(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は上記事実を考慮し、複数の方向からの遊技球の流入を想定し、かつ、流入した遊技球に対して、素通り等、影響を与えない形態を含め、変化に富んだ動向を実現することができる役物装置及び遊技機を得ることが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0011】
第1の発明は、
遊技盤面上に回転可能に支持される
と共に、直径方向に亘り直線状に貫通する
ことで周面に遊技球の流入口又は流出口になり得る一対の開口が形成された遊技球通路
を備えた回転体
と、
前記回転体の周囲に設けられ、前記回転体が支持された位置の上部に位置する第1の通路、及び前記回転体が支持された位置の左右の少なくとも一方に位置する第2の通路を具備し遊技球を前記遊技球通路へ案内する上流側通路と、前記回転体が支持された位置の下部に位置し前記遊技球通路から受け取った遊技球を特定領域へ案内する下流側通路と、を備えた案内手段と、
前記遊技球通路が、前記回転体の回転によって重力作用方向に対応し
、かつ、遊技球を前記第1の通路から受け入れた場合は
、当該遊技球を下流側通路へ流出させる第1のルート、及び、前記遊技球通路が、前記回転体の回転によって重力作用方向以外の方向に対応し
、かつ、遊技球を前記第2の通路から受け入れた場合は
、当該遊技球を前記遊技球通路内で滞留させてから下流側通路へ流出させる第2のルート、の少なくとも2ルートを備えた流動制限手段
と、
を有
することを特徴としている。
【0012】
本発明によれば、回転体に設けられた遊技球通路は、当該回転体の直径方向に形成され、回転体の回転に伴ってその傾きが変化する。
【0013】
ここで、遊技球通路が、重力作用方向に対応した場合は、一方の開口である流入口から他方の開口である流出口に至る遊技球の動きを抑止することなく通過させる。言い換えれば、回転体が遊技球の落下にほとんど影響を与えることがないルート(以下、「直ルート」という場合がある)を形成することができる。当該直ルートにおける遊技球の流出方向である重力方向が目的の流路である場合、遊技者に対して、即時に目的を達成できるという満足感を与えることができる。
【0014】
ここで、遊技球通路が、重力作用方向以外の方向の1つである、水平方向に向けられる場合がある。この状態で、一方の開口である流入口から流入した遊技球は、流動制限手段により動きが抑制され、他方の開口へ到達できない状況が形成される。このような滞留中に、例えば、回転体が回転し続けることで、何れかの開口の向きが、遊技球の重力作用方向となると、滞留している遊技球を前記目的の流路で流出させることができる。すなわち、遊技球が一時的に滞留させるルート(以下、「滞留ルート」という場合がある)を形成することができる。当該滞留ルートでは、遊技者に対して、遊技球が目的の方向へ流出されるか否かという緊張感を与えることができる。
【0015】
このように、本発明の役物装置(回転体)は、回転体の回転状況により、単一の遊技球通路の機能を、直ルート又は滞留ルートとして機能させることができ、変化に富んだ遊技球の動向を実現することができる。
【0016】
第1の発明において、前記回転体の回転角度により、前記遊技球通路の遊技球流動軌跡が、重力作用方向に対応した場合、前記流動制限手段は、遊技球の流動制限機能が
最も低下することを特徴としている。
また、第1の発明において、前記流動制限手段が、前記遊技球通路の中間部に設けられ、該遊技球通路の内径よりも拡大された内径を持つ中空部であり、前記遊技球通路が前記回転体の回転によって重力作用方向以外の方向に対応し、かつ、遊技球を第2の通路から受け入れた場合に、
当該遊技球を中空部に収容することで、遊技球通路内で滞留させることを特徴としている。
【0017】
回転体が回転して、遊技球通路が重力作用方向、すなわち、遊技球が自由状態で落下する方向となると、流動制限手段は、流動制限機能を完全に逸するため、遊技球は回転体から何ら抵抗を受けることなく突き抜ける(流動制限機能を回避する)ため、遊技者に対して、満足感以上(爽快感)を付与することができる。
【0018】
第1の発明において、前記流動制限手段が、前記遊技球通路内に固定的形状として形成され、当該遊技球通路の内壁を摺動する遊技球の流動に抵抗力を付与する流動抵抗部材であることを特徴としている。
【0019】
例えば、ばね等の付勢部材を用いて、遊技球通路内に突出或いは退避するストッパを設けることで、遊技球の流動に変化を与えることが可能であるが、固定的形状に基づいて、遊技球の流動を制限する構造の場合、部品点数を削減することができる。
【0020】
第1の発明において、前記流動抵抗部材が、前記遊技球通路の全長の一部の内壁に流動抵抗領域として形成された凹部又は凸部の少なくとも一方であることを特徴としている。
【0021】
遊技球が遊技球通路の内壁に沿って摺動する場合、必ず流動抵抗ゾーンにおいて抵抗力を受けるため、その分、減速されて滞留されることになる。
【0022】
第1の発明において、前記回転体の周囲には、少なくとも前記回転体の上部に設けられた縦路と、前記回転体の左右の少なくとも一方に設けられた横路とを備えた案内部材が配設され、前記回転体の回転により、前記遊技球通路が、前記縦路又は前記横路に選択的に連通することを特徴としている。
【0023】
遊技球が回転体に至るまでの道程として、回転体の周囲に案内部材を配置する。案内部材は、回転体の上部に設けられた縦路と、前記前記回転体の左右の少なくとも一方に設けられた横路とを備える。
【0024】
回転体と案内部材とを組み合わせることにより、例えば、遊技球通路が単一構成の場合、回転体の回転状況によって、両端の開口が縦路又は横路に選択的に連通されることになる。この連通時期と、遊技球の流動時期とにより、遊技球の回転体の通過を、前記直ルートか滞留ルートか、或いはタイミングを逸して、遊技球通路に到達できないか等、役物装置として遊技球を用いたルートの選択肢を広げることができる。
【0025】
第1の発明において、前記回転体の周囲に、左右対称に前記横路がそれぞれ設けられており、前記回転体の回転角度により、前記遊技球通路の両端の開口が前記横路のそれぞれと連通しているとき、一方の横路から前記遊技球通路に流入する遊技球が他方の横路へ流出しないように、前記流動制限手段が機能することを特徴としている。
【0026】
横路が回転体に対して、左右対称に設けられ、遊技球流路の両端の開口がそれぞれ横路と連通する場合があると、一方の開口から流入した遊技球が、そのまま他方の開口から流出する可能性がある。
【0027】
流動制限手段では、このような状況下にかぎり、一方の横路から前記遊技球通路に流入する遊技球が他方の横路へ流出しないように機能する。
【0028】
例えば、遊技球通路の内壁の一部に凹部(所謂、落とし穴)を形成すると、内壁に沿って摺動してくる遊技球が当該凹部に落下することになる。この落下後の遊技球が凹部から抜け出ようとするときに減速され、凹部内に滞留する場合と凹部から抜け出て流出される場合がある。すなわち、凹部の深さによって、凹部内に滞留する確率を設定することができる。
【0029】
第2の発明は、遊技盤面における通常遊技領域に設けられた特定の入賞口に入賞することを条件として、前記遊技盤
面における前記通常遊技領域とは仕切られた特定遊技部内への入賞を可能とし、当該特定遊技部内での遊技球の動向によって当たり用通路に流入した場合に、短期間に多くの賞球払い出しを受けることが可能な特別遊技状態に所定期間移行する遊技仕様に基づいて遊技を進行させる遊技制御手段を備えた遊技機であって、前記特定遊技部が、
遊技盤面上に回転可能に支持される
と共に、直径方向に亘り直線状に貫通する
ことで周面に遊技球の流入口又は流出口になり得る一対の開口が形成された遊技球通路
を備えた回転体
と、前記回転体の周囲に設けられ、前記回転体が支持された位置の上部に位置する第1の通路、及び前記回転体が支持された位置の左右の少なくとも一方に位置する第2の通路を具備し遊技球を前記遊技球通路へ案内する上流側通路と、前記回転体が支持された位置の下部に位置し前記遊技球通路から受け取った遊技球を当たり用通路へ案内する下流側通路と、を備えた案内手段と、前記遊技球通路が、前記回転体の回転によって重力作用方向に対応し
、かつ、遊技球を第1の通路から受け入れた場合は
、当該遊技球を下流側通路へ流出させる第1のルート、及び、前記遊技球通路が、前記回転体の回転によって重力作用方向以外の方向に対応し
、かつ、遊技球を第2の通路から受け入れた場合は
、当該遊技球を前記遊技球通路内で滞留させてから下流側通路へ流出させる第2のルート、の少なくとも2ルートを備えた流動制限手段
とを有し、前記特定遊技部内
へ入賞した遊技球を選択的に前記
上流側通路の第1の通路又は
第2の通路へ案内し
、前記回転体へ到達するまでの時間、回転体の回転速度によって、
前記下流側通路を介して前記当たり用通路へ案内するか否かを確定させることを特徴としている。
【0030】
本発明によれば、遊技制御手段では、通常遊技領域に設けられた特定の入賞口に遊技球が入賞すると、例えば、通常領域と特定遊技部との間に設けられた開閉部材等を開放し、遊技球の入賞を許可する。
【0031】
特定遊技部には、当たり用通路が設けられ、特定遊技部に入賞し、かつ当たり用通路に入賞すると、短期間に多くを賞球払い出しを受けることが可能な特別遊技状態に所定期間移行することができる。
【0032】
ここで、特定遊技部には、縦壁面である遊技盤面から突出する回転軸に回転可能に支持され、直径方向に亘り直線状に貫通するように遊技球通路が形成された回転体と、回転体の周囲に配設され、回転体の重力作用方向である上部に設けられた縦路と、回転体の重力作用方向に対して交差する方向である左右部に設けられた横路と、で形成された案内部材とが設けられ、遊技球を複雑に案内することで、遊技性を高めている。
【0033】
すなわち、特定遊技部内へ遊技球が入賞した時期、入賞した遊技球を選択的に前記縦路又は横路へ案内し回転体へ到達するまでの時間、回転体の回転速度によって、当たり用通路へ案内するか否かが確定するため、遊技者は常に遊技球の動向を目で追って楽しむことができる。
【0034】
ここで、遊技球通路が、重力作用方向に対応した場合は、一方の開口である流入口から他方の開口である流出口に至る遊技球の動きを抑止することなく通過させる。言い換えれば、回転体が遊技球の落下にほとんど影響を与えることがないルート(以下、「直ルート」という場合がある)を形成することができる。当該直ルートにおける遊技球の流出方向である重力方向に当たり用通路がある場合、遊技者に対して、即時に目的を達成できるという満足感を与えることができる。
【0035】
また、遊技球通路が、重力作用方向以外の方向の1つである、水平方向に向けられる場合がある。この状態で、一方の開口である流入口から流入した遊技球は、流動制限手段により動きが抑制され、他方の開口へ到達できない状況が形成される。このような滞留中に、例えば、回転体が回転し続けることで、何れかの開口の向きが、遊技球の重力作用方向となると、滞留している遊技球を当たり用通路へ流出させることができる。すなわち、遊技球が一時的に滞留させるルート(以下、「滞留ルート」という場合がある)を形成することができる。当該滞留ルートでは、遊技者に対して、遊技球が目的の方向へ流出されるか否かという緊張感を与えることができる。
【0036】
このように、本発明では、回転体の回転状況により、単一の遊技球通路の機能を、直ルート又は滞留ルートとして機能させることができ、変化に富んだ遊技球の動向を実現することができる。
【0037】
以上説明したように、回転体と案内部材とを組み合わせることにより、例えば、遊技球通路が単一構成の場合、回転体の回転状況によって、両端の開口が縦路又は横路に選択的に連通されることになり、直ルートか滞留ルートか、或いはタイミングを逸して、遊技球通路に到達できないか等、遊技球を用いたルートの選択肢を広げることができる。
【発明の効果】
【0038】
以上説明した如く本発明では、複数の方向からの遊技球の流入を想定し、かつ、流入した遊技球に対して、素通り等、影響を与えない形態を含め、変化に富んだ動向を実現することができるという優れた効果を有する。
【発明を実施するための形態】
【0040】
(パチンコ機の構成)
図1に示されるように、パチンコ機10の前面下部には、化粧パネルとなる下飾り12が取り付けられている。
【0041】
また、パチンコ機10の下飾り12の上部には、互いに平行、かつ奥行き方向に所定の間隔をおいて配置された一対のガラス板14を装着したガラス枠16が配置されており、ガラス枠16は左側端部が軸支されて開閉可能に取り付けられている。このガラス枠16の奥側には、着脱交換可能な遊技盤18がセットされており、遊技盤18は、ガラス枠16で閉塞された状態でガラス板14に対向するようになっている。
【0042】
ガラス枠16の下部には、一体皿24が配置されている。一体皿24の
図1の右端部には、鍵穴27が設けられ、この鍵穴27にキーを差し込み、左右の内、一方に回すとガラス枠16が開放し、他方に回すと一体皿24が開放する。
【0043】
一体皿24には、上皿部28と、下皿部30とが設けられている。上皿部28を形成する周縁壁部32には、上皿球抜きレバー34が設けられ、この上皿球抜きレバー34を操作することで、上皿部28に貯留された遊技球を下皿部30へ送り出すことができるようになっている。また、下皿部30には、下皿球抜きボタン36が設けられ、この下皿球抜きボタン36を操作することで、下皿部30に貯留された遊技球PBを外部(例えば、所謂「ドル箱」)へ排出することができるようになっている。
【0044】
上皿部28の周縁壁部32における
図1の右端部には、球貸ボタン42と、返却ボタン44が設けられている。
【0045】
また、一体皿24の右側下部には打球の発射力(飛距離)を調整するためのグリップユニット(発射ハンドル)26が取り付けられ、左側下部には、灰皿46が取り付けられている。
【0046】
一体皿24における下皿部30の
図1の右側には受け皿スピーカ60Uが配置されている。
【0047】
ここで、一体皿24における上皿部28の周縁壁部32には、遊技者が操作可能な操作ボタン50が設けられている。この操作ボタン50は、遊技中において、操作有効期間中に操作することで、演出画像に対して介入することができるようになっており、それぞれの遊技仕様によって設定される。
【0048】
ガラス枠16におけるガラス板14の周囲には、アーチ状に遊技の進行に応じて点灯、消灯、及び点滅し照明による視覚的効果や、音声等による聴覚的効果等の演出効果を生み出す上部演出部52が配置されている。この上部演出部52の下端部は、一体皿24の周囲に略U字型に配置された下部演出部54の上端部と連結されている。
【0049】
この結果、上部演出部52と下部演出部54とで、遊技盤18の周囲を取り囲むように、演出部56が形成されている。
【0050】
この演出部56は、上部演出部52及び下部演出部54共に、照明部材(LED等)が取り付けられた基板(図示省略)と、この基板を覆うように、所定の意匠で形成されたレンズカバー58が取り付けられている。
【0051】
レンズカバー58は、前記照明部材が点灯する領域を区画するよう凹凸状にカットされており、区画された領域(以下、必要に応じて「レンズ部58」という)毎に照明部材の点灯制御がなされる。なお、照明部材は基本的にR(赤色)、G(緑色)、B(青色)の3色に点灯するLEDが1組となっており、それぞれの点灯時の光量比により、様々な配色の点灯が可能となっている。また、ガラス枠の上部角部には、それぞれ三連表示部62が設けられ、遊技状態の報知(エラー報知等を含む)に適用される。
【0052】
また、前記上部演出部52における、ガラス枠16の上部円弧の約1/3に相当する領域の中央及び両端には、ガラス枠スピーカ60C、60L、60Rが内蔵され、照明と同時に、音声を出力する。
【0053】
なお、以下では、前述した受け皿スピーカ60Uと、このガラス枠スピーカ60C、60L、60Rを総称して、「スピーカ60」という場合がある。
【0054】
(遊技盤の構成)
図2に示される遊技盤18は、基板となるベニヤ板に樹脂製シート状のセルが貼着されてそのセルの表面が盤面となっている。なお、遊技盤18の最前面(釘が打ち込まれる面)となる部材として透明のアクリル板を適用し、当該アクリル板の裏面側に、セルの代替であるレンズ面が設けられた電飾装置(セット板)が配置される場合もある。
【0055】
遊技盤18は、その盤面の外周端部付近に、円弧状の外レール102及び内レール104が取り付けられている。これらの外レール102及び内レール104によって囲まれた円形状の領域は、発射装置165(
図4参照)から発射されて打ち込まれた遊技球PBが自重落下により移動可能とされ、この領域が遊技を行う遊技領域とされている。
【0056】
遊技盤18の遊技領域には、釘19(符号は、数カ所の釘に対して指標した)及び風車21が点在して打ち込まれている。また、遊技領域におけるほぼ中央には、センター役物105(役物装置)が配置されている。ここで、遊技盤18において、センター役物105の周囲の遊技盤面が通常遊技領域18Aとされ、センター役物105の内側の領域は、この通常遊技領域とは区画された特定遊技部105Aとなる。センター役物105には一部に入賞流入口110が形成され、開閉部材としての羽根部材112が取り付けられ、この羽根部材112が開放しているときにかぎり、通常遊技領域18Aにある遊技球PBを特定遊技部105Aへ入賞させることが可能となっている。なお、センター役物105の構造については、後述する。
【0057】
センター役物105の左右には、それぞれ一般入賞口114が設けられている。センター役物105よりも下部には、入賞役物装置116が設けられている。
【0058】
入賞役物装置116には、その中央にセンター特定入賞口118Cが設けられ、その左右に一対のサイド特定入賞口118L、118Rが設けられている。なお、センター特定入賞口118C、サイド特定入賞口118L、118Rを総称する場合、単に、特定入賞口118という場合がある。また、入賞役物装置116の左右には、一般入賞口114が設けられている。
【0059】
ここで、4個の一般入賞口114はそれぞれ入賞すると、所定数(例えば、10〜15球)の賞球払い出しが実行されるようになっている。
【0060】
一方、特定入賞口118は、それぞれ入賞すると、所定数(1〜5球)の賞球払い出しが実行されると共に(賞球払い出しがない場合もある)、前記羽根部材112を所定期間開放する契機となる。
【0061】
また、遊技盤18の通常遊技領域18Aの最下位置には、何れの入賞口にも入賞しない外れ球を遊技盤18の裏側へ排出するアウト口120が設けられている。
【0062】
(センター役物105)
図3に示される如く、本実施の形態に係るセンター役物105は、左右対称形状とされ、その左右には、それぞれ縦壁部122が形成され、前記遊技盤18の通常遊技領域18Aとは区画されている。また、センター役物105の天井部は、遊技機18のテーマに即した形状の飾り部材124が取り付けられている。
【0063】
一対の縦壁部122の上端部と、前記飾り部材124との間は開口しており、センター役物105内の特定遊技部105Aへの一対の入賞流入口110とされている。
【0064】
一対の縦壁部122の上端部には、台座126が取り付けられ、この台座126には、それぞれ羽根部材112が回転軸112Aを介して、回転可能に取り付けられている。回転軸112Aは、羽根部材ソレノイド112S(
図4参照)がリンク機構(図示省略)を介して取り付けられている。
【0065】
羽根部材112は、羽根部材ソレノイド112Sへの励磁制御によって、回転軸112Aを中心に回転される。例えば、羽根部材ソレノイド112Sが非励磁の場合は縦位置(
図3の実線参照)となり、励磁の場合は横位置(
図3の想像線参照)となる。なお、一対の羽根部材112は、リンク機構によって単一の羽根部材ソレノイド112Sの励磁制御によって、同期して開閉動作がなされるが、それぞれ独立した駆動源を持ち、左右を非同期に開閉してもよい。
【0066】
一対の羽根部材112は、前記特定入賞口118(
図2参照)に遊技球PBが入賞すると開放するようになっている。一例として、遊技球PBが、一対のサイド特定入賞口118L、118Rの何れかに入賞すると、羽根部材112が1回、所定時間(約0.5秒〜1.0秒間)開放するように羽根部材ソレノイド112Sを駆動制御する。また、遊技球PBがセンター特定入賞口118Cに入賞すると、羽根部材112が2回、所定時間(約0.5秒〜1.0秒間)開放するように羽根部材ソレノイド112Sを駆動制御する。
【0067】
一対の台座126の内側(特定遊技部105A側)には、案内傾斜部128が取り付けられ、左右の何れから入賞した遊技球PBも、中央に位置する球検出センサ130Sを通過して、振り分け部132へ落下するようになっている。
【0068】
振り分け部132は、落下面が円弧状に形成され、前記球検出センサ130Sから落下した遊技球PBは、その落下位置によって、左右に振り分けられるようになっている。
【0069】
振り分け部132の直下には、重力作用方向(
図3の上下方向)に沿って直線状の中央遊技球通路134が形成されている。
【0070】
この中央遊技球通路134を中心として、特定遊技部105Aは左右対称に一対の側部遊技球通路136L、136Rに分離されている。以下、一対の側部遊技球通路136L、136Rに関しては、同一構造で左右対称形であるので、一方(
図3の左側の側部遊技球通路136L)のみの構成を説明し、他方は同一の符号を付してその構成の説明を省略する。また、一対の側部遊技球通路136L、136Rを総称する場合に、単に「側部遊技球通路136」という場合がある。
【0071】
前記振り分け部132によって振り分けられた遊技球PBは、第1関門として機能する振分回転板138の周囲へ至るようになっている。
【0072】
振分回転板138は、周方向に均等に5等分され、5個の略U字型の収容溝として、4個の低確率溝138Aと、1個の高確率溝138Bとが形成されている。
【0073】
振分回転板138は、その回転軸を介して振分回転板モータ138M(
図4参照)の駆動軸に連結されており、
図3の時計方向に一定速度で回転を継続するように制御される(なお、左右対称の右側の振分回転板138は
図3の反時計方向に回転される。)。
【0074】
なお、回転体138の高確率溝138Bが左右対称の位置に配置されているが、高確率溝138Bに遊技球PBが入る頻度が高くなるのであれば、相互に180度ずれた位置に配置するようにすればよい(何れか一方を、回転中心に対して上下反転、左右反転、或いは上下左右反転)。
【0075】
低確率溝138Aは、その開口部に開口を狭めるように爪部が形成されており、振り分け部132からくる遊技球PBが収容されて、
図3の時計方向に回転すると、前記中央遊技球通路134と対面しても収容状態を維持し、さらに回転を継続し、前記側部遊技球通路136に対面すると排出されるようになっている。
【0076】
一方、高確率溝138Bは、爪部が形成されておらず、振り分け部132からくる遊技球PBが収容されて、
図3の時計方向に回転すると、前記中央遊技球通路134と対面した時点で排出されるようになっている。
【0077】
すなわち、第1関門の振分回転板138は、1/5の確率で遊技球PBを中央遊技球通路134へ案内することができる。
【0078】
側部遊技球通路136は、左右の壁から互い違いに案内傾斜部140が突出され、前記低確率溝138Aから排出された遊技球PBが、断続的に左右に移動しながら落下していくようになっている。
【0079】
これに対して、前記高確率溝138Bから排出され、中央遊技球通路134に案内された遊技球PBは、何ら抵抗を受けることなく、自重で重力方向に落下するようになっている。
【0080】
中央遊技球通路134の直下には、第2の関門として機能する回転体142が配置されている。
図5に示される如く、回転体142は、その周囲が円形で、直径方向に遊技球通路144が形成されている。回転体142は、その回転軸が回転体モータ142M(
図4参照)の駆動軸に連結され、当該回転体モータ142Mの駆動力で一定速度で回転(時計方向、反時計方向は問わず)するようになっている。なお、一定速度である必要はなく、また、回転方向が切り替わってもよい。
【0081】
ここで、回転体142の回転により、遊技球通路144が重力作用方向、すなわち
図3の縦方向に向けられると、前記中央遊技球通路134と直線状に並ぶことになり、前記振分回転板138の高確率溝138Bから排出された遊技球PBは、中央遊技球通路134及び回転体142の遊技球通路144を直線的に落下し、回転体142の直下に位置するV通路(当たり用通路)146へ案内されるようになっている。なお、V通路146には、球検出センサ146Sが設けられている。以下、この直線的に遊技球PBをV通路146まで案内するルートを「スペシャルルート(直ルート)」という。
【0082】
一方、前記側部遊技球通路136を断続的に左右に移動しながら落下する遊技球PBは、第3の関門として機能するブリッジガイド部148へ到達するようになっている。ブリッジガイド部148は、平板形状でその中央部に回転軸148Aが取り付けられ、当該回転軸148Aが、ブリッジソレノイド148S(
図4参照)とリンク機構を介して連結されている。このため、ブリッジガイド部148は、ブリッジソレノイド148Sの励磁制御によって、
図3において若干右肩下がりの傾斜となる横方向(
図3の実線参照)及び縦方向(
図3の想像線参照)に選択的に位置決めされるようになっている。
【0083】
なお、遊技球PBが、前記中央遊技球通路134を落下して回転体142に到達したとき、回転体142の遊技球通路144が重力作用方向以外であった場合、遊技球PBは、回転体142の外周に当接して、案内傾斜部151を介して、ブリッジガイド部148へ到達されるようになっている。
【0084】
ここで、ブリッジガイド部148が横方向(
図3の実線参照)に位置決めされているとき、遊技球PBが到達すると、遊技球PBは、ブリッジガイド部148の傾斜によって、回転体142の横位置に案内される。
【0085】
また、ブリッジガイド部148が縦方向(
図3の想像線参照)に位置決めされているとき、遊技球PBが到達すると、遊技球PBは、ブリッジガイド部148を通過して、外れ通路156へ案内される。なお、外れ通路156には、球検出センサ156Sが設けられている。
【0086】
前記回転体142の横位置に案内された遊技球PBは、回転体142の遊技球通路144が横向きになるか、ブリッジガイド部148が縦位置になるかによって、遊技球PBの動向が異なることになる。
【0087】
すなわち、ブリッジガイド部148が横方向を維持している間に回転体142の遊技球通路144が横向きになると、遊技球PBは回転体142の内部へ流入する。しかし、回転体142の遊技球通路144が横向きになる前にブリッジガイド部148が縦方向に切り替わると、遊技球PBは外れ通路156へ落下する。外れ通路156には、それぞれ、当該外れ通路156に流入してくる遊技球を検出する球検出センサ156Sが設けられている。なお、外れ通路156を下流側で合流させ、単一の球検出センサ156Sで検出するようにしてもよい。
【0088】
図3及び
図5に示される如く、本実施の形態の回転体142の遊技球通路144は、その中央部の内壁がそれぞれ円弧状に凹陥部158が形成されている。
【0089】
凹陥部158は、遊技球通路144が重力作用方向(縦方向)となっているときは機能しないが、横方向となっているときは、流入してくる遊技球PBが当該凹陥部158に落ち込むことで、遊技球PBの転動の勢いを減衰させる機能を有する。
【0090】
すなわち、前記スペシャルルートが形成された場合は、遊技球PBが凹陥部158に関係なく、直線的にV通路146へ案内される。
【0091】
また、ブリッジガイド部148が横方向とされ、回転体142の遊技球通路144が横向きになったときに流入する遊技球PBは、ブリッジガイド部148の傾斜によって、ある程度勢いがあり、平坦な遊技球通路であると、反対側の開口から流出する可能性が高い。そこで、遊技球通路144の中央部に凹陥部158を設けることで、遊技球PBはこの凹陥部158に落ち、登り上がろうとするときに移動速度が減速され、凹陥部158に滞留する場合がある。
【0092】
凹陥部158に滞留している間に回転体142が回転を継続して、遊技球通路144が重力作用方向となると、滞留している遊技球PBを、V通路146へ落下させることができる。以下、この一時的に滞留させた状態の遊技球PBをV通路146まで案内するルートを「ノーマルルート(滞留ルート)」という。
【0093】
本実施の形態のセンター役物105では、上記のように、第1の関門は、振分回転板138を用い、1/5の確率で中央遊技球通路134、4/5の確率で側部遊技球通路へ振り分け、第2の関門は、回転体142を用い、回転体142の回転タイミングに依存してV入賞させるかブリッジガイド部148へ案内し、第3の関門は、ブリッジガイド部148を用い、ブリッジガイド部148の切替タイミングと、回転体142の回転タイミングによりV通路146へ案内するか外れ通路156へ案内する構成としている。また、回転体142に固定的な形状として、遊技球通路144の中央に凹陥部158を形成することで、V入賞へのルートとして、スペシャルルートとノーマルルートとを構築したことを特徴とする。
(制御系の構成)
次に、
図4を用いてパチンコ機10の制御系について説明する。
【0094】
本実施形態に係るパチンコ機10の制御系は、
図4に示されるように、主制御部150を中心として構成されており、この主制御部150には、演出制御部152と払出制御部154とが接続されている。主制御部150には、遊技に関する基本的なプログラムが記憶されており、この主制御部150からの命令信号に基づいて、各部の動作が制御されるようになっている。
【0095】
主制御部150からは盤用外部端子190を介してホールコンピュータ(図示省略)へ遊技の進行状態を示す情報(始動入賞信号や大当たり信号、図柄確定回数信号)が送信される。
【0096】
主制御部150には、通常遊技領域18Aにおける入力系として、一般入賞口114(本実施の形態では4箇所)に入賞する遊技球を検出する一般入賞用の球検出センサ114S、センター特定入賞口118Cに入賞する遊技球を検出するセンター特定入賞用の球検出センサ118CS、サイド特定入賞口118L、118Rに入賞する遊技球を検出するサイド特定入賞用の球検出センサ118LS、118RSが接続されている。
【0097】
なお、一般入賞用の球検出センサ114Sは、各入賞口毎でもよいし、2以上の入賞口を合流させて兼用してもよい。
【0098】
また、サイド特定入賞用の球検出センサ118LS、118RSは、各特定入賞口毎でもよいし、2つのサイド特定入賞口118L、118Rを合流させて兼用してもよい。
【0099】
また、主制御部150には、センター役物105の特定遊技部105Aにおける入力系として、羽根部材112が開放したときに特定遊技部105A内に入賞する遊技球PBを検出する特定遊技部入賞用の球検出センサ130S、V通路146に入賞する遊技球PBを検出するV通路用の球検出センサ146S、外れ通路156に流入する遊技球PBを検出する外れ通路用の球検出センサ156Sが接続されている。
【0100】
なお、外れ用の球検出センサ156Sは、各外れ通路156毎でもよいし、2つの外れ通路156を合流させて兼用してもよい。
【0101】
また、主制御部150には、通常遊技領域18における出力系として、ガイドランプユニット109が接続されている。
【0102】
また、主制御部150には、センター役物105の特定遊技部105Aにおける出力系として、羽根部材112を開閉するための羽根部材ソレノイド112S、一対の振分回転板138を回転させるための振分回転板モータ138M、回転体142を回転させるための回転体モータ142M、一対のブリッジガイド部148を縦横に傾動させるためのブリッジソレノイド148Sが接続されている。
【0103】
なお、一対の振分回転板138は、歯車等により単一の振分回転板モータ138Mで一対の振分回転板138を回転させてもよいし、独立して駆動源を持ってもよい。
【0104】
また、一対のブリッジガイド部148は、リンク機構等により、単一のブリッジソレノイドで一対のブリッジガイド部148を傾動させてもよいし、独立して駆動源を持ってもよい。
【0105】
演出制御部152には、入力系として、前記操作ボタン50が接続されている。また、演出制御部152には、出力系として、パチンコ機10の各種遊技部品に設けられた照明演出用の発光素子137、スピーカ60(60L、60C、60R、60U)が接続されている。なお、遊技盤18面にLCD表示部やLED表示部等の表示部材を設ける場合には、演出制御部152に接続すればよい。
【0106】
払出制御部154には、払出装置160及び発射制御部164が接続され、発射制御部164には発射装置165が接続されている。この払出制御部154は、パチンコ機10内に設けられた払出装置160を作動させて、賞球又は貸し球の払い出し及び停止動作と払出数を制御する。また、発射制御部164は、遊技者によるグリップユニット26(
図1参照)の操作により発射装置165を作動させて、遊技球PBの発射開始、及び、グリップユニット26の操作量に応じた発射力を制御する。
【0107】
さらに、払出制御部154では、枠用外部端子191を介して払出情報をホールに設置されたホールコンピュータ(図示省略)へ送信するようになっている。
【0108】
以下に本実施の形態の作用を説明する。
【0109】
パチンコ機10による遊技では、遊技者がグリップユニット26を操作すると、一球ずつ発射装置165によって上方へ発射される。発射された遊技球PBは、外レール102に沿って遊技盤18の遊技領域に打ち込まれ、遊技釘や風車に当たり方向を変えながら遊技領域内を落下する。そして、入賞せずに遊技領域の下端部に至った遊技球PBはアウト口120からパチンコ機10内に回収される。
【0110】
また、遊技球PBが通常遊技領域18A内に設けたセンター特定入賞口118C又はサイド特定入賞口118L、118Rに入賞すると、センター役物105の羽根部材112が開閉動作され(約0.5秒〜1.0秒間の開放を1回又は2回実行)、遊技球PBがセンター役物105内の特定遊技部105Aへ入賞することを許可する。
【0111】
センター役物105内の特定遊技部105Aでは、遊技球PBの動向(流動状態)に応じて、V通路に流入するか否かが確定され、V通路に流入した場合には、遊技を継続する上で、遊技者に有利となり得る特典が付与される。また、一般入賞口114に入賞すると、予め定めた賞球(払い出し)が実行される。
【0112】
(センター役物105における遊技仕様の概要)
以下に、羽根部材112の開放によって遊技球PBがセンター役物105の特定遊技部105Aに入賞した場合の遊技球PBの動向について詳細に説明する。
【0113】
通常遊技領域18Aに設けられたサイド特定入賞口118L、118Rに入賞すると、羽根部材112は、羽根部材ソレノイド112Sの励磁制御によって、0.5秒〜1.0秒程度の開放を1回だけ実行する。また、センター特定入賞口118Cに入賞すると、羽根部材112は、羽根部材ソレノイド112Sの励磁制御によって、0.5秒〜1.0秒程度の開放を2回だけ実行する。何れにしても、羽根部材112の開放中は、通常遊技領域18Aを落下している遊技球PBが、センター役物105の特定遊技部105Aへ入賞することが可能となる。
【0114】
特定遊技部105Aに入賞したか否かは、特定遊技部入賞用の球検出センサ130Sによって検出される。
【0115】
この検出は、センター役物105内への、IN(流入)/OUT(流出)を監視することが目的であり、例えば、特定遊技部入賞用の球検出センサ130Sによって遊技球PBが検出されると、その都度タイマが起動して、所定時間経過しても流出がない(V通路用の球検出センサ146S、外れ通路用の球検出センサ156Sで検出しない)場合に、球噛み、球詰まりや、不正行為の発生を予測して、エラー報知を行う。
【0116】
前記特定遊技部105Aに入賞した遊技球PBは、案内傾斜部128を転動し、振り分け部132に落下する。
【0117】
この振り分け部132は、円弧面であるので、遊技球PBは左右の何れに振り分けられる。この振り分けられた下流側には、それぞれ振分回転板138が設けられ、予め回転しながら、遊技球PBを待ち受けている。なお、本実施の形態では、一対の振分回転板138は振分回転板モータ138Mの駆動力で一定速度で回転され、
図3の左側の振分回転板138は時計回り方向、
図3の右側の振分回転板138は反時計回り方向に回転している。
【0118】
遊技球PBは、振分回転板138の周面に設けられた5個の収容溝が設けられ、4/5の確率で低確率溝138Aに収容され、1/5の確率で高確率溝138Bに収容される。
【0119】
(低確率溝138Aに収容された場合)
低確率溝138Aに収容された遊技球PBは、振分回転板138が回転し、中央遊技球通路134に到達しても、爪部によって遊技球PBの排出が阻止され、そのまま回転し続ける。その後、遊技球PBが収容されている低確率溝138Aがほぼ下向きになると、当該収容されている遊技球PBが排出され、側部遊技球通路136へ落下する。
【0120】
側部遊技球通路136に落下した遊技球PBは、案内傾斜部140に案内されながら、断続的に左右に移動しながら落下し、ブリッジガイド部148へ到達する。
【0121】
このとき、ブリッジガイド部148の向きが縦向きの場合は、遊技球PBは、当該ブリッジガイド部148を通過して、外れ通路156へ案内され、この時点で、当該遊技球PBによる遊技は終了する。
【0122】
一方、ブリッジガイド部148の向きが横向きの場合は、遊技球PBは、ブリッジガイド部148に支持されて、回転体142方向へ転動する。回転体142は回転体モータによって一定速度で回転されており、ブリッジガイド部148が横方向を維持している間に回転体142の遊技球通路144が横向きになると、遊技球PBは回転体142の内部へ流入する。しかし、回転体142の遊技球通路144が横向きになる前にブリッジガイド部148が縦方向に切り替わると、遊技球PBは外れ通路156へ落下する。
【0123】
(高確率溝138Bに収容された場合)
次に、振り分け部132から振分回転板138へ至る遊技球PBが、高確率溝138Bに収容されると、当該遊技球PBは、振分回転板138の回転により、中央遊技球通路134に到達すると、高確率溝138Bから流出し、中央遊技球通路134を直線的に落下する。この中央遊技球通路134の下端部に配置された回転体142の遊技球通路144が重力作用方向(縦方向)となっている場合は、前記中央遊技球通路134と回転体142の遊技球通路144とが直線上に並び、遊技球PBは、何ら抵抗を受けることなく、V通路146へ流入することができる。これが「スペシャルルート」と称する経路であり、遊技者から見ると、即時に目的を達成(V通路への流入)できるという満足感を与えることができる。
【0124】
一方、中央遊技球通路134を落下して回転体142に遊技球PBが到達するとき、回転体142の遊技球通路144が縦向きではない場合は、遊技球PBは、回転体142の周面に当接し、案内傾斜部151を介して、前記ブリッジガイド部148へ到達する。
【0125】
ここで、ブリッジガイド部148が横方向を維持している間に回転体142の遊技球通路144が横向きになると、遊技球PBは回転体142の内部へ流入する。
【0126】
流入した遊技球PBは、ブリッジガイド部148の傾斜によって、ある程度勢いがある。このため、回転体142の遊技球通路144が平坦であると、反対側の開口から流出する可能性が高い。そこで、本実施の形態では、遊技球通路144の中央部に凹陥部158を設けた。このため、遊技球通路144の一方の開口から流入した遊技球PBは、凹陥部158に落ち、登り上がろうとするときに移動速度が減速され、凹陥部158に滞留する場合がある。この結果、他方の開口からの流出が防止される。
【0127】
凹陥部158に滞留している間に回転体142が回転を継続して、遊技球通路144が重力作用方向となると、滞留している遊技球PBは、V通路146へ落下する。以下、この一時的に滞留させた状態の遊技球PBをV通路146まで案内するルートが「ノーマルルート(滞留ルート)」と称する経路であり、遊技者に対して、遊技球が目的の方向へ流出されるか否かという緊張感を与えることができる。
【0128】
このように、回転体142には、動作部材が一切なく、固定的な形状であるにも関わらず、遊技球通路144の向きによって、固定構造の遊技球通路の機能を、スペシャルルート又はノーマルルートとして機能させることができ、変化に富んだ遊技球の動向を実現することができる。
【0129】
このように、本実施の形態のセンター役物105では、羽根部材112の開閉、振分回転板138の回転、ブリッジガイド部148の傾動、回転体142の回転のそれぞれのタイミングによって、遊技球PBの動向にバリエーションを持たせることができる。また、遊技者に満足感を与えるスペシャルルートとして、遊技球PBをほぼ直線的にV通路への流入まで案内する道程を構築することができる。
【0130】
図6は、振分回転板138の回転、ブリッジガイド部148の傾動、回転体142の回転のそれぞれの動作のタイミングチャートである。なお、この
図6のタイミングチャートは遊技仕様を特定するものではなく、遊技仕様の目的、或いは出玉率の設定等に基づいて、相関関係を変更可能である。
【0131】
図6に示される如く、振分回転板138では、1/5の確率で高確率溝138Bに遊技球PBを収容することができ、当該高確率溝138Bから遊技球が排出されるとき、回転体142の遊技球収容溝144が縦向きとなっているときがスペシャルルートが構築(成立)されているときであり、振分回転板138又は回転体142の回転の1周期に一度あるか無いかのわずかなチャンスであるが、その分、遊技者は、このスペシャルルートが構築されたタイミングで遊技球PBがV通路146まで案内されると、満足感を持つことができる。
【0132】
(回転体142の構成及び作用効果)
図7及び
図8に示される如く、本実施の形態における回転体142は、直径方向に直線的に遊技球通路144を形成し、その遊技球通路144の途中(略中央部)を、遊技球通路144の幅よりも大きく、かつ回転体142の外形よりも小さい直径(L)の円に沿って切削することで、遊技球通路144の両側部に円弧状の凹陥部158を形成した。
【0133】
なお、遊技球通路144の幅寸法は12mm、直径Lが24mmであり、凹陥部158に2個の遊技球PB(直径11mm)が収容されても、球詰まりがない構造となっている。
【0134】
回転体142は回転可能であり、例えば、一方向に一定速度で回転していると、遊技球通路144が、重力作用方向(縦方向)に向けられる場合と(
図7参照)、それ以外の場合とがある(
図8参照)。
【0135】
図7に示される如く、遊技球通路144が重力作用方向(縦方向)に向けられると、上端の開口から流入した遊技球PBを、凹陥部158に干渉させることなく、下端の開口から流出させることができる。
【0136】
一方、
図8に示される如く、遊技球通路144が、重力作用方向(縦方向)以外、例えば、水平方向(横方向)に向けられると、左端又は右端の開口(一方の開口)から流入した遊技球PBは、その流入時の勢いに応じて、凹陥部158に落下する。
【0137】
凹陥部158に落下した遊技球PBに勢いが残っている場合は、凹陥部158を登り上がろうとすることで勢いが減衰し、所定の確率で凹陥部158に滞留する場合と、右端又は左端の開口(他方の開口)から流出する。また、凹陥部158に滞留した遊技球PBは、回転体142が回転して、何れか一方の開口が下向きになった時点で、当該開口から流出する。
【0138】
前記所定の確率は、遊技球PBの流入時の勢い、並びに凹陥部158の深さに依存するものであり、遊技性を考慮して決めればよい。例えば、凹陥部158の滞留の確率を上げるためには、回転体142の遊技球通路144への流入速度(勢い)を遅くする、或いは単純に切削時の直径Lのみで調整する場合、凹陥部158の深さを深くすればよい。
【0139】
回転体142は上記のように、遊技球通路144が、少なくとも重力作用方向に向けられた場合とそれ以外の場合とで遊技球PBの案内形態が異なるようにすればよく、本実施の形態に示した形状に限定されるものではない。以下、回転体142の変形例を示す。
【0140】
(変形例1)
図9には、変形例1に係る回転体170が示されている。回転体170には、直径方向に遊技球通路172が形成され、その中央部に、当該遊技球通路172の幅を狭めるための凸部174が形成されている。
【0141】
遊技球通路172が重力作用方向(縦方向)に向けられた場合は、上端から流入した遊技球PBは、凸部174で若干減速されるものの、ほぼ直線的な移動軌跡で下端から流出される。
【0142】
一方、遊技球通路172が横方向に向けられた場合は、左右の開口の一方から流入した遊技球PBは、凸部174によってその勢いが減衰し、左右の開口の他方へは到達せず、停滞させることができる。この状態で、回転体170が90°回転すると、下方に向けられた開口から排出される。
【0143】
(変形例2)
なお、変形例1では、凸部174を形成したが、
図10に示される如く、例えば、遊技球通路172の内壁にゴムや剛性の高い起毛等で形成されたシート部材176を貼り付け、摩擦力によって遊技球PBを停滞させる構造であってもよい。
【0144】
(変形例3)
図11には、変形例3に係る回転体178が示されている。回転体178には、直径方向に互いに直交する一対の遊技球通路180、182が形成され、全体として十字型の遊技球通路が形成されている。この一対の遊技球通路180、182の交差部における、四隅は、遊技球通路を狭めるための突起部184が形成されている。
【0145】
遊技球通路180又は182が重力作用方向(縦方向)に向けられた場合は、上端から流入した遊技球PBは、突起部182で若干減速されるものの、ほぼ直線的な移動軌跡で下端から流出される。
【0146】
一方、左右の開口の一方から流入した遊技球PBは、突起部184によってその勢いが減衰し、左右並びに下方の開口へは到達せず、停滞させることができる。この状態で、回転体178が90°回転すると、下方に向けられた開口から排出される。