【実施例】
【0024】
つぎに本発明の第1の実施例によるプリンター用脆質ラベル10を
図1ないし
図4にもとづき説明する。ただし、
図14ないし
図17と同様の部分には同一符号を付し、その詳述はこれを省略する。
図1は、プリンター用脆質ラベル10をラベル連続体として構成した場合の平面図、
図2は、
図1のII−II線拡大断面図である。
プリンター用脆質ラベル10は、帯状の台紙11と、脆質材料層12と、この脆質材料層12を被貼付け体Mに貼り付け可能とする粘着剤層13と、脆質材料層12の上層側に積層する接着剤層14と、この接着剤層14の上層側に積層する印字可能層15と、を有する。
【0025】
台紙11は、剥離剤層(図示せず)をその表面に塗布してあって、粘着剤層13の下層側にこれを仮着してある。
【0026】
脆質材料層12および粘着剤層13には、これらを貫通して任意の形状(図示の例では×印)の下層側貼り替え防止用カット16を形成している。
なお、下層側貼り替え防止用カット16は、脆質材料層12および粘着剤層13の周縁部以外、たとえば、プリンター用脆質ラベル10の中央部にこれを形成している。
もちろん、下層側貼り替え防止用カット16は、脆質材料層12および粘着剤層13の周縁部にこれを形成することもできる。
【0027】
脆質材料層12は、たとえば塩化ビニルその他任意の合成樹脂材料から、厚さ50〜100μm程度、たとえば50μm程度に形成している。
粘着剤層13は、その厚さをたとえば20〜25μm程度に形成している。
接着剤層14は、その厚さをたとえば10〜20μm程度に形成している。
印字可能層15は、たとえば上質紙、合成紙あるいはポリエチレンテレフタレート(PET)などその他任意の印字可能な材料から、合成紙なら厚さ60〜100μm程度、PETなら厚さ16〜100μm程度に形成している。
【0028】
なお、接着剤層14の接着力は、粘着剤層13の粘着力よりこれを大きくしてある。
【0029】
図3は、プリンター用脆質ラベル10を装填し、移送して印字を行うための任意の方式のプリンター(たとえば熱転写プリンター17)の概略側面図であって、熱転写プリンター17は、ラベル供給部18と、ラベル印字部19と、を有する。
【0030】
ラベル供給部18は、プリンター用脆質ラベル10をロール状に保持するとともに、プリンター用脆質ラベル10をラベル印字部19方向に帯状に繰り出し可能となっている。
【0031】
ラベル印字部19は、サーマルヘッド20およびプラテンローラー21と、熱転写リボン22のリボン供給部23およびリボン巻取り部24と、を有する。
【0032】
こうした構成のプリンター用脆質ラベル10を熱転写プリンター17に装填しても、印字可能層15の剛性および印字可能性により、ラベル印字部19の部分において、使用形態ないし使用状況に応じて必要な情報(とくに可変情報)を印字可能である。
ラベル片10Aは、熱転写プリンター17において所定の印字情報25を印字可能層15に印字し、台紙11から剥離した状態の構成であって、このラベル片10Aを被貼付け体Mに貼り付ける。
図4は、ラベル片10Aを被貼付け体Mに貼り付けた状態を示す
図2と同様の拡大断面図であって、印字可能層15には印字情報25が表示されている。
【0033】
この貼付け状態で、故意に(不正に)あるいは誤って、ラベル片10Aを被貼付け体Mからはがそうとすると、脆質材料層12自体が脆いことに加えて、脆質材料層12および粘着剤層13の下層側貼り替え防止用カット16の部分から容易に破けてしまうため、ラベル片10Aがはがされた、あるいははがされそうになったことが判明するとともに、印字可能層15は破けないままであっても、もとの貼付け状態を再現することが事実上不可能となり、不正貼り替え防止機能ないしセキュリティ機能を発揮することができる。
なお、下層側貼り替え防止用カット16自体は、表面の印字可能層15が透明であっても、印字可能層15側から視認することが事実上不可能であり、不正貼り替えを行おうとする者にその存在を容易に気づかれることがない。
【0034】
図5は、本発明の第2の実施例によるプリンター用脆質ラベル30をラベル連続体として構成した場合の平面図、
図6は、
図5のVI−VI線拡大断面図である。
プリンター用脆質ラベル30は、プリンター用脆質ラベル10(
図1)と同様に、台紙11、脆質材料層12、粘着剤層13、接着剤層14および印字可能層15を有するとともに、印字可能層15から粘着剤層13までの全層に貫いて不正貼り替え防止用カット31を形成している。
ただし、この不正貼り替え防止用カット31は、最上層の印字可能層15にも現れるので、印字可能層15の周縁部に限定してこれを形成し、中央部分における印字領域を確保可能として、印字情報25と重なり合わないようにし、印字品質を保持可能としている。
【0035】
なお、印字可能層15および接着剤層14のみに上層側貼り替え防止用カット31A(図中、仮想線を参照)を形成することもでき、この上層側貼り替え防止用カット31Aは、少なくとも印字可能層15および接着剤層14の周縁部にこれを形成することが望ましい。
【0036】
こうした構成のプリンター用脆質ラベル30を、前記熱転写プリンター17(
図3)に装填し、ラベル印字部19の部分において必要な情報を印字可能である。
ラベル片30Aは、熱転写プリンター17において所定の印字情報25を印字可能層15に印字し、台紙11から剥離した状態の構成であって、このラベル片30Aを被貼付け体Mに貼り付ける。
図7は、ラベル片30Aを被貼付け体Mに貼り付けた状態を示す
図6と同様の拡大断面図であって、印字可能層15には印字情報25が表示されている。
【0037】
この貼付け状態で、ラベル片30Aを被貼付け体Mからはがそうとすると、脆質材料層12自体が脆いことに加えて、印字可能層15および接着剤層14、さらには脆質材料層12および粘着剤層13の不正貼り替え防止用カット31の部分のいずれかから容易に破け、もとの貼付け状態を再現することが事実上不可能となり、不正貼り替え防止機能ないしセキュリティ機能を発揮することができる。
なお、上層側貼り替え防止用カット31Aを印字可能層15および接着剤層14のみに形成した構成であっても、印字可能層15および接着剤層14はこの上層側貼り替え防止用カット31Aから破れやすく、脆質材料層12および粘着剤層13は脆質材料層12自体が脆いので同じく容易に破れやすいとともに、脆質材料層12および粘着剤層13が上層側貼り替え防止用カット31Aと同一部位から破けるわけではなく、もとの貼付け状態を再現することがさらに困難である。
【0038】
図8は、本発明の第3の実施例によるプリンター用脆質ラベル40をラベル連続体として構成した場合の平面図、
図9は、
図8のIX−IX線拡大断面図である。
プリンター用脆質ラベル40は、プリンター用脆質ラベル10(
図1)およびプリンター用脆質ラベル30(
図5)とは異なって、台紙11を持たない台紙なしラベルとして構成してあるもので、脆質材料層12と、粘着剤層13と、接着剤層14と、印字可能層41を有するとともに、単葉のプリンター用脆質ラベル40Aを切断予定線42(仮想線)の部分で連続して構成している。
【0039】
脆質材料層12および粘着剤層13には、前記プリンター用脆質ラベル10(
図1)と同様に、これらを貫通して前記下層側貼り替え防止用カット16(
図2)を形成している。
【0040】
上記印字可能層41は、その可能層基材43の上層に感熱発色剤層44および剥離剤層45を有する。したがって、プリンター用脆質ラベル40をロール状に巻いた状態であっても、ロールの内層側において粘着剤層13が剥離剤層45に貼り付いてしまうことはなく、プリンター用脆質ラベル40をロール状から帯状に繰り出すことができる。
【0041】
図10は、プリンター用脆質ラベル40を装填し、移送して印字を行うための熱発色方式のサーマルプリンター46の概略側面図であって、サーマルプリンター46は、前記熱転写プリンター17(
図3)と同様に、ラベル供給部18と、ラベル印字部19と、を有するが、ラベル印字部19は、サーマルヘッド20およびプラテンローラー21のみを備えており、熱転写リボン22およびそのリボン供給部23およびリボン巻取り部24を備える必要がない。ただし、プラテンローラー21には、粘着剤層13が貼り付くことがない剥離性材料を採用するか、剥離剤層を形成しておく必要がある。
さらに、ラベル印字部19の下流側にラベル切断部47を設けておき、上記切断予定線42の部分で切断することにより、単葉のプリンター用脆質ラベル40Aを発行することができる。あるいは切断予定線42に相当する部分にミシン目(図示せず)などを形成しておくことにより、引きちぎり可能とすることもできる。
【0042】
こうした構成のプリンター用脆質ラベル40をサーマルプリンター46に装填しても、印字可能層41の剛性および印字可能性により、ラベル印字部19の部分において必要な情報を印字可能である。
単葉のプリンター用脆質ラベル40Aは、サーマルプリンター46において所定の印字情報48(
図9の仮想線)を印字可能層41に発色印字し、そのままこれを被貼付け体Mに貼り付けることができる。
【0043】
この貼付け状態で、故意に(不正に)あるいは誤って、単葉のプリンター用脆質ラベル40Aを被貼付け体Mからはがそうとすると、脆質材料層12自体が脆いことに加えて、脆質材料層12および粘着剤層13の下層側貼り替え防止用カット16の部分から容易に破けてしまうため、印字可能層41は破けないままであっても、もとの貼付け状態を再現することが事実上不可能となり、不正貼り替え防止機能ないしセキュリティ機能を発揮することができる。
【0044】
図11は、本発明の第4の実施例によるプリンター用脆質ラベル50をラベル連続体として構成した場合の平面図、
図12は、
図11のXII−XII線拡大断面図である。
プリンター用脆質ラベル50は、プリンター用脆質ラベル10(
図1)およびプリンター用脆質ラベル30(
図5)と同様に、台紙11、脆質材料層12、粘着剤層13、接着剤層14および印字可能層15を有するとともに、脆質材料層12と接着剤層14との間の一部の領域(図示の例では中央部分の領域)に接着剤不活性化層51を積層している。
接着剤不活性化層51は、接着剤層14の接着剤を不活性化可能な任意の印刷用インキその他の塗布材料などを印刷塗布するもので、たとえば厚さ3〜7μm程度、たとえば5μm程度に形成している。
【0045】
こうした構成のプリンター用脆質ラベル50を、熱転写プリンター17に装填しても、印字可能層15の剛性および印字可能性により、ラベル印字部19の部分において必要な情報を印字可能である。
ラベル片50Aは、熱転写プリンター17において所定の印字情報25を印字可能層15に印字し、台紙11から剥離した状態の構成であって、このラベル片50Aを被貼付け体Mに貼り付ける。
図13は、ラベル片50Aを被貼付け体Mに貼り付け、さらにラベル片50Aを被貼付け体Mからはがしたときの状態を示す
図12と同様の拡大断面図であって、印字可能層15には印字情報25が表示されている。
【0046】
この貼付け状態で、ラベル片50Aを被貼付け体Mからはがそうとすると、脆質材料層12と接着剤層14との間に接着剤不活性化層51が積層されているとともに脆質材料層12自体が脆いために、
図13に示すように、接着剤不活性化層51以外の領域部分に対応するラベル片50Aが被貼付け体Mから分離した状態で、はがされることになる。
すなわち、接着剤不活性化層51の下層側に積層している脆質材料層12の部分から容易に破け、接着剤不活性化層51から下層側の積層体51Aのみが被貼付け体Mに貼り残され、もとの貼付け状態を再現することが事実上不可能となり、不正貼り替え防止機能ないしセキュリティ機能を発揮することができる。
【0047】
なお図示は省略するが、接着剤不活性化層51の周縁部をめぐって脆質材料層12および粘着剤層13に不活性化層周縁部カットを形成しておき、上述のような分離構成を実現しやすくすることもできる。