(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
遊技機の扉又は遊技機を施錠するものであり、それと接続されたロッドの上下方向の移動に基づいて開錠するようになっている施錠装置、と組み合わせて用いられるものであり、
軸体と、
前記軸体に取付けられており、その角度を変えることにより、その少なくとも一端が、前記遊技機のロッドの孔に嵌り込み前記ロッドを上下方向に移動させることで前記施錠装置を開錠するフックと、
所定の操作手段の操作により所定の動力を生じる駆動手段と、
特定の鍵と噛み合う鍵穴をその先端に有し、外筒の中に内蔵された前記遊技機の前方方向に伸びる筒状の内筒であり、前記特定の鍵が挿入された状態でその軸回りに回転できるようにされたものと、
前記フックの回転を前記内筒に伝えないようにする伝達防止手段と、
を備えた開錠装置であって、
前記フックは、前記駆動手段が生じた動力により前記軸体を軸として回転できるようになっているとともに、
前記伝達防止手段は、前記特定の鍵が挿入された前記内筒がその軸回りに回転した場合に、その少なくとも一部が不可逆に除去されるようになっており、
前記伝達防止手段の少なくとも一部が除去された後においては、前記特定の鍵によって回転する前記内筒の回転により、前記フックを回転させられるようになるようにされている、
開錠装置。
遊技機の扉又は遊技機を施錠するものであり、それと接続されたロッドの上下方向の移動に基づいて開錠するようになっている施錠装置、と組み合わせて用いられるものであり、
軸体と、
前記軸体に取付けられており、その角度を変えることにより、その少なくとも一端が、前記遊技機のロッドの孔に嵌り込み前記ロッドを上下方向に移動させることで前記施錠装置を開錠するフックと、
所定の操作手段の操作により所定の動力を生じる駆動手段と、
特定の鍵と噛み合う鍵穴をその先端に有し、外筒の中に内蔵された前記遊技機の前方方向に伸びる筒状の内筒であり、前記特定の鍵が挿入された状態でその軸回りに回転できるようにされたものと、
前記フックの回転を前記内筒に伝えないようにする伝達防止手段と、
を備えた開錠装置であって、
前記フックは、前記駆動手段が生じた動力により前記軸体を軸として回転できるようになっているとともに、
前記伝達防止手段は、前記特定の鍵が挿入された前記内筒がその軸回りに回転した場合に、その少なくとも一部が除去されるようになっており、
前記伝達防止手段の少なくとも一部が除去された後においては、前記特定の鍵によって回転する前記内筒の回転により、前記フックを回転させられるようになるようにされており、
前記伝達防止手段は、その一部が除去された場合に、それを目視で確認できるようになっている、
開錠装置。
前記軸体の径に対応する孔を備え、且つ軸体にその孔を貫かれた状態で軸体に取付けられたフック係止体を備えていると共に、前記フックは前記伝達防止手段の少なくとも一部が除去される前においては前記フック係止体と係止し合うようになっている、
請求項1又は2記載の開錠装置。
その前側の面で遊技機との固定をなす板状のベースであり、前記内筒の後側により貫通され、且つ後側の面の前記内筒に貫通された部分の周囲にリング状の溝が切られているものを備えており、
前記位置決め部材は、その溝に嵌るように形成されており、
前記内筒は、前記溝の底に沿って前記溝の幅方向に延びる突出部を備えており、
前記特定の鍵が挿入された前記内筒がその軸回りに左右両方向に回転した場合に、前記位置決め部材は、前記内筒とともに回転する前記突出部により前記溝から掻き出されるようになっている、
請求項3記載の開錠装置。
前記内筒は、その後側の端部が前記ベースを貫く貫通孔の途中に位置する円筒形状の内筒本体部と、前記内筒本体部から前記ベースの後側の面よりも後側まで延びる、円筒形状であり前記内筒本体部よりも小径で、前記内筒本体部と同軸の内筒貫通部とを備えているとともに、
前記溝は、前記貫通孔の内周面と、前記内筒本体部の後端の面と、前記内筒貫通部の外周面により囲まれた空間として形成される、
請求項5記載の開錠装置。
2つの前記半円部材の、前記突出部が位置する隙間と逆側の隙間を作る端部の前側の面のそれぞれには、前記突出部による2つの前記半円部材の前記溝からの掻き出しを容易にするために、その端部に向かうにつれて後側に向かう傾斜面が設けられている、
請求項7記載の開錠装置。
前記検知手段は、前記伝達防止手段の少なくとも一部が除去されたことが検知された場合に、それを五感のいずれかで感知可能な状態でユーザに通知する通知手段を備えており、前記通知手段は、前記遊技機及びそれが取付けられた島の外部に設けられている、
請求項10又は11記載の開錠装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、かかる技術にも改良すべき点がないとはいえない。
駆動装置を用いる上述の開錠装置は、駆動装置が故障した場合にはフックを動かすことができなくなるため、遊技機の扉又は遊技機を施錠した状態で駆動装置が故障した場合には外筒及びその中に収納された部品をすべて除去しなければ扉を開けることができなくなる。このような作業は手間であるし、また遊技機を傷つけるおそれもあるので好ましくない。
【0009】
本発明は、駆動装置を用いる上述の開錠装置を、従来通り鍵でも開閉できるように改良するとともに、開錠装置の不正な使用をより防止できるようにすることをその課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本願発明者は、上述の課題を解決するために、以下のような開錠装置を提案する。
本願発明の開錠装置は、遊技機の扉又は遊技機を施錠するものであり、それと接続されたロッドの上下方向の移動に基づいて開錠するようになっている施錠装置、と組み合わせて用いられるものであり、軸体と、前記軸体に取付けられており、その角度を変えることにより、その少なくとも一端が、前記遊技機のロッドの孔に嵌り込み前記ロッドを上下方向に移動させることで前記施錠装置を開錠するフックと、所定の操作手段の操作により所定の動力を生じる駆動手段と、特定の鍵と噛み合う鍵穴をその先端に有し、外筒の中に内蔵された前記遊技機の前方方向に伸びる筒状の内筒であり、前記特定の鍵が挿入された状態でその軸回りに回転できるようにされたものと、前記フックの回転を前記内筒に伝えないようにする伝達防止手段と、を備えた開錠装置である。
そして、この開錠装置の前記フックは、前記駆動手段が生じた動力により前記軸体を軸として回転できるようになっているとともに、前記伝達防止手段は、前記特定の鍵が挿入された前記内筒がその軸回りに回転した場合に、その少なくとも一部が不可逆に除去されるようになっており、前記伝達防止手段の少なくとも一部が除去された後においては、前記特定の鍵によって回転する前記内筒の回転により、前記フックを回転させられるようになるようにされている。
この開錠装置は、フックを回転させ、それによりロッドを上下方向に移動させて遊技機用又はその扉用の施錠装置の開錠を行うという古くから存在する開錠装置の構成をその基本として備える。
そして、この開錠装置は、フックを、駆動手段と、特定の鍵の2つの手段を用いて回転させることができる。なお、フックにより開錠される施錠装置(及びロッド)は、少なくとも1つあれば良いが、例えば、従来のパチンコ遊技機のように2つでも良い。施錠装置及びロッドが2つの場合には、フックの回転方向の別により、フックの一端で一方のロッドを押し上げフックの他端で他方のロッドを押し下げるようにすることができる。
駆動手段を用いてフックを回転させる場合に、フックの回転が内筒に伝わると、特定の鍵がささっていない内筒は回転不能にロックされているから、フックは回転できない。しかしながら、本発明は、駆動手段を用いてフックを回転させる場合にフックの回転を内筒に伝えないようにする伝達防止手段を備えているから、駆動手段により発生させた動力にてフックを回転させることができる。これは、従来技術同様、例えば電気信号により操作可能な駆動装置を用いて、遊技機用又はその扉用の施錠装置の開錠を行えることを意味する。これにより、悪意あるホールの店員による不正を排除することが基本的に可能となる。
他方、この開錠装置では、特定の鍵が挿入された内筒がその軸回りに回転した場合に伝達防止手段の少なくとも一部が除去されるようになっており、伝達防止手段の少なくとも一部が除去された後においては、特定の鍵によって回転する内筒の回転により、フックを回転させられるようになっている。つまり、この開錠装置は、駆動手段が故障したなどの特別の事情が生じた場合には、開錠装置を破壊したり交換したりすることなく、鍵を用いて遊技機用又はその扉用の施錠装置の開錠を行うことができる。しかも、鍵を用いて遊技機用又はその扉用の施錠装置の開錠を行えるようにするために必要なのは、鍵を用いて内筒を回転させるという通常の扉の施錠、開錠の処理のみなので、ホールの店員などに特殊な操作を強要することがない。
その上、伝達防止手段の一部の除去は、不可逆なものである場合には、悪意のあるホール店員等が鍵を用いて遊技機用又はその扉用の施錠装置の開錠をした場合、その痕跡を消すことが難しいから、ホールの店員などに鍵を悪用される可能性は低い。本願発明における伝達防止手段の不可逆な除去は、例えば、特殊な器具等を用いなければ伝達防止手段を除去前の位置に戻すことが困難であれば十分であり、伝達防止手段が破壊される等、伝達防止手段を除去前の位置に戻すことが不可能であることまでを要求するものではない。
また、伝達防止手段の少なくとも一部の除去が不可逆なものでなかったとしても、その一部が除去された場合に、それを目視で確認できるようになっていれば、伝達防止手段の一部を元に戻すまでの間は鍵が使用されたことを第三者が目視で確認できるから、ホールの店員などに鍵を悪用される可能性は低い。伝達防止手段の少なくとも一部が除去されたことを目視で確認できるようにするには、伝達防止手段が予定された位置にないこと、または予定された位置から移動した伝達防止手段を、例えば遊技機の扉を開けてホールの店員等が確認できるようになっていれば足りる。
なお、前記伝達防止手段の少なくとも一部が除去された場合には、前記フックに、前記駆動手段が生じる動力が伝わらないようになっていてもよい。伝達防止手段の少なくとも一部が除去され、内筒の回転によりフックを回転させられるようになった場合であっても、駆動手段から生じる動力がフックに伝わるようになっていると、フックを回転させる場合に駆動手段が負荷となることが考えられる。伝達防止手段の少なくとも一部が除去された場合には、フックに、前記駆動手段が生じる動力が伝わらないようになっていれば、内筒の回転によるフックの回転が容易になる。
【0011】
内筒と軸体の位置関係は、同軸であってもそうでなくても良い。
前記内筒と、前記軸体とが同軸であり、前記軸体が、前記内筒の延長線上後方に延びている場合、前記フックは、前記軸体の長さ方向に沿って移動可能とされ、且つ前記フックを前方に付勢する付勢手段により前方に付勢されているとともに、前記伝達防止手段は、前記フックと当接して前記フックの前側への移動を妨げる移動防止部材と、前記移動防止部材の前後方向の位置決めを行う位置決め部材とを備えているとともに、前記位置決め部材は、前記特定の鍵が挿入された前記内筒がその軸回りに回転した場合に除去されるようになっており、前記フックは、前記位置決め部材が除去されることにより、前記移動防止部材とともに前方に移動した場合に、前記内筒の後ろ側の端部と係止し合うようになっていてもよい。
付勢手段による付勢力により、フックと内筒の確実な係止を実現せんとするものである。
また、前記軸体の径に対応する孔を備え、且つ軸体にその孔を貫かれた状態で軸体に取付けられたフック係止体を備えていると共に、前記フックは前記伝達防止手段の少なくとも一部が除去される前においては前記フック係止体と係止し合うようになっていてもよい。この場合、フックは孔を備えており、その孔にフック係止体の少なくとも一部又は内筒の後側の端部の少なくとも一部を入れることにより、フックとフック係止体、或いはフックと内筒を選択的に係止させることが出来るようにすることも可能である。従来の開錠装置の後側の端部に嵌り合う孔をフックに設け、また、その孔と嵌り合う凸部をフック係止体に設けることで、伝達防止手段の少なくとも一部が除去された後においてフックと内筒とを係止することが可能となるばかりでなく、本願発明の内筒に従来の内筒を流用できるとともに、フックがフック係止体と係止している場合(伝達防止手段の少なくとも一部が除去される前)においてフックが回転してもガタが生じないようになる。
【0012】
本願発明の伝達防止手段は、フックの回転を内筒に伝えないようにするという機能を持つのであればその構成は不問である。また、伝達防止手段は必ずしも一つの部材である必要はなく、複数の部材により構成されていても構わない。伝達防止手段は、例えば、上述のように、移動防止部材と、位置決め部材とを備えていてもよい。
本願発明が、その前側の面で遊技機の扉との固定をなす板状のベースであり、前記内筒の後側により貫通され、且つ後側の面の前記内筒に貫通された部分の周囲にリング状の溝が切られているものを備えている場合、前記位置決め部材は、その溝に嵌るように形成されており、前記内筒は、前記溝の底に沿って前記溝の幅方向に延びる突出部を備えており、前記特定の鍵が挿入された前記内筒がその軸回りに左右両方向に回転した場合に、前記位置決め部材は、前記内筒とともに回転する前記突出部により前記溝から掻き出されるようになっていてもよい。このようにすれば、鍵を用いての内筒の回転によって位置決め部材を除去できるようになる。
上述の溝はベースに物理的に刻まれていてもよいが、以下のように構成することもできる。例えば、前記内筒は、その後側の端部が前記ベースを貫く貫通孔の途中に位置する円筒形状の内筒本体部と、前記内筒本体部から前記ベースの後側の面よりも後側まで延びる、円筒形状であり前記内筒本体部よりも小径で、前記内筒本体部と同軸の内筒貫通部とを備えているとともに、前記溝は、前記貫通孔の内周面と、前記内筒本体部の後端の面と、前記内筒貫通部の外周面により囲まれた空間として形成される、という構成である。
この場合、内筒本体部の後側の端面が溝の底部となるので、その端面に上述の突出部を設けておけば、鍵を用いて内筒を回転させれば内筒本体部とともに突出部が回転することとなる。
上述の位置決め部材の構成は、上記溝に嵌るものであればどのようなものでも良いし、また複数の部材であっても構わない。前記位置決め部材は、前記溝に嵌った、2つの略半円形状の部材である半円部材であってもよい。溝に嵌り合い、且つ溝から除去しやすいという点で合理的な形状である。
位置決め部材が2つの半円部材である場合、前記突出部は、前記特定の鍵が前記内筒に挿入される前には、2つの前記半円部材の端部間の2つの隙間の一方に位置していてもよい。鍵を用いるまで半円部材と突出部が干渉しないので半円部材が溝から誤って脱落する可能性が小さく、また、鍵を両側に回すことにより両半円部材を除去できるので、半円部材の除去を正確に行うに効果的である。
2つの前記半円部材の、前記突出部が位置する隙間と逆側の隙間を作る端部の前側の面のそれぞれには、前記突出部による2つの前記半円部材の前記溝からの掻き出しを容易にするために、その端部に向かうにつれて後側に向かう傾斜面が設けられていてもよい。このような傾斜面が存在すると、溝からの半円部材の掻き出しが正確に行われやすい。
【0013】
本願発明の開錠装置は、前記伝達防止手段の少なくとも一部が除去された場合に、それを検知する検知手段を備えていてもよい。
上述したように、本願の開錠装置は、鍵を用いて伝達防止手段の一部を除去する構成を採用することで鍵の不正使用を防止するものであり、場合によっては除去された伝達防止手段の一部を目視で確認することができるようになっている。しかしながら、伝達防止手段の少なくとも一部が除去された事実をホールの店員等がいち早く把握できた方が良いのは自明である。検知手段により伝達防止手段の少なくとも一部が除去された事実を検出できるようにしておけば、伝達防止手段の少なくとも一部が除去された事実を把握するまでの時間を短縮できるので、例えば、その鍵の使用を誰が行ったかの特定を行い易い。
前記伝達防止手段の少なくとも一部が除去された場合にそれを検知する検知手段は、本願の開錠装置がリング状の溝を有する場合には、以下のようなものとすることができる。即ち、前記リング状の溝の外側に設けられた電極と、前記位置決め部材の後側に設けられた金属製の部材とを含んでおり、前記電極と前記金属製の部材とが接触したことを検知する検知部を備えており、前記金属製の部材は、前記位置決め部材が除去されたときに前側に移動し、前記電極に当接するようになっている、というものである。
前記検知手段は、前記伝達防止手段の少なくとも一部が除去されたことが検知された場合に、それを五感のいずれかで感知可能な状態でユーザに通知する通知手段を備えており、前記通知手段は、前記遊技機及びそれが取付けられた島の外部に設けられていてもよい。このような通知手段があれば、伝達防止手段の少なくとも一部が除去されたことを、必要な人間、例えばホールの店員にいち早く知らせることができる。通知手段は、遊技機を管理するためのホール内の部屋や、コンピュータ、或いはホールの店員に持たせた小型の機器などに含めることができる。
【0014】
本願発明は、前記軸体に取付けられた、前記軸体よりも大径であり、前記軸体と同軸であるとともに、前記駆動手段により回転する円盤と、前記円盤と前記フックとを接続する接続手段とを備えており、前記円盤の回転にしたがって、前記フックが回転するようになっていてもよい。円盤の存在により、回転モーメントを小さくして、フックの回転を容易にすることが可能となる。
円盤、接続手段が存在する場合、本願発明の開錠装置は、前記伝達防止手段の少なくとも一部が除去された場合には、前記フックと前記接続手段との間の接続がなくなるようになっていてもよい。これは、伝達防止手段の少なくとも一部が除去された場合には、フックに、駆動手段が生じる動力が伝わらないようにするための一例となるが、接続手段を設ければ、フックに、駆動手段が生じる動力が伝わらないようにするのが容易になる。
【0015】
本願発明者は、また、以上の開錠装置が取付けられた遊技機も本願発明の一つとして提案する。これによっても、以上説明した作用効果を得られる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の第1実施形態と第2実施形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、両実施形態の説明で重複する対象には同じ符号を付すものとし、重複する説明は、場合により省略するものとする。
【0018】
≪第1実施形態≫
図1、
図2に、第1実施形態における開錠装置1が取付けられた遊技機2が固定された島3を示す。
図1は遊技機2が取付けられた島3を概略で示す側面図であり、
図2は遊技機2が取付けられた島3を島3の内部から見た状態を概略で示す斜視図である。なお、
図1の左側、
図2の奥側が遊技機2の前側である。
【0019】
島3は、多数の遊技機2が取付けられる構造物である。
図2に示された遊技機2は一つであるが、一般には遊技機2は複数横並びに配置される。また、遊技機2の間には玉貸し機が一般に置かれるが、これの図示も省略した。
島3は、これには限られないが、木製である。島3は、上板31と下板32を備える。下板32は遊技機2を載置するための板であり、下板32の上に遊技機2が固定される。下板32は灰皿等の取付けが可能なように若干前方に突き出しており、またその下方には下板32を支える部材が存在するが、それらの図示は
図1、
図2では省略している。
遊技機2は、上板31と下板32に挟まれて配置される。遊技機2は本来は、枠と呼ばれる一般的には木製の4枚の板で形成した四角い木枠に取付けた状態で上板31と下板32の間に置かれるが、
図1、
図2ではそれらの図示を省略した。遊技機2は、島に固定される枠に対してヒンジ接続されており、島に対して、より詳細には島に固定された枠に対して開閉できるようになっている。
また、上板31の前側の上方には、垂直な板が配置され、それに呼び出しランプなどの必要な機器が設置されるが、これらの図示も省略されている。
【0020】
遊技機2は、盤面を有する遊技機本体21とその前面に取付けられた扉22を有している。扉22は、この実施形態ではその右側端部付近を遊技機本体21に対してヒンジ接続されている。
【0021】
遊技機2には、遊技機2の島3に対する開放を行えないようにするための遊技機2用の施錠装置と、また遊技機2の扉22の開放を行えないようするための遊技機2の扉22用の施錠装置が設けられている。これら施錠装置は、いずれも周知のものであるので図示を省略するが、遊技機2を島3に対して閉めた場合、或いは遊技機本体21に対して扉22を閉めた場合に、施錠の動作を行うようになっている。
他方、遊技機2の背面には、これら施錠装置を解錠するためのロッド8が設けられている。
ロッド8は、2本の細長い板状の部材である第1ロッド81及び第2ロッド82から構成されている。この実施形態では、第1ロッド81は、遊技機2の島3に対する開放を行えないようにするための遊技機2用の施錠装置と接続され、当該施錠装置を開錠する機能を有している。他方、第2ロッド82は、遊技機2に対する扉22の開放を行えないようにするための遊技機2の扉22用の施錠装置と接続され、当該施錠装置を開錠する機能を有している。また、この実施形態では、第1ロッド81は、遊技機2を正面から見た場合における開錠装置1のやや左側に、第2ロッド82は、第1ロッド81と殆ど接した状態で、第1ロッド81の左側に位置するようにして、事実上垂直に配されている。
第1ロッド81と、第2ロッド82は
図13(A)に示されたような同様の構造をしており、細長い板状に構成され、且つ2つの孔Hを備えており、また孔Hの間にバーBを備えている。ただし、第1ロッド81と、第2ロッド82では孔HとバーBの位置は異なる。
第1ロッド81と第2ロッド82は、上述したような位置関係で開錠装置1の近傍に、
図13(B)に示したように、その孔Hを互い違いにしたような状態で配されている。なお、
図13(B)のB又はHの後の符号は、それが第1ロッド81のものか、第2ロッド82のものかを示している。
第1ロッド81、第2ロッド82ともに上下方向に移動可能となっている。この実施形態では、第1ロッド81は常に下方に付勢されており、その付勢力に抗して第1ロッド81が上方に移動した場合には、第1ロッド81に接続された遊技機2用の施錠装置が開錠されるようになっている。他方、第2ロッド82は常に上方に付勢されており、その付勢力に抗して第2ロッド82が下方に移動した場合には、第2ロッド82に接続された扉22用の施錠装置が開錠されるようになっている。より詳細にいうと、第1ロッド81のバーBがその下方から後述するフックに上向き(
図13(B)における矢印Uの向き)に押された場合に第1ロッド81は上方に移動し、また、第2ロッド82のバーBがその上方から後述するフックに下向き(
図13(B)における矢印Dの向き)に押された場合に第2ロッド82は下方に移動する。
【0022】
開錠装置1は、遊技機2から離れた適当な場所に配された駆動部4と、遊技機2に内蔵された本体部5と、これらを繋ぐ伝達体6とを備えている。必ずしもこの限りではないが、この実施形態の駆動部4は、島3の上板31の上の上板31の後側の縁付近に配されている。
後述するように、この実施形態の伝達体6は、2本の線状体をチューブに挿入したものである。伝達体6は、ステップル7で、その経路を適当に決定されている。
【0023】
本体部5の構成を、
図3〜6に示す。
本体部5は、ベース体に種々の部品を組み付けてなる。
図3は、本体部5が備えるベース体51を示す側断面図である。
ベース体51は、金属製である。ベース体51は、板状のベース板511を備えている。ベース板511は、
図4に示したように五角形を潰したような形状である。ベース板511の両端には、円形の孔512が穿たれており、またその中心付近にも円形の孔512Aが穿たれている。
ベース板511の前側にはこの実施形態では円筒形状とされた外筒513がベース板511と一体として設けられている。外筒513は、その断面円形の内部空間に内筒514を備えている。外筒513と内筒514は、その組み合わせにより一般的なシリンダー錠として機能するようになっている。
内筒514は、外筒513の内部空間の径よりもやや小径の円柱形状であり、その前側の円形の端面に開口した長手方向に沿う鍵穴515を有している。内筒514は、外筒513に対して通常の状態では図示を省略の一般的なタンブラーにより固定されているが、鍵穴515にその鍵穴515に合った、図示を省略の特定の鍵を挿入した場合には、タンブラーによる固定が解除されて、外筒513に対して回転できるようになる。
内筒514の後側の端部付近には内筒514よりも小径で円筒形の段差部516が設けられている。段差部516の後側の面には、段差部516よりも小径で円筒形の内筒係止体517が設けられている。内筒514、段差部516、内筒係止体517は一体に形成されており、いずれも同軸である。段差部516の径は、ベース板511の孔512Aの径と略同じであり、且つその長さは、その後側の面がベース板511の孔512Aの深さの途中に留まる程度になっている。また、内筒係止体517の径は、孔512Aの径よりも小径であり、且つその長さは孔512Aから幾らか突出する程度になっている。内筒係止体517の前側には、内筒係止体517の側面、段差部516の後側の面、及びベース板511の孔512Aの内側の面に囲まれた溝Xができることになる。段差部516の後側の面には、内筒係止体517の側面付近から段差部516の半径方向に延びる細長い直方体形状の突出部516Aが設けられている。結果的に、突出部516Aは、上述の溝Xの中に位置することになる。
内筒係止体517の後側の面には、略半球状の凹面518が設けられており、また凹面518の内側には、その内周面にネジ切りがされた内筒孔518Aが設けられている。内筒穴518Aにはボルト53の先端が挿入される。また、内筒係止体517には、その一部を切り欠くようにして、切欠部519が設けられている。切欠部519は、内筒係止体517の後側の面の軸対称な位置をそれぞれ、断面L字型に切り欠いた形状となっている。切欠部519が存在する部分における内筒係止体517の断面(内筒係止体517をその前後方向に垂直な平面で切断した場合に現れる断面)の形状は、略小判型となっている。
【0024】
本体部5の詳細な構造を
図4に示す。
図4(A)は本体部5の斜視図、同(B)は同背面図、同(C)は同側面図である。
なお、これらの図では、外筒513の記載は省略している。
【0025】
本体部5のベース体51に含まれるベース板511の後側の面(外筒513が設けられていたのとは逆側の面)には、種々の部品が組み付けられている。
部品は、断面略コの字型でその両端にフランジ521のあるカバー52に収納されている。両フランジ521には、ベース板511の両端に設けられた円形の孔512に対応するように配置された孔522が設けられている。この孔522は、
図4に示されたようにして、孔522と孔512とをまとめて貫通させたネジ522Aを用いて、本体部5を遊技機2に取付けるために用いられる。より正確には、本体部5は、遊技機2が備える扉22の後側の面であり、本体部5が備える後述のフックが後述する施錠位置にあるときに、図示を省略の座受けに入るような位置に取付けられることになる。
カバー52の略中央には、この実施形態では断面円形とされた孔523が穿たれており、またその孔523の傍には、その凹んだ部分に孔523を嵌めこむような状態で断面略ハート型とされたハート孔524が穿たれている。
カバー52の孔523が設けられた面と、フランジ521とに挟まれた面のうち、ハート孔524から遠い側の面には、略小判型の線状体孔525が設けられている。
【0026】
上述の孔523には、ボルト53が挿入されており、このボルト53に種々の部品が嵌め込まれることになる。なお、ボルト53は、孔523と固定されていない。他方、ボルト53の先端は、内筒穴518Aに螺合されている。
図5の本体部5の分解図に示したように、ボルト53には、ロータ54、押し板55、フック56、フック係止体57が取付けられる。また、フック係止体57の前側から、内筒514の段差部516の後側の面までの間には、板バネ58と、2つの半円部材59が配置される。
【0027】
ロータ54は、後述する線状体により回転させられるようになっており、その回転によりフック56を回転させるものである。
ロータ54の構造を、
図6(A)の分解図と、同(B)の組立後のロータ54の側面図を用いて説明する。
この実施形態のロータ54は、ボルト53の頭部に近い方から順に、第1ロータ541、第2ロータ542、第3ロータ543、第4ロータ544を備えている。第1ロータ541〜第4ロータ544は、
図5に示したように一体に組立てられる。
【0028】
第1ロータ541は、円形の板である第1ロータ本体541Aの上に、上下に潰したハート型のような形状の板状の凸部材541Bが設けられたものとなっている。第1ロータ本体541Aの中心には、ボルト53を貫通させるためのこの実施形態では断面円形の孔541Cが穿設されている。孔541Cは、凸部材541Bには掛からないようになっている。
凸部材541Bの上には、これもこの実施形態では断面円形の孔541Dが2つ穿たれている。この孔541Dはいずれも、第1ロータ本体541Aをも貫通している。この孔541Dは
図4或いは
図6に示されているボルト541Eを貫通させるためのものであるが、これについての説明は追って行う。
【0029】
第2ロータ542は、円形の板である。第2ロータ542の径は、第1ロータ541が備える第1ロータ本体541Aの径と同一である。
第2ロータ542の中心には、ボルト53を貫通させるためのこの実施形態では断面円形の孔542Aが穿設されている。また、第2ロータ542には、後述するスプリングを貫通させるための、孔542Aと略同径の孔542Bが3つ穿設されている。なお、孔542Bは必ずしも3つである必要はない。これら孔542A、孔542Bはいずれも、第2ロータ542を貫通している。また、3つの孔542Bは、互いに正三角形の頂点に位置するような位置関係になっている。
また、第2ロータ542には、後述するガイド棒を貫通させるための、孔541Aよりは小径の孔542Cが3つ穿設されている。なお、孔542Cは必ずしも3つである必要はない。これら孔542Cはいずれも、第2ロータ542を貫通していても良いし、例えば同じ深さで、第2ロータ542の第3ロータ543側の面のみ開口していても良い。この実施形態では、孔542Cはいずれも、第2ロータ542を貫通している。また、3つの孔542Cは、互いに正三角形の頂点に位置するような位置関係になっているがこの場合に観念される正三角形は、孔542Bにより観念される正三角形を、その重心を中心として左右どちらかの方向へ60度回転させたものとなっている。
第2ロータ542の第3ロータ543側の面には、また、断面6角形の2つのナット542Dが取付けられている。ナット542Dは、それが備えるその内面にネジ切りのされた孔542Eが第1ロータ541の2つの孔541Dと対応する位置に設けられている。この孔542Eに、ボルト541Eを螺合させることができるようになっている。また、2つのナット542Dの矩形の側面のうち、側面を一つ飛ばした2つの側面には、後述するワイヤを通すための取付孔542Fが穿たれている。
【0030】
第3ロータ543は、円形の一部を切り欠いた形状とされた板である。第3ロータ543の径は、第1ロータ541が備える第1ロータ本体541Aの径よりも一回り小さい。
第3ロータ543の中心には、ボルト53を貫通させるためのこの実施形態では断面円形の孔543Aが穿設されている。また、第3ロータ543には、後述するスプリングを貫通させるための孔543Bが3つ穿たれている。3つの孔543Bは、第2ロータ542の孔542Bと同径であり、またその位置が対応するようになっている。これら孔543A、孔543Bはいずれも、第3ロータ543を貫通している。
また、第3ロータ543には、後述するガイド棒を貫通させるための孔543Cが2つ穿設されている。2つの孔543Cは、第2ロータ542の孔542Cと同径であり、またその位置が対応するようになっている。2つの孔543Cはいずれも、第3ロータ543を貫通している。
第3ロータ543の切り欠かれた部分は、ロータ54を組み立てた場合に第3ロータ543が2つのナット542Dに干渉しないようになっており、また、第3ロータ543が2つの孔543Cを貫通しない後述するガイド棒とも干渉しないようになっている。
【0031】
第4ロータ544は、円形の板である。第4ロータ544の径は、第1ロータ541が備える第1ロータ本体541Aの径と同一である。
第4ロータ544の中心には、ボルト53を貫通させるためのこの実施形態では断面円形の孔544Aが穿設されている。また、第4ロータ544には、後述するスプリングを貫通させるための孔544Aと略同径の孔544Bが3つ穿設されている。これら孔544A、孔544Bはいずれも、第4ロータ544を貫通している。また、3つの孔544Bは、第2ロータの孔542Bとその位置が対応させられている。
また、第4ロータ544には、後述するガイド棒を貫通させるための孔544Cが3つ穿設されている。この孔544Cの大きさは第2ロータ542の孔542Cに等しく、またその位置は孔542Cの位置に対応している。
第4ロータ544には、また、第2ロータ542に取付けられた2つのナット542Dを挿入するための、当該ナット542Dの断面形状に対応した六角形の断面を持つ孔544Dが設けられている。ロータ54の組立後においては、第4ロータ544の露出する面と、ナット542Dの第1ロータ541から遠い側の面は、面一となるようになっている。
【0032】
このロータ54は次のように組み立てられる。
ロータ54は、第1ロータ541、第2ロータ542、第3ロータ543、第4ロータ544を、隣り合う者同士を密着して固定して構成される。このときの固定の手段は、これには限られないが、例えば接着を用いることができる。
【0033】
かかる固定を行うにあたり、第1ロータ541の孔541C、第2ロータ542の孔542A、第3ロータ543の孔543A、第4ロータ544の孔544Aを互いに一致させ、これらがボルト53を貫通させられるような一連の孔を構成するようにする。
また、第2ロータ542の3つの孔542B、第3ロータ543の3つの孔543B、及び第4ロータ544の3つの孔544Bをそれぞれ互いに一致させ、これらがスプリングを貫通させられるような一連の孔を構成するようにする。
また、第2ロータ542の3つの孔542C、第4ロータ544の3つの孔544Cをそれぞれ互いに一致させるとともに、第2ロータ542の3つの孔542Cと第4ロータ544の3つの孔544Cのうちのそれぞれ2つと、第3ロータ543の2つの孔543Cをそれぞれ互いに一致させ、それらがガイド棒を貫通させられるような一連の孔を構成するようにする。
その上で、第1ロータ541の孔541C、第2ロータ542の孔542A、第3ロータ543の孔543A、第4ロータ544の孔544Aにより構成された孔に、ボルト53を貫通させる。この状態で、ロータ54はボルト53に対して固定されずボルト53を軸として自由に回転できるようになる。
また、第2ロータ542の3つの孔542B、第3ロータ543の3つの孔543B、及び第4ロータ544の3つの孔544Bによりそれぞれ構成された3つの孔に、
図5、
図6に示した3つのスプリングSをそれぞれ挿入する。スプリングSの一端は、第1ロータ541の第2ロータ542寄りの面に固定されても良いが、固定されていなくてもよい。この実施形態ではかかる固定は行わないこととする。
また、第2ロータ542の3つの孔542Cのうちの2つと、第4ロータ544の3つの孔544Cのうちの2つと、第3ロータ543の2つの孔543Cをそれぞれ互いに一致させた一連の孔と、第2ロータ542の3つの孔542Cのうちの残りと、第4ロータ544の3つの孔544Cのうちの残りとにより形成された第3ロータ543の部分で途切れた孔に、
図5、
図6に示した3つのガイド棒Gをそれぞれ挿入する。この場合、ガイド棒Gは、例えば、各孔へ圧入することにより、ロータ54と固定される。ガイド棒Gとロータ54との固定はこの限りではなく、例えば、接着による固定を行ってもよい。
【0034】
次いで、押し板55について説明する。
図5、
図6に押し板55が図示されている。
押し板55は、円形の板である。押し板55の径は、第1ロータ541が備える第1ロータ本体541Aの径と同一である。
押し板55の中心には、ボルト53を貫通させるためのこの実施形態では断面円形の孔55Aが穿設されている。また、押し板55には、ガイド棒Gを貫通させるための孔55Cが3つ穿設されている。この孔55Cの大きさは第2ロータ542の孔542Cよりその径が若干大きく、またその位置は孔542Cの位置に対応している。
押し板55は、ボルト53を貫通させることでボルト53の長さ方向にスライド可能な状態でボルト53に取付けられる。また、押し板55の3つの孔55Cには3本のガイド棒Gをそれぞれ貫通させる。押し板55は、ガイド棒Gに対してスライド可能となっている。
上述のスプリングSの前側の端部は、押し板55に当接させられる。スプリングSの前側の端部は、押し板55に固定されていても構わないが、この実施形態ではそのような固定は行われていない。この状態でスプリングSは、圧縮された状態とされている。したがって、押し板55はスプリングSにより常時前側に向かって付勢された状態となる。
【0035】
次いで、フック56について説明する。
図4、
図5にフック56が図示されている。
フック56は、円板状のフック本体56Aと、その両側に設けられたフック部56B1、56B2とからなる。フック本体56Aには、その短辺を若干外側に膨らませた略矩形形状の係止孔56Cが穿たれている。
上述したように、切欠部519が存在する部分における内筒係止体517の断面の形状は、略小判型となっているが、係止孔56Cはその断面に嵌り合う略小判型の形状をしている。
後述するようにフック56は、係止孔56Cの中心を中心として回転するようになっている。
図4に示された位置がフック56の基本の位置であり、フック56は、その位置から
図4(B)の方向から見て時計回り、又は反時計回りに回転する。時計回り、反時計回りに回る場合のいずれも、この実施形態のフック56は上述の基本の位置からおよそ45°弱回転するようになっている。
フック56が時計回りに回転した場合、フック部56B1は、第1ロッド81のバーBにその下方から当接し、バーBを上向き(
図13(B)における矢印Uの向き)に押す。これにより、第1ロッド81は上方に移動して第1ロッド81に接続された遊技機2用の施錠装置が開錠されるようになっている。他方、フック56が反時計回りに回転した場合、フック部56B2は、第2ロッド82のバーBにその上方から当接し、バーBを下向き(
図13(B)における矢印Dの向き)に押す。これにより、第2ロッド82は下方に移動して第2ロッド82に接続された遊技機2の扉22用の施錠装置が開錠されるようになっている。
開錠装置1は、フック56が、第1ロッド81のバーBと第2ロッド82のバーBに対して上述の働きかけを行えるよう、ロッド8に対する位置関係を調節されている。
フック本体56Aの後側の面にはまた、ガイド棒Gを挿入するための孔56Dが3つ設けられている。この孔56Dの大きさは第2ロータ542の孔542Cよりも若干大きく、またその位置は孔542Cの位置に対応している。孔56Dは、フック本体56Aを貫通していなくてもよいが、この実施形態では貫通している。
後述する初期状態においては、フック56の3つの孔56Dには3本のガイド棒Gの前側の端部がそれぞれ挿入される。
【0036】
次いで、フック係止体57について説明する。フック係止体57は、
図5に示されている。
フック係止体57は、フック本体56Aに設けられた係止孔56Cと係止し合う断面形状を持ち、その後端に位置するフック係止体本体部57Aと、略半球形状であり、その前側に位置する半球部57Bとを備えている。フック係止体本体部57Aの断面形状は、切欠部519が存在する部分における内筒係止体517の断面の形状と同じ略小判型となっている。半球部57Bは、内筒係止体517の凹面518に挿入可能な形状となっている。なお、
図5で半球部57Bの横側に現れている蒲鉾状の面57Cは、半球部57Bの断面である。
また、フック係止体57は、フック係止体本体部57Aの後側の面から、半球部57Bの前側の面までを貫通する、この実施形態では断面円形とされたフック孔57Dを備えている。
フック係止体57は、フック係止体57のフック孔57Dをボルト53で貫いた状態でボルト53に取付けられる。このとき半球部57Bは、内筒係止体517の凹面518に嵌り合い内筒係止体517の凹面518に当接した状態となる。フック係止体57がボルト53に取付けられるとき、フック係止体57のフック孔57Dと、ボルト53とは、固定されない。また、初期状態では、フック本体56Aの係止孔56Cにフック係止体本体部57Aが、フック本体56Aの後側の面と、フック係止体本体部57Aの後側の面とが面一となるような状態で挿入されている。
【0037】
次いで、板バネ58について説明する。板バネ58は、
図5に示されている。
板バネ58は、リング状の板バネ本体部58Aとその外周から後方に向かって広がるように斜めに延びるバネ部58Bとを備えている。板バネ58は、板バネ本体部58Aが後述する半円部材59に当接するように配置されることになる。
板バネ58は、そのバネ部58Bにより、フック56を後方に押すように作用する。これにより、後述する初期状態においては、フック本体56Aの孔56Dから、ガイド棒Gが脱落することが防止される。
【0038】
次に、半円部材59について説明する。半円部材59は、
図5に示されている。
半円部材59は、この実施形態では樹脂製である。半円部材59は、この実施形態では、略半円形の2つの部材である。半円部材59は、円形となるように向きあわせて配置される。向き合った2つの半円部材59が作る円は、溝Xに対応するようにされており、半円部材59は溝Xに嵌り合うように配置されることになる。
向き合った2つの半円部材59の間には2つの隙間がある。その隙間のうちの一方の間に、上述した突出部516Aが位置するようになっている。
半円部材59の他方の隙間側の前側の面のそれぞれには、その端部に向かうにつれて後側に向かう傾斜を持つ傾斜面59Aが与えられている。
なお、上述した板バネ58は、その板バネ本体部58Aが2つの半円部材59の後側の面に当接した状態で配置されることになる。
【0039】
以上のように構成された本体部5は、ロータ54が回転すると、ロータ54に嵌っているガイド棒Gが回転するので、ガイド棒Gに接続されている押し板55及びフック56も回転することになる。このとき、スプリングSにより前側に付勢されている押し板55によってフック56は前側に向けて付勢されているが、フック56は板バネ58により後側に押されており、前側に移動し過ぎることを抑制されているから、フック本体56Aの孔56Dにガイド棒Gは挿入された状態であり、孔56Dからガイド棒Gが脱落することはない。
また、この初期状態では、上述したように、フック係止体57の凹部半球部57Bは、内筒係止体517の凹面518に嵌り合い、他方フック56のフック本体56Aの係止孔56Cにはフック係止体本体部57Aが、フック本体56Aの後側の面と、フック係止体本体部57Aの後側の面とが面一となるような状態で挿入されている(
図14(A))。フック本体56Aの係止孔56Cに単にボルト53が貫通した状態であれば、ボルト53を軸としてフック56が回転した場合にボルト53と係止孔56Cの間でガタが生じるが、ボルト53の径と略同径であり、ボルト53に貫かれたフック孔57Dを有するフック係止体57を介してフック56はボルト53に取付けられた状態となっているので、フック56が回転するのとともに、フック56に係止されたフック係止体57もボルト53周りに回転するが、フック56がボルト53周りに回転したときにガタが生じない。
この初期状態では、上述したように、ロータ54が回転すると、フック56が回転する。それによりロータ54が時計回りに回転した場合には、遊技機2用の施錠装置が開錠され、島3に対して遊技機2が開放できるようになる。他方、ロータ54が反時計回りに回転した場合には、遊技機2の扉22用の施錠装置が開錠され、遊技機2の遊技機本体21に対して扉22が開放できるようになる。
ロータ54の回転により、遊技機2用の施錠装置又は遊技機2の扉22用の施錠装置が開錠される場合においては、フック56と係止されたフック係止体57は、内筒係止体517と互いに係止されていないので、フック56とともに回転するフック係止体57は内筒係止体517に対して空回りし内筒係止体517には伝わらない。したがってフック56の回転は、内筒514へは伝わらない。つまり、初期状態においては、内筒514がタンブラーによって外筒513に固定されていたとしても、フック56の回転は内筒514に妨げられることはない。
【0040】
他方、特定の鍵を内筒514の鍵穴515に挿入すると、内筒514の外筒513に対するタンブラーによる固定が解除されて、内筒514は外筒513に対して回転可能となる。そして、鍵を回して内筒514を回転させると、内筒514と一体となった段差部516が回転し、段差部516の後側の面に設けられた棒状の突出部516Aも回転する。すると、突出部516Aに、半円部材59が押され、半円部材59は溝Xから外に掻き出される。半円部材59の突出部516Aと反対側の前側の面は、上述のように、端部に向かうにつれて後側に向かう傾斜を与えられた傾斜面59Aがあるので、半円部材59は溝Xの縁などに引っ掛ることなく溝Xから掻き出されやすい。この実施形態では、鍵を両側に回転させることで、溝Xから2つの半円部材59を掻き出せるようになっている。ホールの店員などの操作者は、扉22を開放すれば、半円部材59が溝Xから除去されていることを、溝Xから掻き出された半円部材59を確認することにより、或いは本体部5の溝Xに半円部材59が存在しないことを確認することにより、目視で確認することができる。溝Xから除去された半円部材59は、スプリングSにより板バネ58が下方向に押されていることにより、特殊な器具でも用いない限り、溝Xに元通りに嵌めることは不可能である。
半円部材59が溝Xから掻き出されると、半円部材59にその前側の面で当接していた板バネ58はベース板511方向に移動し、ベース板511の後側の面に当接する。すると、スプリングSによる付勢力を受けている押し板55と、押し板55から付勢されているフック56が、ボルト53に案内されながら、ベース板511に向かって移動し、フック56におけるフック本体56Aの係止孔56Cに内筒係止体517の切欠部519が存在する部分が嵌り合い、フック本体56Aの前側の面が切欠部519の後側の面に当接した状態となる(
図14(B))。なお、このときガイド棒Gの前側の端部は、フック56の孔56Dに挿入されていない状態となる。ガイド棒Gの長さはそのように設計されている。
このように、半円部材59は、板バネ58とともに、フック56が前側に移動するのを抑制するものとなっている。この機能を有する限り、半円部材59は、2つの半円形の形状であるを要しない。
この状態になると、内筒係止体517とフック56が係止された状態となるので、鍵を回転させたことによって生じる内筒514の回転は、フック係止体57を介してフック56に伝わることになる。つまり、この状態では、鍵によって生じる内筒514の回転運動によって、フック56が回転することになるので、鍵によって、遊技機2用の施錠装置と、遊技機2の扉22用の施錠装置を開錠できるようになる。フック56がいずれの施錠装置を開錠するかは、ロータ54の回転によりフック56が回転する上述の場合と同様である。また、この状態では、フック56と、ガイド棒Gとの接続がなくなっているため、フック56の回転はガイド棒Gに伝わらず、したがって、ロータ54にも、ロータ54に接続された後述の線状体にも、後述の駆動ロータにもフック56の回転は伝わらない。つまり、この場合には、線状体や駆動ロータの存在が、フック56の回転を妨げることはない。
【0041】
上述のように、初期状態においては、ロータ54が回転することによって、フック56が回転するが、ロータ54が回転する仕組みは、この実施形態では以下の通りである。
上述したように、ロータ54には、ナット542Dが取付けられており、両ナット542Dには、取付孔542Fが2つ穿たれている。これら取付孔542Fのうち外側にあるものから、後述する駆動部4から延び、カバー52の線状体孔525からカバー52内に入り込んでいる2本の線状体Cのうちの一本を挿入し、内側にあるものからそれを引き出す。その状態で、第1ロータ541の孔541Dからボルト541Eを挿入して、ナット542Dとの間で線状体Cをかしめることによって、ナット542Dに線状体Cの固定をなす。この状態における線状体Cは、その長さ方向に沿って互いに溶着された曲折することができる程度にしなやかな2本の樹脂製のチューブTの中に収められており、略平行を保つようにされている。この実施形態における線状体Cは、必ずしもこの限りではないが、自転車のブレーキケーブルと同様のものとすることができ、それと同様に曲折することができる程度にしなやかな金属製のケーブルである。
上述したように、第3ロータ543の径は、第1ロータ541、第2ロータ542、第4ロータ544よりも小径となっており、ロータ54全体として見た場合には、第3ロータ543の部分に溝が存在するような状態となっているので、線状体Cはその溝の中を沿わせたような状態となるようにする。
このようにして線状体Cをロータ54に取付けた状態を、
図7に示す。
図7に示したように、2本の線状体Cは、線状体Cの中間に引いた線の延長がボルト53に向かう、ロータ54の円形な面に略平行であり、また互いに略平行な関係にある。また、2本の線状体Cは、それらの先端がロータ54の向こう側に回りこんだ状態でロータ54の側面に固定された状態となる。
この状態で、
図7中右側の線状体Cが下に引かれるとロータ54は時計回りに、
図7中左側の線状体Cが下に引かれるとロータ54は反時計回りに、ボルト53を中心としてそれぞれ回転することになる。
【0042】
次に、駆動部4について説明する。
駆動部4は、上述したように、遊技機2から離れた適当な場所に配されるが、この実施形態では島3の上板31に配されている。そして、駆動部4は、本体部5と伝達体6にて接続されている。
駆動部4は、本体部5に設けられたロータ54を任意の方向へ任意の量だけ回転させるための動力を発生させるものである。そして、伝達体6は、その動力を駆動部4から本体部5へと伝えるものである。
【0043】
駆動部4は、
図8、
図9に示したように構成されている。
図8(A)は駆動部4の斜視図、同(B)は駆動部4の分解図、
図9は、後述する後部カバーを外した状態の駆動部4の斜視図である。
駆動部4は、
図8に示したように、固定板41、上カバー42、後部カバー43、アクチュエータ44、駆動ロータ45を含んで構成されている。これらは特に断りがない限り、概ね金属で構成されている。
【0044】
固定板41は、
図1、
図2に示したように、上板31の後側の縁に駆動部4を取付けるための部品である。駆動部4は、固定板41にその他の部品を組み付けてなる。
固定板41は、上板31に載置させるための基板411、その両側に基板411に垂直に設けられた側面板412、その後側の端部に設けられた上板31の後端面に沿わせる下側板413、及びその反対側の端部に設けられた上側板414を備えている。下側板413は、後述する上カバー42との固定をなすための孔を形成するための固定体415を備えている。
【0045】
上カバー42は、その内部にアクチュエータ44を適宜位置決めして保持するための部品である。アクチュエータ44を上カバー42に固定する方法は、適宜選択すれば良い。
上カバー42は、略直方体の箱状の形状をしており、且つ
図8における下側の面と奥側の面は、その内部にアクチュエータ44を入れ込めるように開放されている。上カバー42の後面には、後述するアクチュエータ本体部441の回転軸を外部に露出させるための孔421が設けられているとともに、その下方に、上カバー42と固定板41との固定をなすための挿入部422が設けられている。挿入部422は固定体415が形成した孔に挿入されることにより、上カバー42の固定板41への固定をなす。挿入部422の先端には、挿入部422の固定板41からの抜け止め用のかえし423が設けられている。
【0046】
後部カバー43は、駆動ロータ45をその内部に収納するカバーである。後部カバー43は、例えば、ビスを用いて、基板411に取付けられている。後部カバー43の下方には、底となる板があり、その板には、図示を省略するが伝達体である、線状体Cを通すための孔が穿たれている。その孔を介して後部カバー43の中に入り込んだ線状体Cが、駆動ロータ45に固定される。
【0047】
アクチュエータ44は、任意の方向、任意の量の回転運動を生じさせることができるものであれば、周知のもので足りるが、この実施形態ではソレノイドアクチュエータにより構成されている。
アクチュエータ44は、有線又は無線で、例えばホールの従業員である操作者が操作する入力装置からの信号を受取ってアクチュエータ44の制御を行う図示せぬ制御回路によって制御される。入力装置は、いずれもこの限りではないが、有線での入力を操作者が行う場合においては上述した呼び出しランプか、又はその周辺に取付けることができ、また、無線での入力が行われる場合には無線のリモートコントローラ装置とすることができる。
アクチュエータ44は、動力を発生させるアクチュエータ本体部441と、アクチュエータ本体部441が発生させた動力により回転する回転軸442とを備えている。回転軸442は、上カバー42の孔421を貫通した状態で、上カバー42から露出させられるようになっている。
【0048】
駆動ロータ45は、ロータ54を簡素にしたような構成となっている。
駆動ロータ45は、第1駆動ロータ451、第2駆動ロータ452、第3駆動ロータ453の3枚の板から構成されている。
【0049】
第1駆動ロータ451は、ロータ54における第2ロータ542と略同じ構成とされている。第1駆動ロータ451の径は必ずしもこの限りではないが、第2ロータ542と同じである。
第1駆動ロータ451が第2ロータ542と異なるのは、第2ロータ542が備えていたボルト53を貫通させるための孔542A、スプリングSを貫通させるための孔542B、ガイド棒Gを貫通させるための孔542Cを備えないという点である。
その代わり、第1駆動ロータ451は、アクチュエータ44の回転軸442との固定をなすための、第1駆動ロータ451を貫通する必要のない図示せぬ孔を備えている。かかる部位での固定は、例えば接着により行うことができる。
なお、第1駆動ロータ451は、第2ロータ542が備えていたナット542Dと同じように構成されたナット451Aを備えている。
【0050】
第2駆動ロータ452は、ロータ54における第3ロータ543と略同じ構成とされている。第2駆動ロータ452の径は、第3ロータ543と同じである。
第2駆動ロータ452が第3ロータ543と異なるのは、第3ロータ543が備えていたボルト53を貫通させるための孔543A、スプリングSを貫通させるための孔543B、ガイド棒Gを貫通させるための孔543Cを備えないという点である。
なお、第2駆動ロータ452は、第3ロータ543がナット542Dと干渉しないように切り欠かれていたのと同じように、ナット451Aと干渉しないように切り欠かれている。
【0051】
第3駆動ロータ453は、ロータ54における第4ロータ544と略同じ構成とされている。第3駆動ロータ453の径は、必ずしもこの限りではないが、第4ロータ544と同じである。
第3駆動ロータ453が第4ロータ544と異なるのは、第4ロータ544が備えていたボルト53を貫通させるための孔544A、スプリングSを貫通させるための孔544B、ガイド棒Gを貫通させるための孔544Cを備えないという点である。
【0052】
第1駆動ロータ451、第2駆動ロータ452、第3駆動ロータ453は、ロータ54と同様に、同軸で固定される。かかる固定はどのようにされてもよいが、この実施形態では接着で行われている。
その結果、駆動ロータ45は、小径の第2駆動ロータ452の部分に溝を持つことになり、外観として見た場合にロータ54と略同様の構成を採ることとなる。
そして、ロータ54に線状体Cを取り付けたのと同様の方法で、駆動ロータ45に、その2本の線状体Cの他端を取付ける。チューブTの他端は、線状体Cを通すための後部カバー43の底に設けられた上述の孔に固定される。線状体Cは、駆動ロータ45の面と平行であり、且つそれらの中間に引いた線の延長線が駆動ロータ45の軸に向かうようになっているとともに、それらの先端が駆動ロータ45の向こう側に回りこんだ状態で駆動ロータ45の側面に固定される。線状体Cは、駆動ロータ45の側面の溝に入れ込まれた状態となる。
【0053】
駆動部4は、以下のようにして、フック56を回転させる。
操作者が図示を省略の上述した入力装置を操作した場合、その操作によって生じた入力に応じて、アクチュエータ44がその回転軸442を回転させる。その結果、駆動ロータ45が回転する。駆動ロータ45が回転すると、2本の線状体Cのうちの一方は、本体部5から引き寄せられ、他方は本体部5に対して押し出されることになる。2本の線状体Cのうち本体部5から引き寄せられるものが、駆動ロータ45が回転したのと同じ角度だけ、ロータ54を回転させる。これにより、ロータ54が回転したのと同じ角度だけ、フック56が回転する。
アクチュエータ44が回転軸442を回転させる方向を逆転させた場合には、フック56の回転の方向が逆転する。
アクチュエータ44の回転軸442の回転方向を制御することにより、ロータ54及びフック56の回転を制御することができる。
入力装置によってアクチュエータ44に入力を行える信号を、フック56が遊技機2用の施錠装置を開錠するようにフック56を回転させるものと、フック56が遊技機2の扉22用の施錠装置を開錠するようにフック56を回転させるものに予め限定しておけば、2つの施錠装置のうちのどちらかの開錠を促す入力を操作者が選択するのみで、開錠させる施錠装置を選択できることとなる。
【0054】
以上説明したような開錠装置1の取付けられた遊技機2は、以下のようにして用いられる。
まず、初期状態或いは通常の状態においては、扉22の施錠、開錠の管理は、上述した入力装置を用いて行う。
操作者が入力装置を操作すると、駆動ロータ45が回転して、それに伴い本体部5のロータ54が回転する。そして、ロータ54が回転するとフック56が回転する。
この状態では、半円部材59が存在しており、半円部材59がある分だけ半円部材59がないときよりもロータ54寄りに位置している板バネ58によってフック56はロータ54寄りに位置しているから、フック56は、内筒係止体517とは係止せずに、フック係止体57と係止し合った状態となっている。他方、フック係止体57と内筒係止体517は係止されておらず、また、ガイド棒Gによりフック56はロータ54と接続されている。
したがって、上述のロータ54の回転は、ガイド棒Gを介してフック56には伝達されるが、フック56の回転はフック係止体57には伝わるが内筒514には伝わらないから、内筒514が外筒513に固定されていても、フック56の回転が内筒514に妨げられることがない。
このように、初期状態或いは通常の状態においては、入力装置の操作により開錠装置1の施錠と開錠を選択できる。
【0055】
駆動部4が故障した場合等、初期状態或いは通常の状態での上述の如き扉22の施錠、開錠の管理を行えなくなった場合には、操作者は、特定の鍵を用いて、扉22を施錠し、または開錠する。
この場合、操作者は、内筒514の鍵穴515に鍵を挿入する。すると、内筒514の外筒513に対する固定が解かれて内筒514が鍵の回転にしたがって回転可能になる。この状態で操作者が内筒514を回転させると、2つの半円部材59は溝Xから外れる。
半円部材59がなくなると、半円部材59の厚さ分だけ板バネ58が溝Xに近づき、その分だけフック56は溝Xに近づく。そうすると、フック56は、フック係止体57との係止が解かれ、内筒係止体517と係止し合う。このとき、ロータ54に嵌っているガイド棒Gは、フック56の孔56Dから抜けている。
この状態では、鍵によって生じる内筒514の回転運動によって、フック56が回転することになるので、鍵によって、遊技機2用の施錠装置の開錠と、遊技機2の扉22用の施錠装置の開錠を選択的に行える。また、上述したように、この状態では、フック56と、ガイド棒Gとの接続がなくなっているため、フック56の回転はガイド棒Gに伝わらず、したがって、フック56の回転はロータ54にも、ロータ54に接続された線状体Cにも、駆動ロータ45にも伝わらないから、線状体Cや駆動ロータ45の存在が、鍵によって生じるフック56の回転を妨げることはない。
なお、半円部材59が溝Xから除去されていることは、目視で確認することができるから、誰かが鍵を用いて半円部材59を除去したことは第三者から確認できるため、鍵の不正な使用は生じにくい。一度除去された半円部材59は、特殊な器具でも用いない限り溝Xに元通りに嵌めることができないので尚更である。
【0056】
駆動部4を用いた場合、鍵を用いた場合のいずれの場合でも、遊技機2用の施錠装置が開錠されて開放された遊技機2、又は遊技機2の扉22用の施錠装置が開錠されて開放された扉22は、手動で閉められる。これにより、いずれの施錠装置も遊技機2又は扉22を施錠する。
【0057】
≪第2実施形態≫
次に、第2実施形態の開錠装置1の説明を行う。
第2実施形態の開錠装置1と第1実施形態の開錠装置1の基本的な構造は同じであるが、第2実施形態の開錠装置1は第1実施形態の開錠装置1と以下の2点で異なっている。
まず、第2実施形態の開錠装置1では、本体部5から離れたところにあり伝達体6で本体部5に接続されていた第1実施形態の駆動部4が、本体部5と一体とされているという点である。なお、この変更に伴い、第2実施形態の開錠装置1の本体部5には幾らかの修正が加えられている。
もう一つは、第2実施形態の開錠装置1では、本体部5に、半円部材59が溝Xから外れた場合にそれを検知するための機構が設けられているということである。
以下、上記2点の変更点を中心として、第2実施形態の開錠装置1の説明を進める。
【0058】
第2実施形態における開錠装置1の本体部5の構成を、
図10、及び
図12の側面図と、
図11の分解斜視図に示す。
本体部5は、第1実施形態の場合と同様のベース体51を備える。ベース体51は、ベース板511を備え、ベース板511には、外筒513、内筒514が設けられているが、これらの構成は、段差部516、突出部516A、内筒係止体517、凹面518、切欠部519、溝Xを含めて、すべて第1実施形態の場合と同様とすることができ、第2実施形態ではそうされている。
【0059】
本体部5のベース体51に含まれるベース板511の後側の面には、種々の部品が組み付けられている。
部品は、第1実施形態の場合と同様、断面略コの字型でその両端にフランジ521のあるカバー52に収納されている。両フランジ521に、孔522が設けられているのも第1実施形態と同様である。この孔522は、第1実施形態の場合と同様に、ネジ522Aを用いて、本体部5を遊技機2に取付けるために用いられる。
カバー52の略中央には、孔523が設けられている。第1実施形態の孔523は、ボルト53を貫通させるためのものであったが、この実施形態では、後述するアクチュエータの回転軸を貫通させるためのものとなっており、その内周面のネジ切りはなされていない。カバー52の孔523の両側には、いずれも円形の孔523Aが設けられている。この孔523Aは、
図11の下側から貫通させたボルト523Bにより、アクチュエータを固定するためのものである。なお、第2実施形態のカバー52には、第1実施形態のカバー52にあったハート孔524、線状体孔525はない。
【0060】
カバー52の後方には、外筒513の延長方向にその長手方向が乗るようにして、アクチュエータ44が設けられている。アクチュエータ44の構成、制御機構、入力装置などは第1実施形態の場合と同一で良く、第2実施形態ではそうされている。アクチュエータ44が第1実施形態で説明した如き入力装置を用いて操作されるのも第1実施形態と変わらない。
アクチュエータ44は、第1実施形態の場合と同様、回転軸442を備えている。回転軸442は、上述の孔523から、カバー52の前側に突き出された状態となっている。なお、アクチュエータ44は、カバー52の後方に設けられた断面コの字型のアクチュエータカバー526に囲まれている。
【0061】
アクチュエータ44の回転軸442の先端には、ロータ54Xが固定されている。
ロータ54Xから、内筒514の段差部516までの間には、第1実施形態の場合と同様に、押し板55、フック56、フック係止体57が、また、フック係止体57の前側から、内筒514の段差部516の後側の面までの間には、板バネ58と、2つの半円部材59が配置される。押し板55、フック56、フック係止体57、板バネ58、2つの半円部材59の構成はすべて第1実施形態と同じでよい。押し板55、フック56、フック係止体57、板バネ58、2つの半円部材59のすべては、第1実施形態の場合と同様に、ボルト53Xにより貫通されている。このボルト53Xは、第1実施形態のボルト53と同様にその先端を内筒穴518Aに螺合されている。第2実施形態のボルト53Xはこのように、第1実施形態におけるボルト53と基本的にその構成、機能が同一であるが、その長さが第1実施形態の場合よりも短くなっている。第2実施形態におけるボルト53Xの長さは、ロータ54Xの途中までに及ぶ長さとしかなっていない。より詳細には、この実施形態のボルト53Xは、内筒孔518Aから後述する第3ロータ543Xの内部までにしか及ばない長さとなっている。
【0062】
第2実施形態のロータ54Xは伝達体6を用いないことにしたことに伴って第1実施形態のロータ54とその構成が変わっている。以下、ロータ54Xの構成につき説明する。
ロータ54Xは、アクチュエータ44の回転軸442の回転に伴って回転する部材である。したがって、伝達体6を固定するための第1実施形態におけるナット542Dや、ボルト541Eなどが不要となっている。
第2実施形態のロータ54Xは、第1ロータ541X、第2ロータ542X、第3ロータ543Xの3つの部材から構成されている。もっとも、第2ロータ542Xと第3ロータ543Xの構成は基本的に同じであり、これらを1部品としても構わない。
この実施形態の第1ロータ541X、第2ロータ542X、第3ロータ543Xは、すべて同径である。
第1ロータ541Xは円板状の部材である。第1ロータ541Xの後側の面には、アクチュエータ44の回転軸442との固定をなすための孔5411Xが設けられている。
第2ロータ542Xは円板状の部材である。第2ロータ542Xの中心には、ボルト53Xの径と同径の孔542AXが穿たれている。また、第2ロータ542Xには、第1実施形態の場合と同様のスプリングSを通すための孔542BXが3つ穿たれている。3つの孔542BXは、第1実施形態の孔542Bと同様、正三角形の頂点に存在するような位置関係にある。また、第2ロータ542Xには、第1実施形態の場合と同様のガイド棒Gを通すための孔542CXが3つ穿たれている。これらの位置関係は、第1実施形態の孔542Cと同様である。
第3ロータ543Xは、上記第2ロータ542Xとその構成を同じくする。
第3ロータ543Xの中心には、第2ロータ542Xの孔542AXと同じである孔543AXが穿たれており、また、その周囲には、第2ロータ542Xの孔542BXと同じである孔543BXが3つ、第2ロータ542Xの孔542CXと同じである孔543CXが3つ、穿たれている。
【0063】
このロータ54Xは次のように組み立てられる。
ロータ54Xは、第1ロータ541X、第2ロータ542X、第3ロータ543Xを、隣り合う者同士を密着して固定して構成される。このときの固定の手段は、これには限られないが、例えば接着を用いることができる。
【0064】
かかる固定を行うにあたり、第2ロータ542Xの孔542AXと、第3ロータ543Xの孔543AXを対応させて一連の孔とし、また、第2ロータ542Xの3つの孔542BXと、第3ロータ543Xの3つの孔543BXを対応させて3つの一連の孔とし、更に第2ロータ542Xの3つの孔542CXと、第3ロータ543Xの3つの孔543CXを対応させて3つの一連の孔とする。
そして、第2ロータ542Xの孔542AXと、第3ロータ543Xの孔543AXを対応させて作った一連の孔にボルト53Xを挿入し、また、第2ロータ542Xの3つの孔542BXと、第3ロータ543Xの3つの孔543BXを対応させて作った3つの一連の孔のそれぞれに、スプリングSをそれぞれ挿入し、また第2ロータ542Xの3つの孔542CXと、第3ロータ543Xの3つの孔543CXを対応させて作った3つの一連の孔にガイド棒Gを挿入する。スプリングSは、第1実施形態の場合と同様、押し板55との間で圧縮した状態とされる。
なお、ロータ54Xとボルト53Xとは、第1実施形態のロータ54とボルト53がそうであったように固定されない。
【0065】
また、この実施形態では、ベース体51に設けられた円形の溝Xの周囲を囲むようにドーナツ形状のリング電極Rが設けられている。リング電極Rは、半円部材59が溝Xから除去されて溝Xの方向に移動してきた板バネ58のバネ本体部58Aと接触した場合に、その接触が生じたことを検知するための電極である。つまり、リング電極Rは、半円部材59が溝Xから除去されたことを間接的に検知するものであるともいえる。そのような検知が可能である限り、リング電極Rは上記の構成によるものに限られず、例えば、上述のように板バネ58とリング電極Rとの接触により半円部材59が溝Xから除去されたことを検知するという検知原理を採用する場合においても、そのような接触が生じる限り適当な形状に変形することが可能であり、必ずしもその形状はリング状であるには及ばない。
この実施形態のリング電極Rは、遊技機2外、もっと言えば島3外の適当な機器に接続されており、ホールの従業員はリング電極Rが上述の検知を行った場合、その機器から文字、図形、音等による五感により検知可能な警告を受けとれるようになっている。それにより、ホールの従業員は半円部材59の除去が生じたこと、ひいては、開錠装置1の開錠に鍵が用いられたことを知ることができるようになる。上述の警告は、リング電極Rが上述の接触を検知したのと同時に行われるのが好ましく、また、例えばパーソナルコンピュータなどの適当なコンピュータに内蔵されたか接続された記録媒体に上述の検知があった事実がその検知が行われた時刻とともに記録されるのが好ましい。
【0066】
以上説明したような第2実施形態による開錠装置1の取付けられた遊技機2は、以下のようにして用いられる。
まず、初期状態或いは通常の状態においては、扉22の施錠、開錠の管理は、第1実施形態で説明したのと同様の上述した入力装置を用いて行う。
操作者が入力装置を操作すると、アクチュエータ44の回転軸442が回転し、それに伴いロータ54Xが回転する。ロータ54Xに嵌っているガイド棒Gは、第1実施形態の場合と同様にフック56の孔56Dに嵌っているので、アクチュエータ44の回転軸442が回転すると、ガイド棒Gを介してその回転はフック56に伝わるので、フック56が回転する。このとき、板バネ58によりアクチュエータ44側に押されているフック56は、フック係止体57と係止されているが、フック係止体57の存在により、ボルト53Xの周りをフック56が回転してもガタは生じない。またこのとき、フック56の回転が外筒513に固定された内筒514に妨げられないのは第1実施形態と同様である。
このように、初期状態或いは通常の状態においては、入力装置の操作により開錠装置1を駆動させ、遊技機2用の施錠装置と、遊技機2の扉22用の施錠装置の開錠を選択的に行える。
【0067】
駆動部4が故障した場合等、初期状態或いは通常の状態での遊技機2用の施錠装置と、遊技機2の扉22用の施錠装置の開錠を行えなくなった場合には、操作者は、特定の鍵を用いて、遊技機2用の施錠装置又は遊技機2の扉22用の施錠装置を開錠する。
この場合、操作者は、内筒514の鍵穴515に鍵を挿入する。すると、内筒514の外筒513に対する固定が解かれて内筒514が鍵の回転にしたがって回転可能になる。この状態で操作者が内筒514を回転させると、第1実施形態の場合と同様、半円部材59は溝Xから外れる。
フック56が溝Xに近づくと、第1実施形態の場合と同様に、フック56はフック係止体57との係止が解かれ、内筒係止517と互いに係止し合う。この状態では、鍵によって生じる内筒514の回転運動によって、フック56が回転することになるので、鍵によって、扉22の開錠と施錠を行える。
このとき、ロータ54Xに嵌っているガイド棒Gは、第1実施形態の場合と同様にフック56の孔56Dから抜けているので、ロータ54Xやアクチュエータ44の存在が、鍵によるフック56の回転を妨げることはない。
また、半円部材59がなくなると、半円部材59の厚さ分だけ板バネ58が溝Xに近づき、その分だけフック56は溝Xに近づく。溝X方向に移動した板バネ58の板バネ本体部58Aは、
図12のような状態となり、リング電極Rと接触する。そうすると、上述の如き警告がホール店員に与えられる。
なお、半円部材59が溝Xから除去されていることは、目視で確認することができるから、誰かが鍵を用いて半円部材59を除去したことは第三者から確認できるため、鍵の不正な使用は生じにくい。一度除去された半円部材59は、基本的に溝Xに元通りに嵌めることができないので尚更である。
【0068】
なお、第2実施形態のリング電極Rを第1実施形態の開錠装置1に設け、第1実施形態の開錠装置1でも半円部材59が溝Xから除去されたことをホールの店員等に警告できるようにすることができるのは当然である。