(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5791870
(24)【登録日】2015年8月14日
(45)【発行日】2015年10月7日
(54)【発明の名称】半導体装置を製造するための方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/336 20060101AFI20150917BHJP
H01L 29/78 20060101ALI20150917BHJP
H01L 29/739 20060101ALI20150917BHJP
【FI】
H01L29/78 658B
H01L29/78 658D
H01L29/78 655A
【請求項の数】8
【外国語出願】
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2009-282738(P2009-282738)
(22)【出願日】2009年12月14日
(65)【公開番号】特開2010-141339(P2010-141339A)
(43)【公開日】2010年6月24日
【審査請求日】2012年9月27日
(31)【優先権主張番号】08171450.3
(32)【優先日】2008年12月12日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】505063441
【氏名又は名称】アーベーベー・テヒノロギー・アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100058479
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴江 武彦
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100091351
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 哲
(74)【代理人】
【識別番号】100088683
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100109830
【弁理士】
【氏名又は名称】福原 淑弘
(74)【代理人】
【識別番号】100075672
【弁理士】
【氏名又は名称】峰 隆司
(74)【代理人】
【識別番号】100095441
【弁理士】
【氏名又は名称】白根 俊郎
(74)【代理人】
【識別番号】100084618
【弁理士】
【氏名又は名称】村松 貞男
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100140176
【弁理士】
【氏名又は名称】砂川 克
(72)【発明者】
【氏名】アルノスト・コプタ
(72)【発明者】
【氏名】ムナフ・ラヒモ
【審査官】
工藤 一光
(56)【参考文献】
【文献】
特開2001−015755(JP,A)
【文献】
特開2003−101021(JP,A)
【文献】
特開平03−205832(JP,A)
【文献】
特開2004−096051(JP,A)
【文献】
実開昭57−134855(JP,U)
【文献】
特開平6−112493(JP,A)
【文献】
特開平9−298301(JP,A)
【文献】
特開平10−178174(JP,A)
【文献】
特表2001−521281(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L21/336
H01L29/739
H01L29/78−29/792
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体装置を製造するための方法であって、
前記方法は、以下の製造ステップ、即ち、
第一の酸化物層(22)が、第一の導電性タイプの基板(1)の第一のメインサイド上に作られるステップと、
少なくとも一つの開口(31)を備えたゲート電極層(3,3’)が、前記第一の酸化物層(22)の第一のメインサイド上に作られるステップと、
第一の導電性タイプの第一のドーパントが、前記ゲート電極層(3,3’)をマスクとして用いて、前記少なくとも一つの開口(31)と前記第一の酸化物層(22)とを通して、第一のメインサイドで前記基板(1)中に注入されるステップと、
注入された第一のドーパントが前記基板(1)中に拡散され、エンハンスメント領域(4)が形成されるステップと、
前記少なくとも一つの開口(31)が配置された領域の下の前記第一の酸化物層(22)が取り除かれるステップと、
第二の導電性タイプの第二のドーパントが、前記ゲート電極層(3,3’)をマスクとして用いて、前記第一の酸化物層(22)は通すことなく、前記少なくとも一つの開口(31)を通して、第一のメインサイドで前記エンハンスメント領域(4)中に注入されるステップと、ここで、第二のドーパントの注入に使用されたマスクは、前記第一のドーパントの注入に使用されたマスクに自己整合する、
注入された第二のドーパントが、前記エンハンスメント領域(4)中に拡散され、ベース領域(5)が、前記エンハンスメント領域(4)内に形成されるステップと、
を含み、
その結果、前記ベース領域(5)は、中央領域において深さ(53)を有し、
前記中央領域における前記深さ(53)は、前記ベース領域(5)の最大深さ(54)より浅く、
前記ベース領域(5)の最大深さ(54)を有する箇所は、前記中央領域の外側にある、ことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記第一の酸化物層(22)は、前記少なくとも一つの開口(31)が配置された領域において取り除かれ、前記ゲート電極層(3,3’)と前記基板(1)との間に残った前記第一の酸化物層(22)が、ゲート酸化物層(2)としてもたらされる、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
第一のドーパントは、燐または砒素のイオンである、ことを特徴とする請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
第一のドーパントは、40〜150keVのエネルギー、および1*1012〜1*1014/cm2 のドーズ量、の少なくとも一方で注入される、ことを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の方法。
【請求項5】
第一のドーパントは、基板(1)の中に1乃至10μmの深さまで拡散される、ことを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の方法。
【請求項6】
第二のドーパントは、硼素、アルミニウム、ガリウム、または、インジウムのイオンである、ことを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の方法。
【請求項7】
第二のドーパントは、20〜120keVのエネルギー、および5*1013〜3*1014/cm2 のドーズ量、のうちの少なくとも一方で注入される、ことを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の方法。
【請求項8】
第二のドーパントは、基板(1)の中に0.5乃至9μmの深さまで拡散される、ことを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パワー・エレクトロニクスの分野に係り、特に、独立請求項の前書き部分に基づく半導体装置を製造するための方法に係る。
【背景技術】
【0002】
従来技術のIGBTは、低く(n
−)ドープされたドリフト層と、コレクタ・サイドでより高くnドープされたバッファ層を有し、それに続いて、コレクタ層を有している。ドリフト層のエミッタ・サイドは、コレクタ・サイドの反対側にあって、その上にpベース層が配置されている。IGBTは、これまで、nドープされたエンハンスメント層の導入により改良されてきた。このエンハンスメント層は、pベース層と(n−)ドリフト層の間に配置され、且つこれら二つの層を分割する。これは、改良された安全動作領域(SOA)及び低いオン状態の損失を備えたIGBTをもたらす。アクティブ・セルの近傍のキャリア濃度は、そのようなエンハンスメント層により増大される。金属酸化物半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)の場合、そのようなエンハンスメント層は、接合電界効果トランジスタ(JFET:junction field-effect transistor)効果の減少、及び低いオン状態の損失をもたらす。
【0003】
もし、上記のようなnエンハンスメント層を備えたIGBTのために、pベース層がセルのエッジでセルの中央領域と比べて高い深さを有している場合、pn接合に対するこのプロファイルは、ピーク場をセルの周囲からエミッタ電極のコンタクト領域の直接に下側の領域へ移動させる。ピーク場のこの位置は、IGBTに対して、並びにMOSFETに対して、遥かに高いSOAターン・オフ電流能力をもたらし、そして、場で生成されたホールが、直接にエミッタ電極のコンタクト領域の方へ移動することができると言うことのために、(n
+)ソース領域の近傍のクリティカルな領域が失われ、それは、寄生トランジスタ、及びIGBT及びMOSFETのためのトランジスタの始動を、それぞれ、もたらすことになる。
【0004】
EP 0 837 508 には、そのような調整されたpベース層プロファイルを備えた絶縁ゲート・バイポーラ・トランジスタ(IGBT)を製造するための方法について、記載されている。(p
+)基板の上に、第一のnバッファ層が、そしてそれに続いて(n
−)層が、エピタキシャル成長により形成される。その後で、厚いゲート酸化物層が(n
−)層の上に形成され、そして、デザインされたパターンに形成される。その後で、薄いゲート酸化物層が、厚い酸化物層が形成されていない領域の中で、(n
−)層のトップの上に形成され、次いで、ゲート電極として、ゲート酸化物層の上にポリシリコン層が形成される。その後で、オープン・ホールが、薄いゲート酸化物層及びポリシリコン層の中に形成される。
【0005】
燐が、(n
−)層の中に、オープン・ホールを介して注入され、そして、ポリシリコン層の中の孔をマスクとして用いて、(n
−)層の中に拡散されて、第一のn層がもたらされる。その後で、上記の孔が拡大され、そして、燐が再び注入され、拡散されて、第二のn層がもたらされる。第一のn層の深さは、第二のn層の深さより深い。次に、硼素が、ポリシリコン層の同一のマスクを用いて注入され、そして、拡散されて、p層がもたらされる。このp層は、第二のn層より深くない。このようにして、第二のn層及びp層が、同一のマスクを用いることにより作られることが可能になる。これに対して、第一のn層の製造に対しては、他のマスクが必要とされる。
【0006】
それに代わって、この EP 0 837 508 の中にはまた、第一のn層が第二のn層の後に作られ、第二のn層がマスクにより作られ、それから、上記のように注入/拡散を行うことについても、記載されている。第二のn層を作った後に、インプランテーション・フィルムがゲート電極の上に作り出され、フォトレジストにより構造が与えられる。第一の(n
−)層は、インプランテーション・フィルムの前に加工されることも可能である。第一のn層を製造するために、高いエネルギーの燐イオンがオープン・ホールから直接に注入され、このオープン・ホールは、フォトレジストにより制限され、且つそのために、第二のn層のためのマスクとして使用される孔より小さい。イオンが、第二のn層と(n
−)層の間の深さの中に直接に注入される。高いエネルギーの燐イオンの注入は、1μmを超える深さに対して、IGBTセルで要求されるような複雑なプロセスであり、そして、このプロセスはまた、燐をセルの中央に配置するために正確なマスクの位置合わせを必要とする。
【0007】
JP 03-205 832 には、MOSFETデバイスについて記載されている、このMOSFETデバイスは、nドープされたソース領域の間の領域の中に高濃度にnドープされた領域を有しているが、それは、pドープされたベース領域の下側である。
【0008】
US 2004/0 065 934 には、MOSFETが示されている。このMOSFETにおいて、pベース領域は、pドーピングを有し、且つ他のより多くドープされたp領域より取り囲まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】欧州特許出願公開第 EP 0 837 508 号明細書
【特許文献2】特開 2003-205 832 号公報
【特許文献3】米国特許出願公開第 US 2004/0 065 934 号明細書
【発明の概要】
【0010】
本発明の目的は、低いオン状態の損失及び高いSOA能力を備えた、半導体装置を製造するための方法を提供することにある。この方法は、従来技術から知られている方法と比べて、実施することが容易であって、従って、デリケートな製造ステップを含んでいない。
【0011】
この目的は、請求項1に基づく半導体装置を製造するための方法により実現される。
【0012】
半導体装置を製造するための本発明の方法は、以下のステップを有している:
− 第一の酸化物層が、第一の導電性タイプの基板の第一のメインサイドの上に作られ;
− 少なくとも一つの開口を備えた、成形された(structured)ゲート電極層が、第一の酸化物層のトップの上の第一のメインサイドの上に作られ;
− 第一の導電性タイプの第一のドーパントが、前記成形されたゲート電極層をマスクとして用いて、第一のメインサイドで基板の中に注入され;
− 第一のドーパントが基板の中に拡散され;
− 第二の導電性タイプの第二のドーパントが、第一のメインサイドで基板の中に注入され;
− 第二のドーパントが基板の中に拡散される;
方法において、
− 第一のドーパントを基板の中に拡散させた後、且つ第二のドーパントを基板の中に注入する前に、第一の酸化物層が部分的に取り除かれて、ゲート酸化物層がもたらされること;及び、
− 前記成形されたゲート電極層が、第二のドーパントを注入するためのマスクとして使用されること;
を特徴とする方法。
【0013】
半導体装置、特に、IGBTまたはMOSFETを製造するための本発明の方法は、次のような優位性を有している:即ち、一つの単一のマスクが、第一の導電性タイプの第一のドーパントの注入及び拡散により作られたベース層、及び、第二の導電性タイプの第二のドーパントの注入及び拡散により作られたエンハンスメント層の製造のために必要とされる。これらの層は、前記成形されたゲート電極層をマスクとして用いることにより、自己
整合される。
【0014】
驚くべきことに、以下のことが、見出された:即ち、第一のドーパントの拡散の後、且つ第二のドーパントの注入の前に、前記成形されたゲート電極層の開口の上方にある第一の酸化物層の除去のために、第二の導電性タイプのベース層が実現され、このベース層は、エミッタ電極へのコンタクト領域の下側の、中央領域の中で、より浅い深さを有し、且つ、第二の導電性タイプのベース層の周辺領域の中でより深い深さを有している。
【0015】
そのような、ベース・プロファイルの変動は、低いオン状態の損失及び高いSOA能力を備えた半導体デバイスを動作させることを可能にする。この方法は、好ましくは、IGBT及びMOSFETの製造のために使用される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】
図1は、本発明に基づく絶縁ゲート半導体デバイスを示す;
【
図2】
図2は、本発明に基づく半導体デバイスを製造するための方法の異なるステップを示す。
【
図3】
図3は、本発明に基づく半導体デバイスを製造するための方法の異なるステップを示す。
【
図4】
図4は、本発明に基づく半導体デバイスを製造するための方法の異なるステップを示す。
【
図5】
図5は、本発明に基づく半導体デバイスを製造するための方法の異なるステップを示す。
【
図6】
図6は、本発明に基づく半導体デバイスを製造するための方法の異なるステップを示す。
【
図7】
図7は、本発明に基づく半導体デバイスを製造するための方法の異なるステップを示す。
【
図8】
図8は、本発明に基づく半導体デバイスを製造するための方法の異なるステップを示す。
【
図9】
図9は、本発明に基づく半導体デバイスを製造するための方法の異なるステップを示す。
【
図10】
図10は、本発明に基づく半導体デバイスを製造するための方法の異なるステップを示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の主題が、以下のテクストにおいて、添付図面を参照しながら、より詳細に説明される。
これらの図面の中で使用されている参照符号、及びそれらの意味は、参照符号のリストの中にまとめられている。一般的に、同様なまたは同様な機能の部分に対して、同一の参照符号が付されている。記載された実施形態は、例として示されたものであって、本発明を限定するものではない。
【0018】
図1の中に、本発明に基づく半導体装置が示されている。低い(n
−)ドープされたドリフト層12を備えたIGBTが示されている。ドリフト層12は、第一のメインサイド、及び第一のメインサイドの反対側にある第二のメインサイドを有している。第二のメインサイドは、コレクタ・サイド121であって、その上にnドープされたバッファ層9が配置され、このバッファ層9は、ドリフト層12と比べて高いドーピングを有している。バッファ層9の上には、ドリフト層12が配置されたサイドの反対側のサイドに、コレクタ電極11が配置され、コレクタ層10のトップの上に、pドープされたコレクタ層10が配置されている。
【0019】
第一のメインサイド、即ちエミッタ・サイド122には、pドープされたベース領域5が配置され、このベース領域は、nドープされたエンハンスメント層4の中に埋め込まれている。エンハンスメント層4は、ドリフト層12と比べて高いドーピングを有していて、それが、ベース領域5をドリフト層12から分離している。エミッタ・サイド122には、ゲート酸化物層2が配置され、このゲート酸化物は、典型的には、S
iO
2で作られている。ゲート酸化物層2は、酸化物開口により成形され、この酸化物開口は、ベース領域5の表面の一部を、ゲート酸化物層2により覆われていない状態で残す。
【0020】
ゲート酸化物層2のトップの上に、ゲート電極層3(典型的にはポリシリコンで作られている)が配置される。ゲート電極層3は、同一の位置に開口31を有していて、それは、好ましくは、酸化物層2と同一のサイズの開口である。ゲート電極層3及びゲート酸化物層2は、注入層7により覆われている。エミッタ電極8が、その後で、注入層7のトップの上、及びゲート酸化物層2及び注入層7により覆われたゲート電極層3の開口31の中に、配置される。pドープされたベース領域5の中に、高濃度に(n
+)ドープされたソース領域6が配置され、これらのソース領域は、開口31の領域内でエミッタ電極8と接触し、且つ、エミッタ・サイド122の表面で、ゲート電極層3の下側の領域まで、延びている。
【0021】
典型的には、ドリフト層12、ベース領域5、エンハンスメント領域4、及びソース領域6が、一つの共通のプレーナ表面を形成する。
【0022】
ベース領域5は、中央領域に、ベース領域5の最大深さ54より低い深さ53を有していて、このベース領域は、中央領域の外側にあり、即ち、ベース領域5の周辺領域にある。
【0023】
半導体装置を製造するための本発明の方法が、
図2から10に示されている。この方法は、以下のような製造ステップを有している。
【0024】
図2に示されているように、この方法は、低(n
−)ドープされた(lightly n
- doped)基板1から始まる。この基板は、コレクタ・サイド121(図面の中に示されていない)、及びコレクタ・サイド121の反対側のエミッタ・サイド122を有している。
図3に示されているように、エミッタ・サイド122の上で基板1の上を完全に覆う第一の酸化物層22が、作り出される。
図4に示されているように、導電性の層32が第一の酸化物層22のトップの上に作られる。導電性の層32は、第一の酸化物層22の上を完全に覆う。
図5によれば、スルーホールの形態の開口31が、導電性の層32の中にエッチングされ、成形されたゲート電極層3がもたらされ、それによって、酸化物層22の一部が、今や、覆われていないことになる。
【0025】
n導電性タイプの第一のドーパントが、上記の成形されたゲート電極層3を用いて、その開口31をマスクとして用いて、基板1の中に注入され(
図6の中で矢印42により示されている)、第一のnドープされた注入領域41がもたらされ、第一の注入領域41のドーピングは、ドリフト層12のドーピングより高い。その後で、注入された第一のドーパントが基板1の中に拡散され(
図7の中で矢印43により示されている)、エンハンスメント層4がもたらされる。
【0026】
燐および/または砒素イオンが、好ましくは、第一のドーパントとして使用され、好ましくは燐イオンが使用される。第一のドーパントは、好ましくは、40〜150keVのエネルギー、および/または、1*10
12〜1*10
14/cm
2 のドーズ量で注入される。第一のドーパントは、1μmと10μmの間、特に1μmと8μmの間、そして特にμmと6μmの間の深さまで、基板1の中に打ち込まれる。
【0027】
エンハンスメント層4を作り出した後、第一の酸化物層22は、上記の成形されたゲート電極層3の開口31が、典型的にはエッチングにより配置された領域で、部分的に取り除かれる(
図8の中で破線21により示されている)。その後で、p導電性タイプの第二のドーパントが、上記の成形された酸化物ゲート電極層3を用いて、その開口31をマスクとして用いて、ベース領域5の中に注入され(
図9の中で矢印55により示されている)、第二の注入領域51がもたらされる。その後で、注入された第二のドーパントが、ベース領域5の中に拡散される(
図10の中で矢印52により示されている)。
【0028】
第二のドーパントは、好ましくは、硼素、アルミニウム、ガリウム、および/または、インジウム・イオン、好ましくは、硼素イオンである。第二のドーパントは、好ましくは、20〜120keVのエネルギー、および/または、5*10
13〜3*10
14/cm
2 のドーズ量で注入される。第二のドーパントは、0.5μmと9μmの間の範囲内、特に0.5と7μmの間、そして特に0.5と5μmの間の深さで、最大深さ54の中に打ち込まれる。
【0029】
この製造ステップ・プロセスのために、第二のドーパントは、中央領域の中で、深さ53まで基板の中に打ち込まれる(
図1を参照)。この深さは、ベース領域5の最大深さ54より深くない、このベース領域は、周辺領域の中に、即ち、中央領域の外側にある。
図10に示されているように、第二のドーパントは、表面に対して垂直の方向に基板1の中に打ち込まれるのみではなく、横方向にも拡げられ、このようにして、中央領域の中の第二のドーパントの量を減少させる。低いエネルギーで注入された硼素ドーパントに対して、1.6μmの中央領域の中での、ベース領域5の深さ53が実現される、これは、中央領域の外側での2.4μmの最大深さ54と比較される。硼素注入のために使用されるエネルギーは、典型的に、40と120keVの間、特に、70と90keVの間、特に、約80keVである。
【0030】
もちろん、少なくとも二つの開口31を備えた、成形されたゲート電極層3を作ることも、可能であり、それにより、それぞれエンハンスメント層4より取り囲まれた、少なくとも二つのベース領域5が作り出される。
【0031】
高濃度に(n
+)ドープされたソース領域6、及び、コレクタ・サイド121上の層、即ち、nドープされたバッファ層9、pドープされたコレクタ層10、及びコレクタ電極11が、適切な製造ステップで且つ適切な製造方法により製造される。
【0032】
本発明を、全ての層の導電性タイプが逆転された半導体デバイス、即ち、軽く(p
−)ドープされた基板その他を備えた半導体デバイスを製造するための方法に適用することも可能である。
【0033】
本発明は、以上において、プラナー半導体の例について詳細に記載されているが、本発明の方法は、トレンチ・ゲート半導体に適用されることも可能である。その他に、本発明は、MOSFETのような、他の半導体タイプに適用されることも可能である。
以下に、本願出願時の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[1]半導体装置を製造するための方法であって:
第一の酸化物層(22)が、第一の導電性タイプの基板(1)の第一のメインサイドの上に作られ;
少なくとも一つの開口(31)を備えたゲート電極層(3,3’)が、第一の酸化物層(22)のトップの上の第一のメインサイドの上に作られ;
第一の導電性タイプの第一のドーパントが、ゲート電極層(3,3’)をマスクとして用いて、第一のメインサイドで基板(1)の中に注入され;
第一のドーパントが基板(1)の中に拡散され;
第二の導電性タイプの第二のドーパントが、第一のメインサイドで基板(1)の中に注入され;
第二のドーパントが、基板(1)の中に拡散される;
製造ステップを有する方法において、
基板(1)の中に第一のドーパントを拡散させた後、且つ基板(1)の中に第二のドーパントを注入する前に、第一の酸化物層(22)が部分的に取り除かれること;及び、
ゲート電極層(3,3’)が、第二のドーパントを注入するためのマスクとして使用されること;
を特徴とする方法。
[2]下記特徴を有する前記[1]に記載の方法:
第一の酸化物層(22)は、ゲート電極層(3,3’)の、前記少なくとも一つの開口(31)が配置された領域の中で取り除かれ、ゲート酸化物層(2)がもたらされる。
[3]下記特徴を有する前記[1]または[2]に記載の方法:
第一のドーパントは、燐および/または砒素のイオンである。
[4]下記特徴を有する前記[1]から[3]のいずれか1つに記載の方法:
第一のドーパントは、40〜150keVのエネルギー、および/または、1*1012〜1*1014cm2 のドーズ量で注入される。
[5]下記特徴を有する前記[1]から[4]のいずれか1つに記載の方法:
第一のドーパントは、少なくとも1μmの深さまで、最大10μmで、特に最大8μmで、そして特に最大6μmで、基板(1)の中に拡散される。
[6]下記特徴を有する前記[1]から[3]のいずれか1つに記載の方法:
第二のドーパントは、硼素、アルミニウム、ガリウム、および/または、インジウムのイオンである。
[7]下記特徴を有する前記[1]から[3]のいずれか1つに記載の方法:
第二のドーパントは、20〜120keVのエネルギー、および/または、5*1013〜3*1014/cm2 のドーズ量で注入される。
[8]下記特徴を有する前記[1]から[3]のいずれか1つに記載の方法:
第二のドーパントは、0.5μmと9μmの間、特に0.5μmと7μmとの間、そして特に0.5μmと5μmの間の範囲内の最大深さ(54)まで、基板(1)の中に拡散される。
【符号の説明】
【0034】
1…基板、2…ゲート酸化物層、21…領域、22…第一の酸化物層、3…ゲート電極層、32…導電性の層、31…開口、4…エンハンスメント層、41…第一の注入領域、41’…第一のドーパントの注入、42…第一のドーパントの拡散、5…ベース領域、51…第二の注入領域、51’…第二のドーパントの注入、52…第二のドーパントの拡散、53…中央領域内での第二のドーパントの拡散深さ、54…最大第二のドーパントの拡散深さ、6…ソース領域、7…注入層、8…エミッタ電極、9…バッファ層、10…コレクタ層、11…コレクタ電極、12…ドリフト層、121…コレクタ・サイド、122…エミッタ・サイド。