【文献】
R.GUBNER,「EFFECT OF ”AMINOPTERIN” ON EPITHELIAL TISSUES」, A.M.A.ARCHIVES OF DERMATOLOGY AND SYPHILOLOGY, 64/6, 1951, p688−699
【文献】
R.GUBNER et al ,「THERAPEUTIC SUPPRESSION OF TISSUE REACTIVITY II. Effect of Aminopterin in Rheumatoid Arthritis and Psoriasis」,American Journal of the Medical Sciences, 221/2, 1951, p176−182
【文献】
鈴木康夫、「メトトレキサートの使い方と副作用への対処法」、医学のあゆみ、2004年、Vol.209 No.10、p827−832
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
混合治療において使用される第2の薬剤を添加する工程をさらに含み、前記第2の薬剤が葉酸である、請求項1に記載のアミノプテリンまたはその医薬的に許容され得る塩の使用。
【背景技術】
【0002】
アミノプテリンまたは4―アミノ―プテロイル―L―グルタミン酸は、強力な抗葉酸剤である〔フランクリン、米国特許番号2,575,168を参照]。Lederle Laboratories(アメリカン・サイアナミッド社の部門)によって、1946において合成され、アミノプテリンは、幼年期白血病の処置のための1953の0.5mgの錠剤で市販された。1965年、米国での医薬としてのアミノプテリンの販売は中止された。
【0003】
1951年において、Gubnerは、0.75―2mg/日で約1週間およびそれ以上、または5.25mg以上の1週間の累積用量でリウマチ性関節炎、乾癬性関節炎、単純な乾癬およびアトピー性皮膚炎患者を治療した〔Gubner et al., Am. J. Med. Sci. 22:176, 1951; および Gubner, Arch. Derm., Chicago 64:688, 1951]。いくつかの患者は改善したが、多くの患者は、その薬物の中止を必要とした口内炎、嘔気、下痢および脱毛症を含む毒性反応を発現した。Gubnerは、「アミノプテリンの毒性作用は、治療剤としてのその使用において事実上の制限となる」と結論した[Gubner et al., Am. J. Med. Sci. 22:176, 1951]。
【0004】
1955年、Rees等は、以下を含む0.5mg錠剤を用いた5つの投与スケジュールで171人の乾癬患者を治療した:(i)1日1錠、6日間;(ii)1日1錠、6日間、1週間安静、そして、1日1錠、6日間;(iii)1日1錠、12日間(iv)1日2錠、6日間;(v)1日2錠、3日間、そして、1日1錠、6日間[Rees et al., AMA Arch. Derm. 72(2):133-43, Aug 1955]。乾癬障害の急速な除去が認められ、その際毒性反応は、スケジュール(i)、(ii)、(iii)および(iv)それぞれで、0%、2.5%、13%および30%の頻度で起こった。スケジュール(v)で処置された患者は、評価するには少なすぎた。毒性反応には、口内炎、脱毛症および白血球減少症が含まれた。上記スケジュールが終了したとき、乾癬の障害は、通常1週間以内に、必ず再発した。いくつかの患者には、上記スケジュールのコースが、コース間の休薬期間とともに、複数実施された。
【0005】
1958年、EdmundsonおよびGuyは、1日1錠6日間、3日間の中止、そして再び6日間毎日、計12回の投与で6mg、というものを含むスケジュールで患者を処置した[Edmundson and Guy, AMA Arch. Derm. 78(2):200-3, Aug 1958]。改善が認められ、寛解は典型的には数ヶ月続いた。
【0006】
1959年、ReesおよびBennettは、彼らの1955年の試験と同様のスケジュールを用いた329人の乾癬患者の治療を報告した[Rees and Bennett, J. Invest. Dermatol. 32(1):61-66, Jan 1959)。どのスケジュールが繰り返されたのかは開示されていないが、ある患者については、スケジュールのコースが3年毎に一度、毎3週繰り返された。毒性の全体としての発生率は21%であり、最も共通した毒性反応は、口内炎および病変の増大で、脱毛症、GI障害および白血球減少症が続いた。著者は、僅かな毒性反応の兆候で、処置が中止されるべきであることを記載した。
【0007】
1961年、ReesおよびBennettは、彼らの1955年の試験と同じスケジュールを用いて1日2.5mgのメトトレキサートの投与に対する1日0.5mgのアミノプテリンの投与の効果を比較した[Rees and Bennett, Arch. Dermatol. 83:970-72, Jun 1961]。1963年、Strakoshは、また、以下を含むスケジュールによる、1日2.5mgのメトトレキサートの投与に対する1日0.5mgのアミノプテリンの投与の効果を比較した:(i)1日1錠12日間、その後、1週間の休薬、そして望ましいと考えられる頻度で繰り返す;(ii)1日1錠3日間、その後、3日間の休薬期間、そして、全部で12錠まで繰り返し、そして1週間休薬し、望ましいと考えられる頻度で繰り返す;そして(iii)(i)および(ii)のいかなるバリエーション[Strakosch, Dermatologica 126:259-267, 1963]。両方とも、乾癬処置において、メトトレキサートはアミノプテリンよりも毒性が低く、且つ有効でないと結論づけた。しかしながら、メトトレキサートは、アミノプテリンと等しいポテンシャルであるために必要とされる量より4倍少なく使用されており、比較された用量は互いに等しいポテンシャルではなかった。したがって、現代の基準であれば、これらの抗葉酸剤の実際の相対的な有効性、毒性または治療係数に関して、結論され得ない。その後、Rees等は、反対のこと、つまり、乾癬治療において、メトトレキサートがアミノプテリンよりも、安全であり、有効であり得るということを示唆している[Rees et al., Arch. Dermatol. 90:544-52, Dec 1964]。
【0008】
1964年、Rees等は、乾癬処置におけるアミノプテリンの実施基準について文献を検討し、全ての既知の投与スケジュールを記載した[Rees et al., Arch. Dermatol. 90:544-52, Dec 1964]。全ての場合で、投与スケジュールは同様であり、有効性または毒性が観察されるまで1週間以上毎日錠剤を投与し、その時点で、あらゆる期間の休薬期間で投与が中断されることからなっていた。
【0009】
先行技術は、また、動物モデルでの炎症低減のためのアミノプテリンの使用についてのいくつかの報告を含む。1952年、Gubner等は、ラット、ホルムアルデヒド関節炎モデルでの1週間の累積投与量0.3mg/kgのアミノプテリンの効果を示した[Gubner et al., J. Invest. Dermatol. 19(4):297-305, Oct 1952]。1964年、Pageは、ウサギ皮膚炎モデルでの1週間の累積投与量0.35mg/kgのアミノプテリンの効果を示したが、その過程において、動物が重篤な白血球減少症となり、1個体が死亡した[Page, Ann. N.Y. Acad. Sci. 116:950-63, Aug 27, 1964]。1986年、Galivan等は、ラット、アジュバント関節炎モデルでの1週間の累積投与量0.12mg/kgのアミノプテリンの効果を示したが、動物は重篤な毒性を被った[Galivan, et al., Methotrexate in adjuvant arthritis, in Chemistry and Biology of Pteridines 1986. Pteridines and Folic Acid Derivatives, B.A. Cooper and V.M. Whitehead, Editors. 1986, Walter de Gruyter & Co.: Berlin. p. 847-49]。同様に、2000年、Andersson等は、ラット抗原惹起関節炎モデルでの1週間の累積投与量>1.5mg/kgのアミノプテリンの効果を示したが、動物は再び重篤な毒性を被った[Andersson, et al., Eur. J. Pharm. Sci. 9(4):333-43, 2000]。
【発明の開示】
【0010】
同時に毒性の出現を生じることなく、患者の便宜に予想できない利益を与える、治療有効量のアミノプテリンまたは医薬的に許容され得るその塩で患者の炎症性疾患を処置するための投与量および方法が、本明細書で記載される本発明で発見されている。特に、アミノプテリンが、抗炎症剤として中断されない投与サイクルで、そして、いくつかの実施態様においては、本分野で従前知られているより低い投与量で、使用されることができることが発見されている。
【0011】
本発明のある態様は、許容できない毒性の出現を生じることなく、アミノプテリンで炎症状態を処置する方法である。他の関連した実施態様は、気管支肺異形成症、イヌのアトピー性皮膚炎およびウシ急性肺パスツレラ症の抗葉酸剤および特にアミノプテリンによる処置方法である。他の関連した実施態様は、アミノプテリンによる炎症性腸疾患の治療方法である。
【0012】
さらに、アミノプテリンの投与は、以前の刊行物で記載されたよりも1錠当たり少ないアミノプテリンが含まれる投与形態で投与されることができることが発見されている。これらのより低い用量は、患者により低い用量の投与を可能にし、また、これらのより低い用量を特定の患者の体重により正確に合わせる能力を与える、0.5mg未満のアミノプテリンを含む錠剤の開発によって成し遂げられる。
【0013】
本発明のもう1つの態様は、1週間の用量5.25mgまたはそれ以下のアミノプテリンを用いる、ヒトのリウマチ性関節炎、乾癬性関節炎およびアトピー性皮膚炎の処置である。本発明の関連する実施態様は、1週間の累積用量2mg/kg未満のアミノプテリンを乾癬を有するヒトに投与する方法である。関連した実施態様は、1錠当たり0.5mg未満を含むアミノプテリンの投与形態である。本発明の上記で示された態様が、炎症性疾患を有する患者にとって大きな不都合であった、毒性および不規則なアミノプテリンの投与スケジュールを回避することは、本分野の者であれば、理解されることができる。本発明の他の態様は、1錠当たり0.5mg未満を含む錠剤であり、それにより、より低い用量の投与が可能となり、また、毒性回避のために、特定の患者の体重に低用量を合わせることを容易にする。
【0014】
また、さらに、抗葉酸剤および特にアミノプテリンは、国内の農業用動物で自然に起こる、気管支肺異形成症および炎症性疾患の処置に有効であり、そしてある実施態様においてはアミノプテリンの単回投与だけで有効であることを発見している。特に、本発明の実施態様は以下を提供する:
【0015】
中断しないサイクルで、治療有効量のアミノプテリン、またはその医薬的に許容され得る塩を患者に投与することを含む、該患者における炎症性疾患を処置する方法。好ましい実施態様では、中断されないサイクルの数は少なくとも24である。さらに他の好ましい実施態様では、中断されないサイクルの周期性は1週間であり、それぞれのサイクルの投与回数は2であり、そして、より好ましくは1である。いくつかの実施態様において、第2の薬剤が組み合わせ治療に使用される。葉酸は第2の薬剤として特に好ましい。
【0016】
典型的には、それぞれのサイクルは、患者体重キログラム当たり0.07mgのアミノプテリン未満からなり、それは、5錠未満で投与され得る。毒性の出現のない最適な投与は、それぞれ0.5mg未満を含む1またはそれ以上の錠剤を利用する特に好ましい実施態様でなされる。
【0017】
他の実施態様において、単回投与の治療有効量の抗葉酸剤、またはそれらの医薬的に許容され得る塩を患者に投与することを含む、該患者の炎症性疾患を処置する方法を提供する。好ましい実施態様において、該葉酸剤はアミノプテリンである。単回投与の抗葉酸剤で処置され得る好ましい炎症性疾患には、ヒト気管支肺異形成症、イヌのアトピー性皮膚炎およびウシ急性肺パスツレラ症を含む。イヌのアトピー性皮膚炎は、獣医師によって認められる最も一般的な症状の1つであり、ウシ急性肺パスツレラ症は、また輸送されるウシの「輸送熱」としても知られ、ウシ業界で1年当たり10億ドルの費用がかかる(Malazdrewich, et al. Vet. Pathol. 38:297, 2001)。輸送熱では、感染した動物を最小回数の薬物投与により処置できることは、重要な経済的有利性を有する。
【0018】
他の実施態様において、治療有効量のアミノプテリンまたはその医薬的に許容され得る塩を患者に投与することを含む、該患者における炎症性疾患を処置する方法を提供し、ここで、1週間当たり投与されるアミノプテリンの治療有効量は、患者体重のキログラム当たり0.07mg未満のアミノプテリンである。この方法において、アミノプテリンは、1またはそれ以上の錠剤で好ましくは投与され、ここで、少なくとも1個の錠剤は、0.5mg未満のアミノプテリンを含む。
【0019】
他の実施態様において、治療有効量のアミノプテリンまたはその医薬的に許容され得る塩を患者に投与することを含む、該患者における炎症性疾患を処置する方法を提供し、ここで、該炎症性疾患はメトトレキサートを用いるよりもより早く処置される。処置の速度は、ACR20、ACR50、ACR70、ACR―N、JRA30%DOI、JRA50%DOI、JRA70%DOI、PASI、肺(plumonary)機能試験、酸素飽和、損傷スコアおよび掻痒(pruritis)スコアからなる群から選択される疾患出現スコア付けシステムによって、定量化される。他の実施態様では、処置速度は作用−時間曲線下の面積により定量化される。
【0020】
他の実施態様では、治療有効量のアミノプテリン、またはその医薬的に許容され得る塩を含む医薬組成物が提供され、ここで、該医薬組成物は、0.5mg未満のアミノプテリンを含む。医薬組成物は好ましくは錠剤であり、ある実施態様では、0.1mgまたは0.2mgの錠剤である。特に好ましい実施態様では、活性な医薬成分は、実質的に不純物を含まない。
【0021】
本発明のこれらおよび他の態様は、詳細な記載、そして本発明の非制限的な実施態様を例示することを意図する例示的な実施例を参照することで明らかになる。本願明細書において、開示されるすべての参照は、それぞれが個々に組み込まれているかのように、それらの全部において、本願明細書に引用したものとする。
【0022】
図面の簡単な説明
図1は、マウス空気嚢(air-pouch)炎症モデルにおけるアミノプテリンおよびメトトレキサートの用量反応プロットである。
図2は、ヒト炎症モデルであるマウス空気嚢モデルでの、それぞれの薬物の最終投与後の日数における、アミノプテリンおよびメトトレキサートの効果を示すプロットである。
図3は、ヒト気管支肺異形成症のモデルである、マウス酸素−毒性モデルでの、アミノプテリンおよびメトトレキサートの相対的な効果を示すプロットである。
【0023】
用語集
詳細に本発明を説明する前に、本明細書で使われる特定の用語の定義を説明することは、その理解に役立ち得る。
【0024】
本明細書で使用される用語「活性な医薬成分」は、1またはそれ以上の有機合成工程より生じる抗葉酸剤および不純物の混合物を意味する。有機合成工程は、1つ以上の化学物質を1つ以上の新規な化学物質に、部分的に、または完全に変換することを含み、通常、一つ以上の新規な化学物質を濃縮するための、少なくとも1つ以上の精製工程も伴う。1またはそれ以上の精製工程は、例えば、結晶化、抽出およびクロマトグラフィー等の当業者に知られている方法からなることができる。望ましくは、精製工程は必要とされず、または、好ましくは、1またはそれ以上の精製工程が単一の新規な化学物質を濃縮することができる。例えば、アミノプテリンを含む活性医薬成分は、ジメチルアセトアミド中で、2,4−ジアミノ−6−(ブロモメチル)プテリジンおよびN−(4−アミノベンゾイル)−L−グルタミン酸をアミノプテリンといくつかの不純物に変換することによって作成され、ここで、該不純物は、少なくとも葉酸および変換されていない2,4−ジアミノ−6−(ブロモメチル)プテリジンおよびN−(4−アミノベンゾイル)−L−グルタミン酸を含む。
【0025】
本明細書で使用される用語「アミノプテリン純度」は、活性な医薬成分または医薬組成物における、抗葉酸剤の割合を意味し、ここで、抗葉酸剤はアミノプテリンである(用語集「不純物」の定義参照)。
【0026】
本明細書で使用される用語「抗葉酸剤」は、無細胞生化学系または細胞培養、組織培養、白血病、癌、哺乳類およびヒトで見出される細胞において、葉酸(葉酸塩)および/または葉酸の代謝物の正常な代謝または利用を阻害する分子および/またはその分子の代謝物を意味する。例えば、アミノプテリンおよびメトトレキサートと同様に、それらのポリグルタミン酸化された代謝物も抗葉酸剤である。典型的には、抗葉酸剤および/または抗葉酸剤の代謝物は、例えば、還元された葉酸レセプター、葉酸レセプター、ホリルポリグルタミン酸シンターゼ、ジヒドロ葉酸レダクターゼ、チミジル酸シンターゼ、メチレン−テトラヒドロ葉酸レダクターゼ、アミド・ホスホリボシルトランスフェラーゼ、グリシンアミド・リボヌクレオチド・トランスホルミラーゼ、アミノイミダゾールカルボキサミド・リボヌクレオチド・トランスホルミラーゼおよびホモシステイン・メチルトランスホルミラーゼを含む一つ以上の酵素またはレセプターにそれらが結合することを遮断することにより、葉酸および/または葉酸の代謝物の正常な代謝または利用を阻害することができる。抗葉酸剤および/または抗葉酸剤の代謝物が阻害できる葉酸代謝物の例には、5−メチル−テトラヒドロ葉酸−(glu)
n、5,10−メチレン−テトラヒドロ葉酸−(glu)
n、テトラヒドロ葉酸−(glu)
n、N−5−ホルムアミノ(fomamino)−テトラヒドロ葉酸−(glu)
n、5,10−メテニル(methenyl)−テトラヒドロ葉酸−(glu)
n、10−ホルミル−テトラヒドロ葉酸−(glu)
nおよび5−ホルミル−テトラヒドロ葉酸−(glu)
nを含むが、これに限定されるものではない(ここで、−(glu)
nは代謝物に結合したグルタミン酸を言い、nは結合したグルタミン酸の数である。n=1のときは、オリジナルな葉酸分子で認められているのを超えて、グルタミン酸がこれら葉酸代謝物に結合されていない。nが1より大きいとき、これら葉酸代謝物は、ポリグルタミン酸であると考えられる(以下、用語集参照))。
【0027】
本明細書で使用される用語「AUC」は、Shargel and Yu, Applied Biopharmaceutics and Pharmacokinetics, 4
th Edition, 1999, Appleton & Lange, Stamford, CT(引用により本明細書に組み込まれる)でより十分に記載されているように、薬剤の単回投与で、血漿濃度−時間曲線下の面積を意味する。AUCは、血漿に到達する薬剤の量に比例する。
【0028】
本明細書で使用される用語「混合治療」は、患者における炎症疾患を最も効果的に処置するために、高度に最適化された計画を付与することを目的とした治療プロトコールにしたがった2またはそれ以上の治療の使用を言う。
【0029】
本明細書で使用される用語「疾患の顕在化」は、炎症性疾患のいずれかの望ましくない結果を言う。とりわけ疾患の顕在化には、限定はされないが、昏睡、関節痛、関節炎、関節の損傷、関節滑液中の炎症性細胞および乾癬の皮膚病変を含む。疾患の顕在化は、当分野において、良く知られたスコア付けのシステム(例えば、リウマチ性関節炎におけるACR20、ACR50、ACR70またはACR―N(Felson et al., Arthritis Rheum. 38:727, 1995; Bathon et al., N. Engl. J. Med. 343:1586, 2000; および William St. Clair et al., Arthritis Rheum. 50(11):3432-3443, 2004);若年性関節リウマチにおけるRA30%DOI、JRA50%DOIおよびJRA70%DOI(Giannini et al., Arthritis Rheum. 40(7):1202-1209, 1997; および Lovell et al., Arthritis Rheum. 48(1):218, 2003);乾癬におけるPASI(乾癬活性および重篤度指標)スコア(Finlay et al., Br. J. Dermatol. 123:751, 1990);気管支肺異形成症における肺機能試験および酸素飽和;そして、犬のアトピー性皮膚炎の損傷および掻痒症スコア(Olivry and Mueller, Veterinary Dermatol. 14:121-146, 2004))を用いて、しばしば定量化される。炎症性疾患を有する患者の他の疾患の顕在化の定量化方法は、当業者に良く知られている。
【0030】
本明細書で使用される用語「効果」は、抗葉酸剤が治療的に有効であることを意味する。一般に、より高いレベルの有効性は、集団のより多くの割合が利益を受け、そして/または個々の患者においてもより多くの利益があるように、集団に与えられる抗葉酸剤の投与用量および/または頻度を増加させることによって成し遂げられ得る。第1の抗葉酸剤が第2の抗葉酸剤より強力であれば、それぞれの同一量を用いれば、第2の抗葉酸剤よりもより高いレベルの有効性を達成し得る。
【0031】
本明細書で使用される用語「不純物」は、活性な医薬成分で認められる不純物を言う。不純物は、活性な医薬成分の製造に用いられる有機合成工程の間に発生し、アミノプテリンの場合、例えば、葉酸、プテリン類およびp−アミノ安息香酸(すなわちpABAglu)の結合物(conjugate)を含む。不純物は、有機合成段階の間の不完全な化学物質の変換の結果、または、化学物質が意図されてない新しい化学物質に変換される1またはそれ以上の副反応の結果であり得る。本明細書で定義されるように、医薬組成物中の医薬的に許容され得る担体および任意の治療成分は、不純物を構成しない。医薬組成物中の不純物は、医薬組成物を製造するときに用いられる活性な医薬成分中の不純物のみに関係する。不純物は、分子を定量するに好適な測定可能な性質を使用して定量化される。かかる測定可能な性質は、当業者に知られており、例えば、HPLCのピーク面積(つまり「面積」)、質量およびモルを含む。不純物は、典型的には、それらの面積に基づいて、簡便に定量化されるが、また、たとえば、集められたHPLC画分のUV吸収およびそれぞれの不純物の既知の減衰係数および分子量を用いて、それらの重量またはモルにより定量化され得る。不純物の分子量が知られてないときは、マススペクトロメトリーが使用され得る。活性な医薬成分または医薬組成物中の不純物の割合は、不純物の量を、不純物と抗葉酸剤の総量で割って100を乗じたものであり、ここで、全ての不純物と抗葉酸剤は同じ測定可能な性質を用いて定量化される。例えば、活性な医薬成分または医薬組成物中の不純物の割合は、面積%、重量%またはモル%として表現される。特定の例において、不純物が活性な医薬成分の0.1マイクロモルを構成し、活性な医薬成分中のアミノプテリンと全不純物が一緒になって1マイクロモルを構成するとき、活性な医薬成分中の不純物の割合は、10モル%である。他の例では、不純物が医薬組成物の0.25面積単位であり、全不純物と抗葉酸剤が一緒になって医薬組成物の1.0面積単位であるとき、医薬組成物中(または活性な医薬成分)中の不純物の割合は25面積%である。さらなる例において、不純物が2mgの活性な医薬成分を含む医薬組成物の0.04mgであるとき、医薬組成物中の不純物の割合は、2重量%である。不純物全体の割合は、活性な医薬成分または医薬組成物中の個々の不純物の全ての割合を足し算することにより得られ、ここで、全ての不純物は、同じ測定可能な性質を使用して定量化される。活性な医薬成分または医薬組成物中の抗葉酸剤の割合は、抗葉酸剤の量を不純物と抗葉酸剤の量の合計で割り算して100を乗じたものであり、ここで、全ての不純物および抗葉酸剤は、同じ測定可能な性質を用いて定量化される。したがって、活性な医薬成分または医薬組成物中の全不純物の割合は、代わりに100%から抗葉酸剤の割合を引き算することによって得られることができる。
【0032】
本明細書で使用される用語「経口バイオアベイラビリティ」は、患者への単回投与の後の、血漿中へ吸収された経口的に与えられた抗葉酸剤の割合を言う。経口バイオアベイラビリティを測定する好ましい方法は、経口で与えられた抗葉酸剤のAUCを同じ患者に静脈内に与えられた同じ抗葉酸剤のAUCで割り算し、そして割合をパーセントとして表すことによる。他の経口バイオアベイラビリティの計算方法は、当業者に知られており、引用により明細書に組み込まれる、Shargel and Yu, Applied Biopharmaceutics and Pharmacokinetics, 4th Edition, 1999, Appleton & Lange, Stamford, CTに、より詳しく記載されている。
【0033】
用語「患者」は、動物または人間である。
【0034】
本明細書で使用される用語「医薬組成物」は、1またはそれ以上の医薬的に許容され得る担体および場合によっては他の治療成分と組み合わされた活性な医薬成分を意味する。好適な医薬的に許容され得る担体は、当業者に知られており、例えば、微結晶性セルロース、ラクトース、シリコン・ジオキシド、クロスカルメロース、ナトリウム・ベンゾアート、ソルビトール、ステアリン酸マグネシウムおよび香味料を含む。活性な医薬成分は、典型的には、全体の医薬組成物の小さい割合のみを構成する。例えば、「2mgアミノプテリン錠剤」は約100mgの重量の医薬組成物であり、約98グラムの医薬的に許容され得る担体と約2mgの活性な医薬成分を含む。2mgの活性な医薬成分は、ほとんどはアミノプテリン、僅かの不純物からなる(用語集の定義「不純物」および「活性な医薬成分」を参照)。この医薬組成物が、「実質的に不純物がないと言われるとき、僅かな不純物は、例えば、活性な医薬成分の5面積%未満、5重量%未満、または5モル%未満である(用語集定義「実質的に不純物がない」参照)。
【0035】
本明細書で使用される用語「ポリグルタミン酸」は、2またはそれ以上のグルタミン酸を結合した葉酸および抗葉酸剤を言う。酵素、葉酸ポリグルタミン酸シンターゼは、元々葉酸代謝物およびいくつかの抗葉酸剤上にあるグルタミン酸を超えて、葉酸代謝物およびいくつかの抗葉酸剤にさらなるグルタミン酸を付加し、ポリグルタミン酸の鎖を形成する。アミノプテリンおよびメトトレキサートのポリグルタミン酸の例には、アミノプテリン−(glu)
nおよびメトトレキサート−(glu)
nを含み、ここで、−(glu)
nは抗葉酸剤に取り付けられるグルタミン酸、そして、nは取付けられたグルタミン酸の数である。n=1とき、グルタミン酸は元々の抗葉酸剤分子中にあるものを越えて加えられていない。nが1より大きいとき、これらの抗葉酸剤は、ポリグルタミン酸塩であり、よって、ポリグルタミン酸鎖を有すると考えられる。ポリグルタミン酸鎖は長さを有すると言われ、ここで、第1のポリグルタミン酸鎖のnが第2のポリグルタミン酸鎖のnより大きい場合、第1のポリグルタミン酸鎖が第2のポリグルタミン酸鎖より長さが長いと言われる。ポリグルタミン酸鎖を有する葉酸および抗葉酸剤は、しばしば、ポリグルタミン酸化された種(species)またはポリグルタミン酸塩と言われる。異なる長さを有するポリグルタミン酸鎖の混合物は、ポリグルタミン酸鎖の長さ(複数)を含むと言われる。アミノプテリンおよびメトトレキサートは共に、2から約5のnを有するポリグルタミン酸塩に代謝され、より詳しくは、引用をもって本明細書に組み込まれるGangjee et al., Curr. Med. Chem. Anti-Canc. Agents. 2(3):331, 2002に記載されている。
【0036】
本明細書で使用される用語「能力(potency)」は、特定のレベルの薬効を達成する用量の効果を意味する。用量は、それぞれの投与で与えられる薬剤の量(つまり投与量)、投与頻度、そして、場合によっては、与えられる投与の全回数を考慮に入れる。用量の有効性は、決められた投与期間に投与される薬剤の累積量(つまり、「投薬速度(dose rate)」)によって定量化されることができ、そしてその結果、特定レベルの薬効となる(ここで、有効性および能力は、投薬速度に逆相関する)。第2の薬剤よりも有効性またはポテンシーが大きい第1の薬剤は、第2の薬剤より、より能力があると言われる。例えば、第2の抗葉酸剤よりも第1の抗葉酸剤の方が低い投薬速度で用いられ、両者が同じレベルの薬効を達成するとき、第1の抗葉酸剤は第2の抗葉酸剤よりも能力がある。より特定の例では、第1の抗葉酸剤が第2の抗葉酸剤よりも低い用量であることを除いて同一の投与法を用い、両者が同じレベルの薬効を達成するとき、第1の抗葉酸剤は第2の抗葉酸剤よりも能力がある。更なる例では、第1の抗葉酸剤の投与頻度が第2の抗葉酸剤の投与頻度に比較して少ないことを除いて同一の投与法を用い、両者が同じレベルの薬効を達成するとき、第1の抗葉酸剤は第2の抗葉酸剤よりも能力がある。2つの抗葉酸剤は異なる能力を有することができ、したがって、異なる治療有効量で同じレベルの薬効を達成する。例えば、アミノプテリンはメトトレキサートに比較し約25倍能力があり、したがって、薬効レベルに必要なアミノプテリンの治療有効量は、同じレベルの薬効に必要なメトトレキサートの治療有効量に比較して約25倍少ない。概して同じレベルの薬効を導く2つの抗葉酸剤の治療有効量(つまり、投与量として、または単回用量として)は、本明細書では同能力(equi-potent)と言う。例えば、2mg/m
2のアミノプテリン2回の経口用量は、25mg/m
2のメトトレキサート4回の経口用量とほぼ同能力である。
【0037】
本明細書で使用される用語「実質的に不純物がない」は、活性な医薬成分または医薬組成物における全不純物の割合が5%未満であることを言う(「不純物」の定義を参照)。例えば、医薬組成物または活性な医薬成分は、全不純物の割合が5面積%、5重量%または5モル%未満のとき、実質的に不純物がないと言われる。本明細書で用いられているように、「実質的に不純物がない」は、また、活性な医薬成分または医薬組成物中の抗葉酸剤の割合が、95%またはそれ以上であることを意味する(「不純物」の定義を参照)。例えば、抗葉酸剤の割合が95%またはそれ以上の面積%、重量%またはモル%である医薬組成物は、実質的に不純物がないと言われる。より特定の例では、アミノプテリンの純度が95またはそれ以上の面積%、重量%またはモル%である医薬組成物または活性な医薬成分は、実質的に不純物がないと言われる。
【0038】
本明細書で使用される用語「治療成分(therapeutic component)」は、集団の一定の割合において、特定の疾患の顕在化の亢進を排除し、低減しまたは予防する治療有効量(つまり、投与の量および頻度)を言う。共通して使用される治療成分の例は、ED
50であり、集団の50%において特定の疾患の顕在化に対し、治療的に有効な特定の製剤中の用量を言う。
【0039】
本明細書で使用される用語「治療係数」は、特定の治療成分(つまり、ある割合の集団において有効である用量、例えばED
50)に対する特定の毒性成分(つまり、ある割合の集団において毒性である用量、例えばLD
50)割合を言う。アミノプテリンのような抗葉酸剤の治療係数の決定は、本発明によって処置される炎症性疾患を有する集団における全ての患者に対して決定されることを必要とされないことは、当業者によって理解される。炎症性疾患を有する患者集団の全体に対する治療係数を確立するために、代表的な数のその炎症疾患を有する患者を用いることは十分であり、ここで、炎症性疾患を有する少なくとも5人の患者が、その炎症性疾患を有する患者の集団の全体の治療係数を確立するために必要とされ得る。
【0040】
本明細書で使用される用語「治療プロトコル」は、混合治療で使用される2またはそれ以上の薬剤に対する投与の用量、経路のスケジュールおよびスケジュール期間を言う。スケジュールは、さらに分割され、特定の相、それぞれの特定された期間に分割される。NSAIDsおよび他のあらゆる低分子または生物学的DMARDSを、連続してか、または、共に処置することを伴う、現代のリウマチ性関節炎の相は、治療プロトコルの特定の相を構成する。それぞれの相の間、与えられる薬剤のタイプ、それらの投与、および投与経路は、一般に、全ての患者に対して明らかであるか、または、実験室またはイメージング試験のような他の疾患因子に基づいて修飾され得る。
【0041】
本明細書で使用される用語「治療有効量」は、炎症性疾患、例えば、原因のはっきりしない関節炎、リウマチ性関節炎、若年性リウマチ性関節炎、アトピー性皮膚炎、気管支肺異形成症、炎症性腸疾患、乾癬性関節炎および乾癬に罹患しているヒトまたは他の哺乳類において、または、例えば、イヌのアトピー性皮膚炎またはウシ急性肺パスツレラ症を有する動物において、直接的にまたは間接的に、炎症細胞を死滅させ、炎症細胞の蓄積を抑える、または炎症細胞の蓄積を減少させる抗葉酸剤の用量(用量または量、および頻度)を意味する。本明細書で使用されるその用語は、また、抗葉酸剤の量が、炎症性疾患に伴う病的な炎症の程度を抑え、低減させ、または取り除くように、ヒトまたは哺乳類の炎症性疾患に関わる炎症性および/または非炎症性の細胞により分泌される分子の活性を直接的に、または間接的に、減少させまたは増加させる抗葉酸剤の用量を意味する。典型的には、治療有効量は、また、1またはそれ以上の疾患の顕在化を除去し、減少させ、または予防する。当業者は、多くの場合、抗葉酸剤は治癒を与えないかもしれないが、部分的な利点のみを与え得ることを、容易に認識する。さらに、当業者は、個々の患者および病気の状態が変化し得るので、ある患者は、ほとんどまたは全く利益を受けないであろうことを認識する。少なくともいくつかの患者において、上記に記載のように、死滅させ、抑制し、減少させまたは取り除く、抗葉酸剤の用量は、治療的に有効と考えられる。炎症性疾患の急性または慢性の管理におけるアミノプテリンの治療有効量の用量範囲は、処置される炎症性疾患の重篤度および投与経路により変化し得る。アミノプテリンの用量および投与速度は、例えば、患者の体重および算出された表面面積、使用される特定の医薬組成物、処置の目的、例えば、治療または予防、処置される疾患の性質、処置する医師の判断、および個々の患者の反応性等の、様々な因子に依存し得る。一般的に、アミノプテリンの治療有効量は、単回または分割して与えられる、0.001-0.07 mg/kg、0.005-0.03 mg/kgであり、そして最も好ましくは、0.010-0.03 mg/kgである。患者は、低量から疾患の顕在化を十分コントロールする投薬量まで、漸増され得る。一度、患者の症状に改善が生じたら、必要であれば、本発明の組成物の維持用量が投与される。続いて、投与速度を、症状に応じて投与量または頻度を減らすことにより、またはその両方の組み合わせによって、減らすことができる。症状が所望のレベルまで緩解したとき、医師は処置を中止することを選択し得る。しかしながら、患者は、疾患症状のいずれかの再発に応じて間欠的な処置を、または必要であれば、予防的にスケジュールされた処置を必要とし得る。場合によっては、アミノプテリンの治療有効量は、少なくとも1回のロイコボリンまたは葉酸の治療的に有効な用量の前に、同時に、または後に投与され得る。
【0042】
本明細書で使用される用語「毒性成分(toxicity component)」は、集団の一定の割合において毒性の顕在化を生ずるのに必要な用量(つまり、投与の用量および頻度)を言う。共通して用いられる毒性成分の例はTD
50であり、これは、集団の50%において毒性の出現を生ずるのに必要な特定の投薬における用量を言う。一般的に、同じ毒性成分を生じるに必要な用量と頻度の間には逆相関関係があり、少量を高頻度で与えられる抗葉酸剤は、多量を低頻度で与えられる抗葉酸剤と同じ毒性成分を生じ得る。
【0043】
本明細書で使用される用語「毒性の出現」は、薬剤のいずれかの望まれない効果を言う。一定の集団において毒性の出現を生ずるとき、薬剤は毒性である、または毒性を有すると言われる。抗葉酸剤については、とりわけ毒性の出現は、粘膜炎、脱毛症、下痢、骨髄抑制、腎毒性、肝毒性、高度の肝毒性、神経毒性および死を含むが、これに限定されない。毒性の出現は、また、血小板減少症(例えば<50,000/μL)、好中球減少症(例えば<750/μL)、高い肝臓酵素(例えば>正常の5倍)、赤血球抗葉酸剤(例えばeAMTおよびeMTX)、更なる薬剤処置に耐えることができない、または治療を継続できないことによる入院の増加が原因で、患者が治療を中止する必要があること等の間接的な毒性の表示を含む。したがって、医師は特定の毒性の存在およびその規模を評価することができる。抗葉酸剤による毒性の出現の全てではないが、ほとんどの場合、本分野で抗葉酸剤毒性を救助することが良く知られている、還元された葉酸である、ロイコボリンの、事前、同時または事後投与によって、回復させることができる。
【0044】
発明の詳細な説明
本発明の実施態様は、炎症性疾患を有する患者を治療有効量のアミノプテリンまたは医薬的に許容可能なその塩で処置する投薬および方法を提供し、これは、患者の都合に予想外の利益を与え、また、同時に毒性を伴わずに効果を得る。炎症性疾患はヒトに起こり得、例えば、原因のはっきりしない関節炎、リウマチ性関節炎、乾癬性関節炎、若年性リウマチ性関節炎、乾癬、炎症性腸疾患、アトピー性皮膚炎、気管支肺異形成症を含み得る。動物の炎症性疾患は動物に起こり得、例えば、関節炎、イヌのアトピー性皮膚炎およびウシ急性肺パスツレラ症を含み得る。
【0045】
ある実施態様の中では、本発明は、アミノプテリンの中断なしの投与サイクルで、患者の炎症性疾患を処置する方法を提供し、ここで、用量は治療有効量である。中断なしは、アミノプテリンの投与が、少なくとも4サイクル、12サイクル、24サイクル、そして最も好ましくは52サイクル以上で、患者に反復して投与されることを意味し、ここで、サイクルの
周期は一定であり、そして、1つのサイクルの最後の投薬と次のサイクルの最初の投薬の間の最長期間が、21日、14日、そして最も好ましくは7日を超えない。この定義において、「サイクルの
周期が一定である」は、連続したサイクルの対応する投薬の間の期間が、12時間の範囲で一定であることを意味する。例えば、
周期が7日間(つまり168時間)であることを表示するとき、本発明によれば、
「サイクルの
周期が一定である
」という表現は、連続したサイクルにおける対応する投薬の間の期間が162から174時間の範囲であり得る。さらに、この定義において、各サイクルのアミノプテリンの投薬の数は、1〜5の範囲であることができ、それぞれの個々の投薬は、1または複数の個々の投薬形態の服用を含み得る。
【0046】
したがって、好ましい実施態様において、アミノプテリンの1用量が、患者に7日毎、少なくとも4サイクル、そして最も好ましくは、少なくとも52サイクル(つまり、1年)投与される。この場合、サイクル当たりの投薬数は、単回投与のみであり、
周期は7日であり、そして、1つのサイクルの最終投与と次のサイクルの最初の投与の間の最長期間は6日である。他の好ましい実施態様において、アミノプテリンの1用量が、月曜日に、そして、1用量が火曜日に、少なくとも52サイクルで投与される。この場合、サイクル当たりの投薬数は2であり、
周期は7日間であり、1つのサイクルの最終投与と次のサイクルの最初の投与の間の最長期間は5日である(つまり、水曜日から日曜日)。更なる他の好ましい実施態様において、アミノプテリンの用量が、週の特定の日の午前中ともう1回は夜に投与され、それぞれの投薬で2錠が服用される、そして、このサイクルは少なくとも52サイクル繰り返される。この場合、サイクル当たりの投与数は2であり、それぞれの投薬は2投薬形態の服用を含み、
周期は7日間であり、1つのサイクルの最終投与と次のサイクルの最初の投与の間の最長期間は6日である(つまり、週の投薬される日間の日数)。他のスケジュールが本発明の実施態様に入ることは理解され得る。例えば、ある実施態様において、アミノプテリンの1用量が月曜日に、そして、1用量が水曜日に、少なくとも52サイクル投与される。この場合、サイクル当たりの投与数は2であり、
周期は7日間であり、1つのサイクルの最終投与と次のサイクルの最初の投与の間の最長期間は4日である(つまり、木曜日から日曜日)。最も好ましい実施態様において、
周期は週である(つまり7日間)。
【0047】
他の実施態様において、治療有効量のアミノプテリンの単回サイクルを投与することを含む、患者における炎症性疾患を処置する方法を提供する。最も好ましくは、ヒトにおける気管支肺異形成症およびウシにおける肺パスツレラ症が、アミノプテリンの単回サイクルで効果的に処置され、ここで、サイクル中の投与数は1である。
【0048】
他の実施態様において、治療有効量のアミノプテリンの1またはそれ以上の用量を患者に与えることにより、メトトレキサートで処置されるよりも早く、患者の炎症性疾患を処置するための方法を与える。とりわけ、治療有効量のアミノプテリンは、治療有効量のメトトレキサートよりも早く、患者における1またはそれ以上の疾患の顕在化を排除し、低減させ、または抑制することができる。ある実施態様においては、メトトレキサートよりもアミンプテリンに方が、特定の効果に達する速度がより早く達成されるが、達成される効果の最終的な最大のレベルは、同じかまたは異なることが理解され得る。好ましい実施態様において、達成される効果の最終レベルはメトトレキサートよりもアミノプテリンで大きく、加えて、アミノプテリンによりこのレベルはより早く到達される。速度は、病気活性のいずれかの定量的なエンドポイントを用いることにより測定されることができる(用語集中の、「疾患の顕在化」および「治療有効量」を参照)。好ましい実施態様において、速度は、以下のいずれかのスコア付けシステム:ACR20、ACR50、ACR70、ACR-N、JRA30%DOI、JRA50%DOI、JRA70%DOI、PASI、肺機能試験、酸素飽和、損傷スコアおよび掻痒症スコアを測定することにより、時間に応じて定量化される。他の好ましい実施態様において、速度は、「作用−時間曲線」下の面積の増加を記録することにより定量化され、ここで、曲線は、時間の関数として、スコア付けシステムの出力パラメーターをプロットすることにより成し遂げられる(このアプローチの例として、例えば、Bathon et al., N. Engl. J. Med. 343:1586, 2000を参照)。作用−時間曲線下の面積は、用語集中で定義された、薬剤の単回投与に対する血漿濃度−時間曲線下の面積である「AUC」と混同されるべきではない。
【0049】
更なる実施態様において、毎週の投与は、0.001-0.07mg/kg、0.005-0.03mg/kg、そして最も好ましくは0.010-0.03mg/kgの範囲のアミノプテリンの蓄積用量を含む。典型的な60kgの成人では、したがって、毎週の投与は、0.06-4mg、0.3-1.8mg、そして最も好ましくは0.6-1.8mgの範囲のアミノプテリンの蓄積用量を含む。他の好ましい実施態様において、投与形態は、0.1mg、0.2mg、0.5mgまたは1.0mgの錠剤であり、毎週の投与は、1〜3錠、それらの組み合わせの経口服用を含む。上記アミノプテリンの週に蓄積される用量は、特定時刻での単回投与、または単一日内または複数日に渡る複数回投与で与えられることができる。本発明の方法を用いて、アミノプテリンは毒性の出現なしで、そして最も好ましい実施態様では中断なしで、炎症性疾患を有する患者に与えられることができることが発見された。
【0050】
本発明の実施態様は、少なくとも1つの他の治療を必要とする治療プロトコルによって、治療有効量のアミノプテリン、またはその医薬的に許容され得る塩の投与を含む混合治療を用いて、患者における炎症性疾患を処置する方法を提供する。少なくとも1つの他の治療は、アミノプテリンの投与の前、それと同時に、またはその後に投与されることができる。少なくとも1つの治療は、また、アミノプテリンおよび少なくとも1つの他の治療を含む単回投与形態、アミノプテリンおよび少なくとも1つの他の治療が、分けられているが同時に投与される複数の投与形態、または、2つの成分が別々に、しかし連続的に投与される複数投与形態を含む。少なくとも1つの他の治療は、例えば、葉酸、ロイコボリン、デキストロメトルファン、メマンチン、プレドニソン、COX−2阻害剤、非ステロイド性抗炎症薬、ビンクリスチン、デキサメサゾン、アスパラギナーゼ、ダウノルビシン、メルカプトプリン、エトポシド、シタラビン、ドキソルビシン、シスプラチン、イホスファミド、パクリタキセル、5−フルオロウラシル、ジアニドロガラシトール(dianydrogalacitol)、タモキシフェン、ピペラジンディオン、ミトキサントロン、ジアジクオン、アミノチアジアゾール(aminothiadiazole)、メトトレキサート、テノポシド、ビンクリスチン、エキノマイシン、6−メルカプトプリン、デキサメサゾン、シクロフォスファミド、可溶性TNF受容体、抗体およびヒト化抗体であり得る。
【0051】
好ましい実施態様において、0.001-0.066mg/kg、0.005-0.03mg/kg、そして最も好ましくは0.010-0.03mg/kgのアミノプテリンの用量が、混合治療の間で採用される治療プロトコルにおける使用に適する。いくつかの実施態様において、アミノプテリンは、メトトレキサートを採用している治療プロトコルにおいて、そのプロトコルにおいてメトトレキサートの用量の約4−8%でアミノプテリンを投与することにより、直接的にメトトレキサートの代わりとなることができる。この代用は、患者により顕著に少量の錠剤が服用されることで、メトトレキサートと少なくとも同じレベルの効力および治療係数を生じる。
【0052】
ある実施態様において、週に7−25mgのメトトレキサートの単回投与に代えて、週に0.5−2mgのアミノプテリンを経口単回投与することにより、他の非ステロイド性抗炎症薬を使用している治療プロトコルでの、成人のリウマチ性関節炎の治療において、アミノプテリンはメトトレキサートの代わりとなる。他の実施態様では、週に7−25mg/m
2のメトトレキサートの単回投与に代えて、週に0.5−2mg/m
2のアミノプテリンを経口単回投与することにより、他の非ステロイド性抗炎症薬を使用している治療プロトコルでの、若年性のリウマチ性関節炎の治療において、アミノプテリンはメトトレキサートの代わりとなる。さらに他の実施態様では、週に15−25mgのメトトレキサートの単回投与に代えて、週に1−4mgのアミノプテリンを経口単回投与すること、または週に7−13mgのメトトレキサートの2回投与に代えて、週に1−2mgのアミノプテリンを2回経口投与することにより、成人の乾癬が治療プロトコルにおいて処置される。
【0053】
本発明の実施態様は、さらに、活性な医薬成分中の抗葉酸剤が治療有効量のアミノプテリンまたはその医薬的に許容され得る塩である、実質的に不純物のない活性な医薬成分えおヒトに投与することを含む、ヒトにおける炎症性疾患を処置する方法を提供する。いくつかの実施態様において、不純物は、例えば、葉酸、プテリン類、およびp-アミノ安息香酸の結合物を含む。好ましい実施態様において、活性な医薬成分におけるアミノプテリンの純度は、95面積%と同等かそれ以上、95重量%と同等かそれ以上、または95モル%と同等かそれ以上である(用語集中の「アミノプテリン純度」を参照)。他の実施態様において、活性な医薬成分は、5面積%未満、5重量%未満、または5モル%未満の不純物を有し、そして、より好ましくは、3面積%未満、3重量%未満、または3モル%未満の不純物を有する。好ましい実施態様において、0.03mg/m
2から約2mg/m
2、または0.001-0.066mg/kgのアミノプテリンの用量を含む活性な医薬成分を投与することは、治療有効量のアミノプテリンを提供することができるし、実質的に不純物がない。
【0054】
実質的に不純物がなく、アミノプテリンを含む活性内約成分の化学合成は、いくつかの異なる一連の有機合成段階によって実行されることができる。実施例を含む以下の開示および化学合成分野における当業者に知られている情報を参考にして、人または当業者は、実質的に不純物がなく、アミノプテリンを含む活性な医薬成分を製造することができることは理解される。例えば、容易に入手可能な初発物質から始めて、スキーム1により、実質的に不純物がなく、アミノプテリンを含む活性な医薬成分を製造することができる。
【化1】
【0055】
上記に示されるように、商業的に入手可能な2,4,5,6-テトラアミノピリミジン、化合物1をβ−ブロモピルバルドキシム(bromopyruvaldoxime)と凝縮し、2,4-ジアミノ-6-(ブロモメチル)プテリジン、化合物2を与える[Taghavi-Moghadam and Pfleiderer, Tet. Lett. 38:6835, 1997 and Taylor and Portnoy, J. Org. Chem. 38:806, 1973、参照]。場合によっては、化合物1を1,3-ジヒドロキシアセトンと反応させ、2,4-ジアミノ-6-プテリジンメタノール、化合物5を与える[Baugh and Shaw, J. Org. Chem. 29:3610, 1964、参照]。化合物5を精製し、ジメチルアセトアミド中でHBrおよびジブロモトリフェニルホスホラン(Ph
3PBr
2)を反応させ、化合物2を与える[Piper and Montgomery, J. Org. Chem. 42:208, 1977; Piper and Montgomery, J. Heterocycl. Chem. 11:279, 1974; Piper and Montgomery, U.S. Patent No. 4,077,957; and Piper and Montgomery, U.S. Patent No. 4,079,056、参照]。さらに他の実施態様において、化合物1と1,1-ジクロロアセトンを反応させ、2,4-ジアミノ-6-(メチル)プテリジンを形成し、そして臭化物と反応させることにより、化合物2に到達することができる[Catalucci, U.S. Patent No. 4,224,446、参照]。
【0056】
合成経路にかかわらず、化合物2を、ジメチルアセトアミド中に商業的に入手可能なN-(p-アミノベンゾイル)-L-グルタミン酸、化合物3と凝縮させて、実質的に不純物がなく、抗葉酸剤としてアミノプテリン、化合物4を含む活性な医薬成分を得る[Piper and Montgomery, J. Org. Chem. 42:208, 1977; Piper and Montgomery, U.S. Patent No. 4,077,957; Piper and Montgomery, U.S. Patent No. 4,079,056; and Catalucci, U.S. Patent No. 4,224,446、参照]。
【0057】
他の実施態様において、実質的に不純物がなく、抗葉酸剤としてアミノプテリンを含む、活性な医薬成分は、不純物を含むアミノプテリンの調製物を精製することによって、例えば、イオン交換クロマトグラフィーやHPLCによって、得ることができる[Heinrich et al., J. Am. Chem. Soc. 75:5425, 1953 および Tong et al., Lancet 2:719, 1975、参照]。更なる他の実施態様において、実質的に不純物がなく、抗葉酸剤としてアミノプテリンを含む、活性な医薬成分は、葉酸のアミノプテリンへの直接的な変換(つまり、アミノ化)および続くHPLCによる精製によって得ることができる[Zimmermann, U.S. Patent No. 4,767,859、参照]。
【0058】
本発明の実施態様は、さらに、実質的に不純物がなく、活性な医薬成分を含む医薬組成物を提供し、該活性な医薬成分中の抗葉酸剤が治療有効量のアミノプテリンまたはその医薬的に許容され得る塩である。いくつかの実施態様において、不純物は、例えば、葉酸、プテリン類およびp-アミノ安息香酸の結合物を含み得る。好ましい実施態様において、医薬組成物は、5面積%未満、5重量%未満、または5モル%未満の不純物を有し、そして、より好ましくは、3面積%未満、3重量%未満、または3モル%未満の不純物を有する。他の実施態様において、医薬組成物中のアミノプテリン純度は、95面積%と同等かそれ以上、95重量%と同等かそれ以上、または95モル%と同等かそれ以上である。好ましい実施態様において、0.2mgから約2.0mgのアミノプテリンを含む医薬組成物は、治療有効量のアミノプテリンを提供することができ、実質的に不純物がない。とりわけ好ましい実施態様において、0.5mgのアミノプテリンを含む医薬組成物は、治療有効量のアミノプテリンを与え、実質的に不純物がない。
【0059】
活性な医薬成分のアミノプテリン純度は、医薬組成物中で所望の最終濃度のアミノプテリンまたはその医薬的に許容され得る塩を得るために、医薬組成物中で必要とされる活性な医薬成分の量を求めるために用いられる。例えば、医薬組成物が約1mgのアミノプテリンを含み、その活性な医薬成分中のアミノプテリン純度が95重量%であるとき、約1mgのアミノプテリンを得るためには、医薬組成物中で約1.0526mgの活性な医薬成分が必要とされ得る。
【0060】
活性な医薬成分に加えて、実質的に不純物がない医薬組成物は、1またはそれ以上の医薬的に許容され得る担体を含む(用語集「医薬組成物」定義参照)。実質的に不純物を含まない医薬組成物は、実質的に不純物がない活性な医薬成分を混合することにより最も容易に製造され、ここで、アミノプテリンは、従来の医薬配合技術による1またはそれ以上の医薬担体と密接に混合された、活性な医薬成分中の抗葉酸剤である。
【0061】
担体は、投与、例えば、経口または非経口(静脈内注射または注入を含む)で望まれる医薬組成物の形態(つまり、「製剤」または「形態」)によって、幅広い様々な形態をとり得る。経口投与の形態で医薬組成物を製造するとき、通常の医薬担体のいずれかが採用され得る。通常の医薬担体は、例えば、経口液体製剤(例えば、懸濁剤、溶液、そしてエリキシル剤等)の場合、水、グリコール類、オイル類、アルコール類、香味料、保存剤、着色剤等;エアロゾル;または、経口固形製剤(例えば、粉末、カプセル、そして錠剤等)の場合、でんぷん等の担体、糖類(例えば、ラクトース)、微結晶性セルロール、希釈剤、造粒剤、滑剤、結合剤、崩壊剤等を含み、経口固形製剤は、一般的に経口液体製剤に比較して好まれる。しかしながら、小児患者のためには、快い味の経口液体製剤が好まれることは、当業者に理解され得る。
【0062】
投与が簡単なので、錠剤およびカプセルが、成人において最も有利な経口投与形態を代表し、この場合、固体の医薬担体が用いられる。望まれるときは、錠剤は標準的な水性のまたは非水性の技術でコートされ得る。非経口の投与形態は、生理的な緩衝液または滅菌水中の遊離または塩形態の活性成分の滅菌溶液からなることができる。さらに、非経口の溶液は、塩化ベンザルコニウム、メチル−またはプロピル−パラベンおよびクロロブタノール等の保存剤を含むことができる。好適な医薬担体は、この分野の標準的な参考書である、Remington's Pharmaceutical Sciencesに記載されている。非経口の、経口の液体、または他の水性組成物を採用する実施態様では、水による求電子性の置換がアミノプテリンを葉酸に変換するので注意が必要であり、そして、かかる製剤は、6ヶ月以上の期間の貯蔵では、葉酸が望まれないレベルに蓄積することを注意すべきである。したがって、かかる水性組成物は最適には、乾燥させて貯蔵され、患者への投与前数時間から数日の間に水和させる。
【0063】
上記で示した一般的な投与形態に加えて、本発明の医薬組成物は、また、米国特許番号:3,845,770; 3,916,899; 3,536,809; 3,598,123; 3,630,200; 4,008,719; 4,687,660 および 4,769,207(該開示は、引用により本明細書に組み込まれる)に記載されている制御放出手段および/または送達デバイスにより投与され得る。
【0064】
場合によっては、医薬組成物は他の治療成分を含む。かかる治療成分は、特定の副作用、とりわけアミノプテリンの副作用、を弱めるために添加されることができ、服用しなければならない投与形態の数を減らすことにより患者の便宜を増加させる。医薬組成物と混合するための好適な治療成分には、例えば、葉酸、ロイコボリン、デキストロメトルファン、メマンチン、プレドニソン、COX−2阻害剤、非ステロイド性抗炎症薬、ビンクリスチン、デキサメサゾン、アスパラギナーゼ、ダウノルビシン、メルカプトプリン、エトポシド、シタラビン、ドキソルビシン、シスプラチン、イホスファミド、パクリタキセル、5−フルオロウラシル、ジアニドロガラシトール、タモキシフェン、ピペラジンディオン、ミトキサントロン、ジアジクオン、アミノチアジアゾール、メトトレキサート、テノポシド、ビンクリスチン、エキノマイシン、6−メルカプトプリン、デキサメサゾン、シクロフォスファミド、可溶性TNF受容体、抗体およびヒト化抗体を含み得る。
【0065】
本開示の方法および組成物で使用されるように、用語「医薬的に許容され得る塩」は、無機酸および塩基、および有機酸および塩基を含む、医薬的に許容され得る非毒性の酸または塩基から調製される塩を言う。アミノプテリンのナトリウムまたは二ナトリウム塩は、アミノプテリンの医薬的に許容され得る塩である。
【0066】
アミノプテリンは塩基性であり、酸性であるので、塩は、無機および有機酸、または無機および有機塩基を含む医薬的に許容され得る非毒性の酸または塩基から調製され得る。かかる塩は、以下のアニオンのいずれかを含み得る:酢酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、カンファースルホン酸、クエン酸、フマル酸、グルコン酸、臭化水素酸、塩酸、乳酸、マレイン酸、マンデル酸、ムケート(mucate)、硝酸、パモ酸、リン酸、コハク酸、硫酸、酒石酸等。かかる塩は、また、以下のカチオンを含み得る:アルミニウム、カルシウム、リチウム、マグネシウム、カリウム、ナトリウム、亜鉛、ベンザチン、クロロプロカイン、コリン、ジエタノールアミン、エチレンジアミン、メグルミン、およびプロカイン。
【0067】
本明細書で開示される方法において、投与経路が特定されてない限り、いずれかの好適な投与経路が、治療有効量のアミノプテリンまたはその医薬的許容され得る塩をヒトに与えるために用いられ得る。例えば、経口、直腸、非経口、経皮、皮下、筋肉内等が適切なものとして用いられ得る。投与形態は、錠剤、コーティング錠、トローチ、分散液、懸濁液、溶液、カプレット、カプセル、パッチ等を含む。いずれの場合においても最も適した経路は処置される炎症性疾患の性質および重篤度に依存するが、医薬組成物は経口、直腸および非経口(皮下、筋肉内、そして静脈内)投与に適するものを含む。本発明の最も好ましい経路は、経口の経路である。医薬組成物は単位投与形態で都合良く提示され、いずれかの薬学の分野で良く知られる方法によって調製される。
【0068】
経口投与に好適な本発明の医薬組成物は、カプセル、カシェ剤または錠剤のような別々の単位、またはエアロゾルスプレーとして与えられ、それぞれは、粉末または顆粒として、または、水性液体、非水性液体、オイルインウォーターエマルジョン、ウォーターインオイルエマルジョン中の、溶液または懸濁液として、予め決められた量の医薬的に活性な成分を含む。かかる医薬組成物は、いずれかの薬学の方法で製造されることができるが、全ての方法は、活性な医薬成分を少なくとも1つの医薬的担体に連携させる工程を含む。一般的に、医薬組成物は、活性な医薬成分を液体の医薬担体または微粉化した医薬担体、またはその両方と、均一にそして密接に混合され、必要であれば、生成物を望ましい表現型に成型して製造される。
【0069】
例えば、錠剤は、場合により、1またはそれ以上の補足的な成分と圧縮され、または成型されて製造され得る。圧縮された錠剤は、適切な機械で、粉末や顆粒等の自由な流体形の活性な医薬成分を、場合によって、結合剤、滑剤、不活性な希釈剤、界面活性剤または分散剤と混ぜて、圧縮することにより、製造され得る。成型された錠剤は、適切な機械で、不活性な液体希釈剤で湿らせた粉末化合物の混合物を成型することにより製造され得る。望ましくは、各錠剤は、約0.5mgから約2mgのアミノプテリンまたはその治療的に許容され得る塩を含み、そして、各カシェ剤またはカプセルは、約0.5mgから約2mgのアミノプテリンまたはその治療的に許容され得る塩を含む。最も好ましくは、錠剤、カシェ剤またはカプセルは、2投薬量のうちのそれぞれ1つが、約0.5mgまたは約1mgのアミノプテリンまたはその治療的に許容され得る塩を含む。
【0070】
さらに他の実施態様においては、医薬組成物は、治療的有効量のアミノプテリン、またはその治療的に許容され得る塩を、5%未満の標準偏差で、より好ましくは3%未満の標準偏差で含む。標準偏差は、医薬組成物における用量の均一性(つまり、一定性)の指標であり、標準偏差が小さければ良い用量均一性を示している。医薬組成物は、単一の製剤バッチ由来の単一な医薬組成物の異なる部分であるか、またはそれぞれが異なる製剤バッチの結果である同一投与形態の複数の医薬組成物由来であり得る。したがって、標準偏差は、同一バッチ内およびバッチ間の両方の用量均一性の指標となることができる。
【0071】
医薬組成物中の抗葉酸剤の標準偏差は、それぞれの医薬組成物の既知量中の抗葉酸剤の量を、当業者に知られた方法を用いて測定することにより決定される。例えば、医薬組成物中のアミノプテリンおよびメトトレキサートの量は、走査型紫外線吸光光度計、HPLC、または放射性リガンドDHFR結合アッセイ[Kamen et al., Anal. Biochem. 70:54, 1976 および Ratliff et al., J. Clin. Onc. 16:1458, 1998、参照]を用いて定量化され得る。本明細書で明らかなように、標準偏差の計算は、単一バッチの医薬組成物の少なくとも2つの無作為に選択された部分から、または、少なくとも2つの異なるバッチの医薬組成物のそれぞれから、アミノプテリンの定量を必要とする。
【0072】
本発明は、本発明の方法および医薬組成物の使用および製造を詳細に記載する以下の実施例を参照することにより、さらに明確になる。本発明の目的および利益を離れずに、物質および方法の両方への多くの修飾が実施され得ることは、当業者に明らかである。
【実施例】
【0073】
以下の実施例1−15において、アミノプテリンが、実質的に不純物がない医薬組成物中で使用されている活性な医薬成分の抗葉酸剤である。
【0074】
実施例1:
マウス空気嚢(Air-Pouch)炎症モデルでの効果
リウマチ性関節炎の治療のためのアミノプテリンの最適用量を見出すために、そしてメトトレキサートに比較したその効力を定量化するために、メトトレキサートの用量−反応関係が、Cronstein等によって、ヒトにおけるメトトレキサートの用量−反応関係と大変良く相関することが示されている、マウス空気嚢炎症モデルで、アミノプテリンおよびメトトレキサートを試験した[Cronstein, B.N., D. Naime, and E. Ostad, The anti-inflammatory mechanism of methotrexate. Increased adenosine release at inflamed sites diminishes leukocyte accumulation in an in vivo model of inflammation. J. Clin. Invest., 1993. 92(6):2675-82]。
【0075】
これにより、5動物の群(10-15週齢、雄性)に1、7、14および21日に週に一度腹腔内注射で、群当たり、固定された用量(mg/kg)のアミノプテリン(0.0005、0.001、0.002、0.005、0.008、0.010、0.050)またはメトトレキサート(0.01、0.02、0.05、0.08、0.10、0.50、1.00)を与えた。5動物の別の群に、同じ日に腹腔内注射によりビークルを与えた(0.9%生理食塩水、コントロール、n=5)。16日目に、背中の皮下に3mlの空気を注射することにより、動物に空気嚢を導入した。22日目(つまり、薬物またはビークルの最終投与1日後)に、1mlのカラギーナンの懸濁液(カルシウムおよびマグネシウム不含PBS中の2%重量/体積)の注射により、炎症を惹起した。マウスをケージに戻し、4時間自由に走らせた。投与期間の最後で、マウスは毒性の兆候を示さなかった。4時間後、動物を屠殺し、空気嚢を2mlのPBSで洗浄し、浸出液を回収した。少量をメチレンブルーで1:1に希釈し(PBSで0.01% w/v)、細胞を数えた。
【0076】
これらの検討は、アミノプテリンとメトトレキサートが、カラギーナンで処置した空気嚢において蓄積された好中球の数を、EC
50値がそれぞれ0.0009mg/kg/wkおよび0.04mg/kg/wkで、用量依存的に減少させることを示した(
図1)。したがって、アミノプテリンはメトトレキサートよりも43倍効力があることが見出された(P<0.001)。従来技術においては、アミノプテリンの薬効がこのような低用量の毎週の投与によって得られることができることは報告されていない。上記範囲の週の用量は、粘膜炎がちょうど出現し始める忍容されるアミノプテリンの週の最高用量より数倍低いことが知られている[Ratliff, A.F., et al., Phase I and pharmacokinetic trial of aminopterin in patients with refractory malignancies. J. Clin. Oncol., 1998. 16(4):1458-64]。
【0077】
実施例2:
マウス空気嚢(Air-Pouch)炎症モデルでの効果の期間
抗炎症作用におけるアミノプテリンとメトトレキサートの43倍のEC
50値の相違は、おそらく、アミノプテリンがより効率的に取り込まれるためであると感じていたが、本質的にそれぞれの週投与の前の、1つの薬剤ともう1つの薬剤に渡る「谷」の程度の増加によって、細胞からの薬剤排出速度の相違がこの相違に寄与している可能性を考慮した。したがって、4週間の最高有効用量の投与の中止後、空気嚢モデルにおける抗炎症作用の消失速度を検討した(
図2)。
【0078】
これにより、動物(10-15週齢、雄性マウス)に、1、7、14および21日の月のコースに渡って、ビークル(0.9%生理食塩水、コントロール、n=60)、アミノプテリン(n=60、0.05 mg/kg)またはメトトレキサート(n=60、1.0 mg/kg)を腹腔内注射した。16日に、動物に3mlの空気を皮下背中に注射することにより、空気嚢を導入した。25日に、1.5mlの空気で、空気嚢を再度膨らませた。空気嚢を維持するために必要に応じて再度膨らませた。22(+1)、24(+3)、26(+5)、29(+8)、33(+12)、および43(+22)日に、カルシウム不含、マグネシウム不含のPBS中2%重量/体積溶液としてカラギーナン懸濁液の1mlを注射することにより、本試験のビークル、アミノプテリンおよびメトトレキアートの群からn=5の動物を1群として、炎症を惹起させた(括弧内の数は、第4およびビークルまたは薬物のいずれかの最後の腹腔内投与後の日数を示す)。4時間後、マウスを屠殺し、空気嚢を2mlのPBSで洗浄し、浸出液を回収した。少量をメチレンブルー(PBS中0.01% w/v)で1:1に希釈し、細胞数を計測した。
【0079】
データは最終抗葉酸剤投与後の8、12または22日で炎症の回復の速度に統計的に有意な相違を示さず、ポリグルタミン酸化抗葉酸剤の細胞内の長い半減期と一致して、アミンプテリンおよびメトトレキサートの両方の作用期間が極めて長かったことを表した。この実施例は、あるサイクルの最後の投与と次のサイクルの最初の投与の間の最大期間が、アミノプテリンについては21日間まで可能であることを示す。
【0080】
実施例3:
ラット酸素毒性(Oxygen-Toxicity)炎症モデルでの効果
ヒトにおける気管支肺異形成症を処置するためのアミノプテリンの最適用量を見出すため、そしてメトトレキサートと比較したその薬効を定量化するため、ネズミ科の動物の酸素毒性炎症モデルでアミノプテリンおよびメトトレキサートを試験した[Deng, H.; Mason, S. N.; Richard L. Auten, J. Lung inflammation in hyperoxia can be prevented by antichemokine treatment in newborn rats. American Journal of Respiratory Critical Care Medicine 2000, 162, 2316-2323]。
【0081】
簡単には、時期を合わせて妊娠したラットを、ちょうど出産する母親4匹の中で子を組み合わせた後、出産日に、空気(2腹の子)または95%酸素(1腹の子)中に放置した。子のサイズは同じであった。そして、誕生後2日で、腹腔内経路により、アミノプテリン(0.2 mg/kg)、メトトレキサート(0.35 mg/kg)を与えた。母親は、毎日空気と酸素のケージの間でローテーションし、母親の酸素毒性を回避した。8日目、この体重を測定し、そして安楽死させ、気管にカニューレを挿入し、肺動脈を生理食塩水で還流した。そして、細胞数計測およびケモカインを分析するために気管支肺胞洗浄液(BALF)を得た(
図3)。ミエロペルオキシダーゼ活性測定(肺実質中の好中球の蓄積)および8−イソプロスタン(脂質酸化のマーカー)のために、肺を摘出し、直ぐに凍らせた。肺動脈を還流し、肺を25cm H
2Oで、緩衝化ホルマリンで膨張固定した。
【0082】
予想されたように、データは、酸素過剰により、主に好中球(PMNs)からなる炎症性細胞が顕著に流入したことを示した。データは、動物を屠殺する6日前、0.2mg/kgのアミノプテリンをたった1回投与した後、好中球の数が統計的に有意に減少することを示した。対照的に、アミノプテリンの17倍用量のメトトレキサート(0.35mg/kg)は、好中球の流入を減少させなかった。アミノプテリンの効果は、単回の低用量で得ることができた。この実施例は、気管支肺異形成症が抗葉酸剤で処置できること、そして、効果達成が、メトトレキサートよりもアミノプテリンの方が明らかに速い速度でなされることを示した。
この用量は、粘膜炎が出じるアミノプテリンの忍容される最高用量より数倍低い[Ratliff, A.F., et al., Phase I and pharmacokinetic trial of aminopterin in patients with refractory malignancies. J. Clin. Oncol., 1998. 16(4):1458-64]。
【0083】
実施例4:
2,4-ジアミノ-6-プテリジンメタノール(5)臭化水素塩
2,4,5,6-テトラアミノピリミジン.H
2SO
4.H
2O (75.0g、0.293モル)を85-90℃、H
2O(1.45 l.)中で、BaCl
2.2H
2O(71.5 g, 0.293モル)の攪拌溶液に添加した。混合物を90℃で15分間急速に攪拌し、40℃に冷却し、じょうご上で水を用い十分に洗浄したBaSO
4からろ過した。澄明な黄色のろ液をさらにH
2Oで希釈し、4.35lの体積を得た。そして、テトラアミノピリミジン.2HClの溶液をNaOAc(4N、4.35l.)に加え、ジヒドロキシアセトン(79.3g、0.88モル)およびcysteine.HCl.H
2O(51.5g、0.293モル)を溶解させた。空気の遅い流れを連続してそれに26時間通す間、得られた溶液を室温で機械的に攪拌した(黄−橙固体が2時間後分離し始めた)。そして、固体を回収する前16時間、混合物を冷蔵庫に保持し、続いて、25℃でP
2O
5上の真空で一定重量まで乾燥させる前、氷冷のH
2O、EtOHおよびEt
2Oで洗浄した。[粗生成物混合物(47g)の重量を量り、臭化水素塩を形成するために必要な48%HBrの体積の見積りを得た。] 乾燥させた固体およびEtOH (6.05l.)の機械的に攪拌した混合物を70℃に加熱し、混合物を70-75℃で維持している間、細い流れで、EtOH(490ml)中の48%HBr(28ml)の溶液を加えた。そして、ほとんど全ての固体が溶解する間、混合物を約5分間、速く攪拌させて還流した。熱い溶液をNoritで処置し、セリットマットを通してろ過した。澄明で黄色のろ液を一晩冷蔵庫に放置し、オレンジ色の固体の第1の収穫を分離した。回収した固体をEtOHで洗浄し、そして、真空で(56℃、P
2O
5上で)乾燥させ、17.2gの生成物を得た。ろ液をエバポレーション(ロータリーエバポレーター、H
2Oアスピレーター、35℃浴)で約2lに濃縮し、そして、冷蔵し、前のように乾燥させて第2の収穫10.2gを得;計27.4gを得た(34%)。CF
3CO
2D中のこの物質の
1H NMRスペクトルは、δ2.83(CH
3)およびδ8.85(プテリジン環H)で大変弱いシグナルであることより明らかなように、ほとんど検出できない量のメチル置換2,4-ジアミノプテリジン.HBrが含まれることを示した。望ましい生成物により生じる強いシグナルは、δ5.28(6-CH
2O)およびδ9.08(C
7-H)にあった。
1H NMR積分から、メチル置換混入物質に対する望まれる生成物の割合は、20:1と評価された。
1H NMRスペクトルは、また、上記の乾燥させた生成物中に少量のEtOHの保持を明らかにしたが、2への変換を阻害するのには十分でない量であった。
【0084】
実施例5:
2,4-ジアミノ-6-(ブロモメチル)プテリジン(2)臭化水素塩
臭素(59.6g、0.373モル)を、約10℃(氷浴)で保たれた486mlの無水ジメチルアセトアミド(DMAC)中で、トリフェニルホスフィン(97.7g、0.373モル)の攪拌溶液に30分以上かけて滴下して加え、周囲の湿気から保護した(じょうごの中に残っている臭素を10mlのDMACでリンスした)。含有する滑らかな懸濁液を丁寧に分割し、結晶トリフェニルホスフィン ジブロマイドを得た。上記の2,4-ジアミノ-6-プテリジンメタノール.HBr(2)(25.4g、0.093 モル)を粉末じょうご(powder funnel)を通して1部に添加した(10mlのDMACを用いて)。氷浴を除き、そして、攪拌された混合物を20-25℃に温めた。約1時間後、完全な溶液が生じた。徐々に暗赤色を呈する溶液を、1時間以上20-25℃で維持し、そして、EtOH(72ml)で処理する前に冷却(氷浴)した。一晩の冷蔵後、溶媒を真空でエバポレーションすることにより取り除いた。暗色で半固体の残渣を、2回の300ml量のベンゼンで攪拌し(トリフェニルホスフィン酸化物を除くため)、デカンテーションによりそれぞれの部分をベンゼン不溶生成物から取り除いた。残った固体を、80℃に予め温められた氷酢酸(glacial AcOH)(660ml)中で攪拌した。混合物を、溶液が完全になるまで80℃浴に維持した。暗色溶液として分離された黄褐色の結晶固体を冷却した。一晩の冷蔵は、AcOHを部分的に凍らした。融解させ、固体を回収し、氷冷AcOHに続きEt
2Oを用いて洗浄し、そして、真空中(P
2O
5およびNaOHペレット上)、25℃、56℃および110℃の連続した温度で乾燥した(高い温度はAcOHの完全な除去に必要であった)。収量は15.3g(49%)であった。(いくつかの実施では60%の収率であった。)このサンプルをEt
2O添加MeOH溶液(Norit)から再結晶により、さらに精製した後、真空中(25℃、P
2O
5)で乾燥し、淡黄色の固体13.0g(42%)を得た。スペクトルデータ:λmax、nm(εx10
-3)、0.1 N HCl、249 (17.3)、339 (10.5)、353 (sh); pH 7、258 (21.2)、370 (6.87); 0.1 N NaOH、258 (21.5)、370 (6.94);
1H NMR (CF
3CO
2D)、δ4.70 (s、2, CH
2)およびδ9.08 (s、1, C
7-H);メチル置換混入物質に比較した見積もられた割合は、25:1であった。上記2の製造は、典型的には、その
1H NMRスペクトルが、メチル置換混入物質に関した2の見積もり割合において僅かに異なる物質の同様の収率を与える、いくつかの試行からなる。割合は通常16:1から25:1の範囲であり、それは、2のパーセントが94から96に一致する。
【0085】
実施例6:
2,4-ジアミノ-6-(ブロモメチル)プテリジン(2)臭化水素塩形態(1)
50mlメタノール中の5mmolの2,4,5,6-テトラアミノピリミジン ジブロマイドの懸濁液を2時間、還流温度で、10mlのメタノール中の7.5mmolβ-ブロモピルバルドキシム(β-bromopyruvaldoxime)の溶液で処理した。2,4-ジアミノ-6-(ブロモメチル)プテリジンを、室温で濃縮NH
3を用いて中和した後回収し、メタノール、エーテルで洗浄し、オーブンで100℃で乾燥させた。
1H NMR(250MHz、ppm、DMSO-d
6)、δ8.84(s、1H、C
7-H)、収率は88%であった。
【0086】
実施例7:
アミノプテリン(4)を含む活性な医薬成分
DMAC(2ml)中の2(168mg、0.500mmole)およびN-(4-アミノベンゾイル)-L-グルタミン酸、化合物3(400mg、1.50mmoles)の混合物を光から保護されたストッパー付きのフラスコで、窒素下25℃で攪拌した。溶液が2時間後生じた。18時間後、オレンジ色の溶液を水(15ml)と混合し、攪拌し、細かく分かれた黄色の沈殿物を得た。混合物を遠心し、上清をデカントで除去した。黄色の固体を、4回の15mlのH
2Oで攪拌し、それぞれ、水を遠心後デカントにより除去した。そして、固体をEtOH(15-20ml)で懸濁し、ろ過により回収し、Et
2Oで洗浄し、真空で乾燥して(25℃、P
2O
5)、水和した4を68%収率(160mg)得た。分析計算、C
19H
20N
8O
5.1.75H
2O: C,48.36; H,5.02; N,23.74. 実測値: C,48.72; H,4.91; N,23.36. スペクトルデータ:λmax,nm(εx10
-3), 0.1N HCl, 244(18.2), 290(20.5), 335(11.0); pH7,260(26.7), 283(25.5), 370(8.00); 0.1N NaOH, 260(26.9), 283(25.3), 370(8.00);
1H NMR(DMSO-d
6),δ2.02(m,2,CHCH
2CH
2),2.32(m,2,CH
2CO
2H),4.36(m,1,NHCHCO
2H),4.52(s,2,CH
2N), 6.85(m,4,2フェニレンプロトン プラス NH
2), 7.72(m,2,フェニレン),7.86(ブロード s,2,NH
2), 8.13(d,1,NHCO), 8.72(s,1,C
7-H)。TLCによる試験で、1つのuv-吸収スポットが明らかにされ、どの点でも蛍光はなかった。生成物を直接活性な医薬成分として使用できるが、場合によっては、アミノプテリンの純度を僅かに改善するために1またはそれ以上の水またはホルムアミドからの再結晶を実施する。活性な医薬成分を乾燥剤の存在下で保存する。
【0087】
実施例8−13:
活性な医薬成分の分析
100%アミノプテリン(FW 440.42g/mole)であるとして活性な医薬成分から2.3mg、4.5mgおよび1.8mgを秤量し、それぞれ0.001N NaOH、5.223ml、10.218ml、および4.087mlに溶解して、実施例59により調製された活性な医薬成分の第1バッチの1mMの異なる3溶液を調製した。5mM PicA、10mM NH
4H
2PO
4および20%メタノール、pH6.8からなるアイソクラチックな移動相を用いて、C18カラム(Waters μBondapak 125Å, 10μm, 3.9x150mm)に投入することにより、それぞれの1mM溶液の20μlをHPLC分析にかけた。移動相の流速は1ml/minであり、分析は室温で実施された。Waters 996 PDA UV分光光度計を用いて、210nmから400nmの吸光データを補足した。データを、Waters Millenniumソフトウェアを用い、282nmでのクロマトグラムを抽出し、ピーク面積パーセントを計算することにより分析した。データを、また、個々のピークのスペクトルを抽出することにより分析し、特徴的なスペクトルにより、pABAGlu、葉酸、アミノプテリンおよびプテリンの同定を可能にした。
【0088】
3つの別々の1mM溶液のHPLC分析の平均は、活性な医薬成分の第1バッチが、約96.27面積%のアミノプテリンおよび3.73面積%の不純物からなり、ここで不純物は、0.23面積% 葉酸、2.18面積% N-(4-アミノベンゾイル)-L-グルタミン酸(つまり、pABAGlu)および0.92面積%のプテリン、おそらく2,4-ジアミノ-6-(ブロモメチル)プテリジンおよび0.4面積%の少なくとも2つの他の同定されていない不純物からなった(実施例8,表I)。同様のHPLC分析は、活性な医薬成分の第2バッチが、97.23面積%のアミノプテリンおよび2.775面積%の不純物からなり、ここで、不純物は、1.82面積% 葉酸、0.556面積% N-(4-アミノベンゾイル)-L-グルタミン酸(つまり、pABAGlu)、0.343面積% プテリン、おそらく2,4-ジアミノ-6-(ブロモメチル)プテリジン)および0.056面積%の同定されていない不純物(実施例9、表I)からなる。比較すれば、従来技術の活性な医薬成分は、アミノプテリンおよび41%までに渡る様々な量の不純物を含む(実施例10-13、表I)。
【0089】
実施例14:
医薬組成物
本実施例は、実質的に不純物のない医薬組成物の調製を説明する。本実施例で使用されているように、「API」は不純物が実質的にない活性な医薬成分を意味し、ここで、API中の抗葉酸剤はアミノプテリン、またはその医薬的に許容され得る塩である。APIのアミノプテリンの純度は、医薬組成物中で、望まれる最終量のアミノプテリンまたはその医薬的に許容され得る塩を得るための、医薬組成物中で必要とされるAPIの量を確立するために用いられる。
【0090】
錠剤:表層堆積アミノプテリンを、16.8g API、791.0g 微結晶性セルロース、553.7g ラクトース1水和物、1.5g NaOHおよび632g 滅菌水を混合することにより、作成する。混合し一晩乾燥する。この表層堆積アミノプテリン1311gを、171gのラクトース、
3.9gのコロイド状二酸化ケイ素、46.2gのクロスカルメロースナトリウム、および7.7gのステアリン酸マグネシウムに加え、総重量1540gを得る。打錠機を用い圧縮し、約15000錠とし、ここで、それぞれの錠剤は約100mgの重量であり、約1mgのアミノプテリンを含む。
【0091】
ゼラチンカプセル:0.5gのAPIと0.5gのステアリン酸マグネシウム、および99gのラクトースを混合することにより調製する。この混合物100mgをハードシェルのゼラチンカプセルに分注し、約0.5mgのアミノプテリンを有するそれぞれのカプセルを得る。
【0092】
懸濁液:40mgのAPIと20gのカルボキシメチルセルロースナトリウム、0.5gの安息香酸ナトリウム、100gのソルビトール溶液U.S.P.および2.5mlのバニリンを混合することにより、各5mlが約2mgのアミノプテリンを含むように、経口投与のための水溶性懸濁液を調製する。
【0093】
注射または経口投与用の液体:2M NaOHを用いて3-5分ガラスを洗浄し、脱イオン水を用いて十分にリンスする。第1の生理食塩水緩衝液を、2.7017gの第二リン酸ナトリウム、 USPを5リットルの0.9% 注射用塩化ナトリウム、USPに添加することにより、調製する。第2の生理食塩水緩衝液を、1.39gのリン酸一ナトリウム、USPを1リットルの0.9% 注射用塩化ナトリウム、USPに添加することにより調製する。第1の生理食塩水緩衝液を攪拌しながら、第2の生理食塩水緩衝液を、最終pHが7.9-8.1になるまで、ゆっくり添加する。最終体積を記録する。十分なAPIを、0.4mg/ml アミノプテリン(つまり、2mg アミノプテリン/5ml)を得るように添加し、0.2ミクロンの膜フィルターを通してろ過し、それぞれ5mlを含む10mlバイアルに滅菌環境下でパッケージングする。2ヶ月以内に使用する。
【0094】
注射剤:非経口製剤を、0.200gのAPIと20.0gのプロピレングリコール、20.0gのポリエチレングリコール400および1.0gのポリソルベート80を混合することにより製造した。そして、0.9%食塩水の十分な量を攪拌して添加し、100mlの溶液を得、0.2ミクロンの膜フィルターを通してろ過し、各々が1mlまたは計約2mg/バイアルのアミノプテリンを含む2mlバイアルに、滅菌環境下パッケージングした。溶液を、静脈内経路で投与する前に0.9%食塩水で10倍希釈する。
【0095】
実施例15:
医薬組成物中の用量の平均および標準偏差
実施例14に従って調製した1mgアミノプテリン錠剤の1バッチ15000に対し、無作為に選択された錠剤10の中からアミノプテリンの平均用量および用量の均一性(つまり、標準偏差)を測定した(表II)。平均用量および用量均一性を走査型分光光度計、およびバインダーとしてジヒドロ葉酸レダクターゼ(DHFR)、標準物質としてメトトレキサートを用いた放射性リガンド結合アッセイにより得た。
【0096】
走査型分光光度計のためには、10錠のそれぞれを、室温で30分間15mlのチューブ内で回転させることにより、11.35mlの水に溶解させ、約200μMの溶液を調製する(つまり、11.35ml中のFW440g/モルのアミノプテリン約1mg)。チューブを回転させ、上清の一部を0.1N NaOHを用いて10倍に希釈し、最終濃度20μMとする。希釈された上清の吸光度を、Perkin-Elmer Lambda 4B走査型分光光度計(1cm経路長)を用い、282nmおよび260nmで読み、そして、282nmでの濃度(μM)=10x(OD
282/0.264)および260nmでの濃度(μM)=10x(OD
260/0.285)の関係を用いて、希釈されたサンプルの濃度を計算する。そして、282nmおよび260nmでのmg/mlは、mg/ml=濃度(μM)x0.00044の関係を用いて計算する。そして、それぞれの錠剤のアミノプテリンの総mgを、282nmおよび260nmで測定されたmg/mlに113.5を掛け算して求める。例えば、上記手順を用いて、1mgアミノプテリン錠が0.5227のOD
282を得、そして、アミノプテリンの計算された濃度(μM)、mg/ml、総mgが、それぞれ19.8μM、0.008712mg/mlおよび0.9888mgである。上記手順を用いて、同じ1mgアミノプテリン錠が0.5641のOD
260を得、そして、アミノプテリンの計算された濃度(μM)、mg/ml、総mgが、それぞれ19.8μM、0.008712mg/ml、および0.9888mgである。報告された錠剤中のアミノプテリンの量は、282nmおよび260nmで計算された錠剤中のアミノプテリンの総量の平均、または0.9888mgである。
【0097】
放射性リガンド結合アッセイを、以前にメトトレキサートで実質的に記載したように実施した[Kamen et al., Anal. Biochem. 70:54, 1976 および Ratliff et al., J. Clin. Onc. 16:1458, 1998参照]。簡単には、標準曲線を、0.2から1.0pmolのメトトレキサートの部分的に精製されたトリ肝臓DHFRに対する結合に対し作成し、ここで、既知量の非放射性メトトレキサートの結合がある量のトリチウム化メトトレキサート(つまり、放射性
3H-メトトレキサート)を置換することとなる。アミノプテリンおよびメトトレキサートは、それらの置換および結合の点でアッセイにおいて等価であり、そして、アッセイの絶対的な検出限界は、抗葉酸剤の0.05から0.10pmolである。標準曲線を確立した後、上記でアミノプテリン錠に対し調製した200μMの一部を、さらに、水で2連続の100倍希釈をすることで、10000倍に希釈し、約20nMのアミノプテリンの溶液を得た。DHFRアッセイを20nM溶液、さらにはいくつかの2倍連続希釈の100μlで実施し、結果をpmol/mlアミノプテリンとして表す。アミノプテリンのpmolの全体の数値を、pmol/mlx10,000x11.35の関係を用いて算出する。そして、錠剤におけるmgの全体の数値を、全体のpmolx(10
-6μmole/pmol)x0.44mg/μmoleの関係を用いて算出する。
【0098】
走査型分光光度計によって測定されたとき、1mgのアミノプテリン錠のあるバッチ15000から任意に選択された10錠剤のアミノプテリンの平均用量および用量の均一性(つまり、標準偏差)は、それぞれ、0.974mgおよび2.271%であった(表II)。放射性結合アッセイによって測定されたとき、同じ10錠のアミノプテリンの平均用量および用量の均一性(つまり、標準偏差)は、それぞれ、1.01mgおよび3.929%であった(表II)。
【0099】
本発明は、本発明の多くの態様を紹介するものとして意図された実施例で開示された特定の実施態様によって、その権利範囲における制限はされることはなく、機能的に等価ないずれの実施態様も本発明の範囲にある。実際、本明細書に示され、記載されたものに加えて、本発明のあらゆる修飾が、当業者に明らかになるであろうし、付加された請求の範囲に入ることが意図されている。
多くの参考文献が引用されており、その全開示は、引用によって本明細書に組み込まれている。
【0100】
【表1】
【0101】
【表2】