(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記制御手段は、前記出湯温度として第1の設定温度、および該第1の設定温度より低い第2の設定温度とが設定され、前記検出流量が基準流量未満であれば、前記出湯温度を前記第2の設定温度に制御し、前記検出流量が基準流量以上であれば、前記出湯温度を前記第1の設定温度に制御することを特徴とする請求項1に記載の給湯装置。
【発明を実施するための形態】
【0020】
第1の実施の形態は、設定温度が使用頻度などにより決定された高温度の設定温度(第1の設定温度)、または使用する給水量が少ない場合には設定温度より低い低温度(第2の設定温度)でのエコ温度給湯を行って給湯の省エネ化を図り、利便性を高めた構成である。ここで、設定温度はユーザが出湯を希望する温度であって、給湯装置に設定される出湯希望温度である。この実施の形態では、通常の温度設定を設定温度とし、低温度給湯の際の温度を低温度として説明している。
【0021】
この給湯装置について、
図1を参照する。
図1は給湯装置の一例を示している。
図1に示す構成は一例であって、係る構成に本発明が限定されるものではない。
【0022】
この給湯装置2−1には
図1に示すようにバーナ4および熱交換器6が備えられ、これらバーナ4および熱交換器6は給水Wを加熱する加熱手段の一例である。バーナ4には、燃料ガスGがガス管8を通じて供給され、燃料ガスGを燃焼して燃焼排気EGを生じさせる。この燃焼排気EGは熱交換器6に供給される。この熱交換器6は、燃焼排気EGの熱(燃焼熱)を給水Wに熱交換する。つまり、給水管10から熱交換器6に流れる給水Wは燃焼排気EGとの熱交換によって加熱され、温水HWが出湯管12から出湯される。
【0023】
給水管10と出湯管12との間には、それぞれを分岐したバイパス管14が接続されている。このバイパス管14にはバイパス弁16が設置されている。このバイパス弁16の開度に応じて、給水Wの一部が出湯管12側に流れ込み、混合部18で給水Wと混合した温水HWが出湯管12から出湯される。
【0024】
そして、ガス管8には給湯制御部20によって制御される燃料比例弁22が設置され、この燃料比例弁22の開度によりバーナ4への燃料ガスGの供給量が決定される。給水管10には流量センサである給水量センサ24が設置され、この給水量センサ24で給水流量〔リットル/min〕を検出する。出湯管12には第1の温度センサとして出湯温センサ26が設置され、この出湯温センサ26で温水HWの温度(すなわち、出湯温度)を検出する。これら検出流量をQ、検出温度をTとすれば、これら検出流量Q、検出温度Tは、給湯制御部20で制御される出湯温度の制御情報であり、給湯制御部20に加えられている。
【0025】
給湯制御部20は低温度たとえば、32〔℃〕の給湯を行う低温給湯モード(エコ運転モード)で出湯温度を低温度に制御する制御手段の一例であり、コンピュータが搭載されている。この給湯制御部20にはリモコン装置30が接続されている。このリモコン装置30は、温度設定手段の一例であり、所望の出湯温度を設定することができる。この設定温度Tset に対し、給湯制御部20には第1の基準温度としてたとえば、50〔℃〕、第2の基準温度として38〔℃〕(固定値)がデフォルト値として設定されている。この給湯制御部20は、設定温度Tset の判定を行い、設定温度Tset が所定の温度範囲(つまり第1の基準温度未満、第2の基準温度以上)にあれば、検出流量Qを取り込み、検出流量Qを判定する。その判定結果に応じてバーナ4の燃料ガスGの燃焼量、つまり給水Wに熱交換される熱量を制御する。この制御動作は次の通りである。
【0026】
(1) 設定温度Tset が所定の温度範囲であるか否かを判定する。設定温度Tset が低温度設定(たとえば、38〔℃〕以下)ないし高温度設定(たとえば、50〔℃〕以上)の範囲で設定温度Tset の給湯を行う。
【0027】
(2) 設定温度Tset が所定の温度範囲であれば、検出流量Qが基準流量Qref の判定を行う。検出流量Qが基準流量Qref 未満であれば(Q<Qref )、エコ温度給湯を行う。このエコ温度給湯では出湯温度をエコ温度TLに制御する。このエコ温度TLは、通常出湯温度である設定温度Tset =THより低い値(TL<TH)である。このエコ温度TLは、生体温より低い値、たとえば、エコ温度TL=32〔℃〕に設定してもよい。
【0028】
(3) 検出流量Qが基準流量Qref 以上であれば(Q≧Qref )、設定温度Tset 給湯を行う。つまり、この設定温度Tset 給湯では温水HWの出湯温度を設定温度Tset に制御する。この設定温度Tset がたとえば、Tset =42〔℃〕であれば、出湯温度が設定温度Tset =42〔℃〕に制御される。
【0029】
また、給水管10に第2の温度センサとして給水温センサ28を設置して給水温度Tiを求め、給水温度Tiが所定温度Tref としてたとえば、30〔℃〕以上であれば、エコ運転モードを解除し、加熱することなく給水Wで給湯する構成としてもよい。
【0030】
このエコ運転モードを含む給湯制御について、
図2および
図3を参照する。
図2および
図3は給湯制御の一例を示している。
図2および
図3に示す処理は一例であって、斯かる構成に本発明が限定されるものではない。
【0031】
この処理手順は、本発明の給湯装置の給湯制御プログラムおよび給湯制御方法の一例であって、給湯制御部20に搭載されたコンピュータを実行主体とするプログラムの処理を含んでいる。
【0032】
この処理手順では、
図2に示すように、給水量センサ24の検出流量Qの取込みを行い(ステップS11)、この検出流量Qの判定を行う(ステップS12)。
【0033】
この検出流量Qの判定では検出流量Qが第1の基準流量Qref1以上であるかを判定する(ステップS13)。この判定は給水があるか否かの通水検出である。基準流量Qref1としてたとえば、3〔リットル/min〕とする。検出流量Qが基準流量Qref1以上であれば(ステップS13のYes)、その検出流量Qが第2の基準流量Qref2(=Qref )以上であるかを判定する(ステップS14)。
【0034】
検出流量Q≧Qref2であれば(ステップS14のYes)、設定温度Tset に出湯温度を制御し、設定温度Tset の出湯を行う(ステップS15)。この設定温度Tset 出湯では、設定温度Tset である42〔℃〕に出湯温度を制御する。
【0035】
検出流量Qが基準流量Qref2未満であれば(ステップS14のNo)、低温度(たとえば、TL=32〔℃〕)の給湯を行う(ステップS16)。
【0036】
また、ステップS13において、検出流量Q<Qref1であれば(ステップS13のNo)、加熱停止に制御する。この場合、非加熱給湯となる。
【0037】
このように、検出流量Qが基準流量Qref2を分水嶺として低温度TLまたは設定温度Tset の出湯に制御され、この給湯制御では
図3に示す出湯特性が得られる。この出湯特性では、たとえば、給水流量が基準流量Qref2未満で低温度給湯が行われ、基準流量Qref2以上で設定温度Tset の給湯(高温度TH給湯)が行われる。設定温度Tset 給湯から流量が基準流量Qref2以下に低下した場合、低温度TLの給湯が行われる。給水流量が上昇する場合と、低下する場合に切り換えられる出湯温度の値を破線で示すように異ならせているのはハンチング防止である。
【0038】
この給湯制御には、次のような効果や特徴がある。
【0039】
(1) 給水流量(検出流量Q)が基準流量Qref2未満であれば、基準流量Qref 以上の出湯温度(設定温度Tset )より低い低温度TL(既述の第2の設定温度)に出湯温度を制御して出湯するので、給水Wを加熱する熱量を抑制でき、つまり燃料ガスGを削減でき、省エネルギ化が図られる。
【0040】
(2) 低温度出湯として出湯温度をたとえば、32〔℃〕に設定すれば、手洗いによる手荒れを防止できる。
【0041】
(3) 給水流量が基準流量Qref 未満の場合には過剰な加熱を抑制でき、経済的な給湯が行える。
【0042】
(4) 設定温度Tset を変更することなく、給水流量の操作で出湯温度を低温度TLまたは設定温度Tset に切り替えることができる。つまり、用途や必要給水量に応じて出湯温度を変更でき、ユーザの希望する低温出湯や高温出湯を選択できる。
【0044】
第2の実施の形態は、第1の実施の形態の給湯制御に加え、エコ運転モードの設定またはその解除、基準温度を超える設定温度Tset の場合のエコ運転モード指定の無効化、エコ運転モードのメッセージ表示、給水温度が高い場合に非加熱給湯などにより、給湯の省エネルギ化とともに利便性を高めた構成である。この実施の形態においても、通常の温度設定の温度を設定温度、これに対し低温度給湯の温度を低温度として説明している。
【0045】
この給湯装置について、
図4を参照する。
図4は給湯装置の一例を示している。
図4に示す構成は一例であって、斯かる構成に本発明が限定されるものではない。
図4に示す給湯装置2−2において、
図1と同一部分には同一符号を付してある。
【0046】
この給湯装置2−2には直方体状の筐体31が用いられ、この筐体31には燃料ガスGを燃焼させて燃焼排気EGを生成する燃焼室32が設置されている。この燃焼室32の低部にはバーナ4が設置されている。この実施の形態では、バーナ4にはバーナ群41、42、43が備えられ、各バーナ群41、42、43には個別に燃料ガスGが供給され、ガス供給量が加減可能である。ガス管8には主燃料弁34および燃料比例弁22が設置され、このガス管8に対し、切替弁36、38、40を介してガス管81、82、83が分岐され、バーナ群41、42、43に対する燃料ガスGが供給される。つまり、主燃料弁34を開けばガス供給が可能となり、切替弁36、38、40の開閉でガス供給されるバーナ群41、42、43が選択され、燃料比例弁22によって燃料ガスGの供給量すなわち、燃焼ガス量が加減される。
【0047】
バーナ4の火炎口にはイグナイタロッド44やフレームロッド46が設置され、イグナイタロッド44にはイグナイタ48が接続されている。これらにより、バーナ4に供給された燃料ガスGへの着火や着火検知が行われる。
【0048】
燃焼室32の下側には給気ファン50が配置され、この給気ファン50は筐体31内から燃焼室32に空気を取り込み、バーナ4の上流側に燃焼用空気を供給する。
【0049】
バーナ4の上側、すなわち、燃焼排気EGの下流側には熱交換器6が設置されている。この熱交換器6は、給水Wの加熱手段の一例であり、燃焼排気EGの顕熱や潜熱を給水Wに熱交換する。熱交換後の燃焼排気EGは、燃焼室32から排気筒52に流れ、筐体31から外気に開放される。
【0050】
熱交換器6の入側には給
水管10が接続され、この給
水管10には既述の給水量センサ24および給水温センサ28が設置されている。熱交換器6の出側には出湯管12が接続され、この出湯管12には熱交温センサ54およびハイリミットセンサ56が設置されている。熱交温センサ54は熱交換器6の出側の温水温度を検出し、ハイリミットセンサ56は熱交換器6の異常過熱を検出して開閉する。
【0051】
給水管10と出湯管12との間にはバイパス管14が設けられ、バイパス管14にバイパス弁16が設置され、熱交換器6の出側の温水HWに給水Wを混合する構成は第1の実施の形態と同様である。出湯管12の出口側には混合温度を検出する出湯温センサ26が設置され、この出湯温センサ26はこの給湯装置2−2の出湯温度Tを検出する。
【0052】
給気ファン50の近傍には給湯制御部20(
図5)を搭載した制御基板58が設置され、この制御基板58には電源部60が接続されている。電源部60は、商用交流電源62を変圧、整流、平滑により、安定化直流出力を生成し、制御基板58に給電する。
【0053】
給水管10には上水管64が接続され、給湯管12には給湯配管66が接続されている。給湯配管66には給湯栓68やシャワー栓70が接続されている。
【0054】
この給湯装置2−2の給湯制御について、
図5を参照する。
図5は給湯制御装置の一例を示している。
図5に示す構成は一例であって、本発明は斯かる構成に限定されるものではない。
図5において、
図4と同一部分には同一符号を付してある。
【0055】
図5に示す給湯制御装置72は、既述の制御基板58に搭載される給湯制御部20と、この給湯制御部20に有線または無線で接続されるリモコン装置30を備えている。
【0056】
給湯制御部20は低温給湯を含む給湯制御を行う制御手段の一例であり、コンピュータで構成されている。この給湯制御部20には、プロセッサ78、ROM(Read-Only Memory)79、RAM(Random-Access Memory)80および通信部85を備えている。プロセッサ78は、ROM79に格納されたOS(Operating System)に基づいて給湯制御プログラムやリモコン装置30との連携処理を実行する。ROM79は、フラッシュメモリなどの記録媒体で構成され、OSや給湯制御プログラムなどが格納されている。RAM80は検出温度、検出水量などの検出データ、給湯制御プログラムの実行途上のデータ、通信データなどを格納する。通信部85は、プロセッサ78により制御され、リモコン装置30との通信を行う。
【0057】
この給湯制御部20には給水温センサ28、出湯温センサ26、熱交温センサ54および給水量センサ24の各検出出力が加えられる。給湯制御部20に得られる制御出力はイグナイタ48、主燃料弁34、燃料比例弁22、切替弁36、38、40、給気ファン50に加えられ、出力情報がリモコン装置30に提供される。
【0058】
リモコン装置30は、給湯制御部20を遠隔操作する操作手段であるとともに、入力情報や給湯制御部20の出力情報を表示する。このリモコン装置30には、操作部88、制御部90および表示部92が備えられている。
【0059】
操作部88には運転スイッチ93、温度設定スイッチ94およびエコ運転モード切替スイッチ95が備えられている。運転開始または運転停止は、運転スイッチ93により行う。温度設定スイッチ94は、出湯温度を増減させる入力手段の一例であり、給湯装置2−2に設定された所定温度Tref (たとえば、50〔℃〕)に対し、ユーザが希望する出湯温度である。つまり、設定温度Tset として50〔℃〕未満の出湯温度や、50〔℃〕以上の出湯温度を設定することができる。所望の出湯温度が設定された場合、給水流量、給水温度などの制御情報により、設定温度Tset である出湯温度に制御する給湯制御が行われる。また、エコ運転モードの設定またはその解除は、エコ運転モード切替スイッチ95により行う。
【0060】
制御部90は給湯制御部20とともに制御手段を構成し、給湯制御部20に対する指示入力、その入力情報や給湯制御部20からの制御情報の表示を行う手段であって、コンピュータで構成されている。制御部90には給湯制御部20と同様にプロセッサ96、ROM98、RAM100および通信部102を備えている。プロセッサ96は、ROM98に格納されたOSに基づいて既述の給湯制御プログラムや給湯制御部20との連携処理を実行する。ROM98は、フラッシュメモリなどの記録媒体で構成され、OSや給湯制御プログラムなどが格納されている。RAM100は入力データ、表示データ、通信データなどを格納する。通信部102は、プロセッサ96により制御され、給湯制御部20との通信を行う。
【0061】
エコ運転モード切替スイッチ95を備えたリモコン装置30およびメッセージ表示について、
図6を参照する。
図6はリモコン装置30およびそのメッセージ表示の一例を示している。
図6において、
図4および
図5と同一部分には同一符号を付してある。
【0062】
リモコン装置30は、
図6の(A)に示すように、パネル部104に運転スイッチ93、温度設定スイッチ94およびエコ運転モード切替スイッチ95が備えられているとともに、表示部92の画面表示部106が備えられている。エコ運転モード切替スイッチ95の押下とモード切替えの関係は、エコ運転中でなければ、その押下によりエコ運転モードに切り替えられ、エコ運転中であれば、その押下によりエコ運転モードが解除される。
【0063】
エコ運転モード(低温度出湯中)の実行中には、
図6の(B)に示すように、エコ運転モードの実行を表すメッセージ表示108が画像によって表示される。これにより、低温度給湯であることを告知することができる。この、メッセージ表示として記号(マーク)などを表示してもよい。
【0064】
エコ運転モードを含む給湯制御について、
図7、
図8および
図9を参照する。
図7ないし
図9は給湯制御の一例を示している。
図7、
図8および
図9に示す処理は一例であって、斯かる構成に本発明が限定されるものではない。
【0065】
各処理手順は、本発明の給湯装置の給湯制御プログラムおよび給湯制御方法の一例であって、給湯制御部20に搭載されたコンピュータを実行主体とするプログラムの処理を含んでいる。
【0066】
(1) 給湯制御:設定温度Tset =38〔℃〕ないし50〔℃〕が有効である場合の給湯
【0067】
この処理手順では、
図7に示すように、運転スイッチ93が押下されたか否かを判定し(ステップS21)、運転OFFであれば(ステップS21のNo)であれば、給湯を終了する。給湯中、運転OFFとすれば、非加熱給湯、すなわち、給水温度での給湯となる。
【0068】
運転を開始すると、給水流量の検出流量の取り込みを行い(ステップS22)、検出流量の判定を行う(ステップS24)。
【0069】
検出流量Qが基準流量Qref1以上であるかを判定し、通水検出を行う(ステップS24)。検出流量Q≧Qref1であれば(ステップS24のYes)、エコ運転モードの判定を行う(ステップS25)。
【0070】
このエコ運転モードの判定は、エコ運転モード切替スイッチ95の押下を検出し、エコ運転の解除状態からエコ運転モード切替スイッチ95が押下された場合には(ステップS26のYes)、エコ運転モードとなる。
【0071】
このエコ運転モードにおいて、設定温度Tset を判定をする(ステップS27)。この判定では、設定温度Tset が下限基準温度TsetLの一例である38〔℃〕を超え、上限基準温度TsetHの一例である50〔℃〕未満か、すなわち、38〔℃〕<設定温度Tset <50〔℃〕であるか否かを判定する。つまり、設定温度Tset が下限基準温度38〔℃〕を超え、上限基準温度50〔℃〕未満の範囲にあるか否かを判定する。
【0072】
38〔℃〕<設定温度Tset <50〔℃〕であれば(ステップS27のYes)、検出流量Qを判定する(ステップS28)。この判定では、検出流量Q≧基準流量Qref2以上であるか否かを判定する。基準流量Qref2は、既述した6〔リットル/min〕である。
【0073】
検出流量Q≧基準流量Qref2であれば(ステップS28のYes)、設定温度Tset の給湯を行う(ステップS29)。
【0074】
検出流量Qが基準流量Qref2未満すなわち、Q<Qref2であれば(ステップS28のNo)、低温度TL(たとえば、32〔℃〕)の給湯を行う(ステップS30)。
【0075】
また、ステップS24において、検出流量Q<Qref1であれば(ステップS24のNo)、加熱停止に制御する。この場合、非加熱給湯または給湯停止となる。
【0076】
このように、検出流量Qが基準流量Qref2を分水嶺として低温度TL(=32〔℃〕:エコ温度出湯)給湯または設定温度Tset 出湯が制御され、この給湯制御では既述の
図3に示す出湯特性が得られる。
【0077】
(2) 給湯制御:設定温度Tset =38〔℃〕ないし50〔℃〕が有効で、給水温度がたとえば、30〔℃〕で低温度給湯
【0078】
この処理手順では、
図8に示すように、運転スイッチ93の押下判定(ステップS41)を行い、運転OFFであれば(ステップS41のNo)であれば、給湯を終了する。給湯中、運転OFFとすれば、非加熱給湯、すなわち、給水温度での給湯となる。
【0079】
運転を開始すると(ステップS41のYes)、給水流量の検出流量Qの取り込みを行い(ステップS42)、検出流量Qの判定を行い(ステップS43)、検出流量Qが基準流量Qref1以上であるかを判定し、通水検出を行う(ステップS44)。検出流量Q≧Qref1であれば(ステップS44のYes)、エコ運転モードの判定を行う(ステップS45)。
【0080】
このエコ運転モードの判定は、既述のとおり、エコ運転モード切替スイッチ95の押下を検出し、エコ運転の解除状態からエコ運転モード切替スイッチ95が押下された場合には(ステップS46のYes)、エコ運転モードとなる。
【0081】
このエコ運転モードにおいて、設定温度Tset を判定をする(ステップS47)。この判定では、設定温度Tset が既述のとおり、下限基準温度の一例である38〔℃〕を超え、上限基準温度の一例である50〔℃〕未満か、すなわち、38〔℃〕<設定温度Tset <50〔℃〕であるか否かを判定する。つまり、設定温度Tset が下限基準温度38〔℃〕を超え、上限基準温度50〔℃〕未満の範囲にあるか否かを判定する。
【0082】
38〔℃〕<設定温度Tset <50〔℃〕であれば(ステップS47のYes)、検出流量Qを判定する(ステップS48)。この判定では、検出流量Q≧基準流量Qref2以上であるか否かを判定する(ステップS48)。基準流量Qref2は、既述した6〔リットル/min〕である。
【0083】
検出流量Q≧基準流量Qref2であれば(ステップS48のYes)、設定温度Tset の給湯を行う(ステップS49)。
【0084】
検出流量Qが基準流量Qref2未満すなわち、Q<Qref2であれば(ステップS48のNo)、給水温度が基準温度たとえば、30〔℃〕未満であるか否かを判定する(ステップS50)。給水温度が基準温度30〔℃〕未満であれば(ステップS50のYes)、低温度TL(たとえば、32〔℃〕)の給湯を行う(ステップS51)。
【0085】
また、給水温度が基準温度30〔℃〕以上であれば(ステップS50のNo)、給水を加熱することなく、給水温度で給湯を行う(ステップS52)。この場合、非加熱給湯となる。
【0086】
また、ステップS44において、検出流量Q<Qref1であれば(ステップS44のNo)、加熱停止に制御する(ステップS53)。この場合、非加熱給湯または出湯停止となる。
【0087】
また、エコ運転が選択されていない場合(ステップS46のNo)、38〔℃〕<Tset <50〔℃〕でない場合(ステップS47のNo)には、設定温度Tset の給湯を行う(ステップS49)。
【0088】
このように、検出流量Qが基準流量Qref2を分水嶺として低温度TL(=32〔℃〕:エコ温度出湯)給湯(または非加熱給湯)か設定温度Tset (Tset )出湯かに制御され、斯かる給湯でも既述の
図3に示す出湯特性が得られる。
【0089】
この第2の実施の形態の給湯制御には、次のような効果や特徴がある。
【0090】
(1) 第2の実施の形態においても、第1の実施の形態と同様の効果が得られる。
【0091】
(2) この給湯装置2−2では給水流量が一定値以上であれば、通常給湯つまり、高温の設定温度Tset での出湯を行い、給水量が一定量未満の場合には設定温度Tset よりも低い温度つまり、低温度(エコ温度)での出湯を行うことができる。つまり、給湯の際に、エコ温度または設定温度Tset の2種類の出湯が可能であり、リモコン装置30の設定を変更することなくエコ温度出湯か設定温度Tset の出湯かを選択でき、利便性が高い。
【0092】
(3) 出湯量すなわち、給水流量が6〔リットル/min〕以上で通常の設定温度Tset を出湯し、出湯量が6〔リットル/min〕未満の場合に別の設定温度Tset を出湯する。つまり、低温度出湯か非加熱出湯を行う。
【0093】
(4) また、この給湯装置2−2では、高温設定時(50〔℃〕以上)および低温度設定時(32〔℃〕以下)では、エコ運転モードへ移行させないので、通常給湯の利便性を損なうことがない。
【0094】
(5) リモコン装置30の温度設定を変えなくても、使用目的に応じた温水が得られ、利便性が高い。洗面、野菜洗い、皿洗いなど、高温度を必要としない給湯では、エコ運転モードを活用でき、手荒れ防止や省エネルギ給湯を実現できる。
【0095】
(6) エコ運転モードでは、低温度出湯時、給水Wの検出温度が高く、たとえば、30〔℃〕程度に上昇している場合には、バーナ燃焼を停止し、給水Wを加熱することなく、低温度給湯に利用する。この場合、不必要な加熱を防止できる。
【0097】
上記実施の形態では、低温度出湯の際に、出湯温度を低温度TLに設定したが、この低温度TLは固定値とする必要はなく、たとえば、
図9の(A)に示すように、設定温度Tset =THから所定温度ΔTだけ低い温度を演算により求め、TH−ΔT=TLとしてもよい。つまり、設定温度Tset に応じて動的に低温度TLを決定してもよい。
【0098】
斯かる構成とすれば、リモコン装置30の温度設定を変更することなく、
図9の(B)に示すように、給水量に応じた出湯温度を得ることができる。
【0100】
第4の実施の形態は、第1の実施の形態の給湯制御に加え、高温出湯に到達した場合には給水流量が低下しても設定温度Tset 出湯を維持することにより、利便性を高めた給湯装置である。
【0101】
この給湯制御について、
図10および
図11を参照する。
図10および
図11は設定温出湯後に給水量を低下させた際の給湯制御を示している。
図10において、
図2と同一部分には同一符号を付してある。
【0102】
この実施の形態では、
図10に示すように、検出流量Qの取込み(ステップS11)、検出流量Q判定(ステップS12、S13)の後、設定温度Tset での出湯中であるか否かを判定する(ステップS20)。設定温度Tset の出湯中であれば(ステップS20のYes)、設定温度Tset での出湯を行い(ステップS15)、検出流量Qが基準流量Qref 未満に低下しても、設定温度Tset での出湯を維持させてもよい。
【0103】
この場合の出湯特性は
図11に示すように、低温度出湯から設定温度Tset 出湯に移行した場合、給水流量を低下させても、燃焼を維持する給水流量QがQref1=3〔リットル/min〕以上であれば、燃焼を継続し、設定温度Tset での出湯が得られる。したがって、エコ運転モードを併用しても、通常給湯動作を損なうことがなく、利便性の高い給湯を実現できる。
【0105】
(1) 上記実施の形態では、ミキシングバルブを用いていない給湯システムを例示しているが、これに限定されない。本発明は、ミキシングバルブを用いた給湯システムに適用してもよい。
【0106】
(2) 上記実施の形態では、主として燃焼排気EGの主として顕熱を熱交換する給湯装置を例示したが、これに限定されない。本発明は、下流側の燃焼排気から主として潜熱を回収する二次熱交換器を併用した給湯装置にも適用できる。
【0107】
(3) 上記実施の形態では、燃料ガスの燃焼熱を熱源に用いているがこれに限定されない。本発明は、電熱を熱源に用いた給湯装置であっても適用できる。
【0108】
(4) 上記実施の形態では、エコ運転モードが設定温度Tset に対する第1および第2の基準温度の範囲内で実行される制御形態について例示したが、給水流量が少ない場合には、常にエコ運転モードを実行させ、低温度での給湯を優先させてもよい。この場合、給湯流量を増加させれば設定温給湯に切り替えるので、通常給湯の利便性を損なうことはない。
【0109】
以上説明したように、本発明の最も好ましい実施の形態等について説明したが、本発明は、上記記載に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載され、又は明細書に開示された発明の要旨に基づき、当業者において様々な変形や変更が可能であることは勿論であり、斯かる変形や変更が、本発明の範囲に含まれることは言うまでもない。