表すか、
または
とRが、両者が結合している炭素原子と一緒になって、

【化113】

の2−フェニルシクロプロパン−1,1−ジイル基を形成しており、式中の#は、分子のその他の部分に対する結合点を表し、
N−O基を含有している環Aは、式
【化114】

の単環式または二環式の必要に応じて置換されている複素環を表し、式中、
**は、カルボニル基に対する結合点を表し、
およびRは各々、水素、ヒドロキシル、(C〜C)−アルコキシまたはベンジルオキシを表し、
は、水素、フッ素、塩素、シアノ、メチルまたはトリフルオロメチルを表す)
の化合物、また、その塩および溶媒和物ならびに前記塩の溶媒和物。
(項目2)
が、水素、(C〜C)−アルキルまたは式Q−LもしくはQ−Lの基を表し、ここで、
は、前記窒素原子に対する結合点を表し、
は、ヒドロキシカルボニルまたは(C〜C)−アルコキシカルボニルを表し、
は、直鎖(C〜C12)−アルカンジイルを表し、ここで、(a)2個の炭素原子が、互いに1,3−もしくは1,4−の関係で架橋され、これらの間に存在する1個もしくは2個の炭素原子を含めてフェニル環を形成し得るか、または(b)互いに隣接していない3つまでのCH基が−O−で置き換えられ得、
は、ヒドロキシル、アミノまたはメチルアミノを表し、
は、直鎖(C〜C12)−アルカンジイルを表し、前記アルカンジイルは、1個もしくは2個のメチルで置換されていてもよく、前記アルカンジイルの互いに隣接していない3つまでのCH基は−O−で置き換えられていてもよく、
が、メチルまたはヒドロキシルを表し、
が、水素を表し、
が、ベンジル、4−ヒドロキシベンジル、1−フェニルエチルもしくは1H−インドール−3−イルメチルを表すか、
または
とRが、両者が結合している炭素原子と一緒になって、式
【化115】

の2−フェニルシクロプロパン−1,1−ジイル基を形成しており、式中の#は、分子のその他の部分に対する結合点を表し、
N−O基を含有している環Aが、式
【化116】

の単環式または二環式の必要に応じて置換されている複素環を表し、式中、
**は、前記カルボニル基に対する結合点を表し、
は、水素、ヒドロキシルまたはベンジルオキシを表す、
項目1に記載の式(I)の化合物、また、その塩および溶媒和物ならびに前記塩の溶媒和物。
(項目3)
が、水素、メチルまたは式Q−LもしくはQ−Lの基を表し、ここで、
は、前記窒素原子に対する結合点を表し、
は、ヒドロキシカルボニル、メトキシカルボニルまたはエトキシカルボニルを表し、
は、直鎖(C〜C)−アルカンジイルを表し、ここで、2個の炭素原子が、互いに1,4−の関係で架橋され、これらの間に存在する2個の炭素原子を含めてフェニル環を形成し得、
は、ヒドロキシルまたはアミノを表し、
は、直鎖(C〜C)−アルカンジイルを表し、
が、メチルを表し、
が、水素を表し、
が、ベンジル、1−フェニルエチルもしくは1H−インドール−3−イルメチルを表すか、
または
とRが、両者が結合している炭素原子と一緒になって、式
【化117】

の(1S,2R)−2−フェニルシクロプロパン−1,1−ジイル基を形成しており、式中、
#1は、隣接している窒素原子に対する結合点を表し、
#2は、前記カルボニル基に対する結合点を表し、
N−O基を含有している環Aが、式
【化118】

の単環式または二環式の必要に応じて置換されている複素環を表し、式中、
**は、前記カルボニル基に対する結合点を表し、
は、水素、ヒドロキシルまたはベンジルオキシを表す、
項目1または2に記載の式(I)の化合物、また、その塩および溶媒和物ならびに前記塩の溶媒和物。
(項目4)
式(I−A)
【化119】

(式中、R、R、R、Rおよび環Aは項目1、2または3において規定した意味を有し、原子団RとRを有するC炭素原子は、図示したS配置を有する)
である、項目1、2または3に記載の化合物、また、その塩および溶媒和物ならびに前記塩の溶媒和物。
(項目5)
式(II)の化合物
【化120】

(式中、Rは、項目1〜4のいずれかに示した意味を有し、
PGは、例えば、(9H−フルオレン−9−イルメトキシ)カルボニル、tert−ブトキシカルボニルまたはベンジルオキシカルボニルなどのアミノ保護基を表す)
を、不活性溶媒中で、(II)のカルボキシル官能基の活性化を伴って、
[A]まず、式(III)の化合物
【化121】

もしくはその塩とカップリングさせて式(IV)の化合物
【化122】

(式中、RおよびPGは上記に示した意味を有する)
を得、次いで、この化合物を、不活性溶媒中で、カルボキシル官能基の活性化を伴って、式(V)
【化123】

(式中、R、Rおよび環Aは項目1〜4のいずれかに示した意味を有する)
の化合物もしくはこの化合物の塩とカップリングさせて式(VI)
【化124】

(式中、R、R、R、環AおよびPGは上記に示した意味を有する)
の化合物を得るか、または
[B]式(VII)
【化125】

(式中、R、Rおよび環Aは項目1〜4のいずれかに示す意味を有する)
の化合物もしくはこの化合物の塩とカップリングさせて、同様に式(VI)
【化126】

(式中、R、R、R、環AおよびPGは上記に示した意味を有したものである)
の化合物を得、
それぞれで得られる式(VI)の化合物を、次いで、慣用的なペプチド化学の方法によって脱保護し、本発明による式(I−B)
【化127】

(式中、R、R、Rおよび環Aは上記に示した意味を有する)
の化合物を得、続いて、これを、所望により、(i)式(VIII)
1A−X (VIII)
(式中、
1Aは、項目1〜4のいずれかに示したRの意味を有するが、水素を表すものではなく、
Xは、例えば、クロリド、ブロミド、ヨージド、メシラート、トリフラートもしくはトシラートなどの脱離基を表す)
の化合物を用いる塩基誘導性アルキル化によって本発明による式(I−C)
【化128】

(式中、R1A、R、R、Rおよび環Aは上記に示した意味を有する)
の化合物に変換するか、
または(ii)式(IX)
【化129】

(式中、
1Bは、上記に示したR1Aの意味を有するが、アルキル鎖長はCH単位1つ分短い)
の化合物との適当な還元剤の存在下での反応によって式(I−D)
【化130】

(式中、R1B、R、R、Rおよび環Aは上記に示した意味を有する)
化合物に変換し、
この様式で得られる式(I−B)、(I−C)および(I−D)の化合物を、必要に応じて、そのエナンチオマーおよび/またはジアステレオマーに分離すること、および/または適切な(i)溶媒および/または(ii)塩基もしくは酸を用いてその溶媒和物、塩および/または前記塩の溶媒和物に変換すること
を特徴とする、項目1〜4のいずれかに記載の式(I)の化合物の調製プロセス。
(項目6)
疾患の処置および/または予防のための項目1〜4のいずれかに記載の化合物。
(項目7)
がんおよび腫瘍障害の処置および/または予防のための方法における使用のための項目1〜4のいずれかに記載の化合物。
(項目8)
がん性障害および腫瘍障害の処置および/または予防のための医薬の調製のための項目1〜4のいずれかに記載の化合物の使用。
(項目9)
項目1〜4のいずれかに記載の化合物を1種類以上の不活性な無毒性の医薬に適した補助剤と組み合せて含む医薬。
(項目10)
項目1〜4のいずれかに記載の化合物を1種類以上のさらなる活性化合物と組み合せて含む医薬。
(項目11)
がん性障害および腫瘍障害の処置および/または予防のための項目9または10に記載の医薬。
(項目12)
有効量の少なくとも1種類の項目1〜4のいずれかに記載の化合物または項目9〜11のいずれかに記載の医薬を使用する、ヒトおよび動物のがん性障害および腫瘍障害の処置および/または予防のための方法。
本発明は、ここに、一般式(I)
【0017】
【化3】
(式中、
は、水素、(C〜C)−アルキルまたは式Q−LもしくはQ−Lの基を表し、ここで、
は、窒素原子に対する結合点を表し、
は、ヒドロキシカルボニル、(C〜C)−アルコキシカルボニルまたはベンジルオキシカルボニルを表し、
は、直鎖(C〜C12)−アルカンジイルを表し、このアルカンジイルは4回までメチルで置換されていてもよく、ここで、(a)2個の炭素原子が、互いに1,2−、1,3−もしくは1,4−の関係で架橋され、これらの間に存在する任意の炭素原子を含めて(C〜C)−シクロアルキル環もしくはフェニル環を形成し得るか、または(b)互いに隣接していない3つまでのCH基が−O−で置き換えられ得、
は、ヒドロキシル、アミノまたはモノ−(C〜C)−アルキルアミノを表し、
は、直鎖(C〜C12)−アルカンジイルを表し、このアルカンジイルは4回までメチルで置換されていてもよく、ここで、(a)2個の炭素原子が、互いに1,2−、1,3−もしくは1,4−の関係で架橋され、これらの間に存在する任意の炭素原子を含めて(C〜C)−シクロアルキル環もしくはフェニル環を形成し得るか、または(b)互いに隣接していない3つまでのCH基が−O−で置き換えられ得、
は、メチルまたはヒドロキシルを表し、
は、水素またはメチルを表し、
は、イソプロピル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、フェニル、ベンジル、4−ヒドロキシベンジル、4−ヒドロキシ−3−ニトロベンジル、1−フェニルエチル、ジフェニルメチル、1H−イミダゾール−4−イルメチルもしくは1H−インドール−3−イルメチルを表すか、
または
とRが、両者が結合している炭素原子と一緒になって、
【0018】
【化4】
の2−フェニルシクロプロパン−1,1−ジイル基を形成しており、式中の#は、分子のその他の部分に対する結合点を表し、
N−O基を含有している環Aは、式
【0019】
【化5】
の単環式または二環式の必要に応じて置換されている複素環を表し、式中、
**は、カルボニル基に対する結合点を表し、
およびRは各々、水素、ヒドロキシル、(C〜C)−アルコキシまたはベンジルオキシを表し、
は、水素、フッ素、塩素、シアノ、メチルまたはトリフルオロメチルを表す)
の化合物、また、その塩および溶媒和物ならびに該塩の溶媒和物を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の化合物は、式(I)の化合物、その塩および溶媒和物、ならびに該塩の溶媒和物、以下において特定する式のものであって式(I)に包含される化合物、その塩および溶媒和物ならびに該塩の溶媒和物、また、以下において作業実施例として特定するものであって式(I)に包含される化合物、その塩および溶媒和物ならびに該塩の溶媒和物である(以下において特定するものであって式(I)に包含される化合物が既に塩、溶媒和物および該塩の溶媒和物でない範囲で)。
【0021】
その構造によっては、本発明の化合物は、異なる立体異性体形態で、すなわち、立体配置異性体あるいは適切な場合は、立体配座異性体(エナンチオマーおよび/またはジアステレオマー(アトロプ異性体の場合のものを含む))の形態で存在し得る。したがって、本発明は、エナンチオマーおよびジアステレオマーならびにそのそれぞれの混合物を包含する。立体異性体的に均一な構成要素は、かかるエナンチオマーおよび/またはジアステレオマーの混合物から既知の様式で単離することができる;この目的で、クロマトグラフィー法、より詳しくは、アキラルまたはキラル相でのHPLCクロマトグラフィーを使用することが好ましい。
【0022】
本発明の化合物が互変異性体形態で存在し得る場合、本発明は、該互変異性体形態のすべてを包含する。
【0023】
本発明の状況において好ましい塩は、本発明の化合物の生理学的に許容され得る塩である。また、それ自体は医薬用途に適していないが、それでも例えば本発明の化合物の単離または精製に使用され得る塩も包含する。
【0024】
本発明の化合物の生理学的に許容され得る塩には、鉱酸、カルボン酸およびスルホン酸の酸付加塩が包含され、例は、塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸、ナフタレンジスルホン酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、プロピオン酸、乳酸、酒石酸、リンゴ酸、クエン酸、フマル酸、マレイン酸および安息香酸の塩である。
【0025】
また、本発明の化合物の生理学的に許容され得る塩には、慣用的な塩基の塩も包含され、例えば、一例として好ましくは、アルカリ金属塩(例えば、ナトリウム塩およびカリウム塩)、アルカリ土類金属塩(例えば、カルシウム塩およびマグネシウム塩)、ならびにアンモニアまたは1〜16個のC原子を有する有機アミンから誘導されるアンモニウム塩、例えば、一例として好ましくは、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、エチルジイソプロピルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジシクロヘキシルアミン、ジメチルアミノエタノール、プロカイン、ジベンジルアミン、N−メチルピペリジン、N−メチルモルホリン、アルギニン、リシンおよび1,2−エチレンジアミンも包含される。
【0026】
溶媒和物は、本発明の状況において、本発明の化合物が、溶媒分子との配位によって固体状態または液体状態の複合体を形成している形態のものである。水和物は、配位が水と行われている溶媒和物の具体的な一形態である。本発明の状況において好ましい溶媒和物は水和物である。
【0027】
また、さらに、本発明は、本発明の化合物のプロドラッグも包含する。用語「プロドラッグ」は、本明細書中では、それ自体は生物学的に活性であっても不活性であってもよいが、体内に存在している間に本発明の化合物に変換される(例えば、代謝または加水分解によって)化合物であると特定する。
【0028】
本発明の状況において、置換基の定義は、特に指定していない限り、以下のとおりである。
【0029】
本発明の状況において、(C〜C)−アルキルおよび(C〜C)−アルキルは、それぞれ、1〜6個および1〜4個の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖のアルキル原子団を表す。1〜4個の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖のアルキル原子団がより好ましい。より好ましい一例として、以下のもの:メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、2−ペンチル、3−ペンチル、ネオペンチル、n−ヘキシル、2−ヘキシルおよび3−ヘキシルが挙げられ得る。
【0030】
本発明の状況において、(C〜C12)−アルカンジイル、(C〜C)−アルカンジイル、(C〜C12)−アルカンジイルおよび(C〜C)−アルカンジイルは、それぞれ、1〜12個、1〜6個、2〜12個および2〜6個の炭素原子を有する直鎖α,ω−二価アルキル原子団を表す。より好ましい一例として、以下のもの:メチレン、エタン−1,2−ジイル(1,2−エチレン)、プロパン−1,3−ジイル(1,3−プロピレン)、ブタン−1,4−ジイル(1,4−ブチレン)、ペンタン−1,5−ジイル(1,5−ペンチレン)、ヘキサン−1,6−ジイル(1,6−ヘキシレン)、ヘプタン−1,7−ジイル(1,7−ヘキシレン)、オクタン−1,8−ジイル(1,8−オクチレン)、ノナン−1,9−ジイル(1,9−ノニレン)、デカン−1,10−ジイル(1,10−デシレン)、ウンデカン−1,11−ジイル(1,11−ウンデシレン)およびドデカン−1,12−ジイル(1,12−ドデシレン)が挙げられ得る。
【0031】
本発明の状況において、(C〜C)−シクロアルキルは、3〜6個の炭素原子を有する単環式の飽和シクロアルキル基を表す。より好ましい一例として、以下のもの:シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチルおよびシクロヘキシルが挙げられ得る。
【0032】
本発明の状況において、(C〜C)−アルコキシは、1〜4個の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖のアルコキシ原子団を表す。より好ましい一例として、以下のもの:メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、イソブトキシ、sec−ブトキシおよびtert−ブトキシが挙げられ得る。
【0033】
本発明の状況において、(C〜C)−アルコキシカルボニルは、カルボニル基[−C(=O)−]を介して結合される1〜4個の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖のアルコキシ原子団を表す。より好ましい一例として、以下のもの:メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、n−プロポキシカルボニル、イソプロポキシカルボニル、n−ブトキシカルボニルおよびtert−ブトキシカルボニルが挙げられ得る。
【0034】
本発明の状況において、モノ−(C〜C)−アルキルアミノは、1〜4個の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖のアルキル置換基を有するアミノ基を表す。より好ましい一例として、以下のもの:メチルアミノ、エチルアミノ、n−プロピルアミノ、イソプロピルアミノ、n−ブチルアミノおよびtert−ブチルアミノが挙げられ得る。
【0035】
本発明の状況において、多重に存在する原子団はすべて、互いに独立して定義される。本発明の化合物の原子団が置換型である場合、該原子団は、特に指定していない限り、1回以上置換されていてもよい。1つまたは2つの同一もしくは異なる置換基による置換が好ましい。特に好ましいのは1つの置換基による置換である。
【0036】
本発明の状況において、
が、水素、(C〜C)−アルキルまたは式Q−LもしくはQ−Lの基を表し、ここで、
は、窒素原子に対する結合点を表し、
は、ヒドロキシカルボニルまたは(C〜C)−アルコキシカルボニルを表し、
は、直鎖(C〜C12)−アルカンジイルを表し、ここで、(a)2個の炭素原子が、互いに1,3−もしくは1,4−の関係で架橋され、これらの間に存在する1個もしくは2個の炭素原子を含めてフェニル環を形成し得るか、または(b)互いに隣接していない3つまでのCH基が−O−で置き換えられ得、
は、ヒドロキシル、アミノまたはメチルアミノを表し、
は、直鎖(C〜C12)−アルカンジイルを表し、このアルカンジイルは、1個もしくは2個のメチルで置換されていてもよく、このアルカンジイル中の互いに隣接していない3つまでのCH基が−O−で置き換えられていてもよく、
が、メチルまたはヒドロキシルを表し、
が、水素を表し、
が、ベンジル、4−ヒドロキシベンジル、1−フェニルエチルもしくは1H−インドール−3−イルメチルを表すか、
または
とRが、両者が結合している炭素原子と一緒になって、式
【0037】
【化6】
の2−フェニルシクロプロパン−1,1−ジイル基を形成しており、式中の#は、分子のその他の部分に対する結合点を表し、
N−O基を含有している環Aが、式
【0038】
【化7】
の単環式または二環式の必要に応じて置換されている複素環を表し、式中、
**は、カルボニル基に対する結合点を表し、
は、水素、ヒドロキシルまたはベンジルオキシを表す、
式(I)の化合物、また、その塩および溶媒和物ならびに該塩の溶媒和物がより好ましい。
【0039】
本発明の状況において、
が、水素、メチルまたは式Q−LもしくはQ−Lの基を表し、ここで、
は、窒素原子に対する結合点を表し、
は、ヒドロキシカルボニル、メトキシカルボニルまたはエトキシカルボニルを表し、
は、直鎖(C〜C)−アルカンジイルを表し、このアルカンジイル中の2個の炭素原子が、互いに1,4−の関係で架橋され、これらの間に存在する2個の炭素原子を含めてフェニル環を形成し得、
は、ヒドロキシルまたはアミノを表し、
は、直鎖(C〜C)−アルカンジイルを表し、
が、メチルを表し、
が、水素を表し、
が、ベンジル、1−フェニルエチルもしくは1H−インドール−3−イルメチルを表すか、
または
とRが、両者が結合している炭素原子と一緒になって、式
【0040】
【化8】
の(1S,2R)−2−フェニルシクロプロパン−1,1−ジイル基を形成しており、式中、
#1は、隣接している窒素原子に対する結合点を表し、
#2は、カルボニル基に対する結合点を表し、
N−O基を含有している環Aが、式
【0041】
【化9】
の単環式または二環式の必要に応じて置換されている複素環を表し、式中、
**は、カルボニル基に対する結合点を表し、
は、水素、ヒドロキシルまたはベンジルオキシを表す、
式(I)の化合物、また、その塩および溶媒和物ならびに該塩の溶媒和物が特により好ましい。
【0042】
本発明の状況において、特に重要であるのは、式(I−A)
【0043】
【化10】
(式中、R、R、R、Rおよび環Aは上記に規定した意味を有し、原子団RとRを有するC炭素原子は、図示したS配置を有する)
の化合物、また、その塩および溶媒和物ならびに該塩の溶媒和物である。
【0044】
示した原子団のそれぞれの組合せとは独立して、原子団のそれぞれの組合せまたは好ましい組合せで示した具体的な原子団の定義は、他の組合せの原子団の定義でも置き換えられる。
【0045】
上記の好ましい範囲の2つ以上の組合せが特に非常により好ましい。
【0046】
さらに、本発明は、式(II)の化合物
【0047】
【化11】
(式中、Rは、上記に示した意味を有し、
PGは、例えば、(9H−フルオレン−9−イルメトキシ)カルボニル、tert−ブトキシカルボニルまたはベンジルオキシカルボニルなどのアミノ保護基を表す)
を、不活性溶媒中で、(II)のカルボキシル官能基の活性化を伴って、
[A]まず、式(III)の化合物
【0048】
【化12】
もしくはその塩とカップリングさせて式(IV)の化合物
【0049】
【化13】
(式中、RおよびPGは上記に示した意味を有する)
を得、次いで、この化合物を、不活性溶媒中で、カルボキシル官能基の活性化を伴って、式(V)
【0050】
【化14】
(式中、R、Rおよび環Aは上記に示した意味を有する)
の化合物もしくはこの化合物の塩とカップリングさせて式(VI)
【0051】
【化15】
(式中、R、R、R、環AおよびPGは上記に示した意味を有する)
の化合物を得るか、または
[B]式(VII)
【0052】
【化16】
(式中、R、Rおよび環Aは上記に示した意味を有する)
の化合物もしくはこの化合物の塩とカップリングさせて、同様に式(VI)
【0053】
【化17】
(式中、R、R、R、環AおよびPGは上記に示した意味を有したものである)
の化合物を得、
それぞれで得られる式(VI)の化合物を、次いで、慣用的なペプチド化学の方法によって脱保護し、本発明による式(I−B)
【0054】
【化18】
(式中、R、R、Rおよび環Aは上記に示した意味を有する)
の化合物を得、続いて、これを、所望により、(i)式(VIII)
1A−X (VIII)
(式中、
1Aは、上記に示したRの意味を有するが、水素を表すものではなく、
Xは、例えば、クロリド、ブロミド、ヨージド、メシラート、トリフラートもしくはトシラートなどの脱離基を表す)
の化合物を用いる塩基誘導性アルキル化によって本発明による式(I−C)
【0055】
【化19】
(式中、R1A、R、R、Rおよび環Aは上記に示した意味を有する)
の化合物に変換するか、
または(ii)式(IX)
【0056】
【化20】
(式中、
1Bは、上記に示したR1Aの意味を有するが、該アルキル鎖長はCH単位1つ分短い)
の化合物との適当な還元剤の存在下での反応によって式(I−D)
【0057】
【化21】
(式中、R1B、R、R、Rおよび環Aは上記に示した意味を有する)
の化合物に変換し、
この様式で得られる式(I−B)、(I−C)および(I−D)の化合物を、必要に応じて、そのエナンチオマーおよび/またはジアステレオマーに分離すること、および/または適切な(i)溶媒および/または(ii)塩基もしくは酸を用いてその溶媒和物、塩および/または該塩の溶媒和物に変換すること
を特徴とする、本発明による式(I)の化合物を調製するためのプロセスを提供する。
【0058】
上記カップリング反応(それぞれのアミンとカルボン酸成分からのアミドの形成)は、一般的に、慣用的なペプチド化学の方法によって行われる[例えば、M.Bodanszky,Principles of Peptide Synthesis,Springer−Verlag,Berlin,1993;M.BodanszkyおよびA.Bodanszky,The Practice of Peptide Synthesis,Springer−Verlag,Berlin,1984;H.−D.JakubkeおよびH.Jeschkeit,Aminosaeuren,Peptide,Proteine,Verlag Chemie,Weinheim,1982を参照のこと]。
【0059】
カップリング反応(II)+(III)→(IV)、(IV)+(V)→(VI)および(II)+(VII)→(VI)のための不活性溶媒は、例えば、エーテル(ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、tert−ブチルメチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、1,2−ジメトキシエタンもしくはビス−(2−メトキシエチル)エーテルなど)、炭化水素(ベンゼン、トルエン、キシレン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサンもしくは鉱油留分など)、ハロゲン化炭化水素(ジクロロメタン、トリクロロメタン、四塩化炭素、1,2−ジクロロエタン、トリクロロエチレンもしくはクロロベンゼンなど)、または双極性非プロトン性溶媒(アセトン、メチルエチルケトン、アセトニトリル、酢酸エチル、ピリジン、ジメチルスルホキシド(DMSO)、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMA)、N,N’−ジメチルプロピレン尿素(DMPU)もしくはN−メチルピロリジノン(NMP)など)である。また、かかる溶媒の混合物を使用することも可能である。N,N−ジメチルホルムアミドの使用がより好ましい。
【0060】
このようなカップリング反応のための好適な活性化剤/縮合剤は、例えば、カルボジイミド(N,N’−ジエチル−、N,N’−ジプロピル−、N,N’−ジイソプロピル−、N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)もしくはN−(3−ジメチルアミノイソプロピル)−N’−エチルカルボジイミド塩酸塩(EDC)など)、ホスゲン誘導体(N,N’−カルボニルジイミダゾール(CDI)もしくはクロロギ酸イソブチルなど)、1,2−オキサゾリウム化合物(2−エチル−5−フェニル−1,2−オキサゾリウム3−サルフェートもしくは2−tert−ブチル−5−メチルイソオキサゾリウムパークロレートなど)、アシルアミノ化合物(2−エトキシ−1−エトキシカルボニル−1,2−ジヒドロキノリンなど)、リン化合物(プロパンホスホン酸無水物、シアノリン酸ジエチル、ビス−(2−オキソ−3−オキサゾリジニル)ホスホリルクロリド、ベンゾトリアゾール−1−イルオキシトリス(ジメチルアミノ)ホスホニウムヘキサフルオロホスフェートもしくはベンゾトリアゾール−1−イルオキシトリス(ピロリジノ)ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート(PyBOP)など)、またはウロニウム(uranium)化合物(O−(ベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムテトラフルオロボレート(TBTU)、O−(ベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(HBTU)、2−(2−オキソ−1−(2H)−ピリジル)−1,1,3,3−テトラメチルウロニウムテトラフルオロボレート(TPTU)、O−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(HATU)もしくはO−(1H−6−クロロベンゾトリアゾール−1−イル)−1,1,3,3−テトラメチルウロニウムテトラフルオロボレート(TCTU)など)であり、適切な場合は、さらなる補助剤(1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt)もしくはN−ヒドロキシスクシンイミド(HOSu)など)と組み合わされ、適当な塩基は、アルカリ金属炭酸塩(例えば、炭酸ナトリウムもしくは炭酸カリウム)、または第三級アミン塩基(トリエチルアミン、N−メチルモルホリン、N−メチルピペリジン、N,N−ジイソプロピルエチルアミン、ピリジンもしくは4−N,N−ジメチルアミノピリジンなど)である。
【0061】
本発明の状況において、かかるカップリング反応に好ましく使用される活性化剤/縮合剤は、N−(3−ジメチルアミノイソプロピル)−N’−エチルカルボジイミド塩酸塩(EDC)(1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt)およびN,N−ジイソプロピルエチルアミンと組み合せて)、またはO−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(HATU)(同様に、N,N−ジイソプロピルエチルアミンと組み合せて)である。
【0062】
カップリング反応(II)+(III)→(IV)、(IV)+(V)→(VI)および(II)+(VII)→(VI)は、一般的に−20℃〜+60℃、好ましくは0℃〜+40℃の温度範囲で行われる。該反応は、大気圧で行っても、高圧下で行っても減圧下(例えば、0.5〜5バール)で行ってもよい;一般に、該反応は大気圧で行われる。
【0063】
反応(I−B)+(VIII)→(I−C)のための好適な不活性溶媒は、例えば、エーテル(ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、メチルtert−ブチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、1,2−ジメトキシエタンもしくはビス−(2−メトキシエチル)エーテルなど)、炭化水素(ベンゼン、トルエン、キシレン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサンもしくは鉱油留分など)、または双極性非プロトン性溶媒(アセトン、メチルエチルケトン、アセトニトリル、ジメチルスルホキシド(DMSO)、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMA)、N,N’−ジメチルプロピレン尿素(DMPU)、N−メチルピロリジノン(NMP)もしくはピリジンなど)である。また、かかる溶媒の混合物を使用することも可能である。N,N−ジメチルホルムアミドの使用が好ましい。
【0064】
このアルキル化反応のための好適な塩基は、特に、アルカリ金属水酸化物(例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウムもしくは水酸化カリウムなど)、アルカリ金属もしくはアルカリ土類金属の炭酸塩(炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸カルシウムもしくは炭酸セシウムなど)、または慣用的な有機アミン(トリエチルアミン、N−メチルモルホリン、N−メチルピペリジン、N,N−ジイソプロピルエチルアミン、ピリジンもしくは4−N,N−ジメチルアミノピリジンなど)である。炭酸カリウムまたは炭酸セシウムの使用が好ましい。適切な場合は、アルキル化触媒(例えば、臭化リチウムまたはヨウ化リチウム、ヨウ化ナトリウムまたはヨウ化カリウム、テトラ−n−ブチルアンモニウムブロミドまたはテトラ−n−ブチルアンモニウムヨージドまたはベンジルトリエチルアンモニウムブロミドなど)の添加が好都合である。
【0065】
反応(I−B)+(VIII)→(I−C)は、一般的に−20℃〜+60℃、好ましくは0℃〜+40℃の温度範囲で行われる。該反応は、大気圧で行っても、高圧下で行っても減圧下(例えば、0.5〜5バール)で行ってもよい;一般に、該反応は大気圧で行われる。
【0066】
反応(I−B)+(IX)→(I−D)は、還元的アミノ化において慣用のものでありかつ反応条件下で不活性な溶媒中で、適切な場合は、触媒としての酸および/または脱水剤の存在下で行われる。かかる溶媒としては、例えば、アルコール(メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノールもしくはtert−ブタノールなど)、エーテル(テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、1,2−ジメトキシエタンもしくはビス−(2−メトキシ-エチル)エーテルなど)、または他の溶媒(ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、N,N−ジメチルホルムアミドあるいは水など)が挙げられる。また、このような溶媒の混合物を使用することも可能である。好ましくは、使用される溶媒は、触媒として酢酸または希塩酸を添加した1,4−ジオキサン/水混合物である。
【0067】
この反応のための好適な還元剤は、特に、水素化ホウ素の錯体、例えば、水素化ホウ素ナトリウム、シアノ水素化ホウ素ナトリウム、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウムまたはテトラ−n−ブチルアンモニウムボロヒドリドなどである。シアノ水素化ホウ素ナトリウムの使用が好ましい。
【0068】
反応(I−B)+(IX)→(I−D)は、一般的に0℃〜+120℃、好ましくは+50℃〜+100℃の温度範囲で行われる。該反応は、大気圧で行っても、高圧下で行っても減圧下(例えば、0.5〜5バール)で行ってもよい;一般に、該反応は大気圧で行われる。
【0069】
また、原子団R、R1A、R1B、R、R、Rおよび/またはRに存在している任意の官能基(特に、アミノ、ヒドロキシルおよびカルボキシル基など)は、有用な場合または必要な場合、上記のプロセス工程中、一時的に保護された形態で存在してもよい。このような場合、かかる保護基は、ペプチド化学で知られた慣用的な方法にしたがって導入され、除去される[例えば、T.W.GreeneおよびP.G.M.Wuts,Protective Groups in Organic Synthesis,Wiley,New York,1999;M.BodanszkyおよびA.Bodanszky,The Practice of Peptide Synthesis,Springer−Verlag,Berlin,1984を参照のこと]。保護された基が2つ以上存在する場合、これらは、必要に応じて、ワンポット反応で同時に再び遊離させてもよく、あるいは別々の反応工程で再び遊離させてもよい。
【0070】
アミノ保護基として、tert−ブトキシカルボニル(Boc)、ベンジルオキシカルボニル(Z)または(9H−フルオレン−9−イルメトキシ)カルボニル(Fmoc)を使用することが好ましく;ヒドロキシルまたはカルボキシル官能基には、tert−ブチルまたはベンジルを保護基として使用することが好ましい。tert−ブチルまたはtert−ブトキシカルボニル基の除去は、典型的には、不活性溶媒(例えば、ジエチルエーテル、1,4−ジオキサン、ジクロロメタンまたは酢酸)中で、強酸(塩化水素、臭化水素またはトリフルオロ酢酸など)での処理によって達成される;また、この反応を、必要に応じて、不活性溶媒の添加なしで行ってもよい。保護基としてベンジルまたはベンジルオキシカルボニルの場合、この基は、好ましくは、適当なパラジウム触媒(例えば、パラジウム担持活性炭など)の存在下での水素化分解によって除去する。(9H−フルオレン−9−イルメトキシ)カルボニル基は、一般的に、第二級アミン塩基(ジエチルアミンまたはピペリジンなど)を用いて除去される。
【0071】
式(II)の化合物は、慣用的なペプチド化学の方法によって、例えば、まず、式(X)
【0072】
【化22】
(式中、Zは、ベンジルオキシカルボニル保護基を表す)
のN−(ベンジルオキシカルボニル)−L−バリンを、縮合剤の補助を伴って、式(XI)
【0073】
【化23】
(式中、Tは、(C〜C)−アルキルを表す)
の化合物またはこの化合物の塩とカップリングさせて式(XII)
【0074】
【化24】
(式中、TおよびZは上記に示した意味を有する)
の化合物を得、
次いで、Z保護基の水素化分解的除去後、この化合物を、縮合剤の存在下で、式(XIII)
【0075】
【化25】
(式中、Rは上記に示した意味を有し、
PGは、例えば、(9H−フルオレン−9−イルメトキシ)カルボニル、tert−ブトキシカルボニルまたはベンジルオキシカルボニルなどのアミノ保護基を表す)
のN−保護されたN−メチル−L−バリンまたはN−メチル−L−トレオニンとカップリングさせて式(XIV)
【0076】
【化26】
(式中、R、PGおよびTは上記に示した意味を有する)
の化合物を得、
最後に、(XIV)のエステル基−C(O)OTを慣用的な方法によって遊離カルボン酸に変換することにより、調製され得る。
【0077】
カップリング反応(X)+(XI)→(XII)およびZ−脱保護(XII)+(XIII)→(XIV)は、方法[A]および[B]のカップリング工程において上記のものと同様の反応条件下で行われる。
【0078】
プロセス工程(XIV)→(II)におけるエステル基−C(O)OTの加水分解は、慣用的な方法によって、エステルを不活性溶媒中にて酸または塩基で処理することにより行われ、ここで、後者の変形型では、最初に形成されたカルボン酸塩を、次に酸を添加することによって遊離カルボン酸に変換する。tert−ブチルエステルの場合、該切断は、好ましくは酸を用いて行われる。
【0079】
ここで、化合物(XI)のアルキル原子団Tは、その除去条件が化合物(XIII)のそれぞれの保護基PGと適合するように選択される。
【0080】
該エステル加水分解のための好適な塩基は慣用的な無機塩基である。このようなものとしては、特に、アルカリ金属もしくはアルカリ土類金属の水酸化物(例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムもしくは水酸化バリウムなど)、またはアルカリ金属もしくはアルカリ土類金属の炭酸塩(炭酸ナトリウム、炭酸カリウムもしくは炭酸カルシウムなど)が挙げられる。水酸化リチウム、水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムがより好ましい。
【0081】
該エステルの切断のための好適な酸は、一般に、硫酸、塩化水素/塩酸、臭化水素/臭化水素酸、リン酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸もしくはトリフルオロメタンスルホン酸またはその混合物であり、適切な場合は水の添加を伴う。tert−ブチルエステルの場合は塩化水素またはトリフルオロ酢酸、およびメチルエステルの場合は塩酸が好ましい。
【0082】
この反応に適した不活性溶媒は、水、またはエステルの切断において慣用の有機溶媒である。このようなものとしては、好ましくは、低級アルコール(メタノール、エタノール、n−プロパノールもしくはイソプロパノールなど)、エーテル(ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサンもしくは1,2−ジメトキシエタンなど)、または他の溶媒(ジクロロメタン、アセトン、メチルエチルケトン、N,N−ジメチルホルムアミドもしくはジメチルスルホキシドなど)が挙げられる。また、このような溶媒の混合物を使用することも可能である。塩基性エステル加水分解の場合、水と1,4−ジオキサン、テトラヒドロフラン、メタノール、エタノールおよび/またはジメチルホルムアミドとの混合物の使用が好ましい。トリフルオロ酢酸を用いた反応の場合はジクロロメタンの使用がより好ましく、塩化水素を用いた反応の場合はテトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、1,4−ジオキサンまたは水の使用が好ましい。
【0083】
該エステルの切断は、一般的に−20℃〜+100℃、好ましくは0℃〜+50℃の温度範囲で行われる。
【0084】
式(V)の化合物は、既知の方法と同様に、例えば、式(XV)
【0085】
【化27】
(式中、RとRは上記に示した意味を有し、Bocは、tert−ブトキシカルボニル保護基を表す)
の保護されたアミノ酸を、カルボキシル官能基の活性化を伴って、
[C]式(XVI)
【0086】
【化28】
(式中、環Aは上記に示した意味を有する)
の化合物もしくはこの化合物の塩とカップリングさせて式(XVII)
【0087】
【化29】
(式中、R、R、環AおよびBocは上記に示した意味を有する)
の化合物を得るか、
または
[D]まず、ヒドロキシルアミンもしくはその塩とカップリングさせて式(XVIII)
【0088】
【化30】
(式中、R、RおよびBocは上記に示した意味を有する)
の化合物を得、次いで、この化合物を塩基の存在下で式(XIX)
【0089】
【化31】
(式中、連結基A’は、上記に規定した環Aのその他の必要に応じて置換されている要素(N−O基以外)に対応する)
の二臭化物を用いてアルキル化し、環化により、同様に、
式(XVII)
【0090】
【化32】
(式中、R、R、環AおよびBocは上記に示した意味を有する)
の化合物を得、次いで、(XVII)のBoc保護基を慣用的な様式で酸での処理によって除去すること
のいずれかにより調製され得る。
【0091】
カップリング反応(XV)+(XVI)→(XVII)および(XV)+ヒドロキシルアミン→(XVIII)は、プロセス[A]および[B]のカップリング工程において上記のものと同様の反応条件下で行われる。
【0092】
プロセス工程(XVIII)+(XIX)→(XVII)におけるシクロアルキル化に使用される塩基は、好ましくは、アルカリ金属水酸化物、例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウムもしくは水酸化カリウムなど)、またはアルカリ金属もしくはアルカリ土類金属の炭酸塩(炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸カルシウムもしくは炭酸セシウムなど)である。
【0093】
この反応のための好適な不活性溶媒は、特に、アルコール(メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノールもしくはtert−ブタノールなど)、または双極性非プロトン性溶媒(アセトン、メチルエチルケトン、N,N−ジメチルホルムアミドもしくはジメチルスルホキシドなど)である。アセトンの使用が好ましい。
【0094】
反応(XVIII)+(XIX)→(XVII)は、一般的に+20℃〜+120℃、好ましくは+50℃〜+80℃の温度範囲で行われる。該反応は、大気圧で行っても、高圧下で行っても減圧下(例えば、0.5〜5バール)で行ってもよい;一般に、該反応は大気圧で行われる。
【0095】
一部では、式(VII)の化合物は、上記化合物(V)を化合物(XX)
【0096】
【化33】
(式中、Bocは、tert−ブトキシカルボニル保護基を表す)
とカップリングさせて式(XXI)
【0097】
【化34】
(式中、R、R、環AおよびBocは上記に示した意味を有する)
の化合物を得、続いてBoc保護基を除去することにより得られ得る。一部では、化合物(XX)は、化合物(III)から、適切な保護基を導入することにより得られ得る。
【0098】
カップリング反応(V)+(XX)→(XXI)は、この場合も、プロセス[A]および[B]のカップリング工程において上記のものと同様の条件下で行われる。
【0099】
式(III)、(VIII)、(IX)、(X)、(XI)、(XIII)、(XV)、(XVI)および(XIX)の化合物(適切な場合は、そのキラル形態またはジアステレオマー形態を含む)は、市販のものであるか、または文献にそのようなものとして記載されたものであるか、または当業者に自明の経路によって文献に公開された方法と同様に調製され得る。また、出発物質の調製に関する数多くの包括的教授、また文献情報を実験のセクション、出発化合物および中間体の調製に関するセクションにも示している。
【0100】
また、適切な、異性体として純粋な出発物質が入手可能でない場合、本発明による化合物の対応するエナンチオマーおよび/またはジアステレオマーへの分離を、便宜的に早ければ化合物(V)、(VI)、(VII)、(XV)、(XVI)、(XVII)、(XVIII)または(XXI)の段階で行い、次いで、該化合物をさらに、分離した形態で上記の反応工程に従って反応させるのがよい。立体異性体のかかる分離は、当業者に知られた慣用的な方法によって行われ得る。アキラルまたはキラル分離相でのクロマトグラフィープロセスの使用が好ましく;中間体が遊離カルボン酸の場合は、択一的に、キラル塩基の補助を伴ったジアステレオマーの塩の分離でもよい。
【0101】
本発明による化合物の調製は、以下の反応スキームによる例示的な様式で図示することができる。
【0102】
スキーム1
【0103】
【化35】
スキーム2
【0104】
【化36】
スキーム3
【0105】
【化37】
スキーム4
【0106】
【化38】
本発明による化合物は、有用な薬理学的特性を有し、ヒトおよび動物の障害の予防および処置に使用され得る。
【0107】
モノメチルアウリスタチンF(MMAF)と比較すると、本発明による化合物は、かなり強い細胞傷害活性を有し、さらに、既知のMMAFエステル誘導体(MMAF−OMeなど)と比較すると、血漿中で有意に高い安定性を有する。したがって、この特性プロフィールに基づき、本発明による化合物は一般に、ある特定の度合までヒトおよび哺乳動物の過剰増殖性疾患処置に適している。該化合物は、一方で、細胞増殖および細胞分裂を抑止、阻止、低減または低下させ得、他方で、アポトーシスを増大させ得るものである。
【0108】
本発明による化合物が使用され得る処置の対象の過剰増殖性障害としては、特に、がんおよび腫瘍疾患の群が挙げられる。本発明の状況において、これは、特に、限定されないが以下の障害:乳癌および乳腺腫瘍(腺管型および小葉型、またインサイチュ)、気道の腫瘍(小細胞癌および非小細胞癌、気管支癌)、脳腫瘍(例えば、脳幹のもの、および視床下部のもの、星状細胞腫、髄芽腫、脳室上衣腫ならびに神経外胚葉性腫瘍および松果体部の腫瘍)、消化器官(食道、胃、胆嚢、小腸、大腸、直腸)の腫瘍、肝臓腫瘍(例えば、肝細胞癌、胆管細胞癌および肝細胞癌と胆管細胞癌の混合型)、頭頚部領域(喉頭、下咽頭、鼻咽頭、中咽頭、唇および口腔)の腫瘍、皮膚の腫瘍(扁平上皮癌、カポジ肉腫、悪性黒色腫、メルケル細胞皮膚がんおよび非黒色腫皮膚がん)、軟質組織の腫瘍(例えば、軟質組織肉腫、骨肉腫、悪性線維性組織球腫、リンパ肉腫および横紋筋肉腫)、目の腫瘍(例えば、眼内黒色腫および網膜芽)、内分泌腺および外分泌腺(例えば、甲状腺および副甲状腺、膵臓ならびに唾液腺)の腫瘍、尿路の腫瘍(膀胱、陰茎、腎臓、腎盂および尿管の腫瘍)ならびに生殖器官の腫瘍(女性の子宮内膜、子宮頸部、卵巣、膣、外陰部および子宮の癌ならびに男性の前立腺および精巣の癌)を意味すると理解されたい。また、このような障害としては、充実性形態の、および循環血液細胞としての増殖性血液障害、例えば、リンパ腫、白血病ならびに骨髄増殖性疾患、例えば、急性骨髄性、急性リンパ芽球性、慢性リンパ性、慢性骨髄性およびヘアリーセル白血病、また、AIDS相関性リンパ腫、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、皮膚T細胞リンパ腫、バーキットリンパ腫および中枢神経系のリンパ腫も挙げられる。
【0109】
これらの充分に記載されたヒトの疾患は、他の哺乳動物においても同等の病因で発生することがあり得、その場合も本発明の化合物で処置され得る。
【0110】
本発明の状況において、用語「処置」または「処置する」は慣用的な意味で用いており、疾患または健康異常に対処する、低減させる、減衰させる、または緩和する目的、およびこの疾患(例えば、がん性障害など)で害される生活状態を改善する目的で、患者を世話する、面倒を見る、および看護することを意味する。
【0111】
さらに、本発明は、障害、特に上記障害の処置および/または予防のための本発明による化合物の使用を提供する。
【0112】
さらに、本発明は、障害、特に上記障害の処置および/または予防のための医薬の調製のための本発明による化合物の使用を提供する。
【0113】
さらに、本発明は、疾患、特に前述の疾患の処置および/または予防のための方法における本発明による化合物の使用を提供する。
【0114】
さらに、本発明は、有効量の少なくとも1種類の本発明による化合物を用いた、障害、特に上記障害の処置および/または予防のための方法を提供する。
【0115】
本発明による化合物は、それだけで使用してもよく、必要に応じて1種類以上の他の薬理学的に活性な物質と組み合わせて使用してもよい(この組み合わせが、不要で許容され得ない副作用をもたらすものでない限り)。したがって、本発明は、さらに、特に、前述の障害の処置および/または予防のための、本発明による化合物の少なくとも1種類と1種類以上のさらなる薬物とを含む医薬を提供する。
【0116】
例えば、本発明の化合物は、がん性障害の処置のための既知の抗過剰増殖性物質、細胞増殖抑制性物質または細胞傷害性物質と組み合わされ得る。一例として挙げられ得る、組み合わせるのに好適な薬物は以下のもの:
アルデスロイキン、アレンドロン酸、アルファフェロン(alfaferone)、アリトレノイン、アロプリノール、アロプリム(aloprim)、アロキシ、アルトレタミン、アミノグルテチミド、アミホスチン、アムルビシン、アムサクリン、アナストロゾール、アンズメト(anzmet)、アラネスプ、アルグラビン、三酸化ヒ素、アロマシン、5−アザシチジン、アザチオプリン、BCGまたはタイスBCG、ベスタチン、酢酸ベタメタゾン、ベタメタゾンリン酸ナトリウム、ベキサロテン、硫酸ブレオマイシン、ブロクスウリジン、ボルテゾミブ、ブスルファン、カルシトニン、キャンパス、カペシタビン、カルボプラチン、カソデックス、セフェゾン(cefesone)、セルモロイキン、セルビジン、クロラムブシル、シスプラチン、クラドリビン、クロドロン酸、シクロホスファミド、シタラビン、ダカルバジン、ダクチノマイシン、ダウノキソーム、デカドロン、デカドロンリン酸、デレストロジェン、デニロイキンジフチトックス、デポメドロール、デスロレリン、デクスラゾキサン、ジエチルスチルベストロール、ジフルカン、ドセタキセル、ドキシフルリジン、ドキソルビシン、ドロナビノール、DW−166HC、エリガード、エリテック、エレンス(ellence)、エメンド(emend)、エピルビシン、エポエチン−α、エポジェン、エプタプラチン、エルガミソール、エストレース、エストラジオール、リン酸エストラムスチンナトリウム、エチニルエストラジオール、エチヨル、エチドロン酸、エトプロホス(Etopophos)、エトポシド、ファドロゾール、ファルストン(farstone)、フィルグラスチム、フィナステリド、フィルグラスチム(fligrastim)、フロクスウリジン、フルコナゾール、フルダラビン、5−フルオロデオキシウリジンモノホスフェート、5−フルオロウラシル(5−FU)、フルオキシメステロン、フルタミド、フォルメスタン、フォステアビン(fosteabine)、フォテムスチン、フルベストラント、ガンマガード、ゲムシタビン、ゲムツズマブ、グリベック、グリアデル、ゴセレリン、塩酸グラニセトロン、ヒストレリン、ハイカムチン、ヒドロコルトン、エリトロ−ヒドロキシノニルアデニン、ヒドロキシ尿素、イブリツモマブチウキセタン、イダルビシン、イホスファミド、インターフェロン−α、インターフェロン−α−2、インターフェロン−α−2α、インターフェロン−α−2β、インターフェロン−α−n1、インターフェロン−α−n3、インターフェロン−β、インターフェロン−γ−1α、インターロイキン−2、イントロンA、イレッサ、イリノテカン、カイトリル、硫酸化レンチナン、レトロゾール、ロイコボリン、ロイプロリド、酢酸ロイプロリド、レバミソール、レボホリン酸カルシウム塩、レボチロイド、レボキシル、ロムスチン、ロニダミン、マリノール、メクロレタミン、メコバラミン、酢酸メドロキシプロゲステロン、酢酸メゲストロール、メルファラン、メネスト、6−メルカプトプリン、メスナ、メトトレキサート、メトビクス(Metvix)、ミルテホシン、ミノサイクリン、マイトマイシンC、ミトタン、ミトキサントロン、モドレナル、ミオセット、ネダプラチン、ニューラスタ、ニューメガ、ニューポジェン、ニルタミド、ノルバデックス、NSC−631570、OCT−43、オクトレオチド、塩酸オンダンセトロン、オラプレド、オキサリプラチン、パクリタキセル、ペジアプレド、ペガスパルガーゼ、ペガシス、ペントスタチン、ピシバニール、塩酸ピロカルピン、ピラルビシン、プリカマイシン、ポルフィマーナトリウム、プレドニムスチン、プレドニゾロン、プレドニゾン、プレマリン、プロカルバジン、プロクリット、ラルチトレキセド、レビフ、レニウム−186エチドロネート、リツキシマブ、ロフェロン−A、ロムルチド、サラジェン、サンドスタチン、サルグラモスチム、セムスチン、シゾフィラン、ソブゾキサン、ソル・メドロール、ストレプトゾシン、塩化ストロンチウム−89、シンチロイド、タモキシフェン、タムスロシン、タソネルミン、タストラクトン、タキソテール、テセロイキン、テモゾロミド、テニポシド、プロピオン酸テストステロン、テストレド、チオグアニン、チオテパ、チロトロピン、チルドロン酸、トポテカン、トレミフェン、トシツモマブ、トラスツズマブ、トレオスルファン(teosulfan)、トレチノイン、トレキサル(Trexall)、トリメチルメラミン、トリメトレキサート、酢酸トリプトレリン、パモ酸トリプトレリン、UFT、ウリジン、バルルビシン、ベスナリノン、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシン、ビノレルビン、ビルリジン、ジネカルド、ジノスタチンスチマラマー、ゾフラン;ABI−007、アコルビフェン、アクティミューン、アフィニタク(Affinitak)、アミノプテリン、アルゾキシフェン、アソプリスニル、アタメスタン、アトラセンタン、アバスチン、BAY 43−9006(ソラフェニブ)、CCI−779、CDC−501、セレブレックス、セツキシマブ、クリスナトール、酢酸シプロテロン、デシタビン、DN−101、ドキソルビシン−MTC、dSLIM、デュタステリド、エドテカリン、エフロルニチン、エクサテカン、フェンレチニド、ヒスタミン二塩酸塩、ヒストレリンハイドロゲル埋入物、ホルミウム−166 DOTMP、イバンドロン酸、インターフェロンγ、イントロンPEG、イクサベピロン、キーホールリンペットヘモシアニン、L−651582、ランレオチド、ラソフォキシフェン、リブラ、ロナファルニブ、ミプロキシフェン、ミノドロネート、MS−209、リポソームMTP−PE、MX−6、ナファレリン、ネモルビシン、ネオバスタット、ノラトレキセド、オブリメルセン、オンコ−TCS、オシデム、ポリグルタメート化パクリタキセル、パミドロン酸二ナトリウム、PN−401、QS−21、クアゼパム、R−1549、ラロキシフェン、ランピルナーゼ、13−シス−レチノイン(retic)酸、サトラプラチン、セオカルシトール、T−138067、タルセバ、タキソプレキシン、チモシン−α−1、チアゾフリン、チピファルニブ、チラパザミン、TLK−286、トレミフェン、トランスMID−107R、バルスポダール、バプレオチド、バタラニブ、ベルテポルフィン、ビンフルニン、Z−100、ゾレドロン酸およびこれらの組合せである。
【0117】
好ましい実施形態では、本発明の化合物は抗過剰増殖剤と組み合わされ得、抗過剰増殖剤は、一例として、以下のもの(この列挙に確定されない):
アミノグルテチミド、L−アスパラギナーゼ、アザチオプリン、5−アザシチジン、ブレオマイシン、ブスルファン、カルボプラチン、カルムスチン、クロラムブシル、シスプラチン、コラスパーゼ(colaspase)、シクロホスファミド、シタラビン、ダカルバジン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、ジエチルスチルベストロール、2’,2’−ジフルオロデオキシシチジン、ドセタキセル、ドキソルビシン(アドリアマイシン)、エピルビシン、エポチロンおよびその誘導体、エリトロ−ヒドロキシノニルアデニン、エチニルエストラジオール、エトポシド、リン酸フルダラビン、5−フルオロデオキシウリジン、5−フルオロデオキシウリジンモノホスフェート、5−フルオロウラシル、フルオキシメステロン、フルタミド、ヘキサメチルメラミン、ヒドロキシ尿素、カプロン酸ヒドロキシプロゲステロン、イダルビシン、イホスファミド、インターフェロン、イリノテカン、ロイコボリン、ロムスチン、メクロレタミン、酢酸メドロキシプロゲステロン、酢酸メゲストロール、メルファラン、6−メルカプトプリン、メスナ、メトトレキサート、マイトマイシンC、ミトタン、ミトキサントロン、パクリタキセル、ペントスタチン、N−ホスホノアセチルL−アスパルテート(PALA)、プリカマイシン、プレドニゾロン、プレドニゾン、プロカルバジン、ラロキシフェン、セムスチン、ストレプトゾシン、タモキシフェン、テニポシド、プロピオン酸テストステロン、チオグアニン、チオテパ、トポテカン、トリメチルメラミン、ウリジン、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシンおよびビノレルビンであり得る。
【0118】
また、本発明の化合物は、非常に有望な様式で生物学的治療剤、例えば、抗体(例えば、アバスチン、リツキサン、エルビタックス、ハーセプチン)と組み合わされ得る。また、本発明の化合物により、血管新生に対して指向される治療剤、例えば、アバスチン、アキシチニブ、レセンチン(recentin)、レゴラフェニブ、ソラフェニブまたはスニチニブなどと組み合せてプラスの効果が達成され得る。プロテアソームの阻害剤およびmTORの阻害剤との組合せ、また、抗ホルモン剤およびステロイド代謝酵素阻害剤との組合せも同様に、その有利な副作用プロフィールのため特に好適である。
【0119】
一般的に、本発明の化合物と、細胞増殖抑制作用または細胞傷害作用を有する他の剤との組合せには、以下の目的:
・腫瘍の成長の遅らせること、その大きさの縮小させること、またはさらには、個々の薬物での処置と比べたときのそれを完全に除去することにおける活性の改善;
・単独療法よりも少ない投薬量での化学療法剤の使用の可能性;
・個々の投与と比べて副作用が少ないより耐容性の治療の可能性;
・より広範な腫瘍疾患の処置の可能性;
・治療に対するより高い応答速度の達成;
・今日の標準的な治療と比べて患者の生存期間の長期化
を追求するものであり得る。
【0120】
さらに、本発明による化合物はまた、放射線療法および/または外科的介入と組み合わせて使用してもよい。
【0121】
さらに、本発明は、少なくとも1種類の本発明による化合物を、慣用的に1種類以上の不活性で無毒性の医薬に適した賦形剤と一緒に含む医薬、および前述の目的でのその使用を提供する。
【0122】
本発明の化合物は、全身および/または局所に作用するものであり得る。該化合物は、この目的に好適な様式で、例えば、経口、非経口、経肺、経鼻、舌下、舌経由、口腔内、経直腸、経真皮、経皮、経結膜、経耳などで、または埋入物として、もしくはステントで投与され得る。
【0123】
本発明による化合物は、このような投与経路のための適当な投与形態で投与され得る。
【0124】
先行技術に従って機能を果たし、本発明の化合物を急速に、および/または改良された様式で放出し、かつ結晶性および/または非晶質および/または溶解形態の本発明の化合物を内包する投与形態、例えば、錠剤(非コートもしくはコート錠剤、例えば、胃液に抵抗性であるか、もしくは遅延様式で溶解するか、もしくは不溶性であり、本発明の化合物の放出を制御するコーティングを有するもの)、フィルム製剤/オブラート(oblate)もしくは錠剤(これは、口腔内で急速に崩壊する)、フィルム製剤/凍結乾燥製剤、カプセル剤(例えば、硬質もしくは軟質ゼラチンカプセル剤)、フィルムコート錠剤、顆粒剤、ペレット剤、散剤、エマルジョン剤、懸濁剤、エーロゾル剤または液剤などが経口投与に適している。
【0125】
非経口投与は、吸収工程の迂回を伴って(例えば、静脈内、動脈内、心臓内、脊髄内もしくは腰椎内(intralumbally))、または吸収の包含を伴って(例えば、筋肉内、皮下、皮内、経皮もしくは腹腔内)行われ得る。非経口投与に適した投与形態としては、液剤、懸濁剤、エマルジョン剤、凍結乾燥製剤または滅菌粉末剤の形態の注射製剤および注入製剤が挙げられる。
【0126】
他の投与経路には、例えば、吸入医薬形態(例えば、粉末剤吸入器、ネブライザ)、点鼻薬、液剤もしくはスプレー剤、錠剤、フィルム製剤/オブラートもしくはカプセル剤(舌経由、舌下もしくは口腔内投与用)、坐剤、耳用もしくは目用の調製物、経膣カプセル剤、水性懸濁剤(ローション剤、振って使用する混合物)、親油性懸濁剤、軟膏、クリーム剤、経皮治療系(例えば、貼付剤)、乳剤、ペースト剤、フォーム剤、散布粉末剤、埋入物またはステントが適している。
【0127】
経口および非経口投与、特に、経口および静脈内投与が好ましい。
【0128】
本発明による化合物は、記載の投与形態に変換させることができる。これは、それ自体は既知の様式で、不活性で無毒性の医薬に適した賦形剤と混合することにより行われ得る。このような賦形剤としては、とりわけ、担体物質(例えば、微結晶性セルロース、ラクトース、マンニトール)、溶媒(例えば、液状ポリエチレングリコール)、乳化剤および分散化剤もしくは湿潤剤(例えば、ドデシル硫酸ナトリウム、ポリオキシソルビタンオレエート)、結合剤(例えば、ポリビニルピロリドン)、合成および天然ポリマー(例えば、アルブミン)、安定剤(例えば、酸化防止剤(例えば、アスコルビン酸など))、着色剤(例えば、無機顔料(例えば、酸化鉄など))ならびに矯味剤および/または矯臭剤が挙げられる。
【0129】
一般に、非経口投与の場合、有効な結果を得るのに約0.001〜1mg/kg体重、好ましくは約0.01〜0.5mg/kg体重の量を投与するのが好都合であることがわかった。経口投与の場合、投薬量は、約0.01〜100mg/kg体重、好ましくは約0.01〜20mg/kg体重、特に非常に好ましくは0.1〜10mg/kg体重である。
【0130】
そうはいうものの、特に、体重、投与経路、活性化合物に対する個々の挙動、製剤の性質および投与が行われる時点または期間に応じて、記載の量からの逸脱が必要な場合があり得る。したがって、一部の場合では、前述の最小量より少なくてもマネージメントに充分であり得るが、他の場合では、記載の上限を超えなければならない。比較的多くの量が投与される場合、この量を、その日中で数回の個々の用量に分配することが推奨され得る。
【0131】
以下の作業実施例は本発明を例示する。本発明は該実施例に限定されない。
【0132】
以下の試験および実施例におけるパーセンテージの数字は、特に記載のない限り、重量基準のパーセンテージであり;部は重量部である。液体/液体溶液の溶媒の比率、希釈率および濃度のデータは、各場合において容量基準である。
【実施例】
【0133】
A.実施例
略語および頭字語:
【0134】
【数1】
【0135】
【数2】
HPLCおよびLC−MS法:
方法1(LC−MS):
機器:Waters Acquity SQD UPLC System;カラム:Waters Acquity UPLC HSS T3 1.8μ 50mm×1mm;移動相A:1lの水+0.25mlの99%強度のギ酸,移動相B:1lのアセトニトリル+0.25mlの99%強度のギ酸;勾配:0.0分 90%A→1.2分 5%A→2.0分 5%A;流速:0.40ml/分;オーブン:50℃;UV検出:210〜400nm。
【0136】
方法2(LC−MS):
機器:Waters UPLC Acquityを備えたMicromass QuattroPremier;カラム:Thermo Hypersil GOLD 1.9μ 50mm×1mm;移動相A:1lの水+0.5mlの50%強度のギ酸,移動相B:1lのアセトニトリル+0.5mlの50%強度のギ酸;勾配:0.0分 90%A→0.1分 90%A→1.5分 10%A→2.2分 10%A;流速:0.33ml/分;オーブン:50℃;UV検出:210nm。
【0137】
方法3(LC−MS):
機器:HPLC Agilent Serie 1100を備えたMicromass Quattro Micro MS;カラム:Thermo Hypersil GOLD 3μ 20mm×4mm;移動相A:1lの水+0.5mlの50%強度のギ酸,移動相B:1lのアセトニトリル+0.5mlの50%強度のギ酸;勾配:0.0分 100%A→3.0分 10%A→4.0分 10%A→4.01分 100%A(流速2.5ml/分)→5.00分 100%A;オーブン:50℃;流速:2ml/分;UV検出:210nm。
【0138】
方法4(LC−MS):
MS機器の型:Micromass ZQ;HPLC機器の型:HP 1100シリーズ;UV DAD;カラム:Phenomenex Gemini 3μ 30mm×3.00mm;移動相A:1lの水+0.5mlの50%強度のギ酸,移動相B:1lのアセトニトリル+0.5mlの50%強度のギ酸;勾配:0.0分 90%A→2.5分 30%A→3.0分 5%A→4.5分 5%A;流速:0.0分 1ml/分→2.5分/3.0分/4.5分 2ml/分;オーブン:50℃;UV検出:210nm。
【0139】
方法5(HPLC):
機器:HP 1090 Serie II;カラム:Merck Chromolith SpeedROD RP−18e,50mm×4.6mm;プレカラム:Merck Chromolith Guard Cartridge Kit RP−18e,5mm×4.6mm;インジェクション容量:5μl;移動相A:70%HClO含有水(4ml/リットル),移動相B:アセトニトリル;勾配:0.00分 20%B→0.50分 20%B→3.00分 90%B→3.50分 90%B→3.51分 20%B→4.00分 20%B;流速:5ml/分;カラム温度:40℃。
【0140】
方法6(HPLC):
機器:DAD 996を備えたWaters 2695;カラム:Merck Chromolith SpeedROD RP−18e,50mm×4.6mm;プレカラム:Merck Chromolith Guard Cartridge Kit RP−18e,5mm×4.6mm;移動相A:70%HClO含有水(4ml/リットル),移動相B:アセトニトリル;勾配:0.00分 5%B→0.50分 5%B→3.00分 95%B→4.00分 95%B;流速:5ml/分。
【0141】
方法7(LC−MS):
MS機器の型:Waters ZQ;HPLC機器の型:Agilent 1100シリーズ;UV DAD;カラム:Thermo Hypersil GOLD 3μ 20mm×4mm;移動相A:1lの水+0.5mlの50%強度のギ酸,移動相B:1lのアセトニトリル+0.5mlの50%強度のギ酸;勾配:0.0分 100%A→3.0分 10%A→4.0分 10%A→4.1分 100%A(流速2.5ml/分);オーブン:55℃;流速:2ml/分;UV検出:210nm。
【0142】
方法8(LC−MS):
MS機器の型:Waters ZQ;HPLC機器の型:Agilent 1100シリーズ;UV DAD;カラム:Thermo Hypersil GOLD 3μ 20mm×4mm;移動相A:1lの水+0.5mlの50%強度のギ酸,移動相B:1lのアセトニトリル+0.5mlの50%強度のギ酸;勾配:0.0分 100%A→2.0分 60%A→2.3分 40%A→3.0分 20%A→4.0分 10%A→4.2分 100%A(流速2.5ml/分);オーブン:55℃;流速:2ml/分;UV検出:210nm。
【0143】
方法9(LC−MS):
機器:Waters Acquity SQD UPLC System;カラム:Waters Acquity UPLC HSS T3 1.8μ 50mm×1mm;移動相A:1lの水+0.25mlの99%強度のギ酸,移動相B:1lのアセトニトリル+0.25mlの99%強度のギ酸;勾配:0.0分 95%A→6.0分 5%A→7.5分 5%A;オーブン:50℃;流速:0.35ml/分;UV検出:210−400nm。
【0144】
以下において調製を明示的に記載していない反応体または試薬については、すべて、一般的に入手可能な供給源から市販品としてそれらを得た。同様に以下において調製を明示的に記載しておらず、また市販されていないか、一般的に入手可能でない供給源から得た反応体または試薬については、すべて、その調製が記載された公開文献を参照されたい。
【0145】
出発物質および中間体:
出発物質1
(2R,3R)−3−[(2S)−1−(tert−ブトキシカルボニル)ピロリジン−2−イル]−3−メトキシ−2−メチルプロパン酸(Boc−ドリプラン(dolaproine))
【0146】
【化39】
標題化合物は、文献の手順に従い、種々の経路によって調製され得る。例えば、Pettitら,Synthesis 1996,719;Shioiriら,Tetrahedron Lett.1991,32,931;Shioiriら,Tetrahedron 1993,49,1913;Kogaら,Tetrahedron Lett.1991,32,2395;Vidalら,Tetrahedron 2004,60,9715;Poncetら,Tetrahedron 1994,50,5345を参照のこと。ここでは、該化合物を、遊離酸(図示のとおり)として、または対応するジシクロヘキシルアミン塩の形態のいずれかで調製した。
【0147】
出発物質2
(3R,4S,5S)−3−メトキシ−5−メチル−4−(メチルアミノ)ヘプタン酸tert−ブチル塩酸塩(ドライソロイシン−OtBu×HCl)
【0148】
【化40】
標題化合物は、文献の手順に従い、種々の経路によって調製され得る。例えば、Pettitら,J.Org.Chem.1994,59,1796;Kogaら,Tetrahedron Lett.1991,32,2395;Shioiriら,Tetrahedron Lett.1991,32,931;Shioiriら,Tetrahedron 1993,49,1913を参照のこと。
【0149】
出発物質3
α−(tert−ブトキシカルボニル)−N−ヒドロキシ−L−フェニルアラニンアミド
【0150】
【化41】
標題化合物を文献の手順に従って調製した(A.Ritterら,J.Org.Chem.1994,59,4602)。
収量:750mg(理論値の75%)
LC−MS(方法3):R=1.67分;MS(ESIpos):m/z=281(M+H)
【0151】
出発物質4
1,2−オキサゾリジン塩酸塩
【0152】
【化42】
標題化合物は、文献の手順に従って調製され得る。例えば、H.King,J.Chem.Soc.1942,432を参照のこと;また、該化合物は市販品としても入手可能である。
【0153】
出発物質5
1,2−オキサジナン塩酸塩
【0154】
【化43】
標題化合物は、文献の手順に従って調製され得る。例えば、H.King、J.Chem.Soc.1942,432を参照のこと。
【0155】
出発物質6
2−オキサ−3−アザビシクロ[2.2.2]オクタ−5−エン
【0156】
【化44】
標題化合物は、Boc保護形態で、文献の手順に従って調製され得る(例えば、C.Johnsonら,Tetrahedron Lett.1998,39,2059を参照のこと);脱保護は、トリフルオロ酢酸での処理、続いて中和によって慣用的な様式で行われる。
収量:149mg(理論値の89%)。
【0157】
出発物質7
1,2−オキサゾリジン−4−オール
【0158】
【化45】
標題化合物は、文献の手順に従って調製され得る。例えば、N.Amlaiky,Synthesis 1982,5,426を参照のこと。
【0159】
出発物質8
[(1S,2R)−1−(ヒドロキシカルバモイル)−2−フェニルシクロプロピル]カルバミン酸tert−ブチル
【0160】
【化46】
標題化合物を、文献の手順に従い(A.Ritterら,J.Org.Chem.1994,59,4602)、市販の(1S,2R)−1−[(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]−2−フェニルシクロプロパンカルボン酸から調製した(C.Cativielaら,Chirality 1999,11,583)。
収量:339mg(理論値の59%)
LC−MS(方法1):R=0.82分;MS(ESIpos):m/z=293(M+H)
【0161】
中間体1
(3R,4S,5S)−4−[{N−[(ベンジルオキシ)カルボニル]−L−バリル}(メチル)アミノ]−3−メトキシ−5−メチルヘプタン酸tert−ブチル
【0162】
【化47】
425mg(1.7mmol)のN−[(ベンジルオキシ)カルボニル]−L−バリンを50mlのDMFに溶解させ、500mg(1.7mmol)の(3R,4S,5S)−3−メトキシ−5−メチル−4−(メチルアミノ)ヘプタン酸tert−ブチル塩酸塩(出発物質2)、356mg(1.9mmol)の1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩、285mg(1.9mmol)の1−ヒドロキシ−1H−ベンゾトリアゾール水和物および655mg(5.1mmol)のN,N−ジイソプロピルエチルアミンを連続して添加した。混合物を室温で20時間撹拌した。さらに142mg(0.5mmol)のN−[(ベンジルオキシ)カルボニル]−L−バリン、119mg(0.6mmol)の1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩、95mg(0.6mmol)の1−ヒドロキシ−1H−ベンゾトリアゾール水和物および218mg(1.7mmol)のN,N−ジイソプロピルエチルアミンを添加し、混合物を超音波で90分間処理した。次いで、混合物を半飽和塩化アンモニウム水溶液と酢酸エチルの混合物に注入した。有機相を分取し、飽和重炭酸ナトリウム溶液と飽和塩化ナトリウム溶液で連続的に洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、濃縮した。残渣を分取用HPLCによって精製した。これにより、329mg(理論値の40%)の標題化合物を無色の油状物として得た。
HPLC(方法5):R=2.5分;
LC−MS(方法1):R=1.45分;MS(ESIpos):m/z=493(M+H)
【0163】
中間体2
(3R,4S,5S)−3−メトキシ−5−メチル−4−[メチル(L−バリル)アミノ]ヘプタン酸tert−ブチル
【0164】
【化48】
500mg(1mmol)の(3R,4S,5S)−4−[{N−[(ベンジルオキシ)カルボニル]−L−バリル}(メチル)アミノ]−3−メトキシ−5−メチルヘプタン酸tert−ブチル(中間体1)を50mlのメタノールに溶解させ、100mgの10%パラジウム担持活性炭の添加後、室温にて大気圧下で1時間水素化した。次いで、この触媒を濾別し、溶媒を減圧下除去した。これにより、370mg(quant.)の標題化合物をほぼ無色の油状物として得た。
HPLC(方法5):R=1.59分;
LC−MS(方法1):R=0.74分;MS(ESIpos):m/z=359(M+H)
【0165】
中間体3
N−[(9H−フルオレン−9−イルメトキシ)カルボニル]−N−メチル−L−バリル−N−[(3R,4S,5S)−1−tert−ブトキシ−3−メトキシ−5−メチル−1−オキソヘプタン−4−イル]−N−メチル−L−バリンアミド
【0166】
【化49】
396mg(1.1mmol)のN−[(9H−フルオレン−9−イルメトキシ)カルボニル]−N−メチル−L−バリンを20mlのDMFに溶解させ、365mg(1mmol)の(3R,4S,5S)−3−メトキシ−5−メチル−4−[メチル(L−バリル)アミノ]ヘプタン酸tert−ブチル(中間体2)、234mg(1.2mmol)の1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩および187mg(1.2mmol)の1−ヒドロキシ−1H−ベンゾトリアゾール水和物を連続して添加した。混合物を室温で一晩撹拌した。次いで、反応液を半飽和塩化アンモニウム水溶液と酢酸エチルの混合物に注入した。有機相を分取し、飽和重炭酸ナトリウム溶液と飽和塩化ナトリウム溶液で連続的に洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、濃縮した。残渣を、さらに精製せずに次の工程で直接使用した。
収量:660mg(理論値の68%)
HPLC(方法5):R=3.0分;
LC−MS(方法1):R=1.61分;MS(ESIpos):m/z=694(M+H)
【0167】
中間体4
N−[(9H−フルオレン−9−イルメトキシ)カルボニル]−N−メチル−L−バリル−N−[(2R,3S,4S)−1−カルボキシ−2−メトキシ−4−メチルヘキサン−3−イル]−N−メチル−L−バリンアミド
【0168】
【化50】
650mg(0.94mmol)のN−[(9H−フルオレン−9−イルメトキシ)カルボニル]−N−メチル−L−バリル−N−[(3R,4S,5S)−1−tert−ブトキシ−3−メトキシ−5−メチル−1−オキソヘプタン−4−イル]−N−メチル−L−バリンアミド(中間体3)を5mlのジクロロメタンに溶解させ、5mlのトリフルオロ酢酸を添加し、混合物を室温で一晩撹拌した。次いで混合物を減圧濃縮し、残留した残渣を分取用HPLCによって精製した。これにより、430mg(理論値の72%)の標題化合物を無色の泡状物として得た。
HPLC(方法5):R=2.4分;
LC−MS(方法2):R=1.51分;MS(ESIpos):m/z=638(M+H)
【0169】
中間体5
[(2S)−1−(1,2−オキサジナン−2−イル)−1−オキソ−3−フェニルプロパン−2−イル]カルバミン酸tert−ブチル
【0170】
【化51】
500mg(1.9mmol)のN−(tert−ブトキシカルボニル)−L−フェニルアラニンを10mlのDMFに溶解させ、466mg(3.8mmol)の1,2−オキサジナン塩酸塩(出発物質5)、433mg(2.3mmol)の1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩、382mg(2.8mmol)の1−ヒドロキシ−1H−ベンゾトリアゾール水和物および731mg(5.7mmol)のN,N−ジイソプロピルエチルアミンを連続して添加した。混合物を室温で一晩撹拌した。次いで、反応液を半飽和塩化アンモニウム水溶液と酢酸エチルの混合物に注入した。有機相を分取し、飽和重炭酸ナトリウム溶液と飽和塩化ナトリウム溶液で連続的に洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、濃縮した。これにより、620mg(理論値の98%)の標題化合物を得た。
HPLC(方法5):R=1.8分;
LC−MS(方法2):R=1.62分;MS(ESIpos):m/z=235(M−C−CO+H)
【0171】
中間体6
(2S)−2−アミノ−1−(1,2−オキサジナン−2−イル)−3−フェニルプロパン−1−オン,トリフルオロ酢酸塩
【0172】
【化52】
620mg(1.85mmol)の[(2S)−1−(1,2−オキサジナン−2−イル)−1−オキソ−3−フェニルプロパン−2−イル]カルバミン酸tert−ブチル(中間体5)を5mlのジクロロメタンに溶解させ、10mlのトリフルオロ酢酸を添加し、混合物を室温で30分間撹拌した。次いで混合物を減圧濃縮し、残留した残渣を水/アセトニトリルで凍結乾燥させた。この様式で、750mgの標題化合物を無色の泡状物として得た。
HPLC(方法5):R=0.45分;
LC−MS(方法3):R=1.09分;MS(ESIpos):m/z=235(M+H)
【0173】
中間体7
(2R,3R)−3−メトキシ−2−メチル−N−[(2S)−1−(1,2−オキサジナン−2−イル)−1−オキソ−3−フェニルプロパン−2−イル]−3−[(2S)−ピロリジン−2−イル]プロパンアミド,トリフルオロ酢酸塩
【0174】
【化53】
まず、(2R,3R)−3−[(2S)−1−(tert−ブトキシカルボニル)ピロリジン−2−イル]−3−メトキシ−2−メチルプロパン酸(出発物質1)を50mg(0.11mmol)のそのジシクロヘキシルアミン塩から、該塩を酢酸エチルに溶解させ、重硫酸カリウム水溶液で抽出することにより放出させた。有機相を硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、濃縮した。残渣を10mlのDMFに溶解させ、49mg(0.11mmol)の(2S)−2−アミノ−1−(1,2−オキサジナン−2−イル)−3−フェニルプロパン−1−オン,トリフルオロ酢酸塩(中間体6)、61mg(0.16mmol)のO−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(HATU)および56μl(0.16mmol)のN,N−ジイソプロピルエチルアミンを連続して添加した。混合物を室温で1時間撹拌した。次いで反応液を濃縮し、残渣を分取用HPLCによって精製した。これにより、44mg(理論値の82%)のBoc保護中間体tert−ブチル(2S)−2−[(1R,2R)−1−メトキシ−2−メチル−3−{[(2S)−1−(1,2−オキサジナン−2−イル)−1−オキソ−3−フェニルプロパン−2−イル]アミノ}−3−オキソプロピル]ピロリジン−1−カルボキシレートを得た。
HPLC(方法5):R=1.9分;
LC−MS(方法2):R=1.27分;MS(ESIpos):m/z=504(M+H)
【0175】
44mg(0.09mmol)のこの中間体を3mlのジクロロメタンに溶解させ、1mlのトリフルオロ酢酸を添加し、混合物を室温で30分間撹拌した。次いで混合物を減圧濃縮し、残留した残渣を水/アセトニトリルで凍結乾燥させた。これにより、39mg(理論値の86%)の標題化合物を無色の泡状物として得た。
HPLC(方法5):R=0.94分;
LC−MS(方法1):R=0.65分;MS(ESIpos):m/z=404(M+H)
【0176】
中間体8
(2S)−2−アミノ−1−(2−オキサ−3−アザビシクロ[2.2.2]オクタ−5−エン−3−イル)−3−フェニルプロパン−1−オン,トリフルオロ酢酸塩
【0177】
【化54】
41mg(0.37mmol)の2,5−ジオキソピロリジン−1−イルN−(tert−ブトキシカルボニル)−L−フェニルアラニネートを10mlのDMFに溶解させ、149mg(0.41mmol)の2−オキサ−3−アザビシクロ[2.2.2]オクタ−5−エン(出発物質6)と72μl(0.41mmol)のN,N−ジイソプロピルエチルアミンを添加した。混合物を室温で1時間撹拌した。次いで、溶媒を減圧下除去し、残渣を酢酸エチルに溶解させ、5%強度のクエン酸溶液、次いで5%強度の重炭酸ナトリウム溶液で抽出した。有機相を濃縮し、残渣をシリカゲルフラッシュクロマトグラフィーによって精製した(10:1のトルエン/エタノールの移動相を使用)。適切な画分を合わせ、溶媒を減圧下除去した。高減圧下での残渣の乾燥により、69mg(理論値の47%)のBoc保護中間体[(2S)−1−(2−オキサ−3−アザビシクロ[2.2.2]オクタ−5−エン−3−イル)−1−オキソ−3−フェニルプロパン−2−イル]カルバミン酸tert−ブチルをジアステレオマー混合物として得た。
LC−MS(方法1):R=1.1分;MS(ESIpos):m/z=359(M+H)
【0178】
64mg(0.18mmol)のこの中間体を10mlのジクロロメタンに溶解させ、1mlのトリフルオロ酢酸を添加し、混合物を室温で30分間撹拌した。次いで混合物を減圧濃縮し、残留した残渣を水/ジオキサンで凍結乾燥させた。この様式で、66mg(quant.)の標題化合物を無色の泡状物として得た。
HPLC(方法6):R=1.45分;
LC−MS(方法3):R=1.12分;MS(ESIpos):m/z=259(M+H)
【0179】
中間体9
(2R,3R)−3−メトキシ−2−メチル−N−[(2S)−1−(2−オキサ−3−アザビシクロ[2.2.2]オクタ−5−エン−3−イル)−1−オキソ−3−フェニルプロパン−2−イル]−3−[(2S)−ピロリジン−2−イル]プロパンアミド,トリフルオロ酢酸塩
【0180】
【化55】
まず、(2R,3R)−3−[(2S)−1−(tert−ブトキシカルボニル)ピロリジン−2−イル]−3−メトキシ−2−メチル-プロパン酸(出発物質1)を、83mg(0.18mmol)のそのジシクロヘキシルアミン塩から、該塩を酢酸エチルに溶解させ、重硫酸カリウム水溶液で抽出することにより放出させた。有機相を硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、濃縮した。残渣を10mlのDMFに溶解させ、66mg(0.18mmol)の(2S)−2−アミノ−1−(2−オキサ−3−アザビシクロ[2.2.2]オクタ−5−エン−3−イル)−3−フェニルプロパン−1−オン,トリフルオロ酢酸塩(中間体8)、101mg(0.266mmol)のO−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(HATU)および93μl(0.53mmol)のN,N−ジイソプロピルエチルアミンを連続して添加した。混合物を室温で30分間撹拌した。次いで反応液を濃縮し、残渣を分取用HPLCによって精製した。これにより、52mg(理論値の56%)のBoc保護中間体tert−ブチル(2S)−2−[(1R,2R)−1−メトキシ−2−メチル−3−{[(2S)−1−(2−オキサ−3−アザビシクロ[2.2.2]-オクタ−5−エン−3−イル)−1−オキソ−3−フェニルプロパン−2−イル]アミノ}−3−オキソプロピル]ピロリジン−1−カルボキシレートを得た。
HPLC(方法6):R=2.13分;
LC−MS(方法1):R=1.13分;MS(ESIpos):m/z=528(M+H)
【0181】
52mg(0.1mmol)のこの中間体を10mlのジクロロメタンに溶解させ、1mlのトリフルオロ酢酸を添加し、混合物を室温で20分間撹拌した。次いで混合物を減圧濃縮し、残留した残渣を20mlのジエチルエーテルとともに磨砕した。10分後、混合物を濾別し、濾過残渣を高減圧下で乾燥させた。この様式で、39mg(理論値の72%)の標題化合物を得た。
HPLC(方法6):R=1.62分;
LC−MS(方法1):R=0.68分;MS(ESIpos):m/z=428(M+H)
【0182】
中間体10
(2S)−2−アミノ−1−(1,4−ジヒドロ−3H−2,3−ベンゾオキサジン−3−イル)−3−フェニルプロパン−1−オン,トリフルオロ酢酸塩
【0183】
【化56】
まず、75mg(0.27mmol)のNα−(tert−ブトキシカルボニル)−N−ヒドロキシ−L−フェニルアラニンアミド(出発物質3)を出発物質とし、Boc保護中間体[(2S)−1−(1,4−ジヒドロ−3H−2,3−ベンゾオキサジン−3−イル)−1−オキソ−3−フェニルプロパン−2−イル]カルバミン酸tert−ブチルを、1,2−ビス(ブロモメチル)ベンゼンとの反応により、文献の手順(H.King,J.Chem.Soc.1942,432参照)と同様にして調製した。
収量:36mg(理論値の35%)
LC−MS(方法3):R=2.49分;MS(ESIpos):m/z=383(M+H)
【0184】
36mg(0.094mmol)のこの中間体を5mlのジクロロメタンに溶解させ、0.5mlのトリフルオロ酢酸を添加し、混合物を室温で20分間撹拌した。次いで混合物を減圧濃縮し、残留した残渣を分取用HPLCによって精製した。適切な画分を合わせ、約15mlの容量まで減圧濃縮し、次いで凍結乾燥させた。これにより、16mg(理論値の43%)の標題化合物を無色の泡状物として得た。
HPLC(方法6):R=1.7分;
LC−MS(方法1):R=0.69分;MS(ESIpos):m/z=283(M+H)
【0185】
中間体11
(2R,3R)−N−[(2S)−1−(1,4−ジヒドロ−3H−2,3−ベンゾオキサジン−3−イル)−1−オキソ−3−フェニルプロパン−2−イル]−3−メトキシ−2−メチル−3−[(2S)−ピロリジン−2−イル]プロパンアミド,トリフルオロ酢酸塩
【0186】
【化57】
最初に、(2R,3R)−3−[(2S)−1−(tert−ブトキシカルボニル)ピロリジン−2−イル]−3−メトキシ−2−メチルプロパン酸(出発物質1)を、15mg(0.031mmol)のそのジシクロヘキシルアミン塩から、該塩を酢酸エチルに溶解させ、重硫酸カリウム水溶液で抽出することにより放出させた。有機相を硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、濃縮した。残渣を10mlのDMFに溶解させ、16mg(0.031mmol)の(2S)−2−アミノ−1−(1,4−ジヒドロ−3H−2,3−ベンゾオキサジン−3−イル)−3−フェニルプロパン−1−オン,トリフルオロ酢酸塩(中間体10)、18mg(0.047mmol)のO−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(HATU)および16μl(0.53mmol)のN,N−ジイソプロピルエチルアミンを連続して添加した。混合物を室温で16時間撹拌した。次いで反応液を濃縮し、残渣を分取用HPLCによって精製した。これにより、14mg(理論値の81%)のBoc保護中間体tert−ブチル(2S)−2−[(1R,2R)−3−{[(2S)−1−(1,4−ジヒドロ−3H−2,3−ベンゾオキサジン−3−イル)−1−オキソ−3−フェニルプロパン−2−イル]アミノ}−1−メトキシ−2−メチル−3−オキソプロピル]ピロリジン−1−カルボキシレートを得た。
HPLC(方法6):R=2.35分;
LC−MS(方法2):R=1.39分;MS(ESIpos):m/z=552(M+H)
【0187】
14mg(0.025mmol)のこの中間体を5mlのジクロロメタンに溶解させ、1mlのトリフルオロ酢酸を添加し、混合物を室温で20分間撹拌した。次いで混合物を減圧濃縮し、残留した残渣をジオキサンで凍結乾燥させた。この様式で、14mg(理論値の98%)の標題化合物を得た。
HPLC(方法6):R=1.83分;
LC−MS(方法1):R=0.78分;MS(ESIpos):m/z=452(M+H)
【0188】
中間体12
(2S)−2−アミノ−3−(1H−インドール−3−イル)−1−(1,2−オキサジナン−2−イル)プロパン−1−オン,トリフルオロ酢酸塩
【0189】
【化58】
130mg(0.324mmol)の2,5−ジオキソピロリジン−1−イルN−(tert−ブトキシカルボニル)−L−トリプトファネートを15mlのDMFに溶解させ、50mg(0.405mmol)の1,2−オキサジナン塩酸塩(出発物質5)と140μlのN,N−ジイソプロピルエチルアミンを添加した。混合物を室温で24時間撹拌した。次いで、同量の1,2−オキサジナン塩酸塩とN,N−ジイソプロピルエチルアミンを添加した。さらに4時間の室温での撹拌後、反応液を減圧濃縮し、残渣をジクロロメタンに溶解させ、まず重炭酸ナトリウム溶液で、次いで水で抽出した。有機相を濃縮し、残渣をシリカゲルフラッシュクロマトグラフィーによって精製した(4:1のジクロロメタン/酢酸エチルの移動相を使用)。適切な画分を濃縮し、残渣を高減圧下で乾燥させた。これにより、63mg(理論値の52%)のBoc保護中間体[(2S)−3−(1H−インドール−3−イル)−1−(1,2−オキサジナン−2−イル)−1−オキソプロパン−2−イル]カルバミン酸tert−ブチルを得た。
HPLC(方法6):R=2.05分;
LC−MS(方法3):R=2.16分;MS(ESIpos):m/z=374(M+H)
【0190】
63mg(0.167mmol)のこの中間体を15mlのジクロロメタンに溶解させ、2mlのトリフルオロ酢酸を添加し、混合物を超音波浴中で40分間処理した。次いで反応液を減圧濃縮し、残渣をジオキサン/水で凍結乾燥させた。この様式で、65mg(理論値の90%)の標題化合物を得た。
HPLC(方法6):R=1.53分;
LC−MS(方法1):R=0.61分;MS(ESIpos):m/z=274(M+H)
【0191】
中間体13
(2R,3R)−N−[(2S)−3−(1H−インドール−3−イル)−1−(1,2−オキサジナン−2−イル)−1−オキソプロパン−2−イル]−3−メトキシ−2−メチル−3−[(2S)−ピロリジン−2−イル]プロパンアミド,トリフルオロ酢酸塩
【0192】
【化59】
標題化合物を、中間体7の合成と同様にして、2工程で、出発物質1のジシクロヘキシルアミン塩と(2S)−2−アミノ−3−(1H−インドール−3−イル)−1−(1,2−オキサジナン−2−イル)プロパン−1−オン,トリフルオロ酢酸塩(中間体12)から調製した。
2工程での収量:62mg(理論値の67%)
HPLC(方法6):R=1.65分;
LC−MS(方法1):R=0.7分;MS(ESIpos):m/z=443(M+H)
【0193】
中間体14
(2S)−2−アミノ−1−(1,2−オキサゾリジン−2−イル)−3−フェニルプロパン−1−オン,トリフルオロ酢酸塩
【0194】
【化60】
標題化合物を、中間体5および6の合成と同様にして、2工程で、N−(tert−ブトキシカルボニル)−L−フェニルアラニンと1,2−オキサゾリジン塩酸塩(出発物質4)から調製した。
2工程での収量:1650mg(理論値の97%)
HPLC(方法5):R=0.29分;
LC−MS(方法1):R=0.41分;MS(ESIpos):m/z=221(M+H)
【0195】
中間体15
(2R,3R)−3−メトキシ−2−メチル−N−[(2S)−1−(1,2−オキサゾリジン−2−イル)−1−オキソ−3−フェニルプロパン−2−イル]−3−[(2S)−ピロリジン−2−イル]プロパンアミド,トリフルオロ酢酸塩
【0196】
【化61】
標題化合物を、中間体7の合成と同様にして、2工程で、出発物質1のジシクロヘキシルアミン塩と(2S)−2−アミノ−1−(1,2−オキサゾリジン−2−イル)−3−フェニルプロパン−1−オン,トリフルオロ酢酸塩(中間体14)から調製した。
2工程での収量:110mg(理論値の97%)
HPLC(方法5):R=0.52分;
LC−MS(方法3):R=1.15分;MS(ESIpos):m/z=390(M+H)
【0197】
中間体16
(2S,3S)−2−アミノ−1−(1,2−オキサジナン−2−イル)−3−フェニルブタン−1−オン,トリフルオロ酢酸塩
【0198】
【化62】
標題化合物を、中間体5および6の合成と同様にして、2工程で、(βS)−N−(tert−ブトキシカルボニル)−β−メチル−L−フェニルアラニンと1,2−オキサジナン塩酸塩(出発物質5)から調製した。
2工程での収量:652mg(理論値の63%)
HPLC(方法5):R=0.53分;
LC−MS(方法1):R=1.25分;MS(ESIpos):m/z=249(M+H)
【0199】
中間体17
(2R,3R)−3−メトキシ−2−メチル−N−[(2S,3S)−1−(1,2−オキサジナン−2−イル)−1−オキソ−3−フェニルブタン−2−イル]−3−[(2S)−ピロリジン−2−イル]プロパンアミド,トリフルオロ酢酸塩
【0200】
【化63】
標題化合物を、中間体7の合成と同様にして、2工程で、出発物質1のジシクロヘキシルアミン塩と(2S,3S)−2−アミノ−1−(1,2−オキサジナン−2−イル)−3−フェニルブタン−1−オン,トリフルオロ酢酸塩(中間体16)から調製した。
2工程での収量:101mg(理論値の90%)
HPLC(方法5):R=1.07分;
LC−MS(方法3):R=1.33分;MS(ESIpos):m/z=418(M+H)
【0201】
中間体18
(2S)−2−アミノ−3−(4−ヒドロキシ−3−ニトロフェニル)−1−(1,2−オキサジナン−2−イル)プロパン−1−オン,トリフルオロ酢酸塩
【0202】
【化64】
標題化合物を、中間体5および6の合成と同様にして、2工程で、N−(tert−ブトキシカルボニル)−3−ニトロ−L−チロシンと1,2−オキサジナン塩酸塩(出発物質5)から調製した。
2工程での収量:374mg(理論値の47%)
HPLC(方法5):R=0.4分;
LC−MS(方法1):R=0.5分;MS(ESIpos):m/z=296(M+H)
【0203】
中間体19
(2R,3R)−N−[(2S)−3−(4−ヒドロキシ−3−ニトロフェニル)−1−(1,2−オキサジナン−2−イル)−1−オキソプロパン−2−イル]−3−メトキシ−2−メチル−3−[(2S)−ピロリジン−2−イル]プロパンアミド,トリフルオロ酢酸塩
【0204】
【化65】
標題化合物を、中間体7の合成と同様にして、2工程で、出発物質1のジシクロヘキシルアミン塩と(2S)−2−アミノ−3−(4−ヒドロキシ−3−ニトロフェニル)−1−(1,2−オキサジナン−2−イル)プロパン−1−オン,トリフルオロ酢酸塩(中間体18)から調製した。生成物を(これは63%の純度で得た)、さらに精製せずに後続の反応でそのまま使用した。
2工程での収量:128mg(理論値の61%)
HPLC(方法5):R=0.8分;
LC−MS(方法3):R=1.24分;MS(ESIpos):m/z=465(M+H)
【0205】
中間体20
N−(tert−ブトキシカルボニル)−N−メチル−L−バリル−N−[(2R,3S,4S)−1−カルボキシ−2−メトキシ−4−メチルヘキサン−3−イル]−N−メチル−L−バリンアミド
【0206】
【化66】
51mg(0.08mmol)のN−[(9H−フルオレン−9−イルメトキシ)カルボニル]−N−メチル−L−バリル−N−[(2R,3S,4S)−1−カルボキシ−2−メトキシ−4−メチルヘキサン−3−イル]−N−メチル−L−バリンアミド(中間体4)を10mlのDMFに溶解させ、0.5mlのピペリジンを添加した。室温で10分間の撹拌後、反応液を減圧濃縮し、残渣をジエチルエーテルとともに磨砕した。不溶性成分を濾別し、ジエチルエーテルで繰り返し洗浄した。次いで、濾過残渣を5mlのジオキサン/水(1:1)に溶解させ、この溶液を1N水酸化ナトリウム水溶液でpH11に調整した。超音波処理しながら、合計349mg(1.6mmol)の二炭酸ジ−tert−ブチルを、溶液のpHを11に維持しながら複数回に分けて添加した。反応が終了した後、ジオキサンを蒸発させ、この水性溶液を、クエン酸を用いてpH2〜3に調整した。混合物を、各場合において50mlの酢酸エチルで2回抽出した。有機相を合わせ、硫酸マグネシウムで乾燥させ、減圧濃縮した。残渣をジエチルエーテルに溶解させ、生成物をペンタンで析出させた。溶媒をデカンテーションによって除去した。残渣をペンタンで繰り返し温浸し(digest)、最後に高減圧下で乾燥させた。これにより、31mg(理論値の93%)の標題化合物を得た。
HPLC(方法6):R=2.2分;
LC−MS(方法2):R=1.32分;MS(ESIpos):m/z=516(M+H)
【0207】
中間体21
tert−ブチル(2S)−2−[(1R,2R)−3−{[(2S)−3,3−ジメチル−1−(1,2−オキサジナン−2−イル)−1−オキソブタン−2−イル]アミノ}−1−メトキシ−2−メチル−3−オキソプロピル]ピロリジン−1−カルボキシレート
【0208】
【化67】
標題化合物を、中間体5および6の合成と同様にして、3工程で、市販のN−(tert−ブトキシカルボニル)−3−メチル−L−バリンを1,2−オキサジナン塩酸塩(出発物質5)とカップリングさせ、続いてトリフルオロ酢酸で脱保護し、さらに出発物質1とカップリングさせることにより調製した。最終生成物を分取用HPLCによって精製した。
HPLC(方法5):R=1.92分;
LC−MS(方法7):R=2.19分;MS(ESIpos):m/z=470(M+H)
【0209】
中間体22
tert−ブチル(2S)−2−[(1R,2R)−1−メトキシ−2−メチル−3−{[(2S)−1−(1,2−オキサジナン−2−イル)−1−オキソ−3,3−ジフェニルプロパン−2−イル]アミノ}−3−オキソプロピル]ピロリジン−1−カルボキシレート
【0210】
【化68】
標題化合物を、中間体5および6の合成と同様にして、3工程で、市販のN−(tert−ブトキシカルボニル)−β−フェニル−L−フェニルアラニンを1,2−オキサジナン塩酸塩(出発物質5)とカップリングさせ、続いてトリフルオロ酢酸で脱保護し、さらに出発物質1とカップリングさせることにより調製した。最終生成物を分取用HPLCによって精製した。
HPLC(方法5):R=2.07分;
LC−MS(方法1):R=1.22分;MS(ESIpos):m/z=580(M+H)
【0211】
中間体23
tert−ブチル(2S)−2−[(1R,2R)−1−メトキシ−2−メチル−3−{[(1S,2S)−1−(1,2−オキサジナン−2−イルカルボニル)−2−フェニル-シクロプロピル]アミノ}−3−オキソプロピル]ピロリジン−1−カルボキシレート
【0212】
【化69】
標題化合物を、中間体5および6の合成と同様にして、3工程で、市販の(1S,2S)−1−[(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]−2−フェニルシクロプロパンカルボン酸を1,2−オキサジナン塩酸塩(出発物質5)とカップリングさせ、続いてトリフルオロ酢酸で脱保護し、さらに出発物質1とカップリングさせることにより調製した。最終生成物を分取用HPLCによって精製した。
HPLC(方法5):R=2.19分;
LC−MS(方法3):R=2.28分;MS(ESIpos):m/z=516(M+H)
【0213】
中間体24
tert−ブチル(2S)−2−[(1R,2R)−1−メトキシ−2−メチル−3−{[(1S,2R)−1−(1,2−オキサジナン−2−イルカルボニル)−2−フェニル-シクロプロピル]アミノ}−3−オキソプロピル]ピロリジン−1−カルボキシレート
【0214】
【化70】
標題化合物を、中間体5および6の合成と同様にして、3工程で、市販の(1S,2R)−1−[(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]−2−フェニルシクロプロパンカルボン酸を1,2−オキサジナン塩酸塩(出発物質5)とカップリングさせ、続いてトリフルオロ酢酸で脱保護し、さらに出発物質1とカップリングさせることにより調製した。最終生成物を分取用HPLCによって精製した。
HPLC(方法5):R=2.12分;
LC−MS(方法2):R=1.25分;MS(ESIpos):m/z=516(M+H)
【0215】
中間体25
[(2S)−1−(4−ヒドロキシ−1,2−オキサゾリジン−2−イル)−1−オキソ−3−フェニルプロパン−2−イル]カルバミン酸tert−ブチル(ジアステレオマー1および2)
【0216】
【化71】
200mg(1.59mmol)の1,2−オキサゾリジン−4−オール(出発物質7)を10mlのDMFに溶解させ、606mg(1.67mmol)の2,5−ジオキソピロリジン−1−イル−N−(tert−ブトキシカルボニル)−L−フェニル-アラニネートと277μlのN,N−ジイソプロピルエチルアミンを添加した。室温で60時間の撹拌後、反応液を減圧濃縮し、残渣を100mlの酢酸エチルに溶解させた。混合物を、各場合において5%強度のクエン酸溶液と10%強度の重炭酸ナトリウム溶液で2回抽出した。次いで、有機相を減圧濃縮した。この2つのジアステレオマーのさらなる精製および分離を、シリカゲルフラッシュクロマトグラフィーによって行った(98:2のジクロロメタン/メタノールの移動相を使用)。適切な画分を濃縮し、残渣を高減圧下で乾燥させた。
ジアステレオマー1:
収量:154mg[依然としてN−(tert−ブトキシカルボニル)−L−フェニルアラニンが夾雑しており、これを次の工程で除去した]
=0.44(95:5のジクロロメタン/メタノール)。
ジアステレオマー2:
収量:86mg(理論値の16%)
=0.40(95:5のジクロロメタン/メタノール)。
【0217】
中間体26
{(2S)−1−[4−(ベンジルオキシ)−1,2−オキサゾリジン−2−イル]−1−オキソ−3−フェニルプロパン−2−イル}カルバミン酸tert−ブチル(ジアステレオマー1)
【0218】
【化72】
75mg(約0.22mmol)の中間体25のジアステレオマー1を10mlのアセトンに溶解させ、228mg(1.34mmol)の臭化ベンジル、616mg(4.46mmol)の炭酸カリウムとスパチュラの先端1杯分のテトラ−n−ブチルアンモニウムヨージドを添加した。反応液を20時間還流加熱し、次いで減圧濃縮した。残渣を100mlのジクロロメタンとともに撹拌し、濾過し、次いでジクロロメタン相を濃縮した。残留した残渣を分取用HPLCによって精製した。これにより、68mg(理論値の72%)の標題化合物を得た。
HPLC(方法6):R=2.31分;
LC−MS(方法1):R=1.18分;MS(ESIpos):m/z=427(M+H)
【0219】
中間体27
{(2S)−1−[4−(ベンジルオキシ)−1,2−オキサゾリジン−2−イル]−1−オキソ−3−フェニルプロパン−2−イル}カルバミン酸tert−ブチル(ジアステレオマー2)
【0220】
【化73】
83mg(0.25mmol)の中間体25のジアステレオマー2を15mlのアセトンに溶解させ、127mg(0.74mmol)の臭化ベンジル、682mg(4.93mmol)の炭酸カリウムおよびスパチュラの先端1杯分のテトラ−n−ブチルアンモニウムヨージドを添加した。反応液を20時間還流加熱し、次いで減圧濃縮した。残渣を100mlのジクロロメタンとともに撹拌し、濾過し、次いでジクロロメタン相を濃縮した。残留した残渣を分取用HPLCによって精製した。これにより、87mg(理論値の83%)の標題化合物を得た。
HPLC(方法6):R=2.30分;
LC−MS(方法1):R=1.22分;MS(ESIpos):m/z=427(M+H)
【0221】
中間体28
(2S)−2−アミノ−1−[4−(ベンジルオキシ)−1,2−オキサゾリジン−2−イル]−3−フェニルプロパン−1−オン,トリフルオロ酢酸塩(ジアステレオマー1)
【0222】
【化74】
68mg(0.16mmol)の{(2S)−1−[4−(ベンジルオキシ)−1,2−オキサゾリジン−2−イル]−1−オキソ−3−フェニルプロパン−2−イル}カルバミン酸tert−ブチル(ジアステレオマー1,中間体26)を10mlのジクロロメタンに溶解させ、1mlのトリフルオロ酢酸を添加し、混合物を室温で30分間撹拌した。次いで混合物を減圧濃縮し、残留した残渣をジオキサン/水で凍結乾燥させた。これにより、69mg(理論値の98%)の標題化合物を無色の泡状物として得た。
HPLC(方法6):R=1.72分;
LC−MS(方法3):R=1.41分;MS(ESIpos):m/z=327(M+H)
【0223】
中間体29
(2S)−2−アミノ−1−[4−(ベンジルオキシ)−1,2−オキサゾリジン−2−イル]−3−フェニルプロパン−1−オン,トリフルオロ酢酸塩(ジアステレオマー2)
【0224】
【化75】
82mg(0.19mmol)の{(2S)−1−[4−(ベンジルオキシ)−1,2−オキサゾリジン−2−イル]−1−オキソ−3−フェニルプロパン−2−イル}カルバミン酸tert−ブチル(ジアステレオマー2,中間体27)を10mlのジクロロメタンに溶解させ、1mlのトリフルオロ酢酸を添加し、混合物を室温で30分間撹拌した。次いで混合物を減圧濃縮し、残留した残渣をジオキサン/水で凍結乾燥させた。これにより、80mg(理論値の95%)の標題化合物を無色の泡状物として得た。
HPLC(方法6):R=1.80分;
LC−MS(方法3):R=1.50分;MS(ESIpos):m/z=327(M+H)
【0225】
中間体30
N−[(9H−フルオレン−9−イルメトキシ)カルボニル]−N−メチル−L−バリル−N−[(3R,4S,5S)−1−{(2S)−2−[(1R,2R)−2−カルボキシ−1−メトキシプロピル]ピロリジン−1−イル}−3−メトキシ−5−メチル−1−オキソヘプタン−4−イル]−N−メチル−L−バリンアミド
【0226】
【化76】
315mg(0.494mmol)のN−[(9H−フルオレン−9−イルメトキシ)カルボニル]−N−メチル−L−バリル−N−[(2R,3S,4S)−1−カルボキシ−2−メトキシ−4−メチルヘキサン−3−イル]−N−メチル−L−バリンアミド(中間体4)を12mlのDMFに溶解させ、104mg(0.543mmol)の1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩と83mg(0.543mmol)の1−ヒドロキシ−1H−ベンゾトリアゾール水和物を添加し、混合物を室温で90分間撹拌した。112μlのN,N−ジイソプロピルエチルアミンと149mg(0.494mmol)の(2R,3R)−3−メトキシ−2−メチル−3−[(2S)−ピロリジン−2−イル]プロパン酸,トリフルオロ酢酸塩(これは、事前に、出発物質1からBoc保護基をトリフルオロ酢酸で除去することによって調製しておいた)を添加した。混合物を室温で2時間撹拌し、次いで高減圧下で濃縮した。残留した残渣を2回の分取用HPLCによって精製した。これにより、140mg(理論値の35%)の標題化合物を無色の泡状物の形態で得た。
HPLC(方法5):R=2.40分;
LC−MS(方法1):R=1.38分;MS(ESIpos):m/z=807(M+H)
【0227】
中間体31
[(1S,2R)−1−アミノ−2−フェニルシクロプロピル](1,4−ジヒドロ−3H−2,3−ベンゾオキサジン−3−イル)メタノン,トリフルオロ酢酸塩
【0228】
【化77】
標題化合物を、中間体10の合成と同様にして、[(1S,2R)−1−(ヒドロキシカルバモイル)−2−フェニルシクロプロピル]カルバミン酸tert−ブチル(出発物質8)から出発して調製した。
HPLC(方法6):R=1.60分;
LC−MS(方法1):R=0.70分;MS(ESIpos):m/z=295(M+H)
【0229】
中間体32
N−[(ベンジルオキシ)カルボニル]−N−メチル−L−トレオニル−N−[(2R,3S,4S)−1−カルボキシ−2−メトキシ−4−メチル-ヘキサン−3−イル]−N−メチル−L−バリンアミド
【0230】
【化78】
まず、N−[(ベンジルオキシ)カルボニル]−N−メチル−L−トレオニンを237mg(0.887mmol)のそのジシクロヘキシルアミン塩から、該塩を酢酸エチルに溶解させ、5%強度の水性硫酸で抽出することにより放出させた。有機相を硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、濃縮した。残渣を16mlのDMFに溶解させ、365mg(1mmol)の(3R,4S,5S)−3−メトキシ−5−メチル−4−[メチル(L−バリル)アミノ]ヘプタン酸tert−ブチル(中間体2)、185mg(0.967mmol)の1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩および148mg(0.967mmol)の1−ヒドロキシ−1H−ベンゾトリアゾール水和物を連続して添加した。混合物を室温で2時間撹拌した。次いで、反応液を半飽和塩化アンモニウム水溶液と酢酸エチルの混合物に注入した。有機相を分取し、飽和重炭酸ナトリウム溶液と飽和塩化ナトリウム溶液で連続的に洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、濃縮した。残渣を分取用HPLCによって精製した。これにより、283mg(理論値の53%)のtert−ブチルエステル中間体N−[(ベンジルオキシ)カルボニル]−N−メチル−L−トレオニル−N−[(3R,4S,5S)−1−tert−ブトキシ−3−メトキシ−5−メチル−1−オキソヘプタン−4−イル]−N−メチル−L−バリンアミドを得た。
HPLC(方法5):R=2.17分。
【0231】
283mg(0.466mmol)のこの中間体を5mlのジクロロメタンに溶解させ、5mlの無水トリフルオロ酢酸を添加し、混合物を室温で2時間撹拌した。次いで、反応液を高減圧下で濃縮し、残留した残渣を分取用HPLCによって精製した。これにより、156mg(理論値の61%)の標題化合物を無色の泡状物として得た。
HPLC(方法5):R=1.50分;
LC−MS(方法2):R=1.09分;MS(ESIpos):m/z=552(M+H)
【0232】
中間体33
(2R)−2−アミノ−1−(1,2−オキサジナン−2−イル)−3−フェニルプロパン−1−オン,トリフルオロ酢酸塩
【0233】
【化79】
標題化合物を、中間体6の合成と同様にして、N−(tert−ブトキシカルボニル)−D−フェニルアラニンから出発して調製した。
HPLC(方法6):R=1.40分;
LC−MS(方法1):R=0.50分;MS(ESIpos):m/z=235(M+H)
【0234】
中間体34
(2S)−2−アミノ−2−メチル−1−(1,2−オキサジナン−2−イル)−3−フェニルプロパン−1−オン,トリフルオロ酢酸塩
【0235】
【化80】
標題化合物を、中間体6の合成と同様にして、市販のN−(tert−ブトキシカルボニル)−α−メチル−L−フェニルアラニンから出発して調製した。
HPLC(方法5):R=0.45分;
LC−MS(方法2):R=0.61分;MS(ESIpos):m/z=249(M+H)
【0236】
作業実施例:
実施例1
N−メチル−L−バリル−N−[(3R,4S,5S)−3−メトキシ−1−{(2S)−2−[(1R,2R)−1−メトキシ−2−メチル−3−{[(2S)−1−(1,2−オキサジナン−2−イル)−1−オキソ−3−フェニルプロパン−2−イル]アミノ}−3−オキソプロピル]ピロリジン−1−イル}−5−メチル−1−オキソヘプタン−4−イル]−N−メチル−L−バリンアミド,トリフルオロ酢酸塩
【0237】
【化81】
143mg(0.223mmol)のN−[(9H−フルオレン−9−イルメトキシ)カルボニル]−N−メチル−L−バリル−N−[(2R,3S,4S)−1−カルボキシ−2−メトキシ−4−メチルヘキサン−3−イル]−N−メチル−L−バリンアミド(中間体4)を15mlのDMFに溶解させ、141mg(0.22mmol)の(2R,3R)−3−メトキシ−2−メチル−N−[(2S)−1−(1,2−オキサジナン−2−イル)−1−オキソ−3−フェニルプロパン−2−イル]−3−[(2S)−ピロリジン−2−イル]プロパンアミド,トリフルオロ酢酸塩(中間体7)、102mg(0.27mmol)のO−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(HATU)および128μl(0.74mmol)のN,N−ジイソプロピルエチルアミンを連続して添加した。混合物を室温で3時間撹拌した。次いで、反応液を半飽和塩化アンモニウム水溶液と酢酸エチルの混合物に注入した。有機相を分取し、飽和重炭酸ナトリウム溶液と飽和塩化ナトリウム溶液で連続的に洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、濃縮した。これにより、275mg(quant.)のFmoc保護中間体N−[(9H−フルオレン−9−イルメトキシ)カルボニル]−N−メチル−L−バリル−N−[(3R,4S,5S)−3−メトキシ−1−{(2S)−2−[(1R,2R)−1−メトキシ−2−メチル−3−{[(2S)−1−(1,2−オキサジナン−2−イル)−1−オキソ−3−フェニルプロパン−2−イル]アミノ}−3−オキソプロピル]ピロリジン−1−イル}−5−メチル−1−オキソヘプタン−4−イル]−N−メチル−L−バリンアミドを得た。
HPLC(方法5):R=2.73分;
LC−MS(方法4):R=3.19分;MS(ESIpos):m/z=1023(M+H)
【0238】
46mg(0.045mmol)のこの中間体を4mlのDMFに溶解させた。1mlのピペリジンの添加後、混合物を室温で1時間撹拌した。次いで混合物を減圧濃縮し、残渣を分取用HPLCによって精製した(移動相:アセトニトリル+0.01%TFA/水+0.01%TFA)。これにより、22mg(理論値の54%)の標題化合物を無色の泡状物として得た。
HPLC(方法5):R=1.68分;
LC−MS(方法2):R=1.03分;MS(ESIpos):m/z=801(M+H)
H−NMR(600 MHz,DMSO−d):δ=8.8(m,2H),8.7(m,1H),8.42および8.15(2d,1H),7.3−7.1(m,5H),5.12および4.95(2m,1H),4.70および4.62(2m,1H),4.62および4.50(2t,1H),4.1−3.9(m,3H),3.85(m,1H),3.75−3.6(m,2H),3.23,3.18,3.17,3.14,3.02および2.96(6s,9H),3.1−2.9および2.75(2m,2H),2.46(m,3H),2.4−2.1(m,2H),2.05(br.m,2H),1.85−1.55(br.m,6H),1.5−1.2(br.m,3H),1.1−0.8(m,18H),0.75(t,3H)[さらなるシグナルがHOピーク下に隠れている]。
【0239】
実施例2
N−(2−ヒドロキシエチル)−N−メチル−L−バリル−N−[(3R,4S,5S)−3−メトキシ−1−{(2S)−2−[(1R,2R)−1−メトキシ−2−メチル−3−{[(2S)−1−(1,2−オキサジナン−2−イル)−1−オキソ−3−フェニルプロパン−2−イル]アミノ}−3−オキソプロピル]ピロリジン−1−イル}−5−メチル−1−オキソヘプタン−4−イル]−N−メチル−L−バリンアミド
【0240】
【化82】
50mg(0.0411mmol)のN−メチル−L−バリル−N−[(3R,4S,5S)−3−メトキシ−1−{(2S)−2−[(1R,2R)−1−メトキシ−2−メチル−3−{[(2S)−1−(1,2−オキサジナン−2−イル)−1−オキソ−3−フェニルプロパン−2−イル]アミノ}−3−オキソプロピル]ピロリジン−1−イル}−5−メチル−1−オキソヘプタン−4−イル]−N−メチル−L−バリンアミド,トリフルオロ酢酸塩(実施例1)を3mlのジオキサン/水(1:1)に溶解させ、4.9mg(0.081mmol)の二量体のグリコールアルデヒドを添加した。次いで、2.8mg(0.045mmol)のシアノ水素化ホウ素ナトリウムを添加した。次いで、50μlの0.1N塩酸を用いて混合物をpH4〜5に調整し、100℃で1時間撹拌した。次いで、反応液を半飽和重炭酸ナトリウム水溶液と酢酸エチルの混合物に注入した。有機相を分取し、飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、濃縮した。残渣を分取用HPLCによって精製した。これにより、21mg(理論値の61%)の標題化合物を無色の泡状物の形態で得た。
HPLC(方法5):R=1.69分;
LC−MS(方法1):R=0.92分;MS(ESIpos):m/z=845(M+H)
H−NMR(600 MHz,DMSO−d):δ=9.2(m,1H),8.9(m,1H),8.4および8.15(2d,1H),7.3−7.1(m,5H),5.12および4.95(2m,1H),4.70および4.62(2m,1H),4.62および4.55(2t,1H),4.1−3.9(m,3H),3.9−3.7(m,5H),3.23,3.18,3.17,3.15,3.02および2.98(6s,9H),2.95および2.75(2m,2H),2.8(m,3H),2.46−2.00(m,4H),1.85−1.55(br.m,6H),1.5−1.2(br.m,3H),1.1−0.8(m,18H),0.75(t,3H)[さらなるシグナルがHOピーク下に隠れている]。
【0241】
実施例3
N,N−ジメチル−L−バリル−N−[(3R,4S,5S)−3−メトキシ−1−{(2S)−2−[(1R,2R)−1−メトキシ−2−メチル−3−{[(2S)−1−(1,2−オキサジナン−2−イル)−1−オキソ−3−フェニルプロパン−2−イル]アミノ}−3−オキソプロピル]ピロリジン−1−イル}−5−メチル−1−オキソヘプタン−4−イル]−N−メチル−L−バリンアミド
【0242】
【化83】
20mg(0.022mmol)のN−メチル−L−バリル−N−[(3R,4S,5S)−3−メトキシ−1−{(2S)−2−[(1R,2R)−1−メトキシ−2−メチル−3−{[(2S)−1−(1,2−オキサジナン−2−イル)−1−オキソ−3−フェニルプロパン−2−イル]アミノ}−3−オキソプロピル]ピロリジン−1−イル}−5−メチル−1−オキソヘプタン−4−イル]−N−メチル−L−バリンアミド,トリフルオロ酢酸塩(実施例1)を1mlのDMFに溶解させ、3.4mg(1μl)のヨードメタンと7.6mg(0.055mmol)の炭酸カリウムを添加し、混合物を室温で1時間撹拌した。次いで、同量の炭酸カリウムを添加し、反応液を超音波浴中で10分間処理した。次いで、溶媒を減圧下で留去し、残留した残渣を分取用HPLCによって精製した。これにより、8mg(理論値の44%)の標題化合物を得た。
HPLC(方法5):R=1.71分;
LC−MS(方法2):R=1.04分;MS(ESIpos):m/z=815(M+H)
H−NMR(600 MHz,DMSO−d):δ=9.55(m,1H),8.9−8.7(m,1H),8.45および8.15(2d,1H),7.3−7.1(m,5H),5.12および4.95(2m,1H),4.70および4.62(2m,1H),4.62および4.55(2t,1H),4.1−3.9(m,3H),3.9−3.6(m,3H),3.55(m,2H),3.23,3.18,3.17,3.15,3.02および2.98(6s,9H),2.95および2.7(2m,2H),2.8−2.7(2 br.s、6H),2.46−2.00(m,4H),1.85−1.55(br.m,6H),1.5−1.2(br.m,3H),1.1−0.8(m,18H),0.75(t,3H)[さらなるシグナルがHOピーク下に隠れている]。
【0243】
実施例4
N−メチル−L−バリル−N−[(3R,4S,5S)−3−メトキシ−1−{(2S)−2−[(1R,2R)−1−メトキシ−2−メチル−3−{[(2S,3S)−1−(1,2−オキサジナン−2−イル)−1−オキソ−3−フェニルブタン−2−イル]アミノ}−3−オキソプロピル]ピロリジン−1−イル}−5−メチル−1−オキソヘプタン−4−イル]−N−メチル−L−バリンアミド,トリフルオロ酢酸塩
【0244】
【化84】
126mg(0.198mmol)のN−[(9H−フルオレン−9−イルメトキシ)カルボニル]−N−メチル−L−バリル−N−[(2R,3S,4S)−1−カルボキシ−2−メトキシ−4−メチルヘキサン−3−イル]−N−メチル−L−バリンアミド(中間体4)を10mlのDMFに溶解させ、105mg(0.198mmol)の(2R,3R)−3−メトキシ−2−メチル−N−[(2S,3S)−1−(1,2−オキサジナン−2−イル)−1−オキソ−3−フェニルブタン−2−イル]−3−[(2S)−ピロリジン−2−イル]プロパンアミド,トリフルオロ酢酸塩(中間体17)、41.6mg(0.217mmol)の1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩、33mg(0.217mmol)の1−ヒドロキシ−1H−ベンゾトリアゾール水和物および79μl(0.454mmol)のN,N−ジイソプロピルエチルアミンを連続して添加した。混合物を室温で一晩撹拌した。次いで、反応液を半飽和塩化アンモニウム水溶液と酢酸エチルの混合物に注入した。有機相を分取し、飽和重炭酸ナトリウム溶液と飽和塩化ナトリウム溶液で連続的に洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、濃縮した。これにより、220mg(quant.)のFmoc保護中間体N−[(9H−フルオレン−9−イルメトキシ)カルボニル]−N−メチル−L−バリル−N−[(3R,4S,5S)−3−メトキシ−1−{(2S)−2−[(1R,2R)−1−メトキシ−2−メチル−3−{[(2S,3S)−1−(1,2−オキサジナン−2−イル)−1−オキソ−3−フェニルブタン−2−イル]アミノ}−3−オキソプロピル]ピロリジン−1−イル}−5−メチル−1−オキソヘプタン−4−イル]−N−メチル−L−バリンアミドを得た。
HPLC(方法5):R=2.77分;
LC−MS(方法1):R=1.5分;MS(ESIpos):m/z=1037(M+H)
【0245】
220mg(0.212mmol)のこの中間体を5mlのDMFに溶解させた。1mlのピペリジンの添加後、混合物を室温で1時間撹拌した。次いで混合物を減圧濃縮し、残渣を分取用HPLCによって精製した(移動相:アセトニトリル+0.01%TFA/水+0.01%TFA)。これにより、91mg(理論値の46%)の標題化合物を無色の泡状物として得た。
HPLC(方法5):R=1.71分;
LC−MS(方法1):R=0.9分;MS(ESIpos):m/z=815(M+H)
H−NMR(600 MHz,DMSO−d):δ=8.87および8.80(2d,2H),8.75(m,1H),8.40および7.98(2d,1H),7.3−7.1(m,5H),5.45および5.2(2t,1H),4.78および4.62(2m,1H),4.73および4.58(2t,1H),4.2−4.0(m,3H),3.7−3.6(m,1H),3.35,3.20,3.18,3.14,3.12および3.00(6s,9H),3.1および2.95(2m,2H),2.46(m,3H),2.4−2.0(m,4H),1.9−1.6(m,4H),1.6−1.2(m,5H),1.1−0.75(m,21H),0.80(t,3H)[さらなるシグナルがHOピーク下に隠れている]。
【0246】
実施例5
N−メチル−L−バリル−N−[(3R,4S,5S)−3−メトキシ−1−{(2S)−2−[(1R,2R)−1−メトキシ−2−メチル−3−{[(2S)−1−(1,2−オキサゾリジン−2−イル)−1−オキソ−3−フェニルプロパン−2−イル]アミノ}−3−オキソプロピル]ピロリジン−1−イル}−5−メチル−1−オキソヘプタン−4−イル]−N−メチル−L−バリンアミド,トリフルオロ酢酸塩
【0247】
【化85】
138mg(0.216mmol)のN−[(9H−フルオレン−9−イルメトキシ)カルボニル]−N−メチル−L−バリル−N−[(2R,3S,4S)−1−カルボキシ−2−メトキシ−4−メチルヘキサン−3−イル]−N−メチル−L−バリンアミド(中間体4)を14mlのDMFに溶解させ、109mg(0.216mmol)の(2R,3R)−3−メトキシ−2−メチル−N−[(2S)−1−(1,2−オキサゾリジン−2−イル)−1−オキソ−3−フェニルプロパン−2−イル]−3−[(2S)−ピロリジン−2−イル]プロパンアミド,トリフルオロ酢酸塩(中間体15)、45.6mg(0.238mmol)の1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩、36.5mg(0.38mmol)の1−ヒドロキシ−1H−ベンゾトリアゾール水和物および49μl(0.281mmol)のN,N−ジイソプロピルエチルアミンを連続して添加した。混合物を室温で一晩撹拌した。次いで、反応液を半飽和塩化アンモニウム水溶液と酢酸エチルの混合物に注入した。有機相を分取し、飽和重炭酸ナトリウム溶液と飽和塩化ナトリウム溶液で連続的に洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、濃縮した。これにより、170mg(理論値の78%)のFmoc保護中間体N−[(9H−フルオレン−9−イルメトキシ)カルボニル]−N−メチル−L−バリル−N−[(3R,4S,5S)−3−メトキシ−1−{(2S)−2−[(1R,2R)−1−メトキシ−2−メチル−3−{[(2S)−1−(1,2−オキサゾリジン−2−イル)−1−オキソ−3−フェニルプロパン−2−イル]アミノ}−3−オキソプロピル]ピロリジン−1−イル}−5−メチル−1−オキソヘプタン−4−イル]−N−メチル−L−バリンアミドを得た。
HPLC(方法5):R=2.64分;
LC−MS(方法1):R=1.44分;MS(ESIpos):m/z=1009(M+H)
【0248】
170mg(0.168mmol)のこの中間体を5mlのDMFに溶解させた。1mlのピペリジンの添加後、混合物を室温で1時間撹拌した。次いで混合物を減圧濃縮し、残渣を分取用HPLCによって精製した(移動相:アセトニトリル+0.01%TFA/水+0.01%TFA)。これにより、37mg(理論値の24%)の標題化合物を無色の泡状物として得た。
HPLC(方法5):R=1.57分;
LC−MS(方法1):R=0.84分;MS(ESIpos):m/z=787(M+H)
H−NMR(600 MHz,DMSO−d):δ=8.9−8.7(m,3H),8.5および8.2(2m,1H),7.3−7.1(m,5H),5.6および5.4(2m,1H),4.7および4.6(2m,1H),4.65および4.55(2t,1H),4.0−3.9(m,3H),3.75−3.6(m,2H),3.23,3.20,3.15,3.05および2.98(5s,9H),3.0および2.7(2m,2H),2.46(m,3H),2.35−2.15(m,4H),2.1−2.0(m,2H),1.85−1.6(m,3H),1.45(m,1H),1.25(m,1H),1.1−0.85(m,18H),0.75(t,3H)[さらなるシグナルがHOピーク下に隠れている]。
【0249】
実施例6
N−メチル−L−バリル−N−[(3R,4S,5S)−3−メトキシ−1−{(2S)−2−[(1R,2R)−1−メトキシ−2−メチル−3−{[(2S)−1−(2−オキサ−3−アザビシクロ[2.2.2]オクタ−5−エン−3−イル)−1−オキソ−3−フェニルプロパン−2−イル]アミノ}−3−オキソプロピル]ピロリジン−1−イル}−5−メチル−1−オキソヘプタン−4−イル]−N−メチル−L−バリンアミド,トリフルオロ酢酸塩
【0250】
【化86】
44.5mg(0.071mmol)のN−[(9H−フルオレン−9−イルメトキシ)カルボニル]−N−メチル−L−バリル−N−[(2R,3S,4S)−1−カルボキシ−2−メトキシ−4−メチルヘキサン−3−イル]−N−メチル−L−バリンアミド(中間体4)を10mlのDMFに溶解させ、38.6mg(0.071mmol)の(2R,3R)−3−メトキシ−2−メチル−N−[(2S)−1−(2−オキサ−3−アザビシクロ[2.2.2]オクタ−5−エン−3−イル)−1−オキソ−3−フェニルプロパン−2−イル]−3−[(2S)−ピロリジン−2−イル]プロパンアミド,トリフルオロ酢酸塩(中間体9)、32.5mg(0.086mmol)のO−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(HATU)および41μl(0.235mmol)のN,N−ジイソプロピルエチルアミンを連続して添加した。混合物を室温で1時間撹拌した。次いで反応液を減圧濃縮し、残渣を酢酸エチルに溶解させた。有機相を5%強度のクエン酸溶液と5%強度の重炭酸ナトリウム溶液で連続的に洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、濃縮した。これにより、73mg(理論値の98%)のFmoc保護中間体N−[(9H−フルオレン−9−イルメトキシ)カルボニル]−N−メチル−L−バリル−N−[(3R,4S,5S)−3−メトキシ−1−{(2S)−2−[(1R,2R)−1−メトキシ−2−メチル−3−{[(2S)−1−(2−オキサ−3−アザビシクロ[2.2.2]オクタ−5−エン−3−イル)−1−オキソ−3−フェニルプロパン−2−イル]アミノ}−3−オキソプロピル]ピロリジン−1−イル}−5−メチル−1−オキソヘプタン−4−イル]−N−メチル−L−バリンアミドを得た。
HPLC(方法6):R=2.78分;
LC−MS(方法3):R=2.96分;MS(ESIpos):m/z=1047(M+H)
【0251】
73mg(0.071mmol)のこの中間体を5mlのDMFに溶解させた。0.5mlのピペリジンの添加後、反応液を室温で10分間撹拌した。次いで混合物を減圧濃縮し、残渣をジエチルエーテルで繰り返し温浸した。このエーテルをデカンテーションした後、残渣を分取用HPLCによって精製した(移動相:アセトニトリル/0.1%水性TFA)。これにより、16mg(理論値の26%)の標題化合物を無色の泡状物として得た。
HPLC(方法6):R=1.94分;
LC−MS(方法3):R=1.71分;MS(ESIpos):m/z=825(M+H)
H−NMR(400 MHz,DMSO−d):δ=8.9−8.6(m,3H),8.4,8.3,8.1および8.0(4d,1H),7.3−7.1(m,5H),6.7−6.5(m,2H),5.2−4.8(m,3H),4.75−4.55(m,3H),4.05−3.95(m,1H),3.7−3.4(m,4H),3.22,3.17,3.15,3.05,3.02および2.95(6s,9H),3.0および2.7(2 br.m,2H),2.46(m,3H),2.4−1.2(br.m,13H),1.1−0.85(m,18H),0.75(m,3H)[さらなるシグナルがHOピーク下に隠れている]。
【0252】
実施例7
N−メチル−L−バリル−N−[(3R,4S,5S)−1−{(2S)−2−[(1R,2R)−3−{[(2S)−3−(4−ヒドロキシ−3−ニトロフェニル)−1−(1,2−オキサジナン−2−イル)−1−オキソプロパン−2−イル]アミノ}−1−メトキシ−2−メチル−3−オキソプロピル]ピロリジン−1−イル}−3−メトキシ−5−メチル−1−オキソヘプタン−4−イル]−N−メチル−L−バリンアミド,トリフルオロ酢酸塩
【0253】
【化87】
160mg(0.251mmol)のN−[(9H−フルオレン−9−イルメトキシ)カルボニル]−N−メチル−L−バリル−N−[(2R,3S,4S)−1−カルボキシ−2−メトキシ−4−メチルヘキサン−3−イル]−N−メチル−L−バリンアミド(中間体4)を13mlのDMFに溶解させ、145mg(0.251mmol)の(2R,3R)−N−[(2S)−3−(4−ヒドロキシ−3−ニトロフェニル)−1−(1,2−オキサジナン−2−イル)−1−オキソプロパン−2−イル]−3−メトキシ−2−メチル−3−[(2S)−ピロリジン−2−イル]プロパンアミド,トリフルオロ酢酸塩(中間体19)、53mg(0.276mmol)の1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩、42.2mg(0.276mmol)の1−ヒドロキシ−1H−ベンゾトリアゾール水和物および65μl(0.376mmol)のN,N−ジイソプロピルエチルアミンを連続して添加した。混合物を室温で一晩撹拌した。次いで、反応液を半飽和塩化アンモニウム水溶液と酢酸エチルの混合物に注入した。有機相を分取し、飽和重炭酸ナトリウム溶液と飽和塩化ナトリウム溶液で連続的に洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、濃縮した。これにより、260mg(理論値の96%)の粗製Fmoc保護中間体N−[(9H−フルオレン−9−イルメトキシ)カルボニル]−N−メチル−L−バリル−N−[(3R,4S,5S)−1−{(2S)−2−[(1R,2R)−3−{[(2S)−3−(4−ヒドロキシ−3−ニトロフェニル)−1−(1,2−オキサジナン−2−イル)−1−オキソプロパン−2−イル]アミノ}−1−メトキシ−2−メチル−3−オキソプロピル]ピロリジン−1−イル}−3−メトキシ−5−メチル−1−オキソヘプタン−4−イル]−N−メチル−L−バリンアミドを得、これを、さらに精製せずに次の工程で使用した。
【0254】
260mg(0.24mmol)のこの中間体を3mlのDMFに溶解させた。0.6mlのピペリジンの添加後、混合物を室温で1時間撹拌した。次いで混合物を減圧濃縮し、残渣を分取用HPLCによって精製した(移動相:アセトニトリル+0.01%TFA/水+0.01%TFA)。これにより、105mg(理論値の45%)の標題化合物をわずかに黄色がかった泡状物として得た。
HPLC(方法5):R=1.62分;
LC−MS(方法1):R=0.87分;MS(ESIpos):m/z=862(M+H)
H−NMR(500 MHz,DMSO−d):δ=10.85および10.72(2s,1H),8.9−8.6(m,3H),8.45および8.2(2d,1H),7.70および7.72(2s,1H),7.40および7.32(2d,1H),7.01および7.00(2d,1H),5.0−4.85(m,1H),4.7−4.5(m,2H),4.15−4.0(m,2H),3.95−3.75(m,2H),3.7−3.6(m,2H),3.28,3.21,3.16,3.15,3.02および2.96(6s,9H),2.9および2.75(2m,2H),2.46(m,3H),2.4−2.3(m,1H),2.3−2.2(m,1H),2.1−1.95(br.m,2H),1.85−1.7(m,4H),1.7−1.55(m,2H),1.55−1.35(m,2H),1.35(m,1H),1.1−0.8(m,18H),0.75(t,3H)[さらなるシグナルがHOピーク下に隠れている]。
【0255】
実施例8
N−メチル−L−バリル−N−[(3R,4S,5S)−1−{(2S)−2−[(1R,2R)−3−{[(2S)−1−(1,4−ジヒドロ−3H−2,3−ベンゾオキサジン−3−イル)−1−オキソ−3−フェニルプロパン−2−イル]アミノ}−1−メトキシ−2−メチル−3−オキソプロピル]ピロリジン−1−イル}−3−メトキシ−5−メチル−1−オキソヘプタン−4−イル]−N−メチル−L−バリンアミド,トリフルオロ酢酸塩
【0256】
【化88】
15.8mg(0.025mmol)のN−[(9H−フルオレン−9−イルメトキシ)カルボニル]−N−メチル−L−バリル−N−[(2R,3S,4S)−1−カルボキシ−2−メトキシ−4−メチルヘキサン−3−イル]−N−メチル−L−バリンアミド(中間体4)を5mlのDMFに溶解させ、14mg(0.025mmol)の(2R,3R)−N−[(2S)−1−(1,4−ジヒドロ−3H−2,3−ベンゾオキサジン−3−イル)−1−オキソ−3−フェニルプロパン−2−イル]−3−メトキシ−2−メチル−3−[(2S)−ピロリジン−2−イル]プロパンアミド,トリフルオロ酢酸塩(中間体11)、11.3mg(0.03mmol)のO−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(HATU)および14μl(0.082mmol)のN,N−ジイソプロピルエチルアミンを連続して添加した。混合物を室温で10分間撹拌した。次いで反応液を減圧濃縮し、残渣を直接、分取用HPLCによって精製した。これにより、13mg(理論値の49%)のFmoc保護中間体N−[(9H−フルオレン−9−イルメトキシ)カルボニル]−N−メチル−L−バリル−N−[(3R,4S,5S)−1−{(2S)−2−[(1R,2R)−3−{[(2S)−1−(1,4−ジヒドロ−3H−2,3−ベンゾオキサジン−3−イル)−1−オキソ−3−フェニルプロパン−2−イル]アミノ}−1−メトキシ−2−メチル−3−オキソプロピル]ピロリジン−1−イル}−3−メトキシ−5−メチル−1−オキソヘプタン−4−イル]−N−メチル−L−バリンアミドを得た。
HPLC(方法6):R=2.93分;
LC−MS(方法3):R=3.10分;MS(ESIpos):m/z=1071(M+H)
【0257】
13mg(0.012mmol)のこの中間体を2mlのDMFに溶解させた。0.5mlのピペリジンの添加後、混合物を室温で10分間撹拌した。次いで混合物を減圧濃縮し、残渣を分取用HPLCによって精製した(移動相:アセトニトリル/0.1%水性TFA)。これにより、10mg(理論値の97%)の標題化合物を得た。
HPLC(方法6):R=2.10分;
LC−MS(方法1):R=0.97分;MS(ESIpos):m/z=849(M+H)
H−NMR(400 MHz,DMSO−d):δ=8.90−8.62(m,3H),8.60および8.33(2d,1H),7.35−7.1(m,9H),5.4−5.0(m,4H),4.7−4.5(m,3H),3.95(m,1H),3.7−3.4(m,3H),3.24,3.20,3.18,3.16,3.10および3.08(6s,9H),3.0および2.85(2 br.m,2H),2.46(m,3H),2.3(br.m,2H),2.05(br.m,2H),1.9−1.6(m,3H),1.5−1.2(br.m,2H),1.1−0.85(m,18H),0.75(m,3H)[さらなるシグナルがHOピーク下に隠れている]。
【0258】
実施例9
N−メチル−L−バリル−N−[(3R,4S,5S)−1−{(2S)−2−[(1R,2R)−3−{[(2S)−3−(1H−インドール−3−イル)−1−(1,2−オキサジナン−2−イル)−1−オキソプロパン−2−イル]アミノ}−1−メトキシ−2−メチル−3−オキソプロピル]ピロリジン−1−イル}−3−メトキシ−5−メチル−1−オキソヘプタン−4−イル]−N−メチル−L−バリンアミド,トリフルオロ酢酸塩
【0259】
【化89】
40mg(0.076mmol)のN−(tert−ブトキシカルボニル)−N−メチル−L−バリル−N−[(2R,3S,4S)−1−カルボキシ−2−メトキシ−4−メチルヘキサン−3−イル]−N−メチル−L−バリンアミド(中間体20)を5mlのDMFに溶解させ、43mg(0.078mmol)の(2R,3R)−N−[(2S)−3−(1H−インドール−3−イル)−1−(1,2−オキサジナン−2−イル)−1−オキソプロパン−2−イル]−3−メトキシ−2−メチル−3−[(2S)−ピロリジン−2−イル]プロパンアミド,トリフルオロ酢酸塩(中間体13)、35mg(0.093mmol)のO−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(HATU)および45μl(0.256mmol)のN,N−ジイソプロピルエチルアミンを連続して添加した。混合物を室温で2時間撹拌した。反応液を減圧濃縮し、残渣を直接、分取用HPLCによって精製した。これにより、10mg(理論値の14%)のBoc保護中間体N−(tert−ブトキシカルボニル)−N−メチル−L−バリル−N−[(3R,4S,5S)−1−{(2S)−2−[(1R,2R)−3−{[(2S)−3−(1H−インドール−3−イル)−1−(1,2−オキサジナン−2−イル)−1−オキソプロパン−2−イル]-アミノ}−1−メトキシ−2−メチル−3−オキソプロピル]ピロリジン−1−イル}−3−メトキシ−5−メチル−1−オキソヘプタン−4−イル]−N−メチル−L−バリンアミドを得た。
HPLC(方法6):R=2.52分;
LC−MS(方法1):R=1.35分;MS(ESIpos):m/z=940(M+H)
【0260】
5mg(0.005mmol)のこの中間体を3mlのジクロロメタンに溶解させた。0.5mlのトリフルオロ酢酸の添加後、反応液を超音波浴中で30分間処理し、次いで、室温でさらに30分間撹拌した。次いで混合物を減圧濃縮し、残渣にアセトニトリルを添加し、再度、混合物を濃縮した。ジオキサン/水で凍結乾燥させ、5mg(理論値の99%)の標題化合物を得た。
HPLC(方法6):R=1.94分;
LC−MS(方法2):R=0.99分;MS(ESIpos):m/z=840(M+H)
H−NMR(400 MHz,DMSO−d):δ=10.8および8.8(2m,3H),8.35および8.05(2d,1H),7.55(m,1H),7.3(d,1H),7.20−6.91(m,3H),5.12および4.95(2m,1H),4.7−4.5(m,2H),4.1−3.9(m,2H),3.85(m,2H),3.75−3.4(m,5H),3.21,3.15,3.14,3.10,2.95および2.85(6s,9H),2.46(m,3H),2.4−2.2(m,2H),2.1−1.9(m,2H),1.85−1.65(m,4H),1.65−1.2(m,3H),1.05および1.0(2d,3H),0.95−0.8(m,15H),0.75(m,3H)[さらなるシグナルがHOピーク下に隠れている]。
【0261】
実施例10
N−メチル−L−バリル−N−[(3R,4S,5S)−1−{(2S)−2−[(1R,2R)−3−{[(2S)−3−(4−ヒドロキシ−3−ニトロフェニル)−1−(1,2−オキサジナン−2−イル)−1−オキソプロパン−2−イル]アミノ}−1−メトキシ−2−メチル−3−オキソプロピル]ピロリジン−1−イル}−3−メトキシ−5−メチル−1−オキソヘプタン−4−イル]−N−メチル−L−バリンアミド塩酸塩
【0262】
【化90】
25mg(0.026mmol)のN−メチル−L−バリル−N−[(3R,4S,5S)−1−{(2S)−2−[(1R,2R)−3−{[(2S)−3−(4−ヒドロキシ−3−ニトロフェニル)−1−(1,2−オキサジナン−2−イル)−1−オキソプロパン−2−イル]アミノ}−1−メトキシ−2−メチル−3−オキソ-プロピル]ピロリジン−1−イル}−3−メトキシ−5−メチル−1−オキソヘプタン−4−イル]−N−メチル−L−バリンアミド,トリフルオロ酢酸塩(実施例7)を2mlの1N塩酸に溶解させ、次いで凍結乾燥させた。これにより、16.4mg(理論値の71%)の標題化合物をわずかに黄色がかった泡状物として得た。
HPLC(方法5):R=1.63分;
LC−MS(方法1):R=0.87分;MS(ESIpos):m/z=862(M+H)
【0263】
実施例11
N−メチル−L−バリル−N−[(3R,4S,5S)−1−{(2S)−2−[(1R,2R)−3−({(2S)−1−[4−(ベンジルオキシ)−1,2−オキサゾリジン−2−イル]−1−オキソ−3−フェニルプロパン−2−イル}アミノ)−1−メトキシ−2−メチル−3−オキソプロピル]ピロリジン−1−イル}−3−メトキシ−5−メチル−1−オキソヘプタン−4−イル]−N−メチル−L−バリンアミド,トリフルオロ酢酸塩(ジアステレオマー1)
【0264】
【化91】
標題化合物を、実施例8の合成と同様にして、出発物質1を中間体28とカップリングさせ、続いてトリフルオロ酢酸で脱保護し、次いで中間体4とカップリングさせ、最後にピペリジンで脱保護することにより調製した。最終生成物の精製を分取用HPLCによって行った(移動相:アセトニトリル/0.1%水性TFA)。これにより、16.4mgの標題化合物を得た。
HPLC(方法5):R=2.08分;
LC−MS(方法3):R=1.90分;MS(ESIpos):m/z=893(M+H)
H−NMR(400 MHz,DMSO−d):δ=8.8−8.6(m,3H),8.45および8.4(2d,1H),7.35−7.1(m,10H),5.2および5.0(2m,1H),4.7−4.5(m,5H),4.15(d,1H),4.0−3.6(m,5H),3.6−3.4(m,2H),3.75−3.4(m,5H),3.22,3.16,3.15,3.05および2.96(5s,9H),3.1−2.9および2.8−2.6(2m,2H),2.45および2.44(2s,3H),2.4−2.2(m,2H),2.1−2.0(m,2H),1.85−1.6(m,2H),1.5−1.2(m,3H),1.1−0.8(m,18H),0.75(m,3H)。
【0265】
実施例12
N−メチル−L−バリル−N−[(3R,4S,5S)−1−{(2S)−2−[(1R,2R)−3−({(2S)−1−[4−(ベンジルオキシ)−1,2−オキサゾリジン−2−イル]−1−オキソ−3−フェニルプロパン−2−イル}アミノ)−1−メトキシ−2−メチル−3−オキソプロピル]ピロリジン−1−イル}−3−メトキシ−5−メチル−1−オキソヘプタン−4−イル]−N−メチル−L−バリンアミド,トリフルオロ酢酸塩(ジアステレオマー2)
【0266】
【化92】
標題化合物を、実施例8の合成と同様にして、出発物質1を中間体29とカップリングさせ、続いてトリフルオロ酢酸で脱保護し、次いで中間体4とカップリングさせ、最後にピペリジンで脱保護することにより調製した。最終生成物の精製を分取用HPLCによって行った(移動相:アセトニトリル/0.1%水性TFA)。これにより、28mgの標題化合物を得た。
HPLC(方法5):R=2.11分;
LC−MS(方法7):R=1.96分;MS(ESIpos):m/z=893(M+H)
H−NMR(400 MHz,DMSO−d):δ=8.9−8.6(m,3H),8.45および8.3(2d,1H),7.4−7.1(m,10H),5.2および4.95(2m,1H),4.7−4.5(m,5H),4.25(d,1H),4.0−3.8(m,3H),3.7−3.6(m,2H),3.6−3.4(m,2H),3.23、3.19,3.18,3.15,3.05および2.96(6s,9H),3.1−3.0および2.8−2.65(2m,2H),2.5−2.4(m,3H),2.35−2.15(m,2H),2.1−1.95(m,2H),1.8−1.6(m,2H),1.5−1.2(m,3H),1.1−0.8(m,18H),0.75(m,3H)。
【0267】
実施例13
N−メチル−L−バリル−N−[(3R,4S,5S)−1−{(2S)−2−[(1R,2R)−3−{[(2S)−1−(4−ヒドロキシ−1,2−オキサゾリジン−2−イル)−1−オキソ−3−フェニルプロパン−2−イル]アミノ}−1−メトキシ−2−メチル−3−オキソプロピル]ピロリジン−1−イル}−3−メトキシ−5−メチル−1−オキソヘプタン−4−イル]−N−メチル−L−バリンアミド(ジアステレオマー2)
【0268】
【化93】
27mg(0.03mmol)の実施例12の化合物を、42mlのTHFと22mlの水の混合物に溶解させ、1.35mlの2M塩酸を添加し、混合物を、10%パラジウム/炭素上で室温および大気圧にて20分間水素化した。次いで、この触媒を濾別し、反応混合物を重炭酸ナトリウム水溶液で中和した。次いで、混合物を酢酸エチルで抽出した。相の分離後、酢酸エチル相を濃縮し、残渣をシリカゲルフラッシュクロマトグラフィーによって精製した(移動相ジクロロメタン/メタノール/17%水性アンモニア(125:3:0.3)を使用)。適切な画分を濃縮し、残渣をジオキサンで凍結乾燥させた。これにより、25mgの標題化合物を得た。
HPLC(方法6):R=1.74分;
LC−MS(方法8):R=2.06分;MS(ESIpos):m/z=803(M+H)
H−NMR(400 MHz,DMSO−d):δ=8.45および8.2(2d,1H),8.1(m,1H),7.3−7.1(m,5H),5.5(m,1H),5.15および4.95(2m,1H),4.7−4.4(m,3H),4.1−3.9(m,3H),3.5−3.4(m,3H),3.23,3.19,3.18,3.16,3.05および2.96(6s,9H),3.1−3.0および2.8−2.65(2m,2H),2.4−2.15(m,5H),2.1−1.95(m,2H),1.8−1.6(m,3H),1.5−1.2(m,2H),1.05−0.8(m,18H),0.75(m,3H)。
【0269】
実施例14
N−メチル−L−バリル−N−[(3R,4S,5S)−1−{(2S)−2−[(1R,2R)−3−{[(2S)−3,3−ジメチル−1−(1,2−オキサジナン−2−イル)−1−オキソブタン−2−イル]アミノ}−1−メトキシ−2−メチル−3−オキソプロピル]ピロリジン−1−イル}−3−メトキシ−5−メチル−1−オキソヘプタン−4−イル]−N−メチル−L−バリンアミド,トリフルオロ酢酸塩
【0270】
【化94】
標題化合物を、3工程で、中間体21から出発して、まずトリフルオロ酢酸で脱保護した後、中間体4とカップリングさせ、最後にピペリジンで脱保護することにより調製した。最終生成物の精製を分取用HPLCによって行った(移動相:アセトニトリル+0.01%TFA/水+0.01%TFA)。これにより、2.5mgの標題化合物を得た。
HPLC(方法5):R=1.67分;
LC−MS(方法1):R=0.90分;MS(ESIpos):m/z=767(M+H)
【0271】
実施例15
N−メチル−L−バリル−N−[(3R,4S,5S)−3−メトキシ−1−{(2S)−2−[(1R,2R)−1−メトキシ−2−メチル−3−{[(2S)−1−(1,2−オキサジナン−2−イル)−1−オキソ−3,3−ジフェニルプロパン−2−イル]アミノ}−3−オキソプロピル]ピロリジン−1−イル}−5−メチル−1−オキソヘプタン−4−イル]−N−メチル−L−バリンアミド,トリフルオロ酢酸塩
【0272】
【化95】
標題化合物を、3工程で、中間体22から出発して、まずトリフルオロ酢酸で脱保護した後、中間体4とカップリングさせ、最後にピペリジンで脱保護することにより調製した。最終生成物の精製を分取用HPLCによって行った(移動相:アセトニトリル+0.01%TFA/水+0.01%TFA)。これにより、20mgの標題化合物を得た。
HPLC(方法5):R=1.78分;
LC−MS(方法1):R=0.95分;MS(ESIpos):m/z=877(M+H)
【0273】
実施例16
N−メチル−L−バリル−N−[(3R,4S,5S)−3−メトキシ−1−{(2S)−2−[(1R,2R)−1−メトキシ−2−メチル−3−{[(1S,2S)−1−(1,2−オキサジナン−2−イルカルボニル)−2−フェニルシクロプロピル]アミノ}−3−オキソプロピル]ピロリジン−1−イル}−5−メチル−1−オキソヘプタン−4−イル]−N−メチル−L−バリンアミド,トリフルオロ酢酸塩
【0274】
【化96】
標題化合物を、3工程で、中間体23から出発して、まずトリフルオロ酢酸で脱保護した後、中間体4とカップリングさせ、最後にピペリジンで脱保護することにより調製した。最終生成物の精製を分取用HPLCによって行った(移動相:アセトニトリル/0.1%水性TFA)。これにより、9mgの標題化合物を得た。
HPLC(方法6):R=1.95分;
LC−MS(方法1):R=0.90分;MS(ESIpos):m/z=813(M+H)
H−NMR(500 MHz,DMSO−d):δ=8.85(m,2H),8.7(m,1H),8.2および7.8(2s,1H),7.3−7.1(m,5H),4.75および4.65(2m,1H),4.7および4.6(2t,1H),4.0−3.9(m,2H),3.85(m,1H),3.75−3.6(m,4H),3.55(m,1H),3.22,3.20,3.18,3.17,3.03および2.98(6s,9H),2.92および2.82(2t,1H),2.5−2.45(m,3H),2.4−1.3(m,15H),1.0−0.7(m,18H),0.65および0.6(2d,3H)[さらなるシグナルがHOピーク下に隠れている]。
【0275】
実施例17
N−メチル−L−バリル−N−[(3R,4S,5S)−3−メトキシ−1−{(2S)−2−[(1R,2R)−1−メトキシ−2−メチル−3−{[(1S,2R)−1−(1,2−オキサジナン−2−イルカルボニル)−2−フェニルシクロプロピル]アミノ}−3−オキソプロピル]ピロリジン−1−イル}−5−メチル−1−オキソヘプタン−4−イル]−N−メチル−L−バリンアミド,トリフルオロ酢酸塩
【0276】
【化97】
617mg(1.2mmol)のtert−ブチル(2S)−2−[(1R,2R)−1−メトキシ−2−メチル−3−{[(1S,2R)−1−(1,2−オキサジナン−2−イルカルボニル)−2−フェニルシクロプロピル]アミノ}−3−オキソプロピル]ピロリジン−1−カルボキシレート(中間体24)を44mlのジクロロメタンに溶解させ、4.4mlのトリフルオロ酢酸を添加し、混合物を室温で30分間撹拌した。次いで混合物を減圧濃縮し、残留した残渣をジオキサン/水で凍結乾燥させた。これにより、702mg(quant.)の脱保護化合物(2R,3R)−3−メトキシ−2−メチル−N−[(1S,2R)−1−(1,2−オキサジナン−2−イルカルボニル)−2−フェニルシクロプロピル]−3−[(2S)−ピロリジン−2−イル]プロパンアミド,トリフルオロ酢酸塩を粗製生成物として得、これを、さらに精製せずに次の工程で使用した。
【0277】
470mg(0.74mmol)のN−[(9H−フルオレン−9−イルメトキシ)カルボニル]−N−メチル−L−バリル−N−[(2R,3S,4S)−1−カルボキシ−2−メトキシ−4−メチルヘキサン−3−イル]−N−メチル−L−バリンアミド(中間体4)を57mlのDMFに溶解させ、390mg(約0.74mmol)の上記で得られた(2R,3R)−3−メトキシ−2−メチル−N−[(1S,2R)−1−(1,2−オキサジナン−2−イルカルボニル)−2−フェニルシクロプロピル]−3−[(2S)−ピロリジン−2−イル]プロパンアミド,トリフルオロ酢酸塩、336mg(0.88mmol)のO−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(HATU)および423μl(2.4mmol)のN,N−ジイソプロピルエチルアミンを連続して添加した。混合物を室温で2時間撹拌した。次いで、反応液を半飽和塩化アンモニウム水溶液と酢酸エチルの混合物に注入した。有機相を分取し、飽和重炭酸ナトリウム溶液と飽和塩化ナトリウム溶液で連続的に洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮した。残渣を分取用HPLCによって精製した。これにより、453mg(理論値の59%)のFmoc保護中間体N−[(9H−フルオレン−9−イルメトキシ)カルボニル]−N−メチル−L−バリル−N−[(3R,4S,5S)−3−メトキシ−1−{(2S)−2−[(1R,2R)−1−メトキシ−2−メチル−3−{[(1S,2R)−1−(1,2−オキサジナン−2−イルカルボニル)−2−フェニルシクロプロピル]アミノ}−3−オキソプロピル]ピロリジン−1−イル}−5−メチル−1−オキソヘプタン−4−イル]−N−メチル−L−バリンアミドを得た。
HPLC(方法5):R=2.58分;
LC−MS(方法1):R=3.10分;MS(ESIpos):m/z=1035(M+H)
【0278】
453mg(0.438mmol)のこの中間体を24mlのDMFに溶解させた。2.4mlのピペリジンの添加後、反応液を室温で30分間撹拌した。次いで混合物を減圧濃縮し、残渣を分取用HPLCによって精製した(移動相:アセトニトリル/0.1%水性TFA)。これにより、260mg(理論値の64%)の標題化合物を無色の泡状物として得た。
HPLC(方法5):R=1.64分;
LC−MS(方法1):R=0.86分;MS(ESIpos):m/z=813(M+H)
H−NMR(400 MHz,DMSO−d):δ=8.8(m,2H),8.65(m,2H),7.3−7.1(m,5H),4.8−4.05(m,2H),4.0および3.82(2m,2H),3.8−3.5(m,8H),3.32,3.29,3.20,3.19,3.12および3.00(6s,9H),2.65(t,1H),2.5−2.45(m,3H),2.4−1.3(m,15H),1.15−0.85(m,18H),0.8および0.75(2d,3H)[さらなるシグナルがHOピーク下に隠れている]。
【0279】
実施例18
N−メチル−L−バリル−N−[(3R,4S,5S)−1−{(2S)−2−[(1R,2R)−3−{[(1S,2R)−1−(1,4−ジヒドロ−3H−2,3−ベンゾオキサジン−3−イルカルボニル)−2−フェニルシクロプロピル]アミノ}−1−メトキシ−2−メチル−3−オキソプロピル]ピロリジン−1−イル}−3−メトキシ−5−メチル−1−オキソヘプタン−4−イル]−N−メチル−L−バリンアミド,トリフルオロ酢酸塩
【0280】
【化98】
166mg(0.196mmol)のN−[(9H−フルオレン−9−イルメトキシ)カルボニル]−N−メチル−L−バリル−N−[(3R,4S,5S)−1−{(2S)−2−[(1R,2R)−2−カルボキシ−1−メトキシプロピル]ピロリジン−1−イル}−3−メトキシ−5−メチル−1−オキソヘプタン−4−イル]−N−メチル−L−バリンアミド(中間体30)を40mlのDMFに溶解させ、80mg(0.196mmol)の[(1S,2R)−1−アミノ−2−フェニルシクロプロピル](1,4−ジヒドロ−3H−2,3−ベンゾオキサジン−3−イル)メタノン、トリフルオロ酢酸塩(中間体31)、112mg(0.294mmol)のO−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(HATU)および682μl(3.9mmol)のN,N−ジイソプロピルエチルアミンを連続して添加した。次いで、混合物を室温で一晩撹拌した。次いで反応液を減圧濃縮し、残渣を酢酸エチルに溶解させ、この溶液を飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄した。有機相を硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、濃縮した。最後に残渣を分取用HPLCによって精製した。この様式で、19mg(理論値の9%)のFmoc保護中間体N−[(9H−フルオレン−9−イルメトキシ)カルボニル]−N−メチル−L−バリル−N−[(3R,4S,5S)−1−{(2S)−2−[(1R,2R)−3−{[(1S,2R)−1−(1,4−ジヒドロ−3H−2,3−ベンゾオキサジン−3−イルカルボニル)−2−フェニル-シクロプロピル]アミノ}−1−メトキシ−2−メチル−3−オキソプロピル]ピロリジン−1−イル}−3−メトキシ−5−メチル−1−オキソヘプタン−4−イル]−N−メチル−L−バリンアミドを得た。
HPLC(方法5):R=1.68分;
LC−MS(方法1):R=1.51分;MS(ESIpos):m/z=1083(M+H)
【0281】
19mg(0.015mmol)のこの中間体を4mlのDMFに溶解させた。817μlのピペリジンの添加後、反応液を室温で5分間撹拌した。次いで混合物を減圧濃縮し、残渣を、まずジエチルエーテルで温浸し、次いで分取用HPLCによって精製した(移動相:アセトニトリル+0.1%TFA/0.1%水性TFA)。適切な画分を合わせ、溶媒を減圧下除去し、次いで、残渣をジオキサン/水で凍結乾燥させた。これにより、12mg(理論値の92%)の標題化合物を無色の泡状物として得た。
HPLC(方法6):R=2.0分;
LC−MS(方法1):R=0.94分;MS(ESIpos):m/z=861(M+H)
【0282】
実施例19
N−メチル−L−トレオニル−N−[(3R,4S,5S)−3−メトキシ−1−{(2S)−2−[(1R,2R)−1−メトキシ−2−メチル−3−{[(2S)−1−(1,2−オキサジナン−2−イル)−1−オキソ−3−フェニルプロパン−2−イル]アミノ}−3−オキソプロピル]ピロリジン−1−イル}−5−メチル−1−オキソヘプタン−4−イル]−N−メチル−L−バリンアミド
【0283】
【化99】
100mg(0.181mmol)のN−[(ベンジルオキシ)カルボニル]−N−メチル−L−トレオニル−N−[(2R,3S,4S)−1−カルボキシ−2−メトキシ−4−メチルヘキサン−3−イル]−N−メチル−L−バリンアミド(中間体32)を5mlのDMFに溶解させ、94mg(0.181mmol)の(2R,3R)−3−メトキシ−2−メチル−N−[(2S)−1−(1,2−オキサジナン−2−イル)−1−オキソ−3−フェニルプロパン−2−イル]−3−[(2S)−ピロリジン−2−イル]プロパンアミド,トリフルオロ酢酸塩(中間体7)、42mg(0.218mmol)の1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩、33mg(0.218mmol)の1−ヒドロキシ−1H−ベンゾトリアゾール水和物および63μl(0.36mmol)のN,N−ジイソプロピルエチルアミンを連続して添加した。次いで、混合物を室温で2時間撹拌した。次いで、溶媒を減圧下除去し、残渣を分取用HPLCによって精製した。これにより、128mg(理論値の75%)のZ保護中間体N−[(ベンジルオキシ)カルボニル]−N−メチル−L−トレオニル−N−[(3R,4S,5S)−3−メトキシ−1−{(2S)−2−[(1R,2R)−1−メトキシ−2−メチル−3−{[(2S)−1−(1,2−オキサジナン−2−イル)−1−オキソ−3−フェニルプロパン−2−イル]アミノ}−3−オキソプロピル]ピロリジン−1−イル}−5−メチル−1−オキソヘプタン−4−イル]−N−メチル−L−バリンアミドを得た。
LC−MS(方法2):R=1.32分;MS(ESIpos):m/z=937(M+H)
【0284】
100mg(0.107mmol)のこの中間体を20mlのメタノールに溶解させ、10%パラジウム/炭素上で室温および大気圧にて1時間水素化した。次いで、この触媒を濾別し、溶媒を蒸発させた。残留した残渣をジオキサン/水(1:1)で凍結乾燥させた。これにより、88mg(理論値の97%)の標題化合物を得た。
LC−MS(方法1):R=0.83分;MS(ESIpos):m/z=803(M+H)
【0285】
実施例20
N,N−ジメチル−L−トレオニル−N−[(3R,4S,5S)−3−メトキシ−1−{(2S)−2−[(1R,2R)−1−メトキシ−2−メチル−3−{[(2S)−1−(1,2−オキサジナン−2−イル)−1−オキソ−3−フェニルプロパン−2−イル]アミノ}−3−オキソプロピル]ピロリジン−1−イル}−5−メチル−1−オキソヘプタン−4−イル]−N−メチル−L−バリンアミド
【0286】
【化100】
84mg(0.105mmol)のN−メチル−L−トレオニル−N−[(3R,4S,5S)−3−メトキシ−1−{(2S)−2−[(1R,2R)−1−メトキシ−2−メチル−3−{[(2S)−1−(1,2−オキサジナン−2−イル)−1−オキソ−3−フェニルプロパン−2−イル]アミノ}−3−オキソプロピル]ピロリジン−1−イル}−5−メチル−1−オキソヘプタン−4−イル]−N−メチル−L−バリンアミド(実施例19)を、5mlのジオキサン/水(1:1)に溶解させ、31μl(0.418mmol)の37%強度のホルムアルデヒド水溶液と8mg(0.126mmol)のシアノ水素化ホウ素ナトリウムを添加した。次いで、1mlの0.1N塩酸を用いて混合物をpH6〜7に調整し、100℃で1時間撹拌した。次いで、反応液を半飽和重炭酸ナトリウム水溶液と酢酸エチルの混合物に注入した。有機相を分取し、飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、濃縮した。最後に残渣をアセトニトリル/水で凍結乾燥させた。これにより、72mg(理論値の84%)の標題化合物を無色の泡状物の形態で得た。
HPLC(方法5):R=1.6分;
LC−MS(方法2):R=0.96分;MS(ESIpos):m/z=817(M+H)
【0287】
実施例21
N−メチル−L−バリル−N−[(3R,4S,5S)−3−メトキシ−1−{(2S)−2−[(1R,2R)−1−メトキシ−2−メチル−3−{[(2R)−1−(1,2−オキサジナン−2−イル)−1−オキソ−3−フェニルプロパン−2−イル]アミノ}−3−オキソプロピル]ピロリジン−1−イル}−5−メチル−1−オキソヘプタン−4−イル]−N−メチル−L−バリンアミド,トリフルオロ酢酸塩
【0288】
【化101】
標題化合物を、実施例18の合成と同様にして、中間体30を(2R)−2−アミノ−1−(1,2−オキサジナン−2−イル)−3−フェニルプロパン−1−オン,トリフルオロ酢酸塩(中間体33)とカップリングさせ、続いてピペリジンで脱保護することにより調製した。最終生成物の精製を分取用HPLCによって行った(移動相:アセトニトリル+0.1%TFA/0.1%水性TFA)。
HPLC(方法6):R=1.9分;
LC−MS(方法1):R=0.91分;MS(ESIpos):m/z=801(M+H)
H−NMR(500 MHz,DMSO−d):δ=8.8(m,2H),8.65(m,1H),8.32および8.1(2d,1H),7.3−7.1(m,5H),5.05および4.95(2m,1H),4.65(m,1H),4.62および4.56(2t,1H),4.1−3.75(m,5H),3.7−3.45(m,4H),3.28,3.22,3.18,3.17,3.04および2.99(6s,9H),2.9および2.75(2m,2H),2.46(m,3H),2.45−2.2(m,3H),2.1−1.5(m,12H),1.0−0.8(m,18H),0.8および0.75(2d,3H)[さらなるシグナルがHOピーク下に隠れている]。
【0289】
実施例22
N−メチル−L−バリル−N−[(3R,4S,5S)−3−メトキシ−1−{(2S)−2−[(1R,2R)−1−メトキシ−2−メチル−3−{[(2S)−2−メチル−1−(1,2−オキサジナン−2−イル)−1−オキソ−3−フェニルプロパン−2−イル]アミノ}−3−オキソプロピル]ピロリジン−1−イル}−5−メチル−1−オキソヘプタン−4−イル]−N−メチル−L−バリンアミド,トリフルオロ酢酸塩
【0290】
【化102】
標題化合物を、実施例18の合成と同様にして、中間体30を(2S)−2−アミノ−2−メチル−1−(1,2−オキサジナン−2−イル)−3−フェニルプロパン−1−オン,トリフルオロ酢酸塩(中間体34)とカップリングさせ、続いてピペリジンで脱保護することにより調製した。最終生成物の精製を分取用HPLCによって行った(移動相:アセトニトリル+0.1%TFA/0.1%水性TFA)。
LC−MS(方法1):R=0.95分;MS(ESIpos):m/z=815(M+H)
【0291】
実施例23
N−(3−カルボキシプロピル)−N−メチル−L−バリル−N−[(3R,4S,5S)−3−メトキシ−1−{(2S)−2−[(1R,2R)−1−メトキシ−2−メチル−3−{[(1S,2R)−1−(1,2−オキサジナン−2−イルカルボニル)−2−フェニルシクロプロピル]アミノ}−3−オキソプロピル]ピロリジン−1−イル}−5−メチル−1−オキソヘプタン−4−イル]−N−メチル−L−バリンアミド
【0292】
【化103】
50mg(0.054mmol)のN−メチル−L−バリル−N−[(3R,4S,5S)−3−メトキシ−1−{(2S)−2−[(1R,2R)−1−メトキシ−2−メチル−3−{[(1S,2R)−1−(1,2−オキサジナン−2−イルカルボニル)−2−フェニルシクロプロピル]アミノ}−3−オキソプロピル]ピロリジン−1−イル}−5−メチル−1−オキソヘプタン−4−イル]−N−メチル−L−バリンアミド,トリフルオロ酢酸塩(実施例17)を8mlのジオキサン/水(1:1)に溶解させ、70ml(0.108mmol)の15%強度の4−オキソブタン酸の水溶液を添加した。次いで、反応液を100℃で1時間撹拌した。室温まで冷却後、3.7mg(0.059mmol)のシアノ水素化ホウ素ナトリウムを添加し、約300μlの0.1N塩酸の添加によって混合物をpH3に調整した。次いで、反応液を100℃でさらに2時間撹拌した。冷却後、さらに70ml(0.108mmol)の15%強度の4−オキソブタン酸溶液を添加し、反応液をもう一度100℃で1時間撹拌した。次いで、さらに3.7mg(0.059mmol)のシアノ水素化ホウ素ナトリウムを添加し、続いて、約300μlの0.1N塩酸を用いてpHを3に再調整した。次いで、反応液を100℃でさらに2時間撹拌した。反応が未だ終了していなかった場合は、3回目のこの手順を繰り返した。最後に反応液を濃縮し、残渣を分取用HPLCによって精製した。この様式で、32mg(理論値の65%)の標題化合物を無色の泡状物の形態で得た。
HPLC(方法6):R=1.64分;
LC−MS(方法9):R=4.76分;MS(ESIpos):m/z=899(M+H)
H−NMR(500 MHz,DMSO−d):δ=8.95および8.8(2m,1H),8.88および8.65(2s,1H),7.4−7.1(m,5H),5.0,4.78,4.65および4.55(4m,2H),4.1−3.7(m,5H),3.32,3.29,3.20,3.12,3.1および3.0(6s,9H),2.75(m,2H),2.63(t,1H),2.4−2.2(m,4H),2.1−1.2(m,12H),1.2−0.8(m,16H),0.75(m,3H)[さらなるシグナルがHOピークおよびDMSOピーク下に隠れている]。
【0293】
実施例24
N−(3−カルボキシプロピル)−N−メチル−L−バリル−N−[(3R,4S,5S)−3−メトキシ−1−{(2S)−2−[(1R,2R)−1−メトキシ−2−メチル−3−{[(2S)−1−(1,2−オキサジナン−2−イル)−1−オキソ−3−フェニルプロパン−2−イル]アミノ}−3−オキソプロピル]ピロリジン−1−イル}−5−メチル−1−オキソヘプタン−4−イル]−N−メチル−L−バリンアミド
【0294】
【化104】
標題化合物を、実施例23の合成と同様にして、50mgのN−メチル−L−バリル−N−[(3R,4S,5S)−3−メトキシ−1−{(2S)−2−[(1R,2R)−1−メトキシ−2−メチル−3−{[(2S)−1−(1,2−オキサジナン−2−イル)−1−オキソ−3−フェニルプロパン−2−イル]アミノ}−3−オキソプロピル]ピロリジン−1−イル}−5−メチル−1−オキソヘプタン−4−イル]−N−メチル−L−バリンアミド,トリフルオロ酢酸塩(実施例1)を4−オキソブタン酸と反応させることにより調製した。
収量:34mg(理論値の70%)
HPLC(方法5):R=1.64分;
LC−MS(方法9):R=4.77分;MS(ESIpos):m/z=887(M+H)
【0295】
実施例25
N−(4−カルボキシベンジル)−N−メチル−L−バリル−N−[(3R,4S,5S)−3−メトキシ−1−{(2S)−2−[(1R,2R)−1−メトキシ−2−メチル−3−{[(1S,2R)−1−(1,2−オキサジナン−2−イルカルボニル)−2−フェニルシクロプロピル]アミノ}−3−オキソプロピル]ピロリジン−1−イル}−5−メチル−1−オキソヘプタン−4−イル]−N−メチル−L−バリンアミド
【0296】
【化105】
標題化合物を、実施例23の合成と同様にして、15mgのN−メチル−L−バリル−N−[(3R,4S,5S)−3−メトキシ−1−{(2S)−2−[(1R,2R)−1−メトキシ−2−メチル−3−{[(1S,2R)−1−(1,2−オキサジナン−2−イルカルボニル)−2−フェニルシクロプロピル]アミノ}−3−オキソプロピル]ピロリジン−1−イル}−5−メチル−1−オキソヘプタン−4−イル]−N−メチル−L−バリンアミド,トリフルオロ酢酸塩(実施例17)を4−ホルミル安息香酸と反応させることにより調製した。
収量:7.5mg(理論値の48%)
HPLC(方法5):R=1.75分;
LC−MS(方法1):R=0.97分;MS(ESIpos):m/z=947(M+H)
【0297】
実施例26
N−(5−カルボキシペンチル)−N−メチル−L−バリル−N−[(3R,4S,5S)−3−メトキシ−1−{(2S)−2−[(1R,2R)−1−メトキシ−2−メチル−3−{[(1S,2R)−1−(1,2−オキサジナン−2−イルカルボニル)−2−フェニルシクロプロピル]アミノ}−3−オキソプロピル]ピロリジン−1−イル}−5−メチル−1−オキソヘプタン−4−イル]−N−メチル−L−バリンアミド
【0298】
【化106】
10mg(0.011mmol)のN−メチル−L−バリル−N−[(3R,4S,5S)−3−メトキシ−1−{(2S)−2−[(1R,2R)−1−メトキシ−2−メチル−3−{[(1S,2R)−1−(1,2−オキサジナン−2−イルカルボニル)−2−フェニルシクロプロピル]アミノ}−3−オキソプロピル]ピロリジン−1−イル}−5−メチル−1−オキソヘプタン−4−イル]−N−メチル−L−バリンアミド,トリフルオロ酢酸塩(実施例17)を2mlのジオキサン/水(1:1)に溶解させ、2.8mg(0.022mmol)の6−オキソヘキサン酸を添加した。次いで、反応液を100℃で1時間撹拌した。室温まで冷却後、0.75mg(0.012mmol)のシアノ水素化ホウ素ナトリウムを添加し、0.1N塩酸の添加によって混合物をpH3に調整した。次いで、反応液を100℃でさらに1時間撹拌した。冷却後、さらに2.8mg(0.022mmol)の6−オキソヘキサン酸を添加し、反応液をもう一度100℃で1時間撹拌した。さらに0.75mg(0.012mmol)のシアノ水素化ホウ素ナトリウムを添加し、次いで、0.1N塩酸を用いてpHを3に再調整した。次いで、反応液を100℃でさらに1時間撹拌した。次いで、3回目のこの手順を繰り返した。最後に反応液を濃縮し、粗製生成物を分取用HPLCによって精製した。これにより、6.4mg(理論値の64%)の標題化合物を無色の泡状物の形態で得た。
HPLC(方法5):R=1.68分;
LC−MS(方法9):R=4.86分;MS(ESIpos):m/z=927(M+H)
【0299】
実施例27
N−(2−アミノエチル)−N−メチル−L−バリル−N−[(3R,4S,5S)−3−メトキシ−1−{(2S)−2−[(1R,2R)−1−メトキシ−2−メチル−3−{[(2S)−1−(1,2−オキサジナン−2−イル)−1−オキソ−3−フェニルプロパン−2−イル]アミノ}−3−オキソプロピル]ピロリジン−1−イル}−5−メチル−1−オキソヘプタン−4−イル]−N−メチル−L−バリンアミド、ビス(トリフルオロ酢酸)塩
【0300】
【化107】
標題化合物を、実施例2の合成と同様にして、68mgのN−メチル−L−バリル−N−[(3R,4S,5S)−3−メトキシ−1−{(2S)−2−[(1R,2R)−1−メトキシ−2−メチル−3−{[(2S)−1−(1,2−オキサジナン−2−イル)−1−オキソ−3−フェニルプロパン−2−イル]アミノ}−3−オキソプロピル]ピロリジン−1−イル}−5−メチル−1−オキソヘプタン−4−イル]−N−メチル−L−バリンアミド,トリフルオロ酢酸塩(実施例1)を(2−オキソエチル)カルバミン酸tert−ブチルと反応させ、続いて、Boc保護基をトリフルオロ酢酸で除去することにより調製した。
収量:49mg(2工程で理論値の62%)
HPLC(方法5):R=1.58分;
LC−MS(方法2):R=1.05分;MS(ESIpos):m/z=844(M+H)
H−NMR(600 MHz,DMSO−d):δ=8.25(m,1H),8.45および8.15(2d,1H),7.65−7.55(m,3H),7.23−7.1(m,5H),5.12および4.95(2m,1H),4.72および4.62(2m,1H),4.6および4.52(2t,1H),4.2−3.8(m,4H),3.7(d,1H),3.23,3.20,3.19,3.18,3.03および2.98(6s,9H),3.0−2.7(m,6H),2.4−1.2(m,15H),1.05,1.0,0.88および0.82(4d,6H),0.92(m,6H),0.73(m,6H)[さらなるシグナルがHOピーク下に隠れている]。
【0301】
実施例28
N−(3−アミノプロピル)−N−メチル−L−バリル−N−[(3R,4S,5S)−3−メトキシ−1−{(2S)−2−[(1R,2R)−1−メトキシ−2−メチル−3−{[(1S,2R)−1−(1,2−オキサジナン−2−イルカルボニル)−2−フェニルシクロプロピル]アミノ}−3−オキソプロピル]ピロリジン−1−イル}−5−メチル−1−オキソヘプタン−4−イル]−N−メチル−L−バリンアミド
【0302】
【化108】
標題化合物を、実施例27の合成と同様にして、25mg(0.027mmol)のN−メチル−L−バリル−N−[(3R,4S,5S)−3−メトキシ−1−{(2S)−2−[(1R,2R)−1−メトキシ−2−メチル−3−{[(1S,2R)−1−(1,2−オキサジナン−2−イルカルボニル)−2−フェニルシクロプロピル]アミノ}−3−オキソプロピル]ピロリジン−1−イル}−5−メチル−1−オキソヘプタン−4−イル]−N−メチル−L−バリンアミド,トリフルオロ酢酸塩(実施例17)を(3−オキソプロピル)カルバミン酸ベンジルと反応させ、続いて、Z保護基を水素化分解的除去する(溶媒としてのエタノール中で、触媒として10%パラジウム担持炭素を使用して)ことにより調製した。
収量:11mg(2工程で理論値の41%)
HPLC(方法5):R=1.53分;
LC−MS(方法1):R=0.72分;MS(ESIpos):m/z=870(M+H)
【0303】
実施例29
N−(4−メトキシ−4−オキソブチル)−N−メチル−L−バリル−N−[(3R,4S,5S)−3−メトキシ−1−{(2S)−2−[(1R,2R)−1−メトキシ−2−メチル−3−{[(2S)−1−(1,2−オキサジナン−2−イル)−1−オキソ−3−フェニルプロパン−2−イル]アミノ}−3−オキソ-プロピル]ピロリジン−1−イル}−5−メチル−1−オキソヘプタン−4−イル]−N−メチル−L−バリンアミド
【0304】
【化109】
標題化合物を、実施例23の合成と同様にして、9.5mgのN−メチル−L−バリル−N−[(3R,4S,5S)−3−メトキシ−1−{(2S)−2−[(1R,2R)−1−メトキシ−2−メチル−3−{[(2S)−1−(1,2−オキサジナン−2−イル)−1−オキソ−3−フェニルプロパン−2−イル]アミノ}−3−オキソプロピル]ピロリジン−1−イル}−5−メチル−1−オキソヘプタン−4−イル]−N−メチル−L−バリンアミド,トリフルオロ酢酸塩(実施例1)を4−オキソブタン酸メチルと反応させることにより調製した。
収量:4mg(理論値の43%)
HPLC(方法5):R=1.73分;
LC−MS(方法9):R=4.91分;MS(ESIpos):m/z=901(M+H)
【0305】
実施例30
N−(6−アミノヘキシル)−N−メチル−L−バリル−N−[(3R,4S,5S)−3−メトキシ−1−{(2S)−2−[(1R,2R)−1−メトキシ−2−メチル−3−{[(2S)−1−(1,2−オキサジナン−2−イル)−1−オキソ−3−フェニルプロパン−2−イル]アミノ}−3−オキソプロピル]ピロリジン−1−イル}−5−メチル−1−オキソヘプタン−4−イル]−N−メチル−L−バリンアミド
【0306】
【化110】
標題化合物を、実施例28の合成と同様にして、20mg(16μmol)のN−メチル−L−バリル−N−[(3R,4S,5S)−3−メトキシ−1−{(2S)−2−[(1R,2R)−1−メトキシ−2−メチル−3−{[(2S)−1−(1,2−オキサジナン−2−イル)−1−オキソ−3−フェニルプロパン−2−イル]アミノ}−3−オキソプロピル]ピロリジン−1−イル}−5−メチル−1−オキソヘプタン−4−イル]−N−メチル−L−バリンアミド,トリフルオロ酢酸塩(実施例1)を(6−オキソヘキシル)カルバミン酸ベンジルと反応させ、続いて、Z保護基を水素化分解的除去する(溶媒としてのメタノール中で、触媒として10%パラジウム担持炭素を使用して)ことにより調製した。
収量:7.6mg(2工程で理論値の55%)
HPLC(方法6):R=1.8分;
LC−MS(方法1):R=0.70分;MS(ESIpos):m/z=901(M+H)
【0307】
実施例31
N−(6−アミノヘキシル)−N−メチル−L−バリル−N−[(3R,4S,5S)−3−メトキシ−1−{(2S)−2−[(1R,2R)−1−メトキシ−2−メチル−3−{[(1S,2R)−1−(1,2−オキサジナン−2−イルカルボニル)−2−フェニルシクロプロピル]アミノ}−3−オキソプロピル]ピロリジン−1−イル}−5−メチル−1−オキソヘプタン−4−イル]−N−メチル−L−バリンアミド
【0308】
【化111】
標題化合物を、実施例28の合成と同様にして、200mg(0.108mmol)のN−メチル−L−バリル−N−[(3R,4S,5S)−3−メトキシ−1−{(2S)−2−[(1R,2R)−1−メトキシ−2−メチル−3−{[(1S,2R)−1−(1,2−オキサジナン−2−イルカルボニル)−2−フェニルシクロプロピル]アミノ}−3−オキソプロピル]ピロリジン−1−イル}−5−メチル−1−オキソヘプタン−4−イル]−N−メチル−L−バリンアミド,トリフルオロ酢酸塩(実施例17)を(6−オキソヘキシル)カルバミン酸ベンジルと反応させ、続いて、Z保護基を水素化分解的除去する(溶媒としてのメタノール中で、触媒として5%パラジウム担持炭素を使用して)ことにより調製した。
収量:69mg(2工程で理論値の65%)
HPLC(方法5):R=1.7分;
LC−MS(方法1):R=0.76分;MS(ESIpos):m/z=912(M+H)
【0309】
B.生物学的活性の評価
本発明による化合物の生物学的活性は、当業者に知られたインビトロおよびインビボ検査によって実証することができる。例えば、本発明による化合物の薬理学的特性および薬物動態特性は、下記のアッセイを採用して調べることができる。
【0310】
B−1.786−O RCC細胞株に対する抗増殖効果の測定:
規定細胞数のヒト腎がん細胞株786−Oを、96ウェルマイクロタイタープレート内の完全培地中に播種し(2500または7000細胞/ウェル)、37℃/5%COで一晩インキュベートした。18時間後、播種培地を無血清培地または2%FCSを含む培地と置き換えた。種々の濃度(10−5M〜10−14M)のそれぞれの試験物質の添加によって処理を開始した。選択したインキュベーション時間は48時間〜96時間であった。MTTアッセイ(ATCC,Manassas,Virginia,USA,カタログ番号30−1010K)を採用して増殖を測定した。インキュベーション時間後、MTT試薬を細胞とともに4時間インキュベートし、続いて、洗浄剤を添加することにより細胞を一晩溶解させた。形成された色素を570nmで検出した。試験物質で処理しなかったが、それ以外は同一に処理した細胞の増殖を100%と規定した。この試験で得たデータは三連の測定値であり、少なくとも2回の独立した実験を行った。
【0311】
以下の表1に、このアッセイの代表的な作業実施例のIC50値を示す。
【0312】
【表1-1】
【0313】
【表1-2】
比較として、この試験では、モノメチルアウリスタチンF(MMAF)は、260nMのIC50値を有する。
【0314】
B−2.HT29wt細胞株に対する抗増殖効果の測定
規定細胞数のヒト結腸癌細胞株HT29wt(野生型)を、96ウェルマイクロタイタープレート内の完全培地(10%FCS−RPMI)中に播種し(2500細胞/ウェル)、37℃/5%COで一晩インキュベートした。18時間後、播種培地を、10%FCSを含む新鮮培地と置き換えた。それぞれの試験物質の添加によって処理を開始した。試験対象の物質から、10−5M〜10−14Mの濃度範囲(1:10の希釈列)の用量/活性曲線を作成した。選択したインキュベーション時間は48時間〜96時間とした。MTTアッセイ(ATCC,Manassas,Virginia,USA,カタログ番号30−1010K)を採用して増殖を測定した。インキュベーション時間後、MTT試薬を細胞とともに4時間インキュベートし、続いて、洗浄剤を添加することにより細胞を一晩で溶解させた。形成された色素を570nmで検出した。試験物質で処理しなかったが、それ以外は同一に処理した細胞の増殖を100%と規定した。この試験で得たデータは三連の測定値であり、少なくとも2回の独立した実験を行った。
【0315】
以下の表2に、このアッセイの代表的な作業実施例のIC50値を示す。
【0316】
【表2】
比較として、この試験では、モノメチルアウリスタチンF(MMAF)は、10nMのIC50値を有する。
【0317】
B−3.チューブリンの重合に対する効果の測定:
がん細胞は、多くの場合、細胞分裂の増大の結果として、腫瘍の形成もまたもたらす変性細胞である。微小管は、紡錐体装置の紡錘糸を形成しており、細胞周期の必須の構成要素である。微小管の調節された構築および破壊により、娘細胞での染色体の厳密な分裂が可能になり、連続的な動的プロセスが構成される。この動的プロセスの破壊により、不正確な細胞分裂がもたらされ、最終的に細胞死がもたらされる。しかしながら、がん細胞の細胞分裂の増大により、該細胞は、特に、化学療法の固定構成要素を構成する紡錘糸毒に対して感受性にもなる。パクリタキセルまたはエポチロンなどの紡錘糸毒は、微小管の重合速度の急激な増大をもたらすものであるが、ビンカアルカロイドあるいはモノメチルアウリスタチンE(MMAE)は、微小管の重合速度の急激な低減をもたらすものである。どちらの場合も、細胞周期の必要なダイナミズムが決定的に破壊される。本発明との関連における試験対象の化合物は、微小管の重合速度の低減をもたらすものである。
【0318】
チューブリンの重合は、Cytoskeleton社の“Fluorescence−based Microtubule Polymerisation Assay Kit”(Denver,Colorado,USA;注文番号:BK011)を用いて調べた。このアッセイでは、非重合チューブリンにGTPを添加し、自発的に重合させる。このアッセイは、フルオロフォア4’,6−ジアミジノ−2−フェニルインドール(DAPI)のチューブリンに対する結合に基づいている。遊離型と結合型のDAPIは、発光スペクトルの違いに基づいて識別され得る。DAPIは、非重合チューブリンと比べて重合チューブリンに対して有意に高い親和性を示すため、チューブリンの重合は、結合したDAPIフルオロフォアの蛍光の増大によって追跡することができる。
【0319】
このアッセイの実施のため、本発明の化合物(DMSO中の溶液)を、初期濃度10mMから1μMまで水で希釈した。バッファー対照に加え、重合増大効果を有するパクリタキセルと重合阻害効果を有するビンブラスチンを、アッセイ対照としてさらに実験した。測定は、96ウェルプレートの底面積の半分を用いて行った。チューブリンの重合の速度論を、蛍光測定器で37℃にて1時間モニタリングした。励起波長を355nmとし、発光は460nmでモニタリングした。最初の10分以内の線形増大領域で、1分あたりの蛍光の変化(ΔF/分)の計算を行い、これを微小管の重合速度として表す。試験物質の効力を、そのそれぞれの重合速度の低減に基づいて定量した。
【0320】
B−4.インビトロでの血漿安定性の測定:
方法A:
1mgの対象試験物質を0.5mlのアセトニトリル/DMSO(9:1)に溶解させた。この溶液から、20μlを取り出し、1mlのラットまたはヒト血漿に37℃で添加した(Harlan & WinkelmannのLiヘパリンを加えた雄Wistarラットの血漿または全血試料由来の新鮮ヒト白血球枯渇血漿)。激しく振ったこの血漿溶液から、100μlのアリコートを、試料の添加の直後(参照としての初期値)、次いで、5、10、30、60、120、180および240分後、ならびに必要に応じて24時間後に取り出し、300μlのアセトニトリルに添加した。沈殿した血漿タンパク質を5000rpmで10分間の遠心分離によって除去し、30μlの上清みをHPLCにより、未修飾試験物質の含有量について解析した。定量は、対応するピークの面積パーセンテージによるものとした。
【0321】
ラット血漿でのHPLC法:
機器:DAD、バイナリーポンプ、オートサンプラー、カラムオーブンおよびサーモスタットを備えたAgilent 1200;カラム:Kromasil 100 C18,250mm×4mm,5μm;カラム温度:45℃;移動相A:5mlの過塩素酸/1lの水,移動相B:アセトニトリル;勾配:0〜8分 98%A,2%B;8〜15分 56%A,44%B;15〜20分 10%A,90%B;20〜21分 10%A,90%B;21〜23分 98%A,2%B;23〜25分 98%A,2%B;流速:2ml/分;UV検出:220nm。
【0322】
ヒト血漿でのHPLC法:
機器:DAD、バイナリーポンプ、オートサンプラー、カラムオーブンおよびサーモスタットを備えたAgilent 1100;カラム:Kromasil 100 C18,250mm×4mm,5μm;カラム温度:45℃;移動相A:5mlの過塩素酸/1lの水,移動相B:アセトニトリル;勾配:0〜3分 98%A,2%B;3〜10分 65%A,35%B;10〜15分 40%A,60%B;15〜21分 10%A,90%B;21〜22分 10%A,90%B;22〜24分 98%A,2%B;24〜26分 98%A,2%B;流速:2ml/分;UV検出:220nm。
【0323】
方法B:
試験物質を、ラット血漿またはヒト血漿中で37℃にて5時間にわたって静かに攪拌しながらインキュベートした。種々の時点(0、2、5、10、20、30、60、120、180および300分)で、100μlのアリコートを取り出した。内部標準(10μl)の添加後、200μlのアセトニトリルの添加によってタンパク質を沈殿させ、混合物をエッペンドルフ遠心機にて5分間遠心分離した。150μlの酢酸アンモニウムバッファー(pH3)を150μlの上清みに添加後、未修飾試験物質の含有量をLC/MSMSによって解析した。
【0324】
以下の表3に、このラット血漿での代表的な作業実施例のデータから求めた半減期(t1/2)を示す。
【0325】
【表3】
比較として、ラット血漿では、モノメチルアウリスタチンFのメチルエステル(MMAF−OMe)は、<1分のt1/2値を有する(方法Aによる)。
【0326】
ヒト血漿では、一例として、本発明による作業実施例1、17および21の化合物では、24時間後、分解は観察されなかったが、モノメチルアウリスタチンFのメチルエステル(MMAF−OMe)は、この期間中に約20%が分解された。
【0327】
B−5.細胞透過性の測定:
物質の細胞透過性は、Caco−2細胞を用いた流入アッセイでのインビトロ試験によって調べることができる[M.D.TroutmanおよびD.R.Thakker,Pharm.Res.20(8),1210−1224(2003)]。この目的で、細胞を24ウェルフィルタープレートで15〜16日間培養した。透過の測定のため、それぞれの作業実施例をHEPESバッファー中で細胞に、先端部(A)または基底部(B)のいずれかに適用し、2時間インキュベートした。0時間後および2時間後、試料をシス区画およびトランス区画から採取した。試料をHPLC(Agilent 1200,Boeblingen,Germany)により逆相カラムを用いて分離した。このHPLCシステムを、Turbo Ion Spray Interfaceを介してTriple Quadropol質量分析計API 4000(Applied Biosystems Applera,Darmstadt,Germany)に連結させた。透過性をPapp値に基づいて評価し、該値は、Schwabらによって公開された式を用いて計算した[D.Schwabら,J.Med.Chem.46,1716−1725(2003)]。物質は、Papp(A−B)に対するPapp(B−A)の比率が>2または<0.5である場合、能動輸送されたと分類した。
【0328】
B−6.P−糖タンパク質(P−gp)に対する基質特性の測定:
多くの腫瘍細胞は薬物に対して輸送タンパク質を発現し、これには、高頻度で細胞増殖抑制薬に対する耐性の発現が伴う。したがって、かかる輸送タンパク質(例えば、P−糖タンパク質(P−gp)またはBCRPなど)の基質でない物質では、活性プロフィールの改善が示され得る。
【0329】
P−gp(ABCB1)に対する物質の基質特性を、P−gpを過剰発現しているLLC−PK1細胞(L−MDR1細胞)を用いた流入アッセイによって調べた[A.H.Schinkelら,J.Clin.Invest.96,1698−1705(1995)]。この目的で、LLC−PK1細胞またはL−MDR1細胞を、96ウェルフィルタープレートで3〜4日間培養した。透過の測定のため、それぞれの試験物質を単独または阻害剤(例えば、イベルメクチンもしくはベラパミルなど)の存在下、HEPESバッファー中で細胞に、先端部(A)または基底部(B)のいずれかに適用し、2時間インキュベートした。0時間後および2時間後、試料をシス区画およびトランス区画から採取した。試料をHPLCにより逆相カラムを用いて分離した。このHPLCシステムを、Turbo Ion Spray Interfaceを介してTriple Quadropol質量分析計API 3000(Applied Biosystems Applera,Darmstadt,Germany)に連結させた。透過性をPapp値に基づいて評価し、該値は、Schwabらによって公開された式を用いて計算した[D.Schwabら,J.Med.Chem.46,1716−1725(2003)]。物質は、Papp(A−B)に対するPapp(B−A)の流出比が>2である場合、P−gpの基質と分類した。
【0330】
P−gpの基質特性のさらなる評価基準として、L−MDR1細胞とLLC−PK1細胞の流出比または阻害剤の存在下もしくは非存在下での流出比を互いに比較してもよい。これらの値が2倍より大きく異なる場合、対象の物質はP−gpの基質である。
【0331】
C.医薬組成物の作業実施例
本発明による化合物は、以下のような医薬製剤に変換され得る:
錠剤:
組成:
100mgの本発明による化合物、50mgのラクトース(一水和物)、50mgのトウモロコシデンプン(天然)、10mgのポリビニルピロリドン(PVP 25)(BASF,Ludwigshafen,Germany)および2mgのステアリン酸マグネシウム。
【0332】
錠剤の重量212mg.直径8mm,曲率半径12mm。
【0333】
調製:
本発明による化合物、ラクトースおよびデンプンの混合物を、PVPの5%強度の水溶液(w/w)を用いて造粒する。乾燥後、この顆粒をステアリン酸マグネシウムと5分間混合する。この混合物を、慣用的な錠剤用プレス機でプレスする(錠剤形式については上記参照)。プレスの推奨値として15kNのプレス力が使用される。
【0334】
経口投与ための懸濁剤:
組成:
1000mgの本発明による化合物、1000mgのエタノール(96%)、400mgのRhodigel(登録商標)(FMC(Pennsylvania,USA)製のキサンタンガム)および99gの水。
【0335】
10mlの経口懸濁剤が、本発明による化合物の単独用量(individual dose)100mgに相当する。
【0336】
調製:
Rhodigelをエタノール中に懸濁させ、この懸濁液に本発明による化合物を添加する。撹拌しながら水を添加する。混合物をおよそ6時間、Rhodigelの膨潤が終了するまで撹拌する。
【0337】
経口投与のための液剤:
組成:
500mgの本発明による化合物、2.5gのポリソルベートおよび97gのポリエチレングリコール400。20gの経口液剤が、本発明による化合物の単独用量100mgに相当する。
【0338】
調製:
本発明による化合物をポリエチレングリコールとポリソルベートの混合物中に、撹拌しながら懸濁させる。撹拌操作を、本発明による化合物が完全に溶解するまで継続する。
【0339】
i.v.溶液剤:
本発明による化合物を、飽和溶解度より下の濃度で、生理学的に許容され得る溶媒(例えば、等張性生理食塩水溶液、5%グルコース溶液および/または30%PEG400溶液)に溶解させる。この溶液を滅菌濾過に供し、滅菌された発熱物質を含まない注射容器内に移す。