(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5791878
(24)【登録日】2015年8月14日
(45)【発行日】2015年10月7日
(54)【発明の名称】チタン酸化物およびジルコニウム酸化物を持つボロン欠乏中性ガラス
(51)【国際特許分類】
C03C 3/093 20060101AFI20150917BHJP
C03C 3/083 20060101ALI20150917BHJP
【FI】
C03C3/093
C03C3/083
【請求項の数】14
【外国語出願】
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2010-133728(P2010-133728)
(22)【出願日】2010年6月11日
(65)【公開番号】特開2011-16713(P2011-16713A)
(43)【公開日】2011年1月27日
【審査請求日】2012年7月5日
(31)【優先権主張番号】10 2009 026 923.1
(32)【優先日】2009年6月12日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】505458670
【氏名又は名称】ショット・アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100058479
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴江 武彦
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100091351
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 哲
(74)【代理人】
【識別番号】100088683
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100109830
【弁理士】
【氏名又は名称】福原 淑弘
(74)【代理人】
【識別番号】100075672
【弁理士】
【氏名又は名称】峰 隆司
(74)【代理人】
【識別番号】100095441
【弁理士】
【氏名又は名称】白根 俊郎
(74)【代理人】
【識別番号】100084618
【弁理士】
【氏名又は名称】村松 貞男
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100140176
【弁理士】
【氏名又は名称】砂川 克
(72)【発明者】
【氏名】イェルク・ハインリヒ・フェヒナー
(72)【発明者】
【氏名】クリストフ・カス
【審査官】
吉川 潤
(56)【参考文献】
【文献】
特開平03−252329(JP,A)
【文献】
特開平03−252330(JP,A)
【文献】
特開平08−067529(JP,A)
【文献】
特公昭46−025392(JP,B1)
【文献】
特開昭60−161351(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C03C 3/076 − 3/093
INTERGLAD
GAZ
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
質量%で
SiO2 70から79
0<B2O3<5
Al2O3 1から<5
ZrO2 0.5から<5
TiO2 0.5から6
Na2O 1から6
K2O 3から8
Li2O 0から0.5
SiO2+B2O3 83より低く、
K2Oの含有量はZrO2の含有量より1.5倍から2.5倍である
組成を持つ高加水分解安定性を有する中性ガラス。
【請求項2】
質量%で次の成分の比率が次の:
ZrO2 1から<5
TiO2 1から6
に定義される請求項1記載の中性ガラス。
【請求項3】
質量%で次の成分の比率が次の:
0<B2O3<4.5
に定義される請求項1または2記載の中性ガラス。
【請求項4】
前記ガラス中の前記アルカリ金属酸化物の合計が>9質量%と14質量%の間である請求項1〜3何れか1項記載の中性ガラス。
【請求項5】
ZrO2およびTiO2を合わせた比率の合計は多くて10質量%である請求項1〜4何れか1項記載の中性ガラス。
【請求項6】
ZrO2およびTiO2を合わせた比率の合計は2.5質量%より高い請求項1〜5何れか1項記載の中性ガラス。
【請求項7】
成分TiO2に対する成分ZrO2の質量比は1.5:1と0.6:1の間の範囲である請求項1〜6何れか1項記載の中性ガラス。
【請求項8】
ZrO2の含有量は少なくとも2.5質量%である請求項1〜7何れか1項記載の中性ガラス。
【請求項9】
TiO2の含有量は少なくとも2.5質量%である請求項1〜8何れか1項記載の中性ガラス。
【請求項10】
このガラスは多くて15μg/gのISO719に従って加水分解安定性を有する請求項1〜9何れか1項記載の中性ガラス。
【請求項11】
このガラスは多くて1260℃の処理温度を有する請求項1〜10何れか1項記載の中性ガラス。
【請求項12】
a, ガラス成分を混合すること、
b. 前記ガラス成分を溶融すること、および随意に
c. 前記ガラス溶融物を清澄すること
の工程を含む請求項1〜11何れか1項記載の中性ガラスの製造方法。
【請求項13】
一次薬剤包装材料用ガラスとして請求項1〜11何れか1項記載の中性ガラスの使用。
【請求項14】
食品包装用ガラスとして請求項1〜11何れか1項記載の中性ガラスの使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は高加水分解安定性および低比率のボロン酸化物を有する中性ガラス、その製造および使用に関する。
【背景技術】
【0002】
ボロン酸化物は催奇形性であることが知られている。この事実は、ボロン酸化物研究職業的安全測定の使用が製品の製造コストを増加することを必要とする理由で、特にガラス製造の過程で関連性を有する。さらに、ガラスを浸出させるボロン成分は生存に毒性的、厳格に影響を有するかもしれない。
【0003】
その他の非常に有益な特性のために、特に化学的および物理的耐性に対して、ボロンシリケートガラスは例えばアンプルおよびシリンジのような一次薬剤包装にしばしば用いられる。
【0004】
一方でボロンシリケートの優れた特性、特に加水分解安定性に関して、を有し、かつ他方で低含有量のボロン酸化物を有するガラスを持つことが望ましい。
【0005】
この場合、処理温度は製造コストを下がるように低いことがさらに望ましい。
【0006】
従来(例えばUS 7,144,835 B2)において、高安定性を有するガラスの処理温度はガラス中のSiO
2の一部を置き換えるボロン酸化物の比較的高い量の添加によって低減される。だから、良好な処理温度で優れた安定性を有するガラスが製造できる。しかしながら、この概念はボロン酸化物の有害の発見のためにもはや使用できない。もし、ボロン酸化物の代わりに再びSiO
2が使用されるならば、低溶融温度がもはや達成できない。
【0007】
類似の方策もまたDE 44 30 710 C1で使用される。この場合、発明者は一方でAl
2O
3のような他の成分の比率の増加によって、かつ他方でSiO
2の配分の増加によってボロン酸化物の含有量を低下することを試みる。結果は、8
質量%より高いボロン酸化物の含有量の場合にのみ良好な加水分解安定性を示す、中間比率処理温度を有するガラスである。
【発明の概要】
【0008】
それゆえ、高加水分解安定性、低処理温度および非常に低含有量のボロン酸化物を有する中性ガラスを提供することが本発明の目的である。
【0009】
課題は、発明請求の範囲の主題事項によって解決される。
【0010】
特に、課題は
質量%で
SiO
2 70から79
B
2O
3 0から<5
Al
2O
3 1から<5
ZrO
2 0.5から<5
TiO
2 0.5から6
Na
2O 1から6
K
2O 3から8
Li
2O 0から0.5
SiO
2+B
2O
3 83より低い
を含む組成を有する中性ガラスによって解決される。
【0011】
好ましくはSiO
2+B
2O
3の合計は82より低く、より好ましくは81より低く、一層80より低くなる。アルミナ、酸化物およびジルコニウム酸化物の合計は10より低く、好ましくは8より低く、より一層好ましくは6.5より低くできる。
【0012】
好ましくは、本発明に係るガラスは前述した成分の少なくとも90
質量%、さらに好ましくは少なくとも95
質量%からなる。さらに好ましい態様によれば、ガラスは他の成分なしであり、他の成分はそれらが出発混合物に混合されないことを意味する。不純物はガラスに存在できる。
【0013】
本発明に係るナチョラルガラスは加水分解クラスIに分類できる。その処理温度(VA)は1260℃より低い。処理温度はガラスが処理に適切である粘度を有するときの温度である。そのような粘度は約10
4 dPasの粘度である。好ましくは、ガラスの処理温度は1220℃より低い。
【0014】
別に表示しない限り、全ての比率はそれぞれの酸化物に基づく
質量%での最終ガラス組成に関する。
【0015】
本発明に係る良好な加水分解安定性および低粘度の特性を達成するために、本発明に係る中性ガラスはTiO
2並びにZrO
2を含む。
【0016】
チタン酸化物は、中性ガラスの粘度(処理温度)を下げる。また、UV放射線に対する保護を提供し、かつ露光過度(露光による暗色化)を防ぐ。有益な特性は0.5
質量%より高い比率の場合に現れることを示す。しかし、チタン酸化物の含有量は6
質量%を超えるべきではなく、なぜならば別の方法では結果として得られたガラスの失透特性が劣化する。含有量が少なくとも0.5
質量%の前述の値を下回って下がって供給され、それからガラス粘度の増加があまりにも高くなる。好ましくは、TiO
2の最小含有量はさらに1
質量%にすべきである。
【0017】
TiO
2との併用でのZrO
2は本発明に係るガラスの加水分解安定性を支援する。それゆえ、中性ガラスにおいてそれは少なくとも0.5
質量%の含有量で含有される。好ましい態様は少なくとも1
質量%をさらに含む。低比率で、この効果は観測できない。5
質量%より低い最大比率は超えるべきではない。それに対する理由は高含有量の場合において、ガラスの粘度は増加することである。
【0018】
したがって、本発明の好ましい態様は次に定義される
質量%で次の成分の比率:
ZrO
2 1から<5
TiO
2 1から6
を有する中性ガラスに関する。
【0019】
ジルコニウム酸化物もまた2から5
質量パーセントより低い量、また3から4.5
質量%の量で存在できる。
【0020】
チタン酸化物の適切な量もまた1.5
質量%から5
質量%、また1.5から4.0
質量%である。
【0021】
成分TiO
2に対する成分ZrO
2の質量比を1.5:1と0.6:1の間の範囲に調節することが特に有益であることを示す。この質量比を満たすことによって、特に有益な加水分解安定性が達成できる。しかし、両方の成分の合計は10
質量%を超えるべきではなく、なぜならば別の方法では加水分解安定性が再び損なわれる。特に好ましい態様において、ZrO
2およびTiO
2を合わせた比率の合計は2.5
質量%より高い。絶対的に特に好ましい態様において、中性ガラスの非常に良好な安定性はそれぞれ少なくとも2.5
質量%のZrO
2およびTiO
2の比率で達成される。
【0022】
本発明に係る中性ガラスは本発明に従って低含有量のボロン酸化物を有する。ボロン酸化物は健康に有害であり、それゆえその使用は特に主要な薬剤包装材のためのガラスに対して可能な限り制限されねばならない。この理由のために、本発明に係る中性ガラスのB
2O
3の最小比率は5
質量%未満、好ましくは4.5
質量%以下に制限される。特に好ましい態様はいかなるボロン酸化物でさえも含まない。
【0023】
PbOもまた健康に有害であり、それゆえ本発明に係るガラスはこの成分を好ましくは含まれない。好ましくは、同じことは他の重金属に適用される。この発明の趣旨の重金属は鉛、クロム、鉄、コバルト、銅、マンガン、モリブデン、ニッケルおよびバナジウム;好ましくは亜鉛および錫もまた含む。
【0024】
本発明に係る中性ガラスは、少なくとも70
質量%、多くて79
質量%の量で含む。この成分の適切な量は、例えば72.75または77
質量%である。だからガラスは十分な安定性および同時に低溶融温度を有する。高比率のSiO
2で、ガラスの処理温度は増大し、一方少ない量はガラスの加水分解安定性を損なうであろう。幾つかの態様において、SiO
2はB
2O
3の少ない量でガラス形成を支援する。前述したように、ボロン酸化物は二酸化シリコンの量の一部を置き換えることができ、受容可能な融点とともに安定性を供する。両方の成分SiO
2およびB
2Oの合計は本発明に係る特性を達成するために83
質量%を下回るべきである。これらの2つの成分の合計に対する適切な量もまた81.80または79.5
質量%にできる。特に、これら成分の高い合計の場合において、あまりに高いボロン酸化物の含有量にすることなく、1260℃より好ましくは低くする処理温度に合わせることができない。好ましい態様において、SiO
2およびB
2Oの合計はさらに78.1
質量%より低い。
【0025】
ガラス形成として、SiO
2および任意にB
2OはAl
2O
3によってさらに支援される。本発明に係るガラス中のアルミニウム酸化物の含有量は少なくとも1
質量%である。好ましい態様は、少なくとも2.5
質量%のAl
2O
3を含む。より強い集積アルカリの特性によって本発明に係るアルカリ金属酸化物の高含有量を許容する。しかし、あまりにも高い5
質量%以上の含有量でガラスの粘度もまたあまりにも高くなる。
【0026】
好ましくは、本発明に係る中性ガラスは多くて15μg/gのISO719に従って加水分解安定性を有する。より好ましくは多くて14μg/g、さらに多くて13μg/gである。
【0027】
本発明に係る中性ガラスは多くて1260℃、好ましくは多くて1220度の処理温度を有する。
【0028】
特に好ましい態様は、
質量%で
SiO
2 70から79
B
2O
3 0から<5
Al
2O
3 1から<5
ZrO
2 0.5から<5
TiO
2 0.5から6
Na
2O 1から6
K
2O 3から8
Li
2O 0から0.5
ここで、ガラス中のアルカリ金属酸化物の合計は>9
質量%と14
質量%の間であり、SiO
2およびB
2O
3の比率の合計は83
質量%より低く、かつZrO
2とTiO
2を合わせた比率の合計は1
質量%と10
質量%の間である、
を含む組成を有する高加水分解安定性を持つ中性ガラスに関する。
【0029】
本発明に係る中性ガラスはカリウム酸化物およびジルコニウム酸化物を組合わせて含む。この組合せは良好な加水分解安定性を結果としてもたらす。また、ジルコニウム酸化物は失透特性を改良する。ZrO
2およびK
2Oの含有量はそれぞれ少なくとも0.5
質量%および3
質量%である。ZrO
2およびK
2Oの最大比率はそれぞれ<5
質量%および<8
質量%である。これらの最大値を超えて供されると、それぞれガラスの化学耐性が劣化され、かつガラスの粘度が増大するであろう。組合せ相手ZrO
2およびK
2Oの相乗効果のために、合計でこれら2つの成分は本発明に係るガラス中に好ましくは少なくとも8
質量%の含有量、特に好ましくは少なくとも9
質量%有する。この場合、K
2Oの含有量はZrO
2の含有量を超えることが特に好ましい。K
2Oの含有量はZrO
2の含有量より1.5倍から2.5倍であることが特に好ましい。
【0030】
本発明に係る中性ガラスは、Al
2O
3およびNa
2Oを組み合わせてさらに含み、なぜならばこの場合もガラスの加水分解安定性が増加するであろう。また、Al
2O
3は失透特性を改良する。本発明に係るガラス中のAl
2O
3およびNa
2Oの含有量はそれぞれ少なくとも1
質量%である。Al
2O
3の含有量の上限は<5
質量%であり、かつNa
2Oの含有量の上限は6
質量%である。これらの上限が超える場合、それぞれガラスの粘度が増加し、かつ化学的耐性が劣化するであろう。
【0031】
カリウム酸化物、ナトリウム酸化物およびリチウム酸化物はガラスの溶解可能性を改良し、かつ粘度を減少する。これらの成分は本発明に係るガラス中にそれぞれ多くて8
質量%、多くて6
質量%および多くて0.5
質量%含む。これらの上限を超えて供すると、それから化学的耐性が劣化する。それゆえ、本発明に係る中性ガラス中のアルカリ酸化物の合計は>9
質量%と14
質量%の間であることが好ましい。
【0032】
特に好ましい態様は、
質量%で
SiO
2 70から79
B
2O
3 0から<5
Al
2O
3 1から<5
ZrO
2 1から<5
TiO
2 1から6
Na
2O 1から6
K
2O 3から8
Li
2O 0から0.5
ここで、ガラス中のアルカリ金属酸化物の合計は>9
質量%と14
質量%の間であり、SiO
2およびB
2O
3の比率の合計は83
質量%より低く、かつZrO
2とTiO
2と共の比率の合計は2.5
質量%より高い、
を含む組成を有する中性ガラスに関する。
【0033】
本発明に係るさらに好ましい態様は、
質量%で
SiO
2 70から79
B
2O
3 0から4.5
Al
2O
3 1から<5
ZrO
2 1から<5
TiO
2 1から6
Na
2O 1から6
K
2O 3から8
Li
2O 0から0.5
ここで、ガラス中のアルカリ金属酸化物の合計は>9
質量%と14
質量%の間であり、SiO
2およびB
2O
3の比率の合計は83
質量%より低く、かつZrO
2とTiO
2と共の比率の合計は2.5
質量%より高い、
を含む組成を有する中性ガラスに関する。
【0034】
特に好ましい態様において、本発明に係る中性ガラスはB
2O
3を含まない。
【0035】
本発明によれば、
ガラス成分を混合すること、
前記ガラス成分を溶融すること、および随意に
前記ガラス溶融物を清澄すること
の工程を含む前述した中性ガラスの製造方法をさらに提供する。
【0036】
本発明によれば、一次薬剤包装材料用ガラスおよび食品包装用ガラスとして中性ガラスの使用をまた提供する。
【0037】
中性ガラスは特に有益な加水分解安定性を有する。加水分解安定性は、いわゆる加水分解等級でガラス分類を決定する。
【0038】
ガラスの加水分解等級または加水分解耐性(または安定性)は98℃での水の攻撃によってガラスからのアルカリ化合物の抽出性測定を定量化する。加水分解等級はヨーロッパ薬局方に従って薬剤使用に対してガラスの種々の分類にまた基づく。加水分解等級を決定するために、標準試験ISO719(DIN12111)が用いられる。この場合、5つの等級へのガラス分類は次の手順に従って行われる。
【0039】
300から500μmの粒子寸法を有する2gのガラスは、98℃、60分間で50mLの再蒸留水にて処理される。25mLの得られた溶液は中性条件が達するまで0.01モル/LのHClで滴定される。使用されるHCl体積が記され、かつガラスは次の表に挙げられる情報に従って等級化される。
【表1】
【0040】
したがって、標準試験ISO719は低い抽出性アルカリ成分のみ含むか、またはなしのガラスに対して適切ではなく、しかし例えば石英ガラス、B
2O
3ガラスまたはP
2O
5ガラスは水によって侵食されない。
【0041】
一般ガラスは次の等級に等級化される:
加水分解等級1(タイプI)
ボロンシリケートガラス(例えばDuran(登録商標)ガラス、Pyrex(登録商標)、Fiolax(登録商標)i.a.)はこの等級に帰属し、中性ガラスとしても指す。この等級のガラスは実質的な量のボロンおよびアルミニウム酸化物を標準的に含む。中性ガラスは、温度衝撃に対して高い耐性を有し、かつその組成のために最も高い加水分解耐性をまた有する。酸または中性溶液に対して、アルカリ溶液に対する低アルカリ量のために、非常に良好な化学的耐性を有する。
【0042】
加水分解等級2(タイプII)
標準的に、この等級はタイプIのガラスに比較して低加水分解耐性および低含有量のボロン酸化物を有するボロンシリケートガラスを含む。
【0043】
加水分解等級3(タイプIII)
加水分解等級3のガラスは標準的にソーダライムシリケートガラスからなり、かつ少なくとも10のファクターによる順に等級1のガラスの1つより低い平均加水分解耐性を有する。
【0044】
ISO719(DIN12111)に従って加水分解等級はDIN12116に従う酸等級およびDIN52322(ISO695)に従う塩基等級に分けることができる。
【0045】
次に、ISO719に従う試験の詳細な説明は示され、それは本発明に係るガラスを処する。
【0046】
50gのガラスはハンマの助けで粉砕される。砕いたビットはさらにボールミルに導かれる。製造されたガラス粒子は300μmおよび500μmのメッシュ寸法を有する篩で篩分ける。300μmの寸法を有する粒子の画分から3×3gのガラス粒子が3つのビーカに搬送される。これらのビーカにおいてガラス粒子は幾つかの水洗工程を通してアセトンの手段で浄化され、ここで付着したガラス粉末が取り除かれる。浄化されたガラス粒子はコンパートメントドライヤで140℃にて20分間乾燥される。この粒子から3×2gが50mL容積フラスコに搬送され、かつそれらは再蒸留水で満たされる。
【0047】
これらのフラスコは、水浴で98℃、1時間処理される。この処理の間に、ガラスからアルカリが溶解する。次いで、溶液は指示薬(メチルレッド)と混合され、かつ変化点が達するまで塩酸で滴定される。0.01モル塩酸の1mLの消費はガラスのgあたりNa
2Oの310μgのガラスのアルカリ放出に相当する。タイプIの加水分解安定性を有するガラスは、ガラスのgあたりNa
2Oの31μgの最大放出を有し得る。それから、加水分解安定性はISO719に従って等級HGB1に相当する。
【0048】
本発明に係るガラスは、タイプIのガラスの制限値の1/3と1/2の間のアルカリ放出を示す。もはや有効ではない(特許DE 4430710 C1に述べられる)標準DIN12111に従って測定される結果はISO719に従ってそれらと比較される。
【0049】
次の例は、本発明の説明のために供され、かつそれらの主題事項の制限にならない。
【0050】
次の表に示される成分量は、最終ガラス中に存在されるそれぞれの成分量であることを気付くべきである。特にボロン酸化物の当初に用いられる量は通常、最終ガラスに存在されるボロン酸化物の量に基づく、より高い5
質量%から15
質量%である。バッチ組成に用いられる例えば3.35
質量%のボロン酸化物は最後には最終ガラスの約3.05
質量%のボロン酸化物になる。これは本発明の例1およびガラスのそれぞれの製品に少なくとも当てはまる。
【0051】
異なる溶融条件はそれぞれの化合物、ボロン酸化物のような、の異なる気化をもたらすことを当業者の知識の範囲である。後者のコースはガラス中のボロン酸化物のようなそれぞれの化合物の異なるずれを導く。
【0052】
当業者もまたガラスの製造工程の間、例えばボロン酸化物のような化合物の気化がガラス中の残存化合物のそれぞれの増加存在の結果を生じることに当てはまるのを気付く。これは、次の例示シリカにおいて特に平均化合物(mean compound)に当てはまる。
【表2】
【表3】