(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5791784
(24)【登録日】2015年8月14日
(45)【発行日】2015年10月7日
(54)【発明の名称】自動車分野で使用する電気的なコンポーネントのためのハウジングユニット
(51)【国際特許分類】
H05K 5/06 20060101AFI20150917BHJP
B60R 16/02 20060101ALI20150917BHJP
【FI】
H05K5/06 E
B60R16/02 610B
【請求項の数】5
【全頁数】5
(21)【出願番号】特願2014-506765(P2014-506765)
(86)(22)【出願日】2011年4月27日
(65)【公表番号】特表2014-513428(P2014-513428A)
(43)【公表日】2014年5月29日
(86)【国際出願番号】EP2011056615
(87)【国際公開番号】WO2012146275
(87)【国際公開日】20121101
【審査請求日】2013年10月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】311013845
【氏名又は名称】ピールブルグ パンプ テクノロジー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Pierburg Pump Technology GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100099483
【弁理士】
【氏名又は名称】久野 琢也
(72)【発明者】
【氏名】ロナルト ラートケ
(72)【発明者】
【氏名】ミヒャエル ヴァイナート
(72)【発明者】
【氏名】ヴォルフガング ツァッハー
(72)【発明者】
【氏名】レネ パッツナー
【審査官】
遠藤 秀明
(56)【参考文献】
【文献】
特表2010−513813(JP,A)
【文献】
特表2008−521225(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 5/06
B60R 16/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジングカバーにより密閉可能なハウジング部材を備えた、自動車分野で使用する電気的なコンポーネントのためのハウジングユニットであって、前記ハウジングカバーは、ダイヤフラムと、少なくとも1つの空気抜き開口とを有している、ハウジングユニットにおいて、
前記ハウジングカバー(20)が、凹部(24)を備えたカバーベース部材(22)を有しており、前記凹部(24)に、前記ダイヤフラム(34)により密閉可能な開口(26)が設けられており、該開口(26)は、前記ダイヤフラム(34)に接合プロセスにおけるばたつき又は衝撃を阻止する初期張力をかけるように配置されたリブを有しており、前記凹部(24)を、少なくとも1つの空気抜き開口を残して閉鎖するカバー閉鎖部材(38)が設けられており、前記接合プロセスはカバー閉鎖部材又はハウジングカバーの接合プロセスであることを特徴とする、自動車分野で使用する電気的なコンポーネントのためのハウジングユニット。
【請求項2】
前記カバー閉鎖部材(38)は、前記凹部(24)の最大直径よりも小さな直径を有していて、前記凹部(24)に設けられた支持エレメント(36)と材料接続的に結合されていて、前記カバー閉鎖部材(38)の周面領域に空気抜き開口が設けられている、請求項1記載のハウジングユニット。
【請求項3】
前記カバーベース部材(22)は、前記カバー閉鎖部材(38)用のセンタリングエレメント(40)を有している、請求項1又は2記載のハウジングユニット。
【請求項4】
前記リブは、放射状に形成されている、請求項1から3までのいずれか1項記載のハウジングユニット。
【請求項5】
前記凹部(24)は、漏斗状に形成されている、請求項1から4までのいずれか1項記載のハウジングユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハウジングカバーにより密閉可能なハウジング部材を備えた、自動車分野で使用する電気的なコンポーネントのためのハウジングユニットに関するものであり、ハウジングカバーは、ダイヤフラムと、少なくとも1つの空気抜き開口とを有している。
【0002】
電気的なコンポーネントのための、このようなハウジングユニットは、従来技術から公知である。EP0113073A1に開示されたハウジングユニットは、電気回路を収容するハウジング部材を備えていて、ダイヤフラムにより湿分から保護されており、且つダイヤフラムの機械的な防護に役立つカバーによって密閉されている。ハウジングにおいて圧力補償を行い、これにより温度変化及び/又は外部圧力の変動に対応できるようにするために、カバーには空気抜き穴が設けられている。このように構成されたハウジングユニットは、例えば超音波溶接による後続のカバー接合プロセスに際してダイヤフラムが外れ、これにより電気的なコンポーネントが、如何なる場合もやはり湿分にさらされてしまう、という欠点を有している。
【0003】
したがって本発明の課題は、上述した欠点を廉価に回避する、電気的なコンポーネントのためのハウジングユニットを提供することにある。
【0004】
この課題は、ハウジングカバーが、凹部を備えたカバーベース部材を有しており、前記凹部に、ダイヤフラムにより密閉可能な開口が設けられており、該開口は、ダイヤフラムに初期張力をかけるように配置されたリブを有しており、前記凹部を、少なくとも1つの空気抜き開口を残して閉鎖するカバー閉鎖部材が設けられていることにより、解決される。カバーベース部材の凹部に設けられた開口に、ダイヤフラムに初期張力をかけるリブが配置されていることにより、例えばカバー閉鎖部材又はハウジングカバーの超音波溶接等の接合プロセスに際してダイヤフラムのばたつき又は衝撃が阻止され、延いてはダイヤフラムが申し分無くシールされて固定されているということが保証される。
【0005】
本発明によるハウジングユニットの好適な構成では、カバー閉鎖部材が、凹部の最大直径よりも小さな直径を有していて、凹部の支持エレメントと材料接続的に(溶接又は接着により)結合されており、これにより、カバー閉鎖部材の周面領域には複数の空気抜き開口が設けられていることになる。これにより、湿分又は水蒸気がハウジングユニットの領域から流出若しくは蒸発可能であるということが、簡単に保証される。
【0006】
取付け技術的な観点では、カバーベース部材が、カバー閉鎖部材用のセンタリングエレメントを有していると、極めて有利であることがある。有利には、リブは放射状に形成されている。
【0007】
凹部が漏斗状に形成されていることにより、水は凹部から比較的簡単に流出可能である。
【0008】
以下に、本発明の実施形態を図面につき詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】自動車用水循環ポンプを、カバーを外した状態で示した斜視図である。
【
図2】水循環ポンプの電気的なコンポーネントのためのハウジングユニットを断面して示した図である。
【0010】
図1には、流入接続管片4と流出接続管片6とを備えた水循環ポンプ2の斜視図が示されている。更に、ハウジング部材8が設けられており、このハウジング部材8にはポンプ機構10が接続していて、このポンプ機構10もやはり、公知の形式で流入接続管片4と流出接続管片6とに接続されている。
【0011】
ハウジング部材8は、水循環ポンプの制御に用いられる電気的なコンポーネント14,16,18を備えたプリント基板12を有している(
図2参照)。ハウジング部材8は、ハウジングカバー20により密閉可能である。本発明によれば、ハウジングカバー20は、凹部24を有するカバーベース部材22から成っている。凹部24は漏斗状に形成されていて、これにより、凹部24内に存在する水は、如何なる取付け位置においても流出することができる。更に、凹部24は、放射状に配置されたリブ
28を備えた開口26を有しており、このリブ
28は、開口26を閉鎖するダイヤフラム34に初期張力がかけられるように、開口の周面30に比べて、開口26の中心点32に向かって隆起されている。このように、ダイヤフラム34に初期張力がかけられることにより、例えば超音波溶接による後続の接合プロセスにおけるばたつき又は衝撃が阻止され、このようにして、接合プロセスにおいてダイヤフラムが損傷されないということが保証される。更に、凹部24は複数の支持エレメント36を有しており、これらの支持エレメント36は、超音波溶接によるカバー閉鎖部材38との材料接続式の結合のために、各1つのリブを有している。この場合、カバー閉鎖部材38の直径dは、カバーベース部材22の凹部24の最大直径Dよりも小さくなっている。このようにして、いわば1つの空気抜き開口が、カバー閉鎖部材38の全周にわたる領域に形成され、これにより、如何なる取付け位置においても、液体が凹部24から簡単に流出することができる。カバー閉鎖部材38を簡単に取り付けるために、複数のセンタリングエレメント40が設けられていて、これらのセンタリングエレメント40により、取付け状態におけるカバー閉鎖部材38の取付け位置が規定されている。
【0012】
このような装置により、温度変化及び/又は外部圧力の変動に際して、プリント基板12並びに電気的なコンポーネント14,16,18を備えたハウジング部材8において圧力補償を行うことが簡単に保証される。ダイヤフラムは、機械的な作用を受けないように、カバー閉鎖部材38により防護されている。液体又は水蒸気の搬出は、あらゆる取付け位置において保証されている。
【0013】
図2には、ハウジング部材8の断面図が示されている。ここでは、電気的なコンポーネント14,16,18を備えたプリント基板12の配置形式をはっきりと認識することができる。プリント基板12と電気的なコンポーネント14,16,18とが位置する空間42は、ダイヤフラム34を備えたカバーベース部材22により密閉される。
【0014】
このことに関連して、ダイヤフラム34を傘状に張設(テンショニング)するリブの隆起部も、はっきりと認識することができる。凹部24は、上述したように、カバー閉鎖部材38により閉鎖される。カバー閉鎖部材38の、より小さな直径dに基づいて、必然的に周面側に、空気抜き開口44が形成される。