特許第5791715号(P5791715)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5791715
(24)【登録日】2015年8月14日
(45)【発行日】2015年10月7日
(54)【発明の名称】電気機器
(51)【国際特許分類】
   H01R 9/00 20060101AFI20150917BHJP
   H01R 9/22 20060101ALI20150917BHJP
【FI】
   H01R9/00 C
   H01R9/22
【請求項の数】8
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2013-519512(P2013-519512)
(86)(22)【出願日】2012年6月6日
(86)【国際出願番号】JP2012064585
(87)【国際公開番号】WO2012169544
(87)【国際公開日】20121213
【審査請求日】2014年5月16日
(31)【優先権主張番号】特願2011-126629(P2011-126629)
(32)【優先日】2011年6月6日
(33)【優先権主張国】JP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000000309
【氏名又は名称】IDEC株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126963
【弁理士】
【氏名又は名称】来代 哲男
(74)【代理人】
【識別番号】100131864
【弁理士】
【氏名又は名称】田村 正憲
(72)【発明者】
【氏名】山本 晃
(72)【発明者】
【氏名】辻村 茂
【審査官】 山田 康孝
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−217017(JP,A)
【文献】 実開平05−001170(JP,U)
【文献】 特許第3915424(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 9/00
H01R 9/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
リレーが装着されるソケット本体と、
ソケット本体に設けられ、外部と電気的に接続するための外部端子部と、
回動操作することにより装着されたリレーをソケット本体から抜脱させるリリースレバーと、
前記リリースレバーに一体形成された記名板部とを備え、
前記記名板部を使用時にリリースレバーの外側へ折り曲げ可能としたこと特徴とする電気機器。
【請求項2】
前記ソケット本体の底面は取付部を有し、前記記名板部は折り曲げた状態で主面が前記ソケット本体の底面と平行状態となる請求項記載の電気機器。
【請求項3】
前記リリースレバーは、前記リレー底面が当接する水平部と、回動操作を行う操作部として機能する垂直部とを有し、前記垂直部に前記記名板部が設けられている請求項記載の電気機器。
【請求項4】
前記記名板部の上端及び下端のいずれか一方は薄肉状に成形された第1連結部を介して前記垂直部と連なり、前記記名板部の上端及び下端のいずれか他方は両側部が幅方向中央部側にくびれた第2連結部を介して前記垂直部と連なっており、
前記第2連結部を切断することにより、前記記名板部は、前記第1連結部を折り曲げ中心として外側に折り曲げ可能に構成されている請求項記載の電気機器。
【請求項5】
前記記名板部の上端及び下端のいずれか他方には凹部が形成されており、該凹部の底面が前記第2連結部を介して前記垂直部と連なっている請求項記載の電気機器。
【請求項6】
前記記名板部は略垂直状態から略水平状態となる位置まで折り曲げられた状態で支持固定部によって支持固定されている請求項記載の電気機器。
【請求項7】
前記支持固定部は、前記記名板部の側方に配置され前記第1連結部の側部に向けて突出した弾性の突部を含み、
前記記名板部を略垂直状態から折り曲げることにより、前記記名板部によって前記突部が弾性変形して前記記名板部が前記突部を乗り越え、前記記名板部の戻りが前記突部によって規制されることにより前記記名板部が略水平状態で支持され、その支持状態で前記記名板部を逆方向に折り曲げることにより、前記記名板部によって前記突部が弾性変形して前記記名板部が突部を乗り越え、前記記名板部が元の略垂直状態となるように構成されている請求項記載の電気機器。
【請求項8】
前記突部に隣接して上下方向に延びる長孔が形成されている請求項記載の電気機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外部と電気的に接続するための外部端子部を有する電気機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、電気機器の一例として、制御盤内におけるリレーに対する結線作業を簡略化したりリレーの変換を容易にしたりするために、リレーソケットが用いられている。このリレーソケットは、リレーが装着されるソケット本体と、リレーを装着したり装着されたリレーをソケット本体から抜脱させたりするリリースレバーとから構成される。
【0003】
ところで、このようなリレーソケット100では、リレーの接続先やリレーの機能等を表示するために、ソケット本体101やリリースレバー102に別部品のマーキングプレート(以下、記名板と称する。)103を取り付け、記名板103に文字や記号を直接印刷したり、文字や記号を印字したシール等を貼り付けて表示している(図17図18参照)。記名板103はアクセサリとして別売していたり、またメーカーによってはリレーソケット100に標準添付している場合もある。
【0004】
上記従来例では以下のような問題がある。
(1)ユーザーが記名板103を使用する場合、記名板103をリレーソケット100とは別に購入する必要があり、発注工数がかかる。
(2)リレーソケット100に記名板103を添付して販売している場合は、記名板103を使用しないユーザーにとっては無駄な部品となってしまう。
(3)記名板103をソケット本体101の端子部に取り付けている場合、メンテナンス時などで端子ねじ部分(外部端子部)にドライバー104などの工具を使用するときには、記名板103を取り外す必要がある(図19参照)。そのため、記名板103の紛失や取り付け間違いなどが起こる可能性がある。特に、リレーソケットを複数連結して使用する構成にあっては、記名板103の紛失や取り付け間違いなどが頻繁に起こり得る。
【0005】
そこで、上記の問題を解決するため、リリースレバーに一体的に記名板を設けることが提案されている(以下の特許文献1参照)。この従来例を具体的説明すると、着脱用レバー(リリースレバーに相当)の垂直部の外側面に取付軸(記名板部に相当)を一体成形し、取付軸にはネームプレートを着脱可能に取り付ける構成である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第3915424号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記特許文献1に記載の従来例では、取付軸(記名板部に相当)が着脱用レバー(リリースレバーに相当)に一体成形されており、本体の端子部からの記名板の着脱ができないため、記名板の紛失等の問題は解消される。しかし、上記特許文献1に記載の従来例では、以下の新たな問題が生じる。
取付軸が可動せず、常に外側に張り出し態様のままであるので、メンテナンス時などの際に、取付軸の下方に位置する端子ねじ部分にドライバーを挿入しようとすると、取付軸が邪魔になって、ドライバーの操作に支障をきたすことになったり、ドライバーが取付軸に接触しても強引にドライバーの操作を行ったりすると取付軸が破損したりするという問題が生じる。勿論、取付軸の面積を極端に小さくすれば、ドライバー操作に支障をきたすこと等の問題は解消されるけれども、記名板に記名する文字・記号の数が制約されることになり、必要な文字・記号を全て記載しようとすれば文字・記号が小さくなって見えずらくなり、記名板として十分に機能しないことになる。
【0008】
上記の問題は、リレーソケット以外の、外部と電気的に接続するための外部端子部を有する電気機器(ICソケット、押しボタンスイッチ、端子台、電源等)にも当てはまる。
【0009】
そこで、従来から、メンテナンスなどの際に、外部端子部にドライバーを挿入する操作の邪魔にならず、破損が発生することもない記名板を備えた電気機器が所望されていた。
【0010】
本発明は、上記の実情を鑑みて考え出されたものである。その目的は、記名板の紛失等の問題を解消できると共に、メンテナンスなどの際に外部端子部にドライバーを挿入する操作の邪魔にならず、破損が発生することもない記名板を備えた電気機器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するため請求項1記載の発明は、電気機器であって、リレーが装着されるソケット本体と、ソケット本体に設けられ、外部と電気的に接続するための外部端子部と、回動操作することにより装着されたリレーをソケット本体から抜脱させるリリースレバーと、前記リリースレバーに一体形成された記名板部とを備え、前記記名板部を使用時にリリースレバーの外側へ折り曲げ可能としたこと特徴とする。
【0012】
上記構成によれば、リリースレバーに記名板部を一体成形することにより、記名板の紛失等の問題を解消できる。また、記名板部を折り曲げ可能に構成することにより、記名板使用時には記名板部を外側に折り曲げて使用でき、また、メンテナンスなどの際には記名板部を元の状態に戻すことにより、外部端子部へのドライバーの挿入操作の邪魔にならず、記名板部が破損することがない。また、記名板部を折り曲げなければ、記名板なしのリリースレバーを備えたリレーソケットとして使用できる。
また、上記構成によれば、メンテナンスなどの際に、端子ねじ部分にドライバーを挿入する操作の邪魔にならず、破損が発生することもない記名板を備えたリレーソケットが実現される。
【0015】
また、請求項記載の発明は、請求項記載の電気機器であって、前記ソケット本体の底面は取付部を有し、前記記名板部は折り曲げた状態で主面が前記ソケット本体の底面と平行状態となることを特徴とする。
【0016】
上記構成によれば、記名板部を折り曲げると、記名板部の主面(文字や記号が記入された面)がソケット本体の底面と平行状態となるので見やすいという効果を奏する。

【0017】
また、請求項記載の発明は、請求項記載の電気機器であって、前記リリースレバーは、前記リレー底面が当接する水平部と、回動操作を行う操作部として機能する垂直部とを有し、前記垂直部に前記記名板部が設けられていることを特徴とする。
【0018】
また、請求項記載の発明は、請求項記載の電気機器であって、前記記名板部の上端及び下端のいずれか一方は薄肉状に成形された第1連結部を介して前記垂直部と連なり、前記記名板部の上端及び下端のいずれか他方は両側部が幅方向中央部側にくびれた第2連結部を介して前記垂直部と連なっており、前記第2連結部を切断することにより、前記記名板部は、前記第1連結部を折り曲げ中心として外側に折り曲げ可能に構成されていることを特徴とする。
【0019】
上記構成によれば、第2連結部を切断するという簡単な操作で、記名板を使用することが可能となる。
【0020】
また、請求項記載の発明は、請求項記載の電気機器であって、前記記名板部の上端及び下端のいずれか他方には凹部が形成されており、該凹部の底面が前記第2連結部を介して前記垂直部と連なっていることを特徴とする。
【0021】
上記構成によれば、第2連結部を切断した際にバリが発生しても、バリが記名板部の外周からはみ出すことがなく、記名板部の折り曲げに支障をきたすことがない。
【0022】
また、請求項記載の発明は、請求項記載の電気機器であって、前記記名板部は略垂直状態から略水平状態となる位置まで折り曲げられた状態で支持固定部によって支持固定されていることを特徴とする。
【0023】
上記構成によれば、記名板部が略水平状態で支持固定されるので、記名板部が見易い。
【0024】
また、請求項記載の発明は、請求項記載の電気機器であって、前記支持固定部は、前記記名板部の側方に配置され前記第1連結部の側部に向けて突出した弾性の突部を含み、
前記記名板部を略垂直状態から折り曲げることにより、前記記名板部によって前記突部が弾性変形して前記記名板部が前記突部を乗り越え、前記記名板部の戻りが前記突部によって規制されることにより前記記名板部が略水平状態で支持され、その支持状態で前記記名板部を逆方向に折り曲げることにより、前記記名板部によって前記突部が弾性変形して前記記名板部が突部を乗り越え、前記記名板部が元の略垂直状態となるように構成されていることを特徴とする。
【0025】
上記構成によれば、弾性の突部を利用して記名板部を略水平状態で支持固定できるとともに、メンテナンスの際などに略水平状態の記名板部を元の略垂直状態に戻すことが可能となる。
【0026】
また、請求項記載の発明は、請求項記載の電気機器であって、前記突部に隣接して上下方向に延びる長孔が形成されていることを特徴とする。
【0027】
上記構成によれば、突部はその両端で支持された両端支持樹脂バネ構造で構成されることになり(図11参照)、突部のバネ性機能が向上される。
【発明の効果】
【0030】
本発明によれば、筐体に記名板部を一体成形することにより、記名板の紛失等の問題を解消できる。また、記名板部を折り曲げ可能に構成することにより、記名板使用時には記名板部を外側に折り曲げて使用でき、また、メンテナンスなどの際には記名板部を元の状態に戻すことにより、外部端子部へのドライバーの挿入操作の邪魔にならず、記名板部が破損することがない。また、記名板部を折り曲げなければ、記名板なしの筐体を備えた電気機器として使用できる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】本実施の形態に係るリレーソケット(電気機器)を複数連結して使用する例を示す斜視図。
図2】本実施の形態に係るリレーソケット(電気機器)の斜視図(記名板部未使用時)。
図3】本実施の形態に係るリレーソケット(電気機器)の側面図(記名板部未使用時)。
図4】本実施の形態に係るリレーソケット(電気機器)の正面図(記名板部未使用時)。
図5】本実施の形態に係るリレーソケット(電気機器)の背面図(記名板部未使用時)。
図6】本実施の形態に係るリレーソケット(電気機器)の平面図(記名板部未使用時)。
図7】リリースレバーの一部拡大正面図(記名板部未使用時)。
図8】リリースレバーの一部拡大斜視図(記名板部未使用時)。
図9図7の一部を拡大した図(記名板部未使用時)。
図10図7の矢視X1−X1断面図(記名板部未使用時)。
図11】長孔付近の側面図(記名板部未使用時)。
図12】本実施の形態に係るリレーソケットの側面図(記名板部使用時)。
図13】本実施の形態に係るリリースレバーの一部拡大斜視図(記名板部使用時)。
図14図7の矢視X1−X1断面図(記名板部使用時)。
図15】ドライバー操作時の記名板部の使用状況を説明するための図。
図16】長孔に代えて凹部を用いた他の実施の形態を示す図。
図17】従来例を示す斜視図。
図18】従来例を示す斜視図。
図19】従来例の使用状態を説明するための図。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明を実施の形態に基づいて詳述する。なお、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではない。
【0033】
図1は本実施の形態に係るリレーソケット(電気機器)を複数連結して使用する例を示す斜視図である。複数個のリレーソケット1は、支持レール(DINレール)200に着脱可能に装着して使用することができる。リレーソケット1は、樹脂成形品であり、リレー2が装着されるソケット本体3と、回動操作によって装着されたリレー2をソケット本体3から抜脱させるリリースレバー4とを備えている。ソケット本体3は、入力側端子部A1と出力側端子部B1,B2,B3を備え、各端子部(外部端子部)A1,B1〜B3には端子ねじC(図5図6参照)が取り付けられている。メンテナンス時には、電線を着脱するためドライバーを用いて端子ねじCを緩めたり、締め付けたりする操作が行われる。ソケット本体3とリリースレバー4とは、筐体を構成する。
【0034】
図2は本実施の形態に係るリレーソケットの斜視図、図3は本実施の形態に係るリレーソケットの側面図、図4は本実施の形態に係るリレーソケットの正面図、図5は本実施の形態に係るリレーソケットの背面図、図6は本実施の形態に係るリレーソケットの平面図、図7はリリースレバーの一部拡大正面図、図8はリリースレバーの一部拡大斜視図、図9図7の一部を拡大した図、図10図7の矢視X1−X1断面図である。リリースレバー4は、側面視略L字形を有する成形体であり、リレー2の底面が当接する水平部4Aと、回動操作を行う操作部として機能する垂直部4Bとを備える(図2参照)。水平部4Aと垂直部4Bとの交差部には、軸部7がソケット本体3を挿入して設けられており、これにより、リリースレバー4は軸部7を回動中心として矢印N1及びN2(図3参照)方向に可動自在にソケット本体3に支持されている。また、図6に示すリレーソケット1の平面の反対側の面がリレーソケット1(ソケット本体3)の底面である。
【0035】
リリースレバー4の具体的な構成としては、図2に示すように、左右一対の側部8,8と、側部8,8間を繋ぐ正面部9とから構成されている。側部8は、水平部8aと垂直部8bとから成る。なお、前記水平部4Aは、側部8,8の水平部8a,8aで構成され、前記垂直部4Bは、側部8,8の垂直部8b,8bと正面部9とから構成されている。
【0036】
リリースレバー4の正面部9には、記名板部10が一体成形されている。記名板部10の前側表面(主面)10aには、リレーの接続先やリレーの機能等に関する文字や記号を直接印刷したり、当該文字や記号を印字したシール等を貼り付けて表示を行う。記名板部10は、略方形状であって、その上端は第1連結部11を介して正面部9の上側部分9aに連なっている(図7図8参照)。第1連結部11はその外側表面が半円弧状に凹んだ薄肉状に成形されている(図8図10参照)。このような構成により、後述する第2連結部13の切断後は、第1連結部11を折り曲げ中心として、記名板部10を容易に折り曲げることが可能となっている。即ち、第1連結部11はヒンジとしての機能を発揮するように構成されている。
【0037】
また、図7及び図8に示すように、記名板部10の下端には凹部12が形成されており、凹部12の幅方向中央部と正面部9の下側部分9bの幅方向中央部とが第2連結部13を介して連なっている。第2連結部13は、両側部が幅方向中央部側にくびれた形状であって、基台部13aと棒状体部13bとから成る。棒状体部13bの先端(図7の上端)における前面及び背面には、図10に示すように、V字状の切欠き14が形成されており、棒状体部13bの先端部を容易に切断することが可能になっている。
また、このように、記名板部10と正面部9とを連結する第2連結部13が細い形状となっていることから、切断した際のバリの発生を抑制することができる。更に、バリが発生したとしても、凹部12が形成されていることにより、バリが記名板部10の外周からはみ出すことがなく、そのため、記名板部10の動作に支障をきたすことはない。
【0038】
また、側部8,8の垂直部8b,8bの内側面には、第1連結部11に向けて突出した突部(固定部)15,15が形成されている。一方の突部15と他方の突部15とは、高さ方向に関して略同一位置に形成されている。突部15,15の上側には、図9に示すように凹部20が形成されており、記名板部10が突部15,15を乗り越えて略水平状態に折り曲げられた際に、図9の仮想線で示すように記名板部10の側部が上側内面20aと下側内面20bとの間に嵌り込むようになっている。凹部20の上側内面20aは、記名板部10の上側への曲げすぎを規制する働きをする。また、凹部20の下側内面20bは、記名板部10の戻りを規制して水平状態に支持する働きをする。
なお、側部8,8の垂直部8b,8bには、突部15,15に隣接して上下方向に延びる長孔22,22が形成されている。この長孔22,22により、図11に示すように、突部15,15は両端S1,S2で支持された両端支持樹脂バネ構造Sで構成されることになり、突部15,15のバネ性機能が向上されるようになっている。
【0039】
本実施の形態では、従来例と同様に別体の記名板103をリレーソケット本体3の外部部に露呈する端子部(外部端子部)A1、B1,B2,B3及びリリースレバー4の垂直部4Bの頂部A2に取り付けることが可能となっている(図2参照)。従って、従来例と比べれば、本実施の形態は、記名板部10を1個多く取り付けることが可能な構成となっている。なお、記名板103はその先端が下方に折れ曲がったL字状に形成されており、このL字状部分(図示せず)が端子部A1、B1,B2,B3,頂部A2の取付溝に嵌り込んで取り付けられるようになっている。
【0040】
図12は記名板部使用時におけるリレーソケットの側面図、図13は記名板部使用時におけるリリースレバーの一部拡大斜視図、図14は記名板部使用時における図10に対応するリリースレバーの断面図である。
これらの図面を参照して、上記構成のリレーソケット1における記名板部10の使用時の操作について説明する。記名板部10を使用する際には、第2連結部13をニッパー等の工具を用いるか若しくは手で切断する。次いで、記名板部10を、第1連結部11を折り曲げ中心として矢印M1方向に略水平状態(図13参照)となるまで折り曲げる。このとき、記名板部10は突部15,15を弾性変形させて、突部15,15を乗り越えて上側内面20aと下側内面20bとの間に嵌り込む。これにより、記名板部10は略水平な状態で支持固定されることになり、記名板として使用することができることになる。逆に、略水平状態で記名板部10をM1とは逆の方向M2に折り曲げることにより、記名板部10によって突部15が弾性変形して記名板部10が突部15,15を乗り越え、記名板部10が元の略垂直状態となる。
【0041】
なお、メンテナンスなどのために、ドライバー30を用いて端子部A1の端子ねじCを緩めたり、締め付けたりする操作を行う場合、図1に示すように記名板部10を折り曲げた状態では、記名板部10が端子部A1の端子ねじCを平面から見て覆っているため、ドライバーの先端は記名板部10が邪魔になり、端子ねじCの頭部に差し込めない。そこで、記名板部10をM2方向(図13方向)に回動して元の状態(略垂直状態、図15参照)に戻す。これにより、ドライバーを挿入する操作の邪魔にならず、記名板部10が破損することもない。
【0042】
(その他の事項)
(1)本発明はリレーソケットに限るものではなく、電源、端子台、ICソケット、押しボタンスイッチ等、外部と電気的に接続するための外部端子部を有する電気機器であればよい。
【0043】
(2)上記実施の形態では、記名板部10はリリースレバー4の正面部9に設けられたけれども、側部8の空きスペースに設けるようにしてもよい。また、リレーソケット本体3及びリリースレバー4の少なくとも一方に記名板部10を設ければよく、リリースレバー4に代えて、リレーソケット本体3の空きスペースに設けるようにしてもよし、リレーソケット本体3及びリリースレバー4の両方に設けるようにしてもよい。
【0044】
(3)上記実施の形態では、記名板部10は下から上に折り曲げ可能となっていたが、上から下に折り曲げ可能に構成してもよい。なお、上から下に折り曲げ可能な構成に比べて、上記実施の形態のような下から上に折り曲げ可能な構成では、より高い位置での記名板の使用が可能となり、ユーザーにとっては記名板を見易いという利点がある。
また、記名板部10に記名シールを貼り付ける際に誤って力を入れすぎた場合には、上から下に折り曲げ可能な構成では記名板部10に対して戻す方向とは逆方向に力が作用するので、破損する恐れがある。これに対して、下から上に折り曲げ可能な構成では、力の作用方向が記名板部10の戻る方向であることから、破損が生じることはない。
また、メンテナンス時において、記名板部10を元に戻すことなく、引き出された状態のまま端子ねじ部にドライバー操作を行った場合にも、上から下に折り曲げ可能な構成では、ドライバーによって記名板部10に対して戻す方向とは逆方向にドライバーの力が作用するので、破損する恐れがある。これに対して、下から上に折り曲げ可能な構成では、ドライバーの力の作用方向が記名板部10の戻る方向であることから、破損が生じることはない。
【0045】
(4)上下方向の可動に限定されず、左右方向に可動な構成としてもよい。壁にリレーソケット1が取り付けられので、前面側から記名板部10を見るのが一般的であり、そのため、記名板部10は上下方向に可動する構成であることが必要とされる。しかし、ユーザー使用の態様に当たっては、記名板部10は上下方向に可動する構成であることが好ましい場合もあり、そのような場合に用いられることが考えられる。
【0046】
(5)上記実施の形態では、長孔22を形成することにより突部15,15のバネ性を向上させたけれども、図16に示すように突部15,15の肉厚を薄くすべく、側部8,8表面の突部15,15に対応する部分に凹部40を形成するようにしてもよい。
【0047】
(6)上記実施の形態では、第2連結部13を切断する構成としたけれども、記名板部10の下端面、及び、正面部9の下側部分9bにおける上端面の一方に凹部を成形し、他方に凸部を成形して、凸部を凹部に嵌め込むことで記名板部10を正面部9に仮固定し、使用時に記名板部10を折り曲げる構成とすることも考えられる。しかし、このような構成にすれば、成形金型が複雑になり製造コストが高くなる。また記名板部10の固定が緩やかなために、記名板部10に文字・記号等を印刷することが困難であるという問題がある。本実施の形態のように記名板部10を第2連結部13を介して正面部9に一体成形しておき、使用時に第2連結部13を切断する構成の場合には、上記の問題は生じることはない。
【0048】
(7)ソケット本体3の底面に設けられた取付部201は、壁面、床面、天井面又は制御箱の内壁などの外部に取り付けるための部分であり、DINレール200を取り付ける構造の他に、ネジなどによって外部に取り付ける構造であってもよい。
【0049】
(8)支持固定部は突部15の場合を示したが、これ以外でもよく、例えば磁石によって記名板部10を折り曲げた状態で固定するものであってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本発明は、リレーソケット、ICソケット、押しボタンスイッチ、端子台、電源等、外部と電気的に接続するための外部端子部を有する電気機器に適用される。
【符号の説明】
【0051】
1:リレーソケット(電気機器)
2:リレー
3:ソケット本体
4:リリースレバー
10:記名板部
12:凹部
11:第1連結部
13:第2連結部
4A:リリースレバーの水平部
4B:リリースレバーの垂直部
15:突部
20:凹部
A1:入力側端子部(外部端子部)
B1,B2,B3:出力側端子部(外部端子部)
図1
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