(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5791731
(24)【登録日】2015年8月14日
(45)【発行日】2015年10月7日
(54)【発明の名称】ガスタービンアセンブリとその組立方法
(51)【国際特許分類】
F23R 3/60 20060101AFI20150917BHJP
F23R 3/42 20060101ALI20150917BHJP
F23R 3/28 20060101ALI20150917BHJP
F02C 7/00 20060101ALI20150917BHJP
F02C 7/20 20060101ALI20150917BHJP
F01D 25/00 20060101ALI20150917BHJP
【FI】
F23R3/60
F23R3/42 E
F23R3/28 B
F02C7/00 D
F02C7/20 B
F01D25/00 N
F01D25/00 U
【請求項の数】17
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2013-541324(P2013-541324)
(86)(22)【出願日】2011年11月30日
(65)【公表番号】特表2013-544345(P2013-544345A)
(43)【公表日】2013年12月12日
(86)【国際出願番号】EP2011071340
(87)【国際公開番号】WO2012072659
(87)【国際公開日】20120607
【審査請求日】2014年2月24日
(31)【優先権主張番号】12/957,476
(32)【優先日】2010年12月1日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390039413
【氏名又は名称】シーメンス アクチエンゲゼルシヤフト
【氏名又は名称原語表記】Siemens Aktiengesellschaft
(74)【代理人】
【識別番号】100075166
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 巖
(74)【代理人】
【識別番号】100133167
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 浩
(72)【発明者】
【氏名】ベッチャー、アンドレアス
(72)【発明者】
【氏名】フォックス、ティモスィー エイ
(72)【発明者】
【氏名】ギャラン、ダニエル ダブリュ
(72)【発明者】
【氏名】グリープ、トーマス
(72)【発明者】
【氏名】クラインフェルト、イェンス
(72)【発明者】
【氏名】クリーガー、トビアス
(72)【発明者】
【氏名】ラミアー、ステフェン エイ
(72)【発明者】
【氏名】リトランド、デイヴィッド エム
(72)【発明者】
【氏名】ツアホルスト、マルクス
【審査官】
佐藤 健一
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2009/039142(WO,A2)
【文献】
米国特許第04441323(US,A)
【文献】
特開平04−124522(JP,A)
【文献】
特開2007−309641(JP,A)
【文献】
特開2002−350092(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02C 7/00、20
F23R 3/28、42、60
F01D 25/00
DWPI(Thomson Innovation)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガスタービン用のアセンブリ(180)であって、
第1面(142)及び第2面(144)を有するフランジ(140)と、及び前記フランジ(140)の第1面(142)へ接続されるロケットユニット(120)であって、前記第1面と当接するベース(128)を有するロケット(122)と、前記ベースに接続されたガス供給パイプ(126)と、前記ロケットの軸方向において前記ベースとは反対側に接続されたスワラー(130)とを有するロケットユニット(以下、単にロケットユニット(120)という。)とを備え、前記ガス供給パイプ(126)は、ガスタービン(100)の燃焼室(108)へガスを供給するために前記フランジ(140)のボア(146)を通るように構成され、
さらに、前記ガス供給パイプ(126)を囲み、第1端部(162)及び第2端部(164)を有するスリーブ(160)を備え、
前記第1端部(162)は、前記ガス供給パイプ(126)に封止接続され、
前記スリーブ(160)は、前記フランジ(140)の厚さ方向に延びて前記第2端部(164)で前記フランジ(140)に封止接続されるように構成される、
アセンブリ。
【請求項2】
前記第1端部(162)は、前記燃焼室(108)から遠い側で、前記フランジ(140)のボアの外にある前記スリーブ(160)の長手方向における第1の端部に設定される、請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項3】
前記第2端部(164)は、前記燃焼室(108)に近い側で、前記フランジ(140)のボアの中にある前記スリーブ(160)の長手方向における第2の端部に設定される、請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項4】
前記第2端部(164)は、前記燃焼室(108)に近い側で、前記フランジ(140)のボアの中にある前記スリーブ(160)の長手方向における第2の端部に設定される、請求項2に記載のアセンブリ。
【請求項5】
前記スリーブ(160)の前記第2端部(164)は、前記フランジ(140)との接続に適応させるべく半径方向に延長されている、請求項4に記載のアセンブリ。
【請求項6】
前記スリーブ(160)は、該スリーブ(160)の周囲を巡って半径方向に膨出する長手方向部分(166)を有する、請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項7】
前記長手方向部分(166)は、前記スリーブ(160)の第1端部(162)に近い位置に設けられる、請求項6に記載のアセンブリ。
【請求項8】
前記スリーブ(160)は、前記第1端部(162)において長手方向に斜めの角度で前記ガス供給パイプ(126)に接続される、請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項9】
請求項1に記載のアセンブリを組み立てる方法であって、
(202)ガスタービン(100)の燃焼室(108)へガスを供給するためにガス供給パイプ(126)をフランジ(140)のボア(146)に通し、
(204)第1端部(162)及び第2端部(164)を有するスリーブ(160)で前記ガス供給パイプ(126)を囲い、
(206)前記フランジ(140)の厚さ方向に前記スリーブ(160)を延設し、
(210)前記スリーブ(160)の第1端部(162)を前記ガス供給パイプ(126)に封止接続し、
前記スリーブの第2端部(164)を前記フランジ(140)に封止接続する、
ことを含み、
前記フランジ(140)が第1面(142)と第2面(144)とを備え、該フランジ(140)の第1面(142)に前記ロケットユニット(120)を接続する、方法。
【請求項10】
前記燃焼室(108)から遠い側で、前記フランジ(140)のボア(146)の外にある前記スリーブ(160)の長手方向における第1の端部に、前記第1端部(162)を設ける、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記燃焼室(108)に近い側で、前記フランジ(140)のボア(146)の中にある前記スリーブの長手方向における第2の端部に、前記第2端部(164)を設ける、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記フランジ(140)への接続に適応させるべく前記スリーブ(160)の第2端部(164)を半径方向に延長する、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記スリーブ(160)の一部を該スリーブ(160)の周囲を巡って半径方向に膨出させることをさらに含む、請求項9に記載の方法。
【請求項14】
前記スリーブ(160)を、前記第1端部(162)において長手方向に斜めの角度で前記ガス供給パイプ(126)に接続するようにして、前記スリーブ(160)の一部を半径方向に膨出させる、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記スリーブ(160)の第1端部(162)の近くに前記一部を設ける、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
ホットエアを供給するコンプレッサ(102)と、
ガスと前記コンプレッサ(102)からのホットエアとを混合して作動ガスを発生する燃焼室(108)と、
第1面(142)及び第2面(144)を有するフランジ(140)と、前記フランジ(140)の第1面(142)へ接続されるベース(128)を有するロケットユニット(120)であって、前記第1面と当接するベース(128)を有するロケット(122)と、前記ベースに接続されたガス供給パイプ(126)と、前記ロケットの軸方向において前記ベースとは反対側に接続されたスワラー(130)とを有するロケットユニット(120)と、前記フランジ(140)のボア(146)を通り前記燃焼室(108)へガスを供給するガス供給パイプ(126)と、そして、前記ガス供給パイプ(126)を囲み、前記フランジ(140)の厚さ方向に延伸し、前記ガス供給パイプ(126)に封止接続される第1端部(162)と前記フランジ(140)に封止接続される第2端部(164)とを有するスリーブ(160)とを備えた、アセンブリと、
を備えるガスタービン。
【請求項17】
前記スリーブ(160)の第1端部(162)が前記フランジ(140)のボア(146)の外から前記ガス供給パイプ(126)に接続され、
前記スリーブ(160)の第2端部(164)が前記フランジ(140)のボア(146)の内側に接続される、
請求項16に記載のガスタービン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガスタービン、より詳しくは、封止機構を提供するガスタービン用のアセンブリと、そのガスタービン用アセンブリを組み立てる方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ガスタービンにおいて、燃料は、供給パイプを通して燃焼室へ送られ、コンプレッサからのホットエアと混合されて作動ガスを生成する。特に、燃料は、ロケットを含んだロケットユニットに通され、該ロケットを通して各スワラー(旋回器)へ向けられる。その際に、コンプレッサからのホットエアが攪拌されて燃料と混合され、各スワラーのアウトレットから排出される。
【0003】
ガスタービンの運転中、冷却ガスが上記供給パイプを通し供給されるが、他の部位は、ガスタービンのコンプレッサから出るホットエアにより高温に熱せられ得る。このホットエアが、ガスタービンの各種部品の熱膨張を招く。したがって、コンプレッサからのホットエアがガスタービンから周囲環境へ抜けることを防止するのと同時に、コンプレッサからのホットエアがガスタービンの他の部品を熱するのを防止する封止設計を提供することが、重要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
以上の故に、供給パイプを取り囲み、燃料供給の内部配給システムを有するマニホールドが必要である。しかし、マニホールドは、耐腐食材料から作られるために高価である。したがって、コンプレッサからのホットエアがガスタービンから排出されないようにするべく、ガスタービン用のフレキシブルでコスト効率の良い封止設計を提案することが望まれる。さらに、その封止設計はまた、ガスタービン運転中にホットエアに曝される部品の熱膨張に起因して起きる熱ストレスを低減することが望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
簡潔に言えば、本発明の一態様により、ガスタービン用のアセンブリが提案される。このアセンブリは、ガスタービンのフランジのボア(孔)を通りガスをガスタービンの燃焼室へ供給するガス供給パイプと、このガス供給パイプを囲み、第1端部及び第2端部を有するスリーブと、を含み、そのスリーブの第1端部は、ガス供給パイプに封止接続され、そしてスリーブは、フランジの厚さ方向に延びて第2端部でフランジに封止接続されるように構成される。
【0006】
本技術の他の態様によれば、ガスタービンアセンブリを組み立てる方法が提案される。この方法は、ガスをガスタービンの燃焼室へ供給するためにガス供給パイプをフランジのボアに通し、第1端部及び第2端部を有するスリーブでそのガス供給パイプを囲み、フランジの厚さ方向にスリーブを延設し、スリーブの第1端部をガス供給パイプに封止接続し、スリーブの第2端部をフランジに封止接続する、ことを含む。
【0007】
本技術のさらに他の態様によれば、ガスタービンが提案される。このガスタービンは、ホットエアを供給するコンプレッサと、コンプレッサからのホットエアとガスを混合することにより作動ガスを発生する燃焼室とを含む。さらに、このガスタービンは、フランジのボアを通りガスを燃焼室へ供給するガス供給パイプと、このガス供給パイプを囲み、フランジの厚さ方向へ延び、第1端部及び第2端部を有するスリーブと、を含み、そのスリーブの第1端部はガス供給パイプに封止接続され、第2端部はフランジに封止接続される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
次の図面に示す実施形態を参照して以下に本発明を詳述する。
【
図4】ガスタービン用アセンブリの一形態を示す概略図。
【
図5】ガスタービン用アセンブリの他の形態の断面図。
【
図8】ガスタービン用の
図5のアセンブリを組み立てる例示方法を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1は、本発明の種々の実施形態を含むガスタービン100の概略断面を示す。ガスタービンは、コンプレッサ102、燃焼室108、及びタービン110を備える。運転中、コンプレッサ102は、エアを取り込み、圧縮エアをディフューザー104へ提供する。ディフューザー104は圧縮エアをプレナム106へ通し、圧縮エアはプレナム106を通って燃焼室108へ進む。燃焼室108は圧縮エアを燃料又はガスと混合し、作動ガスとしても知られる燃焼ガスをトランジションを経て、例えば発電に使用されるタービン110へ提供する。タービン110と連結してコンプレッサ102を駆動するシャフト112が示されている。
【0010】
図2は、本技術の態様に従うダブルロケットユニット120を示す。ベース128を有する複数のロケット122が示されている。パイプ124がガスをパイロットバーナ(図示略)へ供給する。ガスはガス供給パイプ126からロケット122へ送られる。
図1のコンプレッサ102からのエアは、ロケット122の自由又は遠位端に取り付けられたスワラー130で燃料と混合される。スワラー130は、エアストリーム中に乱流を発生させる。ガスは、スワラー130で乱流のエアストリームと混合され、燃焼室108で燃焼してエネルギーを発生する。
図3を参照して後述するフランジにロケットユニット120を取り付けるために、ボルト止め用の孔132が設けられている。
【0011】
図3は、ガスタービン用のフランジ140を示した概略図である。フランジは、第1面142と第2面144とを含む。第1面142は、コンプレッサから生成されるホットエアに曝される高温面である。第2面144は低温面と呼び得る。フランジ140は、ガスをロケットユニット120へ供給するためにガス供給パイプ126(
図2)を通す1以上のボア(孔)146を含む。ロケットユニット120は、固定配置を得るために第1面142からフランジ140へ取り付けられる。ロケットユニット120のベース128がボルト止めでフランジ140に取り付けられ、これによりロケットユニット120に対する動きを防止し強固な固定を提供する。
【0012】
運転中、フランジ140はコンプレッサ102から来るホットエアに曝される。より詳しくは、フランジ140の第1面142がコンプレッサ102から来るホットエアに曝露する。フランジ140は、約セ氏350度の温度に加熱され得る。しかし、ガス供給パイプ126が約セ氏20度の温度の低温ガスを供給する。コンプレッサ102からのホットエアは、軸方向及び半径方向にフランジ140の熱膨張を引き起こす。
【0013】
図4は、ガスタービンアセンブリ150の一形態の、長手方向に沿った断面を示す概略図である。ガス供給パイプ126の長手方向断面が、フランジ140を通過して示されている。より詳しくは、ガス供給パイプ126は、フランジ140のボア146(
図3)を通過する。筒状の閉鎖接続具152が、ガス供給パイプ126の外に同軸状態にして配置されている。閉鎖接続具152は、図示のように、第1継ぎ目156でガス供給パイプ126に溶接され、また第2継ぎ目158でフランジ140に溶接される。閉鎖接続具152及びガス供給パイプ126は、ガス供給パイプ126の中心を通る長手方向軸に関して回転対称である。したがって、第1継ぎ目156はガス供給パイプの周囲を囲むリング形状であり、第2継ぎ目158もリング形状である。ガス供給パイプ126はまた、ボルト止めでフランジ140に締め付けられる。閉鎖接続具152は、燃焼室108に対し遠位側の
第2面144でフランジ140に取り付けられ、またボルト止めも、燃焼室108に対し遠位側のフランジ140の
第2面144で行われることが、注目点である。しかしながら、このような設計は、システムを重層的(過剰)にし得る。
【0014】
ガスタービンの運転中、コンプレッサ(図示略)により生成されるホットエアに曝されるフランジ140は、半径方向にも軸方向にも膨張する。ホットエアの高温故に、フランジ140は熱的に膨張させられるが、ガス供給パイプ126が、比較的低温にガス供給パイプ126を維持する低温ガスを搬送する。閉鎖接続具152はこの低温ガス供給パイプに取り付けられ、したがって温度差のために、第1継ぎ目156と第2継ぎ目158で高ストレスが生じる。閉鎖接続具152を使用してガス供給パイプ126とフランジ140を接続することにより、アセンブリが重層的になっているので、熱膨張の範囲が減少する。また、重層の故に、ガスタービンのフランジ140及びガス供給パイプ126は熱膨張を経ることができず、したがってこれらの寿命が減少する。
【0015】
本技術の態様によれば、ガスタービン用のアセンブリが提案される。該アセンブリは、フランジのボアを通りガスをガスタービンの燃焼室へ供給するガス供給パイプと、このガス供給パイプを囲み、第1端部及び第2端部を有するスリーブと、を含み、そのスリーブの第1端部がガス供給パイプに封止接続され、当該スリーブが、フランジの厚さ方向に延びて第2端部でフランジに封止接続されるように構成される。ガス供給パイプを囲み、第1端部でガス供給パイプに取り付けられ且つ第2端部でフランジに取り付けられ、フランジの厚さ方向に延伸するスリーブを有することにより、溶接継ぎ目で膨張により発生する熱ストレスは、スリーブの長さに沿ったスリーブへのストレス拡散によって低減される。
【0016】
図5を参照すると、ガスタービン用の例示アセンブリ180の断面図が示されている。アセンブリ180は、ガスタービンのフランジ140のボア146(
図3)を通るガス供給パイプ126を含む。ガス供給パイプ126は、ガスタービンの燃焼室108へガスを供給する。さらに、このアセンブリは、ガス供給パイプ126を囲む、図示のスリーブ160を含む。スリーブの第1端部162は、ガス供給パイプ126に封止接続され、このことは、第1端部が、ガス供給パイプをホットエアの周囲環境から遮断するように接続されることを意味する。
スリーブ160の第2端部164は、フランジ140との接続に適応させてある。スリーブ160は、フランジ140のボアの外からフランジの厚さに及んで延伸する長さを有する。より詳しくは、スリーブ160の第1端部162は、図示のように、燃焼室108から遠い側でフランジ140のボアの外にあるスリーブ160の第1長手方向位置に設定される。第2端部164は、フランジ140のボアの内側に接続される。第2端部164でスリーブ160をフランジ140に接続することにより、フランジ140のボア内側にスリーブの第2端部164を溶接することができる。
【0017】
さらに、スリーブ160の第2端部164は、燃焼室108の方へ半分ほどのところでフランジ104のボアの中にあるスリーブ160の第2長手方向位置に設定される。このようなスリーブ160の第1端部162及び第2端部164の位置は、スリーブの長手方向長さを少なくともフランジ140の厚さの半分にする。このようなスリーブ160の延設により、熱膨張の影響を補償することができる。スリーブ160の長手方向長さは、
図4の閉鎖接続具152の長手方向長さよりも長くなることが、要点である。スリーブがガス供給パイプとフランジへ接続される位置の間の距離を増やすことにより、第1端部及び第2端部にストレスをかける実際の熱膨張が緩和される。
【0018】
続けて
図5を参照すると、スリーブ160は、第1端部162で溶接されガス供給パイプ126に接続される。同様に、スリーブ160はフランジ140のボア内側で溶接される。溶接線186,188は、スリーブ160がガス供給パイプ126とフランジ140に取り付けられる位置にそれぞれ示されている。
【0019】
図5に示すスリーブは、フランジ140のボアの外に位置する長手方向部分166を含み、この長手方向部分166は、スリーブ160の周囲を巡って半径方向に膨出し、熱ストレスの低減を可能にする。その詳細は
図6及び
図7を参照して説明する。
【0020】
さらに、アセンブリ180は、ガス供給パイプ内側に熱シールド184も含む。この熱シールド184は、コンプレッサから生成されるホットエア流に起因するガス供給パイプ126の熱変形を防止する。熱シールド184は、限定するものではないが、ステンレススチールなど、対ガス耐食性の材料から形成されるとよい。
【0021】
図6を参照すると、
図5の例示スリーブ160が示されている。このスリーブ160は第1端部162と第2端部164とを含む。スリーブ160は円筒形状であるが、ただし、熱ストレス低減と共に熱膨張を許容するその他の形状で形成することもできる。熱ストレスは長手方向膨張により引き起こされることが注目点である。
【0022】
本技術の態様によれば、スリーブ160は、高強度、良好な成形性(接続性も含む)及び耐食性をもつ材料から形成される。Special Metals Corporation, U.S.A.のニッケルクロム合金であるInconel(登録商標)625などの合金がスリーブ160の製造に使用される。また、第1端部162におけるスリーブ160の直径は、第2端部164におけるスリーブ160の直径よりも小さい。スリーブ160は、スリーブ160の周囲を巡って半径方向へ膨出する長手方向部分166を含む。スリーブの長手方向部分166に関する長手方向輪郭は、第1部分196及び第2部分198を含み、第1部分196が長手方向軸192に対して第1の角度を形成し、第2部分198が第1部分196に対して第2の角度を形成して、半径方向の膨出が提供される。
【0023】
一実施形態において、第1の角度は、長手方向軸192から約45度であり、第2の角度は、第1部分196から約105度である。言い換えると、第1部分及び第2部分で、長手方向軸192と交差するV形構造が形成される。半径方向の膨出は、部分166により提供される傾斜によって、溶接位置のストレスを低減するのに役立つ。部分166は、スリーブ160の第1端部162に近い位置に設定される。燃焼室から遠い側のフランジ140上の空間が、長手方向部分166を半径方向に膨出させるためのスペースを提供する。
【0024】
図7は、
図6のスリーブ160の断面
図190を長手方向において示す。上述したように、スリーブ160は第1端部162及び第2端部164を有する。スリーブ160は、スリーブ160の中心194を通る長手方向軸192に関して回転対称である。一実施形態において、スリーブ160は、ガス供給パイプを取り囲む円筒形状である。
【0025】
本技術の態様によれば、長手方向部分166は、スリーブの周囲を巡って半径方向に膨出する。半径方向の膨出は、スリーブ160の第1端部162が斜めにガス供給パイプ126に接続するように構成されたものである。より詳しくは、スリーブの第1端部で半径方向に膨出した長手方向部分166は、内向きに、すなわちガス供給パイプへ向かって延び、斜めに接続する。理解されるように、斜めとすることによって、第1端部162における水平ではない角度であるストレス成分を緩和することができ、斜めとすることによりさらに、第1端部のガス供給パイプへの溶接が容易になる。一実施形態において、斜めの角度は、スリーブ160の中心194を通る長手方向軸192から約45度とすることができ、この約45度の角度は、第1端部に係る熱ストレス及び接続容易性に関して最適解を提供する。スリーブ160は、第1端部162における直径が第2端部164における直径よりも小さくなるような形状である。
【0026】
さらに、スリーブ160の第2端部164は、フランジとの接続に適応させるべく延長されている。より詳しくは、スリーブ160の第2端部164は、半径方向延長165を有する。この第2端部164の半径方向延長部165が、フランジに対するスリーブ160の接続を可能にする。一実施形態において、半径方向延長部165は、長手方向軸192から約45度の角度である。約45度の角度により、ストレスが緩和され、接続も容易となる。物体に作用する水平のストレスのコサイン成分はより小さいので、水平に作用するストレスは角度をもって作用するストレスよりも大きいことが、注目点である。
【0027】
図8は、ガスタービン用の例示アセンブリ180(
図5)を組み立てる方法を示すフローチャートである。ステップ202で、ガスをガスタービンの燃焼室108へ供給するためのガス供給パイプ126をフランジ140のボアに通す。ステップ204で、ガス供給パイプを囲むスリーブ160を差し込む。ステップ206で、フランジの厚さ方向にスリーブを延在させる。上述したように、スリーブは、燃焼室から遠い側で、フランジのボアの外にあるスリーブの第1長手方向位置に設定された第1端部を有する。さらに、スリーブは、燃焼室の方へ半分ほどのところでフランジのボアの中にあるスリーブの第2長手方向位置に設定された第2端部を有する。
【0028】
ステップ208で、フランジのボア内側にスリーブの第2端部を封止接続する。その後、ステップ210で、ガス供給パイプにスリーブの第1端部を封止接続する。スリーブの第1端部及び第2端部をガス供給パイプ126とフランジ140にそれぞれ封止接続するために、溶接を使用する。
【0029】
本技術の態様によれば、スリーブ160の第2端部164は、スリーブ160の第1端部162をガス供給パイプ126に取り付ける前に、フランジ140のボア内側に溶接される。スリーブ160を第2端部164の後に第1端部162で溶接することにより、スリーブ160の組み立てが容易になる。
【0030】
このような例示アセンブリは、その封止設計とスリーブのデザインにより、コンプレッサからのホットエアがガスタービンから周囲環境へ抜けないようにする。さらに、このアセンブリは、スリーブがガス供給パイプ及びフランジに取り付けられるところの溶接継ぎ目の熱ストレスも低減する。
【0031】
具体的な実施形態を参考にして本発明を説明したが、当該説明は限定の意味に解釈されるべきではない。本発明の代替の実施形態はもちろんのこと、説明した実施形態の様々な修正が、本発明の説明を参照することで、本分野で通常の知識を有する者には明らかである。したがって、明確にした本発明の実施形態から逸脱することなくそのような修正がなされ得ることが是認される。
【符号の説明】
【0032】
100 ガスタービン
102 コンプレッサ
104 ディフューザー
106 プレナム
108 燃焼室
110 タービン
112 シャフト
120 ダブルロケットユニット
122 ロケット
124 パイプ
126 ガス供給パイプ
128 ベース
130 スワラー
132 孔
140 フランジ
142 第1面(高温)
144 第2面(低温)
146 ボア
160 スリーブ
162 第1端部
164 第2端部
166 長手方向部分(半径方向膨出)
180 アセンブリ
184 熱シールド
186,188 溶接線
192 長手方向軸
194 中心
196 第1部分
198 第2部分