特許第5791817号(P5791817)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5791817溶出性及び/又は吸収性が改善された経口投与用医薬組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5791817
(24)【登録日】2015年8月14日
(45)【発行日】2015年10月7日
(54)【発明の名称】溶出性及び/又は吸収性が改善された経口投与用医薬組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/5377 20060101AFI20150917BHJP
   A61K 47/12 20060101ALI20150917BHJP
   A61K 9/20 20060101ALI20150917BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20150917BHJP
   A61P 37/08 20060101ALI20150917BHJP
   A61P 21/00 20060101ALI20150917BHJP
【FI】
   A61K31/5377
   A61K47/12
   A61K9/20
   A61P29/00
   A61P37/08
   A61P21/00
【請求項の数】13
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2014-536878(P2014-536878)
(86)(22)【出願日】2013年9月18日
(86)【国際出願番号】JP2013075157
(87)【国際公開番号】WO2014046129
(87)【国際公開日】20140327
【審査請求日】2015年2月16日
(31)【優先権主張番号】特願2012-205681(P2012-205681)
(32)【優先日】2012年9月19日
(33)【優先権主張国】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000207827
【氏名又は名称】大鵬薬品工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】特許業務法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】末藤 孝志
【審査官】 前田 亜希
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−273440(JP,A)
【文献】 特開平11−106353(JP,A)
【文献】 特開昭59−089615(JP,A)
【文献】 特開2006−028131(JP,A)
【文献】 特開2003−252762(JP,A)
【文献】 特表2007−502788(JP,A)
【文献】 特表2004−528345(JP,A)
【文献】 国際公開第2010/104024(WO,A1)
【文献】 国際公開第2008/143240(WO,A1)
【文献】 Journal of Controlled Release,1999年,62(1-2),141-148
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/5377
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
4-((1-メチルピロール-2-イル)-カルボニル)-N-(4-(4-モルホリン-1-イル-カルボニルピペリジン-1-イル)-フェニル)-1-ピペラジンカルボキサミド又はその塩もしくはその溶媒和物を有効成分として含み、酸性添加物としてフマル酸を含有する経口投与用医薬組成物。
【請求項2】
酸性添加物が、4-((1-メチルピロール-2-イル)-カルボニル)-N-(4-(4-モルホリン-1-イル-カルボニルピペリジン-1-イル)-フェニル)-1-ピペラジンカルボキサミド1質量部に対し、0.25〜5質量部であることを特徴とする請求項1記載の経口投与用医薬組成物。
【請求項3】
酸性添加物が、4-((1-メチルピロール-2-イル)-カルボニル)-N-(4-(4-モルホリン-1-イル-カルボニルピペリジン-1-イル)-フェニル)-1-ピペラジンカルボキサミド1質量部に対し、0.5〜2質量部であることを特徴とする請求項1記載の経口投与用医薬組成物。
【請求項4】
賦形剤をさらに含有し、酸性添加物が、賦形剤1質量部に対し、0.15〜6質量部であることを特徴とする請求項1記載の経口投与用医薬組成物。
【請求項5】
第十六改正日本薬局方の溶出試験法により溶出試験を行なったときの15分後の酸性添加物を含む製剤の有効成分の溶出率が酸性添加物を含まない製剤の有効成分の溶出率と比較して10%より大きな差が認められる請求項1〜のいずれかに記載の経口投与用医薬組成物。
【請求項6】
医薬組成物の経口投与後の前記有効成分のAUC及びCmaxが酸性添加物を含まない医薬組成物と比較して1.5倍以上である請求項1〜のいずれかに記載の経口投与用医薬組成物。
【請求項7】
4-((1-メチルピロール-2-イル)-カルボニル)-N-(4-(4-モルホリン-1-イル-カルボニルピペリジン-1-イル)-フェニル)-1-ピペラジンカルボキサミド又はその塩もしくはその溶媒和物を含有する医薬組成物において、酸性添加物としてフマル酸である酸性添加物を配合することを特徴とする、医薬組成物における4-((1-メチルピロール-2-イル)-カルボニル)-N-(4-(4-モルホリン-1-イル-カルボニルピペリジン-1-イル)-フェニル)-1-ピペラジンカルボキサミド又はその塩もしくはその溶媒和物の安定化方法。
【請求項8】
4-((1-メチルピロール-2-イル)-カルボニル)-N-(4-(4-モルホリン-1-イル-カルボニルピペリジン-1-イル)-フェニル)-1-ピペラジンカルボキサミド又はその塩もしくはその溶媒和物を含有する医薬組成物において、酸性添加物としてフマル酸である酸性添加物を配合することを特徴とする、医薬組成物における4-((1-メチルピロール-2-イル)-カルボニル)-N-(4-(4-モルホリン-1-イル-カルボニルピペリジン-1-イル)-フェニル)-1-ピペラジンカルボキサミド又はその塩もしくはその溶媒和物の溶出性改善方法。
【請求項9】
4-((1-メチルピロール-2-イル)-カルボニル)-N-(4-(4-モルホリン-1-イル-カルボニルピペリジン-1-イル)-フェニル)-1-ピペラジンカルボキサミド又はその塩もしくはその溶媒和物を含有する医薬組成物において、酸性添加物としてフマル酸である酸性添加物を配合することを特徴とする、医薬組成物における4-((1-メチルピロール-2-イル)-カルボニル)-N-(4-(4-モルホリン-1-イル-カルボニルピペリジン-1-イル)-フェニル)-1-ピペラジンカルボキサミド又はその塩もしくはその溶媒和物の吸収性改善方法。
【請求項10】
4-((1-メチルピロール-2-イル)-カルボニル)-N-(4-(4-モルホリン-1-イル-カルボニルピペリジン-1-イル)-フェニル)-1-ピペラジンカルボキサミド又はその塩もしくはその溶媒和物を含有する医薬組成物における、4-((1-メチルピロール-2-イル)-カルボニル)-N-(4-(4-モルホリン-1-イル-カルボニルピペリジン-1-イル)-フェニル)-1-ピペラジンカルボキサミド又はその塩もしくはその溶媒和物の安定化のための、酸性添加物としてフマル酸である酸性添加物の使用。
【請求項11】
4-((1-メチルピロール-2-イル)-カルボニル)-N-(4-(4-モルホリン-1-イル-カルボニルピペリジン-1-イル)-フェニル)-1-ピペラジンカルボキサミド又はその塩もしくはその溶媒和物を含有する医薬組成物における、4-((1-メチルピロール-2-イル)-カルボニル)-N-(4-(4-モルホリン-1-イル-カルボニルピペリジン-1-イル)-フェニル)-1-ピペラジンカルボキサミド又はその塩もしくはその溶媒和物の溶出性改善のための、酸性添加物としてフマル酸である酸性添加物の使用。
【請求項12】
4-((1-メチルピロール-2-イル)-カルボニル)-N-(4-(4-モルホリン-1-イル-カルボニルピペリジン-1-イル)-フェニル)-1-ピペラジンカルボキサミド又はその塩もしくはその溶媒和物を含有する医薬組成物における、4-((1-メチルピロール-2-イル)-カルボニル)-N-(4-(4-モルホリン-1-イル-カルボニルピペリジン-1-イル)-フェニル)-1-ピペラジンカルボキサミド又はその塩もしくはその溶媒和物の吸収性改善のための、酸性添加物としてフマル酸である酸性添加物の使用。
【請求項13】
4-((1-メチルピロール-2-イル)-カルボニル)-N-(4-(4-モルホリン-1-イル-カルボニルピペリジン-1-イル)-フェニル)-1-ピペラジンカルボキサミド又はその塩もしくはその溶媒和物を含有する経口投与用医薬組成物を製造するためのフマル酸である酸性添加物の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連分野の相互参照)
本願は、2012年9月19日に出願した特願2012-205681号明細書(その全体が参照により本明細書中に援用される)の優先権の利益を主張するものである。
【0002】
本発明は、4-((1-メチルピロール-2-イル)-カルボニル)-N-(4-(4-モルホリン-1-イル-カルボニルピペリジン-1-イル)-フェニル)-1-ピペラジンカルボキサミド又はその塩もしくはその溶媒和物を含有する経口投与用医薬組成物に関する。
【背景技術】
【0003】
バイオアベイラビリティは、投与された薬物が全身循環血中にどれだけ到達して作用するかを示す指標であり、薬効や毒性と密接に関連する臨床的に重要なパラメーターである。一般にバイオアベイラビリティの低い薬物は、期待される薬効が得られなかったり、個体内又は個体間変動が大きくなったりすることから、薬効や毒性の予測・制御が困難となる。したがって、医薬品の開発においては、適切なバイオアベイラビリティを得ることが重要である。経口投与される薬物では、消化管からの吸収効率、肝臓・消化管での代謝の影響を受けるが、特に難溶性薬剤の場合には、適切なバイオアベイラビリティを得るために、製剤からの薬物の溶出性や、薬物の水への溶解性を改善することが重要となる。
【0004】
4-((1-メチルピロール-2-イル)-カルボニル)-N-(4-(4-モルホリン-1-イル-カルボニルピペリジン-1-イル)-フェニル)-1-ピペラジンカルボキサミド又はその塩は、プロスタグランジンD合成酵素、特に造血器型プロスタグランジンD合成酵素阻害作用によるアレルギー疾患、炎症性疾患、筋変性疾患等の予防及び/又は治療剤である(特許文献1)が、中性のpH領域での溶出性、及び吸収性が低く、適切なバイオアベイラビリティの確保に課題があった。
【0005】
薬物の溶出性や吸収性改善のための方法としては、有機酸を配合する方法が広く知られている。例えば、ベンズイミダゾール化合物とフマル酸一ナトリウム等のpH調整剤を組み合わせる技術(特許文献2)や、モルヒナン誘導体とフマル酸等の有機酸を組み合わせる技術(特許文献3)等が報告されている。
【0006】
しかしながら、4-((1-メチルピロール-2-イル)-カルボニル)-N-(4-(4-モルホリン-1-イル-カルボニルピペリジン-1-イル)-フェニル)-1-ピペラジンカルボキサミドに関して、本発明のように特定の有機酸を酸性添加物として添加することによる溶出性及び/又は吸収性の改善については全く報告されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】国際公開2010/104024号パンフレット
【特許文献2】国際公開2008/123536号パンフレット
【特許文献3】国際公開2008/143240号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、溶出性及び/又は吸収性が改善された4-((1-メチルピロール-2-イル)-カルボニル)-N-(4-(4-モルホリン-1-イル-カルボニルピペリジン-1-イル)-フェニル)-1-ピペラジンカルボキサミドを含有する経口投与用医薬組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
そこで本発明者は、4-((1-メチルピロール-2-イル)-カルボニル)-N-(4-(4-モルホリン-1-イル-カルボニルピペリジン-1-イル)-フェニル)-1-ピペラジンカルボキサミド又はその塩もしくはその溶媒和物に種々の有機酸を配合し、その配合適正、溶出性及び吸収性を評価してきた。その結果、アジピン酸、コハク酸又はフマル酸等の特定の有機酸を酸性添加物として配合することにより、4-((1-メチルピロール-2-イル)-カルボニル)-N-(4-(4-モルホリン-1-イル-カルボニルピペリジン-1-イル)-フェニル)-1-ピペラジンカルボキサミドの安定性に影響を与えず、溶出性及び吸収性に優れた経口投与用医薬組成物が得られることを見出し、本発明を完成した。
【0010】
すなわち、本発明は、4-((1-メチルピロール-2-イル)-カルボニル)-N-(4-(4-モルホリン-1-イル-カルボニルピペリジン-1-イル)-フェニル)-1-ピペラジンカルボキサミド又はその塩もしくはその溶媒和物と、酸性添加物としてアジピン酸、コハク酸、フマル酸、L-アスパラギン酸、L-グルタミン酸、又はこれらの組み合わせのいずれかの有機酸を含有する経口投与用医薬組成物を提供することにある。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、有効成分の安定性に影響を与えないことから製剤の安定性が確保され、且つ溶出性及び吸収性に優れた経口投与用医薬組成物を、患者及び医療従事者に提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】実施例2の溶出試験の結果を示す。
図2】実施例3の溶出試験の結果を示す。
図3】実施例4の吸収性試験の結果を示す。
図4】実施例5の吸収性試験の結果を示す。
図5】実施例5の吸収性試験の結果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本明細書において、単数形(a, an, the)は、本明細書で別途明示がある場合または文脈上明らかに矛盾する場合を除き、単数と複数を含むものとする。
【0014】
本発明の経口投与用医薬組成物の有効成分は、4-((1-メチルピロール-2-イル)-カルボニル)-N-(4-(4-モルホリン-1-イル-カルボニルピペリジン-1-イル)-フェニル)-1-ピペラジンカルボキサミドである。4-((1-メチルピロール-2-イル)-カルボニル)-N-(4-(4-モルホリン-1-イル-カルボニルピペリジン-1-イル)-フェニル)-1-ピペラジンカルボキサミドは塩であってもよく、本発明化合物の塩とは、有機化学の分野で用いられる慣用的なものを意味し、酸付加塩の塩類を挙げることができる。
【0015】
該酸付加塩としては、例えば塩酸塩、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩、過塩素酸塩等の無機酸塩;例えば酢酸塩、ギ酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩、アスコルビン酸塩、トリフルオロ酢酸塩等の有機酸塩;例えばメタンスルホン酸塩、イセチオン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩等のスルホン酸塩等が挙げられる。
【0016】
4-((1-メチルピロール-2-イル)-カルボニル)-N-(4-(4-モルホリン-1-イル-カルボニルピペリジン-1-イル)-フェニル)-1-ピペラジンカルボキサミドは溶媒和物であってもよく、好ましくは水和物であり、特に好ましくは一水和物である。
【0017】
本発明の経口投与用医薬組成物は、酸性添加物を含む。酸性添加物は、アジピン酸、コハク酸、フマル酸、L-アスパラギン酸、又はL-グルタミン酸のいずれかであり、これらを単独で又は2種以上を組み合わせて配合できる。
【0018】
混合する酸性添加物の量は、有効成分である4-((1-メチルピロール-2-イル)-カルボニル)-N-(4-(4-モルホリン-1-イル-カルボニルピペリジン-1-イル)-フェニル)-1-ピペラジンカルボキサミド1質量部に対し、約0.25質量部〜約5質量部であり、好ましくは約0.5質量部〜約2質量部、より好ましくは約0.8質量部〜約1.5質量部、最も好ましくは約1質量部である。酸性添加物の量は、2種以上の酸性添加物を添加する場合にはその合計量である。
【0019】
本発明の経口投与用医薬組成物には、本発明の効果を妨げない範囲で、一般に用いられる種々の製剤添加物を含んでいても良い。製剤添加物としては、一般に用いられるものであれば特に制限はなく、例えば、賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、着香剤、コーティング剤、着色剤及び矯味剤等を挙げることができるが、これらに限定されない。
【0020】
添加剤として賦形剤を含む場合には、混合する酸性添加物の量は、賦形剤1質量部に対し、約0.15〜約6質量部であり、好ましくは約0.2〜約2質量部、より好ましくは約0.5〜約2質量部である。酸性添加物の量は、2種以上の酸性添加物を添加する場合にはその合計量である。
【0021】
賦形剤としては乳糖、白糖、ショ糖、マンニトール、結晶セルロース、トウモロコシデンプン、デキストラン等を挙げることができる。結合剤としてはヒドロキシプロピルセルロース、ヒプロメロース及びポリビニルアルコール等を挙げることができる。崩壊剤としてはクロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース等を挙げることができる。滑沢剤としては硬化油、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、タルク、ショ糖脂肪酸エステル及びステアリン酸を挙げることができる。コーティング剤としては、エチルセルロース、ヒプロメロース、ヒプロメロースフタル酸エステル、マクロゴール、オパドライ等を挙げることができる。着色剤としては、食用黄色5号色素、食用青色2号色素、食用レーキ色素、三二酸化鉄、黄色三二酸化鉄及び酸化チタン等を挙げることができる。着香剤としては、オレンジ及びレモン各種香料等を挙げることができる。矯味剤としては、l−メントール、カンフル及びハッカ等が挙げられる。これらは、単独でまたは2種以上組み合わせて使用しても良い。
【0022】
本発明の経口投与用医薬組成物の形態としては、造粒物、圧縮成形物(例えば素錠やフィルムコーティング錠)、散剤等が挙げられる。本発明の経口投与用医薬製剤としては、例えば錠剤、顆粒剤、散剤、細粒剤等が挙げられる。錠剤にはチュアブル錠、トローチ剤、ドロップ剤や口腔内で速やかに溶解または崩壊し、水なしでも服用できる組成物を含み、また用時溶解して用いる発泡錠も含む。顆粒剤、散剤及び細粒剤には、用時溶解して用いるドライシロップ剤を含み、また、口腔内で速やかに溶解し、水なしで服用できる粉粒状物を含む。
【0023】
本発明の経口投与用医薬組成物及び医薬製剤は、公知の経口投与製剤の製造方法により製造することができるが、例えば配合する成分を混合して打錠する直打法、配合する成分の造粒物を製造した後にその造粒物を打錠する方法が挙げられる。造粒方法としては例えば、流動層造粒法、撹拌造粒法、転動流動造粒法、押し出し造粒法、噴霧造粒法及び破砕造粒法等が挙げられる。また、得られた錠剤はフィルムコーティングを施してもよく、コーティング液を錠剤にスプレーする方法等が挙げられる。
【0024】
本発明の組成物は例えばヒト、サル、イヌ、ネコ、ウサギ、マウス、ラット、モルモットなどの哺乳動物、好ましくはヒトに投与される。
【0025】
本発明の経口投与用医薬組成物の1日あたりの投与量は、患者の症状、年齢、体重、性別、投与方法等に応じて適宜選択されるが、有効成分として含有される4-((1-メチルピロール-2-イル)-カルボニル)- N-(4-(4-モルホリン-1-イル-カルボニルピペリジン-1-イル)-フェニル)-1-ピペラジンカルボキサミドの量として、通常成人(体重50kg)1日あたり約1〜1,000mg程度であり、10〜800mgが好ましく、これを1日1回又は2〜3回程度に分けて投与することができる。
【0026】
一実施形態において、本発明の組成物では、組成物中の有効成分の化合物1又はその塩もしくはその溶媒和物が安定化される。「安定化」とは、有効成分の化合物1と酸性添加物の混合末を所与期間(例えば2週間)放置したときの化合物1の一水和物の分解物の生成量が、酸性添加物を添加しない場合と比較して少ないことを意味する。
【0027】
一実施形態において、本発明の組成物は、改善された溶出性を有する。本明細書において、「改善された溶出性」とは、酸性添加物を含む本発明の医薬組成物又は製剤の溶出性が、酸性添加物を含まない医薬組成物又は製剤と同等かまたはそれより優れた溶出性を有することを意味する。例えば、第十六改正日本薬局方の溶出試験法(具体的にはパドル法)により溶出試験を行なったときの15分後の酸性添加物を含む製剤の有効成分の溶出率が酸性添加物を含まない製剤の有効成分の溶出率と比較して10%より大きな差が認められる場合であると定義される。
【0028】
一実施形態において、本発明の組成物は、改善された吸収性を有し得る。本明細書において、「改善された吸収性」とは、酸性添加物を含む本発明の医薬組成物又は製剤の体内への吸収性が、酸性添加物を含まない医薬組成物又は製剤と同等かまたはそれより優れた吸収性を有することを意味する。例えば、本発明の医薬組成物又は製剤の投与後の有効成分の血中濃度−時間曲線下面積(AUC)は、酸性添加物を含まない製剤と比較して1.5倍以上であることを意味する。また,本発明の医薬組成物又は製剤の投与後の有効成分の最高血中濃度(Cmax)は、酸性添加物を含まない製剤と比較して1.5倍以上であることを意味する。
【0029】
次に本発明の態様及び好ましい実施態様を以下に示す。
<1>4-((1-メチルピロール-2-イル)-カルボニル)-N-(4-(4-モルホリン-1-イル-カルボニルピペリジン-1-イル)-フェニル)-1-ピペラジンカルボキサミド又はその塩もしくはその溶媒和物を有効成分として含み、酸性添加物としてアジピン酸、コハク酸、フマル酸、L-アスパラギン酸、L-グルタミン酸、又はこれらの組み合わせのいずれかを含有する経口投与用医薬組成物。
【0030】
<2>酸性添加物が、4-((1-メチルピロール-2-イル)-カルボニル)-N-(4-(4-モルホリン-1-イル-カルボニルピペリジン-1-イル)-フェニル)-1-ピペラジンカルボキサミド1質量部に対し、0.25〜5質量部であることを特徴とする<1>に記載の経口投与用医薬組成物。
【0031】
<3>酸性添加物が、4-((1-メチルピロール-2-イル)-カルボニル)-N-(4-(4-モルホリン-1-イル-カルボニルピペリジン-1-イル)-フェニル)-1-ピペラジンカルボキサミド1質量部に対し、0.5〜2質量部であることを特徴とする<1>記載の経口投与用医薬組成物。
【0032】
<4>賦形剤をさらに含有し、酸性添加物が、賦形剤1質量部に対し、0.15〜6質量部であることを特徴とする<1>記載の経口投与用医薬組成物。
【0033】
<5>酸性添加物がフマル酸である、<1>〜<4>のいずれかに記載の経口投与用医薬組成物。
【0034】
<6>第十六改正日本薬局方の溶出試験法により溶出試験を行なったときの15分後の酸性添加物を含む製剤の有効成分の溶出率が酸性添加物を含まない製剤の有効成分の溶出率と比較して10%より大きな差が認められる場合である<1>〜<5>のいずれかに記載の経口投与用医薬組成物。
【0035】
<7>医薬組成物の経口投与後の前記有効成分のAUC及びCmaxが酸性添加物を含まない医薬組成物と比較して1.5倍以上である<1>〜<5>のいずれかに記載の経口投与用医薬組成物。
【0036】
<8>4-((1-メチルピロール-2-イル)-カルボニル)-N-(4-(4-モルホリン-1-イル-カルボニルピペリジン-1-イル)-フェニル)-1-ピペラジンカルボキサミド又はその塩もしくはその溶媒和物を含有する医薬組成物において、酸性添加物としてアジピン酸、コハク酸、フマル酸、L-アスパラギン酸、L-グルタミン酸、又はこれらの組み合わせのいずれかである酸性添加物を配合することを特徴とする、医薬組成物における4-((1-メチルピロール-2-イル)-カルボニル)-N-(4-(4-モルホリン-1-イル-カルボニルピペリジン-1-イル)-フェニル)-1-ピペラジンカルボキサミド又はその塩もしくはその溶媒和物の安定化方法。
【0037】
<9>4-((1-メチルピロール-2-イル)-カルボニル)-N-(4-(4-モルホリン-1-イル-カルボニルピペリジン-1-イル)-フェニル)-1-ピペラジンカルボキサミド又はその塩もしくはその溶媒和物を含有する医薬組成物において、酸性添加物としてアジピン酸、コハク酸、フマル酸、L-アスパラギン酸、L-グルタミン酸、又はこれらの組み合わせのいずれかである酸性添加物を配合することを特徴とする、医薬組成物における4-((1-メチルピロール-2-イル)-カルボニル)-N-(4-(4-モルホリン-1-イル-カルボニルピペリジン-1-イル)-フェニル)-1-ピペラジンカルボキサミド又はその塩もしくはその溶媒和物の溶出性改善方法。
【0038】
<10>4-((1-メチルピロール-2-イル)-カルボニル)-N-(4-(4-モルホリン-1-イル-カルボニルピペリジン-1-イル)-フェニル)-1-ピペラジンカルボキサミド又はその塩もしくはその溶媒和物を含有する医薬組成物において、酸性添加物としてアジピン酸、コハク酸、フマル酸、L-アスパラギン酸、L-グルタミン酸、又はこれらの組み合わせのいずれかである酸性添加物を配合することを特徴とする、医薬組成物における4-((1-メチルピロール-2-イル)-カルボニル)-N-(4-(4-モルホリン-1-イル-カルボニルピペリジン-1-イル)-フェニル)-1-ピペラジンカルボキサミド又はその塩もしくはその溶媒和物の吸収性改善方法。
【0039】
<11>4-((1-メチルピロール-2-イル)-カルボニル)-N-(4-(4-モルホリン-1-イル-カルボニルピペリジン-1-イル)-フェニル)-1-ピペラジンカルボキサミド又はその塩もしくはその溶媒和物を含有する医薬組成物における、4-((1-メチルピロール-2-イル)-カルボニル)-N-(4-(4-モルホリン-1-イル-カルボニルピペリジン-1-イル)-フェニル)-1-ピペラジンカルボキサミド又はその塩もしくはその溶媒和物の安定化のための、酸性添加物としてアジピン酸、コハク酸、フマル酸、L-アスパラギン酸、L-グルタミン酸、又はこれらの組み合わせのいずれかである酸性添加物の使用。
【0040】
<12>4-((1-メチルピロール-2-イル)-カルボニル)-N-(4-(4-モルホリン-1-イル-カルボニルピペリジン-1-イル)-フェニル)-1-ピペラジンカルボキサミド又はその塩もしくはその溶媒和物を含有する医薬組成物における、4-((1-メチルピロール-2-イル)-カルボニル)-N-(4-(4-モルホリン-1-イル-カルボニルピペリジン-1-イル)-フェニル)-1-ピペラジンカルボキサミド又はその塩もしくはその溶媒和物の溶出性改善のための、酸性添加物としてアジピン酸、コハク酸、フマル酸、L-アスパラギン酸、L-グルタミン酸、又はこれらの組み合わせのいずれかである酸性添加物の使用。
【0041】
<13>4-((1-メチルピロール-2-イル)-カルボニル)-N-(4-(4-モルホリン-1-イル-カルボニルピペリジン-1-イル)-フェニル)-1-ピペラジンカルボキサミド又はその塩もしくはその溶媒和物を含有する医薬組成物における、4-((1-メチルピロール-2-イル)-カルボニル)-N-(4-(4-モルホリン-1-イル-カルボニルピペリジン-1-イル)-フェニル)-1-ピペラジンカルボキサミド又はその塩もしくはその溶媒和物の吸収性改善のための、酸性添加物としてアジピン酸、コハク酸、フマル酸、L-アスパラギン酸、L-グルタミン酸、又はこれらの組み合わせのいずれかである酸性添加物の使用。
【0042】
<14>4-((1-メチルピロール-2-イル)-カルボニル)-N-(4-(4-モルホリン-1-イル-カルボニルピペリジン-1-イル)-フェニル)-1-ピペラジンカルボキサミド又はその塩もしくはその溶媒和物を含有する経口投与用医薬組成物を製造するためのアジピン酸、コハク酸、フマル酸、L-アスパラギン酸、L-グルタミン酸、又はこれらの組み合わせのいずれかである酸性添加物の使用。
【実施例】
【0043】
以下に、実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
【0044】
なお、実施例2−5において、賦形剤としては乳糖、白糖、ショ糖、マンニトール、結晶セルロース、トウモロコシデンプン、及びデキストランから選択された賦形剤を、結合剤としてはヒドロキシプロピルセルロース、ヒプロメロース及びポリビニルアルコールから選択された結合剤を、崩壊剤としてはクロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、及び低置換度ヒドロキシプロピルセルロースから選択された崩壊剤を、滑沢剤としては硬化油、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、タルク、ショ糖脂肪酸エステル及びステアリン酸から選択された滑沢剤を、コーティング剤としてはエチルセルロース、ヒプロメロース、ヒプロメロースフタル酸エステル、マクロゴール及びオパドライから選択されたコーティング剤を、着色剤としては食用黄色5号色素、食用青色2号色素、食用レーキ色素、三二酸化鉄、黄色三二酸化鉄及び酸化チタンから選択された着色剤が使用可能であり、いずれの賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、コーティング剤及び着色剤を用いても、製剤の溶出性又は吸収性の評価に実質的な影響を及ぼさない。
【0045】
実施例1 配合変化試験
4-((1-メチルピロール-2-イル)-カルボニル)-N-(4-(4-モルホリン-1-イル-カルボニルピペリジン-1-イル)-フェニル)-1-ピペラジンカルボキサミド(化合物1)一水和物及び有機酸を、それぞれ0.5g量り乳鉢で混合し、混合末を作製した。つぎに化合物1一水和物のみを0.5g量り、有機酸の混合末の作製時と同じ方法により化合物1一水和物の粉末を作製した。
【0046】
上記各有機酸の混合末および化合物1一水和物の粉末をそれぞれ0.04g、0.02gガラス瓶に量りとった。ガラス瓶の蓋をしない状態(開封)とガラス瓶の蓋をした状態(密閉)のものを60℃相対湿度60%条件下にて2週間放置した後、HPLC法により化合物1一水和物の類縁物質の生成量を調べることによって安定性を評価した。評価は高速液体クロマトグラフ(株式会社島津製作所)を使用した。結果を表2に示す。
試験条件
検出器:紫外吸光光度計(測定波長:260nm)
カラム:内径4.6mm、長さ10cmのステンレス管に、3.5μmの液体クロマトグラフィー用フェニル化シリカゲルを充填する(XBridgePhenyl、日本ウォーターズ株式会社)。
カラム温度:40℃付近の一定温度
移動相
移動相A:リン酸塩緩衝液(pH 7)
移動相B:アセトニトリル
移動相の送液:移動相A及びBの混合比を表1のように変えて濃度勾配制御する。
【0047】
【表1】
【0048】
酸性添加物として無水クエン酸、L-酒石酸、DL-酒石酸、又はDL-リンゴ酸を添加した場合には、開封条件及び密閉条件のいずれか又は両方において、類縁物質の量が著しく増加した。一方、アジピン酸、コハク酸、フマル酸、L-アスパラギン酸、及びL-グルタミン酸のいずれかの有機酸を添加した場合の類縁物質量は、開封条件、密閉条件のいずれにおいても初期値とほぼ同一であり、化合物1の安定性に影響を与えることがなかった(表2)。
【0049】
【表2】
【0050】
実施例2 有機酸を含有する製剤の溶出性の評価
配合例1、配合例2及び比較例1の錠剤を製造した。各錠剤の処方を表3に示す。
【0051】
配合例1
錠剤粉砕機(小西製作所)にて化合物1一水和物を1g、酸性添加物としてフマル酸1gを入れて粉砕し、フマル酸混合粉砕品を得た。フマル酸混合粉砕品1.50g、賦形剤を4.17g、崩壊剤を0.30g、滑沢剤を0.030g添加して、それぞれガラス瓶内にて混合を行った後、打錠機で打錠し200mgの錠剤を得た。
【0052】
配合例2
酸性添加物として配合例1のフマル酸1gの代わりにコハク酸1gを入れて粉砕してコハク酸混合粉砕品を得、配合例1と同様の方法で200mgの錠剤を得た。

【0053】
比較例1
対照として、酸性添加物を添加しない以外は、配合例1及び2と同様の方法で錠剤を得た。
【0054】
溶出試験
配合例1、配合例2及び比較例1について、第十六改正日本薬局方の溶出試験法パドル法に準じて、試験液に溶出試験第2液900mL(37℃)を用いて50rpmにて溶出試験を実施した。測定機器は溶出試験器(富山産業株式会社)、溶出試験モニター(大塚電子株式会社)を使用した。
結果は図1(n=3、平均溶出率±標準偏差)に示すとおりであり、酸性添加物を含有しない比較例1では15分の溶出率が65%であったのに比べ、フマル酸及びコハク酸をそれぞれ含有する配合例1及び配合例2では15分の溶出率がそれぞれ93%、76%であり、本発明の酸性添加物による溶出性の改善効果が確認された。
【0055】
【表3】
【0056】
実施例3 フマル酸を含有する製剤の溶出性の評価
配合例3、配合例4、配合例5、配合例6及び比較例2の錠剤を製造した。各錠剤の処方を表4に示す。
【0057】
配合例3
化合物1一水和物、フマル酸、賦形剤をそれぞれ流動層造粒機(株式会社パウレック)に入れ、結合剤溶液を噴霧しながら造粒し、造粒物を得た。得られた造粒物に崩壊剤及び滑沢剤を加えて混合した後、打錠機(株式会社菊水製作所)で打錠し、282mgの錠剤を得た。得られた錠剤に、コーティング剤、着色剤及び精製水(コーティング溶液に対し約92%)からなるフィルムコーティング液をコーティング機(株式会社パウレック)にてスプレーし、296mgのフィルムコーティング錠を得た。配合例3では、化合物1一水和物1質量部に対し、フマル酸が約0.25質量部である。
【0058】
配合例4
化合物1一水和物1質量部に対しフマル酸を約0.5とし、フマル酸と賦形剤の配合量を変更した以外は配合例3と同様の方法でフィルムコーティング錠を得た。
【0059】
配合例5
化合物1一水和物1質量部に対しフマル酸を約0.8とし、フマル酸と賦形剤の配合量を変更した以外は配合例3と同様の方法で、296mgのフィルムコーティング錠を得た。
【0060】
配合例6
化合物1一水和物1質量部に対しフマル酸を約1.0とし、フマル酸と賦形剤の配合量を変更した以外は配合例3と同様の方法で、296mgのフィルムコーティング錠を得た。
【0061】
比較例2
対照として、フマル酸を添加せず、賦形剤の配合量を変更した以外は配合例3と同様の方法で、296mgのフィルムコーティング錠を得た。
【0062】
溶出試験
配合例3、配合例4、配合例5、配合例6及び比較例2について、第十六改正日本薬局方の溶出試験法パドル法に準じて、試験液に溶出試験第2液900mL(37℃)を用いて50rpmにて溶出試験を実施した。評価は高速液体クロマトグラフ(株式会社島津製作所)を使用した。結果は図2(n=3、平均溶出率±標準偏差)に示す。フマル酸を含有しない比較例2に比べ、フマル酸を含有する配合例3、配合例4、配合例5及び配合例6は溶出性が向上していた。
【0063】
【表4】
【0064】
実施例4 フマル酸を含有する製剤の吸収性の評価
配合例7及び比較例3の錠剤を製造した。各錠剤の処方を表6に示す。
【0065】
配合例7
化合物1一水和物を2.40g、フマル酸を2.40g、賦形剤を1.2gを、それぞれ乳鉢内にいれ、結合剤溶液を1.28g加えて造粒し、造粒物を得た。造粒物を整粒した後に60℃、1時間にて静置乾燥し、乾燥造粒物を得た。得られた乾燥造粒物5.08gに崩壊剤を0.26g、滑沢剤を0.02g加えて混合を行った後、打錠機(株式会社島津製作所)で打錠し268mgの錠剤を得た。
【0066】
比較例3
対照として、フマル酸を添加せず、賦形剤を3.60gに増量して造粒物を得た以外は、配合例7と同様の方法で268mgの錠剤を得た。
吸収実験条件
使用動物:ビーグル犬(北山ラベス、雄6頭)
食事条件:前日より20時間絶食
投与量:100mg/body
投与サンプル:配合例7及び比較例3をそれぞれ1錠
投与方法:水50mLと共に投与
前処置:投与サンプルの投薬30分前に硫酸アトロピン静注液10μg/0.1mL/kg及びオメプラゾール静注液1mg/0.25mL/kgを静脈内投与し、投薬30分後に、オメプラゾール静注液1mg/0.25mL/kgを静脈内投与した。
吸収性の測定方法:イヌより採取した血液を遠心分離(12,000rpm、5℃、3分)し、得られた血漿25μLをポリプロピレン製マイクロチューブに採取し、純水25μLを加えた。さらに、アセトニトリル100μL、内標準溶液50μLを加え、ボルテックスミキサーで混合した。遠心分離(15,000×g、5℃、2分)後、ポリプロピレン製オートサンプラーチューブに上清60μLを採取し、純水120μLを加えてボルテックスミキサーで混合した。得られた測定試料を高速液体クロマトグラフ/質量分析計(日本ウォーターズ株式会社)を用いて定量した。
装置:高速液体クロマトグラフ/質量分析計(日本ウォーターズ株式会社)
液体クロマトグラフィー測定条件
カラム:ACQUITY UPLC BEH C18(1.7μm、内径2.1mm、長さ50mm)
カラム温度:40℃
移動相
移動相A:10mmol/L ギ酸アンモニウム
移動相B:アセトニトリル
移動相の送液:移動相A及びBの混合比を表5のように変えて濃度勾配制御する。
【0067】
【表5】
MS/MS測定条件
Ionization source: Electrospray ionization(ESI)-positive
Scan mode: MRM
【0068】
結果は図3(n=6、平均血漿中濃度+標準偏差)に示すとおりである。フマル酸を含有する配合例7のAUC(17,783±3,813)及びCmax(5,067±1,334)は、フマル酸を含有しない比較例3のAUC(3,518±2,932)及びCmax(842±850)に比べ、AUCは5倍,Cmaxは6倍であった。フマル酸を含有する配合例7では、フマル酸を含有しない比較例3に比べ吸収性が向上し、フマル酸による吸収性の改善が確認された。
【0069】
【表6】
【0070】
実施例5 フマル酸の含有量が異なる製剤の吸収性の評価
配合例8及び配合剤9の錠剤を製造した。各錠剤の処方を表8に示す。
【0071】
配合例8
化合物1一水和物を42.5g、フマル酸を40.9g、賦形剤を204.4g、をそれぞれ流動層造粒機(フロイント産業株式会社)にいれ、結合剤溶液123.0gを噴霧しながら造粒し、造粒物を得た。得られた造粒物250.0gに崩壊剤を13.6g、滑沢剤を1.7g加えて混合した後、打錠機(株式会社菊水製作所)で打錠し、77.9mgの錠剤を得た。得られた錠剤に、コーティング剤を27.0g、着色剤を3.0g、精製水を270.0gからなるフィルムコーティング液をコーティング機(株式会社パウレック)にてスプレーし、フィルムコーティング錠を得た。

【0072】
配合例9
化合物1一水和物を37.4g、フマル酸を71.9g、賦形剤を179.9gに、結合剤溶液108.1gを加えて造粒し造粒物を得た。得られた造粒物250.2gに崩壊剤を12.0g、滑沢剤を1.5g加えて混合した後、打錠機(株式会社菊水製作所)で打錠し、87.9mgの錠剤を得た。得られた錠剤に、コーティング剤を45.0g、着色剤を5.0g、精製水を450.0gからなるフィルムコーティング液をコーティング機(株式会社パウレック)にてスプレーし、フィルムコーティング錠を得た。
吸収実験条件
使用動物:ビーグル犬(北山ラベス、雄3頭もしくは6頭)
食事条件:前日より20時間絶食
投与量:10mg/body又は100mg/body
投与サンプル:配合例8若しくは配合例9、又は配合例4、配合例5、配合例6若しくは比較例3をそれぞれ1錠
投与方法:水50mLと共に投与
前処置:投薬30分前に硫酸アトロピン静注液10μg/0.1mL/kg及びオメプラゾール静注液1mg/0.25mL/kgを静脈内投与し、投薬30分後に、オメプラゾール静注液1mg/0.25mL/kgを静脈内投与した。
【0073】
吸収性の測定方法:
イヌより採取した血液を遠心分離(12,000rpm、5℃、3分)し、得られた血漿25μLをポリプロピレン製マイクロチューブに採取し、純水25μLを加えた。さらに、アセトニトリル100μL、内標準溶液50μLを加え、ボルテックスミキサーで混合した。遠心分離(15,000×g、5℃、2分)後、ポリプロピレン製オートサンプラーチューブに上清60μLを採取し、純粋120μLを加えてボルテックスミキサーで混合した。得られた測定試料を高速液体クロマトグラフ/質量分析計(日本ウォーターズ株式会社)を用いて定量した。
装置:高速液体クロマトグラフ/質量分析計(日本ウォーターズ株式会社)
液体クロマトグラフィー測定条件
カラム:ACQUITY UPLC BEH C18(1.7μm、内径2.1mm、長さ50mm)
カラム温度:40℃
移動相
移動相A:10mmol/L 酢酸アンモニウム
移動相B:アセトニトリル
移動相の送液:移動相A及びBの混合比を表7のように変えて濃度勾配制御する。
【0074】
【表7】
MS/MS測定条件
Ionization source: Electrospray ionization(ESI)-positive
Scan mode: MRM
【0075】
結果は図4(n=6,平均血漿中濃度+標準偏差)及び図5(n=3,平均血漿中濃度+標準偏差)に示した。図4において、化合物1に対しフマル酸が1質量部である配合例8及びフマル酸が2質量部である配合例9は十分な吸収性を示した。また、図5の結果より、配合例4、配合例5及び配合例6のAUC(7,890±1,513,15,033±1,250,20,324±2,856)及びCmax(2,073±922,4,230±540,5,023±1,258)は比較例3のAUC(3,518±2,932)及びCmax(842±850)に対しいずれも1.5倍以上であり、フマル酸を含有する配合例4、配合例5及び配合例6は比較例3と比べ、優れた吸収性を示した。
【0076】
【表8】
図1
図2
図3
図4
図5