(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5791859
(24)【登録日】2015年8月14日
(45)【発行日】2015年10月7日
(54)【発明の名称】非被覆シリコーンエラストマーと非シリコーン処理顔料を含む化粧品用エマルション
(51)【国際特許分類】
A61K 8/891 20060101AFI20150917BHJP
A61K 8/06 20060101ALI20150917BHJP
A61K 8/19 20060101ALI20150917BHJP
A61K 8/29 20060101ALI20150917BHJP
A61K 8/44 20060101ALI20150917BHJP
A61K 8/58 20060101ALI20150917BHJP
A61K 8/893 20060101ALI20150917BHJP
A61K 8/894 20060101ALI20150917BHJP
A61K 8/895 20060101ALI20150917BHJP
A61Q 1/00 20060101ALI20150917BHJP
A61Q 1/02 20060101ALI20150917BHJP
【FI】
A61K8/891
A61K8/06
A61K8/19
A61K8/29
A61K8/44
A61K8/58
A61K8/893
A61K8/894
A61K8/895
A61Q1/00
A61Q1/02
【請求項の数】14
【外国語出願】
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2007-115755(P2007-115755)
(22)【出願日】2007年4月25日
(65)【公開番号】特開2007-308490(P2007-308490A)
(43)【公開日】2007年11月29日
【審査請求日】2010年4月13日
【審判番号】不服2013-13845(P2013-13845/J1)
【審判請求日】2013年7月19日
(31)【優先権主張番号】11/410,465
(32)【優先日】2006年4月25日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】391023932
【氏名又は名称】ロレアル
(74)【代理人】
【識別番号】100109726
【弁理士】
【氏名又は名称】園田 吉隆
(74)【代理人】
【識別番号】100101199
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 義教
(72)【発明者】
【氏名】ダバール パテル
(72)【発明者】
【氏名】ギセラ ペルナ
【合議体】
【審判長】
松浦 新司
【審判官】
小川 慶子
【審判官】
小久保 勝伊
(56)【参考文献】
【文献】
特開2000−309509(JP,A)
【文献】
特開平11−228343(JP,A)
【文献】
特開2004−203789(JP,A)
【文献】
特開2006−28184(JP,A)
【文献】
特開平11−246354(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K8/00-8/99
A61Q1/00-90/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)非乳化性の非被覆シリコーンエラストマー、(ii)該エラストマー用の溶媒、(iii)N-アシルアミノ酸処理した複数の顔料、及び(iv)乳化剤を含むエマルション形態の皮膚メークアップ用組成物であって、前記エラストマーがジメチコーン架橋ポリマーであり、前記溶媒がシクロペンタシロキサンを含む、組成物。
【請求項2】
前記エラストマーの量が、前記組成物の全重量の0.1%〜15%である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記N-アシルアミノ酸処理した顔料が、N-アシル-グルタミン処理顔料である、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
前記N-アシルアミノ酸処理した顔料が、ステアロイルグルタミン酸二ナトリウム処理顔料である、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項5】
それぞれが異なる色を有する一種を超える処理顔料を含有する、請求項1から4の何れか一項に記載の組成物。
【請求項6】
前記顔料が、酸化鉄、二酸化チタン、又は酸化鉄と二酸化チタンを含む、請求項1から5の何れか一項に記載の組成物。
【請求項7】
前記酸化鉄が黄酸化鉄、黒酸化鉄、赤酸化鉄又はそれらの混合物を含む、請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
前記乳化剤がシリコーンポリエーテルを含む、請求項1から7の何れか一項に記載の組成物。
【請求項9】
前記乳化剤がポリアルコキシル化シリコーンエラストマーを含む、請求項1から8の何れか一項に記載の組成物。
【請求項10】
水及び/又は水混和性溶媒をさらに含有する、請求項1から9の何れか一項に記載の組成物。
【請求項11】
非揮発性油をさらに含有する、請求項1から10の何れか一項に記載の組成物。
【請求項12】
サンスクリーン剤をさらに含有する、請求項1から11の何れか一項に記載の組成物。
【請求項13】
ファンデーションの形態である、請求項1から12の何れか一項に記載の組成物。
【請求項14】
ケラチン基体にメークアップを適用するための方法において、非乳化性の非被覆シリコーンエラストマー、エラストマー用の溶媒、N-アシルアミノ酸処理した複数の顔料、及び乳化剤を含有するエマルション形態の皮膚メークアップ用組成物を皮膚に適用することを含む方法であって、前記エラストマーがジメチコーン架橋ポリマーであり、前記溶媒がシクロペンタシロキサンを含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【発明の開示】
【0001】
(発明の背景)
化粧品、特にファンデーション等の有色の化粧品は、皮膚の色調に適合させ、皮膚に均一な被覆を付与する目的で開発されている。ある種の化粧品は適用時に筋が入り、自然な皮膚の色調と混和しないか、又は適用中に色を変化させる。他の製品は不安定であり、保存中に分離し、よって適用前に混合する必要がある。
【0002】
(発明の概要)
本発明の第1の態様は、非被覆シリコーンエラストマー、エラストマー用の溶媒、非シリコーン処理顔料、及び乳化剤を含むエマルション形態の化粧品用組成物に関する。また前記組成物の調製方法を提供する。
【0003】
本発明の他の態様は、非被覆シリコーンエラストマー、エラストマー用の溶媒、非シリコーン処理顔料、及び乳化剤を含むエマルション形態の化粧品用組成物をケラチン基体に適用することを含む、ケラチン基体に有色メークアップを適用するための方法に関する。
【0004】
本出願人は、非被覆シリコーンエラストマーを含む本発明組成物が、化粧品工業で一般的に使用されている被覆シリコーンエラストマーを含む組成物と比較して、かなり長時間、安定していることを見出した。
【0005】
本出願人は、また、
容器における組成物のバルクの色
調が、皮膚に適用された時点での組成物の色
合いと実質的に同一であることを見出した。理論に拘束されることを意図しているものではないが、当業者が予想するものとは逆に、本出願人は、非シリコーン処理顔料が、保存中に再凝集しない傾向にあると考えている。
【0006】
(詳細な説明)
化粧品工業において有用なシリコーンエラストマーは、典型的には硬質樹脂又は超微粒子で、被覆されていてもよい。被覆エラストマーの例には、硬質シリコーン樹脂で被覆されたKSP-100、KSP-200及びKSP-300(シンエツ・シリコーン・オブ・アメリカ社、アクロン、オハイオ州)、シリカ超微粒子で被覆されたDC9701(ダウ・コーニング社(Dow Corning Corp)、ミッドランド、ミシガン州)が含まれる。しかしながら、本発明の組成物は非被覆シリコーンエラストマーの存在を必要とする。本出願人は、非被覆シリコーンエラストマーは、「非乳化性」と考えられるものでさえ、少なくとも本発明においては、安定したエマルションを形成することを見出した。
【0007】
本発明の化粧品用組成物はエマルションであり、よって少なくとも2の相、すなわち連続相と分散相を含む。連続又は分散相のいずれかであってよい第1の相は、(本来は疎水性である)非被覆シリコーンエラストマーを含有する。親水性又は疎水性であってよい第2の相は、第1の相とは分離している。エマルションが水中油型又は油中水型エマルションであるように、この相は性質が水性であってよい。また、第2の相は不混和性油を含んでいてよく、よって油中油型エマルションが作製される。
【0008】
概して、化粧品的に許容可能な非被覆形態のシリコーンエラストマーが、本発明での使用に適している。これらのエラストマーは非乳化性であると考えられ、例えば、それらは有意な量のポリオキシアルキレン類を含まない。ある実施態様では、非被覆シリコーンエラストマーは、例えばアルファ、オメガ-ジエンとポリシロキサンの架橋反応産物である。例えば、出典明示によりここに援用される米国特許第5654362号(特に2段落、2−16行;22−67行、6段落、その15−40行)、及び米国特許第6793915号を参照のこと。これらの非被覆シリコーンエラストマーには、架橋又は部分的に架橋したシクロメチコーン(及び)ジメチコーン架橋ポリマーが含まれる。これらのエラストマーは、(a)≡Si−H含有ポリシロキサン類、及び(b)プラチナ触媒の存在下でアルファ、オメガ-ジエン、及び(c)低分子量の直鎖状又は環状のポリシロキサンの間の架橋反応により調製することができる。エラストマーは、剪断力下、低分子量のポリシロキサンを用いて膨潤させることができる。(a)部の≡Si−H含有ポリシロキサンは、ここではA
1型と命名される式(R
1)
3SiO(R
22SiO)
a(R
3HSiO)
bSi(R
1)
3の化合物、及びここではA
2型と指定される、式H(R
1)
2SiO(R
22SiO)
cSi(R
1)
2H又は式H(R
1)
2SiO
2(R
22SiO)
a(R
3HSiO)
bSi(R
1)
2Hの化合物により表される。これらの式において、R
1、R
2及びR
3は1−6の炭素原子を有するアルキル基であり、aは0−250、bは1−125、cは0−250である。化合物A
1:A
2のモル比は0−20、好ましくは0−5である。(b)部のアルファ、オメガ-ジエンは、xが1−20である式CH
2=CH(CH
2)
xCH=CH
2の化合物である。適切なアルファ、オメガ-ジエンの代表例には、1,4-ペンタジエン、1,5-ヘキサジエン、1,6-ヘプタジエン、1,7-オクタジエン、1,8-ノナジエン、1,9-デカジエン、1,11-ドデカジエン、1,13-テトラデカジエン、及び1,19-エイコサジエンが含まれる。これらの非被覆シリコーンエラストマーのさらなる特定の例には、DC-9040、DC-9041及びDC-9045が含まれる。米国特許第6793915号、5段落、9−34行を参照のこと。
【0009】
また、ジメチコーン/ビニルジメチコーンの架橋ポリマー組成物(架橋又は部分的に架橋しているもの)(例えば、シンエツ・シリコーン・オブ・アメリカ社から商業的に入手可能なKSG-15及びUSG-103)、及びシクロメチコーンにおいて架橋又は部分的に架橋したビニルジメチコーン/メチコーンの架橋ポリマー(例えば、ジェネラル・エレクトリック・シリコーン社(General Electric Silicones)(ウォーターフォード、ニューヨーク州)のGE1229)も有用である。米国特許第6793915号、5段落、5−8及び35−47行を参照のこと。本発明で使用される他の非被覆シリコーンエラストマーの適切性は、実施例に記載されているような、標準的な技術に従い評価することができる。
【0010】
商業的に入手可能な非被覆シリコーンエラストマー、例えばDC-9040、DC-9041、DC-9045、KSG-15及びUSG-103は、既にゲルの形態で存在しており、ここでエラストマーは、シクロメチコーン、ジメチコーン又は他のシリコーン油等の溶媒中で調製されている。よって、本組成物が、パウダー形態のエラストマーを添加することにより調製されるならば、それらには、エラストマー用の溶媒も添加する必要がある。この目的のためには、揮発性及び非揮発性のシリコーン油が有用である。適切な揮発性シリコーン油には、2〜7のケイ素原子を有し、場合によっては1〜10の炭素原子を有するアルキル又はアルコキシ基を有する、直鎖状又は環状のシリコーン類、例えばシクロペンタシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ヘキサデカメチルシクロヘキサシロキサン、ヘプタメチルヘキシルトリシロキサン、及びヘプタメチルオクチルトリシロキサン、及びそれらの混合物が含まれる。
【0011】
適切な非揮発性シリコーン油の例には、室温で液状の、直鎖状ポリジメチルシロキサン類(PDMS);シリコーン鎖の末端及び/又はペンダントして、フルオロ基、官能基、例えばヒドロキシル、チオール又はアミン基、脂肪族(例えばアルキル)基又は芳香族(例えばフェニル)基で、2〜24の炭素原子を有するもので置換されていてもよいポリジメチルシロキサン類;フェニルシリコーン類、例えばフェニルトリメチコーン類、フェニルジメチコーン類、トリメチルペンタフェニルトリシロキサン(例えばダウ・コーニング社のDC555)、テトラメチルテトラフェニルトリシロキサン、フェニルトリメチルシロキシジフェニルシロキサン、ジフェニルジメチコーン、ジフェニルメチルジフェニルトリシロキサン類、及び2-フェニルエチルトリメチルシロキシシリカート類が含まれる。シリコーン油の他の例には、ペルフルオロ油、フルオロシリカート類、及びポリオキシアルキレン類、脂肪アルコール、又は脂肪酸で変性したポリシロキシ類が含まれる。
【0012】
非被覆シリコーンエラストマーは、一般的には約0.1%〜約35%、ある実施態様では約0.1%〜約25%、さらなる他の実施態様では約0.1%〜約15%の範囲の量で存在しており、全てのパーセンテージは、化粧品用組成物の全重量に対するエラストマーの乾燥重量(すなわちパウダー形態)に基づいている。ある他の実施態様では、非被覆シリコーンエラストマーの量は、組成物の全重量に対して約5.6%である。比較的多量のエラストマーが存在していてよい。ある実施態様では、被覆されたシリコーンエラストマーは、エマルションの安定性を悪くしないよう、例えば組成物の全重量の50%までの量で存在してよい。
【0013】
本発明での使用に適した顔料は、非シリコーン化合物で処理、例えば被覆又は囲まれてもよい。「シリコーン化合物」とは、シリコーンを含有する任意の化合物、例えばシリコーン類、シラン類及びシロキサン類を意味する。処理顔料は、未処理の顔料よりも、さらに疎水性になっている。アミノ酸処理顔料は、本発明の実施に有用である。アミノ酸の例には、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、フェニルアラニン、プロリン、スレオニン、セリン、アルギニン、ヒスチジン、リジン、アスパラギン酸、及びグルタミン酸のN-アシルアミノ酸塩、及びそれらの塩が含まれる。特定の例には、N-アシル-N-メチルグリシン、N-アシル-N-メチル-β-アラニン、及びN-アシル-L-グルタミン酸、またいくつかの実施態様では、そのAl、Mg、Ca、Zn、Zr及びTi塩が含まれる。アシル基には、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸又はオレイン酸の残基が含まれてよい。例えば、出典明示によりここに援用される米国特許第4606914号(特に、その3段落、1−31行)、及び米国特許第6296860号を参照のこと。またアミノ酸を用いた顔料の処理方法は、'914特許に開示されている。処理顔料には、さらに植物から誘導されたアミノ酸で処理された顔料、例えばステアロイルグルタミン酸二ナトリウム及び水酸化アルミニウムで被覆された二酸化チタン(U.S.コスメティクス・コープ(U.S. Cosmetics Corp)から商業的に入手可能なNAI、販売者、三好化成(Miyoshi Kasei)(日本))がさらに含まれ得る。
【0014】
本発明での使用に適した処理顔料のさらなる例には、ペルフルオロ化合物(化粧品的に許容可能な有機フルオロ化合物)、例えばC9−C15(すなわち、C9、C10、C11、C12、C13、C14及びC15)フルオロアルコールホスファート類で処理された顔料が含まれる。
【0015】
本発明での使用に適した処理顔料のさらなる例には、チタナート処理された顔料が含まれる。これらの顔料の例には、配位チタナート及びチタン酸モノアルコキシ、例えばトリアシルチタン酸モノアルコキシ(チタン酸モノアルキルとも称される)が含まれる。米国特許出願公開第2005−0019284号(特に、段落[0038]-[0052])を参照のこと。チタナートの特定の例には、トリイソステアロイルチタン酸イソプロピル(ITT、コボ社(KOBO)、サウスプレーンフィールド、ニュージャージー州から入手可能)、ジメタクリルイソステアロイルチタン酸イソプロピル、及びジメタクリルイソステアロイルチタン酸イソプロピルが含まれる。
【0016】
本発明で有用であり得る処理顔料のさらなる例は、米国特許第5167709号(アミドスルホン酸の多価塩で処理された顔料)、及び米国特許第5928658号(脂肪酸、水素化レシチン又はアシルコラーゲンの水溶性金属塩で処理された顔料)に記載されている。本発明で使用される他の処理顔料の適切性は、実施例に記載されているような、標準的な技術に従い評価することができる。
【0017】
複数の異なる色(又は色の暗度)を有する処理顔料が、所望の色又は色調を達成するために、組成物に存在していてもよい。
【0018】
処理されていてもよい顔料には、白色顔料、有色顔料、無機顔料、ミクロンサイズの顔料、及びミクロンサイズではない顔料が含まれる。有用な無機顔料としては、二酸化チタン、酸化鉄、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化セリウム、酸化クロム、マンガンバイオレット、ウルトラマリンブルー、水和クロム、及びフェリックブルーを挙げることができる。
【0019】
概して、顔料の量は、エマルションの生成又は安定性に干渉しないならば、また皮膚に適用された場合に、所望の被覆率、色調及び色−当業者の技量内で判断−が付与されるように、広範囲で変えることができる。処理顔料の量は、化粧品用組成物の全重量に基づき、一般的に約0%〜約70%、いくつかの実施態様では約0%〜約35%、さらなる他のいくつかの実施態様では約0%〜約20%の範囲である。いくつかの他の実施態様において、処理顔料の量は、組成物の全重量の約10%である。ここで使用されるように、「約0%」なる用語は、本発明の実施態様において存在する旨が述べられている成分を指す場合は、0よりも大きい限定値を意味する。
【0020】
本発明の組成物に典型的に使用される乳化剤には、アニオン性、非イオン性及びカチオン性の乳化剤が含まれる。例えば、Encyclopedia of Chemical Technology, KIRK-OTHMER, 第22巻, 333-432頁, 第3版, 1979, Wileyが参照され、乳化剤、特にアニオン性及び非イオン性乳化剤に関するこの文献の347-377頁には、その特性及び(乳化)機能が定められている。本発明の組成物に有用な非イオン性乳化剤の例には、脂肪酸、脂肪アルコール類、ポリエトキシル化脂肪アルコール類、又はポリグリセロール化脂肪アルコール類、例えばポリエトキシル化ステアリルアルコール類又はセチルステアリルアルコール類、脂肪酸とスクロースのエステル、及びグルコースアルキルエステル、特にポリオキシエチレン化C
1-C
6アルキルグルコース脂肪エステル、及びエトキシル化化合物、例えばポリソルバート(Polysorbate)-20、ラウレス(Laureth)-7、ラウレス-4及びセピゲル(Sepigel)(登録商標)305が含まれる。アニオン性乳化剤の例には、アミン類、アンモニア又はそのアルカリ金属塩で中和されたC
16-C
30脂肪酸が含まれる。カチオン性乳化剤の例には、第4級アミン類、アミンオキシド類及びアミン類、例えばアルキルアミン類、アルキルイミダゾリン類、エトキシル化アミン類、第4級化合物、及び第4級エステルが含まれる。またカチオン性乳化剤によりコンディショニング効果が付与されもする。
【0021】
オルガノシリコーン乳化剤は、特にエマルションが油(シリコーン)中水型エマルションの実施態様において有用である。このような乳化剤には、シリコーンポリエーテル及びポリアルコキシル化シリコーンエラストマーが含まれる。
【0022】
シリコーンポリエーテルは、米国特許第4268499号、5段落、1−16行、米国特許出願公開第2002/0028223号、[0098]項、及び米国特許出願公開第2003/0049212号、段落[0160]−[0167]に記載されているような、式CH
2CH
2Oのオキシエチレン単位を含む。シリコーンポリエーテルの例には、DC5225C又はDC5185のようなシクロペンタシロキサンとの混合物として入手可能なPEG/PPG-18/18ジメチコーン、シンエツ社からKF6017又はKF6028として入手可能なPEG-9ジメチコーン、ゴールドシュミット・ケミカル・コーポレーション(Goldschmidt Chemical Corporation)、ホープウェル、バージニア州からアビル(ABIL)(登録商標)WE09として入手可能なセチルジメチコーンコポリオール-ポリグリセリル-4-イソステアラート-ヘキシラウラート、セチルジメチコーンコポリオール(アビル(登録商標)EM90)、(アビル(登録商標)EM97)、ラウリルメチコーンコポリオール(ダウ・コーニング社の5200)、ダウ・コーニング社からDC3225Cとして入手可能なシクロメチコーン(及び)ジメチコーンコポリオール、及びGEシリコーン社からGE SF1528として入手可能なシクロペンタシロキサン及びジメチコーンコポリオールが含まれる。
【0023】
ポリアルコキシル化シリコーンエラストマーは、ポリオキシアルキレン残基等の少なくとも一の残基を含む、架橋したオルガノポリシロキサン類である。ポリオキシアルキレン残基は、例えばシンエツ社のKSG-210の場合におけるようにペンダントであってよく、あるいはまたシンエツ社のKSG-710の場合におけるように架橋剤であってよい。ポリアルコキシル化シリコーンエラストマーの例は、米国特許出願第2005/0053571号、段落[0055]-[0061]に記載されている。
【0024】
乳化剤の量は、化粧品組成物の全重量に基づき、一般的に約0重量%〜約20重量%、いくつかの実施態様においては約0重量%〜約10重量%の範囲である。いくつかの実施態様において、乳化剤の量は、組成物の全重量の約2%である。
【0025】
本発明の組成物は、化粧品的又は皮膚科学的に許容可能な、一般的には生理学的に許容可能な油、例えば、鉱物、動物、植物又は合成由来の炭素ベース、炭化水素ベース、フルオロ及び/又はシリコーン油を、単独で又は混合物として含有してよい。揮発性油及び/又は非揮発性油が存在していてもよい。油(類)が存在するならば、疎水性相を構成する。
【0026】
代表的な揮発性油には、無極性の揮発性炭化水素ベース油(ここで使用される場合、水素と炭素原子のみを含有する油を称する)、シリコーン油(シリコーン鎖の末端に、又はペンダントして場合によってはアルキル又はアルコキシ基を有する)、及びフルオロ油が含まれる。適切な炭化水素ベース油には、イソパラフィン類、すなわち8〜16の炭素原子を有する分枝状のアルカン類、例えばイソドデカン(2,2,4,4,6-ペンタメチルヘプタンとしても公知)、及び石油蒸留物が含まれる。
【0027】
本発明の化粧品用スティックにおける使用に適した非揮発性油の例には、R及びR'がそれぞれ独立して、C
1−25、好ましくはC
4−20の直鎖状又は分枝状鎖であるアルキル、アルケニル、又はアルコキシカルボニルアルキル、又はアルキルカルボニルオキシアルキルである、式RCO-OR'のエステルが含まれる。このようなエステルの例には、イソノナン酸イソトリデシル、PEG-4ジヘプタノアート、ネオペンタン酸イソステアリル、ネオペンタン酸トリデシル、オクタン酸セチル、パルミチン酸セチル、リシノール酸セチル、ステアリン酸セチル、ミリスチン酸セチル、ココ-ジカプリラート/カプラート、イソステアリン酸デシル、オレイン酸イソデシル、ネオペンタン酸イソデシル、ネオペンタン酸イソヘキシル、パルミチン酸オクチル、リンゴ酸ジオクチル、オクタン酸トリデシル、ミリスチン酸ミリスチル、オクチルドデカノール、及び脂肪アルコール、例えばオレイルアルコール、イソセチルアルコール等が含まれる。
【0028】
本発明の組成物は、エマルションが水相を有しているケースにおいては、水及び/又は水混和性溶媒、例えばグリコール類(2〜8の炭素原子を有するグリコール類、例えばプロピレングリコール、エチレングリコール、ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、及びペンチレングリコール)をさらに含有していてよい。これらの実施態様において、存在する水(及び/又はグリコール)の量は、化粧品用組成物の全重量に基づき、一般的には約0%〜約90%、いくつかの実施態様では約5%〜約60%の範囲である。
【0029】
本発明の化粧品用組成物は、液体(例えば、ミルク、クリーム、ゲル、軟膏、ムース又はローション)、又は実質的に固体(例えば、圧密パウダー及びスティック)であってよい。それらは、ケラチン基体(組織又は合成体)、特に皮膚に適用されてよい。化粧品用組成物は、ファンデーション、コンシーラ、ほほ紅、ルージュ、リップスティック、唇用着色剤、リップグロス、マスカラ、アイシャドウ、及びアイライナーの形態であってもよい。
【0030】
例えば、化粧品用組成物は、活性剤及び添加剤等を含む、少なくとも一の化粧品的に許容可能な他の成分をさらに含有してよい。このような成分の例には、他の溶媒、構造化剤、例えばロウ及びポリマー、疎水性(脂質親和性)及び親水性の増粘剤又はゲル化剤、皮膚用コンディショニング剤(湿潤剤、エクスフォリエント(exfoliant)(スクラブ洗顔料)又はエモリエント)、分散向上剤、フィラー(例えば、パウダー及び真珠母)、繊維、サンスクリーン剤(例えば、オクトクリレン、オクチノキサート(octinoxate)、アヴォベンゾン)、防腐剤(例えば、クエン酸ナトリウム、フェノキシエタノール、パラベン類、及びそれらの混合物)、キレート剤(例えば、EDTA及びその塩、特にナトリウム及びカリウム塩)、酸化防止剤(例えば、BHT、トコフェロール)、中和又はpH-調節剤(例えば、水酸化ナトリウム)、及び化粧品用活性剤及び皮膚用活性剤、例えば付加的なスキンケア用活性剤、例えばペプチド(例えば、マトリキシル(Matrixyl)[ペンタペプチド誘導体])、ファルネソール、ビサボロール、フィタントリオール、ビタミン類及びそれらの誘導体、例えばアスコルビン酸、ビタミンA(例えば、パルミチン酸レチニル又はプロピオン酸レチニル等のレチノイド誘導体)、ビタミンE(例えば、酢酸トコフェロール)、ビタミンB
3(例えば、ナイアシンアミド)及びビタミンB
5(例えば、パンテノール)、抗座瘡剤(レゾルシノール及びサリチル酸)、酸化防止剤(例えば、フィトステロール及びリポ酸)、フラボノイド(例えば、イソフラボン類、フィトエストロゲン類)、及び美的目的に適した薬剤、例えば精油、香料、皮膚用知覚剤(skin sensates)、乳白剤、芳香族化合物(例えば、丁子油、メントール、ショウノウ、ユーカリ油、及びオイゲノール)、抗炎症剤、消泡剤、及び必須脂肪酸が含まれる。
【0031】
他の溶媒には、低級モノアルコール類(例えば、エタノール及びイソプロピルアルコール)、C
3-C
4ケトン類、及びC
2-C
4アルデヒド類が含まれる。
【0032】
組成物は、例えばマスカラのケースにおいては、ロウを含有してよい。適切なロウには、動物由来のロウ、植物由来のロウ、鉱物由来のロウ、及び合成由来のロウが含まれる。本発明の目的において、「ロウ」なる用語は、室温(25℃)、大気圧(760mmHg、すなわち10
5Pa)で固体状であり、可逆的な固体/液体の状態変化を受け、30℃を超える、いくつかの実施態様では55℃〜120℃、又は200℃程の高い融点を有する脂質親和性脂肪化合物を意味する。
【0033】
動物由来のロウの例には、ミツロウ、ラノリンロウ、及びイボタロウ(Chinese insect wax)が含まれる。植物由来のロウの例には、ライスワックス、カルナウバロウ、キャンデリラロウ、オーリクリーロウ(ouricurry wax)、コルク繊維ロウ、サトウキビロウ、モクロウ、ハゼロウ(sumach wax)及び綿ロウが含まれる。鉱物由来のロウの例には、パラフィン、マイクロクリスタリンワックス、モンタンロウ、及びオゾケライトが含まれる。合成由来のロウの例には、ポリオレフィンロウ、例えばポリエチレンロウ、フィッシャー-トロプシュ合成法により得られたロウ、ロウ質コポリマー及びそれらのエステル、及びシリコーン及びフルオロワックスが含まれる。また、動物又は植物由来の水素化油を使用してもよい。具体例には、水素化ホホバロウ、及び直鎖状又は非直鎖状のC
8-C
32脂肪鎖からなる脂肪の接触水素化により得られた水素化油、水素化ヒマワリ油、硬化ヒマシ油、水素化コプラ油、水素化ラノリン、及び水素化パーム油が含まれる。ロウは、組成物の全重量に基づき、一般的には約0%〜約50%の範囲の量で組成物に存在してよい。
【0034】
本発明の組成物は、ポリマー、例えば他の成分と融和性があり、適用後に皮膜を形成する皮膜形成ポリマーを含有していてもよい。適切なポリマーには、ポリビニルピロリドン(PVP)及びビニルコポリマー、例えばビニルピロリドン(VP)/ヘキサデカンコポリマー、PVP/ヘキサデセンコポリマー、及びVP/エイコセンコポリマー(例えばISP社、ウェーン、ニュージャージー州の商品名ガネックス(Ganex)V220)、トリメチルシロキシシリカート、及びアクリラートコポリマーが含まれる。ポリマーは、一般的に0〜約35重量%の範囲の量で、組成物に存在していてよい。
【0035】
脂質親和性の増粘剤又はゲル化剤の例には、変性クレー類、例えばC
10〜C
22脂肪酸の塩化アンモニウムで変性したヘクトライト類、中でもクアテルニウム(quaternium)-18ベントナイト(bentonite)として知られているジステアリルジメチルアンモニウムクロリドで変性したヘクトライト、例えばレオックス社(Rheox)からベントーン(Bentone)34の名称で作製され販売されている製品、サザンクレイ社(Southern Clay)で製造され販売されているクレイトーン(Claytone)XL、クレイトーン34及びクレイトーン40、サザンクレイ社からクレイトーンHT、クレイトーンGR及びクレイトーンPSの名称で製造され販売され、クアテルニウム-18ベンザルコニウムベントナイト類の名称で公知の変性クレー類、ステアラルコニウム(stearalkonium)ベントナイト類として公知の、ステアリルジメチルベンゾイルアンモニウムクロリドで変性したクレー類、例えばサザンクレイ社からクレイトーンAPA及びクレイトーンAFの名称で製造され販売されている製品、及びレオックス社で製造され販売されているバラゲル(Baragel)24、疎水性シリカ、例えばヒュームドシリカ、脂肪酸の金属塩、及びポリエチレンが含まれる。
【0036】
使用され得る水溶性又は親水性の増粘剤又はゲル化剤には、カルボキシビニルポリマー、例えばポリビニルピロリドン(PVP)、及びポリビニルアルコール、架橋したアクリラート類(例えばカルボポール(Carbopol)982)、疎水性の変性アクリラート類(例えばカルボポール1382);ポリアクリルアミド類、例えばセピック社(SEPPIC)からセピゲル(Sepigel)305(CTFA名:ポリアクリルアミド/C
13-C
14イソパラフィン/ラウレス(Laureth)7)又はシムルゲル(Simulgel)600(CTFA名:アクリルアミド/アクリロイルジメチルタウリン酸ナトリウムコポリマー/イソヘキサデカン/ポリソルバート80)の名称で販売されている架橋コポリマー;場合によっては架橋及び/又は中和されていてよい2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸のポリマー及びコポリマー;セルロース誘導体、例えばヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、エチルセルロース及びヒドロキシメチルセルロース;多糖類及び天然ガム類、例えばキサンタンガム、菌核粒子、カラギーナン及びペクチン;多糖類樹脂、例えばデンプン及びその誘導体、ヒアルロン酸とその塩が含まれる。
【0037】
増粘剤又はゲル化剤の量は、化粧品用組成物の全重量に基づき、一般的には約0%〜約10%の範囲である。
【0038】
本発明の組成物は、皮膚用コンディショニング剤(例えば、湿潤剤、エクスフォリエント又はエモリエント)をさらに含有してよい。このような薬剤の例には、乳酸ナトリウム、マンニトール、アミノ酸、ヒアルロン酸、ラノリン、尿素、ワセリン、及びそれらの混合物が含まれる。他の例には、ポリオール類、例えばグリセリン、ジグリセリン、トリグリセリン、ポリグリセリン、ポリエチレングリコール、及びソルビトールが含まれる。ここに開示されたC
2-C
8グリコール類は、この点において有用である。これらの薬剤は、化粧品用組成物の全重量に基づき、一般的に約0.1%〜約20%の範囲の量で本発明の組成物に存在している。
【0039】
もちろん、本発明の組成物は、手で適用されてよい。別法として、又はそれらと共に、天然又は合成物質のスポンジ、コットン、ブラシ及びパフ等のアプリケータを介して適用されてもよい。さらに、アプリケータは入れ物に取り付けられていてもよく、該入れ物は化粧品用組成物用の容器として供給される。
【0040】
次の実施例は、本発明をさらに例証することを意図している。それらは何らの方法によっても、本発明を制限することを意図しているものではない。種々の成分についての商品名が付与されている箇所において、示されたパーセンテージは、製造者によるところの、使用される成分の重量を表し、その成分における活性化合物だけではない。
【実施例】
【0041】
次の実施例には、2つの本発明品と2つの比較エマルションが開示されており、その全ては化粧品用ファンデーションの形態をしている。それぞれの実施例は、次の手順に従い調製された。
【0042】
主たる調製用ケトルを脱イオン(DI)水で消毒する(90℃まで加熱されたDI水で30分間すすぐ)。残りの手順を25℃で実施する。主たるケトルにおいて、A1相及びA3相を組合せ、ベントーンが完全に分散するまで、20分間混合する。ついで、A2相の成分をA1/A3混合物に添加し、A2がA1/A3に完全に分散し、滑らかなテクスチャーが達成されるまで混合する。分離用ケトルにおいて、B相の成分を均質になるまで混合する。ついで、第2のケトルの内容物を主たるケトルに添加し、エマルションが形成されるまで混合する。
【0043】
得られたそれぞれのファンデーションの安定性を、凍結/融解サイクル、遠心分離、及び種々の温度及び時間での保管等、標準的な技術を使用することにより測定した。
【0044】
エマルション内の顔料の安定性は、皮膚色調が、皮膚への製品の適用時に変化したかどうかを観察することにより測定した。
【0045】
実施例1:本発明のファンデーション
【表1】
【0046】
ファンデーションは安定しており、皮膚への適用時、皮膚色調に変化はなかった。
【0047】
実施例2:本発明のファンデーション
【表2】
【0048】
ファンデーションは安定しており、皮膚への適用時、皮膚色調の変化はなかった。
【0049】
実施例3:シリコーン処理された顔料を含有する比較ファンデーション
【表3】
【0050】
実施例1及び2に開示された本発明のファンデーションとは対照に、シラン処理された顔料を含有する比較ファンデーションは、皮膚に適用した場合に、皮膚色調に変化があることが観察された。
【0051】
実施例4:被覆されたシリコーンエラストマーを含有する比較ファンデーション
【表4】
【0052】
実施例1及び2に開示された本発明のファンデーションとは対照的に、非被覆シリコーンエラストマーではなく、被覆されたシリコーンエラストマーを含有する比較ファンデーションは、遠心分離直後、又は種々の温度での保存1日後に、分離することが観察された。
【0053】
特許文献及び非特許文献の双方とも、明細書に引用された全ての文献は、この発明に関連する当業者のレベルの指標である。まだここに出典明示により援用されていない任意の文献が、個々の文献が特にかつ個々に出典明示により援用されているかの如く、同程度に、出典明示によりここに援用される。
【0054】
ここでは本発明を特定の実施態様を参照して説明したが、これらの実施態様は、本発明の原理及び応用を単に例証しているのみと理解される。よって、例示的実施態様に多くの変更をなすことができ、添付する特許請求の範囲によって定まる本発明の要旨及び範囲から逸脱しない限り、他の構成も案出することができるものと理解されなければならない。