(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5791899
(24)【登録日】2015年8月14日
(45)【発行日】2015年10月7日
(54)【発明の名称】紫外光処理チャンバー
(51)【国際特許分類】
B01J 19/12 20060101AFI20150917BHJP
C02F 1/32 20060101ALI20150917BHJP
A61L 2/10 20060101ALI20150917BHJP
G01N 21/33 20060101ALI20150917BHJP
【FI】
B01J19/12 C
C02F1/32
A61L2/10
G01N21/33
【請求項の数】22
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2010-539632(P2010-539632)
(86)(22)【出願日】2008年12月11日
(65)【公表番号】特表2011-509169(P2011-509169A)
(43)【公表日】2011年3月24日
(86)【国際出願番号】US2008086305
(87)【国際公開番号】WO2009079309
(87)【国際公開日】20090625
【審査請求日】2011年11月18日
(31)【優先権主張番号】11/959,445
(32)【優先日】2007年12月18日
(33)【優先権主張国】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】508064735
【氏名又は名称】ネオ・テク・アクア・ソリューションズ、インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Neo Tech Aqua Solutions,Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100075672
【弁理士】
【氏名又は名称】峰 隆司
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100140176
【弁理士】
【氏名又は名称】砂川 克
(74)【代理人】
【識別番号】100124394
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 立志
(74)【代理人】
【識別番号】100112807
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 貴志
(74)【代理人】
【識別番号】100111073
【弁理士】
【氏名又は名称】堀内 美保子
(72)【発明者】
【氏名】クーパー、ジェームズ・ランダール
(72)【発明者】
【氏名】メイ、リチャード
【審査官】
増田 健司
(56)【参考文献】
【文献】
特開平07−213643(JP,A)
【文献】
特開2004−121577(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2007/0045561(US,A1)
【文献】
特開2005−152708(JP,A)
【文献】
特開昭58−214388(JP,A)
【文献】
特開2006−082085(JP,A)
【文献】
特開2001−066422(JP,A)
【文献】
特表2007−502200(JP,A)
【文献】
実開平02−095585(JP,U)
【文献】
実開昭49−119441(JP,U)
【文献】
実開昭51−106236(JP,U)
【文献】
米国特許出願公開第2005/0115498(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01J 19/12
A61L 2/10
C02F 1/32
G01N 21/33
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一つの内表面を有するチャンバーを備え、前記チャンバーは、少なくとも80パーセントが閉塞されており、
紫外線(UV)透過性管を備え、前記UV透過性管は、前記チャンバー内に配置され、そこを通る液体の通路に適合されており、
UVランプを備え、前記UVランプは、前記UV透過性管内に配置されており、
前記チャンバーと前記透過性管の間に配置された反射性物質を備え、前記反射性物質は、前記UVランプの少なくとも80パーセントを包むように配置されており、前記反射性物質は、前記UVランプによって発せられた光の少なくとも一部を反射するように適合されており、前記反射性物質は、前記光に対して少なくとも80パーセントの反射率を有しており、
前記反射性物質が前記UVランプの少なくとも80パーセントを包むことと、前記内表面の反射率が少なくとも80パーセントであることは、前記チャンバー中の標的への紫外線の放射線量を作り出すのに有効であり、前記紫外線の放射線量は、前記光に対する前記チャンバーの吸収度に反比例し、前記反射率と前記チャンバーの閉塞の程度は前記吸収度に影響を及ぼす、液体の処理のための装置。
【請求項2】
前記UVランプからの第一の光と前記反射性物質から反射された第二の光および次の光との合流が、液体の体積内に生じる均一な光分布を作り出す、請求項1の装置。
【請求項3】
前記液体が紫外光に対して透過性であり、前記液体中のフルエンスが増大される、請求項2の装置。
【請求項4】
前記反射性物質は、前記チャンバーの前記少なくとも一つの内表面に内張りするように配置されている、請求項1の装置。
【請求項5】
前記反射性物質は、前記チャンバーの前記少なくとも一つの内表面に前記反射性物質を被覆することによって配置されている、請求項1の装置。
【請求項6】
前記反射性物質は、前記UV透過性管の少なくとも一つの外側表面に前記反射性物質を被覆することによって配置されている、請求項1の装置。
【請求項7】
前記UVランプは、前記UV透過性管内の透過性保護スリーブ内に配置されている、請求項1の装置。
【請求項8】
前記反射性物質は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、延伸ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)、被覆されたアルミニウム、陽極処理されたアルミニウム、研磨されたアルミニウムから成る群のいずれかで構成されている、請求項1の装置。
【請求項9】
前記反射性物質は、バインダーと反射性の添加物の混合物である、請求項1の装置。
【請求項10】
前記反射性の添加物は、硫酸バリウム、フッ化マグネシウム、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化ホルミウム、酸化カルシウム、酸化ランタン、酸化ゲルマニウム、酸化テルル、酸化ユウロピウム、酸化エルビウム、酸化ネオジム、酸化サマリウム、酸化イッテルビウム、酸化ジルコニウムから成る群のいずれかである、請求項9の装置。
【請求項11】
前記紫外線UV透過性管が前記チャンバーに入り出るための入口および出口ポートをさらに備えている、請求項1の装置。
【請求項12】
前記液体と相互作用する紫外線の放射照度が0.01W/cm2と20W/cm2の範囲にある、請求項1の装置。
【請求項13】
少なくとも一つの内表面を有するチャンバーを備え、前記チャンバーは、少なくとも80パーセントが閉塞されており、
紫外線(UV)透過性管を備え、前記UV透過性管は、前記チャンバー内に配置され、そこを通る液体の通路に適合されており、
UVランプを備え、前記UVランプは、前記UV透過性管内に配置された透過性保護スリーブ内に配置されており、
前記チャンバーと前記透過性管の間に配置された反射性物質を備え、前記反射性物質は、前記UVランプの少なくとも80パーセントを包むように配置されており、前記反射性物質は、前記UVランプによって発せられた光の少なくとも一部を反射するように適合されており、前記反射性物質は、前記光に対して少なくとも80パーセントの反射率を有しており、
前記反射性物質が前記UVランプの少なくとも80パーセントを包むことと、前記内表面の反射率が少なくとも80パーセントであることは、前記チャンバー中の標的への紫外線の放射線量を作り出すのに有効であり、前記紫外線の放射線量は、前記チャンバーの吸収度に反比例し、前記反射率と前記チャンバーの閉塞の程度は前記吸収度に影響を及ぼし、
前記UVランプからの第一の光と前記反射性物質から反射された第二の光および次の光との合流が、前記液体の体積内に生じる均一な光分布を作り出す、液体の処理のための装置。
【請求項14】
前記液体中における紫外線の透過率は、光源からチャンバー壁までの距離で、5パーセントから95パーセント減衰する、請求項13の装置。
【請求項15】
前記反射性物質は、前記チャンバーの前記少なくとも一つの内表面に内張りするように配置されている、請求項13の装置。
【請求項16】
前記反射性物質は、前記UV透過性管の少なくとも一つの外側表面に前記反射性物質を被覆することによって配置されている、請求項13の装置。
【請求項17】
前記反射性物質は、前記チャンバーの前記少なくとも一つの内表面に前記反射性物質を被覆することによって配置されている、請求項13の装置。
【請求項18】
前記反射性物質は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、延伸ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)、被覆されたアルミニウム、陽極処理されたアルミニウム、研磨されたアルミニウムから成る群のいずれかで構成されている、請求項13の装置。
【請求項19】
前記反射性物質は、バインダーと反射性の添加物の混合物である、請求項13の装置。
【請求項20】
前記反射性の添加物は、硫酸バリウム、フッ化マグネシウム、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化ホルミウム、酸化カルシウム、酸化ランタン、酸化ゲルマニウム、酸化テルル、酸化ユウロピウム、酸化エルビウム、酸化ネオジム、酸化サマリウム、酸化イッテルビウムおよび酸化ジルコニウムから成る群のいずれかである、請求項19の装置。
【請求項21】
前記紫外線UV透過性管が前記チャンバーに入り出るための入口および出口ポートをさらに備えている、請求項13の装置。
【請求項22】
前記液体と相互作用する紫外線の放射照度が0.01W/cm2と20W/cm2の範囲にある、請求項13の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、紫外光を使用する液体と気体の処理のための方法と装置に一般に関する。
【背景技術】
【0002】
地方自治
体の飲料水の供給、生産加工や製薬製造のための超純水装置、実験作業での使用のための水と試薬、無菌室で使用される気体など、液体や気体の汚染を低減するためにさまざまな取り組み手法が使用されている。そのような取り組み手法は、化学エアゾール剤、合成保存料、精密ろ過、そのような物質の必要
性を、また液体および/または気体の処理のためのプロセスを低減または除去するためにしばしば使用される。
【0003】
管状本体の外のUV光によって媒体を照射するための装置が説明され、たとえば米国特許第4,948,980号に説明されており、それは参照によってここに組み込まれる。米国特許第4,948,980号は、照射されるべき媒体がそれを通って流れる管状本体と、管状本体の外に配置された平行軸を有する反射体を備えた少なくとも二つのUV光源とから成る装置を提供する。米国特許第4,948,980号に説明される装置は、ランプによって提供される光パターンの均一さを制御する鏡面反射体に頼っている。ランプ源は、反射体中の光学影響を最小にするために、比較的平らで、鏡面反射体内のエッジに配列されている。残念ながら、米国特許第4,948,980号は、液体または気体を有効に処理するために提供され得る線量の量をかなり限定する取り組み手法を説明する。たとえば、米国特許第4,948,980は、低吸収断面で液体または気体を処理する高反射率拡散反射面の使用を認めておらず、また、その特許は、全チャンバーの正味反射率が100パーセントに近づくにつれた標的に提供される線量の大きい増大を予想してもいない。
【0004】
米国特許出願2004/0166018号は、参照によってここに組み込まれ、拡散反射挙動を有する内表面を備えたUV空気殺菌室を説明する。殺菌室チャンバーは、空気がチャンバーを通って流れるための入口開口と出口開口と、UV光を発する光源を有している。残念ながら、米国特許出願2004/0166018号に説明される取り組み手法はいくつかの問題を抱える。たとえば、これらの取り組み手法は総チャンバー体積と比較して透明または半透明閉じ込め体積を増加させることを試みないので、装置の性能が最大に高められない。さらに、使用される反射体が、処理される媒体から分離されず、また、チャンバーを開けずにランプを交換するオプションがなく、それによりシステムを使用および維持することに困難さを増加させる。
【0005】
参照によってここに組み込まれる米国特許第6,228,332号では、短期間・高輝度パルス広域スペクトル多色光が、微生物の不活性化ための水を処理するために使用される。米国特許第6,228,332号に説明されるように、水中の微生物の不活性化は、少なくとも一つの短期間・高輝度パルス広域スペクトル多色光で水を照明することを必要とする。システムは、流水ための入口ポートと出口ポートを有する防水ハウジングを有している。微生物を不活性化するための管状光源と水流を方向付けるための管状バッフルは、防水ハウジング内に配置されている。水は入口ポートに入り、防水ハウジングと管状バッフルの間を一方向に流れ、管状バッフルの端部を回り、管状バッフルの中心を第二の方向に戻り、出口ポートを出る。この場合、水は、少なくとも一つの広域スペクトル多色光の短期間・高輝度パルスを提供する管状光源のまわりを流れる。しかしながら、この特許に説明される取り組み手法はいくつかの問題を抱える。たとえば、米国特許第6,228,332号に説明される取り組み手法の効率は限定される。それは、これらの取り組み手法が、液体または気体標的を処理するために、反射面を使用しないか、処理チャンバーを実質的に閉塞しないからである。
【0006】
本発明は、さまざまな実施形態において、上記および他の要望と問題に応える。
【発明の概要】
【0007】
本発明は、さまざまな実施形態において、紫外光を使用する液体と気体の処理のための方法と装置に一般に関する。地方自治
体の飲料水の供給、生産加工や製薬製造のための超純水装置、実験作業での使用のための水と試薬、無菌室で使用される気体など、液体や気体の汚染を処理および/または低減することを有利に可能にする取り組み手法がここに説明される。取り組み手法はここに提供し、使用するのに容易で実行するのに経済的であり、以前の取り組み手法と比較して所定電源入力に対して標的液体または気体のための高い有効処理線量を提供する。取り組み手法は、生物学的因子を低減または除去するために使用され得る。加えて、これらの取り組み手法は、化学物質を排除または除去または活性化するために使用され得る。
【0008】
一実施形態では、液体の処理のための装置は、少なくとも一つの内表面を有するチャンバーを有している。チャンバーは、少なくとも80パーセントが閉塞されている。装置はまた紫外線(UV)透過性管を有しており、それは、チャンバー内に配置され、そこを通る液体(または気体)の通路に適合されている。装置はさらにUVランプを有しており、UVランプはUV透過性管内に配置されている。反射性物質はチャンバーと透過性管の間に散在されており、反射性物質はUVランプによって発せられた光の少なくとも一部を反射するように適合されている。一例では、反射性物質は少なくとも80パーセント反射性である。
【0009】
これらの実施形態の多くにおいて、UVランプからの第一の光と反射性物質から反射された第二の光(および次の光)の合流が、液体の体積内に生じる不測な全般的に均一な光分布を作り出す。言いかえれば、この取り組み手法を使用する光分布は、予想よりも、また以前のシステムと比較して、全体的に均一である。
【0010】
これらの実施形態の他のものでは、高透過性液体または気体を使用するとき、増大されたフルエンスが、より良い反射体または反射面によって達成される。この場合、液体を囲んでいる相当な表面積(たとえば80%以上)が高反射性である。
【0011】
さらに他の実施形態では、増大された均一さと増大されたフルエンスが達成される。液体の透過率が実質的に高ければ、均一さの増大が生じ得るが、増大されたフルエンスと同じくらい性能に影響を与える。
【0012】
反射性物質は、さまざまな異なる方法で配置され得る。一例では、反射性物質は、チャンバーの内表面に内張りするように配置されている。別の例では、反射性物質は、透過性管の外側表面に装着されている。別の例では、反射性物質は、チャンバーの内表面に反射性物質を被覆することによって配置されている。
【0013】
UVランプも、多くの異なる構成と位置に配置され得る。一例では、UVランプは、UV透過性管内の透過性保護スリーブ内に配置されている。UVランプの他の構成と配置が可能である。
【0014】
加えて、反射性物質は、多くの異なる調合物によって構成され得る。たとえば、反射性物質は、ポリ
テトラフルオロエチレン(PTFE)、延伸ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)、被覆されたアルミニウム、陽極処理されたアルミニウム、研磨されたアルミニウムであり得る。さらに、反射性物質は、バインダーと反射添加物の混合物であり得る。反射添加物が使用される場合、反射添加物は、硫酸バリウム、フッ化マグネシウム、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化ホルミウム、酸化カルシウム、酸化ランタン、酸化ゲルマニウム、酸化テルル、酸化ユウロピウム、酸化エルビウム、酸化ネオジム、酸化サマリウム、酸化イッテルビウム、酸化ジルコニウムであり得る。
【0015】
装置はまた、紫外線UV透過性管がチャンバーに入り出る入口および出口ポートを有し得る。ポートの各々は、多くの異なる構成を想定し得る。
【0016】
加えて、この取り組み手法によって提供される紫外線放射度はさまざまな異なる範囲に置かれ得る。一例では、液体に影響を与える紫外線放射度は、約0.01W/cm
2と20W/cm
2の範囲にある。他の範囲の例も可能である。
【図面の簡単な説明】
【0017】
添付図面と関連する続く説明の参照によって、本実施形態およびそれらを達成する手法の上述および他の目的と特徴は明白になるであろう、また、本実施形態それ自体が最も理解されるであろう。
【
図1】
図1は、本発明の実施形態による紫外光処理システムの一例を示している概略である。
【
図2】
図2は、本発明の別の実施形態による紫外線処理システムの別の例の概略図である。
【
図3】
図3は、本発明の他の実施形態による
図2の紫外線処理システムの縦断面である。
【
図4】
図4は、本発明の他の実施形態による
図2と3の処理システムの外部斜視図である。
【
図5】
図5は、本発明の他の実施形態による
図2〜5の紫外線処理システムの側面図である。
【
図6】
図6は、本発明の実施形態による紫外光処理システムの光吸収特性を示しているグラフである。
【
図7】
図7は、本発明の実施形態による紫外光処理システムの光吸収特性を示しているグラフである。
【
図8】
図8は、本発明の実施形態による紫外光処理システムの光吸収特性を示しているグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
好適な実施形態の詳細な説明
以下は、発明を実施するためにいま考慮されたベストモードを含む説明である。この説明は、限定する意味に取られるべきではなく、発明の一般的な原理を単に説明するために成されている。発明の要旨は、提出された請求の範囲を基準にして把握されるべきである。
【0019】
ここに説明される装置は、標的液体または気体を指定線量レベルに処理するために必要とされる総UVパワーの大幅な低減を提供する。これは、壁を有するチャンバー内の標的とUV光源を超高反射率内張りまたは被覆で閉塞することによって、また、チャンバー壁の開口の大きさおよび個数とチャンバー内の吸収表面とを最小にすることによって実施される。チャンバー設計は、増大された光子付着を可能にして、強調されたUV照射効率をもたらす。これらの条件の両方を組み合わせることによって相乗作用が達成される。それは、チャンバー壁反射率と閉塞されたチャンバーのパーセンテージが100パーセントに近づくにつれて標的に提供される線量が指数関数的に増大するからである。結果の相乗効果は、条件の各々の単独の効果の合計よりも効率的である。たとえば、99%反射壁の完全閉塞チャンバーは、90%反射壁の同じチャンバーの10倍の線量を標的に提供する。
【0020】
液体または気体をチャンバー壁から分離する透過性管内での液体または気体の処理は利点を有する。そのような管は、上述のチャンバーに導入され得る。透過性管の標的に提供される線量と標的を管内部に運ぶ透過性媒体とを最大にするために、透過性管は、チャンバー体積を可能な限り多く閉塞するべきである。これは、透過性管を通過して標的エリアに入って行かずに壁の間で反射される光の量を最小にする。
【0021】
紫外光は、可視光よりも波長が短く、10と400nmの間の測定波長を有すると考えられ、一般に7.5×10
14ないし3×10
16Hzの間の周波数に対応している。電磁スペクトルにおいて、紫外光は、可視スペクトル中の紫光よりも短い波長を有し、またX線よりも長い波長を有している。紫外光は三つのカテゴリー、近紫外線(NUV)と遠紫外線(FUV)と極紫外線(EUV)に分類され、近紫外線は、可視光に最も近く400から300nmまでの波長から成る近紫外線(NUV)、遠紫外線は、NUVの後に位置し、300から200nmまでの波長から成り、極紫外線は、FUVの後でX線の前に位置し、200から100nmまでの波長から成る。紫外光はまた、生物学的作用に基づいて、前述の指示に直接相当しないUV−A(400〜320nm)とUV−B(320〜280nm)とUV−C(280〜100nm)帯域に分類される。
【0022】
200nmよりも長い波長をもつUV光子によって刺激されたとき、ほとんどのUV照射プロセスが生じ得るが、多くの用途は、プロセス速度を増大させるためにサブ200nm光を使用する。この体制では、ほとんどの光源の効率は比較的低い。この低い効率は、それらの所望の標的にUV光子を提供する効率的なシステムの必要性をさらに駆り立てる。
【0023】
一般に、液体と気体使用紫外光の処理のための方法と装置がここに以下に説明される。続く説明は液体と気体状物質の処理に特に向けられているが、本実施形態の装置は、懸濁液または乳濁液中の粒子や食料、外科用器具、同様物など、固体物質の処理に容易に適合され得ると理解すべきである。たとえば、処理チャンバーは、管物質と入口および出口ポートを排除するように適合され、固体物質の配置のための空洞に置換され得る。この装置は、完全またはほとんど完全に閉塞された処理チャンバーを提供し得る。固体物質に加えて、試薬のバイアルや、血液と血液構成成分の小袋、他の包装された液体と気体など、コンテナに閉塞された液体と気体がわずかな修正済装置を使用して処理され得る。
【0024】
紫外光は、バクテリアやウイルス、菌類、型胞子、原生動物、同様な生物学的物質を含む微生物を不活性化するか死滅させるのに有用である。不活性化は、そのような核酸すなわちデオキシリボ核酸(DNA)および/またはリボ核酸、タンパク質たとえば酵素(RNA)、生体分子を紫外放射が変更するか変化させるときに引き起こされる。天然DNAが十分なレベルの紫外放射にさらされるとき、突然変異が遺伝物質中に形成される。最も一般的な突然変異は、5,6−シクロブチルジピリミジン(5,6-cyclbutyl dipyrimidines)やピリミジン二量体、ピリミジン付加物、ピリミジン水和物、DNAタンパク質架橋である。直接的タンパク質損傷はそれほど一般的でないが、290nmよりも大きい波長を吸収するタンパク質による他の生体分子の間接的損傷は特に関連がある。これらの波長のタンパク質吸収性物質は一般にトリプトファンとチロシンを含んでいる。酸素の存在下において、トリプトファンの励起三重項状態から酸素へのエネルギー転送は一重項酸素を生成することを生じる。したがって、タンパク質中のトリプトファンは、遊離基酸素を生成することによってUVB波長帯域中で内因的光増感剤として作用し、それはタンパク質や不飽和脂質、核酸中の基剤と反応する。いずれの場合も、紫外放射は、細胞蛋白質と脂質と炭水化物に損傷を引き起こし得る一重項酸素および水酸基遊離基の生成を促進する。
【0025】
紫外放射が有機体の膜に浸透し、その遺伝物質とより少ない程度にタンパク質(たとえば酵素)を変更するとき、膜状微生物は不活性化または死滅される。有機体が著しいバイオ分子損傷を受けた場合、微生物は死に得る。遺伝および/または蛋白質物質が、おそらく完全に破壊されなかったが、変更された場合、微生物はもはや再生することができない。ほとんどの微生物の短い寿命と結び付けて考えると、再生する能力なしでは、個体数は、紫外放射で処理された物質中で急速に縮小する。
【0026】
ウイルスの場合、紫外放射が遺伝物質を変化させるので、ウイルスはもはや、ホスト細胞組織を使用して、ホスト細胞を感染させたりホスト有機体内で増殖したりすることができない。腸内細菌排泄腔や肺炎杆菌、緑膿菌、ネズミチフス菌A、コレラ菌、エシェリスキア大腸菌などの典型的なバクテリアの99.99%を不活性化するためのUV線量は20と30mJ/cm
2の間にある。胞子状態の枯草菌などの芽胞形成菌については、線量はさらに高く、通常少なくとも60mJ/cm
2である。ポリオやロタウイルスなどのウイルスの不活性化は30と40mJ/cm
2の間の線量を必要とするが、他のウイルスはさらに高い線量を必要とすることがある。クリプトスポリジウムパルブムとギアリダ属ムリスなどの原生動物は10mJ/cm
2ほどの低い線量で死滅した(紫外線応用ハンドブック第二版、ジェームズ・R・ボルトン、ボルトン・フォトサイエンス社、2001年度、37ページ)。
【0027】
紫外光はまた、化学物質、特に有機化学物質を、安全であるか、活性炭濾過か樹脂ベッドか逆浸透によって容易に排除され得る成分へ分解するために使用される。それらはいずれも、ここに説明される装置や方法と関連して使用され得る特徴である。この分解は、直接的光子吸収または、水分子またはもしかすると他のOH基の源との紫外光の相互作用によって化学分子中に生成されるOH基による分解による両方に起因する。分解はまた、紫外光を使用することに組み合せてオゾンまたは過酸化水素を追加するなどの先進酸化法を使用することによって達成され得る。
【0028】
有機物質中の共通の化学的結合についての解離波長およびこの解離を引き起こし得る最大波長の表が以下に示される。
【表1】
【0029】
図1に移ると、処理チャンバーの描写が描かれている。チャンバー100と紫外線ランプ102と紫外線透過性管104と液体106と光反射性物質108とオプションの透過性管(またはランプスリーブ)110が示されている。あるいは、紫外線ランプは、紫外線透過性管104内に閉塞されてもよい。チャンバー100は、紫外線ランプ102と光透過性管104を包含している。紫外線ランプ102は、オプションの透過性管110によって閉塞され得る。
図1に示されるように、チャンバー100は、光反射性物質108で被覆またはカバーまたは内張りされ得る。
図1に示されるように、紫外線ランプ102は、紫外線透過性管104からの物理的分離位置に設置され得る。光透過性管104は、紫外線ランプ102によって提供される紫外光にさらされるチャンバー100を通って走っている。管104は、たとえば、水や空気、実験試薬、血液構成成分(たとえば赤血球、白血球、血漿)消費用飲料、同様物を含む、いかなるタイプの液体や気体212をも運び得る。したがって、液体106が紫外線透過性管104を通過するとき、液体106は、液体106の処理に有用な紫外光子にさらされる。
【0030】
図1のチャンバー100は、チャンバー100を通って走る紫外線透過性管104のための入口および出口ポート(図示しない)を有している。しかしながら、入口および出口ポートは、チャンバー100が可能な限り実質的に閉塞されるようにするように作られている。たとえば、入口および/または出口ポートは、チャンバーの閉塞を高めるために気体および/または液体流れのためのL字か螺旋か蛇行の経路を利用し得る。閉塞をさらに増強するために、流れ経路が、より小さい直径にしぼめられたり、反射体が、光が導入される区域を超える距離に延長されたりし得る。加えて、チャンバー100内の光閉じ込めを最適化するためにバッフルなどのある特徴が装置に組み込まれてもよい。いずれの場合も、前述の技術と装置の任意の数および組み合わせが、チャンバー閉塞を高めるために使用されてもよい。さらに以下に説明されるように、チャンバー100が100パーセント閉塞に近づき、反射性物質が100パーセント反射率に近づくとき、装置は最高効率に達する。
【0031】
図1に描かれたチャンバー100は反射性物質108で被覆されているけれども、いかなるタイプの反射性物質または装置が使用されてもよいと理解すべきである。たとえば、チャンバー100の内部に被覆され得る反射性物質108は、ポリ
テトラフルオロエチレン(PTFE)か延伸ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)か他の同様なプラスチック、または被覆か陽極処理か研磨されたアルミニウムであり得る。別の実施形態では、反射性物質108は、チャンバー壁の近くにあるが必ずしも取り付けられている必要のない拡散または鏡面反射体などの反射体であってもよい。いかなるタイプの鏡面反射体が、いかなるタイプの形状で、本実施形態で使用されてもよい。いかなる形状においても、反射性物質108は高レベルの反射率を有するべきである。一実施形態では、反射性物質108の反射率レベルは、80パーセントないし100パーセントの範囲、より好ましくは90パーセントないし100パーセントの範囲にある。
【0032】
正確なパーセント反射率は装置の特定の要望に依存して変わり得るけれども、反射率が高ければ高いほど処理チャンバーの効率は高いと理解すべきである。たとえば、99パーセント反射率の反射性物質を備えた完全閉塞チャンバーと比較して90パーセント反射率の反射性物質を備えた完全閉塞チャンバーは標的に低い線量を有する。例示的な標的と壁がチャンバーの唯一の吸収体であるとすると、平均で光子は、反射性物質によって吸収される前に99パーセント反射チャンバーでは90パーセント反射チャンバーよりも10倍以上あちこちに反射される。したがって、チャンバーが全体的に閉塞されるとき、99パーセント反射チャンバーでは90パーセント反射チャンバーよりも標的によって吸収される光子はおそらく10倍以上である。したがって、99パーセント反射チャンバーは紫外光線量を標的に90パーセント反射チャンバーの10倍提供する。
【0033】
同様に、99パーセント閉塞チャンバーは90パーセント閉塞チャンバーよりも高い紫外光線量を標的に提供する。低閉塞チャンバーでは、光子はより多くチャンバーの外に反射されやすく、したがって、標的によって吸収される光子の可能性を減少させる。そのため、標的物質に最終的に提供される紫外光処理の線量は吸収度に反比例し、装置コンポーネントの反射率とチャンバーの閉塞度は吸収度に影響する。
【0034】
紫外線ランプ102は、紫外放射を提供するのに有用ないかなるタイプであってもよい。たとえば、低圧水銀ランプや中圧水銀ランプ、エキシマーランプ、キセノンと他の充てん混合物を備えたフラッシュランプ、マイクロ波駆動ランプが本実施形態で使用され得る。紫外線ランプは、H
2O
2やO
3などの酸化剤を使用する先進酸化による生物学的物質の不活性化または死滅や、化学物質の直接的破壊、化学物質の間接的破壊のために400nm未満の少なくとも一つの波長を標的に提供する。紫外線ランプ102は、技術者がメインチャンバーを開けることなくランプを交換することを可能にするオプションの透過性管110によって閉塞され得る。そのような管はオプションで、動作の容易さための本実施形態に適用され得る。しかしながら、本実施形態はランプスリーブ110がなくても機能する。
【0035】
紫外線透過性管104は、紫外光に対して実質的に透過性であるいかなる物質製であってもよい。処理チャンバーの最高効率を達成するため、紫外線透過性物質は可能な限り100パーセント透過率に近いことが望ましい。100パーセント透過率が可能でない場合、300nm未満の波長において80パーセント透過率よりも一般に高い、融解石英(Heraeus Heralux、Momentive214)や合成水晶(Heraeus Suprasil、Momentive021および022)、フッ素添加シリカ(旭硝子AQX)、サファイア(Saphikon EFGサファイア)などの物質が有用である。
【0036】
液体を処理するシステムのための構成の他の例は、「赤外光処理チャンバー(ULTRAVIOLET LIGHT TREATMENT CHAMBER)」と題する同時継続中の米国出願シリアル番号11/217,772に示されており、それは参照によってここで組み込まれる。
【0037】
図2〜5をいま参照すると、液体または気体の紫外線(UV)処理のためのシステムの別の例が説明される。システムはランプ202を有して
おり、それは内スリーブ204内に包まれている。内スリーブ204はそれ自体、透過性管206(または保護層)の中に閉塞されており、透過性管206は処理チャンバー208内に配置されている。処理チャンバー208は、透過性管206と処理チャンバー208の間に散在された反射性物質210を有している。この例では、反射性物質210はその内表面に配置されている。さらに、反射性物質210は透過性管206の外側表面に配置されてもよい。あるいは、反射性物質210は透過性管206に取り付けられてもよく、また、反射性物質210は自立型構造であってもよい。反射性物質210について他の配置と構成も可能である。液体または気体212は透過性管206を通過する。一例では、処理チャンバー208は少なくとも80パーセントが閉塞されている。
【0038】
透過性管206は、紫外線ランプ202によって提供される紫外光にさらされるチャンバー208を通って走っている。管206は、たとえば、水や空気、実験試薬、血液構成成分(たとえば赤血球、白血球、血漿)消費用飲料、同様物を含む、いかなるタイプの液体や気体212をも運び得る。したがって、液体または気体212が紫外線透過性管206を通過するとき、液体212(または気体)は、液体または気体212(および/または液体または気体212内の要素)を処理するのに有用な紫外線の光子にさらされる。UVモニター220は、処理チャンバー208中のUV放射のレベルをモニターする。
【0039】
処理チャンバー208は、紫外線透過性管206がチャンバー208を通って走るのを可能にする入口ポート214と出口ポート216を有している。他の例では、入口ポート214と出口ポート216の役割は置き換えられる。入口ポート214と出口ポート216は、チャンバー208が可能な限り実質的に閉塞されるようにするように作られている。たとえば、入口ポート214および/または出口ポート216は、チャンバーの閉塞を高めるために気体および/または液体流れのためのL字か螺旋か蛇行の経路を利用し得る。さらに閉塞を増強するために、流れ経路が、より小さい直径にしぼめられたり、反射体が、光が導入される区域を超える距離に延長されたりし得る。加えて、チャンバー隠蔽を最適化するためにバッフルなどの追加構造が装置に組み込まれてもよい。いずれの場合も、前述の技術と構造と装置の任意の数および組み合わせが、チャンバー閉塞を高めるために使用されてもよい。
【0040】
図2〜5に描かれたチャンバー208は反射性物質210で被覆されているけれども、いかなるタイプの反射性物質210または反射構造が使用されてもよいと理解すべきである。たとえば、チャンバー208の内部に被覆または内張りされ得る反射性物質210は、ポリ
テトラフルオロエチレン(PTFE)か延伸ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)か他の同様なプラスチック、または被覆か陽極処理か研磨されたアルミニウムであり得る。別の例では、反射性物質210は、拡散または鏡面反射体などの反射体であってもよい。いかなるタイプの鏡面反射体が、いかなるタイプの形状で、本例で使用されてもよい。多くの例において、反射性物質210は高レベルの反射率を有する。たとえば、反射性物質210の反射率レベルは80パーセントないし100パーセントの範囲にあり得、いくつかの取り組み手法は90パーセントないし100パーセントである。
【0041】
反射性物質210の正確なパーセント反射率は装置の特定の要望に依存して変わり得るけれども、反射率が高ければ高いほど処理チャンバー208の効率は高いと理解すべきである。たとえば、99パーセント反射率の反射性物質を備えた完全閉塞チャンバーと比較して90パーセント反射率の物質を備えた完全閉塞チャンバーは標的に低い線量を有する。例示的な標的と壁がチャンバーの唯一の吸収体であるとすると、平均で光子は、反射性物質によって吸収される前に99パーセント反射チャンバーでは90パーセント反射チャンバーよりも10倍以上あちこちに反射される。したがって、チャンバーが全体的に閉塞されるとき、99パーセント反射チャンバーでは90パーセント反射チャンバーよりも標的によって吸収される光子はおそらく10倍以上である。したがって、99パーセント反射チャンバーは紫外光線量を標的に90パーセント反射チャンバーの10倍提供する。
【0042】
同様に、99パーセント閉塞チャンバーは90パーセント閉塞チャンバーよりも高い紫外光線量を標的に提供する。低閉塞チャンバーでは、光子はより多くチャンバーの外に反射されやすく、したがって、標的によって吸収される光子の可能性を減少させる。そのため、標的物質に最終的に提供される紫外光処理の線量は吸収度に反比例し、装置コンポーネントの反射率とチャンバーの閉塞度が吸収度に影響する。
【0043】
紫外線ランプ202は、紫外放射を提供するのに有用ないかなるタイプであってもよい。たとえば、低圧水銀ランプ、中圧水銀ランプ、エキシマーランプ、キセノンと他の充てん混合物を備えたフラッシュランプ、マイクロ波駆動ランプが使用され得る。ランプの他の例も可能である。一例では、紫外線ランプ202は、生物学的物質の不活性化または死滅のために400nm未満の少なくとも一つの波長を標的に提供する。別の例では、紫外線ランプ202は、化合物の破壊のために400nm未満の少なくとも一つの波長を標的に提供する。紫外線ランプ202は、電力を得るために電力ケーブル224に連結される。加えて、端キャップ22は、ランプ202ための保護を提供するためにランプ202の端を被覆し得る。さらに、ランプ安定器208がまた、たとえばランプ202用の電流を制限するために設けられている。
【0044】
さらに、反射性物質210を保護するか、圧力を封じ込めるか、その両方のために、反射性物質210の外部の追加構造または層が設けられてもよい。加えて、透過性管206(または保護層)は系統圧力を封じ込め得る。
【0045】
言及されるように、紫外線ランプ202は内スリーブ204によって閉塞されており、それは、技術者がチャンバー208を開けることなくランプ202を交換することを可能にする。内スリーブ204と紫外線透過性管206は、紫外光に対して実質的に透過性であるいかなる物質製であってもよい。いくつかの取り組み手法では、処理チャンバー208の最高効率を達成するために、内スリーブ204と透過性管206に使用される物質は、可能な限り約100パーセント透過率に近い。100パーセント透過率が可能でない場合、300nm未満の波長において80パーセント透過率よりも一般に高い、融解石英(Heraeus Heralux、Momentive214)や合成水晶(Heraeus Suprasil、Momentive021および022)、フッ素添加シリカ(旭硝子AQX)、サファイア(Saphikon EFGサファイア)などの物質が有用である。
【0046】
本例の反射性物質210の高反射率のおかげで、紫外光子の大部分は、チャンバー208の壁の代わりに、液体または気体(および/または液体または気体212内の要素)に付着される。したがって、液体または気体212(および/または液体または気体212中の要素)は所定入力電源に対して放射の高効率線量を受ける。
【0047】
システムの他の部分の損失の欠落のおかげで、液体または気体212(および/または液体または気体212内の要素)に吸収される光子の数の上限は、チャンバー208の壁物質の損失(たとえば1パーセント程度に低い)のステンレス鋼の損失(たとえば40パーセント)に対する比にざっと等しい因数に倍増される。UV線量の正確な増加は、紫外線ランプ202と液体または気体212を収容している体積への開口の数と大きさや、反射性物質210の表面のあらゆる他の分断などのさまざまな要因によって影響される。以前の半反射するチャンバー(たとえばステンレス鋼チャンバー)の線量の全体的増加は著しい。
【0048】
言及されるように、高透過性液体を使用するとき、増大されたフルエンスがまた、より良い反射体または反射面によって達成され得る。この場合、液体を囲んでいる相当な表面積(たとえば80%以上)が高反射性である。
【0049】
さらに他の例では、増大された均一さと増大されたフルエンスが達成される。液体の透過率が実質的に高ければ、均一さの増大が生じ得るが、増大されたフルエンスと同じくらい性能に影響を与える。
【0050】
半反射チャンバー壁を備えたシステムと比較したとき、上述した増大された放射線量には、チャンバーの至る所で線量の均一さの不測の増大が伴う。通常、フルエンスが高いほど、均一さの減少が予想されるが、標的気体または液体内のほかに光子損失を最小にする効果が、標的内のそれらの光子のさらなる均一さを生成する。この効果は、本質的に形状に依存せず、チャンバー壁または閉塞の総反射率と、関連するコンポーネントの透過率とに主に依存する。
【0051】
上述したものとは異なる理由のために発生する分離均一さ増強効果がこのチャンバーのある条件の下で生じる。この効果はチャンバーの形状に依存する。それはまた、液体または気体212の透過率の範囲をただ単に超えていて重要である。液体または気体212の透過率が、光源からチャンバー壁までの距離にわたって90〜95%(5〜10%の減衰)を超えるならば、上述した効果は、チャンバー中のフルエンスの不測の均一さをはるかにより多く作り出し、後述する効果は無視できる。透過率が、光源からチャンバー壁までの距離にわたって5〜10%未満(90〜95%の減衰)であるならば、非常に小量の光がチャンバー壁に到達し、再び後述する効果は無視できる。減衰が5%と95%の間にあるような液体または気体212の透過率の範囲について、後述する効果は、より均一なフルエンスを標的に提供するのに重要である。
【0052】
さらに、この取り組み手法によって提供される紫外線放射度はさまざまな異なる範囲に置かれ得る。一例では、液体に影響を与える紫外線放射度は、約0.01W/cm
2と20W/cm
2の範囲にある。他の範囲の例も可能である。
【0053】
図6〜8をいま参照すると、ここに説明されるシステムのいくつかの光吸収特性が説明される。吸収媒体を透過する光の強さはベールの法則:
I=I
0e
−αx
によって決定される。ここで、I
0は初期強度、xは吸収媒体を通って伝わる距離、eは自然対数(e=2.718282)の底、αは媒体の特性によって決まる減衰定数である。媒体とその寸法が、光のかなりの小部分だけが媒体を通る単一経路の後に吸収されるようであるならば、
図6〜8に示された効果が生じる。
【0054】
図6は、そこにおける強度が入射強度の1/e(たとえばほぼ1/3)である媒体(任意単位で距離=1)の中への特定の距離xに対する媒体に入射する(距離=0)光の強度をグラフ化している。xに非反射表面があるならば、残りの光は吸収され、距離=0と距離=xの間の強度(したがって線量)の差は2.72である。
【0055】
図7は同じ状況を示しているが、100%反射体が、距離=xにある非反射表面に取って代わっている。反射光は、媒体を戻って伝わるので入射光と同じ割合で減衰される。所定距離における光の強度はほぼ入射と反射光の和である。簡単のために、距離=0における表面からのいずれの反射光は無視される。多くの用途において、その光は再吸収されるか透過して去るであろうから、それを無視することは多くの状況において良い近似である。
【0056】
これらの二本の曲線の和による強度が
図8に示される。この場合、ピーク強度はさらに高く(1.14対1.00)、加えて、距離=0と距離=xの間の強度の差は1.54である。この例は、反射性物質の存在のおかげで強度が媒体の全体にわたってはるかにより均一であることを示す。強度(したがって線量)の均一さの改善は、この例では70%を超えている。強度の均一さの改善は、より高い処理効率と、媒体中に所定線量を達成するより低いピーク強度をもたらし、それらの両者は、従来の反射体のないシステムを超える著しい改善である。言いかえれば、
図8は、ここに説明されるこの取り組み手法のほぼ均一な光分布特性を示す。
【0057】
この分野の当業者は、発明の趣旨と要旨から逸脱することなく上記説明の実施形態に関して種々様々な修正や変更や組み合わせをおこなうことができ、そのような修正や変更や組み合わせは発明の容易内にあると見られるものであることを認識しよう。ここに引用されたすべての参考文献は参照によって組み込まれる。
以下に、本願出願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[1]少なくとも一つの内表面を有するチャンバーを備え、前記チャンバーは、少なくとも80パーセントが閉塞されており、
紫外線(UV)透過性管を備え、前記UV透過性管は、前記チャンバー内に配置され、そこを通る液体の通路に適合されており、
UVランプを備え、前記UVランプは、前記UV透過性管内に配置されており、
前記チャンバーと前記透過性管の間に散在された反射性物質を備え、前記反射性物質は、前記UVランプによって発せられた光の少なくとも一部を反射するように適合され、少なくとも80パーセント反射性である、液体の処理のための装置。
[2]前記UVランプからの第一の光と前記反射性物質から反射された第二の光および次の光との合流が、液体の体積内に生じる不測な全般的に均一な光分布を作り出す、[1]の装置。
[3]前記液体が高透過性であり、増強されたフルエンスが前記液体中に達成される、[2]の装置。
[4]前記反射性物質は、前記チャンバーの前記少なくとも一つの内表面に内張りするように配置されている、[1]の装置。
[5]前記反射性物質は、前記チャンバーの前記少なくとも一つの内表面に前記反射性物質を被覆することによって配置されている、[1]の装置。
[6]前記反射性物質は、前記UV透過性管の少なくとも一つの外側表面に前記反射性物質を被覆することによって配置されている、[1]の装置。
[7]前記UVランプは、前記UV透過性管内の透過性保護スリーブ内に配置されている、[1]の装置。
[8]前記反射性物質は、ポリフェトラフルオロエチレン(PTFE)、延伸ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)、被覆されたアルミニウム、陽極処理されたアルミニウム、研磨されたアルミニウムから成る群のいずれかで構成されている、[1]の装置。
[9]前記反射性物質は、バインダーと反射添加物のいずれかの混合物である、[1]の装置。
[10]前記反射添加物は、硫酸バリウム、フッ化マグネシウム、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化ホルミウム、酸化カルシウム、酸化ランタン、酸化ゲルマニウム、酸化テルル、酸化ユウロピウム、酸化エルビウム、酸化ネオジム、酸化サマリウム、酸化イッテルビウム、酸化ジルコニウムから成る群のいずれかである、[9]の装置。
[11]前記紫外線UV透過性管が前記チャンバーを入り出る入口および出口ポートをさらに備えている、[1]の装置。
[12]前記液体に影響を与える紫外線放射度が約0.01W/cm2と20W/cm2の範囲にある、[1]の装置。
[13]少なくとも一つの内表面を有するチャンバーを備え、前記チャンバーは、少なくとも80パーセントが閉塞されており、
紫外線(UV)透過性管を備え、前記UV透過性管は、前記チャンバー内に配置され、そこを通る液体の通路に適合されており、
UVランプを備え、前記UVランプは、前記UV透過性管内に配置された透過性保護スリーブ内に配置されており、
前記チャンバーと前記透過性管の間に散在された反射性物質を備え、前記反射性物質は、前記UVランプによって発せられた光の少なくとも一部を反射するように適合され、少なくとも80パーセントが反射性であり、
前記UVランプからの第一の光と前記反射性物質から反射された第二の光および次の光との合流が、前記液体の体積内に生じる不測な全般的に均一な光分布を作り出す、液体の処理のための装置。
[14]前記液体の透過率は、その減衰がほぼ5パーセントと95パーセントの間にある、[13]の装置。
[15]前記反射性物質は、前記チャンバーの前記少なくとも一つの内表面に内張りするように配置されている、[13]の装置。
[16]前記反射性物質は、前記UV透過性管の少なくとも一つの外側表面に前記反射性物質を被覆することによって配置されている、[13]の装置。
[17]前記反射性物質は、前記チャンバーの前記少なくとも一つの内表面に前記反射性物質を被覆することによって配置されている、[13]の装置。
[18]前記UVランプは、前記UV透過性管内の保護スリーブ内に配置されている、[13]の装置。
[19]前記反射性物質は、ポリフェトラフルオロエチレン(PTFE)、延伸ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)、被覆されたアルミニウム、陽極処理されたアルミニウム、研磨されたアルミニウムから成る群のいずれかで構成されている、[13]の装置。
[20]前記反射性物質は、バインダーと反射添加物のいずれかの混合物である、[13]の装置。
[21]前記反射添加物は、硫酸バリウム、フッ化マグネシウム、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化ホルミウム、酸化カルシウム、酸化ランタン、酸化ゲルマニウム、酸化テルル、酸化ユウロピウム、酸化エルビウム、酸化ネオジム、酸化サマリウム、酸化イッテルビウムおよび酸化ジルコニウムから成る群のいずれかである、[20]の装置。
[22]前記紫外線UV透過性管が前記チャンバーに入り出る入口および出口ポートをさらに備えている、[13]の装置。
[23]前記液体に影響を与える紫外線放射度が約0.01W/cm2と20W/cm2の範囲にある、[13]の装置。