特許第5791774号(P5791774)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5791774
(24)【登録日】2015年8月14日
(45)【発行日】2015年10月7日
(54)【発明の名称】粘着テープ包装袋
(51)【国際特許分類】
   A61F 13/02 20060101AFI20150917BHJP
【FI】
   A61F13/02 F
   A61F13/02 380
【請求項の数】12
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2014-192765(P2014-192765)
(22)【出願日】2014年9月22日
(62)【分割の表示】特願2010-542958(P2010-542958)の分割
【原出願日】2009年12月14日
(65)【公開番号】特開2014-237055(P2014-237055A)
(43)【公開日】2014年12月18日
【審査請求日】2014年10月21日
(31)【優先権主張番号】特願2008-320248(P2008-320248)
(32)【優先日】2008年12月16日
(33)【優先権主張国】JP
(31)【優先権主張番号】特願2008-331456(P2008-331456)
(32)【優先日】2008年12月25日
(33)【優先権主張国】JP
(31)【優先権主張番号】特願2009-20009(P2009-20009)
(32)【優先日】2009年1月30日
(33)【優先権主張国】JP
(31)【優先権主張番号】特願2009-217768(P2009-217768)
(32)【優先日】2009年9月18日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000160522
【氏名又は名称】久光製薬株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100128381
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 義憲
(74)【代理人】
【識別番号】100126653
【弁理士】
【氏名又は名称】木元 克輔
(72)【発明者】
【氏名】宮地 勲
(72)【発明者】
【氏名】高野 雄一
(72)【発明者】
【氏名】角田 広光
【審査官】 一ノ瀬 薫
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭61−151288(JP,A)
【文献】 特表2002−530150(JP,A)
【文献】 米国特許第4265234(US,A)
【文献】 特開昭59−49762(JP,A)
【文献】 特許第5675368(JP,B2)
【文献】 特許第5635911(JP,B2)
【文献】 特許第5571232(JP,B2)
【文献】 特開2015−57111(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 13/02
A61K 9/70
A61J 1/00
A61M 35/00 − 37/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持体と、前記支持体の一方の面に設けられた粘着剤層とを有する粘着テープを収容する粘着テープ包装袋であって、前記粘着剤層に剥離可能に付着される剥離シートから構成される前記粘着テープ包装袋において、
前記剥離シートは所定の第1折曲げ線に沿って第1部分と第2部分とに折り曲げられ、
前記粘着剤層が外側に向くように前記粘着テープが所定の第2折曲げ線に沿って第1部分と第2部分とに折り曲げられ、
前記第1折曲げ線及び前記第2折曲げ線が互いに隣合って接した状態で、折り曲げられた前記粘着テープが、折り曲げられた前記剥離シートの内側に封じられており、
前記粘着テープの前記第1部分が前記粘着テープの前記第2部分よりも大きく、前記粘着テープの前記第1部分が、前記粘着テープの前記第2部分からはみ出すはみ出し部分を有しており、
前記粘着テープの前記第2部分側となる前記剥離シートの部分で、前記はみ出し部分に対向する部分の少なくとも一部分には、仮止め手段が設けられており、
前記仮止め手段を介しての、前記剥離シートに対する前記粘着テープの前記支持体の付着力が、前記剥離シートに対する前記粘着剤層の付着力よりも大きいことを特徴とする粘着テープ包装袋。
【請求項2】
支持体と、前記支持体の一方の面に設けられた粘着剤層とを有する粘着テープを収容する粘着テープ包装袋であって、前記粘着剤層に剥離可能に付着される剥離シートから構成される前記粘着テープ包装袋において、
前記剥離シートは所定の第1折曲げ線に沿って第1部分と第2部分とに折り曲げられ、
前記粘着剤層が外側に向くように前記粘着テープが所定の第2折曲げ線に沿って第1部分と第2部分とに折り曲げられ、
前記第1折曲げ線及び前記第2折曲げ線が互いに隣合い且つ離隔した状態で、折り曲げられた前記粘着テープが、折り曲げられた前記剥離シートの内側に封じられており、
前記粘着テープの前記第1部分が前記粘着テープの前記第2部分よりも大きく、前記粘着テープの前記第1部分が、前記粘着テープの前記第2部分からはみ出すはみ出し部分を有しており、
前記粘着テープの前記第2部分側となる前記剥離シートの部分で、前記はみ出し部分に対向する部分の少なくとも一部分には、仮止め手段が設けられており、
前記仮止め手段を介しての、前記剥離シートに対する前記粘着テープの前記支持体の付着力が、前記剥離シートに対する前記粘着剤層の付着力よりも大きいことを特徴とする粘着テープ包装袋。
【請求項3】
支持体と、前記支持体の一方の面に設けられた粘着剤層とを有する粘着テープを収容する粘着テープ包装袋であって、前記粘着剤層に剥離可能に付着される剥離シートから構成される前記粘着テープ包装袋において、
前記剥離シートは所定の第1折曲げ線に沿って第1部分と第2部分とに折り曲げられ、
前記粘着剤層が外側に向くように前記粘着テープが所定の第2折曲げ線に沿って第1部分と第2部分とに折り曲げられており、
前記第1折曲げ線及び前記第2折曲げ線が互いに隣合って接した状態で、折り曲げられた前記粘着テープが、折り曲げられた前記剥離シートの内側に封じられており、
前記粘着テープの前記第1部分が前記粘着テープの前記第2部分と実質的に同形であり、
前記粘着テープの前記第1部分と前記粘着テープの前記第2部分との間に仮止め手段が設けられており、
前記仮止め手段の付着力が、前記剥離シートに対する前記粘着剤層の付着力よりも大きいことを特徴とする粘着テープ包装袋。
【請求項4】
支持体と、前記支持体の一方の面に設けられた粘着剤層とを有する粘着テープを収容する粘着テープ包装袋であって、前記粘着剤層に剥離可能に付着される剥離シートから構成される前記粘着テープ包装袋において、
前記剥離シートは所定の第1折曲げ線に沿って第1部分と第2部分とに折り曲げられ、
前記粘着剤層が外側に向くように前記粘着テープが所定の第2折曲げ線に沿って第1部分と第2部分とに折り曲げられ、
前記第1折曲げ線及び前記第2折曲げ線が互いに隣合い且つ離隔した状態で、折り曲げられた前記粘着テープが、折り曲げられた前記剥離シートの内側に封じられており、
前記粘着テープの前記第1部分が前記粘着テープの前記第2部分と実質的に同形であり、
前記粘着テープの前記第1部分と前記粘着テープの前記第2部分との間に仮止め手段が設けられており、
前記仮止め手段の付着力が、前記剥離シートに対する前記粘着剤層の付着力よりも大きいことを特徴とする粘着テープ包装袋。
【請求項5】
前記剥離シートの前記第1部分が前記剥離シートの前記第2部分と実質的に同形であり、
前記剥離シートの前記第1部分と前記第2部分とが互いに重ね合わされ、
前記剥離シートの前記第1部分と前記第2部分との重ね合わされた部分であって、前記粘着テープを囲む部分が密閉されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の粘着テープ包装袋。
【請求項6】
前記剥離シートの前記第1部分と前記第2部分との間を密閉すべく面接合された面接合部の外縁に、外方に突出する凸点を少なくとも1つ形成したことを特徴とする請求項5に記載の粘着テープ包装袋。
【請求項7】
前記粘着テープの前記第1部分の前記粘着剤層と前記剥離シートとの付着力を抑制する付着力抑制手段が、前記剥離シートの少なくとも一部分に設けられていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の粘着テープ包装袋。
【請求項8】
前記付着力抑制手段が、前記剥離シートの、前記粘着テープの前記第1部分の前記粘着剤層と付着する部分の少なくとも一部分に施されたシリコン処理面であることを特徴とする請求項7に記載の粘着テープ包装袋。
【請求項9】
前記付着力抑制手段が、前記剥離シートの、前記粘着テープの前記第1部分の前記粘着剤層と付着する部分の少なくとも一部分に施されたエンボス加工面及び/又はサンド加工面であることを特徴とする請求項7に記載の粘着テープ包装袋。
【請求項10】
前記仮止め手段が前記粘着テープの前記支持体に接着性を有することを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項に記載の粘着テープ包装袋。
【請求項11】
前記粘着テープが皮膚又は粘膜に用いることを特徴とする請求項1〜10のいずれか一項に記載の粘着テープ包装袋。
【請求項12】
前記剥離シートを開封した後、前記粘着テープの前記第1部分の前記粘着剤層が露出し、かかる露出部分を貼付部位ないし貼付部位の近傍に当て、次いで、前記剥離シートの前記第1部分を保持したまま、前記剥離シートをその長手方向かつ前記粘着テープから遠ざかる向きに引っ張ることにより、貼付することができることを特徴とする請求項1〜11のいずれか一項に記載の粘着テープ包装袋。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、支持体に粘着剤層を有する粘着テープを包装する包装袋に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、種々の形態からなる粘着テープが知られ、ラベル、医療用、化粧用、装飾用、マスキング用、電子工業用、その他種々の用途に使用されている。医療用で使用される粘着テープとしては、パップ剤、プラスター剤、絆創膏、サージカルテープ等の貼付剤の形態で、通常皮膚、粘膜等に貼付される。
【0003】
このような粘着テープは通常、支持体と、その支持体の一方の面に設けられた粘着剤層とを有する粘着テープ、及び、粘着剤層に剥離可能に付着された剥離シートから構成される。粘着テープは製造された後、適度な大きさに裁断され、衛生的かつ物理的に保護するため個別に包装袋に入れられた状態で流通し、販売される場合がある。この場合に、使用の際は、包装袋を破り、粘着テープを取り出し、剥離シートを剥がして粘着剤層を露出させて、貼付部位に貼付する。
【0004】
使用の際によく問題となるのは、剥離シートの剥がしにくさの点である。剥離シートは一般に薄くて柔軟であるため取扱いにくく、剥がすのに時間を要することがある。この点を改善するため、例えば、下記の特許文献1〜4等に開示されているように、剥離シートの剥がしやすさ及び粘着テープの貼りやすさを追求した種々の剥離シート及び粘着テープが開発されている。
【0005】
これらの剥離シート又は粘着テープはいずれも、粘着テープの貼りやすさの観点から利便性を追求した構造である。確かに便利ではあるが、粘着テープが剥離シート及び包装袋をそれぞれ備える態様を維持していることには変わりがなく、使用後には剥離シート及び包装袋がゴミとして発生する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−75602号公報
【特許文献2】特開2007−75601号公報
【特許文献3】特許第3689807号公報
【特許文献4】実開昭50−133797号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、粘着テープの貼りやすさを追求しながら、省資源という効果を奏することのできる粘着テープを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を達成するために、本発明は、支持体と、その支持体の一方の面に設けられた粘着剤層とを有する粘着テープを収容する粘着テープ包装袋であって、粘着剤層に剥離可能に付着される剥離シートから構成される粘着テープ包装袋において、剥離シートは所定の第1折曲げ線に沿って第1部分と第2部分とに折り曲げられ、粘着剤層が外側に向くように粘着テープが所定の第2折曲げ線に沿って第1部分と第2部分とに折り曲げられ、折り曲げられた前記剥離シートの内側に、折り曲げられた前記粘着テープが封じられていることを特徴としている。このような構成とすることで、従来存在した包装袋を省略することが可能となる。また、剥離シートを粘着テープの粘着剤層から剥がしながら開くと、粘着剤層の半分が露出するため、貼付部位への貼付が容易となる。なお、第1折曲げ線及び第2折曲げ線が隣接した状態で、粘着テープが、折り曲げられた剥離シートの内側に封じられること(図1参照)が好ましいが、第1と第2の折曲げ線の向きはこれに限られず、第1折曲げ線と第2折曲げ線とが相反する側に配置される状態としてもよい(図13参照)。
【0009】
剥離シートの第1部分は、剥離シートの第2部分と実質的に同形であり、剥離シートの第1部分と第2部分とが互いに重ね合わされ、第1部分と第2部分との重ね合わさせた部分であって、粘着テープを囲む部分が密閉されていることが好ましい。剥離シートが密閉されると、内部が外界と遮断されるため、粘着テープがより衛生的かつ物理的に保護され、粘着テープの粘着剤層の成分が外界に漏れない。
【0010】
剥離シートの第1部分と第2部分との間を密閉すべく面接合された面接合部の外縁に、外方に突出する凸点を少なくとも1つ形成することも有効である。開封時、この凸点に力が集中するため、凸点から面接合が破断を開始して開封が容易化されるためである。
【0011】
剥離シートの第1部分と第2部分との間に、開封用の摘み部分としての非接着部分を設けることが好ましい。また、剥離シートの第1部分と第2部分のいずれか一方の非接着部分に、ノッチのような触感により認識できる印を設けた場合には、目の不自由な者でも、粘着テープの粘着剤層の露出する向きを容易に把握することができる。なお、「いずれか一方」と記載したが、これは、剥離シートの第1部分には1つのノッチ、第2部分には2つのノッチのように、種類の異なる印であれば、第1部分と第2部分の両方に付す場合も含むものと理解されたい。
【0012】
粘着テープの第1部分の粘着剤層と剥離シートとの付着力を抑制する付着力抑制手段が、剥離シートの少なくとも一部分に設けられていることが好ましい。剥離シートを開いた際に、簡単に粘着剤層が剥離シートから離れて粘着面が露出するため、貼付部位への貼付が容易となるからである。
【0013】
剥離シートは、粘着テープの粘着層を使用時まで保護することができれば、その材質、構成は特に限定はされないが、外層からセロハンフィルム、プラスチックフィルム、アルミニウム箔、次いで内層に更にプラスチックフィルムを積層した構成が好ましく、更に付着力抑制手段が、剥離シートの、粘着テープの第1部分の粘着剤層と付着する部分の少なくとも一部分に施されたシリコン処理面であることが好ましい。種々の付着力抑制手段の中でもシリコン処理は比較的容易かつ安価に行うことができるという利点がある。付着力抑制手段としては他に、当該部分にエンボス加工及び/又はサンド加工を施してもよい。
【0014】
粘着テープの粘着剤層から剥離シートを容易に剥離させるための別の手段として、粘着テープの第1部分が粘着テープの第2部分よりも大きく、第1部分が、第2部分からはみ出すはみ出し部分を有しており、粘着テープの第2部分側となる剥離シートの部分で、前記はみ出し部分に対向する部分の少なくとも一部分には、仮止め手段が設けられてもよい。この仮止め手段を介しての、剥離シートに対する粘着テープの支持体の付着力は、剥離シートに対する粘着剤層の付着力よりも高くなるようにすることが好ましい。仮止め手段としては粘着剤、すなわち粘着テープの支持体に接着性を有するものが好ましい。剥離シートにこのような仮止め手段を設けることで、シリコン処理面等がなくても、粘着テープの第1部分が剥離シートから分離しやすくなるが、仮止め手段の設置をシリコン処理面等と併用すると、更に好ましい。
【0015】
なお、粘着テープの第1部分と第2部分とを実質的に同形とし、この第1部分と第2部分との間に仮止め手段を設けてもよい。この場合、仮止め手段の付着力は、剥離シートに対する粘着剤層の付着力よりも大きいことが好ましい。
【0016】
上記のように構成された粘着テープ包装袋は、剥離シートを開封したと同時に現れる粘着テープの粘着剤層の露出部を貼付する部位に接着させ、その後剥離シートの長手方向かつ粘着テープから遠ざかる向きに貼付部位に沿うように引っ張ることで、粘着テープの全面が貼付部位に貼付可能となる。
【発明の効果】
【0017】
本発明の粘着テープ包装袋によれば、粘着テープが剥離シートを有し、個別に包装する態様の粘着テープであれば他の粘着テープに対しても全て適用可能であり、省資源で貼付が容易な粘着テープ包装袋が提供される。すなわち、本発明の粘着テープ包装袋は、従来個別に存在する包装袋を省略することが可能であり、粘着テープの保管時には、包装袋が省略されても、剥離シートを密閉することで内部が外界と遮断されるため、粘着テープが衛生的かつ物理的に保護される。
【0018】
また、粘着テープの使用時には、剥離シートを粘着テープの粘着剤層から剥がしながら開くと、粘着剤層の半分が露出するため、貼付部位への貼付が容易となる。しかも、剥離シートの半分を剥がした後、粘着テープは剥離シートの残りの部分上で支えられ或いは補強された状態となるので、粘着剤同士が接着し粘着テープが使用できない状態になることもなく、これも貼付を容易にするものである。また、粘着テープが人体に貼付することができる貼付剤、すなわちプラスター剤、パップ剤や絆創膏、サージカルテープ、貼るタイプのカイロなどの場合、貼付部位が一人では貼付しにくい背中等であっても、手を汚さず片手で容易に貼付することができる。
【0019】
また、本発明の粘着テープ包装袋によれば、剥離シートと粘着テープの支持体との間に仮止め手段を設けることで、シリコン処理面等がなくても、粘着テープの第1部分が剥離シートから分離しやすくなり、粘着剤層の半分を容易に露出させることができる。
【0020】
本発明の粘着テープ包装袋は一枚単位で製品化されるため、携帯利便性に優れる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】(a)〜(c)は本発明の第1実施形態に係る粘着テープ包装袋の製造工程を示す斜視図である。
図2】粘着テープに剥離シートを付着させた状態の断面図である。
図3】(a)〜(d)は剥離シートの辺縁の形状を例示した図である。
図4】(a)〜(c)は本発明による粘着テープ包装袋の使用方法を示す斜視図である。
図5】本発明による粘着テープを貼付部位に貼付する場面を示す図である。
図6】本発明による粘着テープを貼付部位に貼付する場面の図であり、図4から続く状態を示す図である。
図7】本発明による粘着テープを貼付部位に貼付し終えた様子を示す図である。
図8】(a)及び(b)は開封を容易にするための形態の例を示す斜視図である。
図9】(a)及び(b)は開封を容易にするための形態の更に別の例を示す斜視図である。
図10】本発明の第2実施形態に係る粘着テープ包装袋を示す概略説明図である。
図11】(a)及び(b)は本発明の第2実施形態の変形例を示す概略説明図である。
図12】本発明の第2実施形態の更に別の変形例を示す概略説明図である。
図13】本発明による粘着テープ包装袋の他の実施形態を示す断面図である。
図14】剥離シートの折曲げ側の端部をヒートシールした、本発明による粘着テープ包装袋を示す断面図である。
図15】本発明による粘着テープ包装袋の更に別の実施形態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明する。なお、全図を通して同一又は相当部分には同一符号を付し、その重複した説明は省略する。
【0023】
[第1実施形態]
図1の(a)〜(c)は、本発明による粘着テープ包装袋10の製造工程を表す斜視図である。この粘着テープ包装袋10は、片方の面に粘着剤層12を有する粘着テープ14、及び、粘着テープ14全体を覆う形の剥離シート16を備える。粘着テープ14及び剥離シート16は共に、長方形が好ましい。
【0024】
図2は、粘着テープ14に剥離シート16を付着させた状態の断面図を示す。粘着テープ14は、支持体18と、その一方の面に積層された粘着剤層12とを備えており、これに剥離シート16が剥離可能に付着している。
【0025】
本発明の粘着テープ包装袋は、ラベル、医療用、化粧用、装飾用、マスキング用、電子工業用、その他種々の用途に使用される。特に、医療用、化粧用等で使用される粘着テープ包装袋は、パップ剤、プラスター剤、絆創膏、サージカルテープ、化粧用パック剤、貼るタイプのカイロなど通常皮膚、粘膜等に貼付される貼付剤の包装袋として用いることが可能である。
【0026】
支持体18の構成材料は、粘着剤層12を支持し得るものであれば特に制限されないが、通常、織布、不織布、プラスチック等からなるフィルム、金属箔等が用いられる。更に支持体は、単層構造でも積層構造であってもよく、例えば異なる材料からなる複数の織布又は不織布を積層した構造であってもよく、プラスチックフィルム、金属箔等と織布又は不織布を積層した構造であってもよい。
【0027】
また、本発明に用いる織布又は不織布は、特に限定はされず、繊維状の素材を布状に加工したものであって、粘着テープの支持体に使用できるものであればよく、例えば編み目を丸編み、経て編み、緯(よこ)編み等により集合させて布状に加工した編布も含まれる。
【0028】
織布又は不織布の好ましい例としては、ポリエステル系樹脂、ポリエチレン系樹脂及びポリプロピレン系樹脂からなる群より選ばれる樹脂繊維の少なくとも一種からなる織布又は不織布が挙げられ、中でも粘着剤層に含有される成分との相互作用が少ないポリエステル系のポリエチレンテレフタレートからなる織布が好ましい。
【0029】
プラスチックフィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル、ナイロンなどのポリアミド、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、可塑化ポリ塩化ビニル、可塑化酢酸ビニル−塩化ビニル共重合体、ポリ塩化ビニリデン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、酢酸セルロース、エチルセルロース、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、ポリテトラフルオロエチレン、ポリウレタン、アイオノマー樹脂を用いて形成されたものが挙げられる。また、本発明の粘着テープを医療用、化粧用の貼付剤として用いる場合は、支持体には、貼付剤としての十分な伸縮性又は非伸縮性を有する材料を用いることが好ましく、特に、ポリエチレンテレフタレートのメリヤス編みの織布(編み布)が好ましい。
【0030】
支持体18としての編み布は、その目付け(単位当たりの質量)が50〜500g/mであることが好ましい。また、支持体18は、JIS L1018の方法に従って測定した場合、縦方向(長軸方向)モジュラスが2〜12N/5cm、横方向(短軸方向)モジュラスも2〜12N/5cmであることが好ましい。なお、ここでいう縦方向とは、編み布を製造する工程における流れ方向のことを指し、横方向とは、縦方向と直交する方向、すなわち幅方向のことを指す。縦方向又は横方向が2N/5cmより低いモジュラスである場合、貼付部分にしわを伸ばしながら貼付することが困難な傾向がみられ、また、縦方向又は横方向が12N/5cmより高いモジュラスである場合は、逆に貼付の際に粘着テープが伸びすぎ、しわが生じやすくなる傾向がある。なお、モジュラスは室温(25℃)の値である。
【0031】
上記の支持体18を用いることにより、後述する仮止め手段による仮止めが容易となり、また、仮止めから取り外した後の支持体18の形状、構造に殆ど変化がない。すなわち、例えば毛羽立ち等が生じない。また、粘着テープ包装袋10内の二つ折りが容易で、かつ、嵩張らない。更に、貼付の際は二つ折りにしていた部分に、いわゆる“くせ”が付きにくく、きれいに貼ることができる。
【0032】
粘着剤層12の構成材料である粘着成分としては、粘着性を有し貼付部位に貼着することができれば特に限定はされないが、粘着基剤としてアクリル系粘着成分、ゴム系粘着成分、シリコン系粘着成分などが好ましく用いられ、中でも粘着物性の観点から、ゴム系粘着成分が特に好ましく用いられる。
【0033】
具体的なゴム系粘着成分としては、天然ゴム、合成ゴムのいずれも使用することができ、合成ゴムとしては、例えば、スチレン系ブロックコポリマーやポリイソブチレンが挙げられる。更に、スチレン系ブロックコポリマーとしては、スチレン−ブチレン−スチレンブロックコポリマー(SBS)、スチレン−イソプレン−スチレンブロックコポリマー(SIS)、スチレン−エチレン/ブチレン−スチレンブロックコポリマー(SEBS)、スチレン−エチレン/プロピレン−スチレンブロックコポリマー(SEPS)が挙げられる。 スチレン系ブロックコポリマーの具体例としては、クレイトンD−1112、D−1111、D−1107(商品名、クレイトンポリマー(株)製)、JSR5000又はJSR5002(商品名、日本合成ゴム(株)製)、クインタック3530、3421又は3570C(商品名、日本ゼオン(株)製)、クレイトンD−KX401CS又はD−1107CU(商品名、クレイトンポリマー(株)製)等のリニアトリブロックコポリマーや、クレイトンD−1124(商品名、クレイトンポリマー(株)製)、ソルプレン418(商品名、フィリップペトロリアム(株)製)等の分岐ブロックコポリマー等が挙げられる。
【0034】
ポリイソブチレンとしては、例えば高分子から低分子のものが用いられ、例えば、オパノールB10、B12、B12SF、B15、B15SF、B30SF、B50、B50SF、B80、B100、B120、B150、B200(商品名、BASF(株)製)、ビスタネックスLM−MS、LM−MH、LM−H、MM L−80、MM L−100、MM L−120、MM L−140(商品名、エクソン化学(株)製)等が挙げられる。
【0035】
また、アクリル系高分子としては、モノマー単位として、例えば、アクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリル酸メチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ヒドロキシエチル、メタクリル酸−2−エチルヘキシル等に代表される(メタ)アクリル酸エステルを少なくとも一種含有する重合体又は共重合体等が用いられ、例えば、アクリル酸・アクリル酸オクチルエステル共重合体、アクリル酸−2−エチルヘキシル・N−ビニル−2−ピロリドン・ジメタクリル酸−1,6−ヘキサングリコール共重合体、アクリル酸−2−エチルヘキシル・酢酸ビニル共重合体、アクリル酸−2−エチルヘキシル・酢酸ビニル・アクリル酸共重合体、アクリル酸−2−エチルヘキシル・メタクリル酸−2−エチルヘキシル・メタクリル酸ドデシル共重合体、アクリル酸メチル・アクリル酸−2−エチルヘキシル共重合樹脂エマルジョン、アクリル樹脂アルカノールアミン液に含有するアクリル系高分子等の粘着剤、Duro−Takアクリル粘着剤シリーズ(ナショナルスターチアンドケミカル社製)、GELVAアクリル粘着剤シリーズ(モンサント社製)、SKダインマトリダーム(綜研化学)、オイドラギットシリーズ(樋口商会)等が使用できる。
【0036】
上記ゴム系、アクリル系、シリコン系などの粘着基剤は、一種又は二種以上を混合して用いることも可能である。
【0037】
更に、本発明の粘着テープを医療用のパップ剤、プラスター剤、化粧用のパック剤として用いる場合には、粘着剤層として水溶性高分子も用いることができ、このような水溶性高分子としては、ゼラチン、寒天、アルギン酸、マンナン、カルボキシメチルセルロース又はその塩、ヒドロキシプロピルセルロース又はその塩、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸又はその塩等、あるいは、これらのうちの少なくとも一種を有機又は無機の架橋剤により架橋したものが好ましく用いられる。
【0038】
上記の粘着基剤の他、粘着剤層には適宜、粘着付与剤、軟化剤、溶解剤、水、増粘剤、湿潤剤、充填剤、架橋剤、重合剤、溶解補助剤、吸収促進剤、安定化剤、抗酸化剤、乳化剤、界面活性剤、pH調整剤、薬物、紫外線吸収剤等が添加される。
【0039】
本発明の粘着テープを医療用、化粧用の貼付剤として用いる場合の薬物としては、経皮的に体内に吸収されて薬理効果を発揮するものであれば特に限定されることはなく、例えば、抗炎症剤、鎮痛剤、抗ヒスタミン剤、局所麻酔剤、血行促進剤、麻酔剤、精神安定剤、抗高血圧剤、抗菌剤、血管拡張剤等が挙げられる。
【0040】
本発明の剥離シート16は、粘着テープの包装袋として通常使用されているものであれば用いることができる。また、剥離シート16は、単層又は積層のいずれでもよく、また、構成する材料も本発明の効果を奏するのであれば特に限定されない。例えば、紙、不織布、アルミニウム、セロハン、ナイロン、高密度又は低密度のポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリアミド、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル共重合体、ポリカーボネート、ポリスチレン、エチレンビニルアルコール共重合体等から適宜選択することが可能である。
【0041】
更にこれらに印刷インキ若しくは接着剤などを塗布したもの、又は蒸着若しくはスパッタリングなどの方法で薄膜を設けたものであってもよい。薄膜としては、アルミニウムなどの金属の他、酸化ケイ素、酸化マグネシウム、酸化アルミニウムなどのガスバリヤ性と透明性の高い薄膜が好適である。この中でも、アルミニウムを含むフィルムが好ましく、更にポリエチレン、アルミニウム、ポリエチレンを順次積層したものがより好ましく、更にまた最外層にセロハンを積層したものが好ましく用いられる。
【0042】
これらの剥離シートは、粘着テープを封入する際に折り曲げるため、柔軟性を有するものが好ましい。従って、剥離シートの厚みとしては、折り曲げることができれば特に限定はされないが10〜500μmの範囲であることが好ましく、15〜300μmの範囲であれば更に好ましい。
【0043】
図1の(a)に示す粘着テープ14に対し、後述するシリコン処理が施された剥離シート16が剥離可能に付着され、図1の(b)の状態となる。このとき、粘着テープ14の、その短手方向と平行な中心線と、剥離シート16の、その短手方向と平行な中心線とが、ずれた状態となるように両者が付着される。剥離シート16の中心線が、粘着テープ包装袋10を形成するための第1折曲げ線となる。
【0044】
剥離シート16は前記第1折曲げ線に沿って粘着テープ14と共に折り曲げられ、同形の第1部分20と第2部分22とが形成される。この折り曲げられた剥離シート16の内側にて、粘着テープ14が折り曲げられた状態で封じられ、本発明の粘着テープ包装袋10が完成する(図1の(c))。この状態では、粘着テープ14の折曲げ線(第2折曲げ線)が剥離シート16の第1折曲げ線に隣接して配置されることは理解されよう。
【0045】
粘着テープ14を封じる方法としては、剥離シート16の第1部分20と第2部分22との重ね合わされた部分のうち、粘着テープ14を囲む部分を密閉する方法が好ましい。剥離シート16が密閉されると、内部が外界と遮断されるため、粘着テープ14がより衛生的かつ物理的に保護され、粘着テープ包装袋10の粘着剤層に含まれる成分が外界に漏れない、揮発しない等の利点がある。
【0046】
剥離シート16の周囲を密閉する方法としては、ヒートシール法の他、接着剤等を使用した方法が考えられる。また、剥離シート16の周囲をテープで留めてもよい。粘着テープ包装袋10をこのような構成とすることで、剥離シート16が包装袋としても機能することとなるので、従来存在した個別の包装袋を省略することが可能となる。
【0047】
なお、完成した粘着テープ包装袋の角部が尖っていることを避けるため、剥離シートは、完成した粘着テープ包装袋の角部の一部、好ましくは四隅の全てが丸められた形状となるよう、略長方形の形状を有することが有効である。図1の(c)では、2つの角部が丸められた状態を示している。
【0048】
更に、剥離シートの全部又は一部の辺縁は、貼付時に、例えば剥離シートの辺縁により貼付部位もしくはその周辺を傷めないように、辺縁を波形、パルス形、短冊状の形状にしたり、辺縁の最末端はあえて接着しない等の手段も用いることができる(図3の(a)〜(d)参照)。
【0049】
本発明においては、剥離シート16は、粘着テープ14の第1部分の粘着剤層12と剥離シート16との付着力を抑制する付着力抑制手段を有することが好ましい。この付着力抑制手段としては、剥離シート16の、粘着テープ14と接する側の全面に剥離処理を施すというものが考えられるが、図1の(a)のハッチングで示した部分のみを剥離処理することとしてもよい。また、この付着力抑制手段は、粘着テープ包装袋10の開封時に粘着テープ14の第1部分26が剥離シート16から容易に剥離されることを目的としているため、粘着テープ14の第1部分26が接する剥離シート16の部分だけに剥離処理を施してもよいし、かかる目的を達成できるのであれば、その部分の更に一部分のみを剥離処理してもよい。
【0050】
剥離処理としては、剥離剤を用いる方法の他、エンボス加工、サンド加工等の物理的に剥離を行ないやすくする方法も含まれる。剥離剤としては、シリコン系剥離剤、アルキルペンダント系剥離剤、縮合ワックス系剥離剤等のいずれも用いることができ、この中でもシリコン系剥離剤を用いたいわゆるシリコン処理が好ましい。シリコン処理は、比較的容易かつ安価に行うことができるという利点があるからである。シリコン処理を施すことにより、粘着テープ包装袋10の使用に際して剥離シート16を開いたときに、簡単に粘着剤層12が剥離シート16から離れて粘着剤層12が露出するため、貼付部位への貼付が容易となる。
【0051】
粘着テープ14の粘着剤層12から剥離シート16を容易に剥離させるための別の手段として、剥離シート16に、粘着テープの支持体の少なくとも一部を一時的に保持できる手段、すなわち仮止め手段を設置することができる。仮止め手段としては、特に限定されることはないが、例えば、磁力、静電気力、又は物理的な力、例えばマジックテープ(登録商標)、両面テープ、粘着剤、接着剤の他、疑似接着、剥離シート16又は支持体18の材質、性状等によっては溶着、熱接合、強押し、型押し、ホットメルト接着剤等を用いることができる。特に、剥離シート16の内側となる層が所定の温度で溶融する熱可塑性材料からなり、かつ、粘着テープ14の支持体18が例えば織布から形成されている場合には、剥離シート16の内側層を溶融させて支持体18の織布に浸透させ、そこで固化できるので、熱接合による仮止めが有効である。また、剥離シート16が熱可塑性を有していない場合であっても、支持体18の材料に熱可塑性材料を含ませることで、熱接合を行うことも考えられる。また、剥離シート16の第2部分22の内側となる面をエンボス加工して多数の突状部分を形成し、支持体18にこれらの突状部分を引っ掛けて保持するという手段も適用可能である。
【0052】
上述したような様々な仮止め手段が用いられ得るが、その中でも特に疑似接着やホットメルト接着剤を用いる方法、或いは、熱接合による方法が好ましい。疑似接着やホットメルト接着剤を用いる方法では、粘着テープ14が剥離シート16と共に剥離シート16の折曲げ線に沿って第1部分26と第2部分28とに折り曲げられた場合に、粘着テープ14の第1部分26が粘着テープ14の第2部分28よりも大きく、第1部分26が、第2部分28からはみ出すはみ出し部分を有しており、粘着テープ14の第2部分28側となる剥離シート16の部分で、前記はみ出し部分に対向する部分24に、疑似接着やホットメルト接着剤を用いるのである。粘着テープ14の支持体18に対する接着部分24の付着力が、剥離シート16に対する粘着剤層12の粘着力よりも高くなるようにすれば、シリコン処理面等の付着力抑制手段がなくても、粘着テープ14の使用に際して粘着テープ14の第1部分26が剥離シート16から分離しやすくなる。このような接着部分24の形成をシリコン処理面と併用すると、更に好ましい。
【0053】
一方、熱接合による仮止めの場合は、上述したような部分24は形成されない。熱接合による仮止めは、図1の(c)の状態に剥離シート16を折り畳み、第1部分20と第2部分22との重ね合わされた部分の外周部分を密閉、例えばヒートシールした後、或いはヒートシールと同時に、熱接合を行えばよいことは理解されよう。また、熱接合後に、剥離シート16の外周部分をヒートシール等により密閉してもよい。
【0054】
仮止め手段としては、剥離シート16に対する粘着テープ14の支持体18の非粘着面30の付着力(仮止め手段としての接着部分24の付着力)が、剥離シート16に対する粘着剤層12の付着力(粘着力)よりも高くなるものであればよい。すなわち、仮止め手段を介しての、剥離シート16に対する支持体18の付着力、貼付部位に対する粘着テープ14の粘着剤層12の付着力(粘着力)、及び、剥離シート16に対する粘着テープ14の粘着剤層12の付着力は、以下のような関係になる。
貼付部位に対する粘着剤層12の付着力
>仮止め手段を介しての、剥離シート16に対する支持体18の付着力
>剥離シート16に対する粘着剤層12の付着力
【0055】
なお、疑似接着とは、前述した特許庁ホームページから入手可能な技術分野別特許マップ、一般21「接着」第336頁に記載されているように、平常では粘接着性を有さないが、特殊加圧条件等で接合するものをいい、粘着剤に添加物を加えて生成された疑似接着剤が用いられる。疑似接着剤としては、種々の公知の疑似接着剤を採用することができる。このような疑似接着剤は、剥離シート16の第2部分22で、前記はみ出し部分に対向する部分に塗布すればよいが、点状に設けてもよく、また、支持体18の前記はみ出し部分の全面に塗布しても、或いは、はみ出し部分に線状、点状に設けてもよい。また、疑似接着剤を塗布するのではなく、疑似接着樹脂層を必要箇所に形成してもよい。
【0056】
以下、図4図7を参照して本実施形態についての粘着テープ包装袋10の作用及び効果について説明する。
【0057】
図4の(a)は、本実施形態についての粘着テープ包装袋10の斜視図を示している。従来型の粘着テープと比較して、剥離シートとは別個の包装袋を有しないため省資源である。本発明の粘着テープ包装袋10は一枚単位で製品化されるため、携帯利便性に優れる。
【0058】
図4の(b)は、剥離シート16の周囲の閉じられた部分の一端から、封じられた剥離シート16を開き始めた様子を示している。剥離シート16は粘着テープ14の第1部分26の粘着剤層12から剥がれながら開かれる。
【0059】
そして、図4の(c)に示すように、剥離シート16を、折り曲げる前の平面状に戻るまで完全に開くと、粘着テープ14は第1部分26が剥離シート16から完全に剥がれた状態となり、第1部分26の粘着剤層12が露出する。特に、粘着テープ14の第1部分26の粘着剤層12と剥離シート16との付着力を抑制するシリコン処理が剥離シート16に施されている場合は、容易に図4の(c)の状態とすることができる。更に、剥離シート16に疑似接着剤やホットメルト接着剤等の仮止め手段24が設けられている場合では、仮止め手段を介しての、剥離シート16に対する粘着テープ14の支持体18の付着力が、剥離シート16に対する粘着剤層12の付着力よりも高くなるように設計されていれば、シリコン処理面がなくても、容易に図4の(c)の状態とすることができる。
【0060】
図5図7は、本発明の粘着テープが特に医療用、化粧用などの貼付剤として用いられる場合の態様を示すが、これ以外の用途で用いる場合も同様の方法により貼付することができる。すなわち、粘着テープ14の第1部分26の粘着剤層12が露出した粘着テープ包装袋を貼付部位に貼付する方法を示している。まず、当該粘着テープ包装袋を片手に持ち、図5に示すように貼付部位ないし貼付部位の近傍に当てる。次に、図6に示すように、剥離シート16の第1部分20を持ったまま、剥離シート16をその長手方向かつ粘着テープ14から遠ざかる向きに、皮膚に沿うように引っ張る。剥離シート16が引っ張られるに従って、粘着テープ14の第2部分28が剥離シート16から剥がれると同時に貼付部位に貼付される。特に剥離シート16を引っ張りながら貼付するため、粘着テープ14にしわがよらずに、これを貼付することができる。図7は粘着テープ14の全体を貼付部位に貼付し終えた様子を示す。
【0061】
本発明の粘着テープは、粘着剤層12から剥がれた剥離シート16の第1部分20に当該粘着テープを載せた手の親指を添えることができるため、手にしっかり保持することができる。したがって、粘着テープを貼付部位に当てる際に落下させる危険が小さく、また、貼付する際に粘着テープがぶれたり、重力によって意図しない方向に垂れ下がったりする心配が小さいため、安心して貼付部位に狙いを定めて貼付することができる。貼付部位が一人では貼付しにくい背中等であっても、片手で容易に貼付することができる。
【0062】
なお、上述の使用動作においては粘着剤層が貼付部位以外の皮膚に接触するおそれが小さい。従来型の粘着テープの使用でしばしば体験する手指等への粘着剤層のべたつきがなく、衛生的であり、しかも、剥離シート16の第1部分20を剥がした後、粘着テープ14は剥離シート16の第2部分22上で支えられ或いは補強された状態となるので、粘着剤同士が接着し貼付剤が使用できない状態になることもない。
【0063】
ところで、粘着テープ包装袋の開封を容易にするためには、剥離シート16の第1部分20と第2部分22との周囲を密閉する手段として、いわゆるイージーピール技術を用いることも有効である。イージーピールとは、特許庁ホームページから入手可能な技術分野別特許マップ、一般21「接着」第335頁(www.jpo.go.jp/shiryou/s_sonota/map/ippan21/4/4−3−1.htm)に記載されているように、易剥離性を意味し、容器・包装においてヒートシールにより封緘し、開ける時に剥がしやすくしたものをいう。イージーピールは、具体的には、剥離シート16の第1部分20と第2部分22との間における接着剤層自体が破壊されて剥離する凝集剥離タイプや、この接着剤層と第1部分20又は第2部分22との接着強度を低くしておき、開封時に第1部分20又は第2部分22が接着剤層から剥離する層間剥離タイプ、更には、EVA等の易接着性樹脂を用いる界面剥離タイプ等、種々のタイプがあり、特に限定されるものではないが、表面にポリエチレン層が配置されるシート材が剥離シート16として使用される場合には、イージーピール用の接着剤層として、例えば、高密度ポリエチレンを主体とした樹脂層と、低密度ポリエチレンに凝集破壊を引き起こす樹脂が添加されたイージーピール性樹脂層とからなる2層構造のものを使用するとよい。
【0064】
更に、剥離シートを開封しやすいように辺縁にノッチを施したり、剥離シートに開封のための脆弱部分を設けたりすることも適宜用いることも可能である。
【0065】
また、同じ目的で、図8の(a)や(b)に示すように、剥離シート16の第1部分20と第2部分22の端の部分を接着せずにおき、その非接着部分40を摘めるようにしてもよい。特に、図8の(b)に示すような形状とした場合には、非接着部分40を広く取ることができ、より摘みやすくなる。勿論、前述したイージーピール技術の併用により、より開封が容易になる。
【0066】
更に、図9の(a)及び(b)に示す粘着テープ包装袋10も開封を容易にしたものであり、剥離シート16の第1部分20と第2部分22の端の部分全体を接着せずにおき、その非接着部分40を摘めるようにしたものである。この場合、非接着部分40の面積が包装袋10の幅全域の大きなものとなるため、より摘み易いという利点がある。また、上記と同様、シール部分(一点鎖線の部分)にイージーピール技術を施すことにより、更に開封が容易となるが、図9の(a)において二点鎖線で示す部分を、例えば熱を加える等して弱め線としておくと、シール部分をイージーピールとしなくとも、弱め線に沿ってシール部分を容易に横切って所望の形状に第1部分20を切り離すことが可能となる。
【0067】
また、図9の(a)に示すように、剥離シート16の一方の部分、例えば第1部分20の非接着部分40の辺縁にノッチ等の触感により認識できる印50を付けておくことも好ましい。本発明においては、粘着テープ包装袋10を開封した際、後述するように粘着テープ14の粘着剤層12が上向きとなっていることが貼付作業には便利であるが(図4の(c)参照)、触感で認識できる印50を剥離シート16の少なくとも一方の部分に設けることで、目が不自由な者も包装袋10の上下を判断することが可能となる。触感で認識できる印50は、ノッチの他、図3に示すような形状、エンボス加工、突起等、様々なものが考えられる。
【0068】
図9の(b)の構成もその一種であり、第1部分20の非接着部分401を第2部分22の非接着部分402よりも長くして、上下を触感で判断できるようにしたものである。このような印は、図8に示す構成にも適用可能なことは勿論である。なお、図9の(b)に示すように第1部分20と第2部分22の非接着部分401,40の縁部の位置をずらして段差を付けることで、より一層、非接着部分401を摘み易くできるという効果を奏する。
【0069】
[第2実施形態]
図10は、開封をより一層容易とするための工夫が施された粘着テープ包装袋10を示す概略説明図である。図10に示す粘着テープ包装袋10は、剥離シート16の第1部分20と第2部分22の互いに重ね合わされた部分に施されたヒートシール部60の形状に特徴を有するものである。その他の構成については上記の第1実施形態と同様であるのでその説明は省略する。
【0070】
図10に示すように、ヒートシール部60は、粘着テープ包装袋10の折曲げ部分55とは反対側の部分60aと、この部分60aと折曲げ部分55との間の縁部60b,60cに設けられている。両側のヒートシール部60b,60cは直線状であり、これは第1実施形態のものも同様である。これらのヒートシール部60b,60c間のヒートシール部60aは、端から離れた位置に設けられており、部分65は接着されておらず、この部分65を摘んで開封することができるようになっている。
【0071】
ヒートシール部60aは、図示するように、山形ないしは三角形の鋸歯形状となっている。このような形状のヒートシール部60aにあっては、部分65を摘んで剥離シート16の第1部分20と第2部分22とを互いに離れる方向に引くと、その引張り力がヒートシール部60aのいずれかの山の頂部に集中することになり、その頂部からヒートシール部60aの破断が開始することになる。例えば図10において右上端から開いた場合には、符号68で示す山の頂部に力が集中する。特に、図10に示す形状においては、山の頂部は点であるため、引張り力が小さくとも、その力は一点に集中するため、容易に破断が開始する。ヒートシール部60aにおいて破断が一旦開始すると、更に大きな引張り力を加えることなく、この破断開始点を起点として他の部分に破断が伝播していき、ヒートシール部60全体が破断して、粘着テープ包装袋10は図4の(c)の状態となる。
【0072】
なお、ヒートシール部60aの山の高さH及びピッチPについては適宜定めることができる。しかしながら、Hに対してPが大きい場合、山の頂部の角度が大きくなり、力の集中という効果が損なわれる。また、Pが小さいと、部分65に加えられた引張り力が2以上の山の頂部に分散することとなり、開封に大きな力を要することになる。一方、Hが小さいと、直線状のヒートシール部に近いものとなり、この場合も開封に大きな力を要する。このような点を考慮すると、Hは10mm前後、Pは10〜20mm程度とすることが好適である。
【0073】
図11の(a)は、図10のヒートシール部60の変形であり、ヒートシール部60aの内側となる縁を直線状としたものである。このように一方の縁を直線状とすることで、ヒートシール部60の破断時の感触が滑らかなものとなる。
【0074】
また、力を一点に集中させることでヒートシール部60の破断が容易となることから、図11の(b)に示すように、摘み部分65に向かって突出する凸点70を一つだけヒートシール部60aに形成することとしてもよい。なお、図11の(b)の構成では、ヒートシール部60aの凸点70以外の部分が緩やかな山形となっているが、これは、凸点70からの破断が他の部分に伝播し易くするためである。
【0075】
更に、剥離シート16の第1部分20と第2部分22との接合手段はヒートシールに限られず、接着剤等を用いる手法も考えられるが、接着剤その他による面接合部の外縁にも、外側に突出する少なくとも一点の凸点を形成することで、図10及び図11に示すヒートシール部60aと同様な易開封性を得ることができる。
【0076】
また、図12は、図8の(b)に示す構成において、ヒートシール部に前述の凸点68,70を設けるという概念を適用したものを示している。この構成では、ヒートシール部60の凸部69に対して摘み部分65のうち角部が正対している。この角部を通常、使用者が摘んで包装袋10を開封しようとするため、凸部69に直に力が作用し易く、剥離し易いという特徴がある。
【0077】
なお、図10図11の(a)、(b)及び図12の構成においても、図9の(b)の構成を適用することができる。すなわち、図示しないが、例えば図10の構成にあっては、第1部分20と第2部分22のうちの一方の部分65を他方の部分65よりも長くすることができ、その場合には、部分65を極めて容易に摘むことができ、使用者にとって有効なものとなる。
【0078】
以上、本発明の好適な第1及び第2の実施形態について詳細に説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されない。
【0079】
例えば、上記の説明では剥離シート及び支持体が略長方形である場合について説明したが、これらは正方形、円形、楕円形、小判形等、種々の平面図形をかたどった形状であってもよい。
【0080】
また、本発明の製造方法も特に限定されることはないが、通常の粘着テープの製造工程、剥離シートの粘着テープの接着工程、剥離シートの重ね合わせ工程を経て製造することが可能である。
【0081】
更に、上記実施形態では、剥離シート16の第1部分20と第2部分22とは分離できない構成となっているが、両者間に弱め線(例えば、ミシン目や、熱等を加えて裂けやすくした線等)を入れ、剥離シート16を粘着テープ14の第1部分から引き離した際に、剥離シート16の第1部分20と第2部分22とを分離できるようにしてもよい。これは、貼付する部位の周囲に何らかの障害物があるとき等には、剥離シートも小さくしておいた方が貼付しやすい場合があるからである。
【0082】
また、上記実施形態では、剥離シート16の第1部分20と第2部分22との重ね合わせた縁部をヒートシールするとし、折曲げ部分については特に言及していないが、図13に示すように、折曲げ部分55についても、他の縁部と同様な処理を施してもよい。この場合、粘着テープ包装袋10の四辺全てに同様なシール部が形成されるため、美観に優れたものとなる。
【0083】
また、図14に示すように、剥離シート16の折曲げ線(第1折曲げ線)42と、粘着テープ14の折曲げ線(第2折曲げ線)44とが相反する向きとなるよう、粘着テープ14を剥離シート16の第1部分20と第2部分22との間に配置してもよい。更に、第1折曲げ線42と第2折曲げ線44が平行ではなく、90度をなしても、或いは、他の角度とすることも考えられる。
【0084】
図15は本発明の更に別の実施形態を示しているが、これは、粘着テープ14の第1部分26の面積と第2部分28の面積とを実質的に同一としたもの、言い換えると第1部分26と第2部分28とを実質的に同形としたものである。この場合、仮止め手段24′を剥離シート16の第2部分22に設けるのではなく、粘着テープ14の第1部分26と第2部分28との間に設ける必要がある。この仮止め手段24′は、上記実施形態と同様に、疑似接着剤やホットメルト接着剤であってもよいが、粘着テープ14の支持体18が不織布からなるものであれば、繊維同士を絡める方法を採ることも可能である。
【符号の説明】
【0091】
10…粘着テープ包装袋、12…粘着剤層、14…粘着テープ、16…剥離シート、18…支持体、20…剥離シートの第1部分、22…剥離シートの第2部分、24…仮止め手段、26…粘着テープの第1部分、28…粘着テープの第2部分、30…非粘着面、40…非接着部分、42…第1折曲げ線、44…第2折曲げ線、50…ノッチ、60…ヒートシール部。
図1
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図15