特許第5791781号(P5791781)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ オムヤ インターナショナル アーゲーの特許一覧

特許5791781湿潤粒子状物質を乾燥させる方法であって、乾燥粒子状物質が、直接過熱蒸気乾燥器での乾燥により粒子状物質を形成する、少なくとも65%の白色度Ryを有する白色無機物である、方法
<>
  • 特許5791781-湿潤粒子状物質を乾燥させる方法であって、乾燥粒子状物質が、直接過熱蒸気乾燥器での乾燥により粒子状物質を形成する、少なくとも65%の白色度Ryを有する白色無機物である、方法 図000002
  • 特許5791781-湿潤粒子状物質を乾燥させる方法であって、乾燥粒子状物質が、直接過熱蒸気乾燥器での乾燥により粒子状物質を形成する、少なくとも65%の白色度Ryを有する白色無機物である、方法 図000003
  • 特許5791781-湿潤粒子状物質を乾燥させる方法であって、乾燥粒子状物質が、直接過熱蒸気乾燥器での乾燥により粒子状物質を形成する、少なくとも65%の白色度Ryを有する白色無機物である、方法 図000004
  • 特許5791781-湿潤粒子状物質を乾燥させる方法であって、乾燥粒子状物質が、直接過熱蒸気乾燥器での乾燥により粒子状物質を形成する、少なくとも65%の白色度Ryを有する白色無機物である、方法 図000005
  • 特許5791781-湿潤粒子状物質を乾燥させる方法であって、乾燥粒子状物質が、直接過熱蒸気乾燥器での乾燥により粒子状物質を形成する、少なくとも65%の白色度Ryを有する白色無機物である、方法 図000006
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5791781
(24)【登録日】2015年8月14日
(45)【発行日】2015年10月7日
(54)【発明の名称】湿潤粒子状物質を乾燥させる方法であって、乾燥粒子状物質が、直接過熱蒸気乾燥器での乾燥により粒子状物質を形成する、少なくとも65%の白色度Ryを有する白色無機物である、方法
(51)【国際特許分類】
   F26B 17/10 20060101AFI20150917BHJP
   C09C 3/04 20060101ALI20150917BHJP
   F26B 3/08 20060101ALI20150917BHJP
   F26B 23/00 20060101ALI20150917BHJP
【FI】
   F26B17/10 C
   C09C3/04
   F26B3/08
   F26B23/00 A
【請求項の数】22
【全頁数】24
(21)【出願番号】特願2014-504286(P2014-504286)
(86)(22)【出願日】2012年4月11日
(65)【公表番号】特表2014-512507(P2014-512507A)
(43)【公表日】2014年5月22日
(86)【国際出願番号】EP2012056494
(87)【国際公開番号】WO2012140028
(87)【国際公開日】20121018
【審査請求日】2013年12月6日
(31)【優先権主張番号】11162729.5
(32)【優先日】2011年4月15日
(33)【優先権主張国】EP
(31)【優先権主張番号】61/517,609
(32)【優先日】2011年4月22日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】505018120
【氏名又は名称】オムヤ インターナショナル アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】特許業務法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ベルグセツト,オラフ
(72)【発明者】
【氏名】クレマスキ,アラン
(72)【発明者】
【氏名】グーチエ,ローベルト
(72)【発明者】
【氏名】オクール,リユドビク
【審査官】 土屋 正志
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第05291668(US,A)
【文献】 特開2010−174057(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F26B 17/10
C09C 3/04
F26B 3/08
F26B 23/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
湿潤粒子状物質を乾燥させる方法であって、乾燥粒子状物質がDIN 53163に従って測定された少なくとも65%の白色度Ryを有する白色無機物であり、
a)湿潤粒子状物質の少なくとも1つの供給流(1)を提供するステップ、
b)少なくとも1個の乾燥チャンバ(40)、少なくとも1個の循環ファン(41)および少なくとも1個の熱交換器(42)を備える再循環回路であって、前記少なくとも1個の乾燥チャンバ(40)が、混合システム混合粒子状物質、湿潤粒子状物質の供給流用の少なくとも1個の入口、過熱蒸気用の少なくとも1個の入口および排蒸気用の少なくとも1個の出口を備える、再循環回路を提供するステップ、
c)湿潤粒子状物質の前記少なくとも1つの供給流(1)を、前記少なくとも1個の乾燥チャンバ(40)内の混合粒子状物質中に供給流用の少なくとも1個の入口を介して連続的または不連続的のどちらかで供給するステップ、
d)過熱蒸気(6)を、前記少なくとも1個の乾燥チャンバ(40)中に過熱蒸気用の前記少なくとも1個の入口を介して供給するステップ、
e)混合粒子状物質を前記少なくとも1個の乾燥チャンバ(40)内で過熱蒸気と直接接触させて混合粒子状物質を乾燥させ、排蒸気(3)用の少なくとも1個の出口を介して前記蒸気を、前記排蒸気(3)からいずれの搬送粒子状物質をも分離させることなく排出するステップ、
f)粒子状物質を搬送する排蒸気(3、4、5)を、排蒸気が再加熱されて過熱蒸気(6)を提供する前記少なくとも1個の熱交換器(42)中に供給して、排蒸気が前記少なくとも1個の熱交換器(42)の前または後に前記少なくとも1個の循環ファン(41)を通過し、前記過熱蒸気を前記少なくとも1個の乾燥チャンバ(40)中に過熱蒸気用の前記少なくとも1個の入口を介して戻し供給するステップ、
g)過剰蒸気(7)を前記再循環回路内の少なくとも1つの位置から分配するステップ、
h)前記過剰蒸気(7)を少なくとも1個の機械式圧縮機(43)中に供給し、圧縮機にて過剰蒸気を圧縮して過剰蒸気の飽和温度を上昇させ、前記圧縮された過剰蒸気(8)を前記少なくとも1個の熱交換器(42)における熱源として使用し、過剰蒸気を液体凝縮物(9)として放出するステップ、ならびに
i)前記乾燥粒子状物質を少なくとも1つの生成物流として少なくとも1個の出口を介して連続的にまたは不連続的のどちらかで放出して、前記乾燥粒子状物質を得るステップ
を含む、方法。
【請求項2】
記少なくとも1個の乾燥チャンバ(40)が乾燥粒子状物質用の少なくとも1個の出口を備え、前記少なくとも1つの生成物流が乾燥粒子状物質用の前記少なくとも1個の出口を介して前記少なくとも1個の乾燥チャンバから放出される、および/または前記少なくとも1個の乾燥チャンバを除く残りの再循環回路が乾燥粒子状物質用の少なくとも1個の出口を備え、前記少なくとも1つの生成物流が乾燥粒子状物質用の前記少なくとも1個の出口を介して前記少なくとも1個の乾燥チャンバを除く前記再循環回路から放出される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
記乾燥チャンバの混合システムが、1軸または2軸以上のミキサ、1または2軸以上の複合ミキサおよび機械式流動床エスタブリッシャから成る群より選択される請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
記少なくとも1個の乾燥チャンバにおける圧力が、0から5バールである、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
記過熱蒸気が過熱水蒸気であり、前記再循環回路を通じた圧力降下が、前記少なくとも1個の乾燥チャンバの圧力が0.8から1.2バールでは、500から3000Paである、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
記過剰蒸気(7)が前記少なくとも1個の乾燥チャンバ(40)を出た後および前記少なくとも1個の循環ファン(41)を出る前に前記排蒸気(3)から分配される、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
記少なくとも1個の熱交換器(42)がシェルアンドチューブ熱交換器である、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
記少なくとも1個の機械式圧縮機が、遠心圧縮機,高圧遠心ファンまたは容積式ルーツ送風機である、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
記過熱蒸気(6)の温度および前記少なくとも1個の乾燥チャンバを出る前記排蒸気(3)の温度が、温度差ΔT分異なり、ΔTは5から100℃である、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
記過剰蒸気(7)の飽和温度および前記圧縮過剰蒸気(8)の飽和温度が、温度差ΔT分異なり、ΔTは6から130℃である、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
ΔとΔTとの間の差が、1から30℃である、請求項9または10に記載の方法。
【請求項12】
記過剰蒸気(7)が、精製されたおよび/または再沸騰した過剰蒸気(17)として少なくとも1個の機械式圧縮機(43)中に供給される前に、いずれの搬送粒子状物質も前記過剰蒸気から除去する少なくとも1個のセパレータ(44)を通過する、請求項1から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
記除去された搬送粒子状物質が、リサイクル流(13)として前記少なくとも1個の乾燥チャンバ(40)中または前記少なくとも1つの供給流(1、2)中に供給される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
記少なくとも1つの供給流(1)が少なくとも1個の熱交換器(46)によって予熱されて、液体凝縮物(9、19)および/または前記少なくともセパレータ(44)からの放出流が熱源として使用される、請求項1から13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
られた乾燥粒子状物質が、乾燥粒子状物質の全重量に対して、15重量%未満の全水分を含有する、請求項1から14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
記再循環回路内部の前記乾燥粒子状物質の平均保持時間が、少なくとも10分である、請求項1から15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
記白色無機物が炭酸カルシウムベース無機物または水酸化カルシウムもしくは硫酸カルシウムから選択され、または炭酸カルシウム浮選からのドロマイトもしくはテーリングもしくはこれの混合物を含む、炭酸カルシウム含有無機物から選択される、請求項1から16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記白色無機物が、炭酸カルシウムである、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記白色無機物が、粉砕炭酸カルシウム、変性炭酸カルシウムおよび沈降炭酸カルシウムから選択される、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
記白色無機物が、粘土もしくはタルクとまたは水酸化カルシウムもしくは硫酸カルシウムと混合された炭酸カルシウムベース無機物であり、または炭酸カルシウム−カオリン混合物、または炭酸カルシウムとベントナイトとの混合物、または天然炭酸カルシウムと水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、雲母とのもしくは合成もしくは天然繊維との混合物であり、またはタルク−炭酸カルシウムもしくはタルク−二酸化チタンもしくは炭酸カルシウム−二酸化チタンの共構造体である、請求項1から19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
られた乾燥粒子状物質が、炭酸カルシウムの全重量に対して、95重量%を超える固体含有率を有する炭酸カルシウムである、請求項1から20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
炭酸カルシウムの全重量に対して95重量%を超える固体含有率を有する炭酸カルシウムを製造するための、請求項1から21のいずれか一項に記載の方法の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乾燥方法の分野に、より詳細には過熱蒸気を使用して湿潤粒子状物質を乾燥させる方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
過熱蒸気乾燥は、過熱蒸気を乾燥される湿潤生成物と直接接触する乾燥媒体として用いる新たな技術である。直接空気または不活性ガス乾燥器と比べて、直接過熱蒸気乾燥器は、空気または不活性ガスを加熱しないためにエネルギー消費がより少ないこと、過剰な蒸気が空気もしくは不活性ガスと混合しないために熱回収により適していること、汚染された空気もしくは不活性ガスの排出が無視できること、装置内で爆発のリスクがないこと、または通常は空気によって酸化する生成物の酸化が少ないことなどの、周知の基本的な利点を幾つか有する。
【0003】
飽和蒸気は、直接過熱蒸気乾燥器と同じ基本的な利点を潜在的に与える乾燥原理に基づいて、直接乾燥方法でのエネルギー源として使用されることが多い。しかし間接乾燥原理は、湿潤生成物と乾燥媒体との間の直接接触によって熱が供給されないため、直接乾燥原理とは著しく異なっている。むしろ熱は、乾燥される生成物と接触している高温の表面を介して供給される。さらに、間接乾燥器には乾燥チャンバ内部で使用するための特別に設計された熱交換器が必要であり、この交換器は標準的な熱交換器と比べて複雑で費用がかかる。
【0004】
オランダ応用科学研究機構(The Netherlands Organization for Applied Scientific Research (TNO))は2004年6月に報告書((R 2004/239),entitled「Industrial superheated steam drying」)を発行して、過熱蒸気乾燥技術を用いる100台を超える乾燥設備がこれまで判明し、大半がバルク材料用の大規模連続乾燥器であることに触れている。しかし、当分野で公知の過熱蒸気乾燥器には、これらの構造のために、用いたエネルギーの多くが回収できないという問題が依然としてある。このことは、加熱蒸気乾燥器が他の外部方法やヒートシンクに連結されていないが、独立型システムとして使用される場合に特に当てはまる。
【0005】
WO03/052336は、乾燥チャンバ出口蒸気内のサイクロン、即ち微粉/蒸気セパレータを備えた、および在来のエネルギーシステムを備えた、直接過熱蒸気乾燥の原理に基づく混合乾燥器について記載している。再循環回路でサイクロンが必要であるために、上昇した圧力の降下が引き起こされて、この降下を循環ファンのより高い差圧によって補償する必要があり、このため循環ファンのエネルギー消費が著しく上昇する。さらに、在来のエネルギーシステムを使用しているということは、この混合乾燥器を他の外部方法またはヒートシンクに連結することによってのみエネルギー回収が可能であることを意味する。
【0006】
米国特許第5,291,668号明細書は、曲線ルーバーセパレータを使用して乾燥生成物を蒸気から分離する、フラッシュ型乾燥器を使用した常圧過熱蒸気乾燥方法を開示している。乾燥生成物から分離された水蒸気は、機械式蒸気圧縮機を使用することにより、回収されて蒸気エネルギーとして再循環して、この間、乾燥媒体またはキャリアガスまたは過熱蒸気は、外部熱交換器もしくは乾燥チャンバ内部の熱交換器のどちらかまたはこれらの方法の組合せで加熱される。しかし、この方法の1つの基本的な制約は、乾燥媒体またはキャリアガスの流速が乾燥方法の機能全体に影響を及ぼすため、乾燥器のサイズを従来のサイズと比べて大きくすること、または複雑な熱交換器表面を乾燥チャンバ内に導入することのどちらかをしないと、最適なエネルギー回収システム温度レベルで記載した乾燥システムを運転することが不可能になるということである。さらに、微粉および生成物セパレータは前記フラッシュ乾燥器に必須であるためにさらなる圧力降下がもたらされ、この降下は循環ファンのためのエネルギーをさらに消費することによって補償する必要がある。
【0007】
EP0058651は、生成物粒子がパイプライン内を同時に搬送されて、キャリアガスまたは乾燥媒体または過熱蒸気中で乾燥され、乾燥媒体が二重壁パイプラインを通じて再加熱される、家畜飼料フラッシュ/空気式乾燥器に関する。この乾燥システムも、乾燥媒体またはキャリアガスの流速が乾燥方法の機能全体に影響を及ぼし、そのために乾燥器のサイズを従来のサイズと比べて大きくしなければ、記載した乾燥システムを最適なエネルギー回収システム温度レベルで運転できなくなるという欠点がある。このシステムは、サイクロンまたは別の種類のセパレータも必要であり、そのためエネルギー消費の点から好ましくない。
【0008】
米国特許第4,242,808号明細書は、特に製紙工場におけるペーパーウェブのための直接過熱蒸気乾燥方法について記載している。エネルギーは、機械式蒸気圧縮機を使用することによって、少なくとも一部は回収できる。しかし、このシステムは高い入口温度を必要とし、粒子状物質の乾燥にも適していない。
【0009】
完全を期するために、出願人は、機械式蒸気再圧縮によるエネルギー回収を用いた間接乾燥原理に言及している、以下の米国特許を挙げておきたい:US4,523,388、US4,223,452、US2,622,342およびUS4,974,335。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】国際公開第2003/052336号
【特許文献2】米国特許第5,291,668号明細書
【特許文献3】欧州特許第0058651号明細書
【特許文献4】米国特許第4,242,808号明細書
【特許文献5】米国特許第4,523,388号明細書
【特許文献6】米国特許第4,223,452号明細書
【特許文献7】米国特許第2,622,342号明細書
【特許文献8】米国特許第4,974,335号明細書
【非特許文献】
【0011】
【非特許文献1】The Netherlands Organization for Applied Scientific Research(TNO)R 2004/239「Industrialsuperheated steam drying」June 2004
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
湿潤粒子状物質の、よりエネルギー効率の良い乾燥方法に対する要求が当分野に依然として残存している。
【0013】
従って、本発明の目的は、必要なエネルギー消費量がより少ない、湿潤粒子状物質の乾燥方法を提供することである。他の外部熱方法またはヒートシンクに連結されることに依存していない、エネルギー効率の良い乾燥システムを提供することも望ましい。このようなシステムが工業条件下で利用できることも望ましい。
【0014】
また本発明の目的は、ある量の搬送粒子状物質を収容する、より複雑でない蒸気再循環回路を利用する、湿潤粒子状物質の乾燥方法を提供することである。低量または極少量のエネルギー消費量で、過剰な蒸気中で搬送粒子状物質の統合リサイクルを可能にする乾燥方法を提供することも望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記のおよび他の目的は、乾燥粒子状物質がDIN 53163に従って測定された少なくとも65%の白色度Ryを有する白色無機物である、湿潤粒子状物質を乾燥する方法を提供することによって解決され、該方法は以下のステップを含む:
a)湿潤粒子状物質の少なくとも1つの供給流(1)を提供するステップ、
b)少なくとも1個の乾燥チャンバ(40)、少なくとも1個の循環ファン(41)および少なくとも1個の熱交換器(42)を備える再循環回路であって、前記少なくとも1個の乾燥チャンバ(40)が混合システムおよび混合粒子状物質、湿潤粒子状物質の少なくとも1つの供給流用の少なくとも1個の入口、過熱蒸気用の少なくとも1個の入口および排蒸気用の少なくとも1個の出口を備える、再循環回路を提供するステップ、
c)湿潤粒子状物質の前記少なくとも1つの供給流(1)を、前記少なくとも1個の乾燥チャンバ(40)内の混合粒子状物質中に供給流用の少なくとも1個の入口を介して連続的または不連続的のどちらかで供給するステップ、
d)過熱蒸気(6)を、前記少なくとも1個の乾燥チャンバ(40)中に過熱蒸気用の前記少なくとも1個の入口を介して供給するステップ、
e)混合粒子状物質を前記少なくとも1個の乾燥チャンバ(40)内で過熱蒸気と直接接触させて混合粒子状物質を乾燥させ、前記排蒸気(3)用の少なくとも1個の出口を介して前記蒸気を、排蒸気(3)からいずれの搬送粒子状物質をも分離させることなく排出するステップ、
f)排蒸気(3、4、5)を、排蒸気が再加熱されて過熱蒸気(6)を提供する前記少なくとも1個の熱交換器(42)中に供給して、排蒸気が前記少なくとも1個の熱交換器(42)の前または後に前記少なくとも1個の循環ファン(41)を通過し、前記過熱蒸気を前記少なくとも1個の乾燥チャンバ(40)中に過熱蒸気用の前記少なくとも1個の入口を介して戻し供給するステップ、
g)過剰蒸気(7)を前記再循環回路内の少なくとも1つの位置から分配するステップ、
h)前記過剰蒸気(7)を少なくとも1個の機械式圧縮機(43)中に供給し、圧縮機にて過剰蒸気を圧縮して過剰蒸気の飽和温度を上昇させ、前記圧縮された過剰蒸気(8)を前記少なくとも1個の熱交換器(42)における熱源として使用し、過剰蒸気を液体凝縮物(9)として放出するステップ、および
i)前記乾燥微粒子を少なくとも1つの生成物流を少なくとも1個の出口を介して連続的または不連続的のどちらかで放出して、前記乾燥粒子状物質を得るステップ。
【0016】
本発明の別の態様により、本発明による乾燥方法は、95重量%を超える固体含有率を有する炭酸カルシウムを製造するために使用され、炭酸カルシウムは好ましくは、分級機の非存在下で製造される。
【0017】
本発明の別の態様により、本発明による方法によって得られる白色無機物が提供され、白色無機物はDIN 53163に従って測定された少なくとも65%の白色度Ryを有する。
【0018】
本発明の有利な実施形態は、相当する従属請求項で定義されている。
【0019】
一実施形態によれば、前記少なくとも1個の乾燥チャンバ(40)が乾燥粒子状物質用の少なくとも1個の出口を備え、前記少なくとも1つの生成物流が、乾燥粒子状物質用の前記少なくとも1個の出口を介して前記少なくとも1個の乾燥チャンバから放出される、および/または前記少なくとも1個の乾燥チャンバを除く残りの再循環回路が乾燥粒子状物質用の少なくとも1個の出口を備え、前記少なくとも1つの生成物流が、乾燥粒子状物質用の前記少なくとも1個の出口を介して少なくとも1個の乾燥チャンバを除く前記再循環回路から放出される。
【0020】
一実施形態によれば、乾燥チャンバ内の混合システムは、1軸、2軸以上のミキサ、または1軸、2軸以上の複合ミキサおよび機械式流動床エスタブリッシャから成る群より選択され、好ましくは、混合システムは2軸複合ミキサおよび機械式流動床エスタブリッシャである。
【0021】
一実施形態によれば、少なくとも1個の乾燥チャンバにおける圧力は0から5バール、好ましくは0.1から1.5バール、より好ましくは0.1から0.95バールまたは1.05から1.2バールである。別の実施形態によれば、過熱蒸気は、過熱水蒸気であり、再循環回路を通じた圧力降下は、少なくとも1個の乾燥チャンバにおける圧力が0.8から1.2バールでは、500から3000Pa、好ましくは1000から2000Paである。
【0022】
一実施形態によれば、過剰蒸気(7)は再循環回路内の、搬送粒子状物質の量が最小であることが判明している少なくとも1つの位置から分配され、好ましくは過剰蒸気(7)は、少なくとも1個の乾燥チャンバ(40)を出た後および少なくとも1個の循環ファン(41)を出る前に、排蒸気(3)から分配される。
【0023】
一実施形態によれば、少なくとも1個の熱交換器(42)は、シェルアンドチューブ熱交換器である。別の実施形態によれば、少なくとも1個の機械式圧縮機は遠心圧縮機,高圧遠心ファンまたは容積式ルーツ送風機、好ましくは高圧遠心ファンである。
【0024】
一実施形態によれば、過熱蒸気(6)の温度および少なくとも1個の乾燥チャンバを出る排蒸気(3)の温度は、温度差ΔT分異なり、ΔTは5から100℃、好ましくは10から50℃、より好ましくは15から30℃、なおより好ましくは15から25℃、最も好ましくは約22℃である。別の実施形態によれば、過剰蒸気(7)の飽和温度および圧縮過剰蒸気(8)の飽和温度は、温度差ΔT分異なり、ΔTは6から130℃、好ましくは11から80℃、さらに好ましくは15から60℃、最も好ましくは20から45℃である。なお別の実施形態によれば、ΔTとΔTとの間の差は、1から30℃、好ましくは4から20℃、より好ましくは6から15℃、最も好ましくは6から10℃である。
【0025】
一実施形態によれば、過剰蒸気(7)は少なくとも1個のセパレータ(44)を通過して、この蒸気が精製または再沸騰過剰蒸気(17)として少なくとも1個の機械式圧縮機(43)中に供給される前に、いずれの搬送粒子状物質も過剰蒸気から除去される。別の実施形態によれば、除去された搬送粒子状物質は、リサイクル流(13)として少なくとも1個の乾燥チャンバ(40)中または少なくとも1つの供給流(1、2)中に供給される。なお別の実施形態によれば、少なくとも1つの供給流(1)は、供給流が少なくとも1個の乾燥チャンバ(40)中に供給される前に予熱され、好ましくは、供給流(1)は少なくとも1個の熱交換器(46)によって予熱されて、液体凝縮物(9、19)および/または少なくともセパレータ(44)からの放出流が熱源として使用される。
【0026】
一実施形態によれば、得られた乾燥粒子状物質は、乾燥粒子状物質の全重量に対して、15重量%未満の、好ましくは5重量%未満の、より好ましくは2重量%未満の、最も好ましくは1重量%の全水分を含有する。別の実施形態によれば、再循環回路内部の乾燥粒子状物質の平均保持時間は、少なくとも10分、少なくとも30分または少なくとも60分である。
【0027】
一実施形態によれば、白色無機物は、炭酸カルシウムベース無機物または水酸化カルシウムもしくは硫酸カルシウム、好ましくは炭酸カルシウム、より好ましくは粉砕炭酸カルシウム、変性炭酸カルシウムもしくは沈降炭酸カルシウムから選択され、または炭酸カルシウム含有無機物が好ましくは炭酸カルシウム浮選からのドロマイトもしくはテーリングもしくはこれの混合物を含む、炭酸カルシウム含有無機物から選択される。別の実施形態によれば、白色無機物は、粘土もしくはタルクまたは水酸化カルシウムもしくは硫酸カルシウムと混合された炭酸カルシウムベース無機物であり、または炭酸カルシウム−カオリン混合物もしくは炭酸カルシウムとベントナイトとの混合物、または天然炭酸カルシウムと水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、雲母とのもしくは合成もしくは天然繊維との混合物であり、または無機物の共構造体、好ましくはタルク−炭酸カルシウムもしくはタルク−二酸化チタンもしくは炭酸カルシウム−二酸化チタンの共構造体である。
【0028】
一実施形態によれば、得られた乾燥粒子状物質は、炭酸カルシウムの全重量に対して、95重量%を超える固体含有率を有する炭酸カルシウムである。別の実施形態によれば、本発明による方法によって得られる白色無機物は、炭酸カルシウムの全重量に対して、5重量%未満の全水分を有する炭酸カルシウムである。
【0029】
なお別の実施形態によれば、本発明による方法によって得られる白色無機物は、製紙用途、塗料、シーラント、接着剤、コンクリート、農業、化粧品、食品、飼料、医薬品、水処理におよび/またはプラスチックに使用される。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】本発明の例示的な実施形態を示す概略フローダイヤグラムである。
図2】本発明の別の例示的な実施形態を示す概略フローダイヤグラムである。
図3】本発明の別の例示的な実施形態を示す概略フローダイヤグラムである。
図4】本発明の例示的な実施形態の、乾燥チャンバ中に供給された過熱蒸気の温度と乾燥チャンバから出る排蒸気の温度との温度差に対する全比エネルギー消費量を示すグラフである。
図5】本発明の別の例示的な実施形態の、乾燥チャンバ中に供給された過熱蒸気と乾燥チャンバから出る排蒸気の温度との温度差に対する全比エネルギー消費量を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0031】
本発明の目的のために、「湿潤粒子状物質」、「供給」または「供給流」という用語は、本発明による方法で用いられる少なくとも1個の乾燥チャンバ中に供給される新たな供給または流を指し、乾燥によって微粒子生成物を形成する、例えば溶液、懸濁体または分散体の形の少なくとも1個の固体物質と液体との均質または不均質混合物である。湿潤粒子状物質は例えば、液体、スラリ、ペースト、凝集体、粒状物、結晶、ペレット、湿潤粒子、湿潤小片または湿潤ケーキとして存在してよい。液体は水、有機溶媒、または他の何らかの液体物質、またはこれの混合物を含んでよい。湿潤粒子状物質の固体含有率は、湿潤粒子状物質の全重量に対して、少なくとも5重量%,好ましくは少なくとも25重量%であってよい。
【0032】
本発明の目的のために、「乾燥粒子状物質」または「生成物」は、乾燥粒子状物質の全重量に対して、15重量%未満の、5重量%未満の、2重量%未満の、好ましくは1重量%未満の全水分含有率を有する粒子状物質を指すと理解される。
【0033】
「混合粒子状物質」は、本発明に関連して使用する場合、同時に、乾燥媒体によって乾燥され、および湿潤粒子状物質と混合されるまたは湿潤粒子状物質によって湿潤される、乾燥チャンバ内部にある粒子状物質を指す。混合粒子状物質の全水分含有率は、湿潤粒子状物質の水分含有率と乾燥粒子状物質の水分含有率の間である。
【0034】
「搬送粒子状物質」または「微粉」という用語は、本発明に関連して使用する場合、乾燥チャンバからの排蒸気と共に搬送される、部分乾燥微粒子または乾燥粒子状物質のどちらかの粒子状物質を指す。搬送粒子状物質の全水分含有率は、搬送粒子状物質が再循環回路内を移動する場合に、または搬送粒子状物質が過剰蒸気に沿って搬送される場合に、変更することができる。
【0035】
「保持時間」という用語は、本発明に関連して使用する場合、乾燥システム内の乾燥粒子状物質の平均保持時間を指し、定常状態条件の乾燥システム内部の乾燥粒子状物質を少なくとも1つの生成物流における乾燥粒子状物質の流速で割ることによって計算される。
【0036】
「無機物」は、本発明の意味では、特徴的な化学組成を有する固体無機物質を包含する。「白色」無機物は、本発明の意味では、DIN 53163(発行日:1988年7月)に従って測定された少なくとも65%の白色度Ryを有する白色無機物である。
【0037】
「粉砕炭酸カルシウム(GCC)」は、本発明の意味では、天然源から得られた炭酸カルシウム、例えば石灰石、方解石、大理石もしくはチョークまたはドロマイトであり、湿式および/または乾式による、例えばサイクロンまたは分級機による粉砕、ふるい分けおよび/または分画などの処理によって加工される。
【0038】
「沈降炭酸カルシウム(PCC)」は、本発明の意味では、水性環境における二酸化炭素と石灰との反応後の沈降によって、または水中でのカルシウムおよび炭酸塩源の沈降によって、または溶液からのカルシウムおよび炭酸イオン、例えばCaClおよびNaCOの沈降によって一般に得られる、合成物質である。
【0039】
「乾燥媒体」は、本発明の意味では、混合粒子状物質からの液体構成要素を乾燥および除去するために使用される溶媒である。乾燥媒体組成物は、湿潤粒子状物質の液体構成要素に類似又は少々類似していてもよい。
【0040】
「排蒸気」という用語は、本発明に関連して使用する場合、少なくとも1個の乾燥チャンバ内での直接乾燥中に混合粒子状物質から蒸発した水分および/または揮発性構成要素が高濃度となった過熱蒸気を指す。さらに、排蒸気は排蒸気と共に搬送される搬送粒子状物質を含んでよい。
【0041】
本発明の目的のために、「排蒸気からいずれの搬送粒子状物質も分離することなく」という語句は、再循環回路に沿って移動する蒸気から搬送粒子状物質を分離するために、再循環回路において著しいさらなる圧力降下を発生するいずれの微粉/蒸気分離装置、例えばサイクロンまたはフィルタなどが使用されないことを意味する。
【0042】
本発明の目的のために、「飽和温度」という用語は、乾燥媒体の物理的状態が液体から気化状態に変化する温度を指し、乾燥媒体の飽和温度は乾燥媒体の圧力に依存する。
【0043】
本発明の目的のために、「沸点上昇」という用語は、ある圧力における溶媒と混合されたおよび/またはある圧力の溶媒に溶解しているある量の固体物質の沸点と、同じ圧力の純溶媒の飽和温度との差を指す。
【0044】
「溶媒」という用語は、本発明に関連して使用する場合、固体物質を溶解させる溶媒と、また、固体を溶解させないが、例えば分散体または懸濁体の形で固体を担持する他の何らかの種類の液体との両方を指す。
【0045】
「スラリ」は、本発明の意味において、不溶性固体ならびに場合によりさらなる添加剤および溶解した固体を含み、通常、大量の不溶性固体を含有し、このためスラリが生成される液体よりも粘性であり、一般に高密度である。
【0046】
「過熱蒸気」または「蒸気」という用語は、本発明に関連して使用する場合、乾燥媒体の蒸気または気化物を指す。「過熱」という接頭辞は、各乾燥媒体の飽和温度よりも高い温度を指す。「蒸気」または「気化物」という用語は、過熱という接頭辞なしで、本発明に関連して使用する場合、各溶媒の飽和温度または飽和温度よりもやや高い温度のどちらかにおける蒸気いずれの種類の過熱溶媒蒸気または過熱溶媒蒸気の混合物も、例えば、これに限定されるわけではないが、水、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、他のアルコール、プロピレングリコール、モノエチレングリコール、エチレングリコール、他のグリコール、炭化水素または少なくとも2種のこれらの溶媒の混合物も本発明の方法で使用してよい。
【0047】
「全水分含有率」という用語は、本発明に関連して使用する場合、粒子状物質の表面上および粒子状物質内に吸収されて、粒子状物質から蒸発することができる溶媒の量を指す。溶媒が水である場合、粒子状物質の水の重量%は、特定の固体物質のための好適な測定法、例えば電量カールフィッシャー測定法に従って決定され、無機粉末および/または複合粒子もしくは粒子状物質は、220℃または特定の固体物質に好適な別の温度まで加熱され、水含有率は気化物または蒸気として放出されて、(100ml/分の)窒素ガス流を使用して単離され、電量カールフィッシャー単位で測定される。
【0048】
「全エネルギー消費量」という用語は、本発明に関連して使用する場合、全熱エネルギー消費量を加えた全電気エネルギー消費量を指し、kWhで示される。
【0049】
「全電気エネルギー消費量」という用語は、本発明に関連して使用する場合、電気エネルギーを消費する実際の方法内のすべての機器の電気エネルギー消費量を指し、kWhで示される。
【0050】
「全熱エネルギー消費量」という用語は、本発明に関連して使用する場合、実際の方法を規定通りに行うのに必要な熱(thermal)または熱(heat)エネルギー消費量を指し、kWhで示される。
【0051】
「機械式流動床エスタブリッシャ」という用語は、本発明に関連して使用する場合、粒子床を通過する流体によってではなく、代わりに混合機器による機械的な力によって確立された粒子の流動床を指し、粒子状物質を上方へ通過する流体(液体または蒸気または気体)による液化と同様であり、これにより粒子状物質は静的固体様状態から動的流体様状態に変換される。固体粒子床は流動化されると、液体または蒸気または気体などの流体として挙動する。
【0052】
本発明の目的のために、「バール」という用語は、絶対圧力、即ち1.01325バールを指し、大気圧、即ち1標準大気(1気圧)に等しい。
【0053】
以下において、本発明の乾燥方法の1つの実施形態を示す図1を用いて、本発明の方法の特色を説明する。
【0054】
本発明の湿潤粒子状物質を乾燥する方法は、湿潤粒子状物質の少なくとも1つの供給流(1)を提供するステップを含む。
【0055】
本発明の方法で乾燥される湿潤粒子状物質は、各種の供給源から得ることができ、本発明の方法によって乾燥された後に、DIN 53163(発行日:1988年7月)に従って測定された少なくとも65%の白色度Ryを有する白色無機物である。
【0056】
本発明の一実施形態によれば、白色無機物は、炭酸カルシウムベース無機物または水酸化カルシウムもしくは硫酸カルシウム、好ましくは炭酸カルシウム、より好ましくは粉砕炭酸カルシウム(GCC)、変性炭酸カルシウムもしくは沈降炭酸カルシウム(PCC)から選択され、または炭酸カルシウム含有無機物が好ましくは炭酸カルシウム浮選からのドロマイトもしくはテーリングもしくはこれの混合物を含む、炭酸カルシウム含有無機物から選択される。
【0057】
天然粉砕炭酸カルシウム(GCC)は、例えば大理石、石灰石、チョーク、方解石および/またはドロマイトの1つ以上を特徴とし得る。沈降炭酸カルシウム(PCC)は、例えば霰石、バテライトおよび/または方解石鉱物結晶形の1つ以上を特徴とし得る。霰石は普通、針状形であるのに対して、バテライトは六方晶系に属する。方解石は、偏三角面、斜方晶、球状および斜方六面形を形成することができる。変性炭酸カルシウムは、表面および/または内部構造修飾を持つ天然粉砕または沈降炭酸カルシウムを特徴とし得て、例えば炭酸カルシウムは、例えば脂肪族カルボン酸またはシロキサンなどの疎水性化表面処理剤によって処理またはコーティングされ得るか、または酸および二酸化炭素と反応し得る。炭酸カルシウムは、例えばポリアクリレートまたはポリダドマックによって、カチオン性またはアニオン性となるように処理またはコーティングされ得る。
【0058】
好ましくは無機顔料は、粉砕炭酸カルシウム、変性炭酸カルシウムもしくは沈降炭酸カルシウムまたはこれの混合物である。
【0059】
本発明の別の実施形態によれば、白色無機物は、粘土もしくはタルクとまたは水酸化カルシウムもしくは硫酸カルシウムと混合された炭酸カルシウムベース無機物であり、または炭酸カルシウム−カオリン混合物もしくは炭酸カルシウムとベントナイトとの混合物、または天然炭酸カルシウムと水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、雲母とのもしくは合成もしくは天然繊維との混合物であり、または無機物の共構造体、好ましくはタルク−炭酸カルシウムもしくはタルク−二酸化チタンもしくは炭酸カルシウム−二酸化チタンの共構造体である。
【0060】
本発明の一実施形態によれば、湿潤粒子状物質は液体、スラリ、ペースト、凝集体、粒状物、結晶、ペレット、湿潤粒子、湿潤小片または湿潤ケーキの形である。好ましくは、湿潤粒子状物質はスラリの形である。
【0061】
湿潤粒子状物質の液体構成要素は、水、有機溶媒もしくは他の何らかの液体またこれの混合物である。好適な有機溶媒の例は、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、他のアルコール、プロピレングリコール、モノエチレングリコール、エチレングリコール、他のグリコール、炭化水素または少なくとも2種のこれらの溶媒の混合物である。好ましくは、湿潤粒子状物質の液体構成要素は主に水、より好ましくは水である。
【0062】
湿潤粒子状物質の固体含有率は、湿潤粒子状物質の全重量に対して、5から95重量%の範囲内であってよい。本発明の一実施形態によれば、湿潤粒子状物質の固体含有率は、湿潤粒子状物質の全重量に対して、少なくとも5重量%、少なくとも15重量%、好ましくは少なくとも25重量%、より好ましくは少なくとも35重量%、最も好ましくは少なくとも50重量%である。例えば、湿潤粒子状物質の固体含有率は、湿潤粒子状物質の全重量に対して、5から95重量%、15から95重量%、25から95重量%、35から95重量%から、50から95重量%である。
【0063】
本発明の湿潤粒子状物質を乾燥する方法は、少なくとも1個の乾燥チャンバ(40)、少なくとも1個の循環ファン(41)および少なくとも1個の熱交換器(42)を備える再循環回路を提供するステップをさらに含む。前記少なくとも1個の乾燥チャンバは、混合システムおよび混合粒子状物質、湿潤粒子状物質の供給流用の少なくとも1個の入口、過熱蒸気用の少なくとも1個の入口および排蒸気用の少なくとも1個の出口を備える。
【0064】
少なくとも1つの供給流(1、2)用の少なくとも1個の入口の数もしくは位置および/または少なくとも1つの供給流が進入して混合粒子状物質の上に分布する乾燥チャンバ内部の数および位置は、湿潤粒子状物質の特性、混合粒子状物質の特性、前記少なくとも1個の乾燥チャンバの設計および混合粒子状物質が乾燥チャンバ内で微粉を発生する傾向によって変わることがある。湿潤粒子状物質および混合粒子状物質の特性、前記少なくとも1個の乾燥チャンバの設計ならびに混合粒子状物質の少なくとも1個の乾燥チャンバ内での微粉を発生する傾向によっては、前記少なくとも1個の乾燥チャンバは、供給流用の1を超える入口、例えば少なくとも1つの供給流用の2、3、4または5個の入口を含有してもよい。
【0065】
過熱蒸気(6)用の少なくとも1個の入口および/または排蒸気(3)用の少なくとも1個の出口の数および位置は、混合粒子状物質の特性、少なくとも1個の乾燥チャンバの設計ならびに混合粒子状物質が少なくとも1個の乾燥チャンバ内で微粉を発生する傾向によって変わることがある。
【0066】
本発明の一実施形態によれば、少なくとも1個の乾燥チャンバは乾燥粒子状物質用の少なくとも1個の出口を含む。少なくとも連続真空操作のために、少なくとも1つの生成物流(10)用のバルブ配置が存在してよい。
【0067】
本発明の一実施形態によれば、少なくとも1個の乾燥チャンバは、例えば図3に示すような、リサイクル流用の少なくとも1個の追加の入口を含む(図13、参照番号13を参照のこと)。
【0068】
本発明の一実施形態によれば、混合システムは、1軸、2軸以上のミキサ、または1軸、2軸以上の複合ミキサおよび機械式流動床エスタブリッシャより選択される。混合設計は、均質な混合粒子状物質組成物を実現することと、粒子、凝集体または粒状物の均一な粒度分布を制御することをも目指している。好ましい実施形態によれば、混合システムは、2軸複合ミキサおよび機械式流動床エスタブリッシャである。
【0069】
湿潤粒子状物質の少なくとも1つの供給流(1)は、少なくとも1個の乾燥チャンバ(40)内の混合粒子状物質中に供給流用の少なくとも1個の入口を介して連続的または不連続的のどちらかで供給され、過熱蒸気(6)は過熱蒸気用の少なくとも1個の入口を介して乾燥チャンバ(40)中に供給される。
【0070】
当業者は、少なくとも1つの供給流の圧力が乾燥チャンバ内部の圧力よりも十分に高くなければならないことを認識する。少なくとも1つの供給流の圧力は、少なくとも1つの供給流用の少なくとも1個の乾燥チャンバ内部の分配手段によっても変わることがある。
【0071】
本発明の例示的な実施形態によれば、少なくとも1つの供給流は、スラリの形の湿潤粒子状物質を含む1つの供給流および湿潤ケーキの形の湿潤粒子状物質を含む1つの供給流を含む。
【0072】
混合粒子状物質を少なくとも1個の乾燥チャンバ(40)内で過熱蒸気と直接接触させて混合粒子状物質を乾燥させ、前記蒸気は、排蒸気(3)からいずれの搬送粒子状物質をも分離させることなく、排蒸気用の少なくとも1個の出口を介して排出される。
【0073】
混合システムを有する少なくとも1個の乾燥チャンバは、直接乾燥原理の下で動作し、即ち過熱蒸気は混合粒子状物質と直接接触している。過熱蒸気は混合粒子状物質の水分を蒸発させるための熱を供給して、蒸発した水分を運び去る。過熱蒸気は、過熱蒸気用の少なくとも1個の入口を通じて進入して、混合粒子状物質と接触し、排蒸気の少なくとも1個の出口を通じて少なくとも1個の乾燥チャンバから出る。いずれの理論にも縛られるものではないが、混合システムを有する乾燥チャンバは、過熱蒸気および混合粒子状物質の非常に密接な接触および混合のために、非常に効率的な質量および熱移動を提供すると考えられる。
【0074】
排蒸気は、少なくとも1個の乾燥チャンバ(40)、少なくとも1個の循環ファン(41)および少なくとも1個の熱交換器(42)を備える再循環回路に沿って移動する。本発明の一実施形態によれば、少なくとも1個の乾燥チャンバおよび/または少なくとも1個の乾燥チャンバを除く残りの再循環回路は、乾燥粒子状物質用の少なくとも1個の出口を備える。
【0075】
排蒸気(3、4、5)は少なくとも1個の熱交換器(42)中に供給され、排蒸気は、少なくとも1個の熱交換器(42)の前または後に少なくとも1個の循環ファン(41)を通過する。少なくとも1個の循環ファンは、再循環回路における圧力降下を克服することによって、再循環回路における蒸気の流速を維持する。
【0076】
少なくとも1個の熱交換器において、排蒸気(5)は再加熱されて過熱蒸気(6)を提供する。得られた過熱蒸気は、過熱蒸気用の少なくとも1個の入口を介して乾燥チャンバ(40)中に戻し供給される。
【0077】
少なくとも1個の熱交換器(42)は、排蒸気用の少なくとも1個の入口および過熱蒸気用の少なくとも1個の出口を含んでよい。
【0078】
本発明の一実施形態によれば、少なくとも1個の熱交換器(42)は、シェルアンドチューブ熱交換器である。いずれの理論にも縛られるものではないが、このような熱交換器設計が有利であるのは、例えばこの設計が搬送粒子状物質に対して堅牢であり、十分に低い圧力降下に対して設計可能であるためと考えられる。使用してよい他の熱交換器は、多様な種類のプレート熱交換器である。
【0079】
本発明の一実施形態によれば、排蒸気(3、4)は、例えば図1に示すように、少なくとも1個の熱交換器(42)の前に少なくとも1個の循環ファン(41)を通過する。
【0080】
本発明の別の実施形態によれば、排蒸気は、例えば図2に示すように、少なくとも1個の熱交換器(42)の後に少なくとも1個の循環ファン(41)を通過する。このような設計は、循環ファン(41)に供給される搬送粒子状物質の全水分含有率の低下につながることがあるのは、搬送粒子状物質が少なくとも1個の熱交換器(42)を通じてさらに乾燥されるためである。別の利点は、少なくとも1個の熱交換器(42)に進入する排蒸気および少なくとも1個の熱交換器(42)を出る過熱蒸気の温度がややより低く、ゆえに圧縮蒸気(8、18)飽和温度が低下して、少なくとも1個の循環ファン(41)への電気エネルギー入力としての、機械式気化物再圧縮システムのエネルギー消費量がこれに応じてやや低くなり、ゆえに、この場合の過熱蒸気の対応する温度上昇が少なくとも1個の熱交換器(42)の後に起こるということである。任意の実施形態として後述するように、少なくとも1個の循環ファン(41)の前に重力による分離が使用される場合、別の利点は、少なくとも1個の循環ファン(41)中に供給される搬送粒子状物質の量が減少するということであり得る。
【0081】
本発明の別の例示的な実施形態によれば、排蒸気(3、4)は分配され、少なくとも1個の熱交換器(42)の前および後の少なくとも2個の並列循環ファンを通過する。
【0082】
本発明の湿潤粒子状物質を乾燥させる方法は、過剰蒸気(7)を再循環回路内の少なくとも1つの位置から分配することをさらに含む。
【0083】
過剰蒸気は、再循環回路のいずれの位置からも、例えば排蒸気(3、4、5)、過熱蒸気(6)、少なくとも1個の乾燥チャンバ(40)、少なくとも1個の循環ファン(41)および/または少なくとも1個の熱交換器(42)から分配されてよい。
【0084】
本発明の一実施形態によれば、過剰蒸気(7)は再循環回路内の、搬送粒子状物質の量は最小であることが判明している少なくとも1つの位置から分配される。例示的な実施形態を図1に示し、過剰蒸気(7)は乾燥チャンバ(40)を出た後および循環ファン(41)を出る前に排蒸気(3)から分配され、この間、残存する排蒸気は再循環回路に沿って移動し、再加熱されて過熱蒸気を提供する。
【0085】
過剰蒸気(7)は少なくとも1個の機械式圧縮機(43)中に供給され、過剰蒸気は圧縮されて圧力を上昇させ、ゆえに過剰蒸気の飽和温度を上昇させる。機械式圧縮機が上記のように方法の蒸気または気化物中で直接使用され、圧縮された蒸気が同じ熱方法のためにエネルギー源として使用される場合、「機械式気化物再圧縮(MVR)」が一般に使用される。
【0086】
本発明の一実施形態によれば、少なくとも1個の機械式圧縮機は例えば、遠心圧縮機、高圧遠心ファンまたは容積式ルーツ送風機である。好ましくは、少なくとも1個の機械式圧縮機は高圧遠心ファンであり、このファンはある量の搬送粒子状物質を収容して、このため微粉/蒸気セパレータの存在が不要となるという利点を有している。機械式圧縮機を選ぶかどうかは、下で定義する蒸発水容量および/または全温度差ΔTに応じて決まることもある。異なる種類の機械式圧縮機は、圧縮効率も異なる。
【0087】
または、エネルギーシステムは、蒸気排出器による過剰蒸気の熱再圧縮に基づくことがあり、排出器には高圧蒸気が駆動力として使用される。しかし、このような代替エネルギーシステムが提供するエネルギー回収は、程度がより低いことがある。
【0088】
本発明の方法におけるエネルギー回収の大部分は、過剰蒸気の機械的再圧縮によって実現される。少なくとも1個の機械式圧縮機に使用されるエネルギーは、電気または熱エネルギーであることができる。熱エネルギーが使用される場合、少なくとも1個の機械式圧縮機からの廃エネルギーは、少なくとも一部は、本発明の方法のためのエネルギー供給として利用してよい。
【0089】
少なくとも1個の機械式圧縮機を出た後、圧縮された過剰蒸気(8)は少なくとも1個の熱交換器(42)において熱源として使用され、液体凝縮物(9)として放出される。凝縮物(9)は、直接排出されるか、または加熱するために、例えば図3に示すようなプレヒーターにおいて供給流を加熱するために全部もしくは一部使用されるか(図3、参照番号46を参照のこと)、および/または放出される前に全部もしくは一部が内部使用されるかのいずれかでよい。
【0090】
少なくとも1個の熱交換器(42)は、圧縮過剰蒸気(8)用の少なくとも1個の入口および液体凝縮物(9)用の少なくとも1個の出口を備えていてよい。
【0091】
乾燥粒子状物質は、少なくとも1個の出口を介して少なくとも1つの生成物流として連続的または不連続的のどちらかで放出され、乾燥粒子状物質が得られる。
【0092】
本発明の一実施形態によれば、少なくとも1個の乾燥チャンバ(40)は、乾燥粒子状物質用の少なくとも1個の出口を備え、少なくとも1つの生成物流(10)は、例えば図1に示すように、乾燥粒子状物質用の少なくとも1個の出口を介して乾燥チャンバから放出される。本発明の別の実施形態によれば、少なくとも1個の乾燥チャンバを除く残りの再循環回路は、乾燥粒子状物質用の少なくとも1個の出口を備え、少なくとも1つの生成物流は、乾燥粒子状物質用の少なくとも1個の出口を介して、少なくとも1個の乾燥チャンバを除く再循環回路から放出される。本発明のなお別の実施形態によれば、少なくとも1個の乾燥チャンバ(40)は乾燥粒子状物質用の少なくとも1個の出口を備え、少なくとも1個の乾燥チャンバを除く残りの再循環回路は乾燥粒子状物質用の少なくとも1個の出口を備え、少なくとも1つの生成物流は、乾燥粒子状物質用の少なくとも1個の出口を介して乾燥チャンバから、および乾燥粒子状物質用の少なくとも1個の出口を介して少なくとも1個の乾燥チャンバを除く再循環回路から放出される。
【0093】
本発明の一実施形態によれば、得られた乾燥粒子状物質は、乾燥粒子状物質の全重量に対して、15重量%未満の、好ましくは5重量%未満の、より好ましくは2重量%未満の、最も好ましくは1重量%未満の全水分を含有する。
【0094】
本発明の例示的な実施形態によれば、少なくとも1個の乾燥チャンバ(40)は乾燥粒子状物質用の第1の出口を備え、少なくとも1個の乾燥チャンバを除く残りの再循環回路は乾燥粒子状物質用の第2の出口を備え、第1の生成物流は第1の出口を介して放出され、第2の生成物流は第2の出口を介して放出され、第1の生成物流中の乾燥粒子状物質の水分含有率は、第2の生成物流中の乾燥粒子状物質の水分含有率よりも大きい。
【0095】
本発明による方法は、炭酸カルシウムの全重量に対して、95重量%を超える固体含有率を有する炭酸カルシウムを製造するために使用してよい。好ましい実施形態によれば、炭酸カルシウムは分級機の非存在下で製造される。
【0096】
本発明の一実施形態によれば、得られた乾燥粒子状物質は、炭酸カルシウムの全重量に対して、95重量%を超える、好ましくは98重量%を超える、最も好ましくは99重量%を超える固体含有率を有する炭酸カルシウムである。
【0097】
本発明の別の実施形態によれば、本発明による方法によって得られる白色無機物は、炭酸カルシウムの全重量に対して、5重量%未満の、好ましくは2重量%未満の、最も好ましくは1重量%未満の全水分を有する炭酸カルシウムである。
【0098】
本発明の一実施形態によれば、再循環回路内部の乾燥粒子状物質の平均保持時間は、少なくとも10分、少なくとも30分、または少なくとも60分である。
【0099】
本発明の方法は、0から5バールの乾燥チャンバ圧にて行ってよい。好ましい実施形態によれば、乾燥チャンバにおける圧力は、0.1から1.5バール、より好ましくは0.1から0.95バールまたは1.05から1.2バールである。真空下で本発明の方法を行うためには、真空ポンプを使用してよい。
【0100】
過熱蒸気が過熱水蒸気であり、少なくとも1個の乾燥チャンバ中の圧力が0.8から1.2バールである本発明の方法は、500から3000Paの、好ましくは1000から2000Paの、再循環回路を通じた圧力降下を用いて行ってよい。
【0101】
本発明の例示的な一実施形態によれば、少なくとも1個の乾燥チャンバ中に供給された1.05バールの圧力を有する過熱水蒸気(6)の流速は、6から100m/秒、好ましくは12から50m/秒、より好ましくは18から35m/秒、最も好ましくは22から35m/秒であり、過剰蒸気の流速は1000kg/時である。
【0102】
驚くべきことに、混合システムを有する少なくとも1個の乾燥チャンバを利用することによって、再循環回路における蒸気流速が高くても、混合粒子状物質の熱および物質移動表面積は大きく安定に、また少なくとも1個の乾燥チャンバを出る排蒸気中の搬送粒子状物質の濃度はむしろ低く維持されることが判明した。さらに、排蒸気中の搬送粒子状物質が本発明の乾燥方法で効率的に処理されるため、本発明の方法には再循環回路において微粉/蒸気セパレータが不要であることが判明した。むしろ、搬送粒子状物質の存在により、再循環回路における少なくとも1個の熱交換器の熱移動効率が上昇さえすることがある。
【0103】
再循環回路に微粉/蒸気セパレータが存在しないと、圧力降下が回避され、ゆえにシステムは再循環回路内のより低い差圧によって動作可能であり、このことによって乾燥方法のエネルギー消費量が著しく低下する。必要ならば、実際の湿潤粒子状物質の特徴に応じて、少なくとも1個の乾燥チャンバを除く再循環回路内に存在する搬送粒子状物質を処理するために、再循環回路の主に垂直配置を適用すること、十分に高い速度を維持すること、再循環回路に特定の手段を導入すること、もしくは少なくとも1個の乾燥チャンバを除く再循環回路から重力によって搬送粒子状物質を放出すること、またはこれらの手段の2つ以上を組み合わせることが可能である。
【0104】
さらに少なくとも1個の乾燥チャンバ中に過熱蒸気用の少なくとも1個の入口を介して供給される過熱蒸気の温度と、本発明の方法.で使用する少なくとも1個の機械式圧縮機と組み合わせると有利である少なくとも1個の乾燥チャンバを出る排蒸気の温度との間に、特定の温度差ΔTがあることが判明している。
【0105】
本発明の一実施形態によれば、少なくとも1個の乾燥チャンバに供給される過熱蒸気(6)の温度および少なくとも1個の乾燥チャンバを出る排蒸気(3)の温度は、温度差ΔT分異なり、ΔTは5から100℃、好ましくは10から50℃、より好ましくは15から30℃、なおより好ましくは15から25℃、最も好ましくは約22℃である。
【0106】
本発明の例示的な実施形態によれば、過熱蒸気は過熱水蒸気であり、過熱蒸気(6)の温度は、1.05バールの圧力にて105から220℃、好ましくは110から170℃、より好ましくは115℃から150℃、最も好ましくは115から135℃であり、および/または排蒸気(3)の温度は、1.05バールの圧力にて101から120℃、好ましくは102から115℃、なおより好ましくは102から110℃、最も好ましくは約102から105℃である。
【0107】
本発明の一実施形態によれば、圧縮過剰蒸気(8)の飽和温度および過剰蒸気(7)の飽和温度は、温度差ΔT分異なり、ΔTは6から130℃、好ましくは11から80℃、より好ましくは15から60℃、最も好ましくは20から45℃である。
【0108】
本発明の好ましい実施形態によれば、過熱蒸気は過熱水蒸気であり、ΔTは5から100℃、好ましくは10から50℃、より好ましくは15から30℃であり、および/またはΔTは6から130℃、好ましくは11から80℃、より好ましくは15から60℃、最も好ましくは20から45℃である。
【0109】
本発明の別の好ましい実施形態によれば、過熱蒸気は過熱水蒸気であり、ΔTは15から30℃であり、ΔTは20から45℃である。
【0110】
本発明の一実施形態によれば、ΔTとΔTとの間の差は、1から30℃、好ましくは4から20℃、より好ましくは6から15℃、最も好ましくは6から10℃である。
【0111】
上記の特色に加えて、本発明の方法は、本発明の乾燥方法の別の実施形態を示している図3によって説明される、任意の特色をさらに含む。
【0112】
本発明の任意の実施形態によれば、過剰蒸気(7)は、過剰蒸気が精製されたおよび/または再沸騰した過剰蒸気(17)として少なくとも1個の機械式圧縮機(43)中に供給される前に、いずれの搬送粒子状物質も過剰蒸気から除去する少なくとも1個のセパレータ(44)を通過する。
【0113】
少なくとも1個のセパレータ(44)は、乾燥セパレータおよび/または湿潤セパレータであってよい。好適な乾燥セパレータの例は、サイクロンまたはフィルタである。好適な湿潤セパレータの例は、スクラバーまたはリボイラーである。
【0114】
少なくとも1個のセパレータ(44)は、空気または不活性ガスをパージするために、通気ラインまたは真空ポンプ(47)に連結してよい。凝縮物流(9、19)も、通気ラインまたは真空ラインに連結してよい(図3に示さず)。
【0115】
本発明の任意の実施形態によれば、少なくとも1個のセパレータ(44)における除去された搬送粒子状物質は、リサイクル流(13)として少なくとも1個の乾燥チャンバ(40)中に供給される。リサイクル流(13)は、リサイクル流用の少なくとも1個の入口を介して少なくとも1個の乾燥チャンバ中に供給されてもよい。リサイクル流は少なくとも1つの供給流(1、2)へ向けることもできるが、図3に示されていない。
【0116】
少なくとも1個のセパレータと少なくとも1個の乾燥チャンバとの間の高さの差または少なくとも1つの供給流が十分である場合、さらなる加圧機器を用いずにリサイクル流の流れを維持することができる。湿潤セパレータが使用される場合、リサイクル流(13)は希釈された搬送粒子状物質を含有する液体状態にあり、前記リサイクル流(13)は、リサイクル流用の少なくとも1個の入口を介して少なくとも1個の乾燥チャンバ(40)中にまたは少なくとも1つの供給流(1,2)中に供給される前に凝縮されてよい。希釈された搬送粒子状物質を凝縮する可能性のある機能が組み込まれた湿潤セパレータは例えば、スクラバーまたはリボイラーである。
【0117】
この任意の実施形態は、過剰蒸気中の搬送粒子状物質が完全一体型システムによって低いまたは無視できる追加のエネルギー消費量でリサイクル可能であるという利点を有することがあり、絶対値は、リサイクル流(13)および過剰蒸気(7)の搬送粒子状物質の比に、湿潤セパレータが利用される場合には、リサイクル流(13)の沸点上昇にも依存する。言い換えれば、この任意の実施形態によれば、湿潤粒子状物質の乾燥に関係するコストを2分の1に低減できることがあり;搬送粒子状物質の損失がないのは、物質がリサイクルされて、リサイクルに必要とされるのは、低量または極少量の追加エネルギーのみだからである。
【0118】
本発明の任意の実施形態によれば、凝縮物(9、19)の少なくとも一部が、少なくとも1個のセパレータおよび乾燥システム全体内での溶媒物質収支を維持するために、少なくとも1個のセパレータ(44)中に供給される。
【0119】
本発明の別の任意の実施形態によれば、少なくとも1個のセパレータ(44)における除去された搬送粒子状物質は、前記セパレータから放出流として放出される。乾燥セパレータが使用され、搬送粒子状物質が十分に乾燥している場合、除去された搬送粒子状物質は、システム全体の乾燥粒子状物質の物質収支に寄与する乾燥粒子状物質として放出されることがある。または湿潤セパレータの場合、希釈された搬送粒子状物質は液体またはスラリの形で放出流として放出されることがあり、放出流および過剰蒸気(7)の搬送粒子状物質の比に応じて、凝縮物(9、19)の少なくとも一部が、少なくとも1個のセパレータおよび乾燥システム全体内での物質収支を維持するために、少なくとも1個のセパレータ(44)中に供給される。
【0120】
本発明の任意の一実施形態によれば、少なくとも1つの供給流(1)は、少なくとも1個の乾燥チャンバ(40)中に供給される前に予熱される。好ましくは、少なくとも1つの供給蒸気(1)は、湿潤粒子状物質を処理するように設計された少なくとも1個の熱交換器(46)によって予熱され、液体凝縮物(9、19)および/または少なくとも1個のセパレータ(44)からの放出流が熱源として使用される。少なくとも1個の熱交換器(46)は、供給流(1)用の少なくとも1個の入口、予熱された供給流(2)用の少なくとも1個の出口、高温凝縮物(9、19)またはセパレータ(44)からの高温放出流用の少なくとも1個の入口ならびに過冷凝縮物(20)または少なくとも1個のセパレータ(44)からの過冷放出流用の少なくとも1個の出口を備えてよい。
【0121】
本発明の任意の実施形態によれば、少なくとも1個の乾燥チャンバを除く再循環回路における搬送粒子状物質は、少なくとも1個の乾燥チャンバを除く再循環回路におけるいずれの位置にても、好ましくは少なくとも1個の熱交換器(42)の後および少なくとも1個の乾燥チャンバ(40)の前の位置にて、重力手段のみで一部分離することができる。搬送粒子状物質が十分に乾燥している場合、この搬送粒子状物質排出物は、システム全体の乾燥粒子状物質の物質収支に寄与する。場合により、前記搬送粒子状物質排出物は、少なくとも1個の入口を介して少なくとも1個の乾燥チャンバ中へまたは少なくとも1個の供給流中へ戻しリサイクルされてよい。
【0122】
本発明の乾燥方法は、十分に断熱された乾燥システムにて、または乾燥システム内部での、例えば微粒子状物質を含む区域での内部結露を除去または最小限に抑えるための二重壁シェルを介して外側が加熱される乾燥システムにて行ってよい。
【0123】
別の任意の実施形態によれば、本発明の方法を行うために使用される少なくとも1個の乾燥チャンバおよび/または蒸気パイプラインは、二重壁シェルを含み、圧縮蒸気(8、18)の一部は、本発明の方法を行うために使用される少なくとも1個の乾燥チャンバ(40)および/または連結パイプラインにおいて、乾燥媒体または過熱蒸気の内部を再加熱するための熱源として使用される。これにより、過熱蒸気(6)流速の低下によるエネルギー消費量全体がさらに削減させることができ、同時に少なくとも1個の乾燥チャンバおよび蒸気パイプラインの内部での凝縮のリスクを低下させることができる。
【0124】
また別の任意の実施形態によれば、液体凝縮物(9、19)は、少なくとも1個の熱交換器(42)に進入する前に、圧縮蒸気(8、18)を冷却するために使用される。この目的のための液体凝縮物の注入は、少なくとも1個の機械式圧縮機(43)の前または後のどちらでも可能である。
【0125】
本発明のまた別の任意の実施形態によれば、外部エネルギー入力(11)を用いて本発明の方法を開始してもよい。好適な外部エネルギー入力は、ボイラーまたは湯からの蒸気であってよい。しかし、外部エネルギー入力は始動の目的に必須というわけではない。例えば、高温供給流、動作中の少なくとも1個の循環ファンおよび少なくとも1個の機械式圧縮機が駆動されている場合、乾燥システムはシステム自体によって加熱することができる。定常状態動作では、外部エネルギー入力はシステム全体のエネルギーが過剰な場合には外部エネルギー入力は不要なことがあり、従ってオン/オフバルブによって遮断される。全体のエネルギー収支および/または供給の特徴のために外部エネルギーが必要である場合、外部エネルギーは、圧縮蒸気中へ直接供給することも、または再循環回路における少なくとも1個の独立した熱交換器を介して間接的に供給することもできる。システム全体にエネルギーが過剰に存在する場合、このエネルギーは、エネルギー収支を維持するために、少なくとも1個の乾燥チャンバ(40)と少なくとも1個の熱交換器(42)との間の蒸気ラインから外部冷却凝縮器によって除去してよい。
【0126】
また別の任意の実施形態によれば、本発明による方法は、直列の、並列の、または直列と並列の組合せの少なくとも2個の乾燥チャンバを含んでよい。直列連結チャンバが使用される場合、本発明の方法は、乾燥チャンバ間で再加熱せずにまたはチャンバの少なくとも2個の間で再加熱して、乾燥チャンバの再加熱蒸気バイパスを用いずにまたは少なくとも1個の乾燥チャンバの過熱蒸気バイパスを用いて、混合粒子状物質の同様の水分含有率でまたは少なくとも2個の乾燥チャンバにおいて混合粒子状物質の異なる水分含有率で、同様の乾燥チャンバ温度でまたは少なくとも2個の乾燥チャンバにおける異なる乾燥チャンバ過熱蒸気入口/出口温度で、および少なくとも1個のMVRシステムを用いて行ってよい。この任意の実施形態の幾つかの潜在的な利点は、全体的にさらに最適化された乾燥方法、乾燥される湿潤粒子状物質の各種類について最適化された乾燥方法、エネルギー効率の改善、乾燥チャンバにおける熱および物質移動の改善ならびに/または少なくとも1個の乾燥チャンバを除く主再循環回路におけるより少ない搬送粒子状物質であり得る。
【0127】
本発明による方法によって得ることができる白色無機物は、製紙用途、塗料、シーラント、接着剤、コンクリート、農業、化粧品、食品、飼料、医薬品、水処理および/またはプラスチックに使用してよい。
【実施例】
【0128】
[実施例1]
実施例1は、本発明の乾燥方法と、過剰蒸気潜熱のエネルギー回収を用いない、従来の直接過熱蒸気混合乾燥器を使用する乾燥方法との間のエネルギー消費量の比較である。
【0129】
従来の乾燥器は、蒸気再循環回路におけるより高く見積もられた圧力降下を生じさせる微粉/蒸気サイクロン型セパレータを、再循環回路に含んでいた。全エネルギー消費量は、システム全体のエネルギー収支に従って計算した。電気エネルギー消費量は、差圧、体積流量および全ファン効率に基づく循環ファンのエネルギー消費量の標準計算モデルに基づいて、混合機器およびポンプの電気エネルギー消費量の一般的な推定値を使用して計算した。本発明の乾燥方法の装置構成は、図1に示す方法設計に基づいている。
【0130】
結果では、本発明の乾燥方法の再循環回路における微粉/蒸気セパレータの重大性について論じる。カッコ内の数字は、図1の実際の機器、蒸気または流位置を指す。実効消費量(kW)は、共通設計データで規定される蒸発水容量に関連して判断する必要がある。
【0131】
共通設計データ
湿潤粒子状物質:水中のCaCO
供給濃度(1):50重量%固体含有率
生成物濃度(10):99重量%固体含有率
供給容量:2000kg/時
蒸発水容量(7、8、9):1000kg/時
乾燥チャンバ圧:1.05バール
保持時間:30分超
実効消費量 ミキサおよびポンプ:30kW
循環ファン効率(41):0.65
機械式圧縮機効率(43):0.60
【0132】
従来の直接過熱蒸気乾燥方法
温度 乾燥チャンバへの入口:164℃
温度 乾燥チャンバの出口:102℃
再循環回路での圧力降下:6000Pa
全熱実効消費量:550kW
全電気実効消費量 循環ファン:70kW
全実効消費量:650kW
【0133】
本発明の方法
温度 乾燥チャンバへの入口(6):124℃
温度 乾燥チャンバの出口(3):102℃
乾燥チャンバに進入する過熱蒸気(6)および乾燥チャンバから出る排蒸気(3)のΔT即ち温度差:22℃
ΔT即ち温度上昇 MVRシステム(43):ΔT+6℃=28℃
再循環回路における圧力降下(3−4−41−5−42−6−40):1500Pa
過熱蒸気体積流速(6):24m/秒
全熱実効消費量:0kW
電気実効消費量 循環ファン:50kW
電気実効消費量 MVRシステム:75kW
全実効消費量:155kW
【0134】
結果
本実施形態による本発明の方法は、従来の乾燥方法よりもおよそ76%低い全エネルギー消費量を示した。再循環回路に微粉/蒸気分離装置(例えばサイクロン)が存在する場合、4500Paの追加の圧力降下、さもなければ同じ設計データを想定すると、およそ150kWの循環ファンの電気実効消費量の上昇が生じて、このため全エネルギー消費量は、本発明の方法の2倍高い305kWであった。
【0135】
[実施例2]
図4は、図3に示す本発明の方法について下で規定する設計データに基づく、乾燥チャンバに供給された過熱蒸気と乾燥チャンバを出た排蒸気との温度差に対する、全比エネルギー消費量(即ち蒸発水1トン当たりのkWh)の計算を示す。本実施例においてもまた、方法の最適温度レベルに対する再循環回路の圧力降下の感度が示されている。カッコ内の数字は、図3の実際の機器、蒸気または流位置を指す。
【0136】
設計データ
湿潤粒子状物質:水中のCaCO
供給濃度(1):50重量%固体含有率
生成物濃度(10):99重量%固体含有率
乾燥チャンバ圧(40):1.05バール
保持時間:30分超
過剰蒸気(7)中の搬送粒子状物質:1重量%
ΔT即ち温度上昇 MVRシステム:ΔT+10℃
再循環回路における圧力降下(3−4−41−5−42−6−40):1100または1500または1900Pa
循環ファン効率(41):0.75
機械式圧縮機効率(43):0.78
比エネルギー消費量 ミキサおよびポンプ:30kWh/トン蒸発水
【0137】
図4は、ΔTに対する最適エネルギー消費量が、およそΔT=15−30℃にて生じたことを示している。循環ファンのエネルギー消費量は、過熱蒸気の流速低下のためにΔTが増大したときに減少した。機械式圧縮機エネルギー消費量は、より高いΔT、またはより詳細には、熱交換器(42)からのより高い過熱蒸気温度出口を補償するためにより高いΔTが必要であることから、反対のことが生じた。図4は、再循環回路における圧力降下(dP)の低下(1100Pa)または上昇(1900Pa)の効果も示し、最適温度レベルがなお低く、同じ範囲にあることを示している。
【0138】
[実施例3]
図5は、例えば沸点上昇が増大しているときに関連性がある、ΔTとΔTとの間の温度差増大の感度を示す。本実施例において、湿潤粒子状物質組成は、以下に規定する混合粒子状物質の沸点上昇の特徴によって間接的にのみ定義された。3つの異なるケースについて、図1に示す本発明の方法について下で規定する設計データに基づく、乾燥チャンバに供給された過熱蒸気と乾燥チャンバを出た排蒸気との温度差に対する、全比エネルギー消費量(即ち蒸発水1トン当たりのkWh)の計算を示す。カッコ内の数字は、図1の実際の機器、蒸気または流位置を指す。
【0139】
使用した設計データ
湿潤粒子状物質:混合粒子状物質の定義に関連
混合粒子状物質の沸点上昇:0または6または12℃
供給濃度(1):50重量%固体含有率
生成物濃度(10):99重量%固体含有率
乾燥チャンバ圧(40):1.05バール
保持時間:30分超
ΔT即ち温度上昇 MVRシステム(43):ΔT+8またはΔT+14またはΔT+20℃
再循環回路における圧力降下(3−4−41−5−42−6−40):1100Pa
循環ファン効率(41):0.75
機械式圧縮機効率(43):0.78
比エネルギー消費量 ミキサおよびポンプ:30kWh/トン蒸発水
【0140】
計算の結果を図5に示すが、3つの異なるケースで最適ΔT温度レベルはむしろ低く、同じ範囲にあり、最適ΔT温度範囲は15から25℃であることが示されている。結果として、より高い沸点上昇で湿潤または混合粒子状物質を乾燥させる場合、同じΔTを維持してよく、このときΔT、ゆえに機械式圧縮機エネルギー消費量はより高い沸点上昇を補償するために増大することがある。
【0141】
[実施例4]
本実施例は、図3に示す本発明の方法に基づき、湿潤型セパレータの使用による過剰蒸気リサイクル時の搬送粒子状物質のための追加のエネルギー消費量を示す。過剰蒸気中の搬送粒子状物質のリサイクルを行う本発明の方法を、リサイクルを行わない本発明の方法と比較した。過剰蒸気中にそれぞれ0.5重量%および2.0重量%の搬送粒子状物質を有する2つのリサイクルのための例を使用する。カッコ内の数字は、図3の実際の機器、蒸気または流位置を指す。
【0142】
使用した設計データ:
湿潤粒子状物質:水中のCaCO
供給濃度(1):50重量%固体含有率
生成物濃度(10):99重量%固体含有率
乾燥チャンバ圧(40):0.91バール
保持時間:30分超
過剰蒸気(7)中の搬送粒子状物質:0.5重量%および2.0重量%
リサイクル流(13)の搬送粒子状物質の濃度:50重量%
乾燥チャンバに進入する過熱蒸気(6)および乾燥チャンバから出る排蒸気(3)のΔT即ち温度差:22℃
リサイクルを行わない、ΔT即ち温度上昇 MVRシステム:ΔT+12℃
リサイクルを行う、ΔT即ち温度上昇 MVRシステム:ΔT+13℃
再循環回路における圧力降下(3−4−41−5−42−6−40):1400Pa
循環ファン効率(41):0.70
機械式圧縮機効率(43):0.75
比エネルギー消費量 ミキサおよびポンプ:30kWh/トン蒸発水
【0143】
結果:
−リサイクルなしの比エネルギー消費量=154kWh/トン
−リサイクルありの比エネルギー消費量、過剰蒸気中の0.5重量%搬送粒子状物質=158kWh/トン
−リサイクルありの比エネルギー消費量、過剰蒸気中の2.0重量%搬送粒子状物質=160kWh/トン
リサイクルありの追加のエネルギー消費量はゆえに2−4%であった。
図1
図2
図3
図4
図5