(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5791710
(24)【登録日】2015年8月14日
(45)【発行日】2015年10月7日
(54)【発明の名称】用途適合性のある陽電子放射断層撮像法および装置
(51)【国際特許分類】
G01T 1/161 20060101AFI20150917BHJP
【FI】
G01T1/161 AZDM
G01T1/161 C
【請求項の数】24
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2013-514530(P2013-514530)
(86)(22)【出願日】2011年1月4日
(65)【公表番号】特表2013-533963(P2013-533963A)
(43)【公表日】2013年8月29日
(86)【国際出願番号】CN2011000006
(87)【国際公開番号】WO2011157045
(87)【国際公開日】20111222
【審査請求日】2013年4月18日
(31)【優先権主張番号】201010200478.0
(32)【優先日】2010年6月13日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】512322380
【氏名又は名称】▲蘇▼州瑞派▲寧▼科技有限公司
(73)【特許権者】
【識別番号】510268554
【氏名又は名称】▲華▼中科技大学
【氏名又は名称原語表記】HUAZHONG UNIVERSITY OF SCIENCE AND TECHNOLOGY
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100089037
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】謝 ▲慶▼国
(72)【発明者】
【氏名】▲劉▼ 晶晶
【審査官】
小田倉 直人
(56)【参考文献】
【文献】
特開平11−014756(JP,A)
【文献】
特表平07−504506(JP,A)
【文献】
特開2008−089396(JP,A)
【文献】
特開昭61−083984(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01T 1/161
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
適合性のある陽電子放射断層撮像法であって、
I.被検出対象の活性分布の予備画像を得るために初期スキャンを実施する段階と、
II.前記段階Iの前記初期スキャンで得られた前記予備画像の質に従って、検出器ブロックの性能およびレイアウト、ならびに撮像パラメータをプログラミングし、新しいシステム構造が得られるように前記検出器ブロックを調整し、前記新しいシステム構造について較正を実施する段階と、
III.前記被検出対象の活性分布の第2画像を得るために、前記新しいシステム構造を用いてスキャンを実施する段階と、
IV.前記段階IIIで得られた前記被検出対象の前記活性分布の第2画像を分析し、前記活性分布の第2画像の質が要件を満たす場合、前記スキャンを終了し、前記活性分布の第2画像の前記質が前記要件を満たさない場合には、前記検出器ブロックの前記性能および前記レイアウト、ならびに前記撮像パラメータを再度プログラミングし、前記検出器ブロックを調整し、較正を実施し、前記段階IIIからIVを繰り返す段階と
を含む、方法。
【請求項2】
前記段階Iで前記初期スキャンを実施する段階が、前記検出器ブロックを、前記被検出対象の構造特徴、撮像特徴、および撮像性能要件に従い、かつ撮像システムの前記検出器ブロックの前記性能および幾何寸法に基づいて、前記被検出対象を取り囲むレイアウトとなるようにプログラミングする段階を含む、請求項1に記載の適合性のある陽電子放射断層撮像法。
【請求項3】
前記取り囲むレイアウトが、規則的な幾何形状の検出リングを使用する、または不規則な凸形状の検出リングを使用する、または前記被検出対象の前記構造特徴に従って、前記被検出対象と同様の幾何形状の検出リングを使用する、請求項2に記載の適合性のある陽電子放射断層撮像法。
【請求項4】
前記段階IIが、
a.前記初期スキャンによって得られた前記被検出対象の前記活性分布の予備画像から、前記予備画像の前記質として関心領域の位置および寸法を抽出する段階と、
b.前記被検出対象の特徴、および撮像性能要件とともに、前記関心領域の前記位置および前記寸法に従って、前記検出器ブロックの前記性能および前記レイアウト、ならびに前記撮像パラメータをプログラミングする段階と、
c.前記プログラミングの結果に従って、前記新しいシステム構造が得られるように前記検出器ブロックを調整する段階と、
d.前記新しいシステム構造について較正を実施する段階と
を含む、請求項1に記載の適合性のある陽電子放射断層撮像法。
【請求項5】
前記段階aで、前記予備画像の前記質として前記関心領域の前記位置および前記寸法が、手動で、半自動で、または完全に自動的に抽出される、請求項4に記載の適合性のある陽電子放射断層撮像法。
【請求項6】
前記段階bで、前記検出器ブロックの前記性能が、固有空間分解能、タイミング分解能、エネルギー分解能、感度、および計数率を含み、前記撮像パラメータが、検出器パラメータ、電子パラメータ、および画像再構成パラメータを含む、請求項4に記載の適合性のある陽電子放射断層撮像法。
【請求項7】
前記段階bで前記検出器ブロックの前記レイアウトをプログラミングする段階が、前記検出器ブロックを、前記関心領域の前記位置および前記寸法、前記被検出対象の構造特徴および撮像特徴、ならびに前記撮像性能要件に従い、かつ撮像システムの前記検出器ブロックの前記性能および幾何寸法に基づいて、前記被検出対象を取り囲むレイアウトとなるようにプログラミングする段階を含む、請求項4に記載の適合性のある陽電子放射断層撮像法。
【請求項8】
前記取り囲むレイアウトが、規則的な幾何形状の検出リングを使用する、または不規則な凸形状の検出リングを使用する、または前記被検出対象の前記構造特徴に従って、前記被検出対象と同様の幾何形状の検出リングを使用する、請求項7に記載の適合性のある陽電子放射断層撮像法。
【請求項9】
前記検出器ブロックが、検出リングに等間隔で分散配置される、請求項7に記載の適合性のある陽電子放射断層撮像法。
【請求項10】
前記検出器ブロックが、検出器ブロックの区画が集まって単一の群塊、または複数の群塊を成すように、検出リングに分散配置される、請求項7に記載の適合性のある陽電子放射断層撮像法。
【請求項11】
前記検出器ブロックの前記複数の群塊が、前記検出リングに様々な対称パターンで分散配置される、請求項10に記載の適合性のある陽電子放射断層撮像法。
【請求項12】
前記検出器ブロックの対称的な群塊が、異なる個数の前記検出器ブロックを有する、請求項11に記載の適合性のある陽電子放射断層撮像法。
【請求項13】
前記対称パターンが、ある中心に対して対称であるか、またはある中心を通る直線の対称軸に対して対称であり、前記対称軸が、群塊を成す検出器モジュール、または群塊を成していない検出器モジュールと、前記中心とによって画定される軸、または2つの中心によって画定される軸である、請求項11に記載の適合性のある陽電子放射断層撮像法。
【請求項14】
前記中心が、前記検出リングの中心、または前記関心領域の中心、または前記関心領域の部分領域の中心、または前記被検出対象の中心である、請求項13に記載の適合性のある陽電子放射断層撮像法。
【請求項15】
前記中心が、幾何中心、または重心である、請求項14に記載の適合性のある陽電子放射断層撮像法。
【請求項16】
前記対称パターンが、2つの群塊を成す検出器ブロックの基準点、または2つの群塊を成していない検出器ブロックの基準点を結ぶ線、あるいは1つの群塊を成す検出器モジュールの基準点と、1つの群塊を成していない検出器モジュールの基準点とを結ぶ線に対して対称である、請求項11に記載の適合性のある陽電子放射断層撮像法。
【請求項17】
前記検出器ブロックの前記単一の群塊は、全ての前記検出器ブロックが前記関心領域付近で群塊を成すように、または前記検出器ブロックのいくつかが前記関心領域付近で群塊を成し、前記検出器ブロックの残りのものが前記検出リングの残る部分に等間隔で分散配置されるように、前記検出リングに分散配置される、請求項10に記載の適合性のある陽電子放射断層撮像法。
【請求項18】
前記段階I、および前記段階IIIで前記被検出対象の前記活性分布の画像を得る間に、CTまたはロッド線源またはアトラスによって減衰補正が実施される、請求項1に記載の適合性のある陽電子放射断層撮像法。
【請求項19】
前記段階IIIで前記被検出対象の前記活性分布の第2画像を得る間に、前記段階Iの前記初期スキャンによって得られた前記活性分布の予備画像が先取情報として使用され、または先行するシステム構造もしくは以前のあるシステム構造で得られた前記活性分布の画像が先取情報として使用されるか、あるいは複数のシステム構造で得られた前記活性分布の画像が組み合わせて、先取情報として使用され、次いで、前記先取情報を使用することによって、新しいレイアウトで画像再構成が実施される、請求項1に記載の適合性のある陽電子放射断層撮像法。
【請求項20】
前記段階IVの、前記検出器ブロックの前記性能および前記レイアウト、ならびに前記撮像パラメータを再度プログラミングする段階が、前記段階Iで得られた前記初期スキャンの前記結果、または前記段階IIIを1回、もしくは複数回実施することによって得られた前記スキャンの前記結果を使用することによって、あるいは前記段階Iで得られた前記初期スキャンの前記結果と、前記段階IIIを1回、もしくは複数回実施することによって得られた前記スキャンの前記結果との両方を使用することによって実施される、請求項1に記載の適合性のある陽電子放射断層撮像法。
【請求項21】
前記被検出対象の前記活性分布の第2画像の前記質が、前記段階IVで分析され、前記質が、空間分解能、感度、信号対雑音比、コントラスト、またはユーザによって定義された測定規準の1つまたは複数である、請求項1に記載の適合性のある陽電子放射断層撮像法。
【請求項22】
検出器モジュール(1)、検出器制御モジュール(2)、画像再構成モジュール(3)、および検出器プログラミングモジュール(4)を備える、請求項1に記載の適合性のある陽電子放射断層撮像法のための陽電子放射断層撮像装置であって、
前記検出器モジュール(1)の出力が、前記検出器制御モジュール(2)に接続され、前記検出器制御モジュール(2)の出力が、前記検出器モジュール(1)と、前記画像再構成モジュール(3)とにそれぞれ接続され、前記画像再構成モジュール(3)の出力が、前記検出器プログラミングモジュール(4)に接続され、前記検出器プログラミングモジュール(4)の出力が、前記検出器制御モジュール(2)に接続され、
前記検出器モジュール(1)が、γ光子を受け取り、蓄積するように構成され、複数の独立した検出器ブロックを備え、前記検出器ブロックがそれぞれ、独立した電子システムを有し、また、前記検出器モジュール(1)が、前記検出器ブロックの情報を前記検出器制御モジュール(2)に送信するようにさらに構成され、前記検出器ブロックの前記情報が、前記検出器ブロックの性能およびレイアウト、撮像パラメータ、ならびに検出事象の情報を含み、
前記検出器制御モジュール(2)が、前記検出器プログラミングモジュール(4)から受信した、前記検出器ブロックのプログラミングされた性能およびレイアウト、ならびに撮像パラメータに従って前記検出器ブロックを制御し、前記検出器ブロックの前記情報を前記画像再構成モジュール(3)に送信するように構成され、
前記画像再構成モジュール(3)が、前記検出器制御モジュール(2)から得られた前記検出器ブロックの前記情報を処理するように構成され、
前記検出器プログラミングモジュール(4)が、前記検出器ブロックの前記性能および前記レイアウト、ならびに前記撮像パラメータをプログラミングし、前記プログラミングの結果を前記検出器制御モジュール(2)に送信するように構成される、装置。
【請求項23】
検出器モジュール(1)、検出器制御モジュール(2)、画像再構成モジュール(3)、および検出器プログラミングモジュール(4)を備える、請求項1に記載の適合性のある陽電子放射断層撮像法のための陽電子放射断層撮像装置であって、
前記検出器モジュール(1)の出力が、前記検出器制御モジュール(2)と、前記画像再構成モジュール(3)とにそれぞれ接続され、前記検出器制御モジュール(2)の出力が、前記検出器モジュール(1)と、前記画像再構成モジュール(3)とにそれぞれ接続され、前記画像再構成モジュール(3)の出力が、前記検出器プログラミングモジュール(4)に接続され、前記検出器プログラミングモジュール(4)の出力が、前記検出器制御モジュール(2)に接続され、
前記検出器モジュール(1)が、γ光子を受け取り、蓄積するように構成され、複数の独立した検出器ブロックを含み、前記検出器ブロックがそれぞれ、独立した電子システムを有し、また、前記検出器モジュール(1)が、前記検出器ブロックの性能およびレイアウト、ならびに撮像パラメータを前記検出器制御モジュール(2)に送信し、検出事象の情報を前記画像再構成モジュール(3)に送信するようにさらに構成され、
前記検出器制御モジュール(2)が、前記検出器プログラミングモジュール(4)から受信した、前記検出器ブロックのプログラミングされた性能およびレイアウト、ならびに撮像パラメータに従って前記検出器ブロックを制御し、前記検出器ブロックの前記性能および前記レイアウト、ならびに前記撮像パラメータを前記画像再構成モジュール(3)に送信するように構成され、
前記画像再構成モジュール(3)が、前記検出器モジュール(1)および前記検出器制御モジュール(2)から得られた前記検出器ブロックの前記性能および前記レイアウト、前記撮像パラメータ、ならびに前記検出事象の前記情報を処理するように構成され、
前記検出器プログラミングモジュール(4)が、前記検出器ブロックの前記性能および前記レイアウト、ならびに前記撮像パラメータをプログラミングし、前記プログラミングの結果を前記検出器制御モジュール(2)に送信するように構成される、装置。
【請求項24】
検出器モジュール(1)、検出器制御モジュール(2)、画像再構成モジュール(3)、および検出器プログラミングモジュール(4)を備える、請求項1に記載の適合性のある陽電子放射断層撮像法のための陽電子放射断層撮像装置であって、
前記検出器モジュール(1)の出力が、前記画像再構成モジュール(3)に接続され、前記検出器制御モジュール(2)の出力が、前記検出器モジュール(1)に接続され、前記画像再構成モジュール(3)の出力が、前記検出器プログラミングモジュール(4)に接続され、前記検出器プログラミングモジュール(4)の出力が、前記検出器制御モジュール(2)に接続され、
前記検出器モジュール(1)が、γ光子を受け取り、蓄積するように構成され、複数の独立した検出器ブロックを備え、前記検出器ブロックがそれぞれ、独立した電子システムを有し、また、前記検出器モジュール(1)が、前記検出器ブロックの情報を前記画像再構成モジュール(3)に送信するようにさらに構成され、前記検出器ブロックの前記情報が、前記検出器ブロックの性能およびレイアウト、撮像パラメータ、および検出事象の情報を含み、
前記検出器制御モジュール(2)が、前記検出器プログラミングモジュール(4)によってプログラムされた、前記検出器ブロックの前記性能および前記レイアウト、ならびに前記撮像パラメータに従って前記検出器ブロックを制御し、前記検出器ブロックの前記性能および前記レイアウト、ならびに前記撮像パラメータを前記検出器モジュール(1)に送信するように構成され、
前記画像再構成モジュール(3)が、前記検出器モジュール(1)から得られた前記検出器ブロックの前記情報を処理するように構成され、
前記検出器プログラミングモジュール(4)が、前記検出器ブロックの前記性能および前記レイアウト、ならびに前記撮像パラメータをプログラミングするように構成される、装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、用途適合性のある陽電子放射断層撮像(以下、略してPETと称する)法、および撮像装置に関し、この用途はPETの分野に属する。
【背景技術】
【0002】
陽電子放射断層撮像(以下、略してPETと称する)は、人体の様々な器官の代謝、生化学反応、機能的活性、および灌流を非侵襲的、量的、かつ動的に評価することができる非侵襲的な撮像法である。したがってPETは、腫瘍、心疾患、および神経系疾患の早期診断および分析に使用され、重篤な疾患の予防および治療において特異な役割を果たしている。PET撮像中、被検出人体、動物、または生体に放射性同位体で標識した薬剤を注射する必要がある。被検出対象の組織内では、こうした放射性同位体は、電子と出会うと消滅して、一対のγ光子を生じる。被検出対象の周辺にある検出器によって、γ光子を受け取り、それらのγ光子を電気信号に変換する。これらの電気信号に対して一連の処理を実施し、画像再構成によって被検出対象の活性分布を得る(Miles N. Wernick、John N. Aarsvold、Emission Tomography: The Fundamentals of PET and SPECT、Elsevier Academic Press、2004)。
【0003】
PETは主に、検出器モジュール、電子モジュール、および画像再構成モジュールを含む。検出器モジュールは、γ光子を受け取り、蓄積し、γ光子を電気信号に変換し、電子モジュールは、これらの電気信号を処理して送信し、画像再構成モジュールは、システムによって得られた信号を処理して、被検出対象の活性分布の画像を得る。PETシステムを取り付けた後、検出器モジュールを検出処理中に固定しておくか、または固定した中心の周りを決まったパターンで回転させる(Michael E. Phelps、PET Physics, Instrumentation, and Scanners、Springer、2006)。さらに、一被検出対象について、通常は、検出が1回だけ実施されるか、または検出が複数回、独立して実施され、検出器モジュールのレイアウトおよび性能は、特定の被検出対象の特徴に応じて調整されることはない。
【0004】
今日、動物用PETでは、人体用PET(以下、略して「ヒトPET」と称し、「PET」はまた、別段の記載がない限り「ヒトPET」を指す)に比べて、空間分解能、タイミング分解能、エネルギー分解能、感度、計数率などにおいてより優れた性能が実現されている。その主な理由は、部分容積効果により、動物PETがヒトPETと同じ性能を実現するには、検出器モジュールに、より優れた設計方式が求められることである。動物PETの検出器モジュールの設計方式がヒトPETに使用される場合、ヒトPETと動物PETとのシンチレーション結晶の費用の比は、検出リングの半径比の2乗に比例する。ヒトPETの縦軸方向の視野(field of view)(以下、略してFOVと称する)が60cm、動物PETのFOVが12cmであり、ヒトPETと動物PETの軸方向FOVが同じであるとすると、ヒトPETのシンチレーション結晶の費用は、動物PETの費用の少なくとも25倍大きくなる。
【0005】
ヒトPETと動物PETとの差を例示するために、空間分解能の特性を例に取る。空間分解能は、PETで最も重要な性能指数のうちの1つである。空間分解能がより高いということは、より小さい病巣を発見することができることを意味する。早期癌の病巣寸法は一般に小さいので、より高い空間分解能を有するPETは、早期癌の検出率を向上させることができる。これまで、PETシステムの空間分解能を向上させるための研究が多く行われてきた。空間分解能は主に、検出器の固有空間分解能、陽電子範囲、非共線性などによって制限される(Craig S Levin、Edward J-Hoffman、「Calculation of positron range and its effect on the fundamental limit of positron emission tomography system spatial resolution」、Physics in Medicine and Biology、第44巻、781〜799頁、1999)。現在、ヒトPETでは、空間分解能は半値全幅(Full Width at Half Maximum)(以下、略してFWHMと称する)が約2mm〜l0mm、縦軸方向のFOVが約50〜70cm、接線方向のシンチレーション結晶幅が一般に約4mm〜8mmであり(F Lamare、A Turzo、Y Bizais、C Cheze Le、Rest、D Visvikis、「Validation of a Monte Carlo simulation of the Philips Allegro/GEMINI PET systems using GATE」、Physics in Medicine and Biology、第51巻、943〜962頁、2006)(Brad J. Kemp、Chang Kim、John J. Williams、Alexander Ganin、Val J. Lowe、「NEMA NU 2-2001 performance measurements of an LYSO-based PET/CT system in 2D and 3D acquisition patterns」、Journal of Nuclear Medicine、第47巻、1960〜1967頁、2006)、動物PETでは、空間分解能はFWHMが約1mm〜2mm、縦軸方向のFOVが約10cm〜15cm、接線方向のシンチレーション結晶幅が一般に約1mm〜2mmである(Laforest Richard、Longford Desmond、Siegel Stefan、Newport Danny F.、Yap Jeffrey、「Performance evaluation of the microPET-Focus-F120」、IEEE 2004 Nuclear Science Symposium Conference Record、第5巻、2965〜2969頁、2004)(Cristian C Constantinescu、Jogeshwar Mukherjee、「Performance evaluation of an Inveon PET preclinical scanner」、Physics in Medicine and Biology、第54巻、2885〜2899頁、2009)。FOVを大きいまま維持しながら、動物PETと同じ、またはそれよりも高い空間分解能を有するPETを得るには、微細にカットされた結晶を多数使用する必要があり、結晶の個数は、2つのPET間の検出リングの半径比の2乗に比例して倍増する。結晶の個数が増大すると、より多くの、かつより高速の光電子増倍管、および多数のバックエンドエレクトロニクスチャネルが必要となり、PETシステム全体の費用が跳ね上がることになる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、用途適合性のある陽電子放射断層撮像法、および撮像装置を提供することである。この陽電子放射断層撮像法は、より低いシステム費用で、より優れたシステム性能を実現することができ、対応する撮像装置は、システム性能を数倍から数十倍向上させることができ、また、撮像法を変えるだけで、システムの費用を増大させずに、被検出対象の関心領域の高品質画像を得ることができる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、以下の段階を含む、用途適合性のある陽電子放射断層撮像法を提供する。
I.被検出対象の予備活性情報を得るために初期スキャンを実施する段階;
II.段階Iで得られた初期スキャンの結果に従って、検出器ブロックの性能およびレイアウト、ならびに撮像パラメータをプログラミングし、新しいシステム構造が得られるように検出器ブロックを調整し、新しいシステム構造について迅速な較正を実施する段階;
III.被検出対象の活性情報を得るために、新しいシステム構造を用いてスキャンを実施する段階;ならびに
IV.段階IIIで得られた被検出対象の活性情報を分析し、その活性情報の質が用途の要件を満たす場合、スキャンを終了し、その活性情報の質が用途の要件を満たさない場合には、検出器ブロックの性能およびレイアウト、ならびに撮像パラメータを再度プログラミングし、検出器ブロックを調整し、迅速な較正を実施し、段階IIIからIVを繰り返す段階。
【0008】
具体的には、段階IIは、以下の段階を含む。
a.初期スキャンによって得られた被検出対象の活性情報に従って、関心領域の位置および寸法を抽出する段階;
b.被検出対象の特徴、および撮像性能要件とともに、関心領域の位置および寸法に従って、検出器ブロックの性能およびレイアウト、ならびに撮像パラメータをプログラミングする段階;
c.プログラミングの結果に従って、新しいシステム構造が得られるように検出器ブロックを調整する段階;ならびに
d.新しいシステム構造について迅速な較正を実施する段階。
【0009】
本発明によって提供される、用途適合性のある陽電子放射断層撮像装置は、検出器モジュール、検出器制御モジュール、画像再構成モジュール、および検出器プログラミングモジュールを含み、検出器モジュールの出力が、検出器制御モジュールに接続され、検出器制御モジュールの出力が、検出器モジュールと、画像再構成モジュールとにそれぞれ接続され、画像再構成モジュールの出力が、検出器プログラミングモジュールに接続され、検出器プログラミングモジュールの出力が、検出器制御モジュールに接続されている。
【0010】
検出器モジュールは、γ光子を受け取り、蓄積するように適合され、複数の独立した検出器ブロックを含み、これらの検出器ブロックはそれぞれ、独立した電子システムを有し、また、検出器モジュールは、検出器ブロックの情報を検出器制御モジュールに送信するようにさらに適合され、検出器ブロックの情報には、検出器ブロックの性能およびレイアウト、撮像パラメータ、ならびに検出事象の情報が含まれ、検出器制御モジュールは、検出器プログラミングモジュールから受信した、検出器ブロックのプログラミングされた性能およびレイアウト、ならびに撮像パラメータに従って検出器ブロックを制御し、検出器ブロックの情報を画像再構成モジュールに送信するように適合され、画像再構成モジュールは、検出器制御モジュールから得られた検出器ブロックの情報を処理するように適合され、検出器プログラミングモジュールは、検出器ブロックの性能およびレイアウト、ならびに撮像パラメータをプログラミングし、プログラミングの結果を検出器制御モジュールに送信するように適合されている。
【0011】
本発明によって提供される、用途適合性のある陽電子放射断層撮像装置の第2の構成は、検出器モジュール、検出器制御モジュール、画像再構成モジュール、および検出器プログラミングモジュールを含み、検出器モジュールの出力が、検出器制御モジュールと、画像再構成モジュールとにそれぞれ接続され、検出器制御モジュールの出力が、検出器モジュールと、画像再構成モジュールとにそれぞれ接続され、画像再構成モジュールの出力が、検出器プログラミングモジュールに接続され、検出器プログラミングモジュールの出力が、検出器制御モジュールに接続されている。
【0012】
検出器モジュールは、γ光子を受け取り、蓄積するように適合され、複数の独立した検出器ブロックを含み、これらの検出器ブロックはそれぞれ、独立した電子システムを有し、また、検出器モジュールは、検出器ブロックの性能およびレイアウト、ならびに撮像パラメータを検出器制御モジュールに送信し、検出事象の情報を画像再構成モジュールに送信するようにさらに適合され、検出器制御モジュールは、検出器プログラミングモジュールから受信した、検出器ブロックのプログラミングされた性能およびレイアウト、ならびに撮像パラメータに従って検出器ブロックを制御し、検出器ブロックの性能およびレイアウト、ならびに撮像パラメータを画像再構成モジュールに送信するように適合され、画像再構成モジュールは、検出器モジュールおよび検出器制御モジュールから得られた検出器ブロックの性能およびレイアウト、撮像パラメータ、ならびに検出事象の情報を処理するように適合され、検出器プログラミングモジュールは、検出器ブロックの性能およびレイアウト、ならびに撮像パラメータをプログラミングし、プログラミングの結果を検出器制御モジュールに送信するように適合されている。
【0013】
本発明によって提供される、用途適合性のある陽電子放射断層撮像装置の第3の構成は、検出器モジュール、検出器制御モジュール、画像再構成モジュール、および検出器プログラミングモジュールを含み、検出器モジュールの出力が、画像再構成モジュールに接続され、検出器制御モジュールの出力が、検出器モジュールに接続され、画像再構成モジュールの出力が、検出器プログラミングモジュールに接続され、検出器プログラミングモジュールの出力が、検出器制御モジュールに接続されている。
【0014】
検出器モジュールは、γ光子を受け取り、蓄積するように適合され、複数の独立した検出器ブロックを含み、これらの検出器ブロックはそれぞれ、独立した電子システムを有し、また、検出器モジュールは、検出器ブロックの情報を画像再構成モジュールに送信するようにさらに適合され、検出器ブロックの情報には、検出器ブロックの性能およびレイアウト、撮像パラメータ、ならびに検出事象の情報が含まれ、検出器制御モジュールは、検出器プログラミングモジュールから受信した、検出器ブロックのプログラミングされた性能、レイアウト、および撮像パラメータに従って検出器ブロックを制御し、検出器ブロックの性能およびレイアウト、ならびに撮像パラメータを検出器モジュールに送信するように適合され、画像再構成モジュールは、検出器モジュールから得られた検出器ブロックの情報を処理するように適合され、検出器プログラミングモジュールは、検出器ブロックの性能およびレイアウト、ならびに撮像パラメータをプログラミングするように適合されている。
【発明の効果】
【0015】
本発明の利点は、以下の通りである。高性能の検出器ブロックをある個数含むシステムを利用することによって、高性能の検出器ブロックを完全に利用したシステムと比較して、被検出対象の関心領域において同等、または匹敵する画質を得ることができ、したがってシステム費用が削減される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明による用途適合性のある陽電子放射断層撮像法の流れ図である。
【
図2】本発明による用途適合性のある陽電子放射断層撮像装置の概略構造図である。
【
図3】本発明のシミュレート被検出対象を示す図である。
【
図4】本発明の実施形態によるシステムの検出器ブロックのレイアウトを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図中、1は検出器モジュール、2は検出器制御モジュール、3は画像再構成モジュール、4は検出器プログラミングモジュールである。
【0018】
本発明を、添付の図面および実施形態を参照しながら以下でさらに詳細に説明する。
【0019】
図1に示すように、本発明による用途適合性のある陽電子放射断層撮像法は、以下の通りである。
【0020】
(1)被検出対象の予備活性情報を得るために初期スキャンを実施する。
【0021】
検出器ブロックを、被検出対象の構造特徴、撮像特徴、および撮像性能要件に従い、かつ撮像システムの検出器ブロックの性能および幾何寸法に基づいて、被検出対象を取り囲むレイアウトとなるようにプログラミングし、円形形状または楕円形状などの規則的な幾何形状の検出リングを使用することができ、あるいは不規則な凸形状の検出リングを使用することができ、あるいは被検出対象の構造特徴に従って、被検出対象と同様の幾何形状の検出リングを使用することができる。例えば、検出リングは、乳房スキャンでは、乳房と同様の形状である。被検出対象を取り囲む検出リングにある検出器ブロックはそれぞれ、異なる性能および撮像パラメータを有することができる。
【0022】
被検出対象の活性情報を得る際に、CTまたはロッド線源またはスペクトルによって減衰補正を実施することができる(Paul E. Kinahan、Bruce H. Hasegawa、Thomas Beyer、「X-ray-based attenuation correction for positron emission tomography/computed tomography scanners」、Seminars in Nuclear Medicine、第33巻、166〜179頁、2003)。
【0023】
画像再構成には、FBP(Filtered Back Projection)(フィルタ補正逆投影)、MLEM(Maximum Likelihood Expectation Maximization)(最尤推定期待値最大化)、OSEM(Ordered Subset Expectation Maximum)(次元サブセット化期待値最大化)、およびMAP(Maximum a Posteriori)(最大事後確率)を含めて、分析的な、または反復的な再構成を使用することができる(Andrew J. Reader、Habib Zaidi、「Advances in PET Image Reconstruction」、Clin.、173〜190頁、2007)。
【0024】
(2)段階(1)で得られた初期スキャンの結果に従って、検出器ブロックの性能およびレイアウト、ならびに撮像パラメータをプログラミングし、新しいシステム構造が得られるように検出器ブロックを調整し、新しいシステム構造を迅速に補正する。段階(2)は、以下の段階を含む。
【0025】
(2.1)初期スキャンによって得られた被検出対象の活性情報に従って、関心領域の位置および寸法を抽出する。関心領域の位置および寸法は、手動で、半自動で、または完全に自動的に抽出することができる。
(Dewalle-Vignion AS、El Abiad A、Betrouni N、Hossein-Foucher C、Huglo D、Vermandel M、「Thresholding methods for PET imaging: A review」、Medicine Nucleaire、第34巻、第2号、119〜131頁、2010)
【0026】
(2.2)被検出対象の特徴、および撮像性能要件とともに、関心領域の位置および寸法に従って、検出器ブロックの性能およびレイアウト、ならびに撮像パラメータをプログラミングする。検出器ブロックの性能のパラメータには、固有空間分解能、タイミング分解能、エネルギー分解能、感度、および計数率が含まれ、撮像パラメータには、検出器パラメータ、電子パラメータ、および画像再構成パラメータが含まれる。被検出対象を取り囲む検出リングにある検出器ブロックはそれぞれ、異なる性能および撮像パラメータを有することができる。
【0027】
検出器ブロックのレイアウトをプログラミングする段階は、検出器ブロックを、関心領域の位置および寸法、被検出対象の構造特徴および撮像特徴、ならびに撮像性能要件に従い、かつ撮像システムの検出器ブロックの性能および幾何寸法に基づいて、被検出対象を取り囲むレイアウトとなるようにプログラミングする段階を含む。さらに、円形形状または楕円形状などの規則的な幾何形状の検出リングを使用することができ、あるいは不規則な凸形状の検出リングを使用することができ、あるいは被検出対象の構造特徴に従って、被検出対象と同様の幾何形状の検出リングを使用することができる。例えば、検出リングは、乳房スキャンに使用する場合には、乳房と同様の形状である。
【0028】
(i)検出器ブロックのレイアウト
検出器ブロックは、被検出対象を横断方向スライスにおいて取り囲むように検出リングを形成することができ、パネルモードで配置することができる。パネルモードとは、2つ以上の検出器ブロックの検出面が同一平面上にあり、かつ隣接する2つの検出器ブロックの検出面同士が、1つの重なり合った縁部を有することを意味する。以下のレイアウトパターンが可能である。
【0029】
(2.2.1)検出器ブロックを、検出リングに等間隔で分散配置する。検出リングの寸法は、被検出対象、検出部位、および関心領域の位置および寸法に従って調整することができる。
【0030】
(2.2.2)検出器ブロックを、検出器ブロックの区画が集まって単一の群塊、または複数の群塊を成すように、検出リングに分散配置する。
【0031】
(2.2.2.1)検出器ブロックの単一の群塊は、以下のレイアウトを有することができる。
【0032】
A)全ての検出器ブロックが関心領域付近で群塊を成す。
【0033】
B)検出器ブロックのいくつかが関心領域付近で群塊を成し、検出器ブロックの残りのものを、検出リングの残る部分に等間隔で分散配置することができる。
【0034】
(2.2.2.2)検出器ブロックの複数の群塊を、検出リングに様々な対称パターンで分散配置することができ、検出器ブロックの対称的な群塊はそれぞれ、異なる個数の検出器ブロックを有することができる。対称性は、横断面で群塊を成す検出器ブロックの中心を基準点として取ることによって実施する。対称性のパターンには、以下が含まれる。
【0036】
B)ある中心を通る直線の対称軸に対して対称であり、この対称軸は、以下のものが可能である。
【0037】
(a)群塊を成す検出器モジュールの基準点、または群塊を成していない検出器モジュールの基準点と、中心とによって画定される直線。
【0038】
または、(b)2つの中心によって画定される直線。
【0039】
上記中心は、検出リングの中心、または関心領域の中心、または関心領域の部分領域の中心、または被検出対象の中心である。この中心は、幾何中心でも、または重心でもよい。
【0040】
C)2つの群塊を成す検出器ブロックの基準点を結ぶ線、または2つの群塊を成していない検出器ブロックの基準点を結ぶ線、あるいは1つの群塊を成す検出器モジュールの基準点と、1つの群塊を成していない検出器モジュールの基準点とを結ぶ線に対して対称である。
【0041】
(ii)検出器ブロックのパラメータには、検出器ブロックの電源電圧、位置スペクトル補正パラメータ、正規化補正パラメータ、光電子増倍管利得補正パラメータなどが含まれる。
【0042】
(iii)電子パラメータには、電圧閾値、時間窓、エネルギー窓、不感時間補正パラメータ、基準線補正パラメータ、グローバルクロック補正パラメータなどが含まれる。
【0043】
(iv)画像再構成パラメータには、システム応答マトリクス、事象情報スクリーニング判定基準などが含まれる。
【0044】
(2.3)プログラミングの結果に従って、新しいシステム構造が得られるように検出器ブロックを調整する。
【0045】
(2.4)新しいシステムを迅速に較正する(本発明では、「補正/補正する」と「較正/較正する」とは、互いに置換え可能である)。画像およびシステムレベルで実施される補償および最適化には、正規化補正、不感時間補正、ランダム補正、散乱補正などが含まれ、検出器および電子レベルで実施される補償および最適化には、光電子増倍管利得較正、位置較正、エネルギー較正、時間較正、基準線ドリフト較正、グローバルクロック較正などが含まれる。
【0046】
(3)被検出対象の活性情報を得るために、新しいシステム構造を用いてスキャンを実施する。
【0047】
被検出対象の活性情報を得る際、段階(1)の初期スキャンによって得られた活性情報を先取情報として使用することができ、または先行するシステム構造もしくは以前のあるシステム構造で得られた活性情報を先取情報として使用することができ、あるいは複数のシステム構造で得られた活性情報を組み合わせて、先取情報として使用することができ、次いで、その先取情報を使用することによって、新しいレイアウトで画像再構成を実施する。
【0048】
減衰補正法、および画像再構成法については、段階(1)を参照されたい。
【0049】
(4)段階(3)で得られた被検出対象の活性情報を分析する。その活性情報の質が用途の要件を満たす場合、スキャンを終了し、そうでない場合には、検出器ブロックの性能およびレイアウト、ならびに撮像パラメータを再度プログラミングし、検出器ブロックを調整し、迅速な補正を実施し、段階(3)から(4)を繰り返す。
【0050】
検出器モジュールのパラメータを再度プログラミングする際、段階(1)で得られた初期スキャンの結果、または段階(3)を1回、もしくは複数回実施することによって得られたスキャンの結果を使用することができ、あるいは段階(1)で得られた初期スキャンの結果と、段階(3)を1回、もしくは複数回実施することによって得られたスキャンの結果との両方を使用することができる。
【0051】
分析する質のパラメータには、空間分解能、感度、信号対雑音比、コントラスト、および/またはユーザが定義した測定規準が含まれる(National Electrical Manufacturers Association、NEMA Standards Publication NU 2-2007、Performance Measurements Of Small Animal Positron Emission Tomographs、2007)。
【0052】
プログラミング法、検出器モジュールのパラメータの調整、および迅速な較正については、段階(2)を参照されたい。
【0053】
図2に示すように、本発明による用途適合性のある陽電子放射断層撮像装置は、検出器モジュール1、検出器制御モジュール2、画像再構成モジュール3、および検出器プログラミングモジュール4を含む。3つの構成がある。
【0054】
第1の構成を
図2(a)に示し、この構成では、検出器モジュール1の出力が、検出器制御モジュール2に接続され、検出器制御モジュール2の出力が、検出器モジュール1と、画像再構成モジュール3とにそれぞれ接続され、画像再構成モジュール3の出力が、検出器プログラミングモジュール4に接続され、検出器プログラミングモジュール4の出力が、検出器制御モジュール2に接続されている。
【0055】
(A)検出器モジュール1は、γ光子を受け取り、蓄積するように適合され、複数の独立した検出器ブロックを含み、これらの検出器ブロックはそれぞれ、独立した電子システムを有し、多自由度で動くことが可能であり、また、検出器モジュール1は、検出器ブロックの情報を検出器制御モジュール2に送信するようにさらに適合され、検出器構成要素の情報には、検出器構成要素の性能、レイアウト、撮像パラメータ、および検出事象の情報が含まれる。
【0056】
(B)検出器制御モジュール2は、検出器プログラミングモジュール4から受信した、検出器ブロックのプログラミングされた性能およびレイアウト、ならびに撮像パラメータに従って検出器ブロックを制御し、検出器ブロックの情報を画像再構成モジュール3に送信するように適合されている。
【0057】
(C)画像再構成モジュール3は、検出器制御モジュール2から得られた検出器ブロックの情報を処理し、それによって被検出対象の活性情報を得るように適合されている。
【0058】
(D)検出器プログラミングモジュール4は、検出器ブロックの性能およびレイアウト、ならびに撮像パラメータをプログラミングし、プログラミングの結果を検出器制御モジュール2に送信するように適合されている。
【0059】
第2の構成を
図2(b)に示し、この構成では、検出器モジュール1の出力が、検出器制御モジュール2と、画像再構成モジュール3とにそれぞれ接続され、検出器制御モジュール2の出力が、検出器モジュール1と、画像再構成モジュール3とにそれぞれ接続され、画像再構成モジュール3の出力が、検出器プログラミングモジュール4に接続され、検出器プログラミングモジュール4の出力が、検出器制御モジュール2に接続されている。
【0060】
(A)検出器モジュール1は、γ光子を受け取り、蓄積するように適合され、複数の独立した検出器ブロックを含み、これらの検出器ブロックはそれぞれ、独立した電子システムを有し、多自由度で動くことが可能であり、また、検出器モジュール1は、検出ブロックの性能、レイアウト、撮像パラメータを検出器制御モジュール2に送信し、検出事象の情報を画像再構成モジュール3に送信するようにさらに適合されている。
【0061】
(B)検出器制御モジュール2は、検出器プログラミングモジュール4から受信した、検出器ブロックのプログラミングされた性能およびレイアウト、ならびに撮像パラメータに従って検出器ブロックを制御し、検出器ブロックの性能およびレイアウト、ならびに撮像パラメータを画像再構成モジュール3に送信するように適合されている。
【0062】
(C)画像再構成モジュール3は、検出器モジュール1および検出器制御モジュール2から得られた検出器ブロックの性能およびレイアウト、撮像パラメータ、ならびに検出事象の情報を処理し、それによって被検出対象の活性情報を得るように適合されている。
【0063】
(D)検出器プログラミングモジュール4は、検出器ブロックの性能およびレイアウト、ならびに撮像パラメータをプログラミングし、プログラミングの結果を検出器制御モジュール2に送信するように適合されている。
【0064】
第3の構成を
図2(c)に示し、この構成では、検出器モジュール1の出力が、画像再構成モジュール3に接続され、検出器制御モジュール2の出力が、検出器モジュール1に接続され、画像再構成モジュール3の出力が、検出器プログラミングモジュール4に接続され、検出器プログラミングモジュール4の出力が、検出器制御モジュール2に接続されている。
【0065】
(A)検出器モジュール1は、γ光子を受け取り、蓄積するように適合され、複数の独立した検出器ブロックを含み、これらの検出器ブロックはそれぞれ、独立した電子システムを有し、多自由度で動くことが可能であり、また、検出器モジュール1は、検出器ブロックの情報を画像再構成モジュール3に送信するようにさらに適合され、検出器ブロックの情報には、検出器ブロックの性能、レイアウト、撮像パラメータ、および検出事象の情報が含まれる。
【0066】
(B)検出器制御モジュール2は、検出器プログラミングモジュール4から受信した、検出器ブロックのプログラミングされた性能、レイアウト、および撮像パラメータに従って検出器ブロックを制御し、検出器ブロックの性能およびレイアウト、ならびに撮像パラメータを検出器モジュール1に送信するように適合されている。
【0067】
(C)画像再構成モジュール3は、検出器モジュール1から得られた検出器ブロックの情報を処理し、それによって被検出対象の活性情報を得るように適合されている。
【0068】
(D)検出器プログラミングモジュール4は、検出器ブロックの性能およびレイアウト、ならびに撮像パラメータをプログラミングし、プログラミングの結果を検出器制御モジュール2に送信するように適合されている。
【0069】
(実施例)
本発明の実施形態を、
図3に示すシミュレート被検出対象を例に取って以下でさらに詳細に説明する。
図3では、白色領域が関心領域を表し、灰色領域が関心領域の位置する器官/組織を表し、最も暗い領域が被検出対象の横断面にある他の器官/組織を表す。
【0070】
図4は、
図3に示すシミュレート被検出対象について撮像を実施したときのシステムの検出器ブロックのレイアウトの図を示す。
【0071】
段階(1)では、初期スキャン中、
図4(a)に示すように、検出器ブロックを規則的な円形検出リングに等間隔で分散配置した形で検出を実施する。
【0072】
図4(b)〜4(g)は、検出器プログラミングモジュールによってプログラミングされた様々な幾何形状のシステム構造を示す。具体的には、(b)検出システムの半径が変動し、検出器ブロックが円形検出リングに等間隔で分散配置され、(c)検出システムの半径が変動し、検出器ブロックが円形検出リングに互いに間隔を置かずに分散配置され、(d)全ての検出器ブロックが関心領域付近に集まって群塊を成し、(e)検出器ブロックのいくつかが関心領域付近に集まって群塊を成し、検出器ブロックの他のものが円形検出リングに等間隔で分散配置され、(f)検出器ブロックのいくつかが、円形検出リングの中心に対して対称に分散配置され、この図では、左側の5つの群塊ブロックと、右側の3つの群塊ブロックとが、円形検出リングの中心に対して対称であり、隣接する2つの上側検出器ブロックと、隣接する2つの下側検出器ブロックとが、左側の5つの群塊ブロックと、関心領域とによって画定される結合線に対して、また、左側の5つの群塊ブロックの基準点と、右側の3つの群塊ブロックの基準点とによって画定される結合線に対してのどちらでも対称であり、(g)検出器ブロックのいくつかが、円形検出リングの中心に対して対称に分散配置され、この図では、左側の5つの群塊ブロックと、右側の3つの群塊ブロックとが、円形検出リングの中心に対して対称であり、検出器ブロックの他のものが、円形検出リングに等間隔で分散配置されている。
【0073】
本実施形態では、図に示す検出器ブロックはそれぞれ、パネルモードでよく、異なる寸法を有することができる。検出リングは、別の規則的な形状の検出リングでもよく、または不規則な凸形状の検出リングでもよく、または被検出対象と同様の幾何形状の検出リングでもよい。
【0074】
上述の例は、本発明の例示的な実施形態にすぎず、実際の検出器プログラミングモジュールによるプログラミングの結果を表すものではない。さらに、本発明は、これらの例、および添付の図面によって開示される内容に限定されるものではない。したがって、いかなる均等物、または本開示の趣旨から逸脱せずに行われるいかなる改変形態も、本発明の保護の範囲に含まれる。
【0075】
本発明は、用途適合性のある陽電子放射断層撮像法、および撮像装置を開示する。この陽電子放射断層撮像法では、予備活性情報を得るためにまず初期スキャンを実施し、初期スキャンの結果に従って、検出器ブロックをプログラミングし、新しいシステム構造が得られるように調整し、新しいシステム構造を迅速に補正し、被検出対象の活性情報を得るために、新しいシステム構造を用いてスキャンを実施し、活性情報の質が用途の要件を満たす場合、スキャンを終了し、そうでない場合には、活性情報の質が用途の要件を満たすまで、検出器ブロックを再度プログラミングし、調整し、迅速な補正を実施し、別の新しいシステム構造を用いて被検出対象の活性情報を再度得る。この陽電子放射断層撮像装置は、検出器モジュール、検出器制御モジュール、画像再構成モジュール、および検出器プログラミングモジュールを含む。この陽電子放射断層撮像法は、より低いシステム費用で、より優れたシステム性能を実現することができ、また、システム性能を数倍から数十倍向上させ、システム費用を削減し、被検出対象の関心領域の高品質画像を得ることができる。
【符号の説明】
【0076】
1 検出器モジュール
2 検出器制御モジュール
3 画像再構成モジュール
4 検出器プログラミングモジュール