特許第5791853号(P5791853)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】5791853
(24)【登録日】2015年8月14日
(45)【発行日】2015年10月7日
(54)【発明の名称】飲料容器用のカバーデバイス
(51)【国際特許分類】
   A47G 19/22 20060101AFI20150917BHJP
   A61J 11/00 20060101ALI20150917BHJP
【FI】
   A47G19/22 M
   A61J11/00 C
【請求項の数】14
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2015-522124(P2015-522124)
(86)(22)【出願日】2013年11月27日
(86)【国際出願番号】EP2013074796
(87)【国際公開番号】WO2014086625
(87)【国際公開日】20140612
【審査請求日】2015年1月14日
(31)【優先権主張番号】12196135.3
(32)【優先日】2012年12月7日
(33)【優先権主張国】EP
(31)【優先権主張番号】61/734,433
(32)【優先日】2012年12月7日
(33)【優先権主張国】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
(74)【代理人】
【識別番号】110001690
【氏名又は名称】特許業務法人M&Sパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】キャンピング ウィーシェル フェルディナンド
(72)【発明者】
【氏名】ウィトベアイーセ バスティアーン
(72)【発明者】
【氏名】バン デン ブローク ペーター ロナルド
(72)【発明者】
【氏名】ボットマン マールテン ヨアネス
(72)【発明者】
【氏名】ブリンカート ヤコブ
(72)【発明者】
【氏名】ドブラスキン クリストフ
【審査官】 大瀬 円
(56)【参考文献】
【文献】 英国特許出願公開第2333770(GB,A)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0169694(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2003/0037820(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47G 19/22
A61J 11/00
B65D 47/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
飲料容器用のカバーデバイスであって、前記カバーデバイスは、
飲料用開口部を有する基本アセンブリと、
弁要素を含む弁装置であって、前記弁要素が前記基本アセンブリとヒンジ式に結合される位置の前記弁要素の領域により互いに連結された部分を前記弁要素が有し、前記弁要素の前記部分のうちの1つのみが前記基本アセンブリの前記飲料用開口部と直に連通しており、前記飲料容器に面する前記カバーデバイスの側からの圧力に前記弁要素が曝された場合、前記飲料用開口部と直に連通していない前記弁要素の別の部分よりも前記基本アセンブリの前記飲料用開口部と直に連通している前記弁要素の部分においてより小さな力の合計モーメントを有するように前記弁要素の前記部分のサイズ決め、位置決め及び配向が実現される、弁装置と、
を含む、
カバーデバイス。
【請求項2】
前記基本アセンブリの前記飲料用開口部と直に連通している前記弁要素の前記部分が前記要素の前記別の部分よりも小さい、請求項1に記載のカバーデバイス。
【請求項3】
前記基本アセンブリの前記飲料用開口部と直に連通している前記弁要素の部分が、前記基本アセンブリの表面部分に接触するための領域を含み、前記弁装置の閉状態は前記領域を前記基本アセンブリの前記表面部分と接触させる状況に関連し、前記弁装置の開状態は前記領域が前記表面部分から距離を置いた状況に関連する、請求項1に記載のカバーデバイス。
【請求項4】
前記弁要素が可撓性材料を含む、請求項1に記載のカバーデバイス。
【請求項5】
前記基本アセンブリの前記飲料用開口部と直に連通している前記弁要素の部分にスリットが設けられており、前記弁装置の閉状態は前記スリットが閉じられる状況に関連し、前記弁装置の開状態は前記スリットが開かれる状況に関連する、請求項1に記載のカバーデバイス。
【請求項6】
前記基本アセンブリの前記飲料用開口部と直に連通している前記弁要素の前記部分が前記弁要素の静止位置において略ドーム形状である、請求項5に記載のカバーデバイス。
【請求項7】
前記弁要素が膜のような形状であり、前記弁要素の1つの部分が前記要素の中心部分であり、前記弁要素の別の部分が、前記中心部分を取り囲む、前記弁要素の外周部の側にあるリング形状の部分である、請求項1に記載のカバーデバイス。
【請求項8】
前記弁要素に、前記弁要素の一方の側からもう一方の側に空気を通過させるための弁が設けられている、請求項1に記載のカバーデバイス。
【請求項9】
前記弁要素がリングのような形状であり、前記弁要素の1つの部分が、前記弁要素の内周部の側にあるリング形状の部分であり、前記弁要素の別の部分が、前記弁要素の外周部の側にあるリング形状の部分である、請求項1に記載のカバーデバイス。
【請求項10】
前記基本アセンブリが、ハウジングと、前記ハウジングから突出し、且つその自由端に前記飲料用開口部を有するスパウトと、を含み、前記弁要素が、前記ハウジング内部にある前記スパウトの端部表面とヒンジ式に結合された、請求項1に記載のカバーデバイス。
【請求項11】
中空円筒のような形状の内部ハウジング本体を含み、前記弁要素が前記内部ハウジング本体の端部表面とヒンジ式に結合された、請求項1に記載のカバーデバイス。
【請求項12】
前記基本アセンブリが、ハウジングと、前記ハウジングから突出し、且つその自由端に前記飲料用開口部を有するスパウトと、を含み、前記弁要素が前記スパウトの内部表面の一部とヒンジ式に結合された、請求項1に記載のカバーデバイス。
【請求項13】
前記弁装置が前記スパウト内に配置されている、請求項12に記載のカバーデバイス。
【請求項14】
カバーデバイスが飲料容器に脱着可能に取り付けられている、飲料容器と請求項1乃至13のいずれか一項に記載のカバーデバイスとのアセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飲料用開口部を有する基本アセンブリと、弁装置と、を含む飲料容器用のカバーデバイスに関する。一実施形態においては、弁装置は基本アセンブリと組み合わされ、飲料容器に面することになるカバーデバイスの側から基本アセンブリ内の飲料用開口部への通路が遮断される程度を決定するために種々の状態をとるように適合されている。
【0002】
本発明は、また、飲料容器と言及したカバーデバイスとのアセンブリに関し、カバーデバイスは飲料容器に脱着可能に取り付けられている。
【背景技術】
【0003】
小さな子供にカップなどの開いた飲料容器から飲料容器の内容をこぼすことなく飲ませることが困難なことは周知の事実である。小さな子供は必要とされる全ての複雑な動きを実施することができず、且つそのプロセスにおいて飲料容器を徐々に傾斜させなければならない程度を制御することができない。子供が大人により補助されていたとしても、子供の予期せぬ動きのため飲料がこぼれることを常に防止することはできない。この課題を解決するため、ハウジングと、例えば、カバーデバイスから突出し、且つその自由端に少なくとも1つの飲料用開口部を有するスパウトとを含む、飲料容器をカバーするための種々のタイプのデバイスが開発されてきた。子供が飲みたい場合、子供はスパウトを自身の口に入れ、飲料容器を傾斜位置に保持し、子供がスパウトに吸引力をかけると直ちに、少なくとも1つの飲料用開口部の制限されたサイズにより良好に制御された状態で飲料が子供の口にスパウトを通じて流れ込む。更に、カバーデバイスが提供された飲料容器が、例えば、上下逆に把持されるか振られた場合、少なくとも1つの飲料用開口部の制限されたサイズにより飲料容器の内容がこぼれる程度が制限される、又は即ち、通常は閉じられており、且つ少なくとも1つの飲料用開口部を通じて作用された吸引力の作用下において開かれるように適合されている弁装置がカバーデバイスに備えられている場合、こぼれる状況さえも全くない。
【0004】
言及したような弁装置が備えられたカバーデバイスにおいては、弁装置はスパウト内部、又はスパウト後部のハウジング内部の適切な位置に配置されても良い。いずれの場合においても、弁装置は、小さな子供によって作用され得る正常吸引力(normal suction force)が弁装置を開状態にするのに十分であるように設計される必要がある。その一方で、カバーデバイスが提供された飲料容器が、例えば、上下逆に把持されるか振られた場合のこぼれを防止するために弁装置はあまりに容易に開くべきではない。実際は、そのような場合には、弁装置は、少なくとも1つの飲料用開口部を通じて作用される吸引力の方向と同じ方向の、飲料容器内部から飲料容器外部へと向けられる力に曝される。従って、先行技術の解決策においては、弁装置の設計は飲む状況と飲料容器内部において圧力が優勢になっている状況との間における妥協に基づくものである。その結果、子供はむしろ高い吸引力を作用することを強いられる。そうでなければ、漏洩しないカバーデバイスは保証され得ない。
【0005】
米国特許第4,135,513号は、哺乳瓶又は類似の容器の開口部に挿入され、吸引により飲むことを可能にするが、ボトルがいかなる位置状態に放置された場合も漏れを防止するノズルを開示する。特に、飲用ノズルは、飲料容器の開口部に締付状態で導入されることを意図した内部中空の実質的に円筒状の部材と、前記部材と連結され、容器開口部から突出している外部ノズルと、を含む。円筒状部材とノズルとの間に弁座があり、その弁体は弁座の、ノズルに向けられた側にあり、弁座を通じて導入されるシャフトの一端と連結されている。シャフトの他端は膜と連結されており、膜はその周縁部に沿って円筒状部材の内側端部に固定されている。そのようにして、膜が、円筒状部材の内側端部外側に配置されたカバーと共に円筒状部材内のボアを通じて大気と接続しているスペースを画定することが実現される。更に、容器の内部を、シリンダの内壁と、弁座と、弁体と、膜とによって画定されるスペースと接続する開口部が円筒状部材に設けられ、言及した開口部の上方にある円筒状部材の外側端部は容器開口部の自由縁端とぴったりと連結されている。有利には、膜は弁体のシャフトにプレストレス下で固定されるため、膜は特定の圧力により弁体を弁座に保持する。
【0006】
ノズルの使用時、吸引により、ノズルと、弁座と、弁体とによって画定されるスペース内に負圧が形成された場合、弁体が弁座から持ち上げられるため、スペース内に収容された液体は弁座を通じて流出する。使用者がノズルを口から取り出した後、負圧は弁が空気を入れることによって最終的に平衡される。
【0007】
膜のプレストレスによって弁体と弁座との間に得られる締付けは容器が横向きに配置された場合に液体が弁を通じて容器から流出することを防止するのに十分である。容器が上下逆に向けられ、共に振られるか押されると、しかしながら、より大きな力が作用し、その場合、膜のプレストレスに起因する締付力は比較的小さい。容器が圧力下に置かれた場合にスペース内に生じる圧力は、力と共に、膜に対し弁座から離れる方向に作用するため、弁体はスペース内の圧力に比例して増加する力により弁座に押され、その結果、液体が容器から流出することはできない。
【0008】
米国特許出願公開第2003/037820号は、流体容器又はチューブと共に使用するための種々のタイプの弁を開示する。中でも、隔壁を含む弁部材を有するチューブが記載されている。弁部材は、また、ポート及びプランジャを含む。隔壁は使用者によって供給される外力に応答し、外力に応答した隔壁の動きが弁部材を開状態に配置する。プランジャは、隔壁に接合された第1端部と、隔壁の下面から延在する第2端部と、を有する。弁部材が閉状態にある場合、プランジャの第2端部はポートに実質的に栓をする。
【0009】
弁の別の実施形態においては、弁部材はダックビル機構を含む。この実施形態の弁部材はチューブの側壁に作用される真空圧力又は正圧のいずれかにより開状態に配置されても良い。特に、弁部材は、弁部材が開状態にある場合に膨張する中心部分を有する有孔部材(pore member)を含む。中心部分は少なくとも実質的に密閉されて閉状態にされ、使用者によって提供される外力に応答し、膨張する中心部分は拡張して流体物質の流れがそこを通過することを可能にする。中心部分は、内方に細くなる、可撓性ダックビルを含む。このダックビルは、チューブの側壁に接合されたヒンジ部と、弁部材が閉状態にある場合、少なくとも実質的に密閉される分離可能なスリットと、を有する。弁部材は側壁の撓みに応答して弁部材を開放する。弁部材を真空圧力によって動作させるために、使用者はチューブの先端部に真空圧力を印加する。その結果、チューブの側壁がある程度つぶされ、それにより、スリットが開かれ、流体の流れを可能にする。
【0010】
英国特許第2333770号は、蓋から延在する飲用スパウトを備えた蓋を含む、トレーナカップなどの飲料用容器用のクロージャアセンブリを開示する。更に、スパウトを通じて液体が流れることを防止するために弁座と協働するための密閉部と、通気口をカバーするための別の密閉部と、を有する隔壁が蓋に取り付けられている。使用者がスパウトを吸引すると密閉部が撓められ、液体がスパウトを通じて流れること、及び空気が通気口を通じて流れることを可能にする。幾つかの実施形態においては、後者の密閉部は、比較的短い距離に沿って外側に延在する、隔壁の環状側方フラップである。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の目的は、飲料容器用の改良型のカバーデバイスを提供することである。本発明は独立請求項によって定義される。有利な実施形態は従属請求項に定義される。一実施形態においては、真空力を作用させる使用者によって容易に開かれ得る一方で、弁装置がその容器側において圧力に曝された場合に飲料容器の漏れないシールを実現することが可能な弁装置が存在する。一実施形態は、少なくとも1つの飲料用開口部が設けられた基本アセンブリと、基本アセンブリと組み合わされた、飲料容器に面することになるカバーデバイスの側から基本アセンブリ内の飲料用開口部への通路が遮断される程度を決定するために種々の状態をとるように適合された弁装置と、を含む、飲料容器用のカバーデバイスを提供する。弁装置は基本アセンブリの支持表面部分とヒンジ式に結合された要素を含み、弁要素は弁要素が基本アセンブリの支持表面部分とヒンジ式に結合された位置にある弁要素の領域により互いに連結された2つの部分を有する。弁要素の2つの部分のうちの1つのみが基本アセンブリの飲料用開口部と直に連通している。
【0012】
本発明によるカバーデバイスは、ハウジングと、ハウジングから突出するスパウトと、を含んでも良い基本アセンブリを含む。本発明の枠組内において基本アセンブリの他の実施形態も実現可能であることに留意されたい。本発明によるカバーデバイスの弁装置は、例えばシリコーン膜又はシリコーンリングなどの可撓性要素であっても良い弁要素を含む。弁要素は、例えばカバーデバイスの基本アセンブリの表面部分とヒンジ式に結合されるように、特に、言及した表面部分にヒンジ式に接触するかヒンジ式に連結されるように配置されても良い。実際には、ヒンジ結合がヒンジ接触である場合、ヒンジ接触は、基本アセンブリの表面部分が平坦な場合、並びに弁要素が平面部分に接触するためのV字形の部分を含む及び/又は突出部分が設けられている場合から、弁要素が基本アセンブリの表面部分に面する平面部分を有する場合、並びに基本アセンブリの表面部分が弁要素の平面部分に接触するためにV字形及び/又は突出部分である場合までに及ぶ任意の適切な手法で実現されても良い。
【0013】
ヒンジ結合は弁要素に対し、弁要素の2つの部分が識別可能な位置に存在しても良く、この部分は、弁要素と基本アセンブリの表面部分との間のヒンジ結合の正にその位置に存在する領域により相互連結される。弁要素と基本アセンブリの表面部分との間にヒンジ結合があるという事実は、弁要素の、ある程度の異なる配向をとる能力に寄与する。弁要素が可撓性特性を有する場合、弁要素は更に変形することが可能である。カバーデバイス内の、飲料用開口部への通路を閉鎖及び開放するためにカバーデバイス内の弁要素の外観の変化が使用されても良い。カバーデバイスとの関連において、変形及び/又は配向の変化は、圧力、特に、一方では飲料用開口部を通じて使用者が吸引力をかける状況に関連する圧力、及び弁装置に同じ方向に作用するが、別の側、即ち、飲料容器の内部に面するように機能する側からの圧力、の作用下で起こることが想定されることは理解されよう。
【0014】
完全性のため、飲料容器は、開口部であって容器に液体がそこを通じて充填され得ると共に再度容器から液体がそこを通じて排出され得る開口部以外は閉じられているカップ又はボトル等とされ得ることに留意されたい。しかしながら、容器に液体が開口部であってそこを通じて充填され得る開口部及び開口部であって再度容器から液体がそこを通じて排出され得る開口部を備えた飲料容器を提供することもまた任意選択である。言及したように、カバーデバイスは飲料容器を開口部の位置においてカバーする機能を実施するように設計される。
【0015】
弁要素の2つの部分のうちの一方のみが飲料用開口部と直に連通しており、弁要素と基本アセンブリの表面部分との間のヒンジ結合が弁要素のもう一方の部分と飲料用開口部との間において起こり得る連通を遮断する機能を有しても良い場合、使用者が飲料用開口部を通じて吸引力をかけると、1つの部分のみが対応されるということが達成される。その結果、この部分は変形及び/又は傾斜させられる。この効果は弁装置を開放させるために適用されるのに好適である。明確化のため、言及した弁要素の部分は一次部分と称される一方で、弁要素のもう一方の部分、即ち、飲料用開口部の直接作用下にない部分は二次部分と称される。
【0016】
一次部分は二次部分に連結されているため、一次部分のヒンジ動作が二次部分のヒンジ動作を生じさせても良く、二次部分が変形される及び/又は傾斜される程度は、数ある要素の中でも弁要素の可撓性の程度に依拠する。同様に、二次部分に印加される圧力が二次部分を変形及び/又は傾斜させ、二次部分において優勢になっている張力が部分的に一次部分にも伝達される。圧力は、飲料容器が、例えば、液体を収容している際に振られた又は倒れたことにより、カバーデバイスが提供された飲料容器の内部において優勢になっている圧力とされ得る。同圧力は一次部分にも作用することができ、この圧力は、二次部分によって伝達された張力の効果がより強くない限りは一次部分を開く効果を有し、一次部分が開く方向とは逆の方向に移動する傾向を実現する。これは、使用者の吸引動作に関連する正常圧力範囲(normal pressure range)及び荒い取り扱いにより飲料容器内において予想され得る内部圧力に関連する正常圧力範囲をそれぞれ考慮に入れる一方でカバーデバイスの適切な設計パラメータを選択することによって保証され得る。実際的な実施形態においては、一次部分は二次部分よりも小さくても良い。そのような実施形態においては、ヒンジ領域までの一次部分の距離がヒンジ領域までの二次部分の距離に比べてあまり大きくないと想定すると、圧力が一次部分及び二次部分の両方に作用している場合、一次部分に対する二次部分のヒンジ効果は一次部分が弁装置を開放させる方向に移動する傾向に比べて常に大幅に大きくなり得る。
【0017】
特に、飲料容器に面することになるカバーデバイスの側からの圧力に要素が曝された場合、要素の他の部分、即ち、飲料用開口部と直に連通していない部分にかかる力の合計モーメントよりも基本アセンブリの飲料用開口部と直に連通している要素の部分にかかるより小さな力の合計モーメントを有するように、弁要素の2つの部分のサイズ決め、位置決め及び配向が実現されることが好ましい。この点で、力の合計モーメントが以下の式:=∫×PdAに基づき求められることに留意されたい。式中、は力の合計モーメント、つまりベクトルを示し、Aは、弁要素の領域を示し、dAは、弁要素の領域の個々の部分であり、は、特定のヒンジ点から領域の部分の中心までのベクトルを示し、Pは、領域の部分に垂直な力を生じる圧力を示す。従って、式は、また、=∫×と示されても良く、式中、は力ベクトルを示す。特定の点を通る線を中心としたモーメントはモーメントベクトルと線の方向における単位ベクトルの内積をとることにより求められ得る:Mabout lineline。式中、lineは、線の方向における単位長のベクトルを示す。
【0018】
力の合計モーメントの計算の重要な側面は、圧力が全方向に作用し、表面積に垂直な力を付与すること、モーメントが力、ヒンジ点からの距離、並びに力及びベクトル両方の方向に依拠すること、結果はベクトルであり、ベクトルは線を中心としたモーメントを示すために線上に射影され得ることを含む。この手順においては、ベクトルがまず計算され、この結果が、内積を使用することにより線を中心としたモーメントに換算される。別法として、領域の各部分の、線を中心としたモーメントへの寄与は積分前に計算され得る。
【0019】
本発明によるカバーデバイスの実際的な実施形態においては、弁要素の一次部分は基本アセンブリの表面部分に接触するための領域を含む。この領域は弁要素のヒンジ結合に関与する表面部分以外の基本アセンブリの別の表面部分であり、弁装置の閉状態は領域を基本アセンブリの関連する表面部分と接触させる状況に関連し、弁装置の開状態は領域が関連する表面部分から距離を置いた状況に関連する。従って、そのような一実施形態においては、弁装置の閉状態は飲料用開口部への通路を遮断するのに適切な位置における弁要素と基本アセンブリの表面部分との間の閉鎖接触に基づく。有利には、飲料容器を備えたカバーデバイスの適用を考慮する場合、弁要素及び基本アセンブリの設計は、弁要素が初期設定位置(負圧又は過圧がない状況における静止位置)にある場合に閉鎖接触を有することを目的とし、飲料用開口部を通じて作用された吸引力の結果、負圧が優勢になっている場合に開くことを可能にし、飲料容器内において過圧が優勢になっている場合の弁要素の一次部分に対する弁要素の二次部分の梃子作用により閉鎖接触を強化する。
【0020】
本発明によるカバーデバイスの別の実際的な実施形態においては、弁要素の一次部分にスリットが設けられている。弁装置の閉状態はスリットが閉じられることを可能とされる状況に関連し、弁装置の開状態はスリットが開かれる状況に関連する。有利には、飲料容器を備えたカバーデバイスの適用を考慮する場合、弁要素の設計は弁要素が初期設定位置にある場合にスリットの閉状態を有することを目的とし、飲料用開口部を通じて作用された吸引力の結果、負圧が優勢になっている場合にスリットが開かれることを可能とし、飲料容器内において過圧が優勢になっている場合の一次部分に対する弁要素の二次部分の梃子作用によりスリットの閉状態を強化する。例えば、弁要素の静止位置において一次部分は略ドーム形状であっても良い。その場合、ドームの周縁部において梃子作用を実施することによりドームを平らにすることが可能である。同時にドームの周縁部の拡張が制限されると、一次部分は圧縮され、その結果、スリットが更にきつく閉じられる。
【0021】
前に言及したように、弁要素は膜のような形状であっても良い。その場合、弁要素の2つの部分のうちの一方が要素の中心部分であり、弁要素の2つの部分のうちのもう一方が、中心部分を取り囲む、要素の外周部の側にあるリング形状の部分である。膜は、弁装置の閉状態が飲料用開口部への通路を遮断するのに適切な位置における弁要素(膜)と基本アセンブリの表面部分との間の閉鎖接触に基づくカバーデバイスの上述の実施形態で使用するのに好適であっても良い。これは膜のリング形状の部分が一次部分として使用され、中心部分が二次部分として使用される場合に特に当てはまる。しかしながら、膜が、弁装置の閉状態が弁部材(膜)の一次部分に設けられたスリットの閉状態に基づくカバーデバイスの上述の実施形態において使用するのに好適であることもまた可能である。これは、膜の中心部分が一次部分として使用され、一次部分は先に説明したような略ドーム形状であっても良く、リング形状の部分が二次部分として使用される場合に特に当てはまる。
【0022】
弁要素に、要素の一方の側から他方の側に空気を通過させるための弁が設けられても良い。弁は、例えば、ダックビルを含んでも良い。例えば、弁装置の閉状態が飲料用開口部への通路を遮断するのに適切な位置における膜と基本アセンブリの表面部分との間の閉鎖接触に基づき、且つ、膜のリング形状の部分のみが飲料用開口部の直接作用下にあることより一次部分としての機能を果たす状況においては、空気を通過させるための弁は、この場合においては膜の中心部分である二次部分に配置されても良い。カバーデバイスが飲料容器の所定の位置にあり、飲料用開口部を通じて使用者によって実施された吸引動作により負圧が生じた状況においては、弁が開くため、このように得られる通気効果により圧力は正常化され得る。
【0023】
弁要素は必ずしも膜の形態で設けられる必要はない。本発明の枠組内にある別の選択肢によれば、弁要素はリングのような形状である。弁要素の2つの部分のうちの一方は要素の内周部の側にあるリング形状の部分であり、弁要素の2つの部分のうちのもう一方は要素の外周部の側にあるリング形状の部分である。リング形状の弁要素は、弁装置の閉状態が、飲料用開口部への通路を遮断するのに適切な位置における弁要素と基本アセンブリの表面部分との間の閉鎖接触に基づく場合に使用されることが特に好適である。リング形状の部分の1つは実際に接触を行うための領域を含んでも良く、それによって、一次部分としての機能を果たしても良い。
【0024】
本発明の枠組内においては、弁要素がヒンジ式に結合される基本アセンブリの表面部分の正確な構造に関して種々の任意選択が存在する。1つの任意選択によれば、基本アセンブリはハウジング及びスパウトを含み、言及した表面部分はハウジング内部に存在するスパウトの端部表面である。別の任意選択によれば、中空円筒のような形状の内部ハウジング本体が設けられ、言及した表面部分は本体の端部表面である。更に別の任意選択によれば、言及した表面部分はスパウトの内部表面の一部である。この任意選択は弁装置がスパウト内部に配置される場合に適用可能である。
【0025】
概して、弁要素が可撓性特性を有する場合、弁要素は幾つかの補強リブを含んでも良いことに留意されたい。例えば、弁要素が先に言及したシリコーンを含む場合、補強リブは、カバーデバイスによってカバーされた飲料容器内において過圧が優勢になっている場合に起こることが想定される、一次部分に対する二次部分の梃子作用を支持しても良い。
【0026】
好ましくは、カバーデバイスは飲料容器と組み合わせて提供される。カバーデバイス及び飲料容器の両方は互いに取り付け可能であり、且つ互いから取り外し可能であるように適合されている。そのため、カバーデバイス及び飲料容器の両方に、例えば、ねじ山が設けられても良い。
【0027】
本発明の上記及び他の態様は飲料容器用のカバーデバイスの幾つかの実施形態の以下の詳細な説明を参照すると明らかとなると共に解明される。
【0028】
本発明は、ここで、同等又は類似の部品が同じ参照符号によって示される図を参照してより詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】本発明の第1実施形態による飲料ボトルの上部部分及びカバーデバイスの分解図を示す。
図2】本発明の第1実施形態による飲料ボトルの上部部分及びカバーデバイスの分解組立断面図を示す。
図3】組み立てられた状態における本発明の第1実施形態による飲料ボトルの上部部分及びカバーデバイスの断面図を示す。
図4】本発明の第1実施形態によるカバーデバイスの弁装置のある状態を示す。
図5】本発明の第1実施形態によるカバーデバイスの弁装置の別の状態を示す。
図6】本発明の第2実施形態によるカバーデバイスの断面図を示す。
図7】本発明の第3実施形態によるカバーデバイスの膜の斜視図を示す。
図8】本発明の第3実施形態によるカバーデバイスの膜の斜視図を示す。
図9】膜の断面図を示す。
図10】本発明の第3実施形態によるカバーデバイス内に膜がどのように配置されるかを示し、スパウトの一部及びカバーデバイスのハウジングの一部が図示される。
図11】本発明の第3実施形態によるカバーデバイス内の膜のある外観を示す。
図12】本発明の第3実施形態によるカバーデバイス内の膜の別の外観を示す。
図13】本発明の第4実施形態によるカバーデバイスの弁装置の斜視図を示す。
図14図13の線A−Aに沿って垂直方向に切った弁装置の断面図を示し、更に、スパウト及び本発明の第4実施形態によるカバーデバイスのハウジングの一部が示される。
図15図13の線B−Bに沿って垂直方向に切った弁装置の断面図を示し、更に、スパウト及び本発明の第4実施形態によるカバーデバイスのハウジングの一部が示される。
図16】本発明の第5実施形態によるカバーデバイスの膜の斜視図を示す。
図17】本発明の第5実施形態によるカバーデバイスの膜の斜視図を示す。
図18】本発明の第5実施形態によるカバーデバイスの断面図を示す。
図19】本発明の第5実施形態によるカバーデバイス内に膜がどのように配置されるかを示し、スパウト及びカバーデバイスのハウジングが図示される。
【発明を実施するための形態】
【0030】
図1〜5は本発明の第1実施形態によるカバーデバイス1に関連する。概して、カバーデバイス1は飲料ボトル11などの飲料容器の開放側12を覆うために使用されることを意図する。カバーデバイス1は飲料ボトル11からの液体の漏れを回避する機能を有する。しかしながら、カバーデバイス1は密閉機能を有するカバーというだけではない。そうではなく、カバーデバイス1は、閉状態において液体がカバーデバイス1を通じて飲料ボトル11の内部から飲料ボトル11の外部に流れることを防止し、開状態において液体の流れが通過することを可能にするように適合された弁装置20を含む。このように、カバーデバイス1と飲料ボトル11のアセンブリ10の使用者が所望であればカバーデバイス1を取り外す必要なく飲料ボトル11から飲むことを可能にすることが可能な一方で、他の全ての状況においてはカバーデバイス1が飲料ボトル11の密閉機能を実施し得る。
【0031】
カバーデバイス1は、ハウジング30と、ハウジング30から突出するスパウト31と、を含み、スパウト31は少なくとも1つの飲料用開口部32を含み、使用者の口に挿入されることが意図されている。ハウジング30とスパウト31のアセンブリはカバーデバイス1の基本アセンブリ9とも称されることに留意されたい。使用者がスパウト31に吸引力をかけると、その結果としてスパウト31内に負圧が得られ、これにより、弁装置20が開き、飲料を飲料ボトル11から使用者の口に送ることを可能にする。飲料がカバーデバイス1の位置にあるように使用者は飲料ボトル11を傾斜姿勢で保持することが想定される。弁装置20の詳細は後に説明される。
【0032】
本発明の枠組内においては、使用者の要求に応じて、カバーデバイス1及び飲料ボトル11に、カバーデバイス1と飲料ボトル11とが互いに取り付けられること、又は互いから取り外されることを可能にするための任意の適切な種類の手段が設けられ得る。例えば、カバーデバイス1及び飲料ボトル11の両方にねじ山が設けられ得る。図1に示すように、飲料ボトル11には外部ねじ山13が設けられ得る。カバーデバイス1のハウジング30は飲料ボトル11の外部ねじ山13と係合するための内部ねじ山が設けられたリング状部材(不図示)を有し得る。
【0033】
以下、第1カバーデバイス1と称される本発明の第1実施形態によるカバーデバイス1においては、ハウジング30は2つの部分33、34を含み、スパウト31がそれら部分33、34の1つと一体的に形成されるため、以下、スパウト部分33と称される。第1カバーデバイス1の弁装置20は、図3に示すように、ハウジング30の2つの部分33、34の間に挟まれたシリコーン弁リング21を含む。この特定構造に鑑み、ハウジング30の他の部分34は、以下、弁リテーナ34と称される。
【0034】
弁リテーナ34にはスパウト31の位置に対応する位置にある穴35が設けられる。図3に示すような弁リング21の静止位置、即ち、弁リング21がいかなる圧力にも曝されていない状況に関連する弁リング21の位置においては、弁リング21は弁リテーナ34の穴とスパウト31との間の通り道を遮断する。従って、弁リング21が静止位置にある場合、液体は飲料ボトル11からスパウト31に移動することができないため、漏れが防止される。特に、弁リング21はその内周部に、弁リテーナ34の表面部分への密閉接触を実施するように適合された突出縁端部22を含む。
【0035】
ハウジング30のスパウト部分33は、弁リング21の外周部を取り囲むための外部リング状部材36を含む。更に、スパウト部分33には、弁リング21を弁リング21の内周部と外周部との間の位置において局所的に支持するための機能を果たす内部リング状部材37が備えられている。特に、内部リング状部材37は僅かな面積によってのみ弁リング21に接触するため、ヒンジ接触が実現される。弁装置20の種々の状態は、弁リング21が可撓性特性を有するため弁リング21が圧力の作用下で変形可能であるという事実に基づき実現される。この点で、弁リング21は必ずしもシリコーンを含む必要はないが、可撓性特性を有する任意の適切な材料を含んでも良いことに留意されたい。更に、弁リング21とハウジング30のスパウト部分33の支持表面部分との間のヒンジ接触は、圧力が作用された場合に、カバーデバイス1における弁リング21の位置/配向の変化を可能にする。
【0036】
ハウジング30のスパウト部分33の内部リング状部材37は弁リング21を2つの部分、いわば、即ち、内部リング部分23と外部リング部分24とに分割する。図3に見られるように、内部リング部分23はスパウト31と直に連通しているハウジング30の内部空間38にある一方で、外部リング部分24は内部リング状部材37によってスペース38から分離されている。換言すると、内部リング部分23はスパウト31の飲料用開口部32と直に連通している一方で、外部リング部分24は連通していない。結果として、使用者がスパウト31に吸引力をかけることよってスパウト31内に負圧を形成する場合、内部リング部分23のみがその負圧の作用下となり、内部リング部分23全体の圧力差により弁リング21の変形及び傾斜動作が生じ、そのため、弁リング21の内周部にある縁端部22が弁リテーナ34から離れる方に引っ張られ、弁リテーナ34に対する弁リング21の密閉接触が失われる。その時点で、弁装置20は開状態にある。これは図4に示される。内部リング部分23の傾斜効果を高めるために外部リング部分24は狭い部分25を含むため、内部リング部分23の配向の変化にあまり力を必要としない。
【0037】
例えば、飲料ボトル11が少なくともある程度まで充填されている状況において飲料ボトル11が振られるか落下する場合に当てはまり得る、飲料ボトル11内部において過圧が得られる場合には別の状況が得られる。言及したような過圧の状況においては、弁リング21の内部リング部分23及び外部リング部分24の両方全体に圧力差が得られるが、これは両リング部分23、24が飲料ボトル11の内部と連通しているためである。外部リング部分24はハウジング30のスパウト部分33の方向に押され、スパウト部分33の外部リング状部材36と内部リング状部材37との間にあるスペースに移動するように変形される。内部リング部分23は2つの因子、即ち、言及した圧力差と、外部リング部分24の変形の結果である張力との作用下にある。第1因子は、内部リング部分23に、弁リテーナ34に対する密閉接触が失われる位置をとらせる傾向にある一方で、第2因子は、内部リング部分23を傾斜させ、弁リテーナ34に対する密閉接触が強化される位置をとらせる傾向にある。弁リング21の設計は第2因子が最強の因子であるように選択されるため、カバーデバイス1の、飲料ボトル11に面する側において過圧が優勢である状況で弁装置20の閉状態が保証される。とりわけ、外部リング部分24の、内部リング部分23への作用に寄与する設計因子は、ハウジング30のスパウト部分33へのヒンジ接触の位置にある弁リング21の厚い部分の存在であり、それによって、外部リング部分24の、内部リング部分23に対する梃子の効果が強化される。図5は、前に記載した過圧の状況における弁リング21の外観を示す。
【0038】
第1カバーデバイス1の上記記載から、弁装置20はスパウト31内部に負圧が形成される場合、換言すると、使用者が飲むことを欲し、スパウト31に対して吸引動作を実施した場合にのみ開状態をとることになっている。弁リング21がハウジング30のスパウト部分33にヒンジ式に接触し、スパウト側において負圧が優勢な状況及びボトル側において過圧が優勢である状況において異なるように扱われる2つのリング部分23、24が識別され得るということから、これら状況における圧力差が、スパウト側においてはより低い圧力が優勢であり、ボトル側においてはより高い圧力が優勢であるという意味でほぼ同じであっても、言及した状況において弁装置20が異なるように動作することが可能である。従って、本発明によれば、使用者が弁装置20を開放するのに高い吸引力をかける必要がないため、飲料ボトル11からスパウト31の飲料用開口部32への液体の流れを有するための開放通路(open passage)を実現する一方で、飲料ボトル11内部において過圧が優勢である場合においても尚漏洩しないカバーデバイス1が得られる。更に、過圧の場合においては、弁装置20の巧妙な設計により弁装置20の閉状態は更に強化される。第1カバーデバイス1の場合、この巧妙な設計には弁装置20に適用された弁リング21の形状及びカバーデバイス1のハウジング30内部における弁リング21の配置を必要とし、弁リング21とハウジング30のスパウト部分33との間にはヒンジ接触がある。
【0039】
完全性のため、第1カバーデバイス1の組み立て時、弁リング21の内周部が弁リテーナ34によってハウジング30のスパウト部分33の方向に押されるような手法でリング21が収容される場合、弁リング21の設計はスペースの設計に適合されても良いことに留意されたい。そのようにして、弁リング21に張力が得られ、これにより、弁リング21の内周部の縁端部22と弁リテーナ34との間の接触が実際の密閉接触になることが保証される。
【0040】
図6は、本発明の第2実施形態によるカバーデバイス2に関連し、カバーデバイス2は、以下、第2カバーデバイス2と称される。第1カバーデバイス1と同様に、第2カバーデバイス2は、ハウジング30と、少なくとも1つの飲料用開口部32を含むスパウト31と、弁装置20と、を含む基本アセンブリ9を含む。しかしながら、以下に説明されるように、第2カバーデバイス2のハウジング30及び弁装置20は、第1カバーデバイス1のハウジング30及び弁装置20とは異なる設計のものである。
【0041】
第2カバーデバイス2の弁装置20は、前に言及したように、シリコーンなどの可撓性材料で作製された弁膜26を含む。示される例では、弁膜26は円形の周縁部を有する。更に、ハウジング30は、第1カバーデバイス1のスパウト部分33と同等の部分のみを含む。第1カバーデバイス1のハウジング30のスパウト部分33と同様に、第2カバーデバイス2のハウジング30は外部リング状部材36を含む。このリング状部材36は弁膜26の周縁部を取り囲むための機能を果たし、このリング状部材36の端部部分には弁膜26を保持するための2つの内方突出部材39が設けられている。原則的に、その可撓性特性に基づき、弁膜26は弁膜26において優勢な張力の作用下のみにおいてハウジング30内に保持され得る。それでも尚、例えば、カバーデバイス2が落下して表面に当たった場合に弁膜26がハウジング30から外れる状況が回避されるように、外部リング状部材36の内方突出部材39を有することが好ましい。更に、第1カバーデバイス1のハウジング30のスパウト部分33と同様に、第2カバーデバイス2のハウジング30は、弁膜26に接触するための内部リング状部材37を含み、そのため、弁膜26と内部リング状部材37との間にヒンジ接触がある。弁膜26の中心部分27と、中心部分27を取り囲む弁膜26の外周部の側にあるリング形状の部分28とは識別され得る。特に、外部リング状部材36及び内部リング状部材37の配置及び直径は外部リング状部材36と内部リング状部材37との間の環状のスペースがスパウト31と直に連通するように選択される。従って、弁膜26の外部リング形状部分28のみがスパウト31の直接作用下にある一方で、中心部分27は直接作用下にないということが達成される。
【0042】
前に記載した第2カバーデバイス2の構造においては、スパウト31内部に負圧が形成されない限りは弁膜26の外周部と外部リング状部材36の表面部分との間に密閉接触がある。そのような状況においては、弁膜26の外部リング形状部分28は外部リング状部材36から離れる方に引っ張られ、密閉接触が失われる。従って、使用者がスパウト31を自身の口の中に入れて吸引力をかけると、弁膜26とハウジング30との間において液体の自由通過が得られる。ハウジング30のリング状部材36、37は特定の高さを有するため、開状態において、弁膜26の外部リング形状部分28がスパウト31の基部、即ち、ハウジング30内部にあるスパウト31の端部を遮断することが防止される。そのため開放通路が保証される。ボトル側、即ち、弁膜26の、基本アセンブリ9とは逆に面する側における過圧の状況においては、その外部リング形状部分28のみではなく弁膜26全体が扱われる。その結果、弁膜26の中心部分27は基本アセンブリ9の方向に曲がるように作製され、中心部分27は外部リング形状部分28に対して梃子作用を発揮し、スパウト31の方向に移動する外部リング形状部分28の傾斜を相殺し、それによって、弁装置20の開状態を実現する。その代わりに、より強い梃子作用の作用下において、外部リング形状部分28は反対方向に押されるため、弁膜26の外周部とハウジング30との間の密閉接触が強化される。
【0043】
図6に示すように、飲む動作中の通気を実施すことにより飲む動作を容易にし、高い吸引力の必要を回避するために弁膜26の中心部分27に配置されるダックビル40などの弁が弁膜26に設けられても良い。必然的に、その場合においては、ハウジング30に、内部リング状部材37、内部リング状部材37の基部と弁膜26の中心部分27との間にあるスペース内に空気が引き込まれることを可能にするための少なくとも1つの開口部41が設けられる。
【0044】
図7〜12は、本発明の第3実施形態によるカバーデバイス3に関連し、カバーデバイス3は、以下、第3カバーデバイス3と称される。第1カバーデバイス1及び第2カバーデバイス2と同様に、第3カバーデバイス3は、ハウジング30と、少なくとも1つの飲料用開口部32を含むスパウト31と、弁装置20と、を含む基本アセンブリ9を含む。第2カバーデバイス2と同様に、第3カバーデバイス3は弁膜26を含む。しかしながら、この場合、弁膜26の一部の、ハウジング30の一部への密閉接触に基づく弁装置20の閉状態は得られない。その代わりに、弁膜26にスリット42が設けられる。
【0045】
示される例では、スリット42は弁膜26のドーム形状の中心部分27に存在する。弁膜26はスパウト31の基部に配置されており、中心部分27の直径はスパウト31の内径に事実上同じになるように適合されている。従って、スリット42を有する中心部分27がスパウト31の飲料用開口部32と直に連通している一方で、弁膜26がスパウト31の基部にヒンジ式に接触する位置(中心部分27と外部リング形状部分28との間の区別が成される位置)において外部リング形状部分28と飲料用開口部32との間の連通が遮断されることから、外部リング形状部分28は直に連通していないということが実現される。第3実施形態3においては、スパウト31の基部はヒンジ可能接触(hingable contact)のヒンジとして機能する。しかしながら、ヒンジは、また、弁膜26の一部であっても良いことは明白とされ得る。図7〜9は、弁膜26の図を示す。図10は、スパウト31に対して弁膜26がどのように配置されるかを示し、且つ弁膜26のドーム形の中心部分27がスパウト31内部の、スパウト31の基部にあることを示す。完全性のため、弁膜26は、第3カバーデバイス3内に任意の適切な手法で、例えば、ハウジング30への、その外周部の近傍の位置における連結又は第1カバーデバイス1の場合と同様に別個のリテーナによって保持されても良いことに留意されたい。
【0046】
スパウト31が吸引動作に曝され、その結果スパウト31内において負圧が優勢になっている場合、弁膜26全体において圧力差が得られ、それが弁膜26の中心部分27に作用する。その結果、スパウト31内に中心部分27がある程度まで更に引き込まれると中心部分27は変形され、スリット42を取り囲む部分が、いわば、引き離されることからスリット42が自動的に開く。このように得られる弁装置20の開状態が図11に示される。この状態においては、弁膜26の一方の側から別の側まで開放通路があるため、弁膜26のボトル側からスパウト側に液体が通過し得る。
【0047】
第3カバーデバイス3の弁膜26の静止位置においては、スリット42は閉じられている。弁膜26のボトル側における過圧の状況においては、スリット42は同様に閉じられており、弁膜26において優勢な張力の作用下で特に密な閉鎖が実現される。特にそのような状況においては、弁膜26全体において、即ち、中心部分27及び外部リング形状部分28両方の全体において圧力差が優勢となっている。この圧力差の作用下において、外部リング形状部分28はかなりの程度まで変形される。スパウト31の基部がハウジング30内部に特定の距離に沿って突出し、スパウト31の突出配置構成により外部リング形状部分28が基本アセンブリ9の方向に押されることによって外部リング形状部分28とハウジング30との間に存在するスペース内に移動する。外部リング形状部分28には、示される例における場合のように、外部リング形状部分28を局所的に弱化し、スパウト31の基部と弁膜26との間の接点と、波形部43との間にある外部リング形状部分28の部分44の傾斜動作を保証するための波形部43が設けられても良い。傾斜動作は弁膜26の中心部分27において継続され、スリット42の範囲を定める部分は傾斜及び変形されており、その結果、図12に示されるように中心部分27は平らになっている。その結果、スリット42はしっかりと閉じられており、過圧の状況における所望の弁装置20の密閉機能が実現される。好ましくは、示される例における場合のように、弁膜26は幾つかの補強リブ45を含む。そのため、弁膜26の可撓性にも関わらず、外部リング形状部分28の、中心部分27に対する梃子作用が保証されても良い。補強リブ45の数は例えば、弁膜26の厚さ、半径方向長さの長さ及び補強リブの接線方向の幅に応じて変更しても良い。補強リブ45の目的は、カバーデバイス3によってカバーされた飲料容器11内において過圧が優勢となっている場合に起こることが想定される二次部分28の、一次部分27に対する梃子作用を支持することである。
【0048】
図13〜15は、本発明の第4実施形態によるカバーデバイス4に関連し、カバーデバイス4は、以下、第4カバーデバイス4と称される。第4カバーデバイス4が前に記載したカバーデバイス1、2、3と比較された場合、弁装置20がスパウト31内に配置されていることに大きな違いがある。特に、弁装置20は、ダックビルと、第3カバーデバイス3の弁膜26との組み合わせとして示され得る弁要素50を含む。弁要素50の基部部分51は互いに向かって隆起した部分52、53を含む。この部分は第3カバーデバイス3の弁膜26の外部リング形状部分28に相当する。第3カバーデバイス3の弁膜26の中心部分27に相当する弁要素50の上部部分54はテーパ状の断面を有し、且つスリット55が設けられている。上部部分54と基部部分51の内方隆起部分52、53との間の移行領域において、弁要素50はスパウト31の内部表面の一部にヒンジ式に接触する。
【0049】
図13は弁要素50の斜視図を示す。図14及び図15は、スパウト31内に弁要素50がどのように配置されているかを示す。前に言及した弁要素50とスパウト31との間のヒンジ接触は図14に明確に見られ得る。図14及び図15は、第3カバーデバイス3において適用された弁膜26と同様に、弁要素50のボトル側における過圧の状況において起こる内方隆起部分52、53の梃子作用を高めるために補強リブ56が設けられ、上部部分54と、基部部分51の内方隆起部分52、53との相互連結部分をカバーするということを更に示す。
【0050】
弁要素50の静止位置においては、スリット55は閉じられている。スパウト31の飲料用開口部32に面する弁要素50の側において負圧が優勢となっている場合、結果として、スリット55を開くために上部部分54に作用する力が得られる。弁要素50のボトル側において過圧が優勢になっている場合、基部部分51の内方隆起部分52、53は押し離され、その結果、上部部分54に張力が伝達され、これにより、圧力差の作用下において開状態をとるための上部部分54の傾斜を相殺するほど十分に強力であることによってスリット55がよりしっかりと閉じられる。
【0051】
図16〜19は、本発明の第5実施形態によるカバーデバイス5に関連する。カバーデバイス5は、以下、第5カバーデバイス5と称される。図16は、底部斜視図を示し、図17は、上部斜視図を示し、図18は、本発明の第5実施形態による弁膜26の断面図を示す。図19は、本発明の第5実施形態によるカバーデバイス内に弁膜26がどのように配置されるかを示す。
【0052】
第1カバーデバイス1、第2カバーデバイス2、第3カバーデバイス3及び第4カバーデバイス4と同様に、第5カバーデバイス5は、ハウジング30と、少なくとも1つの飲料用開口部32を含むスパウト31と、弁装置20と、を含む基本アセンブリ9を含む。第2カバーデバイス2及び第3カバーデバイス3と同様に、第5カバーデバイス5は弁膜26を含む。弁膜26はスパウト31の基部に配置されており、中心部分27の直径はスパウト31の内径に事実上同じになるように適合されている。
【0053】
第3カバーデバイス3と同様に、弁装置20の閉状態は弁膜26内に設けられたスリット42の2つの側の密閉接触に基づき得られる。スリット42は弁膜26のドーム形状の中心部分27にある。従って、図19に示すようにスリット42を有する中心部分27がスパウト31の飲料用開口部32と直に連通している一方で、弁膜26がスパウト31の基部にヒンジ式に接触する位置(中心部分27と外部リング形状部分28との間の区別が成される位置)において外部リング形状部分28と飲料用開口部32との間の連通が遮断されることから外部リング形状部分28は直に連通していないということが実現される。外部リング形状部分28と飲料用開口部32との間の連通はスパウト31の基部を取り囲むスリーブ60の存在によっても防止される。
【0054】
弁要素26には、要素の一方の側からもう一方の側に空気を通過させるための弁61が設けられている。弁61は、例えば、ダックビルを含む。空気を通過させるための弁61が外部リング形状部分28に配置されている。弁要素26には、また、少なくとも1つであるが、好ましくは1つより多い空気チャネル62が設けられ得る。空気を通過させるための空気チャネル62は弁膜26の縁端に配置されている。空気チャネル62は空気を通過させるのに適しているが、飲料用容器11の内部から飲料用容器11の内部の外側に液体が流れるのには小さ過ぎる。弁膜26には、1つ又は複数の空気チャネル62、1つ又は複数の空気弁61、又は両者の組み合わせが設けられ得る。
【0055】
図19は、スパウト31に対して弁膜26がどのように配置されるかを示し、且つ弁膜26のドーム形の中心部分27がスパウト31内部の、スパウト31の基部にあることを示す。スリーブ60は弁膜26の中心部分27を取り囲む。スリーブ60はスパウト31の基部の周囲に配置されている。弁膜26はその位置に維持され、スリーブ60並びに飲料容器11とカバーデバイス5との間の狭いスペースにより移動することが妨げられる。完全性のため、弁膜26は、第5カバーデバイス5内に任意の適切な手法で、例えば、ハウジング30への、その外周部の近傍の位置における連結又は第1カバーデバイス1の場合と同様に別個のリテーナによって保持されても良いことに留意されたい。
【0056】
スパウト31が吸引動作に曝され、その結果、スパウト31内において負圧が優勢になっている場合、弁膜26全体において圧力差が得られ、それが弁膜26の中心部分27に作用する。その結果、スパウト31内に中心部分27がある程度まで更に引き込まれると中心部分27は変形され、スリット42を取り囲む部分が、いわば、引き離されることからスリット42が自動的に開く。このように得られる弁装置20の開状態は図11に示される第3実施形態の弁装置20の開状態に類似する。この状態においては、弁膜26の一方の側から別の側まで開放通路があるため、弁膜26のボトル側からスパウト側に液体が通過しても良い。飲料用開口部32を通じて使用者により実施される吸引動作に起因する飲料用容器11内における負圧及び生じる弁装置20の開状態により空気弁61が開くため、通気効果により負圧は正常化され得る。負圧は空気チャネル62によっても正常化され得る。
【0057】
第5カバーデバイス5の弁膜26の静止位置においては、スリット42は閉じられている。弁膜26のボトル側における過圧の状況においては、スリット42は同様に閉じられており、弁膜26において優勢な張力の作用下で特に密な閉鎖が実現される。特にそのような状況においては、弁膜26全体において、即ち、中心部分27及び外部リング形状部分28両方の全体において圧力差が優勢となっている。この圧力差の作用下において、外部リング形状部分28はかなりの程度まで変形される。スパウト31の基部がハウジング30内部に特定の距離に沿って突出し、スパウト31の突出配置構成により外部リング形状部分28が基本アセンブリ9の方向に押されることにより外部リング形状部分28とハウジング30との間に存在するスペース内に移動する。外部リング形状部分28には、示される例における場合のように、外部リング形状部分28を局所的に弱化し、スパウト31の基部と弁膜26との間の接点と、波形部43との間にある外部リング形状部分28の部分44の傾斜動作を保証するための波形部43が設けられても良い。傾斜動作は弁膜26の中心部分27において継続され、スリット42の範囲を定める部分は傾斜及び変形されており、その結果、図12に示される第3実施形態の平らな中心部分27と同様に中心部分27は平らになっている。その結果、スリット42はしっかりと閉じられており、過圧の状況における所望の弁装置20の密閉機能が実現される。示される例における場合のように、弁膜26は幾つかの補強リブ45、47を含む。そのため、弁膜26の可撓性にも関わらず、外部リング形状部分28の、中心部分27に対する梃子作用、及び結果として、スリット42の閉鎖が保証されても良い。補強リブ45、47の数は、例えば、弁膜26の厚さ、半径方向長さの長さ及び補強リブの接線方向の幅に応じて変更しても良い。第5実施形態においては、梃子作用を支持するための補強リブ45、47が弁膜26のボトル側と中心部分27とに配置される。補強リブ45、47の目的は、カバーデバイス5によってカバーされた飲料容器11内において過圧が優勢となっている場合に起こることが想定される二次部分28の、一次部分27に対する梃子作用を支持することである。弁膜26の中心部分27の補強リブ47は飲料容器11内の負圧の際におけるスリット42の閉鎖を支持する。リブ46が弁膜26から更に延在するように補強リブ45の1つは長尺状の補強リブ46であっても良い。長尺状の補強リブ46はハンドルとして機能する。ハンドル46は使用者が弁膜26をカバーデバイス5から容易に取り外すことを可能にする。使用者は、その後、弁膜26及びカバーデバイス5を容易に清掃することができる。
【0058】
本発明の範囲は前述の例に限定されず、添付の特許請求の範囲に定義される本発明の範囲から逸脱することなくその幾つかの修正及び改良が可能であることは当業者には明白であろう。本発明が図及び明細書に詳細に説明及び記載されたが、そのような説明及び記載は単に例証又は例示であり限定でないとみなされるべきである。本発明は開示される実施形態に限定されない。
【0059】
当業者が請求された発明を実施するにあたり、開示された実施形態の変形形態は図、明細書及び添付の特許請求項の検討から理解され得ると共に実施され得る。特許請求の範囲において、「含む(comprising)」という語は他のステップ又は要素を排除するものではなく、不定冠詞「a」又は「an」は複数を排除するものではない。相互に異なる従属請求項において特定の方策が列挙されているという単なる事実はこれら方策の組み合わせが効果的に使用され得ないことを示すものではない。特許請求の範囲における任意の参照符号は本発明の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。
【0060】
明確化のため、本文書で使用される用語「過圧(overpressure)」及び「負圧(underpressure)」は、例えば、周囲圧力よりも高い圧力及び周囲圧力よりも低い圧力をそれぞれ意味するものと理解されることに留意されたい。
【0061】
更に、カバーデバイス1;2;3;4;5の使用者が吸引力を作用することによって飲料用開口部32から飲むことが可能である限りは基本アセンブリ9には必ずしもスパウト31が備えられる必要はないことに留意されたい。スパウト31と同様に飲料用開口部32がハウジング30から突出する要素の端部にあると実用的であるが、これは本発明の枠組内において必須ではない。カバーデバイス1;2;3;4;5のいずれの実施形態においても、飲料用開口部32まで液体がとる経路は当業者には容易に認識され得る。そのため、弁装置20によって遮断される、及び遮断されない通路は明確に特定され得る。
【0062】
本発明は以下のように要約され得る。飲料容器11用のカバーデバイス1;2;3;4;5は、少なくとも1つの飲料用開口部32が設けられた基本アセンブリ9を含む。実際的な実施形態においては、基本アセンブリ9は、ハウジング30と、ハウジング30から突出し、且つその自由端に飲料用開口部32を有するスパウト31と、を含んでも良い。カバーデバイス1;2;3;4;5は、飲料容器11に面することになるカバーデバイス1;2;3;4;5の側から基本アセンブリ9内の飲料用開口部32への通路を遮断するために閉状態をとるように適合されると共に、言及したように通路を遮断しないために開放状態をとるように適合された弁装置20を更に含む。特に、弁装置20は、基本アセンブリ9の支持表面部分とヒンジ式に結合された要素21;26;50を含む。弁要素21;26;50は、弁要素21;26;50が基本アセンブリ9の支持表面部分とヒンジ式に結合された位置にある弁要素21;26;50の領域により互いに連結された2つの部分23、24;27、28;52、53、54を有し、弁要素21;26;50の2つの部分23、24;27、28;52、53、54のうちの1つのみが基本アセンブリ9の飲料用開口部32と直に連通している。
【0063】
弁要素21;26;50の2つの部分23、24;27、28;52、53、54のうちの一方のみが基本アセンブリ9の飲料用開口部32と直に連通し、2つの部分23、24;27、28;52、53、54のうちのもう一方が直に連通していないことにより、弁要素21;26;50全体における圧力差が少なくともそれら方向に関し両状況において同程度とされ得るであっても、飲料用開口部32に関連する弁要素21;26;50の側において優勢になっている負圧(使用者が飲むことを欲し、その目的のため飲料用開口部32を通じて吸引力をかける場合に実現される)と、可撓性要素21;26;50の飲料容器側において優勢となっている過圧とに対し、弁要素21;26;50の異なる反応を有することが可能である。このことにより、カバーデバイス1;2;3;4;5が漏洩しない性質を有することが可能である一方で、弁装置20は吸引動作に対して非常に良好に応答し得るため、使用者は高い吸引力を作用することを強いられることはない。
【0064】
第1の状況においては、基本アセンブリ9の飲料用開口部32の直接作用下にある弁要素21;26;50の部分23;27、28;54のみが対処される一方で、第2の状況においては、弁要素21;26;50の両部分23、24;27、28;52、53、54が対処されるという事実に基づき、異なる状況における弁要素21;26;50の異なる反応が得られる。特に、弁要素21;26;50の設計及び弁要素21;26;50が収容される基本アセンブリ9の設計は、第2の状況において、飲料用開口部32の直接作用下にある弁要素21;26;50の部分23;27、28;54にもう一方の部分24;27、28;52、53による梃子作用が作用され、第1の状況と同じように圧力差に応答するため梃子作用が第1の部分23;27、28;54の傾斜よりも強くなるように選択される。とりわけ、この効果は、ヒンジ領域への一方の部分23;27、28;54の距離がヒンジ領域へのもう一方の部分24;27、28;52、53の距離に比べてあまり大きくないことを前提として、一方の部分23;27、28;54をもう一方の部分24;27、28;52、53よりも小さくすることによって達成されても良い。概して、本発明によれば、弁要素21;26;50が飲料容器11に面することになるカバーデバイス1;2;3;4;5の側からの圧力に曝される場合、飲料用開口部32と直に連通していない弁要素21;26;50の別の部分24;27、28;52、53よりも基本アセンブリ9の飲料用開口部32と直に連通している弁要素21;26;50の部分23;27、28;54においてより小さな力の合計モーメントを有するように弁要素21;26;50の部分23、24;27、28;52、53、54のサイズ決め、位置決め及び配向が実現される。
【0065】
弁装置20を開放及び閉鎖するための閾値に関して、その値は基本アセンブリ9の表面部分とのヒンジ結合(hinge association)の、弁要素21;26;50における位置などの設計因子によって決定されても良いことに留意されたい。
【0066】
図を参照して前に記載した例においては、弁要素21;26;50の、基本アセンブリ9の支持表面部分とのヒンジ結合はヒンジ接触である。それにより、本発明の枠組内において、ヒンジ結合がヒンジ連結であることもまた可能であるという事実が変わることはない。例えば、第2カバーデバイス2の場合、弁膜26はリング状部材37に単に接触する代わりに内部リング状部材37に連結されても良く、この連結は弁膜26の側の、ヒンジ効果が生じる位置にある。別法として、リング状部材は膜の起立部分(standing part)として設けられ得る。連結はリング状部材の上部縁端にある。ヒンジ効果は必ずしも連結の位置にある必要はない。例えば、後者の場合においては、連結はリング状部材の上部縁端にあっても良い一方で、ヒンジはリング状部材の底部縁端の位置、即ち、リング状部材が膜に取り付けられている位置にあっても良い。1つの可能性に言及すると、ヒンジは底部側のリング状部材を十分に薄くすることによって実現されても良い。いずれの場合においても、基本アセンブリ9に対し異なる位置/外観をとるように配置され、それによって、基本アセンブリ9の飲料用開口部32への通路が遮断される程度を制御する弁要素21;26;50を識別することが可能であり、前に説明したように、弁要素21;26;50を基本アセンブリ9の支持表面部分から吊下する/弁要素21;26;50を基本アセンブリ9の支持表面部分に支持する機能を有する別個の要素であっても一体型の要素であっても良い別の要素との結合によって分離される弁要素21;26;50の2つの部分23、24;27、28;52、53、54は区別され得る。結合は、要素21;26;50のヒンジ動作が要素21;26;50に作用する種々の可能な圧力の作用下において生じることを可能とされるようなものとされる。
【要約】
飲料容器用のカバーデバイス2は、飲料用開口部32と、カバーデバイス2の飲料容器側から飲料用開口部32への通路を遮断する又は遮断しないための弁装置20とが設けられた基本アセンブリ9を含む。弁装置20は、弁要素26が基本アセンブリ9とヒンジ式に結合される位置の弁要素26の領域により互いに連結された2つの部分27、28を有する弁要素26を含む。カバーデバイス2の飲料容器側からの圧力に弁要素26が曝された場合に、1つの部分28において力の最小合計モーメントが実現され得るよう、2つの部分27、28の1つのみが基本アセンブリ9の飲料用開口部32と直に連通している。
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