特許第5791708号(P5791708)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5791708尿素誘導体、および特に呼吸器の疾患の治療におけるその治療的使用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5791708
(24)【登録日】2015年8月14日
(45)【発行日】2015年10月7日
(54)【発明の名称】尿素誘導体、および特に呼吸器の疾患の治療におけるその治療的使用
(51)【国際特許分類】
   C07D 213/75 20060101AFI20150917BHJP
   C07D 471/04 20060101ALI20150917BHJP
   A61K 31/437 20060101ALI20150917BHJP
   A61K 31/4439 20060101ALI20150917BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20150917BHJP
   A61P 11/00 20060101ALI20150917BHJP
   A61P 9/12 20060101ALI20150917BHJP
【FI】
   C07D213/75CSP
   C07D471/04 101
   A61K31/437
   A61K31/4439
   A61P43/00 111
   A61P11/00
   A61P9/12
【請求項の数】13
【全頁数】50
(21)【出願番号】特願2013-513759(P2013-513759)
(86)(22)【出願日】2011年6月9日
(65)【公表番号】特表2013-528205(P2013-528205A)
(43)【公表日】2013年7月8日
(86)【国際出願番号】GB2011051076
(87)【国際公開番号】WO2011154738
(87)【国際公開日】20111215
【審査請求日】2014年5月27日
(31)【優先権主張番号】1009731.9
(32)【優先日】2010年6月10日
(33)【優先権主張国】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】304037234
【氏名又は名称】シエシー ファルマセウティチィ ソシエタ ペル アチオニ
(74)【代理人】
【識別番号】100123788
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 昭夫
(74)【代理人】
【識別番号】100127454
【弁理士】
【氏名又は名称】緒方 雅昭
(72)【発明者】
【氏名】ウー、 チ−キット
(72)【発明者】
【氏名】ヴァン ニエル、 モニク ボディル
【審査官】 伊藤 幸司
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2007/091152(WO,A1)
【文献】 国際公開第02/092576(WO,A1)
【文献】 国際公開第2010/094956(WO,A1)
【文献】 特表2004−534787(JP,A)
【文献】 特表2003−514808(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/121366(WO,A1)
【文献】 国際公開第2010/067131(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D
A61K
CAPLUS/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)の化合物、または医薬として許容されるその塩:
【化1】
(式中;
は、式(IA)または(IB)または(IC)の基であり:
【化2】
式中
4bは、C〜Cアルキル、C〜Cシクロアルキル、任意選択により置換されたフェニル、任意選択により置換された5員もしくは6員の単環式ヘテロアリール、または式(IIa)もしくは(IIb)の基であり;
【化3】
式中、nは1もしくは2であり;RおよびRは、独立にHもしくはC〜Cアルキルであるか、またはRおよびRは、それらが結合した窒素とともに、NおよびOから選択されるさらなるヘテロ原子を任意選択により含有する6員の複素環式環を形成し;
3bは、任意選択により置換されたC〜Cアルキル;−NH;モノ−またはジ−(C〜C)アルキルアミノ;モノ−またはジ−(C〜C)アルキル−X−(C〜C)アルキルアミノ(式中、Xは、O、S、またはNH;N−モルホリノ;N−ピペリジニル、N−ピペラジニルもしくはN−(C〜C)アルキルピペラジン−1−イルであり;
Yは、−O−または−S(O)−(式中、pは0、1または2)であり;
Aは、フェニル環に縮合した、5、6または7個の環原子を有する、任意選択により置換されたシクロアルキレン基であり;
は、式(IIIa)、(IIIb)、(IIIc)、(IIId)または(IIIe)の基であり:
【化4】
式中
qは、0、1、2または3であり;
Tは、−N=または−CH=であり;
は、HまたはFであり;
は、−CH;−C;−CHOH、−CHSCH;−SCHまたは−SCであり;
は、−CHまたは−Cであり;また
の各出現は、独立に、H、C〜Cアルキル、ヒドロキシもしくはハロであるか;または、Rの単一の出現は、式(IVa)、(IVb)もしくは(IVc)の基であり;
【化5】
一方、Rの他の任意の出現は、独立に、H、C〜Cアルキル、ヒドロキシルもしくはハロであり;
式(IVa)、(IVb)および(IVc)において、nおよびpは上で定義した通りであり;
また、Rにおいて、式中:
61aおよびR61bは、H、アルキルであるか、または、R61aおよびR61bは、それらが結合した窒素とともに繋がり、NおよびOから選択されるさらなるヘテロ原子を任意選択により含有する4〜7員の複素環式環を形成してもよい)。
【請求項2】
Yが、−O−または−S−である、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
Aが、配向を問わず式(Va)の二価の基である、請求項1または請求項2に記載の化合物;
【化6】
(式中、tは、1、2または3である)。
【請求項4】
−NH−A−Y−が、立体特異的な式(B)、(C)、(D)、(E)、(F)、(G)、(H)、(I)または(J)のうちの1つを有する二価の基である、請求項1から3までのいずれか一項に記載の化合物:
【化7】
(式中、Yは式(I)に関して定義した通りである)。
【請求項5】
Yが−O−である、請求項4に記載の化合物。
【請求項6】
−NH−A−Y−が、請求項3で定義した通りの式(B)、(C)、(D)、(E)、(I)または(J)を有し、式中、Yが−O−である、請求項4に記載の化合物。
【請求項7】
4bが、イソプロピル、シクロペンチル、または、C〜Cアルキル、ハロゲンおよびヒドロキシから選択される1種または2種の基によって任意選択により置換されたフェニルである、請求項1から6のいずれかに記載の化合物。
【請求項8】
4bが、2,6−ジクロロフェニル、2−クロロフェニル、または2−ヒドロキシフェニルである、請求項1から6のいずれかに記載の化合物。
【請求項9】
3bがメトキシメチルである、請求項1から6のいずれかに記載の化合物。
【請求項10】
が、基(IIIb)または(IIIc)であり、式中、RおよびRが、独立にエチルまたはメチルである、請求項1から9のいずれかに記載の化合物。
【請求項11】
請求項1から10のいずれかに記載の化合物を、医薬として許容可能な1種または複数の担体とともに含む、医薬組成物。
【請求項12】
肺内投与のための吸入に適合させた、請求項11に記載の組成物。
【請求項13】
性閉塞性肺疾患、成人呼吸促迫症候群(ARDS)、他の薬物療法の結果である気道過敏症の増悪、または肺高血圧症と関連する気道疾患の治療用薬剤を調製するための、請求項1から10のいずれかに記載の化合物の使用
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、特に呼吸器の疾患の治療における抗炎症剤として有用な、p38 MAPK阻害剤である化合物および組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
マイトジェン活性化タンパク質キナーゼ(MAPK)は、二重リン酸化によってその基質を活性化する、プロリン指向性セリン/スレオニンキナーゼのファミリーを構成する。ヒトのp38 MAPキナーゼには、4種類の既知のアイソフォーム、p38α、p38β、p38γおよびp38δがある。p38キナーゼは、サイトカイン抑制性抗炎症薬結合タンパク質(CSBP)、ストレス活性化タンパク質キナーゼ(SAPK)およびRKとしても知られ、転写因子(ATF−2、MAX、CHOPおよびC/ERPbなど)ならびに他のキナーゼ(MAPKAP−K2/3またはMK2/3など)のリン酸化(Steinら、Ann.Rep.Med Chem.、1996、31、289-298)および活性化を担い、それ自体は、物理的および化学的ストレス(例えば、紫外線、浸透圧ストレス)、炎症誘発性サイトカインならびに細菌性リポ多糖(LPS)によって活性化される(Herlaar E.& Brown Z.、Molecular Medicine Today、1999、5、439-47)。p38リン酸化の産物は、腫瘍壊死因子α(TNF α)およびインターロイキン(IL)−1、ならびにシクロオキシゲナーゼ−2(COX−2)を含めた、炎症性サイトカインの産生を媒介することが示されている。IL−1およびTNFαが、IL−6およびIL−8などの他の炎症誘発性サイトカインの産生を刺激することも知られている。
【0003】
IL−1およびTNFαは、単球またはマクロファージなどの様々な細胞によって産生される生体物質である。IL−1は、免疫調節および他の生理的状態、例えば炎症などに重要だと思われる様々な生物活性を媒介することが実証されている(例えば、Dinarelloら、Rev.Infect.Disease、1984、6、51)。過剰なまたは無秩序なTNF産生(特にTNF )は、幾つもの疾患の媒介または増悪に関与しており、TNFは炎症作用を引き起こすか、その一因となり得ると一般に考えられている。IL−8は、単核細胞、線維芽細胞、内皮細胞およびケラチン合成細胞を含めた幾つかの細胞型によって産生される、走化性因子である。内皮細胞からのその産生は、IL−1、TNF、またはリポ多糖(LPS)によって誘導される。IL−8は、in vitroで幾つもの機能を刺激する。IL−8は、好中球、Tリンパ球および好塩基球に対する化学誘因特性を有することが示されている。IL−8の産生の増加は、in vivoでの炎症部位への好中球の化学走性の原因でもある。
【0004】
上述のIL−1、TNFおよびIL−8だけでなく、幾つかの追加的な炎症誘発性タンパク質(例えば、IL−6、GM−CSF、COX−2、コラゲナーゼおよびストロメライシン)の合成および/または作用にも必要とされる、p38を介するシグナル伝達を阻害することが、免疫系の過剰で破壊的な活性化を制御する極めて効率的な機構であると予想されている。こうした予想は、p38キナーゼ阻害剤に関して記載された強力で多様な抗炎症活性によって裏付けられる(Badgerら、J.Pharm.Exp.Thera.、1996、279、1453-1461;Griswoldら、Pharmacol.Comm.、1996、7、323-229)。特に、p38キナーゼ阻害剤は、関節リウマチを治療する候補薬剤として記載されている。p38の活性化と慢性炎症および関節炎との関連に加えて、p38の役割を気道疾患、特にCOPDおよび喘息の発病に関連付けるデータもある。ストレス刺激(タバコの煙、感染症または酸化物が含まれる)は、肺環境内に炎症を起こすことがある。p38の阻害剤は、LPSおよびオバルブミンによって誘導される気道TNF−α IL−1β、IL−6、IL−4、IL−5およびIL−13を阻害することが示されている(Haddadら、Br.J.Pharmacol.、2001、132(8)、1715-1724;Underwoodら、Am.J.Physiol.Lung Cell.Mol.2000、279、895-902;Duanら、2005 Am.J.Respir.Crit.Care Med.、171、571-578;Escottら Br.J.Pharmacol.、2000、131、173-176;Underwoodら、J.Pharmacol.Exp.Ther.2000、293、281-288)。さらに、p38の阻害剤は、LPS、オゾンまたはタバコの煙の動物モデルにおいて、好中球増多およびMMP−9放出を有意に阻害する。肺に関係している可能性があると考えられるp38キナーゼを阻害することの潜在的利益を強調する、相当多数の前臨床データもある(Leeら、lmmunopharmacology、2000、47、185-200)。よって、p38活性化の治療的阻害は気道炎症の制御に重要であり得る。
【0005】
様々な疾患におけるp38MAPK経路の関与は、P.Chopraらによって概説されている(Expert Opinion on Investigational Drugs、2008、17(10)、1411-1425)。本発明の化合物は、例えば、喘息、慢性もしくは急性気管支収縮、気管支炎、急性肺損傷および気管支拡張症、肺動脈高血圧症、結核、肺癌、一般的な炎症(例えば炎症性腸疾患)、関節炎、神経炎症、疼痛、発熱、線維症、肺障害および肺疾患(例えば高酸素肺胞障害(hyperoxic alveolar injury))、循環器疾患、虚血後再潅流障害およびうっ血性心不全、心筋症、脳卒中、虚血、再潅流障害、腎再潅流障害、脳浮腫、神経外傷および頭部外傷、神経変性障害、中央神経系障害、肝疾患および腎炎、胃腸状態、潰瘍性疾患、クローン病、眼疾患、眼科的状態、緑内障、眼組織への急性損傷および眼外傷、糖尿病、糖尿病性腎症、皮膚関連状態、感染症に起因する筋肉痛、インフルエンザ、内毒素性ショック、毒素性ショック症候群、自己免疫疾患、移植片拒絶反応、骨吸収疾患、多発性硬化症、乾癬、湿疹、女性生殖器系の障害、病的(であるが非悪性の)状態、例えば、血管腫、鼻咽頭の血管線維腫および無血管性骨壊死など、良性および悪性の腫瘍/新形成、例えば癌など、白血病、リンパ腫、全身性エリテマトーデス(systemic lupus erthrematosis)(SLE)、新形成を含む血管新生、出血、凝固、放射線損傷、および/または転移などのp38媒介性疾患を治療するために使用することができると考えられる。活性TNFの慢性的な放出は、悪液質および食欲不振を引き起こすこともあり、TNFは死に至ることもある。TNFは、感染症にも関与している。これらには、例えば、マラリア、マイコバクテリア感染症および髄膜炎が含まれる。これらにはまた、ウイルス感染症、例えば、HIV、インフルエンザウイルス、およびヘルペスウイルス(中でも、単純ヘルペスウイルス1型(HSV−1)、単純ヘルペスウイルス2型(HSV−2)、サイトメガロウイルス(CMV)、水痘帯状疱疹ウイルス(VZV)、エプスタイン・バーウイルス、ヒトヘルペスウイルス−6(HHV−6)、ヒトヘルペスウイルス−7(HHV7)、ヒトヘルペスウイルス−8(HHV−8)、仮性狂犬病および鼻気管炎が含まれる)なども含まれる。
【0006】
既知のP38キナーゼ阻害剤は、G.J.Hanson (Expert Opinions on Therapeutic Patents、1997、7、729-733)(非特許文献1)、 J Hynesら(Current Topics in Medicinal Chemistry、2005、5、967-985)、C.Dominguezら(Expert Opinions on Therapeutics Patents、2005、15、801-816)およびL.H.Pettus & R.P.Wurtz (Current Topics in Medicinal Chemistry、2008、8、1452-1467)により概説されている。トリアゾロピリジンモチーフを含有するP38キナーゼ阻害剤が、当技術分野、例えばWO07/091152(特許文献1)、WO04/072072、WO06/018727で既知である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】国際公開第07/091152号パンフレット
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】G.J.Hanson, pert Opinions on Therapeutic Patents、1997、7、729-733)
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
発明の簡単な説明
本発明の化合物は、p38αを含めたp38マイトジェン活性化タンパク質キナーゼ(「p38 MAPK」、「p38キナーゼ」または「p38」)の阻害剤であり、TNFαおよびIL−8の産生を含めた、サイトカインおよびケモカインの産生の阻害剤である。本発明の化合物は、炎症性疾患、特にアレルギー性および非アレルギー性気道疾患、より詳細には慢性閉塞性肺疾患(「COPD」)および喘息などの閉塞性または炎症性気道疾患の治療において、幾つもの治療用途を有する。したがって、本発明の化合物は、鼻または口による吸入による肺送達に特に適している。
【発明を実施するための形態】
【0010】
発明の説明
本発明によると、式(I)の化合物または医薬として許容されるその塩が提供される:
【0011】
【化1】
【0012】
式中;
は、式(IA)または(IB)または(IC)の基であり:
【0013】
【化2】
【0014】
式中
4bは、C〜Cアルキル、C〜Cシクロアルキル、任意選択により置換されたフェニル、任意選択により置換された5員もしくは6員の単環式ヘテロアリール、または式(IIa)もしくは(IIb)の基であり;
【0015】
【化3】
【0016】
式中、nは1もしくは2であり;RおよびRは、独立にHもしくはC〜Cアルキルであるか、またはRおよびRは、それらが結合した窒素とともに、NおよびOから選択されるさらなるヘテロ原子を任意選択により含有する6員の複素環式環を形成し;
3bは、任意選択により置換されたC〜Cアルキル;−NH;モノ−またはジ−(C〜C)アルキルアミノ;モノ−またはジ−(C〜C)アルキル−X−(C〜C)アルキルアミノ(式中、Xは、O、S、またはNH;N−モルホリノ;N−ピペリジニル、N−ピペラジニルもしくはN−(C〜C)アルキルピペラジン−1−イルであり;
Yは、−O−または−S(O)−(式中、pは0、1または2)であり;
Aは、フェニル環に縮合した、5、6または7個の環原子を有する、任意選択により置換されたシクロアルキレン基であり;
は、式(IIIa)、(IIIb)、(IIIc)、(IIId)または(IIIe)の基であり:
【0017】
【化4】
【0018】
式中
qは、0、1、2または3であり;
Tは、−N=または−CH=であり;
は、HまたはFであり;
は、−CH;−C −CHOH、−CHSCH −SCHまたは−SCであり;
は、−CHまたは−Cであり、また
の各出現は、独立に、H、C〜Cアルキル、ヒドロキシもしくはハロであるか;または、Rの単一の出現は、式(IVa)、(IVb)もしくは(IVc)の基であり
【0019】
【化5】
【0020】
一方、Rの他の任意の出現は、独立に、H、C〜Cアルキル、ヒドロキシルもしくはハロであり;
式(IVa)、(IVb)および(IVc)において、nおよびpは上で定義した通りであり;
また、Rにおいて、式中
61aおよびR61bは、H、アルキルであるか、または、R61aおよびR61bは、それらが結合した窒素とともに繋がり、NおよびOから選択されるさらなるヘテロ原子を任意選択により含有する4〜7員の複素環式環、例えば、ピペリジン、ピペラジンもしくはモルホリン環などを形成してもよい。
【0021】
別の態様では、本発明は、本発明の化合物とともに医薬として許容可能な1種または複数の担体および/または賦形剤を含む医薬組成物を含む。特に好ましいのは、肺内投与のための吸入に適合させた組成物である。
【0022】
別の態様では、本発明は、p38 MAPキナーゼ活性の阻害から利益を得る疾患または状態を治療するための本発明の化合物の使用を含む。閉塞性または炎症性気道疾患の治療が好ましい使用である。あらゆる形態の閉塞性または炎症性気道疾患、特に、慢性好酸球性肺炎、喘息、COPD;慢性気管支炎、肺気腫またはCOPDと関連するまたは関連しない呼吸困難を含むCOPD;不可逆的で進行性の気道閉塞により特徴付けられるCOPD、成人呼吸促迫症候群(ARDS)、他の薬物療法の結果である気道過敏症の増悪および肺高血圧症と関連する気道疾患;嚢胞性線維症、ブロンチエタシス(broncietasis)および肺線維症(特発性)を含めた慢性炎症性疾患;からなる群から選択される閉塞性または炎症性気道疾患が、本発明の化合物で潜在的に治療可能である。p38キナーゼ阻害剤が肺へ局所的に(例えば吸入および鼻腔内送達により)または全身経路(例えば、経口、静脈内および皮下送達)により投与される場合、有効性が期待される。
【0023】
術語
本明細書で使用される場合、用語「(C〜C)アルキル」(ここで、aおよびbは整数)は、aからb個の炭素原子を有する直鎖または分岐鎖のアルキル基を指す。よって、例えばaが1でbが6のとき、該用語には、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、t−ブチル、n−ペンチルおよびn−ヘキシルが含まれる。
【0024】
本明細書で使用される場合、用語「炭素環式」は、そのすべてが炭素である16個までの環原子を有する単環式、二環式または三環式の基を指し、それにはアリールおよびシクロアルキルが含まれる。
【0025】
本明細書で使用される場合、用語「シクロアルキル」は、3〜8個の炭素原子を有する単環式の飽和炭素環式基を指し、それには、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチルおよびシクロオクチルが含まれる。
【0026】
用語「二価シクロアルキレン基」は、以下のような1,3−シクロペンチレン、1,4−シクロヘキシレンおよび1,4−シクロヘプチレンなどの、2つの未充足原子価を有するシクロアルキル基を指す。
【0027】
【化6】
【0028】
本明細書で使用される場合、非制限用語「アリール」は、単環式または二環式の炭素環式芳香族基を指し、それには、共有結合により直接連結した2個の単環式炭素環式芳香族環を有する基が含まれる。かかる基の実例は、フェニル、ビフェニルおよびナフチルである。
【0029】
本明細書で使用される場合、非制限用語「ヘテロアリール」は、S、NおよびOから選択される、1個または複数のヘテロ原子を含有する、単環式または二環式の芳香族基を指し、それには、共有結合により直接連結した、2個のかかる単環式環、または、かかる単環式環1個と単環式アリール環1個とを有する基が含まれる。かかる基の実例は、チエニル、ベンゾチエニル、フリル、ベンゾフリル、ピロリル、イミダゾリル、ベンズイミダゾリル、チアゾリル、ベンゾチアゾリル、イソチアゾリル、ベンズイソチアゾリル、ピラゾリル、オキサゾリル、ベンゾオキサゾリル、イソオキサゾリル、ベンズイソオキサゾリル、イソチアゾリル、トリアゾリル、ベンゾトリアゾリル、チアジアゾリル、オキサジアゾリル、ピリジニル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、トリアジニル、インドリルおよびインダゾリルである。
【0030】
本明細書で使用される場合、非制限用語「ヘテロシクリル」または「複素環式」には、上で定義した通りの「ヘテロアリール」が含まれ、該用語は、その非芳香族の意味において、S、NおよびOから選択される1個または複数のヘテロ原子を含有する、単環式、二環式または三環式の非芳香族基に関し、また、別のかかる基または単環式の炭素環式基に共有結合的に連結した、1個または複数のかかるヘテロ原子を含有する、単環式の非芳香族基からなる基に関する。かかる基の実例は、ピロリル、フラニル、チエニル、ピペリジニル、イミダゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、チアジアゾリル、ピラゾリル、ピリジニル、ピロリジニル、ピリミジニル、モルホリニル、ピペラジニル、インドリル、モルホリニル、ベンゾフラニル、ピラニル、イソオキサゾリル、ベンズイミダゾリル、メチレンジオキシフェニル、エチレンジオキシフェニル、マレイミドおよびスクシンイミド基である。
【0031】
それが出現する文脈において特に指定のない限り、用語「置換された」は、本明細書において任意のアリールまたはヘテロアリール部分に適用される場合、例えば、(C〜C)アルキル、(C〜C)フルオロアルキル、(C〜C)アルコキシ(芳香族環の隣接炭素原子上のメチレンジオキシおよびエチレンジオキシ置換が含まれる)、(C〜C)フルオロアルコキシ、(C〜C)アルコキシ−(C〜C)アルキル、ベンジルオキシ−(C〜C)アルキル、(C〜C)アルコキシ−(C〜C)アルコキシ、ベンジルオキシ−(C〜C)アルコキシ、ヒドロキシ、ヒドロキシ(C〜C)アルキル、ヒドロキシ(C〜C)アルコキシ、ヒドロキシ(C〜C)アルキルチオ、メルカプト、メルカプト(C〜C)アルキル、(C〜C)アルキルチオ、シクロプロピル、ハロ(フルオロおよびクロロが含まれる)、O−ベンジル、ニトロ、ニトリル(シアノ)、−COOH、テトラゾリル、−COOR、−COR、−SO、−CONH、−SONH、−CONHR、−SONHR、−CONR、−SONR、−NH、−NHR、−NR、−OCONH、−OCONHR、−OCONR、−NHCOR、−NHCOOR、−NRCOOR、−NHSOOR、−NRSOOR、−NHCONH、−NRCONH、−NHCONHR−NRCONHR、−NHCONRまたは−NRCONR(式中、RおよびRは、独立に(C〜C)アルキル基であるか、または、RおよびRは、同一の窒素に結合している場合に、その窒素とともに、例えばモルホリニル、ピペリジニルもしくはピペラジニル基などの環状アミノ基を形成してもよい)から選択される、少なくとも1種の置換基で置換されていることを意味する。「任意選択による置換基」は、上述のものに包含される置換基群のうちの1種であってもよい。
【0032】
本発明の化合物は、それだけには限らないが、シス型およびトランス型、E型およびZ型、R型、S型およびメソ型、ケト型およびエノール型を含めた、1種または複数の幾何学的、光学的、鏡像異性的、ジアステレオ異性的および互変異性的型で存在してもよい。特に記載のない限り、特定の化合物への言及には、そのラセミ混合物および他の混合物を含めた、すべてのかかる異性体型が含まれる。必要に応じて、既知の方法(例えば、クロマトグラフィー法および再結晶法)の適用または適合によって、かかる異性体をその混合物から分離することができる。必要に応じて、かかる異性体を、既知の方法(例えば不斉合成)の適合の適用によって調製してもよい。
【0033】
本明細書で使用される場合、用語「塩」には、塩基付加塩、酸付加塩およびアンモニウム塩が含まれる。上で簡単に述べたように、酸性である本発明の化合物は、例えば、アルカリ金属水酸化物(例えば水酸化ナトリウムおよび水酸化カリウム)、アルカリ土類金属水酸化物(例えば水酸化カルシウム、水酸化バリウムおよび水酸化マグネシウム)などの塩基とともに;有機塩基(例えば、N−メチル−D−グルカミン、コリン トリス(ヒドロキシメチル)アミノ−メタン、L−アルギニン、L−リジン、N−エチルピペリジン、ジベンジルアミンなど)とともに、医薬として許容される塩を含めた塩を形成することができる。塩基性であるこうした本発明の化合物は、無機酸とともに、例えば、塩酸もしくは臭化水素酸などのハロゲン化水素酸、硫酸、硝酸またはリン酸などとともに、および有機酸とともに、例えば、酢酸、トリフルオロ酢酸、酒石酸、コハク酸、フマル酸、マレイン酸、リンゴ酸、サリチル酸、クエン酸、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、安息香酸、ベンゼンスルホン酸、グルタミン酸、乳酸、およびマンデル酸などとともに、医薬として許容される塩を含めた塩を形成することができる。塩基性窒素を有するこうした化合物(I)は、医薬として許容可能な対イオン、例えば、アンモニウムイオン、塩素イオン、臭化物イオン、酢酸イオン、ギ酸イオン、p−トルエンスルホン酸イオン、コハク酸イオン、ヘミコハク酸イオン、ナフタレン−ビススルホン酸イオン、メタンスルホン酸イオン、トリフルオロ酢酸イオン、キシナホ酸イオンなどとともに、第四級アンモニウム塩を形成することもできる。塩の概説に関しては、StahlおよびWermuthによる、Handbook of Pharmaceutical Salts: Properties, Selection, and Use(Wiley-VCH、ワインハイム、ドイツ、2002)を参照されたい。
【0034】
本発明の化合物は、水和物および溶媒和物の形態で調製されることがあることが予想される。「本発明が関係する化合物」または「本発明の化合物」または「本化合物」などへの、特許請求の範囲を含めた本明細書におけるいかなる言及も、かかる化合物の塩 水和物および溶媒和物への言及を含む。用語「溶媒和物」は、本発明の化合物と化学量論量の医薬として許容可能な1種または複数の溶媒分子、例えばエタノールとを含む分子複合体を記述するために本明細書で使用される。用語「水和物」は、前記溶媒が水であるときに採用される。
【0035】
本発明の個々の化合物は、幾つかの多形形態で存在し得るものであり、異なる晶癖で得られ得る。
【0036】
該化合物はまた、そのプロドラッグの形態で投与されてもよい。よって、それ自体で活性があっても、それ自体には薬理活性がわずかしかないもしくは全くなくてもよい、該化合物のある種の誘導体を、体内もしくは体上に投与したときに、例えば加水分解によって、所望の活性を有する本発明の化合物に変換することができる。かかる誘導体は、「プロドラッグ」と称される。プロドラッグの使用についてのさらなる情報は、Pro-drugs as Novel Delivery Systems、第14巻、ACS Symposium Series(T.HiguchiおよびV.J.Stella)およびBioreversible Carriers in Drug Design、Pergamon Press、1987(E.B.Roche編、American Pharmaceutical Association; C.S.LarsenおよびJ.Ostergaard、Design and application of prodrugs、Textbook of Drug Design and Discovery、第3版(2002、Taylor and Francis)中)に見出すことができる。
【0037】
本発明によるプロドラッグは、例えば、式(I)の化合物に存在する適切な官能基を、例えばH.BundgaardによるDesign of Prodrugs (Elsevier、1985)に記載の通りの、「プロ部分(pro−moiety)」として当業者に知られるある種の部分に置き換えることによって生成することができる。かかる例は、カルボキシル基(アンピシリンのピバンピシリンプロドラッグで使用されるような−CO−O−CH−O−CO−tBuなど)、アミド(−CO−NH−CH−NAlk)またはアミジン(−C(=N−O−CH)−NH)のプロドラッグであり得る。
【0038】
発明の実施形態
本発明の幾つかの実施形態では、Rは、式(IA)または(IB)の基である。こうした基のうち、式(IB)が現在のところ好ましい。基(IA)または(IB)において:
4bは、イソプロピル基などのC〜Cアルキルであってもよく;
4bは、シクロペンチルなどのC〜Cシクロアルキルであってもよく;
4bは、フェニルであってもよく;さらに特定すると、該フェニル基は、C〜Cアルキル、ハロゲン(例えばクロロ)またはヒドロキシから選択される1種または2種の基によって置換されており;例えば、該フェニル基は、2位および/または6位で置換されていてもよく;具体的には、R4bは、2,6−ジクロロフェニル、2−クロロフェニル、または2−ヒドロキシフェニルであってもよく;
4bは、式(IIa)の基または式(IIb)の基であってもよい。
【0039】
本発明の他の実施形態では、Rは式(IC)の基である。基または式(IC)において:
3bは、C〜CアルキルなどのC〜Cアルキルであってもよく、例には、メチル、エチル、n−またはイソ−プロピルがある。R3bは、置換C〜Cアルキルなどの置換C〜Cアルキルであってもよく、前記置換基は上で定義されている。かかる置換基の例には、C〜Cアルコキシ、C〜Cアルキルスルホニルが含まれ、好ましい基R3bは、メトキシメチルである。
【0040】
3bはまた、−NH;モノ−もしくはジ−(C〜C)アルキルアミノ;モノ−もしくはジ−(C〜C)アルキル−X−(C〜C)アルキルアミノ(式中、XはO、SもしくはNH);N−モルホリノ;N−ピペリジニル、N−ピペラジニルまたはN−(C〜C)アルキルピペラジン−1−イルであってもよい。
リンカーY
Yは、−O−または−S(O)−である。例えば、Yは−O−または−S−であってもよい。現在のところ、Yは−O−であることが好ましい。
基A
Aは、例えば、配向を問わず式(Va)の二価の基であってもよく、
【0041】
【化7】
【0042】
式中、tは、1、2または3である。
【0043】
−N(H)−A−Y−基は、立体特異的な式(B)、(C)、(D)、(E)、(F)、(G)、(H)、(I)または(J)のうちの1つを有する二価の基であってもよい。
【0044】
【化8】
【0045】
式中、Yは式(I)に関して定義した通りである。
【0046】
式(B)〜(J)において、Yは好ましくは−O−である。
【0047】
特に、基−N(H)−A−Y−は、式(B)、(C)、(D)、(E)、(I)または(J)(式中、Yは−O−)を有していてもよい。
基R
基Rは、上で定義した通りの式(IIIa〜e)の基である。好都合には、Rは基(IIIb)または(IIIc)であり、式中、RおよびRは、エチルまたはメチルである。
【0048】
本発明の化合物の1つのサブクラスは、式(IIIA)を有する。
【0049】
【化9】
【0050】
式中、Y、R4bおよびRは、式(I)に関して定義した通りである。
【0051】
本発明の化合物の別のサブクラスは、式(IIIB)を有する。
【0052】
【化10】
【0053】
式中、Y、R4bおよびRは、式(I)に関して定義した通りである。
【0054】
本発明の化合物の別のサブクラスは、式(IIIC)を有する。
【0055】
【化11】
【0056】
式中、Y、R4bおよびRは、式(I)に関して定義した通りである。
【0057】
本発明の化合物の別のサブクラスは、式(IIID)を有する。
【0058】
【化12】
【0059】
式中、Y、R3bおよびRは、式(I)に関して定義した通りである。
【0060】
本発明の化合物の別のサブクラスは、式(IIIE)を有する。
【0061】
【化13】
【0062】
式中、Y、R3bおよびRは、式(I)に関して定義した通りである。
【0063】
本発明の化合物の別のサブクラスは、式(IIIF)を有する。
【0064】
【化14】
【0065】
式中、Y、R3bおよびRは、式(I)に関して定義した通りである。
【0066】
有用性
上で述べたように、本発明の化合物はp38MAPK阻害剤であり、よってp38酵素の阻害から利益を得る疾患または状態の治療に有用であり得る。かかる疾患および状態は、文献から既知であり、幾つかは上で述べてきた。しかし、該化合物は、一般に抗炎症剤としての使用に、特に呼吸器疾患の治療における使用のために有用である。特に、該化合物は、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、慢性気管支炎、肺線維症、肺炎、急性呼吸促迫症候群(ARDS)、肺気腫、または喫煙によって誘発される気腫、内因性(非アレルギー性喘息および外因性(アレルギー性)喘息、軽度の喘息、中等度の喘息、重度の喘息、ステロイド抵抗性喘息、好中球性喘息、気管支炎性喘息、運動誘発性喘息、職業性喘息および細菌感染症後に誘発される喘息、嚢胞性線維症、肺線維症ならびに気管支拡張症の治療に使用することができる。
【0067】
組成物
上で述べたように、本発明が関係する化合物は、p38キナーゼ阻害剤であり、幾つかの疾患、例えば呼吸器の炎症性疾患の治療に有用である。かかる疾患の例は上で言及されており、それには、喘息、鼻炎、アレルギー性気道症候群、気管支炎および慢性閉塞性肺疾患が含まれる。
【0068】
任意の特定の患者に対する具体的な投与レベルは、採用される具体的な化合物の活性、年齢、体重、全身健康状態、性別、食事、投与の時刻、投与経路、排出速度、薬物の併用および治療を受けている特定の疾患の重症度を含めた、様々な因子に応じて決まることが理解されよう。投薬の最適な投与レベルおよび頻度は、医薬分野で必要とされる通りの臨床試験によって決定されよう。一般に、経口投与の日用量の範囲は、単一または分割用量で、ヒトの体重1kgあたり約0.001mgから約100mgまで、多くの場合1kgあたり0.01mgから約50mgまで、例えば1kgあたり0.1から10mgまでの範囲内にあろう。一般に、吸入投与の日用量の範囲は、単一または分割用量で、ヒトの体重1kgあたり約0.1μgから約1mgまで、好ましくは1kgあたり0.1μgから50μgまでの範囲内にあろう。その一方で、時にはこうした限度の範囲を超える投薬量を使用することが必要な場合がある。本発明の目的には、吸入投与が好ましい。
【0069】
本発明が関係する化合物を、その薬物速度論的特性と矛盾しない任意の経路によって投与するために調製してもよい。経口投与可能な組成物は、錠剤、カプセル剤、散剤、顆粒剤、舐剤、液体またはゲル製剤、例えば、経口、局所、滅菌非経口液剤または懸濁剤などの形態であってもよい。経口投与用の錠剤およびカプセル剤は、単位用量提示形態(unit dose presentation form)であってもよく、従来の賦形剤、例えば、結合剤、例えば、シロップ、アカシア、ゼラチン、ソルビトール、トラガカント、もしくはポリビニルピロリドン;充填剤、例えば、乳糖、糖、トウモロコシデンプン、リン酸カルシウム、ソルビトールもしくはグリシン;錠剤滑沢剤、例えば、ステアリン酸マグネシウム、タルク、ポリエチレングリコールもしくはシリカ;崩壊剤、例えばジャガイモデンプン、または許容可能な湿潤剤、例えばラウリル硫酸ナトリウムなどを含有してもよい。錠剤は、通常の薬務で周知の方法に従ってコーティングされてもよい。経口液体製剤は、例えば、水性もしくは油性の懸濁剤、液剤、乳剤、シロップ剤またはエリキシル剤の形態であってもよく、あるいは、使用前に水または他の適切なビヒクルで元に戻す乾燥製品として存在してもよい。かかる液体製剤は、従来の添加剤、例えば、懸濁化剤、例えば、ソルビトール、シロップ、メチルセルロース、グルコースシロップ、ゼラチン 硬化食用脂;乳化剤、例えば、レシチン、モノオレイン酸ソルビタン、もしくはアカシア;非水性ビヒクル(食用油が含まれてもよい)、例えば、アーモンド油、精留ヤシ油、油性エステル、例えば、グリセリン、プロピレングリコール、もしくはエチルアルコールなど;保存料、例えば、p−オキシ安息香酸メチルもしくはプロピル、またはソルビン酸、および、所望であれば従来の香味料または着色料などを含有してもよい。
【0070】
皮膚への局所投与のために、薬物を、クリーム、ローション、または軟膏に作製してもよい。薬物用に使用することができるクリーム製剤または軟膏製剤は、例えばBritish Pharmacopoeiaなどの薬剤学の標準的な教科書に記載の通りの、当技術分野で周知の従来の製剤である。
【0071】
活性成分をまた、滅菌媒体で非経口的に投与してもよい。使用するビヒクルおよび濃度に応じて、薬物をビヒクル中で懸濁させることも、溶解させることもできる。有利には、局所麻酔薬、保存料および緩衝剤などの補助剤をビヒクルに溶解させることができる。
【0072】
しかし、呼吸器の炎症性疾患を治療するために、本発明の化合物はまた、例えば、鼻腔用スプレーまたは乾燥粉末もしくはエアロゾル吸入器として、吸入用に製剤化してもよい。吸入による送達のために、活性化合物は微粒子の形態であることが好ましい。それらを、噴霧乾燥、凍結乾燥および微粉化を含めた様々な技法によって調製してもよい。エアロゾル生成は、例えば、圧力駆動型ジェット噴霧器または超音波噴霧器を使用して、好ましくは、噴射剤駆動型定量エアロゾル、または、噴射剤を用いない、例えば吸入カプセルもしくは他の「乾燥粉末」送達システムからの微粉化活性化合物の投与を使用して、行うことができる。
【0073】
例として、本発明の組成物を、ネブライザーから送達される懸濁剤として、または、例えば加圧式定量噴霧吸入器(PMDI)で使用するための、液体噴射剤中のエアロゾルとして調製してもよい。PMDIでの使用に適した噴射剤は当業者に既知であり、それには、CFC−12、HFA−134a、HFA−227、HCFC−22(CCl)およびHFA−152(CHおよびイソブタン)が含まれる。
【0074】
本発明の好ましい実施形態では、本発明の組成物は、乾燥粉末吸入器(DPI)を使用する送達のための乾燥粉末形態である。多くの種類のDPIが既知である。
【0075】
投与によって送達される微粒子を、送達および放出を助ける賦形剤とともに製剤化してもよい。例えば、乾燥粉末製剤において、微粒子をDPIから肺への流入を助ける大きな担体粒子とともに製剤化してもよい。適切な担体粒子は既知であり、それには乳糖粒子が含まれ、それらは90μmを超える空気動力学的中央粒子径を有していてもよい。
【0076】
エアロゾル系製剤の場合、一例は以下の通りである。
本発明の化合物 24mg/キャニスター
レシチン、NF液体濃縮物 1.2mg/キャニスター
トリクロロフルオロメタン、NF 4.025g/キャニスター
ジクロロジフルオロメタン、NF 12.15g/キャニスター。
【0077】
活性化合物を、使用する吸入器システムに応じて、記載の通りに投薬してもよい。活性化合物に加えて、投与形態は、賦形剤、例えば、噴射剤(例えば、定量エアロゾルの場合はFrigen)、界面活性物質、乳化剤、安定剤、保存料、香味料、充填剤(例えば、粉末吸入剤の場合は乳糖)など、または、適切な場合は、さらなる活性化合物を追加的に含有してもよい。
【0078】
吸入のために、最適な粒径のエアロゾルを生成し投与することができる多くのシステムを、患者にふさわしい吸入法を使用して利用することができる。アダプター(スペーサー、エクスパンダー)およびナシ形容器(例えばNebulator(登録商標)、Volumatic(登録商標))、ならびに、特に粉末吸入器の場合の定量エアロゾルのための、パフ噴霧(puffer spray)を噴出する自動装置(Autohaler(登録商標))の使用に加えて、幾つもの技術的解決法が利用可能である(例えば、Diskhaler(登録商標)、Rotadisk(登録商標)、Turbohaler(登録商標)、または、例えばEP−A−0505321に記載の通りの吸入器)。加えて、本発明の化合物を多室型装置で送達してもよく、それにより併用薬剤を送達することができる。
【0079】
併用
炎症性疾患、特に呼吸器疾患の予防および治療のために、本発明が関係する化合物とともに他の化合物を併用してもよい。よって、本発明は、治療有効量の本発明の化合物と1種または複数の他の治療剤とを含む医薬組成物にも関係する。本発明の化合物との併用療法に適切な治療剤には、それだけには限らないが、以下が含まれる。(1)副腎皮質ステロイド、例えば、プロピオン酸フルチカゾン、フロ酸フルチカゾン、フロ酸モメタゾン、ジプロピオン酸ベクロメタゾン、シクレソニド、ブデソニド、GSK 685698、GSK 870086、QAE 397、QMF 149、TPI−1020など;(2)β2−アドレナリン受容体アゴニスト、例えば、サルブタモール、アルブテロール、テルブタリン、フェノテロールなど、および長時間作用性β2−アドレナリン受容体アゴニスト、例えばサルメテロール、インダカテロール、ホルモテロール(フマル酸ホルモテロールが含まれる)、アルホルモテロール、カルモテロール、GSK 642444、GSK 159797、GSK 159802、GSK 597501、GSK 678007、AZD3199など;(3)副腎皮質ステロイド/長時間作用性β2アゴニスト併用製品、例えば、サルメテロール/プロピオン酸フルチカゾン(Advair/Seretide)、ホルモテロール/ブデソニド(Symbicort)、ホルモテロール/プロピオン酸フルチカゾン(Flutiform)、ホルモテロール/シクレソニド、ホルモテロール/フロ酸モメタゾン、インダカテロール/フロ酸モメタゾン、インダカテロール/QAE 397、GSK 159797/GSK 685698、GSK 159802/GSK 685698、GSK 642444/GSK 685698、GSK 159797/GSK 870086、GSK 159802/GSK 870086、GSK 642444/GSK 870086、アルホルモテロール/シクレソニドなど;(4)抗コリン剤、例えばムスカリン−3(M3)受容体アンタゴニスト、例えば、臭化イプラトロピウム、臭化チオトロピウム、アクリジニウム(LAS−34273)、NVA−237、GSK 233705、ダロトロピウム、GSK 573719、GSK 961081、QAT 370、QAX 028など;(5)二重薬理M3−抗コリン性/β2−アドレナリン受容体アゴニスト、例えばGSK961081など;(6)ロイコトリエンモジュレーター、例えば、ロイコトリエンアンタゴニスト、例えば、モンテルカスト、ザフィルラスト(zafirulast)もしくはプランルカストなど、または、ロイコトリエン生合成阻害剤、例えばジロートンもしくはBAY−1005など、またはLTB4アンタゴニスト、例えばアメルバントなど、またはFLAP阻害剤、例えば、GSK 2190914、AM−103など;(7)ホスホジエステラーゼ−IV(PDE−IV)阻害剤(経口または吸入)、例えばロフルミラスト、シロミラスト、オグレミラスト、ONO−6126、テトミラスト、トフィミラスト、UK 500,001、GSK 256066など;(8)抗ヒスタミン剤、例えば、選択的ヒスタミン−1(H1)受容体アンタゴニスト、例えば、フェキソフェナジン、シチリジン(citirizine)、ロラチジンもしくはアステミゾールなど、または二重H1/H3受容体アンタゴニスト、例えば、GSK 835726、GSK 1004723など;(9)鎮咳剤、例えば、コデインまたはデキストラモルファン(dextramorphan)など;(10)粘液溶解薬、例えば、N−アセチルシステインまたはフドステイン;(11)去痰薬/粘液動態(mucokinetic)モジュレーター、例えば、アンブロキソール、高張液(例えば、生理食塩水またはマンニトール)または界面活性剤;(12)ペプチド粘液溶解薬、例えば、組換えヒトデオキシリボノクレアーゼI(deoxyribonoclease I)(ドルナーゼ−アルファおよびrhDNアーゼ)またはヘリチジン(helicidin);(13)抗生物質、例えば、アジスロマイシン、トブラマイシンおよびアズトレオナム;(14)非選択的COX−1/COX−2阻害剤、例えば、イブプロフェンまたはケトプロフェンなど;(15)COX−2阻害剤、例えば、セレコキシブおよびロフェコキシブなど;(16)VLA−4アンタゴニスト、例えば、WO97/03094およびWO97/02289に記載のものなど;(17)TACE阻害剤およびTNF−α阻害剤、例えば抗TNFモノクローナル抗体、例えばRemicadeおよびCDP−870など、ならびにTNF受容体免疫グロブリン分子、例えばEnbrelなど;(18)マトリクスメタロプロテアーゼの阻害剤、例えばMMP−12;(19)ヒト好中球エラスターゼ阻害剤、例えば、ONO−6818、またはWO2005/026124、WO2003/053930およびWO06/082412に記載のものなど;(20)A2bアンタゴニスト、例えばWO2002/42298に記載のものなど;(21)ケモカイン受容体機能のモジュレーター、例えば、CCR3およびCCR8のアンタゴニスト;(22)他のプロスタノイド受容体の作用を調節する化合物、例えばトロンボキサンAアンタゴニスト;DP1アンタゴニスト、例えばMK−0524など、CRTH2アンタゴニスト、例えばODC9101およびAZD1981など、ならびに混合DP1/CRTH2アンタゴニスト、例えばAMG 009など;(23)PPARアゴニスト、それにはPPARαアゴニスト(例えばフェノフィブラートなど)、PPARδアゴニスト、PPARγアゴニスト、例えば、ピオグリタゾン、ロシグリタゾンおよびバラグリタゾンなどが含まれる;(24)メチルキサンチン、例えば、テオフィリンまたはアミノフィリンなど、ならびにメチルキサンチン/副腎皮質ステロイド併用、例えば、テオフィリン/ブデソニド、テオフィリン/プロピオン酸フルチカゾン、テオフィリン/シクレソニド、テオフィリン/フロ酸モメタゾンおよびテオフィリン/ジプロピオン酸ベクロメタゾンなど;(25)A2aアゴニスト、例えばEP1052264およびEP1241176に記載のものなど;(26)CXCR2またはIL−8アンタゴニスト、例えば、SCH 527123またはGSK 656933など;(27)IL−Rシグナル伝達モジュレーター、例えばkineretおよびACZ 885など;(28)MCP−1アンタゴニスト、例えばABN−912など。
【0080】
合成方法
本発明の化合物は、本明細書の例に記述する方法の処理手順を適合させることによって調製することができる。
【0081】
例えば、本発明のものはスキーム1に図示される経路に従って調製することができる。
【0082】
【化15】
【0083】
スキーム1
一般式(a)の化合物は、一般式(d):
【0084】
【化16】
【0085】
の化合物から、一般式(b):
【0086】
【化17】
【0087】
(式中、Rは一般式(I)のRについて定義した通りである)の化合物と、ジメチルスルホキシド、1,4−ジオキサンまたはアセトニトリルなどの適切な溶媒中、ジイソプロピルエチルアミンなどの塩基の存在下で、様々な温度、好ましくは室温と100℃の間で反応させることによって調製することができる。
【0088】
一般式(b)の化合物は、一般式(c)のアミンから、既知の文献の手順(例えば、WO2006009741、EP1609789)に従って調製することができる。
【0089】
一般式(e)(式中、Rは水素である)の化合物は、一般式(e):
【0090】
【化18】
【0091】
(式中、Rは適切な保護基であってもよい)の化合物から、当業者に既知の方法による脱保護によって調製することができる。
【0092】
一般式(e)の化合物は、一般式(f):
【0093】
【化19】
【0094】
の化合物から、一般式(g):
【0095】
【化20】
【0096】
の化合物と、トルエン、1,4−ジオキサンまたはアセトニトリルなどの適切な溶媒中で、カリウムtert−ブトキシドおよび1,3−ジメチル−3,4,5,6−テトラヒドロ−2(1H)−ピリミジノンを使用して、様々な温度、好ましくは室温と100℃の間で反応させることによって調製することができる。
【0097】
一般式(g)(式中、Rは水素である)の化合物は、一般式(h)または(i)の化合物から、WO2008/043019に記載の通りに調製することができる。
【0098】
【化21】
【0099】
一般式(h)(式中、Rはアミド、好ましくはトリフルオロアセタミドである)の化合物は、一般式(j)の化合物から、WO2008/043019に記載の通りに、RuCl[S,S−Tsdpen(p−シメン)]を使用して調製することができる。式(j)の化合物は、上の(j)で図示した通りにホモキラルであるか、または逆のエナンチオマーもしくはラセミ体であってもよいことが認識されよう。
【0100】
【化22】
【0101】
(g)に示す通りの任意の立体中心の組み合わせを、N−((R)−4−オキソ−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−1−イル)−アセトアミドまたはN−((S)−4−オキソ−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−1−イル)−アセトアミドを使用し、RuCl[R,R−Tsdpen(p−シメン)]またはRuCl[S,S−Tsdpen(p−シメン)]を使用して調製することができることが当業者であれば理解されよう。立体中心を定義せずに化合物(g)を描写したが、いかなる組み合わせでもスキーム1に図示した通りに反応させることができる。
【0102】
一般式(f)の化合物を、一般式(k):
【0103】
【化23】
【0104】
の化合物から、クロラミンT、四酢酸鉛またはフェニルヨウ素(III)ジアセタートなどの適切な酸化剤を使用して、ジクロロメタンまたはエタノールなどの適切な溶媒中で、様々な温度、好ましくは室温と100℃の間で調製することができる。
【0105】
一般式(k)の化合物は、一般式(m):
【0106】
【化24】
【0107】
の化合物から、一般式(l):
CHO (l)
のアルデヒドと、エタノールまたはテトラヒドロフランなどの適切な溶媒中で、様々な温度、好ましくは室温と80℃の間で反応させることによって調製することができる。
【0108】
あるいは、式(f)の化合物は、式(n):
【0109】
【化25】
【0110】
の化合物から、バージェス試薬、トリフェニルホスフィンおよびヘキサクロロエタン、オキシ塩化リン、酢酸または光延条件(Mitsunobu condition)(アゾジカルボン酸ジエチル/トリフェニルホスフィン/トリメチルシリルアジド)などの適切な脱水剤を使用して、テトラヒドロフラン、トルエンまたはNMPなどの適切な溶媒の存在下または非存在下で、様々な温度、好ましくは室温と120℃の間で調製することができる。
【0111】
式(n)の化合物は、式(m)の化合物から、
一般式(o):
COH (o)
の化合物と、トリフェニルホスフィン/トリクロロアセトニトリルなどの適切なアシル化剤/脱水剤を使用して、ジイソプロピルエチルアミンなどの塩基の存在下で、ジクロロメタンまたはアセトニトリルなどの適切な溶媒中で、様々な温度、好ましくは室温と150℃の間で反応させることによって調製することができる。
【実施例】
【0112】
一般的な実験の詳細
実験項で使用する略語:aq.=水性;DCM=ジクロロメタン;DIPEA=ジイソプロピルエチルアミン;DMF=N,N−ジメチルホルムアミド;DMSO=ジメチルスルホキシド;EDC=1−エチル−3−(3’−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド;EtOAc=酢酸エチル;EtOH=エタノール;EtO=ジエチルエーテル;FCC=フラッシュカラムクロマトグラフィー;h=時間;HATU=2−(7−アザ−1H−ベンゾトリアゾル−1−イル)−1,1,3,3−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスファート;HOBt=1−ヒドロキシ−ベンゾトリアゾール;HPLC=高速液体クロマトグラフィー;LCMS=液体クロマトグラフィー質量分析;MeCN=アセトニトリル;MeOH=メタノール;min=分;NMR=核磁気共鳴;RT=室温;Rt=保持時間;sat.=飽和;SCX−2=強陽イオン交換クロマトグラフィー;TFA=トリフルオロ酢酸;THF=テトラヒドロフラン;HO=水;IMS=工業用変性アルコール;EtN=トリエチルアミン;EtNiPr=ジイソプロピルエチルアミン
構造の名称を、MDL Inc製のAutonom 2000 Nameソフトウェアを使用して割り当てた。化合物の立体化学的割り当ては、重要な中間体についてWO2008/043019に報告されるデータと比較することに基づいている。特に指定のない限り、すべての反応を窒素雰囲気下で行った。
【0113】
NMRスペクトルは、400MHzで操作する5mm逆検出三重共鳴プローブを備えたVarian Unity Inova 400分光計、または400MHzで操作する5mm逆検出三重共鳴TXIプローブを用いるBruker Avance DRX 400分光計、または300MHzで操作する標準5mm二重周波数プローブを備えたBruker Avance DPX 300分光計で得た。シフトは、テトラメチルシランに対して、ppmで得られる。NMRスペクトルを、DataChord Spectrum Analystバージョン4.0.b21を使用して帰属した。
【0114】
フラッシュカラムクロマトグラフィーによって生成物を精製した場合、「フラッシュシリカ」は、0.035から0.070mm(220から440メッシュ)(例えばFluka silica gel 60)であるクロマトグラフィー用のシリカゲル、および10p.s.iまでの窒素圧をかけた加速カラム溶出、またはCombiFlash(登録商標)Companion精製システムの使用もしくはBiotage SP1精製システムの使用を意味する。すべての溶媒および市販の試薬は、受領したままで使用した。
【0115】
分取HPLCにより精製された化合物は、C18逆相カラム(粒径が7μmの、100mm×内径22.5mmのGenesisカラム)またはフェニル−ヘキシルカラム(粒径が5μmの、250×内径21.2mmのGeminiカラム)、230または254nmにおけるUV検出、流量5〜20mL/分)を使用し、100−0から0−100%までの勾配の、水/アセトニトリル(0.1%TFAまたは0.1%ギ酸を含有する)または水/MeOH(0.1%TFAまたは0.1%ギ酸を含有する)で溶出して精製した。必要とされる生成物(LCMS分析により同定)を含有する画分をプールし、有機画分を蒸発により除去し、残った水性画分を凍結乾燥して、最終生成物を得た。分取HPLCにより精製した生成物は、特に記載のない限り、ギ酸塩またはTFA塩として単離した。
【0116】
使用した液体クロマトグラフィー質量分析(LCMS)システムおよびHPLCシステムは、以下の通りである。
【0117】
方法1
C18逆相カラム(30×4.6mm Phenomenex Luna 粒径3μm)を備えたWaters Platform LC四重極質量分析計、A:水+0.1%ギ酸;B:メタノール+0.1%ギ酸で溶出。勾配:
【0118】
【表1】
【0119】
検出−MS、ELS、UV(インラインHP1100 DAD検出器を備えたMSへ200μLを分流)。MSイオン化法−エレクトロスプレー(陽イオンおよび陰イオン)。
【0120】
方法2
C18逆相カラム(30×4.6mm Phenomenex Luna 粒径3μm)を備えたWaters ZMD四重極質量分析計、A:水+0.1%ギ酸;B:メタノール+0.1%ギ酸で溶出。勾配:
【0121】
【表2】
【0122】
検出−MS、ELS、UV(インラインWaters 996 DAD検出器を備えたMSへ200μLを分流)。MSイオン化法−エレクトロスプレー(陽イオンおよび陰イオン)。
【0123】
方法3
C18逆相カラム(30×4.6mm Phenomenex Luna 粒径3μm)を備えたWaters ZMD四重極質量分析計、A:水+0.1%ギ酸;B:アセトニトリル+0.1%ギ酸で溶出。勾配:
【0124】
【表3】
【0125】
検出−MS、ELS、UV(インラインHP1100 DAD検出器を備えたMSへ200μLを分流)。MSイオン化法−エレクトロスプレー(陽イオンおよび陰イオン)。
【0126】
方法4
Higgins Clipeus 5ミクロン C18 100×3.0mmを備え、40℃で維持される、Waters ZMD四重極質量分析計。A:水+0.1%ギ酸;B:MeOH+0.1%ギ酸で溶出。勾配:
【0127】
【表4】
【0128】
検出−MS、UV PDA。MSイオン化法−エレクトロスプレー(陽イオンおよび陰イオン)。
【0129】
方法5
Acquity BEH C18 1.7um 100×2.1mm、Acquity BEH Shield RP18 1.7um 100×2.1mmまたはAcquity HSST3 1.8um 100×2.1mmを備え、40℃で維持される、Waters ZMD四重極質量分析計。A:水+0.1%ギ酸;B:CHCN+0.1%ギ酸で溶出。勾配:
【0130】
【表5】
【0131】
検出−MS、UV PDA。MSイオン化法−エレクトロスプレー(陽イオンおよび陰イオン)。
【0132】
方法6
Phenomenex Gemini C18逆相カラム(250×21.20mm 粒径5μm)、A:水+0.1%ギ酸;B:CHCN+0.1%ギ酸で溶出。勾配−10%A/90%Bから98%A/2%B、20分間−流速18mL/分。検出−波長254nMに設定したインラインUV検出器。
【0133】
例1
(+/−) 1−(5−tert−ブチル−2−p−トリル−2H−ピラゾル−3−イル)−3−[−4−(3−イソプロピル−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−6−イルオキシ)−cis−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−1−イル]−尿素
【0134】
【化26】
【0135】
a.(+/−) Cis 4−アジド−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−1−オール
【0136】
【化27】
【0137】
1−テトラロン(2.92g、20mmol)、N−ブロモサクシニミド(3.56g、20mmol)およびアゾジブチロニトリル(80mg)の四塩化炭素(80mL)溶液を、1.25時間還流し、次いで真空中で蒸発させた。得られた油状物をDMF(8mL)に溶解し、アジ化ナトリウム(2.6g、40mmol)で処理し、室温で2時間撹拌した。反応混合物をEtO(200mL)とHO(50mL)の間で分配した。得られた有機層を乾燥し(MgSO)、濾過し、真空で蒸発させた。得られた油状物を、EtOH(100mL)に溶解し、アルゴン下で0℃まで冷却し、水素化ホウ素ナトリウム(0.76g、20mmol)で処理した。反応混合物を室温で1時間撹拌し、真空中で約50mLに濃縮し、HOとEtOの間で分配した。水層をDCM(100mL)とEtOAc(100mL)とで抽出し、合わせた有機層を乾燥し(MgSO)、濾過し、真空中で濃縮し、0〜30%シクロヘキサン/ジエチルエーテルを使用するFCCにより精製して、Rf 0.2で標記化合物を暗赤色の油状物として得た(1.5g、40%)。
【0138】
【数1】
【0139】
b.(+/−) Cis 4−アミノ−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−1−オール
【0140】
【化28】
【0141】
THF(20mL)およびHO(4mL)中の、例1ステップa(1.086g、5.7mmol)およびトリフェニルホスフィン(1.81g、6.84mmol)の溶液を、窒素雰囲気下、室温で6.5時間撹拌した。反応混合物をEtOで希釈し、0.4M HCl溶液で抽出した。水層を10N水酸化ナトリウム溶液で塩基性化し、DCMで抽出した。合わせた有機層を、乾燥し(MgSO)、濾過し、真空中で濃縮し、0〜20%のDCM/MeOH(2M NHを含む)を使用するFCCにより精製して、標記化合物を得た(0.55g、59%)。LCMS(方法1):Rt 0.41、1.50分、m/z 164 [MH]。
【0142】
c.イソ酪酸N’−(5−フルオロ−ピリジン−2−イル)−ヒドラジド
【0143】
【化29】
【0144】
5−フルオロ−2−ヒドラジニル−ピリジン(0.59g、4.65mmol)、イソ酪酸(528mg、6mmol)、およびHOBt水和物(153mg、1mmol)のDCM(10mL)溶液を、EDC(1.15g、6mmol)で処理した。反応混合物を、室温で40分間撹拌し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(40mL)上に注ぎ、4回分のDCMで抽出し、乾燥し(NaSO)、蒸発させ、10〜30%のEtOAc/DCMを使用するFCCにより精製して、標記化合物を得た(0.42g、46%)。LCMS(方法2):Rt 2.46分、m/z 198 [MH]。
【0145】
d.6−フルオロ−3−イソプロピル−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピリジン
【0146】
【化30】
【0147】
例1ステップc(0.41g、2.08mmol)、トリフェニルホスフィン(763mg、2.91mmol)およびトリエチルアミン(0.87mL、6.24mmol)の、0℃のTHF(5mL)溶液を、1,2−ヘキサクロロエタン(690mg、2.91mmol)で処理した。反応混合物を、0℃で40分間、次いで室温で20分間撹拌し、水でクエンチし、EtOAcで2回抽出し、乾燥(NaSO)し、蒸発させ、FCC(シクロヘキサン/EtOAc 1/0から1/1)により2回精製して、標記化合物(274mg、20%PPhOが混入、58%)を、白色固体として得た。LCMS(方法1):Rt 2.58分、m/z 180 [MH]。
【0148】
e.(+/−) 4−(3−イソプロピル−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−6−イルオキシ)−cis−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−1−イルアミン
【0149】
【化31】
【0150】
トルエン(1mL)および1,3−ジメチル−3,4,5,6−テトラヒドロ−2(1H)−ピリミジノン(0.5mL)中の例1ステップb(367mg、2.05mmol)およびカリウムtert−ブトキシド(255mg、2.25mmol)の溶液を、例1、ステップd(334mg、2.05mol)に添加した。温度を50℃から80℃に20分間かけて上げながら、反応混合物を撹拌した。反応物を冷却し、水でクエンチし、10%クエン酸で抽出した。水相をCHClで洗浄し、KOHでpH10に塩基性化し、CHClで抽出した。合わせた有機層を、乾燥し(MgSO)、濃縮し、FCC(0〜9% MeOH/NH−CHCl)により精製して、標記化合物を褐色ゴム状物として得て、これを放置して固化させた(400mg、60%)。LCMS(方法3):Rt 2.45分、m/z 323 [MH]。
【0151】
【数2】
【0152】
f.(+/−) 1−(5−tert−ブチル−2−p−トリル−2H−ピラゾル−3−イル)−3−[−4−(3−イソプロピル−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−6−イルオキシ)−cis−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−1−イル]−尿素
例1e(87mg、0.27mmol)のジオキサン(2mL)溶液を、EtNiPr(49uL、0.3mmol)および2,2,2−トリクロロエチル3−tert−ブチル−1−p−トリル−1H−ピラゾル−5−イルカルバメート(109mg、0.27mmol)とともに、70℃で20時間加熱した。反応物を放冷し、HO−EtOAcの間で分配し、有機相を乾燥し(NaSO)、真空中で濃縮した。残留物をFCC(0〜6% 9:1 MeOH/0.88NH−CHCl)により精製して、MeOH中にスラリー化し、標記化合物を無色固体として得た(57mg)。LCMS(方法4):Rt 12.03分、m/z 578 [MH]。
【0153】
【数3】
【0154】
例2
(+/−) 1−(5−tert−ブチル−2−p−トリル−2H−ピラゾル−3−イル)−3−[4−(3−イソプロピル[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−6−イルオキシ)−trans−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−1−イル]−尿素
【0155】
【化32】
【0156】
a.(+/−) Trans 4−アジド−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−1−オール
【0157】
【化33】
【0158】
標記化合物を、例1ステップaから、FCC(シクロヘキサン/ジエチルエーテル 100/0から70/30)により、Rf 0.1で暗赤色油状物として得た(0.4g)。
【0159】
【数4】
【0160】
b.(+/−) Trans 4−アミノ−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−1−オール
【0161】
【化34】
【0162】
THF(10mL)およびHO(4mL)中の、例2ステップb(0.3g、1.59mmol)およびトリフェニルホスフィン(0.5g、1.9mmol)の溶液を、窒素雰囲気下、室温で6.5時間撹拌した。反応混合物をEtOで希釈し、0.5M HCl溶液で抽出した。水層をKCO溶液で塩基性化し、DCMで抽出した。合わせた有機層を、乾燥し(MgSO)、濾過し、真空中で濃縮し、FCC(DCM/MeOH(NHを9/1で含む))により精製して、標記化合物を得た(113mg)。LCMS(方法1):Rt 0.41、1.50分、m/z 164 [MH]。
【0163】
b.(+/−) 1−(5−tert−ブチル−2−p−トリル−2H−ピラゾル−3−イル)−3−[4−(3−イソプロピル−[1,2,4]トリアゾロ[4,3a]ピリジン−6−イルオキシ)−trans−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−1−イル]−尿素
【0164】
【化35】
【0165】
標記化合物を、例2ステップbの生成物から出発し、例1ステップeおよびfと同様の方法で調製した。LCMS(方法4):Rt 12.01分、m/z578[MH]。
【0166】
【数5】
【0167】
以下の例を、例1と同様の方法で調製した。
【0168】
【表6】
【0169】
例7
(+/−) 1−(5−tert−ブチル−2−p−トリル−2H−ピラゾル−3−イル)−3−{4−[3−(2−ヒドロキシ−フェニル)[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−6−イルオキシ]−cis−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−1−イル}−尿素
【0170】
【化36】
【0171】
例5(50mg、69.6mmol)のIMS(5mL)溶液を、水酸化パラジウム(20mg)とともに、水素雰囲気下で24時間撹拌した。反応物をHyfloを通して濾過し、真空中で濃縮し、分取HPLC方法6を使用して精製した。生成物を含有する画分を凍結乾燥し、標記化合物をオフホワイト色固体として得た。LCMS(方法5):Rt 4.87分、m/z627[MH]。
【0172】
【数6】
【0173】
例8
1−(5−tert−ブチル−2−p−トリル−2H−ピラゾル−3−イル)−3−[(1R,4R)−4−(3−イソプロピル−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−6−イルオキシ)−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−1−イル]−尿素
【0174】
【化37】
【0175】
標記化合物を、(1R,4R)−4−アミノ−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−1−オール(WO2008/043019)を使用して、例1、ステップeおよびfと同様の方法で調製した。LCMS(方法5):Rt 4.71分、m/z 578[MH]。
【0176】
【数7】
【0177】
例9
1−(5−tert−ブチル−2−p−トリル−2H−ピラゾル−3−イル)−3−[(1R,4S)−4−(3−イソプロピル−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−6−イルオキシ)−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−1−イル]−尿素
【0178】
【化38】
【0179】
a.2,2,2−トリフルオロ−N−((1R,4S)−4−ヒドロキシ−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−1−イル)−アセトアミド
【0180】
【化39】
【0181】
標記化合物を、2,2,2−トリフルオロ−N−((1R,4R)−4−ヒドロキシ−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−1−イル)アセトアミドについてWO2008/043019に記載の通りに、RuCl[(S,S)−Tsdpen(シメン)]を使用して調製した。
【0182】
【数8】
【0183】
b.(1S,4R)−4−アミノ−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−1−オール
【0184】
【化40】
【0185】
標記化合物を、例9、ステップaを使用してWO2008/043019に記載の通りに調製した。
【0186】
【数9】
【0187】
c.1−(5−tert−ブチル−2−p−トリル−2H−ピラゾル−3−イル)−3−[(1R,4S)−4−(3−イソプロピル−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−6−イルオキシ)−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−1−イル]−尿素
標記化合物を、(1S,4R)−4−アミノ−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−1−オール(例9、ステップb)を使用して、例1、ステップeおよびfと同様の方法で調製した。LCMS(方法5):Rt 4.84分、m/z 578[MH]。
【0188】
【数10】
【0189】
例10
1−(5−tert−ブチル−2−p−トリル−2H−ピラゾル−3−イル)−3−[(1S,4R)−4−(3−イソプロピル−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−6−イルオキシ)−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−1−イル]−尿素
【0190】
【化41】
【0191】
標記化合物を、(1R,4S)−4−アミノ−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−1−オールを使用して、例1、ステップeおよびfと同様の方法で調製した。LCMS(方法5):Rt 4.85分、m/z 578[MH]。
【0192】
【数11】
【0193】
例11
1−(5−tert−ブチル−2−p−トリル−2H−ピラゾル−3−イル)−3−[(1S,4S)−4−(3−イソプロピル−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−6−イルオキシ)−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−1−イル]−尿素
【0194】
【化42】
【0195】
標記化合物を、(1S,4S)−4−アミノ−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−1−オールを使用して、例1、ステップeおよびfと同様の方法で調製した。LCMS(方法5):Rt 4.74分、m/z 578[MH]。
【0196】
【数12】
【0197】
例12
1−(5−tert−ブチル−2−p−トリル−2H−ピラゾル−3−イル)−3−[(1R,3R)−3−(3−イソプロピル[1,2,4]トリアゾロ[4,3a]ピリジン−6−イルオキシ)−インダン−1−イル]−尿素
【0198】
【化43】
【0199】
(R)−3−アミノ−インダン−1−オン(EP1316542A1)を、(R)−(N−アセチル)−β−アラニンから、EP1316542A1、Bioorg.Med.Chem.Lett、2008、18、4224〜4227およびChem.Lett.、2002、(3)、266に記載の通りに調製した。(1R,3R)−3−アミノ−インダン−1−オールを、(R)−3−アミノ−インダン−1−オンから、WO2008/043019に記載の手順を使用して調製した。標記化合物を、(1R,3R)−3−アミノ−インダン−1−オールを使用して、例1、ステップeおよびfと同様の方法で調製した。LCMS(方法5):Rt 4.61分、m/z 564[MH]。
【0200】
【数13】
【0201】
例13
1−(5−tert−ブチル−2−p−トリル−2H−ピラゾル−3−イル)−3−[(1S,3S)−3−(3−イソプロピル−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−6−イルオキシ)−インダン−1−イル]−尿素
【0202】
【化44】
【0203】
標記化合物を、(1S,3S)−3−アミノ−インダン−1−オールを使用して、例12と同様の方法で調製した。LCMS(方法5):Rt 4.61分、m/z 564[MH]。
【0204】
【数14】
【0205】
例14
1−(5−tert−ブチル−2−p−トリル−2H−ピラゾル−3−イル)−3−[(1R,3S)−3−(3−イソプロピル−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−6−イルオキシ)−インダン−1−イル]−尿素
【0206】
【化45】
【0207】
標記化合物を、(1S,3R)−3−アミノ−インダン−1−オールを使用して、例12と同様の方法で調製した。LCMS(方法5):Rt 4.68分、m/z 564[MH]。
【0208】
【数15】
【0209】
例15
1−(5−tert−ブチル−2−p−トリル−2H−ピラゾル−3−イル)−3−[(1S,3R)−3−(3−イソプロピル−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−6−イルオキシ)−インダン−1−イル]−尿素
【0210】
【化46】
【0211】
標記化合物を、(1R,3S)−3−アミノ−インダン−1−オールを使用して、例12と同様の方法で調製した。LCMS(方法5):Rt 4.68分、m/z 564[MH]。
【0212】
【数16】
【0213】
例16
1−(5−tert−ブチル−イソキサゾル−3−イル)−3−[(1S,4S)−4−(3−イソプロピル−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−6−イルオキシ)−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−1−イル]−尿素
【0214】
【化47】
【0215】
標記化合物を、例1ステップeおよびfと同様の方法で、例2ステップbの生成物および(5−tert−ブチル−イソキサゾル−3−イル)−カルバミン酸2,2,2−トリクロロ−エチルエステル(WO2006091671)から出発して調製した。LCMS(方法5):Rt 4.36分、m/z 489[MH]。
【0216】
【数17】
【0217】
例17
N−(5−tert−ブチル−3−{3−[(1S,4S)−4−(3−イソプロピル−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−6−イルオキシ)−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−1−イル]−ウレイド}−2−メトキシ−フェニル)−メタンスルホンアミド
【0218】
【化48】
【0219】
標記化合物を、例1ステップeおよびfと同様の方法で、例2ステップbの生成物および(5−tert−ブチル−3−メタンスルホニルアミノ−2−メトキシ−フェニル)−カルバミン酸2,2,2−トリクロロ−エチルエステルから出発して調製した。LCMS(方法5):Rt 4.31分、m/z 621[MH]。
【0220】
【数18】
【0221】
例18
(+/−) 1−(5−tert−ブチル−2−p−トリル−2H−ピラゾル−3−イル)−3−[9−(3−イソプロピル−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−6−イルオキシ)−cis−6,7,8,9−テトラヒドロ−5H−ベンゾシクロヘプテン−5−イル]−尿素
【0222】
【化49】
【0223】
a.(+/−) Cis−9−アミノ−6,7,8,9−テトラヒドロ−5H−ベンゾシクロヘプテン−5−オール
【0224】
【化50】
【0225】
標記化合物を、例1ステップaおよびbと同様の方法で、9−アジド−6,7,8,9−テトラヒドロ−ベンゾシクロヘプテン−5−オンを使用して調製した。ジアステレオ異性体をFCCにより分離し、位置異性体をNOE(SY)分析に従って割り当てた。LCMS(方法3):Rt 1.44分、m/z 178[MH]。
【0226】
【数19】
【0227】
b.(+/−) 1−(5−tert−ブチル−2−p−トリル−2H−ピラゾル−3−イル)−3−[9−(3−イソプロピル−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−6−イルオキシ)−cis−6,7,8,9−テトラヒドロ−5H−ベンゾシクロヘプテン−5−イル]−尿素
標記化合物を、例1ステップeおよびfと同様の方法で、例18ステップaの生成物から出発して調製した。LCMS(方法5):Rt 4.84分、m/z 592[MH]。
【0228】
【数20】
【0229】
例19
(+/−) 1−(5−tert−ブチル−2−p−トリル−2H−ピラゾル−3−イル)−3−[9−(3−イソプロピル−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−6−イルオキシ)−trans−6,7,8,9−テトラヒドロ−5H−ベンゾシクロヘプテン−5−イル]−尿素
【0230】
【化51】
【0231】
a.(+/−) Trans−9−アミノ−6,7,8,9−テトラヒドロ−5H−ベンゾシクロヘプテン−5−オール。
【0232】
【化52】
【0233】
標記化合物を、例1ステップaおよびbと同様の方法で、9−アジド−6,7,8,9−テトラヒドロ−ベンゾシクロヘプテン−5−オンを使用して調製した。ジアステレオ異性体をFCCにより分離し、位置異性体をNOE(SY)分析に従って割り当てた。LCMS(方法3):Rt 0.81分、m/z 178[MH]。
【0234】
【数21】
【0235】
b.(+/−)−1−(5−tert−ブチル−2−p−トリル−2H−ピラゾル−3−イル)−3−[9−(3−イソプロピル−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−6−イルオキシ)−trans−6,7,8,9−テトラヒドロ−5H−ベンゾシクロヘプテン−5−イル]−尿素
標記化合物を、例1ステップeおよびfと同様の方法で、例19ステップaから出発して調製した。LCMS(方法5):Rt 4.87分、m/z 592[MH]。
【0236】
【数22】
【0237】
例20
1−(5−tert−ブチル−2−p−トリル−2H−ピラゾル−3−イル)−3−((1S,4S)−4−{3−[2−(2−ヒドロキシ−エチルスルファニル)−フェニル]−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−6−イルオキシ}−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−1−イル)−尿素
【0238】
【化53】
【0239】
a.6−フルオロ−3−{2−[2−(テトラヒドロ−ピラン−2−イルオキシ)−エチルスルファニル]−フェニル}−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピリジン
【0240】
【化54】
【0241】
2−[2−(6−フルオロ−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−3−イル)−フェニルスルファニル]−エタノール(400mg、1.38mmol)、4−メチルベンゼンスルホン酸(65mg、0.345mmol)および3,4−ジヒドロ−2H−ピラン(251μL、2.76mmol)のDCM(5mL)溶液を、窒素雰囲気下、室温で36時間撹拌した。反応混合物をDCMで希釈し、飽和NaHCOで抽出した。有機層をMgSO4上で乾燥し、濾過し、真空中で濃縮した。残留物を、MeOHを含むDCM(0から5%)を使用するFCCにより精製して、標記化合物を淡黄色油状物として得た(381mg、74%)。LCMS(方法3):Rt 3.10分、m/z 374[MH]。
【0242】
【数23】
【0243】
b.(1S,4S)−4−(3−{2−[2−(テトラヒドロ−ピラン−2−イルオキシ)−エチルスルファニル]−フェニル}−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−6−イルオキシ)−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−1−イルアミン
【0244】
【化55】
【0245】
例20ステップa(381mg、1.02mmol)、例2ステップb(183mg、1.12mmol)、カリウムtert−ブトキシド(125mg、1.12mmol)およびDMPU(492μL、4.08mmol)の溶液を、50℃で2時間、次いで80℃で1.5時間加熱した。反応混合物を室温まで冷却し、HO−EtOAcの間で分配した。有機層をMgSO上で乾燥し、濾過し、真空中で濃縮した。残留物を、2M NH−MeOHを含むDCM(0から50%)を使用するFCCにより精製して、標記化合物を得た(146mg、28%)。LCMS(方法3):Rt 2.29分、m/z 517 [MH]。
【0246】
c.1−(5−tert−ブチル−2−p−トリル−2H−ピラゾル−3−イル)−3−[(1S,4S)−4−(3−{2−[2−(テトラヒドロ−ピラン−2−イルオキシ)−エチルスルファニル]−フェニル}−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−6−イルオキシ)−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−1−イル]−尿素
【0247】
【化56】
【0248】
例20ステップb(60mg、0.11mmol)、DIPEA(26μL、0.15mmol)および2,2,2−トリクロロエチル3−tert−ブチル−1−p−トリル−1H−ピラゾル−5−イルカルバマート(56mg、0.138mmol)のジオキサン(5mL)溶液を、80℃で20時間加熱した。反応物を室温まで放冷し、HO−DCMの間で分配し、有機相を乾燥し(MgSO)、真空中で濃縮した。残留物を、MeOHを含むDCM(0から5%)を使用するFCCにより精製して、標記化合物を黄色泡状物として得た(38mg、45%)。LCMS(方法3):Rt 4.09分、m/z 772 [MH]。
【0249】
d.1−(5−tert−ブチル−2−p−トリル−2H−ピラゾル−3−イル)−3−((1S,4S)−4−{3−[2−(2−ヒドロキシ−チルスルファニル(thylsulfanyl))−フェニル]−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−6−イルオキシ}−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−1−イル)−尿素
例20ステップc(38mg、0.05mmol)および4−メチルベンゼンスルホン酸(9mg、0.05mmol)のMeOH(2mL)溶液を、室温で3時間、次いで60℃で5時間撹拌した。混合物を室温まで冷却し、真空中で濃縮した。残留物を、MeOHを含むDCM(0から10%)を使用するFCCにより精製して、標記化合物を黄色固体として得た(15mg、44%)。LCMS(方法5):Rt 4.83分、m/z 688 [MH]。
【0250】
【数24】
【0251】
例21
1−(5−tert−ブチル−2−p−トリル−2H−ピラゾル−3−イル)−3−[(1S,4S)−4−(3−tert−ブチル[1,2,4]トリアゾロ[4,3a]ピリジン−6−イルオキシ)−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−1−イル]−尿素
【0252】
【化57】
【0253】
標記化合物を、例2と同様の方法で調製した。LCMS(方法5):Rt 4.86分、m/z 592 [MH]。
【0254】
【数25】
【0255】
例22
N−(4−{(1S,4S)−4−[3−(5−tert−ブチル−2−p−トリル−2H−ピラゾル−3−イル)−ウレイド]−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−1−イルオキシメチル}−ピリジン−2−イル)−2−メトキシ−アセトアミド
【0256】
【化58】
【0257】
a.((1S,4S)−4−ヒドロキシ−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−1−イル)−カルバミン酸tert−ブチルエステル
【0258】
【化59】
【0259】
例2ステップb(0.47g、2.9mmol)および二炭酸ジ−tert−ブチル(0.7g、3.19mmol)のアセトントリル(acetontrile)(10mL)溶液を、室温で20時間撹拌した。溶媒を真空中で除去し、残留物をEtOAcを含むシクロヘキサン(0から40%)を使用するFCCにより精製して、標記化合物をピンク色固体として得た(0.56g、74%)。
【0260】
【数26】
【0261】
b.[(1S,4S)−4−(2−アミノ−ピリジン−4−イルメトキシ)−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−1−イル]−カルバミン酸tert−ブチルエステル
【0262】
【化60】
【0263】
0℃に冷却した、例21ステップa(240mg、0.912mmol)のDMF(5mL)溶液を、水酸化ナトリウム(70mg、1.82mmol)および4−ブロモメチル−ピリジン−2−イル アミン臭化水素酸塩(249mg、0.93mmol)で処理した。反応混合物を0℃で1時間撹拌し、次いで室温まで加温した。溶媒を真空中で減量し、残留物を、EtOAcを含むDCM(0から100%)を使用するFCCにより精製して、標記化合物を褐色ゴム状物として得た(145mg、43%)。LCMS(方法3):Rt 2.47分、m/z 370 [MH]。
【0264】
【数27】
【0265】
c. 4−((1S,4S)−4−アミノ−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−1−イルオキシメチル)−ピリジン−2−イルアミン
【0266】
【化61】
【0267】
例21ステップb(130mg、0.35mmol)およびTFA(1mL)のDCM(5mL)溶液を、室温で2時間撹拌し、真空中で濃縮して、標記化合物を橙色ゴム状物として得た(68mg、72%)。LCMS(方法3):Rt 0.31分、m/z 270 [MH+]。
【0268】
d. 1−[(1S,4S)−4−(2−アミノ−ピリジン−4−イルメトキシ)−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−1−イル]−3−(5−tert−ブチル−2−p−トリル−2H−ピラゾル−3−イル)−尿素
【0269】
【化62】
【0270】
標記化合物を、例20ステップcと同様の方法で、例21ステップcの生成物から出発して調製した。LCMS(方法3):Rt 2.64分、m/z 525 [MH+]。
【0271】
e. N−(4−{(1S,4S)−4−[3−(5−tert−ブチル−2−p−トリル−2H−ピラゾル−3−イル)−ウレイド]−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−1−イルオキシメチル}−ピリジン−2−イル)−2−メトキシ−アセトアミド
例21ステップd(40mg、0.076mmol)、DIPEA(28μL、0.167mmol)およびメトキシアセチルクロリド(15.2μL、0.16mmol)のDCM(1mL)溶液を、室温で2時間撹拌した。反応混合物を真空中で濃縮し、残留物をHPLC(30から95%のCH3CNを含むH2O+0.1%ギ酸)により精製して、標記化合物を白色固体として得た(21mg、46%)。LCMS(方法5):Rt 5.05分、m/z 597 [MH]。
【0272】
【数28】
【0273】
生物学的アッセイ
p38キナーゼアッセイ
大腸菌で発現させ、MKK6酵素(Calbiochem #559324)とのインキュベーションにより活性化したヒト組換えp38酵素を酵素活性源として使用する。
【0274】
アッセイを、組換えATF−2(Biosource #PHF0043)で被覆された、高結合性で透明な平底の96ウエルアッセイプレート中で行う。ATPの添加によりキナーゼアッセイを開始する前に、試験化合物をp38キナーゼとともに2時間インキュベートし、250μMのアッセイ濃度を得る。ELISAを使用してATF−2のリン酸化を検出し、定量化する。これは、抗ホスホ−ATF2、ビオチン化抗IgGおよびストレプトアビジン−HRPの存在下での一連のインキュベーションからなる。HRP発色基質(TMB)とのインキュベーションにより、生成されるリン酸化基質の量に比例する吸光度が生ずる。吸光度は、マルチウエルプレートリーダーを使用して検出する
アッセイ緩衝液に添加する前に、化合物をDMSOで希釈し、アッセイの最終DMSO濃度を1%とする
IC50は、所与の化合物が、対照の50%阻害を実現する濃度と定義される
結果を以下の表に示す。
【0275】
【表7】
【0276】
上の表で、p38α結合能(IC50値)は、以下のように示される。<7000〜500nM 「+」、<500〜100nM 「++」、10〜<100nM 「+++」、<10nM 「++++」。試験したすべての化合物は、<7000nMのIC50値を呈した。NTは未試験。
【0277】
p38機能アッセイ
細胞のp38の阻害は、TNFαの放出を抑制する。TNFαの放出とは、新鮮に採取されたヒト血液から単離されたLPS活性化THP−1細胞(不死化単球細胞系)または末梢血単核球(PBMC’s)の上清中のTNFαの量を測定することによって定量化される、機能的反応である。
【0278】
96ウエルプレートに播種された細胞を、p38阻害剤を1時間添加することにより前処理し、続いてリポ多糖(LPS)を添加してサイトカインの産生および放出を活性化する。R&D Systemsの酵素結合免疫吸着(immunosorbant)検定法(ELISA)キット(製品DY210)を製造業者の使用説明書に従って使用し、細胞上清に放出されたTNFαの量を定量化する。
【0279】
添加する前に、化合物をDMSOで希釈し、アッセイの最終的なDMSO濃度を0.3%とする。EC50は、所与の化合物が、対照の50%阻害を実現する濃度と定義される。試験した化合物の結果を表2に示す。
【0280】
【表8】
【0281】
上の表2で、EC50値は以下のように示される。<7000〜500nM 「+」、<500〜100nM 「++」、10〜<100nM 「+++」、<10nM 「++++」。試験したすべての化合物は、<2000nMのEC50値を呈した。