(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1無給電素子および前記第2無給電素子は、共に、前記第1アンテナ素子および前記第2アンテナ素子の両方に電磁界結合可能な位置に配置されている、請求項1に記載のマルチアンテナ装置。
前記第1アンテナ素子および前記第2アンテナ素子は、共に、前記第1周波数帯に対応する第1周波数帯対応部と、前記第2周波数帯に対応する第2周波数帯対応部とを含み、
前記第2無給電素子は、前記第1アンテナ素子および前記第2アンテナ素子の前記第2周波数帯対応部の間で前記第2周波数帯対応部に対応する領域に配置されている、請求項1〜3のいずれか1項に記載のマルチアンテナ装置。
前記第1アンテナ素子および前記第2アンテナ素子のそれぞれの第1周波数帯対応部は、共に、高周波電力が供給される給電点に接続される給電接続部分と、前記給電接続部分に連結され、前記第2周波数帯対応部に対して前記給電点が配置される側とは反対側に配置される本体部分とを有し、
前記第2無給電素子は、前記第1アンテナ素子および前記第2アンテナ素子の前記第2周波数帯対応部の間で前記第2周波数帯対応部に対応する領域に配置され、
前記第1無給電素子は、前記第1アンテナ素子および前記第2アンテナ素子の前記第1周波数帯対応部の本体部分の間で前記本体部分に対応する領域に配置されている、請求項4に記載のマルチアンテナ装置。
前記第1アンテナ素子および前記第2アンテナ素子は、高周波電力が供給される前記第1アンテナ素子および前記第2アンテナ素子のそれぞれの給電点どうしを結ぶ直線に垂直でかつ前記給電点間の中点を通る基準直線に対して、互いに略線対称な形状に形成されており、
前記第1無給電素子および前記第2無給電素子は、共に、前記基準直線に対して略線対称な形状に形成されている、請求項1〜8のいずれか1項に記載のマルチアンテナ装置。
前記第1アンテナ素子側および前記第2アンテナ素子側のそれぞれに、アンテナ素子と高周波電力が供給される給電点との間に配置され、高周波電力の前記第1周波数帯に対応する周波数および前記第2周波数帯に対応する周波数において、インピーダンス整合を図るための整合回路をさらに備える、請求項1〜10のいずれか1項に記載のマルチアンテナ装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1
のMIMOアンテナ(マルチアンテナ装置)では、スイッチング制御により、各アンテナ素子の全長を切り替えて異なるバンド(周波数帯)に対応可能である一方、アンテナ素子間の相互結合を小さくするためにアンテナ素子間の距離を大きく広げる必要があるので、MIMOアンテナ(マルチアンテナ装置)を小型化することができないという問題点がある。
【0006】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、アンテナ素子間の距離を小さくして小型化することが可能
なマルチアンテナ装置、および、そのよう
なマルチアンテナ装置を備えた通信機器を提供することである。
【0007】
上記目的を達成するために、本願発明者が鋭意検討した結果、第1アンテナ素子と第2アンテナ素子との間に、第1周波数帯に対応する周波数で共振する第1無給電素子を設けるとともに、第1アンテナ素子と第2アンテナ素子との間に第1無給電素子とは別個に、第2周波数帯に対応する周波数で共振する第2無給電素子を設けることによって、アンテナ素子間の相互結合を小さくすることができ、その結果、アンテナ素子間の距離を小さくして小型化することができることを見い出した。なお、上記構成によりアンテナ素子間の相互結合を小さくすることができるという効果は、後述する本願発明者のシミュレーションにより確認済みである。
【0008】
すなわち、この発明の第1の局面によるマルチアンテナ装置は、第1周波数帯および第2周波数帯に対応する第1アンテナ素子と、第1周波数帯および第2周波数帯に対応する第2アンテナ素子と、第1アンテナ素子と第2アンテナ素子との間に配置され、第1周波数帯に対応する周波数で共振する第1無給電素子と、第1アンテナ素子と第2アンテナ素子との間に第1無給電素子とは別個に配置され、第2周波数帯に対応する周波数で共振する第2無給電素子とを備え、
第1無給電素子および第2無給電素子は、少なくとも一方が非接地であり、第1無給電素子および第2無給電素子は、第1アンテナ素子および第2アンテナ素子により対応する周波数帯で出力される電波の波長の略1/2の長さを有する。
【0009】
上記第1の局面によ
るマルチアンテナ装置では、第1アンテナ素子と第2アンテナ素子との間に、第1周波数帯に対応する周波数で共振する第1無給電素子を設けるとともに、第1アンテナ素子と第2アンテナ素子との間に第1無給電素子とは別個に、第2周波数帯に対応する周波数で共振する第2無給電素子を設けることによって、アンテナ素子間の相互結合を小さくすることができる。また、第1アンテナ素子および第2アンテナ素子の間の相互結合を小さくすることができるので、その分、アンテナ素子間の距離を小さくすることができ、その結果
、マルチアンテナ装置を小型化することができる。したがって、こ
のマルチアンテナ装置は、アンテナ素子間の距離を小さくして小型化することができる。
【0010】
上記第1の局面によ
るマルチアンテナ装置において、第1無給電素子および第2無給電素子は、共に
、第1アンテナ素子と第2アンテナ素子との間において、第1アンテナ素子および第2アンテナ素子の両方に電磁界結合可能な位置に配置されている。なお、本願において、電磁界結合とは、静電結合および磁界結合の両方を含む広い概念である。このように構成すれば、第1無給電素子および第2無給電素子の両方を第1アンテナ素子および第2アンテナ素子に電磁界結合させてアンテナ素子間の相互結合を小さくすることができる。
【0012】
上記第1の局面によるマルチアンテナ装置において、好ましくは、長さは、電気長である。
【0013】
上記第1の局面によ
るマルチアンテナ装置において、好ましくは、第1アンテナ素子および第2アンテナ素子は、共に、第1周波数帯に対応する第1周波数帯対応部と、第2周波数帯に対応する第2周波数帯対応部とを含み
、第2無給電素子は、第1アンテナ素子および第2アンテナ素子の第2周波数帯対応部の間で第2周波数帯対応部に対応する領域に配置されている。このように構成すれば、第2無給電素子と第2周波数帯対応部とをより近くに配置することができるので、第2無給電素子と第2周波数帯対応部とを容易に結合させることができる。
【0014】
この場合、好ましくは、第1アンテナ素子および第2アンテナ素子のそれぞれの第1周波数帯対応部は、共に、高周波電力が供給される給電点に接続される給電接続部分と、給電接続部分に連結され、第2周波数帯対応部に対して給電点が配置される側とは反対側に配置される本体部分とを有し、第2無給電素子は、第1アンテナ素子および第2アンテナ素子の第2周波数帯対応部の間で第2周波数帯対応部に対応する領域に配置され、第1無給電素子は、第1アンテナ素子および第2アンテナ素子の第1周波数帯対応部の本体部分の間で本体部分に対応する領域に配置されている。このように構成すれば、第2無給電素子と第2周波数帯対応部とをより近くに配置して第2無給電素子と第2周波数帯対応部とを容易に結合させることができるとともに、第1無給電素子と第1周波数帯対応部の本体部分とをより近くに配置して第1無給電素子と第1周波数帯対応部とを容易に結合させることができる。
【0015】
上記第1の局面によ
るマルチアンテナ装置において、好ましくは、第1アンテナ素子および第2アンテナ素子は、共に、複数の位置で屈曲または湾曲した形状に形成されており、第1無給電素子および第2無給電素子は、共に、第1アンテナ素子と第2アンテナ素子との間において複数の位置で屈曲または湾曲した形状に形成されている。このように構成すれば、アンテナ素子および無給電素子の屈曲または湾曲した形状により、アンテナ素子および無給電素子のそれぞれに必要な長さを容易に確保することができるので、アンテナ素子および無給電素子の配置スペースが広がるのを抑制することができ、その結果、マルチアンテナ装置をより小型化することができる。
【0016】
上記第1の局面によ
るマルチアンテナ装置において、好ましくは、第1アンテナ素子、第2アンテナ素子、第1無給電素子および第2無給電素子は、共に、同一面内に配置されている。このように構成すれば、アンテナ素子および無給電素子の全てが共通の面内に配置されるので、マルチアンテナ装置の構成を簡素化することができる。
【0017】
上記第1の局面によ
るマルチアンテナ装置において、好ましくは、第1無給電素子は、第1面内に配置されており、第2無給電素子は、第1面内とは異なる第2面内に配置されている。このように構成すれば、第1無給電素子および第2無給電素子を互いに異なる面に分散して配置することができるので、第1無給電素子および第2無給電素子を配置するためのスペースが1つの面内で大きくなり過ぎるのを抑制することができる。また、第1無給電素子および第2無給電素子を互いに異なる面に配置することができるので、機器内構成の配置の自由度の向上を図ることができる。
【0018】
上記第1の局面によ
るマルチアンテナ装置において、好ましくは、第1アンテナ素子および第2アンテナ素子は、高周波電力が供給される第1アンテナ素子および第2アンテナ素子のそれぞれの給電点どうしを結ぶ直線に垂直でかつ給電点間の中点を通る基準直線に対して、互いに略線対称な形状に形成されており、第1無給電素子および第2無給電素子は、共に、基準直線に対して略線対称な形状に形成されている。このように構成すれば、アンテナ素子および無給電素子のそれぞれがバランスよく配置されるので、アンテナ素子間の相互結合を小さくしながら利得のばらつきを抑制することができる。
【0019】
上記第1の局面によ
るマルチアンテナ装置において、好ましくは、第1アンテナ素子および第2アンテナ素子は、共に
、第3周波数帯に対応しており、第1アンテナ素子と第2アンテナ素子との間
に配置され、第3周波数帯に対応する周波数で共振する第3無給電素子をさらに備える。このように構成すれば、アンテナ素子間の距離を小さくして小型化することが可能なトリプルバンドに対応したマルチアンテナ装置を得ることができる。
【0020】
上記第1の局面によ
るマルチアンテナ装置において、好ましくは、第1アンテナ素子側および第2アンテナ素子側のそれぞれ
に、アンテナ素子と高周波電力が供給される給電点との間に配置され、高周波電力の第1周波数帯に対応する周波数および第2周波数帯に対応する周波数において、インピーダンス整合を図るための整合回路をさらに備える。このように構成すれば、整合回路により、第1周波数帯に対応する周波数および第2周波数帯に対応する周波数においてインピーダンス整合を図ることができるので、マルチアンテナ装置の小型化を図りながらアンテナ素子を介して伝達されるエネルギの伝達損失を軽減することができる。
【0021】
上記第1の局面によ
るマルチアンテナ装置において、好ましくは、
第1無給電素子と第2無給電素子とは、重なることがないように互いに離間して配置されている。
【0022】
この発明の第2の局面による通信機器は、マルチアンテナ装置を備える通信機器であって、マルチアンテナ装置は、第1周波数帯および第2周波数帯に対応する第1アンテナ素子と、第1周波数帯および第2周波数帯に対応する第2アンテナ素子と、第1アンテナ素子と第2アンテナ素子との間に配置され、第1周波数帯に対応する周波数で共振する第1無給電素子と、第1アンテナ素子と第2アンテナ素子との間に第1無給電素子とは別個に配置され、第2周波数帯に対応する周波数で共振する第2無給電素子とを含み、
第1無給電素子および第2無給電素子は、少なくとも一方が非接地であり、第1無給電素子および第2無給電素子は、第1アンテナ素子および第2アンテナ素子により対応する周波数帯で出力される電波の波長の略1/2の長さを有する。
【0023】
この発明の第2の局面によ
る通信機器では、上記のように、第1アンテナ素子と第2アンテナ素子との間に、第1周波数帯に対応する周波数で共振する第1無給電素子を設けるとともに、第1アンテナ素子と第2アンテナ素子との間に第1無給電素子とは別個に、第2周波数帯に対応する周波数で共振する第2無給電素子を設けることによって、アンテナ素子間の相互結合を小さくすることができる。また、第1アンテナ素子および第2アンテナ素子の間の相互結合を小さくすることができるので、その分、アンテナ素子間の距離を小さくすることができ、その結果
、マルチアンテナ装置を小型化することができる。これにより、そのよう
なマルチアンテナ装置を備えた通信機器自体の小型化も図ることができる。したがって、この通信機器は、アンテナ素子間の距離を小さくして小型化することができる。特に、携帯電話のように小型化が望まれる通信機器において本発明はより有効である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0026】
(第1実施形態)
まず、
図1および
図2を参照して、本発明の第1実施形態による携帯電話機100の構成について説明する。なお、第1実施形態では、本発明のマルチアンテナ装置10を、通信機器としての携帯電話機100に適用した例について説明する。
【0027】
本発明の第1実施形態による携帯電話機100は、
図1に示すように、表示画面部1と操作部2とを備えている。また、携帯電話機100の筐体内部には、通信部3とマルチバンド対応のマルチアンテナ装置10とが設けられている。
【0028】
表示画面部1は、液晶ディスプレイからなり、画像を表示可能に構成されている。操作部2は、複数のボタンからなり、ユーザの操作を受付可能に構成されている。通信部3は、マルチアンテナ装置10により送受信される電波を用いて通信を行うように構成されている。
【0029】
マルチアンテナ装置10は、複数のアンテナ素子を用いて所定の周波数において多重の入出力が可能なMIMO(Multiple−Input Multiple−Output)通信用に構成されている。また、マルチアンテナ装置10は、1.5GHz帯および2.0GHz帯の2つの異なるバンド(周波数帯)に対応している。なお、1.5GHz帯は、本発明の「第1周波数帯」の一例であり、2.0GHz帯は、本発明の「第2周波数帯」の一例である。
【0030】
マルチアンテナ装置10は、
図2に示すように、第1アンテナ素子11および第2アンテナ素子12と、2つのアンテナ素子11および12の間に配置される第1無給電素子13および第2無給電素子14と、接地面15とを含んでいる。さらに、マルチアンテナ装置10は、第1アンテナ素子11に高周波電力を供給するための第1給電点16と、第2アンテナ素子12に高周波電力を供給するための第2給電点17とを含んでいる。また、第1アンテナ素子11、第2アンテナ素子12、第1無給電素子13および第2無給電素子14は、共に、図示しない基板の表側の表面上に設けられている。すなわち、第1アンテナ素子11、第2アンテナ素子12、第1無給電素子13および第2無給電素子14は、同一面内に配置されている。なお、第1給電点16および第2給電点17は、本発明の「給電点」の一例である。
【0031】
第1アンテナ素子11は、第1無給電素子13および第2無給電素子14のX1方向側に配置されるとともに、第2アンテナ素子12は、第1無給電素子13および第2無給電素子14のX2方向側に配置されている。また、第1アンテナ素子11および第2アンテナ素子12は、第1給電点16と第2給電点17とを結ぶ直線に垂直で、かつ、第1給電点16および第2給電点17間の中点を通る基準直線に対して互いに線対称な形状に形成されている。また、第1アンテナ素子11(第2アンテナ素子12)は、薄板形状を有している。また、第1アンテナ素子11(第2アンテナ素子12)は、モノポールアンテナである。具体的には、第1アンテナ素子11(第2アンテナ素子12)は、マルチアンテナ装置10が対応する1.5GHzの波長λ1の約1/4の電気長を有する第1周波数帯対応部111(121)と、2.0GHzの波長λ2の約1/4の電気長を有する第2周波数帯対応部112(122)とを含んでいる。なお、1.5GHzの波長は200mmであり、2.0GHzの波長は150mmである。また、電気長とは、真空中の1波長ではなく、アンテナを構成する導体上を進む信号の1波長を基準とした長さである。第1周波数帯対応部111(121)および第2周波数帯対応部112(122)は、共に、一方端部が開放されているとともに、他方端部が第1給電点16(第2給電点17)を介して接地面15に接地されている。また、第1周波数帯対応部111(121)および第2周波数帯対応部112(122)は、互いに一体的に形成されている。
【0032】
第1周波数帯対応部111(121)は、第1給電点16(第2給電点17)に接続される給電接続部分111a(121a)と、給電接続部分111a(121a)に連結される本体部分111b(121b)とを有している。第1周波数帯対応部111(121)の給電接続部分111a(121a)は、第1給電点16(第2給電点17)からY1方向に延びるように直線形状に形成されている。すなわち、第1アンテナ素子11の給電接続部分111aと第2アンテナ素子12の給電接続部分121aとは、互いに平行に配置されている。
【0033】
本体部分111b(121b)は、給電接続部分111a(121a)の第1給電点16(第2給電点17)が設けられる側とは反対側(Y1方向側)の端部に連結されている。また、本体部分111b(121b)は、第2周波数帯対応部112(122)に対して第1給電点16(第2給電点17)が配置される側(Y2方向側)とは反対側(Y1方向側)に配置されている。また、本体部分111b(121b)は、X方向(第1アンテナ素子11および第2アンテナ素子12が互いに対向する方向)において複数の位置で折り返しながらY1方向に延伸するように構成されている。すなわち、本体部分111b(121b)は、複数の位置で屈曲した形状に形成されている。また、本体部分111b(121b)のX方向の内側端部(第1無給電素子13が配置される側の端部)は、給電接続部分111a(121a)の内側端部と面一となるように配置されている。また、本体部分111b(121b)の全長は、給電接続部分111a(121a)の全長よりも長くなるように構成されている。
【0034】
第2周波数帯対応部112(122)は、Y方向(第1アンテナ素子11および第2アンテナ素子12が互いに対向する方向に直交する方向)において複数の位置で折り返しながら外側(第2無給電素子14が配置される側とは反対側)に延伸するように構成されている。すなわち、第2周波数帯対応部112(122)は、複数の位置で屈曲した形状に形成されている。また、第2周波数帯対応部112(122)は、第1周波数帯対応部111(121)の給電接続部分111a(121a)の外側に配置されている。また、第2周波数帯対応部112(122)は、第1周波数帯対応部111(121)の本体部分111b(121b)のY2方向側で本体部分111b(121b)に隣接するように配置されている。また、第2周波数帯対応部112(122)は、第1周波数帯対応部111(121)の給電接続部分111a(121a)と本体部分111b(121b)とにより囲まれた領域に配置されている。また、第2周波数帯対応部112(122)の外側端部は、第1周波数帯対応部111(121)の本体部分111b(121b)の外側端部と面一となるように配置されている。
【0035】
第1無給電素子13は、複数の位置で屈曲しており、全体として、略C字形状に形成されている。また、第1無給電素子13は、上記基準直線に対して線対称な形状に形成されている。また、第1無給電素子13は、第1アンテナ素子11と結合可能な距離を隔てて配置された第1結合部131と、第2アンテナ素子12と結合可能な距離を隔てて配置された第2結合部132と、第1結合部131および第2結合部132を互いに接続する接続部133とを有している。また、第1無給電素子13は、第1アンテナ素子11および第2アンテナ素子12の間において、第1アンテナ素子11および第2アンテナ素子12のY1方向側の端部を結ぶ直線と、第1アンテナ素子11および第2アンテナ素子12のY2方向側の端部を結ぶ直線との間の領域に配置されている。すなわち、第1無給電素子13は、第1アンテナ素子11および第2アンテナ素子12が互いに対向する領域内に配置されている。また、第1無給電素子13は、第1アンテナ素子11および第2アンテナ素子12のそれぞれの本体部分111b、121bの間で本体部分111b、121bに対応する領域に配置されている。また、第1無給電素子13は、接地面15に接地されない非接地状態で設けられている。また、第1無給電素子13は、第1周波数帯対応部111(121)が対応する1.5GHzの波長λ1の約1/2の電気長を有している。また、第1無給電素子13は、1.5GHz帯に対応する周波数(1.5GHz近傍の周波数)で共振するように構成されている。なお、第1実施形態において、結合とは、静電結合および磁界結合の両方の結合を含む概念の電磁界結合である。
【0036】
第1結合部131および第2結合部132は、共に、Y方向に延びる部分とそのY2方向側の端部からX方向に延びる部分とにより略L字形状に形成されている。また、第1結合部131(第2結合部132)は、Y方向に延びる部分が第1アンテナ素子11の本体部分111b(第2アンテナ素子12の本体部分121b)に対向するように配置されている。また、第1結合部131(第2結合部132)は、Y方向に延びる部分が第1アンテナ素子11の給電接続部分111a(第2アンテナ素子12の給電接続部分121a)の一部にも対向するように配置されている。
【0037】
接続部133は、第1結合部131のY1方向側の端部と第2結合部132のY1方向側の端部とを接続するように構成されている。また、接続部133は、第1アンテナ素子11および第2アンテナ素子12の一方側から他方側に向かって直線状に延びる(X方向に延びる)ように形成されている。
【0038】
第2無給電素子14は、第1無給電素子13とは別個に設けられている。また、第2無給電素子14は、複数の位置で屈曲しており、全体として、略C字形状に形成されている。また、第2無給電素子14は、上記基準直線に対して線対称な形状に形成されている。また、第2無給電素子14は、第1アンテナ素子11と結合可能な距離を隔てて配置された第1結合部141と、第2アンテナ素子12と結合可能な距離を隔てて配置された第2結合部142と、第1結合部141および第2結合部142を互いに接続する接続部143とを有している。また、第2無給電素子14は、第1アンテナ素子11および第2アンテナ素子12の間において、第1アンテナ素子11および第2アンテナ素子12のY1方向側の端部を結ぶ直線と、第1アンテナ素子11および第2アンテナ素子12のY2方向側の端部を結ぶ直線との間の領域に配置されている。すなわち、第2無給電素子14は、第1アンテナ素子11および第2アンテナ素子12が互いに対向する領域内に配置されている。また、第2無給電素子14は、第1アンテナ素子11および第2アンテナ素子12のそれぞれの第2周波数帯対応部112、122の間で第2周波数帯対応部112、122に対応する領域に配置されている。また、第2無給電素子14は、第1無給電素子13のY2方向側で第1無給電素子13に隣接して配置されている。また、第2無給電素子14は、接地面15に接地されない非接地状態で設けられている。また、第2無給電素子14は、第2周波数帯対応部112(122)が対応する2.0GHzの波長λ2の約1/2の電気長を有している。また、第2無給電素子14は、2.0GHz帯に対応する周波数(2.0GHz近傍の周波数)で共振するように構成されている。
【0039】
第1結合部141および第2結合部142は、共に、Y方向に延びる部分とそのY2方向側の端部からX方向に延びる部分とにより略L字形状に形成されている。また、第1結合部141(第2結合部142)は、Y方向に延びる部分が第1アンテナ素子11(第2アンテナ素子12)に対向するように配置されている。具体的には、第1結合部141(第2結合部142)は、Y方向に延びる部分が第1アンテナ素子11の給電接続部分111a(第2アンテナ素子12の給電接続部分121a)に対向するように配置されている。接続部143は、第1結合部141のY1方向側の端部と第2結合部142のY1方向側の端部とを接続するように構成されている。また、接続部143は、第1アンテナ素子11および第2アンテナ素子12の一方側から他方側に向かって直線状に延びる(X方向に延びる)ように形成されている。
【0040】
第1給電点16(第2給電点17)は、第1アンテナ素子11(第2アンテナ素子12)のY2方向側の端部に配置されている。また、第1給電点16(第2給電点17)は、第1アンテナ素子11(第2アンテナ素子12)と図示しない給電線とを接続している。
【0041】
第1実施形態では、上記のように、第1アンテナ素子11と第2アンテナ素子12との間に、1.5GHz帯に対応する周波数で共振する第1無給電素子13を設けるとともに、第1アンテナ素子11と第2アンテナ素子12との間に第1無給電素子13とは別個に、2.0GHz帯に対応する周波数で共振する第2無給電素子14を設けることによって、アンテナ素子間の相互結合を小さくすることができる。また、第1アンテナ素子11および第2アンテナ素子12の間の相互結合を小さくすることができるので、その分、アンテナ素子間の距離を小さくすることができ、その結果、マルチバンド対応のマルチアンテナ装置10を小型化することができる。これにより、そのようなマルチバンド対応のマルチアンテナ装置10を備えた携帯電話機100自体の小型化も図ることができる。したがって、この携帯電話機100は、アンテナ素子間の距離を小さくして小型化することができる。特に、第1実施形態の携帯電話機100のように小型化が望まれる通信機器において本発明はより有効である。なお、上記構成によりアンテナ素子間の相互結合を小さくすることができるという効果は、後述する本願発明者のシミュレーションにより確認済みである。
【0042】
また、第1実施形態では、上記のように、第1無給電素子13および第2無給電素子14を、共に、非接地で設ける。このように構成すれば、第1無給電素子13および第2無給電素子14を接地面15に接地させる必要がないので、配線パターン設計の自由度が低下するのを抑制することができる。
【0043】
また、第1実施形態では、上記のように、第1無給電素子13を、第1アンテナ素子11および第2アンテナ素子12により1.5GHz帯に対応して出力される電波の波長λ1の略1/2の電気長を有するように構成し、第2無給電素子14を、第1アンテナ素子11および第2アンテナ素子12により2.0GHz帯に対応して出力される電波の波長λ2の略1/2の電気長を有するように構成する。このように構成すれば、1.5GHz帯に対応する周波数および2.0GHz帯に対応する周波数において、非接地の第1無給電素子13および第2無給電素子14を容易に共振させることができる。
【0044】
また、第1実施形態では、上記のように、第2無給電素子14を、第1アンテナ素子11および第2アンテナ素子12の第2周波数帯対応部112(122)の間で第2周波数帯対応部112(122)に対応する領域に配置する。このように構成すれば、第2無給電素子14と第2周波数帯対応部112(122)とをより近くに配置することができるので、第2無給電素子14と第2周波数帯対応部112(122)とを容易に結合させることができる。
【0045】
また、第1実施形態では、上記のように、第2無給電素子14を、第1アンテナ素子11および第2アンテナ素子12の第2周波数帯対応部112、122の間で第2周波数帯対応部112、122に対応する領域に配置するとともに、第1無給電素子13を、第1アンテナ素子11および第2アンテナ素子12の第1周波数帯対応部111、121の本体部分111b、121bの間で本体部分111b、121bに対応する領域に配置する。このように構成すれば、第2無給電素子14と第2周波数帯対応部112(122)とをより近くに配置して第2無給電素子14と第2周波数帯対応部112(122)とを容易に結合させることができるとともに、第1無給電素子13と第1周波数帯対応部111(121)の本体部分111b(121b)とをより近くに配置して第1無給電素子13と第1周波数帯対応部111(121)とを容易に結合させることができる。
【0046】
また、第1実施形態では、上記のように、第1アンテナ素子11および第2アンテナ素子12を、共に、複数の位置で屈曲した形状に形成するとともに、第1無給電素子13および第2無給電素子14を、共に、第1アンテナ素子11と第2アンテナ素子12との間において複数の位置で屈曲した形状に形成する。このように構成すれば、アンテナ素子および無給電素子の屈曲した形状により、アンテナ素子および無給電素子のそれぞれに必要な長さを容易に確保することができるので、アンテナ素子および無給電素子の配置スペースが広がるのを抑制することができ、その結果、マルチアンテナ装置10を小型化することができる。
【0047】
また、第1実施形態では、上記のように、第1アンテナ素子11、第2アンテナ素子12、第1無給電素子13および第2無給電素子14を、共に、同一面内(基板の表側の表面上)に配置する。このように構成すれば、アンテナ素子および無給電素子の全てが共通の面内に配置されるので、マルチアンテナ装置の構成を簡素化することができる。
【0048】
また、第1実施形態では、上記のように、第1アンテナ素子11および第2アンテナ素子12を、第1給電点16と第2給電点17とを結ぶ直線に垂直で、かつ、第1給電点16および第2給電点17間の中点を通る基準直線に対して互いに線対称な形状に形成するとともに、第1無給電素子13および第2無給電素子14を、基準直線に対して線対称な形状に形成する。このように構成すれば、アンテナ素子および無給電素子のそれぞれがバランスよく配置されるので、アンテナ素子間の相互結合を小さくしながら利得のばらつきを抑制することができる。
【0049】
また、第1実施形態では、第1周波数帯対応部111(121)および第2周波数帯対応部112(122)を互いに一体的に形成することによって、スイッチング素子を用いて各アンテナ素子の全長を切り替えることにより第1周波数帯および第2周波数帯に対応する構成とは異なり、スイッチング素子を制御する専用のスイッチング制御部を設ける必要がないので、回路構成が複雑になるのを抑制することができ、その結果、アンテナに必要なスペースを小型化することができる。
【0050】
次に、第1実施形態の効果を確認するために行ったシミュレーションの結果について説明する。このシミュレーションでは、
図2に示した第1実施形態に対応するマルチバンド対応のマルチアンテナ装置10と、
図3に示した比較例によるマルチアンテナ装置110とを比較した。
【0051】
第1実施形態に対応するマルチアンテナ装置10では、給電点における離間距離D1が33mmになるように第1アンテナ素子11および第2アンテナ素子12を配置した。また、このシミュレーションでは、第1アンテナ素子11、第2アンテナ素子12、第1無給電素子13および第2無給電素子14を厚さ1mmのガラスエポキシ基板上に配置し、その基板を真空中に設ける構成にした。また、第1アンテナ素子11、第2アンテナ素子12、第1無給電素子13および第2無給電素子14は共に厚さ0mmの導体で構成した。なお、第1実施形態に対応するマルチアンテナ装置10は、上記のとおり、1.5GHzおよび2.0GHzの両方に対応している。
【0052】
図3に示すように、比較例によるマルチアンテナ装置110では、非接地の第1無給電素子13および第2無給電素子14を設ける第1実施形態によるマルチアンテナ装置10とは異なり、2つのアンテナ素子11および12の間に無給電素子を設けない構成にした。また、比較例によるマルチアンテナ装置110では、第1実施形態に対応するマルチアンテナ装置10と同様に、給電点における離間距離D2が33mmになるように第1アンテナ素子11および第2アンテナ素子12を配置した。また、比較例によるマルチアンテナ装置110の他の構成は、第1実施形態に対応するマルチアンテナ装置10と同様である。
【0053】
次に、
図4および
図5を参照して、比較例によるマルチアンテナ装置110および第1実施形態に対応するマルチアンテナ装置10のSパラメータの特性について説明する。ここで、
図4および
図5に示すSパラメータのうちのS11(S22)は、アンテナ素子の反射係数を意味し、SパラメータのうちのS21(S12)は、2つのアンテナ素子間の相互結合の強さを意味する。また、
図4および
図5では、横軸に周波数をとり、縦軸にS11(S22)およびS21(S12)の大きさ(単位:dB)をとっている。
【0054】
まず、比較例によるマルチアンテナ装置110では、
図4に示すように、1.5GHz付近の共振点は1.4GHzで、そこのS11(S22)が約−20dBであり、S21(S12)が約−9dBであった。また、比較例によるマルチアンテナ装置110では、2.0GHz付近の共振点は1.9GHzで、そこのS11(S22)が約−17dBであり、S21(S12)が約−13dBであった。これに対して、第1実施形態に対応するマルチアンテナ装置10では、
図5に示すように、1.5GHz付近の共振点は1.55GHzで、そこのS11(S22)が約−13dBであり、S21(S12)が約−34dBであった。また、第1実施形態に対応するマルチアンテナ装置10では、2.0GHzで共振しており、そこのS11(S22)が約−14dBであり、S21(S12)が約−27dBであった。なお、比較例によるマルチアンテナ装置110と第1実施形態に対応するマルチアンテナ装置10とで共振点がずれているのは、無給電素子とアンテナ素子との間の電磁界結合の有無により生じていると考えられる。
【0055】
この結果、比較例によるマルチアンテナ装置110よりも第1実施形態に対応するマルチアンテナ装置10の方が、1.5GHzおよび2.0GHzの両方において、2つのアンテナ素子間の相互結合の強さ(大きさ)を意味するS21(S12)の値が小さいので、非接地の第1無給電素子13および第2無給電素子14を設けることによってアンテナ素子間の相互結合を小さくすることができることを確認した。また、比較例によるマルチアンテナ装置110では、
図4に示すように、S21(S12)の値が急激に低下する部分(谷部)が1.5GHzおよび2.0GHzの間の領域に1つしか生じないのに対して、第1実施形態に対応するマルチアンテナ装置10では、
図5に示すように、S21(S12)の値が急激に低下する部分(谷部)が1.5GHzの近傍および2.0GHzの近傍の両方で生じている。すなわち、第1実施形態に対応するマルチアンテナ装置10では、1.5GHzおよび2.0GHzにおいて、S21(S12)の値が低減されている。なお、S21(S12)の値が−10dB以下であれば、アンテナ素子間の相互結合は微小であると考えられる。
【0056】
1.5GHzにおいてS21(S12)の値が低減された理由としては、第1実施形態に対応するマルチアンテナ装置10では、第1アンテナ素子11(第2アンテナ素子12)の第1周波数帯対応部111(121)において、他方のアンテナ素子を流れる電流に起因する直接的な結合と第1無給電素子13を流れる電流に起因する間接的な結合とが生じることによって、アンテナ素子間の相互結合が打ち消されたためであると考えられる。また、2.0GHzにおいてS21(S12)の値が低減された理由としては、第1アンテナ素子11(第2アンテナ素子12)の第2周波数帯対応部112(122)において、他方のアンテナ素子を流れる電流に起因する直接的な結合と第2無給電素子14を流れる電流に起因する間接的な結合とが生じることによって、アンテナ素子間の相互結合が打ち消されたためであると考えられる。
【0057】
(第2実施形態)
次に、
図6を参照して、本発明の第2実施形態による携帯機器200(
図1参照)のマルチアンテナ装置20について説明する。この第2実施形態では、第1無給電素子13および第2無給電素子14が共に略C字形状に形成された上記第1実施形態と異なり、第1無給電素子23および第2無給電素子24を共にY方向において折り返しながらX方向に延伸するように形成する構成について説明する。なお、第2実施形態では、本発明のマルチアンテナ装置20を、通信機器としての携帯電話機200に適用した例について説明する。
【0058】
本発明の第2実施形態による携帯機器200(
図1参照)のマルチバンド対応のマルチアンテナ装置20は、複数のアンテナ素子を用いて所定の周波数において多重の入出力が可能なMIMO通信用に構成されている。また、マルチアンテナ装置20は、1.5GHz帯および2.0GHz帯の2つの異なるバンド(周波数帯)に対応している。なお、1.5GHz帯は、本発明の「第1周波数帯」の一例であり、2.0GHz帯は、本発明の「第2周波数帯」の一例である。
【0059】
マルチアンテナ装置20は、
図6に示すように、第1アンテナ素子21および第2アンテナ素子22と、2つのアンテナ素子21および22の間に配置される第1無給電素子23および第2無給電素子24と、接地面15とを含んでいる。さらに、マルチアンテナ装置20は、第1アンテナ素子21に高周波電力を供給するための第1給電点16と、第2アンテナ素子22に高周波電力を供給するための第2給電点17と、インピーダンス整合を図るための第1整合回路18および第2整合回路19とを含んでいる。また、第1アンテナ素子21、第2アンテナ素子22、第1無給電素子23および第2無給電素子24は、共に、図示しない基板の表側の表面上に設けられている。なお、第1整合回路18および第2整合回路19は、本発明の「整合回路」の一例である。
【0060】
第1アンテナ素子21は、第1無給電素子23および第2無給電素子24のX1方向側に配置されるとともに、第2アンテナ素子22は、第1無給電素子23および第2無給電素子24のX2方向側に配置されている。また、第1アンテナ素子21および第2アンテナ素子22は、第1給電点16と第2給電点17とを結ぶ直線に垂直で、かつ、第1給電点16および第2給電点17間の中点を通る基準直線に対して互いに線対称な形状に形成されている。また、第1アンテナ素子21(第2アンテナ素子22)は、薄板形状を有している。また、第1アンテナ素子21(第2アンテナ素子22)は、モノポールアンテナである。具体的には、第1アンテナ素子21(第2アンテナ素子22)は、マルチアンテナ装置20が対応する1.5GHzの波長λ1の約1/4の電気長を有する第1周波数帯対応部211(221)と、2.0GHzの波長λ2の約1/4の電気長を有する第2周波数帯対応部212(222)とを含んでいる。第1周波数帯対応部211(221)および第2周波数帯対応部212(222)は、共に、一方端部が開放されているとともに、他方端部が第1給電点16(第2給電点17)を介して接地面15に接地されている。また、第1周波数帯対応部211(221)および第2周波数帯対応部212(222)は、互いに一体的に形成されている。
【0061】
第1周波数帯対応部211(221)は、第1給電点16(第2給電点17)に接続される給電接続部分211a(221a)と、給電接続部分211a(221a)に連結される本体部分211b(221b)とを有している。第1周波数帯対応部211(221)の給電接続部分211a(221a)は、第1給電点16(第2給電点17)からY1方向に延びるように直線形状に形成されている。すなわち、第1アンテナ素子21の給電接続部分211aと第2アンテナ素子22の給電接続部分221aとは、互いに平行に配置されている。本体部分211b(221b)は、給電接続部分211a(221a)の第1給電点16(第2給電点17)が設けられる側とは反対側(Y1方向側)の端部に連結されている。また、本体部分211b(221b)は、第2周波数帯対応部212(222)に対して第1給電点16(第2給電点17)が配置される側(Y2方向側)とは反対側(Y1方向側)に配置されている。また、本体部分211b(221b)は、Y方向において複数の位置で折り返しながら外側(第1無給電素子23が配置される側とは反対側)に延伸するように構成されている。すなわち、本体部分211b(221b)は、複数の位置で屈曲した形状に形成されている。また、本体部分211b(221b)のX方向の内側端部(第1無給電素子23が配置される側の端部)は、給電接続部分211a(221a)の内側端部と面一となるように配置されている。また、本体部分211b(221b)の全長は、給電接続部分211a(221a)の全長よりも長くなるように構成されている。
【0062】
第2周波数帯対応部212(222)は、Y方向において複数の位置で折り返しながら外側(第2無給電素子24が配置される側とは反対側)に延伸するように構成されている。すなわち、第2周波数帯対応部212(222)は、複数の位置で屈曲した形状に形成されている。また、第2周波数帯対応部212(222)は、第1周波数帯対応部211(221)の給電接続部分211a(221a)の外側に配置されている。また、第2周波数帯対応部212(222)は、第1周波数帯対応部211(221)の本体部分211b(221b)のY2方向側で本体部分211b(221b)に隣接するように配置されている。また、第2周波数帯対応部212(222)は、第1周波数帯対応部211(221)の給電接続部分211a(221a)と本体部分211b(221b)とにより囲まれた領域に配置されている。また、第2周波数帯対応部212(222)の外側端部は、第1周波数帯対応部211(221)の本体部分211b(221b)の外側端部と面一となるように配置されている。
【0063】
第1無給電素子23は、複数の位置で屈曲した形状に形成されている。具体的には、第1無給電素子23は、Y方向において複数の位置で折り返しながらX方向(第1アンテナ素子21および第2アンテナ素子22が互いに対向する方向)に延伸するように形成されている。また、第1無給電素子23は、上記基準直線に対して線対称な形状に形成されている。また、第1無給電素子23は、第1アンテナ素子21および第2アンテナ素子22の両方に結合可能な距離を隔てて配置されている。また、第1無給電素子23は、両端部がそれぞれ第1アンテナ素子21および第2アンテナ素子22に対向している。具体的には、第1無給電素子23の両端部は、それぞれ、第1アンテナ素子21の給電接続部分211aおよび第2アンテナ素子22の給電接続部分221aに対向している。また、第1無給電素子23は、第1アンテナ素子21および第2アンテナ素子22の間において、第1アンテナ素子21および第2アンテナ素子22のY1方向側の端部を結ぶ直線と、第1アンテナ素子21および第2アンテナ素子22のY2方向側の端部を結ぶ直線との間の領域に配置されている。すなわち、第1無給電素子23は、第1アンテナ素子21および第2アンテナ素子22が互いに対向する領域内に配置されている。また、第1無給電素子23は、第1アンテナ素子21および第2アンテナ素子22のそれぞれの本体部分211b、221bの間で本体部分211b、221bに対応する領域に配置されている。また、第1無給電素子23は、接地面15に接地されない非接地状態で設けられている。また、第1無給電素子23は、第1周波数帯対応部211(221)が対応する1.5GHzの波長λ1の約1/2の電気長を有している。また、第1無給電素子23は、1.5GHz帯に対応する周波数(1.5GHz近傍の周波数)で共振するように構成されている。なお、第2実施形態において、結合とは、静電結合および磁界結合の両方の結合を含む概念の電磁界結合である。
【0064】
第2無給電素子24は、第1無給電素子23とは別個に設けられている。また、第2無給電素子24は、複数の位置で屈曲した形状に形成されている。具体的には、第2無給電素子24は、Y方向において複数の位置で折り返しながらX方向(第1アンテナ素子21および第2アンテナ素子22が互いに対向する方向)に延伸するように形成されている。また、第2無給電素子24は、上記基準直線に対して線対称な形状に形成されている。また、第2無給電素子24は、第1アンテナ素子21および第2アンテナ素子22の両方に結合可能な距離を隔てて配置されている。また、第2無給電素子24の両端部は、Y方向に延びるように形成されており、それぞれ、第1アンテナ素子21および第2アンテナ素子22に対向している。具体的には、第2無給電素子24の両端部は、それぞれ、第1アンテナ素子21の給電接続部分211aおよび第2アンテナ素子22の給電接続部分221aに対向している。また、第2無給電素子24は、第1アンテナ素子21および第2アンテナ素子22の間において、第1アンテナ素子21および第2アンテナ素子22のY1方向側の端部を結ぶ直線と、第1アンテナ素子21および第2アンテナ素子22のY2方向側の端部を結ぶ直線との間の領域に配置されている。すなわち、第2無給電素子24は、第1アンテナ素子21および第2アンテナ素子22が互いに対向する領域内に配置されている。また、第2無給電素子24は、第1アンテナ素子21および第2アンテナ素子22のそれぞれの第2周波数帯対応部212、222の間で第2周波数帯対応部212、222に対応する領域に配置されている。また、第2無給電素子24は、第1無給電素子23のY2方向側で第1無給電素子23に隣接して配置されている。また、第2無給電素子24は、接地面15に接地されない非接地状態で設けられている。また、第2無給電素子24は、第2周波数帯対応部212(222)が対応する2.0GHzの波長λ2の約1/2の電気長を有している。また、第2無給電素子24は、2.0GHz帯に対応する周波数(2.0GHz近傍の周波数)で共振するように構成されている。
【0065】
第1整合回路18(第2整合回路19)は、第1アンテナ素子21(第2アンテナ素子22)と第1給電点16(第2給電点17)との間に配置されている。また、第1整合回路18(第2整合回路19)は、マルチアンテナ装置20が対応する1.5GHzおよび2.0GHzにおいて、インピーダンス整合を図るように構成されている。具体的には、
図7に示すように、第1整合回路18(第2整合回路19)は、インダクタ(コイル)およびキャパシタ(コンデンサ)により構成されたπ型の整合回路(πマッチ)により構成されている。
【0066】
なお、第2実施形態のその他の構成は、上記第1実施形態と同様である。
【0067】
第2実施形態では、上記のように、第1アンテナ素子21と第2アンテナ素子22との間に、1.5GHz帯に対応する周波数で共振する第1無給電素子23を設けるとともに、第1アンテナ素子21と第2アンテナ素子22との間に第1無給電素子23とは別個に、2.0GHz帯に対応する周波数で共振する第2無給電素子24を設けることによって、上記第1実施形態と同様に、アンテナ素子間の相互結合を小さくすることができ、その結果、アンテナ素子間の距離を小さくしてマルチバンド対応のマルチアンテナ装置20を小型化することができる。すなわち、第1無給電素子23および第2無給電素子24を共にY方向において折り返しながらX方向(第1アンテナ素子21および第2アンテナ素子22が互いに対向する方向)に延伸するように形成した第2実施形態の構成でも、上記第1実施形態と同様に、アンテナ素子間の距離を小さくしてマルチバンド対応のマルチアンテナ装置20を小型化することができる。なお、上記構成によりアンテナ素子間の相互結合を小さくすることができるという効果は、後述する本願発明者のシミュレーションにより確認済みである。
【0068】
また、第2実施形態では、上記のように、第1アンテナ素子21と第1給電点16との間に、1.5GHzおよび2.0GHzにおいてインピーダンス整合を図るための第1整合回路18を設けるとともに、第2アンテナ素子22と第2給電点17との間に、1.5GHzおよび2.0GHzにおいてインピーダンス整合を図るための第2整合回路19を設ける。このように構成すれば、第1整合回路18(第2整合回路19)により、1.5GHzおよび2.0GHzにおいてインピーダンス整合を図ることができるので、マルチアンテナ装置20の小型化を図りながらアンテナ素子を介して伝達されるエネルギの伝達損失を軽減することができる。
【0069】
なお、第2実施形態のその他の効果は、上記第1実施形態と同様である。
【0070】
次に、第2実施形態の効果を確認するために行ったシミュレーションの結果について説明する。このシミュレーションでは、
図6に示した第2実施形態に対応するマルチバンド対応のマルチアンテナ装置20と、
図3に示した比較例によるマルチアンテナ装置110とを比較した。
【0071】
第2実施形態に対応するマルチアンテナ装置20では、給電点における離間距離D3が23mmになるように第1アンテナ素子21および第2アンテナ素子22を配置した。なお、第2実施形態に対応するマルチアンテナ装置20は、1.5GHzおよび2.0GHzの両方に対応している。また、第2実施形態に対応するマルチアンテナ装置20の他の構成は、上記第1実施形態に対応するマルチアンテナ装置10と同様である。
【0072】
次に、
図4および
図8を参照して、比較例によるマルチアンテナ装置110および第2実施形態に対応するマルチアンテナ装置20のSパラメータの特性について説明する。
【0073】
まず、比較例によるマルチアンテナ装置110では、1.5GHz付近の共振点は1.4GHzで、そこのS11(S22)が約−20dBであり、S21(S12)が約−9dBであった。また、比較例によるマルチアンテナ装置110では、2.0GHz付近の共振点は1.9GHzで、そこのS11(S22)が約−17dBであり、S21(S12)が約−13dBであった。これに対して、第2実施形態に対応するマルチアンテナ装置20では、
図8に示すように、1.5GHzにおいて、S11(S22)が約−10dBであり、S21(S12)が約−18dBであった。また、第2実施形態に対応するマルチアンテナ装置20では、2.0GHzにおいて、S11(S22)が約−13dBであり、S21(S12)が約−16dBであった。なお、比較例によるマルチアンテナ装置110と第2実施形態に対応するマルチアンテナ装置20とで共振点がずれているのは、無給電素子とアンテナ素子との間の電磁界結合の有無により生じていると考えられる。
【0074】
この結果、比較例によるマルチアンテナ装置110よりも第2実施形態に対応するマルチアンテナ装置20の方が、1.5GHzおよび2.0GHzの両方において、2つのアンテナ素子間の相互結合の強さ(大きさ)を意味するS21(S12)の値が小さいので、非接地の第1無給電素子23および第2無給電素子24を設けることによってアンテナ素子間の相互結合を小さくすることができることを確認した。また、比較例によるマルチアンテナ装置110では、
図4に示すように、S21(S12)の値が急激に低下する部分(谷部)が1.5GHzおよび2.0GHzの間の領域に1つしか生じないのに対して、第2実施形態に対応するマルチアンテナ装置20では、上記第1実施形態のマルチアンテナ装置10と同様に、S21(S12)の値が急激に低下する部分(谷部)が1.5GHzの近傍および2.0GHzの近傍の両方で生じている。すなわち、第2実施形態に対応するマルチアンテナ装置20では、1.5GHzおよび2.0GHzにおいて、S21(S12)の値が低減されている。
【0075】
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0076】
たとえば、上記第1および第2実施形態では、本発明のマルチアンテナ装置を携帯電話機に適用する例について説明したが、本発明はこれに限られない。たとえば、本発明のマルチアンテナ装置を、PDA(Personal Digital Assistant)やノートパソコン、無線ルータなど携帯電話機以外の通信機器に適用してもよい。
【0077】
また、上記第1および第2実施形態では、マルチアンテナ装置の一例として、MIMO通信用のマルチアンテナ装置を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、たとえば、ダイバシティなどMIMO以外の形式に対応するマルチアンテナ装置であってもよい。
【0078】
また、上記第1および第2実施形態では、第1アンテナ素子、第2アンテナ素子、第1無給電素子および第2無給電素子を共に基板の表側の表面上(同一平面内)に設ける例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、たとえば、
図9および
図10に示すように、第2無給電素子34だけを、基板の裏側の表面上に設けてもよい。すなわち、第2無給電素子34を、第1アンテナ素子11、第2アンテナ素子12および第1無給電素子13とは異なる面に設けてもよい。この場合、基板の表側の表面は、本発明の「第1面」の一例であり、基板の裏側の表面は、本発明の「第2面」の一例である。このように構成すれば、第1無給電素子13および第2無給電素子34を互いに異なる面に分散して配置することができるので、第1無給電素子13および第2無給電素子34を配置するためのスペースが1つの面内で大きくなり過ぎるのを抑制することができる。また、第1無給電素子13および第2無給電素子34を互いに異なる面に配置することができるので、機器内構成の配置の自由度の向上を図ることができる。また、本発明では、アンテナ素子と無給電素子とを互いに異なる面に設けてもよいし、第1アンテナ素子と第2アンテナ素子とを互いに異なる面に設けてもよい。また、本発明では、アンテナ素子と無給電素子とを互いに別個の基板に設ける構成であってもよい。
【0079】
また、上記第1および第2実施形態では、第1無給電素子を、第1アンテナ素子および第2アンテナ素子のそれぞれの本体部分の間で本体部分に対応する領域に配置するとともに、第2無給電素子を、第1アンテナ素子および第2アンテナ素子のそれぞれの第2周波数帯対応部の間で第2周波数帯対応部に対応する領域に配置する例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、第2無給電素子を、第1アンテナ素子および第2アンテナ素子のそれぞれの本体部分の間で本体部分に対応する領域に配置し、第1無給電素子を、第1アンテナ素子および第2アンテナ素子のそれぞれの第2周波数帯対応部の間で第2周波数帯対応部に対応する領域に配置してもよい。また、本発明では、
図11に示すように、第1無給電素子43の内側に第2無給電素子44を配置してもよいし、第2無給電素子の内側に第1無給電素子を配置してもよい。この場合、外側に配置された無給電素子は、第1アンテナ素子に対向する部分および第2アンテナ素子に対向する部分を有している。
【0080】
また、上記第1および第2実施形態では、第1周波数帯対応部の本体部分と第2周波数帯対応部とを互いにY方向に隣接するように配置するとともに、第1無給電素子と第2無給電素子とを互いにY方向に隣接するように配置する例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、第1周波数帯対応部の本体部分と第2周波数帯対応部とを互いにX方向に隣接するように配置するとともに、第1無給電素子と第2無給電素子とを互いにX方向に隣接するように配置してもよい。
【0081】
また、上記第1および第2実施形態では、マルチアンテナ装置を1.5GHz帯および2.0GHz帯の異なる2つの周波数帯に対応するように構成する例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、1.5GHz帯および2.0GHz帯以外の2つの周波数帯に対応するように構成してもよい。また、本発明では、3つ以上の周波数帯に対応するように構成してもよい。
【0082】
たとえば、本発明のマルチアンテナ装置を第1周波数帯、第2周波数帯および第3周波数帯の3つの周波数帯に対応するように構成する場合、
図12に示すように、第1アンテナ素子51および第2アンテナ素子52の間に、第1周波数帯に対応する周波数で共振する第1無給電素子53と、第2周波数帯に対応する周波数で共振する第2無給電素子54と、第3周波数帯に対応する周波数で共振する第3無給電素子55とを互いに別個に設ける。また、第1無給電素子53、第2無給電素子54および第3無給電素子55は、共に、第1アンテナ素子に対向する部分および第2アンテナ素子に対向する部分を有している。このように構成すれば、アンテナ素子間の距離を小さくして小型化することが可能なトリプルバンドに対応したマルチアンテナ装置を得ることができる。
【0083】
また、上記第1および第2実施形態では、第1アンテナ素子(第2アンテナ素子)の一例として、モノポールアンテナからなる第1アンテナ素子(第2アンテナ素子)を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、ダイポールアンテナなどモノポールアンテナ以外の第1アンテナ素子(第2アンテナ素子)であってもよい。
【0084】
また、上記第2実施形態では、本発明の整合回路の一例として、π型の整合回路(πマッチ)を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、たとえば、インピーダンス整合を図るためにT型の整合回路(Tマッチ)(
図13参照)を設けてもよいし、L型の整合回路(Lマッチ)(
図14参照)を設けてもよい。また、π型の整合回路やT型の整合回路、L型の整合回路は、インダクタ(コイル)またはキャパシタ(コンデンサ)の一方のみにより構成してもよいし、インダクタおよびキャパシタの両方により構成してもよい。
【0085】
また、上記第1および第2実施形態では、第1アンテナ素子、第2アンテナ素子、第1無給電素子および第2無給電素子を、共に、屈曲した形状に形成する例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、第1アンテナ素子、第2アンテナ素子、第1無給電素子および第2無給電素子を湾曲した形状に形成してもよいし、屈曲および湾曲を組み合わせた形状に形成してもよい。
【0086】
また、上記第1および第2実施形態では、第1無給電素子および第2無給電素子を、共に、非接地に形成する例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、第1無給電素子および第2無給電素子の一方を非接地にし、他方を接地するようにしてもよい。
【0087】
また、上記第1および第2実施形態では、各アンテナ素子の第1周波数帯対応部および第2周波数帯対応部を互いに一体的に形成する例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、
図15および
図16に示すように、アンテナ素子にスイッチング素子を設けることにより、アンテナ素子の全長を切り替えて第1周波数帯および第2周波数帯に対応するように構成してもよい。また、
図15および
図16の全ての無給電素子は、一方のアンテナ素子(他方のアンテナ素子)側の部分が一方のアンテナ素子(他方のアンテナ素子)に対向するように配置されている。