(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5791736
(24)【登録日】2015年8月14日
(45)【発行日】2015年10月7日
(54)【発明の名称】ロードプライシングシステム、課金要求装置、制御方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G07B 15/06 20110101AFI20150917BHJP
G08G 1/09 20060101ALI20150917BHJP
【FI】
G07B15/06
G08G1/09 F
【請求項の数】7
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2013-551837(P2013-551837)
(86)(22)【出願日】2012年12月27日
(86)【国際出願番号】JP2012083971
(87)【国際公開番号】WO2013100091
(87)【国際公開日】20130704
【審査請求日】2014年4月2日
(31)【優先権主張番号】特願2011-288687(P2011-288687)
(32)【優先日】2011年12月28日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100134544
【弁理士】
【氏名又は名称】森 隆一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100108578
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 詔男
(74)【代理人】
【識別番号】100126893
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 哲男
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(72)【発明者】
【氏名】上村 洋一
(72)【発明者】
【氏名】馬渕 義弘
【審査官】
宮下 浩次
(56)【参考文献】
【文献】
特開2007−183752(JP,A)
【文献】
特開2003−099834(JP,A)
【文献】
特開2000−123213(JP,A)
【文献】
特開平10−222707(JP,A)
【文献】
特開2004−192557(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07B 15/06
G08G 1/09
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車による特定区域の利用に対して課金するロードプライシングシステムであって、
前記自動車に設けられて、GPS衛星からの電波を受信して現在位置を測定するGPS受信装置と、
前記特定区域への進入路のうち、前記GPS衛星からの電波を受信し難い進入路に設けられて、前記進入路に対応する前記特定区域を示す区域データを無線送信する路側無線装置と、
前記自動車による特定区域の利用に対する課金処理を行う課金処理装置と、
前記自動車が前記特定区域へ進入した場合に、前記特定区域の利用に対する課金処理を前記課金処理装置に要求する課金要求装置と
を備え、
前記課金要求装置は、
前記GPS受信装置によって測定された現在位置が前記特定区域に該当する場合、前記特定区域の利用に対して課金処理されていなければ、前記特定区域の利用に対する課金処理を前記課金処理装置に要求し、前記路側無線装置から前記区域データを受信した場合、前記区域データによって示される前記特定区域の利用に対して課金処理されていなければ、前記特定区域の利用に対する課金処理を前記課金処理装置に要求する課金要求部
を有するロードプライシングシステム。
【請求項2】
前記課金要求装置は、
前記特定区域の利用料金を算出する料金算出部
を更に有し、
前記課金要求部は、前記料金算出部が算出した利用料金の課金処理を前記課金処理装置に要求する
請求項1に記載のロードプライシングシステム。
【請求項3】
前記課金要求装置は、
前記特定区域の利用に対して課金処理されているか否かを判定する課金判定部
を更に有し、
前記課金要求部は、前記特定区域の利用に対して課金処理されていないと前記課金判定部が判定した場合に、前記特定区域の利用に対する課金処理を前記課金処理装置に要求する
請求項1又は2に記載のロードプライシングシステム。
【請求項4】
前記課金要求装置は、
前記GPS受信装置によって測定された現在位置が前記特定区域に該当するか否かを判定する位置判定部
を更に有し、
前記課金要求部は、前記GPS受信装置によって測定された現在位置が前記特定区域に該当すると前記位置判定部が判定した場合に、前記特定区域の利用に対して課金処理されていなければ、前記特定区域の利用に対する課金処理を前記課金処理装置に要求する
請求項1から3のいずれか一項に記載のロードプライシングシステム。
【請求項5】
自動車が特定区域へ進入した場合に、前記特定区域の利用に対する課金処理を、前記自動車による前記特定区域の利用に対して課金処理する課金処理装置に要求する課金要求装置であって、
前記自動車に設けられて、GPS衛星からの電波を受信して現在位置を測定するGPS受信装置によって測定された現在位置が前記特定区域に該当する場合、前記特定区域の利用に対して課金処理されていなければ、前記特定区域の利用に対する課金処理を前記課金処理装置に要求し、前記特定区域への進入路のうち、前記GPS衛星からの電波を受信し難い進入路に設けられて、前記進入路に対応する前記特定区域を示す区域データを無線送信する路側無線装置から前記区域データを受信した場合、前記区域データによって示される前記特定区域の利用に対して課金処理されていなければ、前記特定区域の利用に対する課金処理を前記課金処理装置に要求する課金要求部
を備える課金要求装置。
【請求項6】
自動車が特定区域へ進入した場合に、前記特定区域の利用に対する課金処理を、前記自動車による前記特定区域の利用に対して課金処理する課金処理装置に要求する課金要求装置を制御する制御方法であって、
前記自動車に設けられて、GPS衛星からの電波を受信して現在位置を測定するGPS受信装置によって測定された現在位置が前記特定区域に該当する場合、前記特定区域の利用に対して課金処理されていなければ、前記特定区域の利用に対する課金処理を前記課金処理装置に要求し、前記特定区域への進入路のうち、前記GPS衛星からの電波を受信し難い進入路に設けられて、前記進入路に対応する前記特定区域を示す区域データを無線送信する路側無線装置から前記区域データを受信した場合、前記区域データによって示される前記特定区域の利用に対して課金処理されていなければ、前記特定区域の利用に対する課金処理を前記課金処理装置に要求する課金要求段階
を備える制御方法。
【請求項7】
自動車が特定区域へ進入した場合に、前記特定区域の利用に対する課金処理を、前記自動車による前記特定区域の利用に対して課金処理する課金処理装置に要求する課金要求装置用のプログラムであって、前記課金要求装置を、
前記自動車に設けられて、GPS衛星からの電波を受信して現在位置を測定するGPS受信装置によって測定された現在位置が前記特定区域に該当する場合、前記特定区域の利用に対して課金処理されていなければ、前記特定区域の利用に対する課金処理を前記課金処理装置に要求し、前記特定区域への進入路のうち、前記GPS衛星からの電波を受信し難い進入路に設けられて、前記進入路に対応する前記特定区域を示す区域データを無線送信する路側無線装置から前記区域データを受信した場合、前記区域データによって示される前記特定区域の利用に対して課金処理されていなければ、前記特定区域の利用に対する課金処理を前記課金処理装置に要求する課金要求部
として機能させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロードプライシングシステム、課金要求装置、制御方法、及びプログラムに関する。特に本発明は、自動車による特定区域の利用に対して課金するロードプライシングシステム、自動車が特定区域へ進入した場合に、特定区域の利用に対する課金を、自動車による特定区域の利用に対して課金する課金処理装置に要求する課金要求装置、当該課金要求装置を制御する制御方法、並びに当該課金要求装置用のプログラムに関する。
本願は、2011年12月28日に、日本に出願された特願2011−288687号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
【背景技術】
【0002】
ロードプライシングは、特定の道路や地域、時間帯における自動車利用者に対して課金することにより、自動車利用の合理化や交通行動の転換を促し、自動車交通量の抑制を図る施策で、TDM(Transportation Demand Management)施策の一つである。
【0003】
ロードプライシングを実施するためのシステムは、大都市を中心に導入が進められている。代表的なロードプライシングシステムは、課金対象の道路や地域への進入路に設けられたDSRC(Dedicated Short Range Communication)路側無線装置と、自動車に設けられた車載器との間で無線通信を行って課金処理を行っている。しかしながら、このようなロードプライシングシステムは、課金対象の道路や地域への全ての進入路にDSRC路側無線装置を設けなければならず、コストの面において課題が残る。
【0004】
例えば、特許文献1に記載の技術は、GPS(Global Positioning System)を利用して、課金対象の道路や地域への進入を検知して、課金処理を行うことにより、上述したような課題を解決することができる。また、特許文献1に記載の技術は、GPS衛星からの電波を受信し難い場所にDSRC路側無線装置を設けて、車載器がDSRC路側無線装置と無線通信することによっても現在位置を把握することができるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−183752号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載の技術は、課金対象の道路や地域への進入路がGPS衛星からの電波を受信し難い場所であった場合、その進入路にDSRC路側無線装置を設けるものである。そして、車載器は、DSRC路側無線装置から送信されたデータを受信することにより課金処理を行うことになる。
【0007】
しかしながら、車載器は、DSRC路側無線装置が設けられた進入路において、GPS衛星からの電波を受信し難い場所であるとはいっても、GPS衛星の位置によってはある程度精確な現在位置を測定し得る数のGPS衛星からの電波を受信することができることもある。その場合、車載器は、DSRC路側無線装置から送信されたデータを受信することにより課金処理を行うだけでなく、GPSを利用して課金対象の道路や地域への進入を検知しても課金処理を行い、重複課金してしまうことになる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明の第1の形態によると、自動車による特定区域の利用に対して課金するロードプライシングシステムであって、自動車に設けられて、GPS衛星からの電波を受信して現在位置を測定するGPS受信装置と、特定区域への進入路のうち、GPS衛星からの電波を受信し難い進入路に設けられて、進入路に対応する特定区域を示す区域データを無線送信する路側無線装置と、自動車による特定区域の利用に対する課金処理を行う課金処理装置と、自動車が特定区域へ進入した場合に、特定区域の利用に対する課金処理を課金処理装置に要求する課金要求装置とを備え、課金要求装置は、GPS受信装置によって測定された現在位置が特定区域に該当する場合、特定区域の利用に対して課金処理されていなければ、特定区域の利用に対する課金処理を課金処理装置に要求し、路側無線装置から区域データを受信した場合、区域データによって示される特定区域の利用に対して課金処理されていなければ、特定区域の利用に対する課金処理を課金処理装置に要求する課金要求部を有する。
【0009】
課金要求装置は、特定区域の利用料金を算出する料金算出部を更に有し、課金要求部は、料金算出部が算出した利用料金の課金処理を課金処理装置に要求してよい。
【0010】
課金要求装置は、特定区域の利用に対して課金処理されているか否かを判定する課金判定部を更に有し、課金要求部は、特定区域の利用に対して課金処理されていないと課金判定部が判定した場合に、特定区域の利用に対する課金処理を課金処理装置に要求してよい。
【0011】
課金要求装置は、GPS受信装置によって測定された現在位置が特定区域に該当するか否かを判定する位置判定部を更に有し、課金要求部は、GPS受信装置によって測定された現在位置が特定区域に該当すると位置判定部が判定した場合に、特定区域の利用に対して課金処理されていなければ、特定区域の利用に対する課金処理を課金処理装置に要求してよい。
【0012】
本発明の第2の形態によると、自動車が特定区域へ進入した場合に、特定区域の利用に対する課金処理を、自動車による特定区域の利用に対して課金処理する課金処理装置に要求する課金要求装置であって、自動車に設けられて、GPS衛星からの電波を受信して現在位置を測定するGPS受信装置によって測定された現在位置が特定区域に該当する場合、特定区域の利用に対して課金処理されていなければ、特定区域の利用に対する課金処理を課金処理装置に要求し、特定区域への進入路のうち、GPS衛星からの電波を受信し難い進入路に設けられて、進入路に対応する特定区域を示す区域データを無線送信する路側無線装置から区域データを受信した場合、区域データによって示される特定区域の利用に対して課金処理されていなければ、特定区域の利用に対する課金処理を課金処理装置に要求する課金要求部を備える。
【0013】
本発明の第3の形態によると、自動車が特定区域へ進入した場合に、特定区域の利用に対する課金処理を、自動車による特定区域の利用に対して課金処理する課金処理装置に要求する課金要求装置を制御する制御方法であって、自動車に設けられて、GPS衛星からの電波を受信して現在位置を測定するGPS受信装置によって測定された現在位置が特定区域に該当する場合、特定区域の利用に対して課金処理されていなければ、特定区域の利用に対する課金処理を課金処理装置に要求し、特定区域への進入路のうち、GPS衛星からの電波を受信し難い進入路に設けられて、進入路に対応する特定区域を示す区域データを無線送信する路側無線装置から区域データを受信した場合、区域データによって示される特定区域の利用に対して課金処理されていなければ、特定区域の利用に対する課金処理を課金処理装置に要求する課金要求段階を備える。
【0014】
本発明の第4の形態によると、自動車が特定区域へ進入した場合に、特定区域の利用に対する課金処理を、自動車による特定区域の利用に対して課金処理する課金処理装置に要求する課金要求装置用のプログラムであって、課金要求装置を、自動車に設けられて、GPS衛星からの電波を受信して現在位置を測定するGPS受信装置によって測定された現在位置が特定区域に該当する場合、特定区域の利用に対して課金処理されていなければ、特定区域の利用に対する課金処理を課金処理装置に要求し、特定区域への進入路のうち、GPS衛星からの電波を受信し難い進入路に設けられて、進入路に対応する特定区域を示す区域データを無線送信する路側無線装置から区域データを受信した場合、区域データによって示される特定区域の利用に対して課金処理されていなければ、特定区域の利用に対する課金処理を課金処理装置に要求する課金要求部として機能させる。
【0015】
なおまた、上記の発明の概要は、本発明の必要な特徴の全てを列挙したものではなく、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となり得る。
【発明の効果】
【0016】
以上の説明から明らかなように、この発明は、ロードプライシングシステムにおいて、GPS受信装置によって測定された現在位置と、路側無線装置から受信したデータを利用して、特定区域の利用に対する課金を行うにあたり、重複課金されないようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】一実施形態に係るロードプライシングシステム100の利用環境の一例を示す図である。
【
図2】車載器110のブロック構成の一例を示す図である。
【
図3】区域情報格納部117に格納されている情報の一例をテーブル形式で示す図である。
【
図4】課金履歴情報格納部118に格納される情報の一例をテーブル形式で示す図である。
【
図5】料金情報格納部119に格納されている情報の一例をテーブル形式で示す図である。
【
図6】車載器110の動作フローの一例を示す図である。
【
図7】車載器110をコンピュータ等の電子情報処理装置で構成した場合のハードウェア構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではなく、また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0019】
図1は、一実施形態に係るロードプライシングシステム100の利用環境の一例を示す。ロードプライシングシステム100は、自動車Vによる課金対象の道路や地域の利用に対して課金するシステムである。なおまた、課金対象の道路や地域は、この発明における「特定区域」の一例であってよい。
【0020】
ロードプライシングシステム100は、車載器110、GPS受信機130、DSRC路側無線装置150、及び課金サーバ170を備える。なおまた、車載器110は、この発明における「課金要求装置」の一例であってよい。また、GPS受信機130は、この発明における「GPS受信装置」の一例であってよい。また、DSRC路側無線装置150は、この発明における「路側無線装置」の一例であってよい。また、課金サーバ170は、この発明における「課金処理装置」の一例であってよい。
【0021】
車載器110は、自動車Vに設けられている。そして、車載器110は、自動車Vが課金対象の道路や地域へ進入した場合に、課金対象の道路や地域の利用に対する課金処理を、通信回線Nを介して課金サーバ170に要求する。ここで、通信回線Nは、インターネット等のコンピュータネットワーク、通信事業者のコアネットワーク、及び種々のローカルネットワークを含む。
【0022】
GPS受信機130は、自動車Vに設けられている。そして、GPS受信機130は、GPS衛星からの電波を受信して現在位置を測定する。
【0023】
DSRC路側無線装置150は、課金対象の道路や地域への進入路のうち、GPS衛星からの電波を受信し難い進入路に設けられている。ここで、GPS衛星からの電波を受信し難い進入路とは、例えば、周辺の建物によりGPSの電波が多重反射し易い進入路等である。そして、DSRC路側無線装置150は、進入路に対応する課金対象の道路や地域を示す区域データを無線送信する。
【0024】
課金サーバ170は、自動車Vによる課金対象の道路や地域の利用に対する課金処理を行う。
【0025】
図2は、車載器110のブロック構成の一例を示す。車載器110は、測定データ入力受付部111、区域データ受信部112、位置判定部113、課金判定部114、料金算出部115、課金要求部116、区域情報格納部117、課金履歴情報格納部118、及び料金情報格納部119を有する。以下、各構成要素の機能及び動作を説明する。
【0026】
測定データ入力受付部111は、GPS受信機130によって測定された現在位置を示す測定データの入力を、GPS受信機130から受け付ける。
【0027】
区域データ受信部112は、DSRC路側無線装置150から無線送信された区域データを受信する。
【0028】
位置判定部113は、GPS受信機130によって測定された現在位置が課金対象の道路や地域に該当するか否かを判定する。
【0029】
課金判定部114は、課金対象の道路や地域の利用に対して課金処理されているか否かを判定する。
【0030】
料金算出部115は、課金対象の道路や地域の利用料金を算出する。
【0031】
課金要求部116は、GPS受信機130によって測定された現在位置が課金対象の道路や地域に該当する場合、その課金対象の道路や地域の利用に対して課金処理されていなければ、その課金対象の道路や地域の利用に対する課金処理を課金サーバ170に要求する。また、課金要求部116は、DSRC路側無線装置150から区域データを受信した場合、その区域データによって示される課金対象の道路や地域の利用に対して課金処理されていなければ、その課金対象の道路や地域の利用に対する課金処理を課金サーバ170に要求する。より具体的に説明すると、課金要求部116は、料金算出部115が算出した利用料金の課金処理を課金サーバ170に要求する。また、課金要求部116は、課金対象の道路や地域の利用に対して課金処理されていないと課金判定部114が判定した場合に、その課金対象の道路や地域に対する課金処理を課金サーバ170に要求する。また、課金要求部116は、GPS受信機130によって測定された現在位置が課金対象の道路や地域に該当すると位置判定部113が判定した場合に、その課金対象の道路や地域の利用に対して課金処理されていなければ、その課金対象の道路や地域に対する課金処理を課金サーバ170に要求する。
【0032】
図3は、区域情報格納部117に格納されている情報の一例をテーブル形式で示す。区域情報格納部117には、区域、及び境界位置の各情報が対応付けられて格納されている。
【0033】
区域の情報は、課金対象の道路や地域を示す情報である。境界位置の情報は、区域の情報によって示される課金対象の道路や地域の境界の位置を特定するための情報である。
【0034】
図4は、課金履歴情報格納部118に格納される情報の一例をテーブル形式で示す。課金履歴情報格納部118には、区域、課金日時(年/月/日/時:分:秒)の各情報が対応付けられて格納される。
【0035】
区域の情報は、自動車Vが進入した課金対象の道路や地域を示す情報である。課金日時(年/月/日/時:分:秒)の情報は、区域の情報によって示される課金対象の道路や地域の利用に対して課金された日時を示す情報である。
【0036】
図5は、料金情報格納部119に格納されている情報の一例をテーブル形式で示す。料金情報格納部119には、区域、時間帯(時:分〜時:分)、及び料金(円)の各情報が対応付けられて格納されている。
【0037】
区域の情報は、課金対象の道路や地域を示す情報である。時間帯(時:分〜時:分)の情報は、1日のうちの、ある時刻とある時刻との間の一定の時間を示す情報である。料金(円)の情報は、区域の情報によって示される課金対象の道路や地域を、時間帯の情報によって示される時間に利用した場合の利用料金を示す情報である。
【0038】
図6は、車載器110の動作フローの一例を示す。この動作フローは、課金対象の道路や地域に自動車Vが進入するときの車載器110の動作を示す。この動作フローの説明においては、
図1から
図5を共に参照する。
【0039】
GPS受信機130は、GPS衛星からの電波を受信して現在位置を測定しており、その測定結果である現在位置を示す測定データを所定時間置きに出力する。
【0040】
車載器110の測定データ入力受付部111は、GPS受信機130から出力された測定データの入力を受け付けると(S101)、その測定データを、位置判定部113へ送る。
【0041】
車載器110の位置判定部113は、測定データ入力受付部111から送られたデータを受け取ると、区域情報格納部117に格納されている情報を参照して、その測定データによって示される現在位置が課金対象の道路や地域に該当するか否かを判定する(S102)。より具体的に説明すると、区域情報格納部117には、
図3に示すように、課金対象の道路や地域の境界の位置を特定するための境界位置情報が格納されている。例えば、課金対象の道路の境界は、境界位置の情報として格納されている2つの座標を結んだ線とする。同様に、課金対象の地域の境界は、境界位置の情報として格納されている複数の座標を結んだ線とする。即ち、位置判定部113は、測定データによって示される現在位置が課金対象の地域の境界線を超えた場合に、自動車Vの現在位置が課金対象の道路や地域に該当すると判定する(S102:Yes)。そして、位置判定部113は、自動車Vの現在位置が課金対象の道路や地域に該当すると判定した場合、その該当する課金対象の道路や地域を示すデータを、課金判定部114へ送る。
【0042】
ところで、上述したように、課金対象の道路や通路への進入路のうち、GPS衛星からの電波を受信し難い進入路には、DSRC路側無線装置150が設けられている。そして、DSRC路側無線装置150は、進入路に対応する課金対象の道路や地域を示す区域データを送信している。
【0043】
車載器110の区域データ受信部112は、DSRC路側無線装置150の通信範囲内に自動車Vが進入することによって、DSRC路側無線装置150から送信された区域データを受信すると(S103:Yes)、その区域データを、課金判定部114へ送る。
【0044】
車載器110の課金判定部114は、位置判定部113から送られたデータを受け取ると、課金履歴情報格納部118に格納されている情報を参照して、そのデータによって示される課金対象の道路や地域の利用に対して課金処理されているか否かを判定する(S104)。より具体的に説明すると、課金判定部114は、位置判定部113から受け取ったデータによって示される課金対象の道路や地域の利用に対して課金された課金日時の情報が課金履歴情報格納部118に格納されていれば、課金処理されていると判定する(S104:Yes)。同様に、課金判定部114は、区域データ受信部112から送られたデータを受け取った場合にも、課金履歴情報格納部118に格納されている情報を参照して、その区域データによって示される課金対象の道路や地域の利用に対して課金処理されているか否かを判定する。そして、課金判定部114は、課金対象の道路や地域の利用に対して課金処理されていると判定した場合、その課金対象の道路や地域を示すデータを、料金算出部115へ送る。
【0045】
車載器110の料金算出部115は、課金判定部114から送られたデータを受け取ると、料金情報格納部119に格納されている情報を参照して、そのデータによって示される課金対象の道路や地域の利用料金を算出する(S105)。そして、料金算出部115は、算出した利用料金を示すデータを、課金要求部116へ送る。
【0046】
車載器110の課金要求部116は、料金算出部115から送られたデータを受け取ると、そのデータによって示される利用料金の課金処理を要求する旨のデータを、課金サーバ170へ送信する(S106)。そして、課金要求部116は、課金処理の要求を行った課金日時の情報を、課金履歴情報格納部118に格納する。
【0047】
課金サーバ170は、車載器110から送信されたデータを受け取ると、そのデータによって示される要求に従って、利用料金の課金処理を行う。
【0048】
以上説明したように、ロードプライシングシステム100は、GPS受信機130によって測定された現在位置と、DSRC路側無線装置150から受信した区域データを利用して、課金対象の道路や地域の利用に対する課金を行うにあたり、重複課金されないようにすることができる。
【0049】
なおまた、上述した実施形態においては、課金サーバ170に対する課金要求を、車載器110が行う例について説明した。しかしながら、課金サーバ170に対する課金要求処理は、例えば、車載器110、及び課金サーバ170と通信回線Nを介して通信接続される課金要求サーバが行うこともできる。その場合、車載器110の測定データ入力受付部111、及び区域データ受信部112以外の少なくとも課金要求部116を含む他の構成要件は、課金要求サーバの構成要件とすることができる。但し、上述した実施形態のように、課金要求サーバを備えないシステムとして、車載器110が全ての構成要件を有する場合には、車載器110と課金要求サーバ間の通信によるタイムラグがないことから、課金要求されるまでの時間が短縮される。
【0050】
図7は、車載器110をコンピュータ等の電子情報処理装置で構成した場合のハードウェア構成の一例を示す。車載器110は、CPU(Central Processing Unit)周辺部と、入出力部と、レガシー入出力部とを備える。CPU周辺部は、ホスト・コントローラ801により相互に接続されるCPU802、RAM(Random Access Memory)803、グラフィック・コントローラ804、及び表示装置805を有する。入出力部は、入出力コントローラ806によりホスト・コントローラ801に接続される通信インターフェース807、ハードディスクドライブ808、及びCD−ROM(Compact Disk Read Only Memory)ドライブ809を有する。レガシー入出力部は、入出力コントローラ806に接続されるROM(Read Only Memory)810、フレキシブルディスク・ドライブ811、及び入出力チップ812を有する。
【0051】
ホスト・コントローラ801は、RAM803と、高い転送レートでRAM803をアクセスするCPU802、及びグラフィック・コントローラ804とを接続する。CPU802は、ROM810、及びRAM803に格納されたプログラムに基づいて動作して、各部の制御をする。グラフィック・コントローラ804は、CPU802等がRAM803内に設けたフレーム・バッファ上に生成する画像データを取得して、表示装置805上に表示させる。これに代えて、グラフィック・コントローラ804は、CPU802等が生成する画像データを格納するフレーム・バッファを、内部に含んでもよい。
【0052】
入出力コントローラ806は、ホスト・コントローラ801と、比較的高速な入出力装置であるハードディスクドライブ808、通信インターフェース807、CD−ROMドライブ809を接続する。ハードディスクドライブ808は、CPU802が使用するプログラム、及びデータを格納する。通信インターフェース807は、ネットワーク通信装置891に接続してプログラム又はデータを送受信する。CD−ROMドライブ809は、CD−ROM892からプログラム又はデータを読み取り、RAM803を介してハードディスクドライブ808、及び通信インターフェース807に提供する。
【0053】
入出力コントローラ806には、ROM810と、フレキシブルディスク・ドライブ811、及び入出力チップ812の比較的低速な入出力装置とが接続される。ROM810は、車載器110が起動時に実行するブート・プログラム、あるいは車載器110のハードウェアに依存するプログラム等を格納する。フレキシブルディスク・ドライブ811は、フレキシブルディスク893からプログラム又はデータを読み取り、RAM803を介してハードディスクドライブ808、及び通信インターフェース807に提供する。入出力チップ812は、フレキシブルディスク・ドライブ811、あるいはパラレル・ポート、シリアル・ポート、キーボード・ポート、マウス・ポート等を介して各種の入出力装置を接続する。
【0054】
CPU802が実行するプログラムは、フレキシブルディスク893、CD−ROM892、又はIC(Integrated Circuit)カード等の記録媒体に格納されて利用者によって提供される。記録媒体に格納されたプログラムは圧縮されていても非圧縮であってもよい。プログラムは、記録媒体からハードディスクドライブ808にインストールされ、RAM803に読み出されてCPU802により実行される。CPU802により実行されるプログラムは、車載器110を、
図1から
図6に関連して説明した測定データ入力受付部111、区域データ受信部112、位置判定部113、課金判定部114、料金算出部115、課金要求部116、区域情報格納部117、課金履歴情報格納部118、及び料金情報格納部119として機能させる。
【0055】
以上に示したプログラムは、外部の記憶媒体に格納されてもよい。記憶媒体としては、フレキシブルディスク893、CD−ROM892の他に、DVD(Digital Versatile Disk)又はPD(Phase Disk)等の光学記録媒体、MD(MiniDisk)等の光磁気記録媒体、テープ媒体、ICカード等の半導体メモリ等を用いることができる。また、専用通信ネットワークあるいはインターネットに接続されたサーバシステムに設けたハードディスク又はRAM等の記憶媒体を記録媒体として使用して、ネットワークを介したプログラムとして提供してもよい。
【0056】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は、上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更又は改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。そのような変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【産業上の利用可能性】
【0057】
本発明のいくつかの態様によれば、自動車による特定区域の利用に対して課金することができる。
【符号の説明】
【0058】
100 電気給湯システム
110 ヒートポンプユニット制御装置
111 設定データ入力受付部
112 しきい値データ入力受付部
113 総需要電力予測部
114 気象予報データ入力受付部
115 供給電力予測部
116 電力需給予測値算出部
117 余剰電力時間算出部
118 蓄熱量データ入力受付部
119 需要量予測部
120 蓄熱量予測値算出部
121 蓄熱量設定値データ入力受付部
122 要求熱量算出部
123 必要稼働時間算出部
124 時間判定部
125 スケジュール生成部
126 制御データ出力部
127 設定データ格納部
128 しきい値データ格納部
129 総需要電力データ格納部
130 需要量データ格納部
131 蓄熱量設定値データ格納部
140 太陽光発電装置
150 商用電源
160 二次電池
170 分電盤
180 自然冷媒ヒートポンプ給湯機
181 ヒートポンプユニット
182 貯湯タンク
190 家電機器
190a 電子レンジ
190b トースター
190c ミキサー
200 Webサーバ
210 通信回線
801 ホスト・コントローラ
802 CPU
803 RAM
804 グラフィック・コントローラ
805 表示装置
806 入出力コントローラ
807 通信インターフェース
808 ハードディスクドライブ
809 CD−ROMドライブ
810 ROM
811 フレキシブルディスク・ドライブ
812 入出力チップ
891 ネットワーク通信装置
892 CD−ROM
893 フレキシブルディスク