(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、建築計画やデザイン上の理由から、外壁にカーテンウォールを用いる場合は、カーテンウォールを構成する枠材の裏側(室内側)に設置された耐火ボード(以下、「カーテンウォール用耐火ボード」という)が耐火上の外壁としての役割を果たす。ここでいう耐火上の外壁とは、室内火災に対する上階延焼防止及び室外火災に対する建物内への延焼防止の役割を果たすものをいう。このカーテンウォール用耐火ボードには、例えば、繊維混入けい酸カルシウム板等が用いられている。一方、鉄骨梁の室内側及び下側を吹付けロックウール等の吹付け耐火被覆材ではなく、耐火ボードによって耐火被覆する場合がよくある。この場合、鉄骨梁側への熱の侵入を抑制するために、カーテンウォール用耐火ボードに鉄骨梁の下側に設置された耐火ボード(以下、「下側耐火ボード」という)の端部を接触させることが考えられる。
【0005】
しかしながら、火災時にカーテンウォール用耐火ボード及び下側耐火ボードが加熱されると、カーテンウォール用耐火ボードがカーテンウォール側に反り返ると共に下側耐火ボードが下側へ反り返り、接触されたカーテンウォール用耐火ボードと下側耐火ボードの端部との間に隙間が形成される可能性がある。
【0006】
この対策として、カーテンウォール用耐火ボードと下側耐火ボードとの接触部を固定ピン等で接合することが考えられる。
【0007】
しかしながら、カーテンウォールは風圧等によって面外方向へ変形し易く、このカーテンウォールの変形にカーテンウォール用耐火ボードが追従すると、カーテンウォール用耐火ボードと下側耐火ボードとの接合部(接触部)が破損する可能性がある。
【0008】
本発明は、上記の事実を考慮し、耐火ボードの破損を抑制しつつ、耐火ボードの反り返りに伴う耐火性能の低下を抑制することができる耐火ボード目地構造、及びこれを備えた鉄骨梁の複合耐火被覆構造を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に記載の耐火ボード目地構造は、第1耐火ボードと、前記第1耐火ボードの表面に端面を対向させると共に該表面と隙間を空けて配置された第2耐火ボードと、前記第1耐火ボードの前記表面に取り付けられ、前記第2耐火ボードの表面へ張り出
すと共に張出し方向の先端部が前記第2耐火ボードの前記表面と対向する第1目地部材と、前記第2耐火ボードの前記表面に取り付けられ、該表面と前記第1目地部材
の前記先端部との隙間に配置されて該隙間を塞ぐ第2目地部材と、を備えている。
【0010】
請求項1に係る耐火ボード目地構造によれば、第1耐火ボードの表面と第2耐火ボードの端面との間に隙間を空けたことにより、仮に第1耐火ボードが面外方向へ変位しても、第1耐火ボードと第2耐火ボードとの接触が抑制される。従って、第1耐火ボード及び第2耐火ボードの破損が抑制される。
【0011】
また、火災時に、例えば、加熱された第1耐火ボード及び第2耐火ボードがそれぞれ面外方向外側へ反り返えったときに、これらの第1耐火ボード及び第2耐火ボードの反り返りに応じて第1目地部材及び第2目地部材がそれぞれ回転する。このとき、第1目地部材と第2目地部材との間に隙間が生じないように第1目地部材及び第2目地部材の寸法(高さや幅)を設定したり、第2目地部材として熱膨張する熱膨張性耐火材を用いたりすることにより、第1目地部材と第2耐火ボードの表面との隙間が塞がれた状態が保持される。従って、第1目地部材と第2耐火ボードの表面との間からの熱の侵入が抑制されるため、第1耐火ボード及び第2耐火ボードの反り返りに伴う耐火性能の低下が抑制される。
【0012】
請求項2に記載の耐火ボード目地構造は、
第1耐火ボードと、前記第1耐火ボードの表面に端面を対向させると共に該表面と隙間を空けて配置された第2耐火ボードと、前記第1耐火ボードの前記表面に取り付けられ、前記第2耐火ボードの表面へ張り出す第1目地部材と、前記第2耐火ボードの前記表面に取り付けられ、該表面と前記第1目地部材との隙間に配置されて該隙間を塞ぐ第2目地部材と、を備え、前記第1目地部材及び前記第2目地部材が断面矩形の角材とされ、各々の長辺側の面で面接触されている。
【0013】
請求項2に係る耐火ボード目地構造によれば、第1目地部材及び第2目地部材を各々の長辺側の面で面接触させたことにより、第1耐火ボード及び第2耐火ボードの面外方向外側の反り返りに応じて第1目地部材及び第2目地部材がそれぞれ回転したときに、第1目地部材と第2目地部材との間に隙間が更に生じ難くなる。従って、第1目地部材と第2耐火ボードの表面との間からの熱の侵入が更に抑制される。
【0014】
請求項3に記載の耐火ボード目地構造は、請求項1又は請求項2に記載の耐火ボード目地構造において、前記第1耐火ボードが、カーテンウォールの室内側に該カーテンウォールと対向して取り付けられ、鉄骨梁の室外側を覆い、前記第2耐火ボードが、前記鉄骨梁に取り付けられて該鉄骨梁の下側を覆う。
【0015】
請求項3に係る耐火ボード目地構造によれば、第1耐火ボードの表面と第2耐火ボードの端面との間に隙間を空けたことにより、例えば、風圧等によるカーテンウォールの面外変形に伴って第1耐火ボードが面外方向へ変位しても、第1耐火ボードと第2耐火ボードとの接触が抑制される。従って、第1耐火ボード及び第2耐火ボードの破損が抑制される。
【0016】
請求項4に記載の耐火ボード目地構造は、カーテンウォールの室内側に該カーテンウォールと対向して取り付けられ、該鉄骨梁の室外側を覆う第1耐火ボードと、前記第1耐火ボードの内面に端面を対向させると共に該内面と隙間を空けて前記鉄骨梁に取り付けられ、該鉄骨梁の下側を覆う第2耐火ボードと、前記第1耐火ボードの前記内面から張り出して前記第2耐火ボードの内面へ垂れ下がり、該第2耐火ボードに支持される垂下目地部材と、を備えている。
【0017】
請求項4に係る耐火ボード目地構造によれば、第1耐火ボードの内面と第2耐火ボードの端面との間に隙間を空けたことにより、仮に第1耐火ボードが面外方向へ変位しても、第1耐火ボードと第2耐火ボードとの接触が抑制される。従って、第1耐火ボード及び第2耐火ボードの破損が抑制される。
【0018】
また、例えば、火災時に、第2耐火ボードが下側へ反り返えったときに、第2耐火ボードに支持された垂下目地部材の先端部が下側へ移動する。これにより、垂下目地部材の先端部が第2耐火ボードに支持された状態、即ち、垂下目地部材の先端部が第2耐火ボードの内面に接触した状態が保持される。従って、垂下目地部材と第2耐火ボードの内面との間からの熱の侵入が抑制されるため、第2耐火ボードの反り返りに伴う耐火性能の低下が抑制される。
【0019】
請求項5に記載の鉄骨梁の複合耐火被覆構造は、鉄骨梁と、前記鉄骨梁の室外側に配置されたカーテンウォールと、前記カーテンウォールの室内側に該カーテンウォールと対向して取り付けられ、鉄骨梁の室外側を覆う第1耐火ボードと、前記第1耐火ボードの表面に端面を対向させると共に該表面と隙間を空けた状態で前記鉄骨梁に取り付けられ、該鉄骨梁の下側を覆う第2耐火ボードと、前記第1耐火ボードと前記第2耐火ボードの目地部に適用された請求項1〜請求項4の何れか1項に記載の耐火ボード目地構造と、を備えている。
【0020】
請求項5に係る鉄骨梁の複合耐火被覆構造によれば、カーテンウォールに取り付けられた第1耐火ボードを流用して鉄骨梁の室外側を覆うことにより、鉄骨梁の室外側を耐火被覆する耐火ボード等の耐火被覆材を省略することができる。従って、施工性の向上、コスト削減を図ることができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明は、上記の構成としたので、耐火ボードの破損を抑制しつつ、耐火ボードの反り返りに伴う耐火性能の低下を抑制することができる。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態に係る耐火ボード目地構造、及びこれを備えた鉄骨梁の複合耐火被覆構造について説明する。なお、各図において適宜示される矢印Xは鉄骨梁の軸方向と直交する水平方向の室外側(室外側)を示し、矢印Zは上下方向上側を示している。
【0024】
先ず、第1実施形態について説明する。
【0025】
図3には、一例として、第1実施形態に係る耐火ボード目地構造70が適用された鉄骨梁の複合耐火被覆構造10が示されている。この鉄骨梁の複合耐火被覆構造10は、室内側耐火ボード150及び下側耐火ボード152で鉄骨梁32の室内側(矢印Xと反対側)及び下側(矢印Zと反対側)を覆うと共に、カーテンウォール12に取り付けられた層間区画部材としてのカーテンウォール用耐火ボード(以下、「CW用耐火ボード」という)34を流用して鉄骨梁32の室外側(矢印X側)を覆うものである。これらのCW用耐火ボード34及び下側耐火ボード152との目地部に、第1実施形態に係る耐火ボード目地構造70が適用されている。
【0026】
<カーテンウォール>
図1に示されるように、カーテンウォール12は、水平方向に間隔を空けて立てられた複数の方立14と、方立14の間に上下方向に間隔を空けて架設された複数の無目16を備えている。これらの方立14及び無目16はアルミ製部材で構成される共に格子状に連結されており、この格子枠内に窓ガラス18が配置されている。
【0027】
図2に示されるように、方立14はコンクリートスラブ(床スラブ)20の室外側に配置されており、方立ブラケット22及びファスナー24を介してコンクリートスラブ20に取り付けられている。
【0028】
図3に示されるように、カーテンウォール12の上階の窓と下階の窓との間のスパンドレルには、第1耐火ボードとしてのCW用耐火ボード34が設けられている。CW用耐火ボード34は、繊維混入けい酸カルシウム板で構成されており、カーテンウォール12の室内側に窓ガラス18と対向して配置されると共に、鉄骨梁32の室外側を覆っている。このCW用耐火ボード34の周縁部は、方立14及び無目16に沿って設けられた枠状のレール36内に配置されている。このレール36によって、CW用耐火ボード34がコンクリートスラブ20と隙間Dを空けた状態で支持されている。
【0029】
CW用耐火ボード34の上部は、取付部材44を介してコンクリートスラブ20に支持されている。取付部材44は、CW用耐火ボード34の上部とコンクリートスラブ20の上面とに渡って配置されており、その長手方向一端部がボルト56及びコンクリートスラブ20の上面に埋設されたアンカーナット58によって、コンクリートスラブ20の上面に固定されている。一方、取付部材44の長手方向他端部は、CW用耐火ボード34の内面(鉄骨梁32側の面)34Fiに沿って上方へ屈曲されており、ボルト38及びCW用耐火ボード34の上部に取り付けられたナット部材42によってCW用耐火ボード34の上部に固定されている。
【0030】
取付部材44の下には、規制部材60が設けられている。規制部材60は、コンクリートスラブ20の上面及び端面に沿って屈曲されると共に、コンクリートスラブ20の端面における下端部の位置でCW用耐火ボート34側へ屈曲されており、断面略Z字状に形成されている。この規制部材60の長手方向一端側の取付部60Aは、コンクリートスラブ20の上面に重ねられており、ボルト56によって取付部材44と共にアンカーナット58に共締めされている。一方、規制部材60の長手方向他端側の張出し部60Bは、その先端がCW用耐火ボード34の内面34Fiに突き当てられている。また、鉄骨梁32の軸方向に隣接する規制部材60の張出し部60Bの間には板材64が渡されており、この板材64の上にロックウール等の層間塞ぎ材66が載置されている。この層間塞ぎ材66によって、CW用耐火ボード34とコンクリートスラブ20の隙間Dが塞がれている。これにより、隙間Dからコンクリートスラブ20の上階への熱の侵入が抑制されている。
【0031】
<複合耐火被覆構造>
図3に示されるように、鉄骨梁32はH形鋼で構成されており、コンクリートスラブ20の端部に沿って配置され、当該コンクリートスラブ20の端部を支持している。この鉄骨梁32及びコンクリートスラブ20の室外側に前述したカーテンウォール12が配置されており、カーテンウォール12に略垂直に取り付けられたCW用耐火ボード34によって鉄骨梁32の室外側が覆われている。
【0032】
鉄骨梁32を挟んでCW用耐火ボード34と反対側には、室内側耐火ボード150が略垂直に配置されている。室内側耐火ボード150は、CW用耐火ボード34と同様に、繊維混入けい酸カルシウム板で形成されており、鉄骨梁32の上下のフランジ部32A,32Bの間に設けられたスペーサ156に固定ピン154で固定されている。この室内側耐火ボード150によって、鉄骨梁32の室内側が覆われている。スペーサ156は繊維混入けい酸カルシウム板等の不燃性の材料で形成されている。
【0033】
また、鉄骨梁32の下側には、第2耐火ボードとしての下側耐火ボード152が略水平に配置されている。下側耐火ボード152は、CW用耐火ボード34と同様に、繊維混入けい酸カルシウム板で形成されており、室外側の端部152AをCW用耐火ボード34の内面34Fiにおける下部に対向させて配置されている。この下側耐火ボード152は、その中央部が鉄骨梁32の下のフランジ部32Bに取り付けられたアングル158に固定ピン154で固定されると共に、室内側の端部152Bが室内側耐火ボード150の下端部に突き当てられて固定ピン154で固定されている。これらのCW用耐火ボード34、室内側耐火ボード150、及び下側耐火ボード152によって鉄骨梁32が耐火被覆されている。なお、アングル158内には、スペーサ160が設けられている。
【0034】
<耐火ボード目地構造>
図4に示されるように、下側耐火ボード152は、室外側の端部152Aの端面152A1をCW用耐火ボード34の内面34Fiに対向させると共に、当該内面34Fiとの間に隙間Eを空けた状態で配置されている。これらのCW用耐火ボード34と下側耐火ボード152との目地部には、2つの第1目地部材80及び第2目地部材90が設けられている。第1目地部材80及び第2目地部材90は、ロックウール等を主材とする断面略矩形の角材で構成されており、長手方向を鉄骨梁32(
図3参照)の軸方向にすると共に、長辺側の面を上下にして下側耐火ボード152の上側に配置されている。
【0035】
第1目地部材80は、CW用耐火ボード34の内面34Fiに取り付けられており、CW用耐火ボード34と一体に挙動するようになっている。また、第1目地部材80は、CW用耐火ボード34の内面34Fiから下側耐火ボード152の端部152Aの上側(内面152Fi側)へ張り出した状態でCW用耐火ボード34に片持ちで支持されており、CW用耐火ボード34の内面34Fiと下側耐火ボード152の端面152A1との隙間Eを略全長に渡って上側から覆っている。具体的には、第1目地部材80の側面80Sに複数の留付ピン82が長手方向に間隔を空けて取り付けられており、これらの留付ピン82の頭部82Aを接着剤等でCW用耐火ボード34の内面34Fiに接合することにより、第1目地部材80がCW用耐火ボード34に片持ちで支持されている。
【0036】
なお、
図4では留付ピン82の頭部が第1目地部材80よりも短くされているが、留付ピン82の長さを第1目地部材80よりも長くして、略直角に折り曲げることで第1目地部材80の支持強度を高めてもよい。また、第1目地部材80の側面80SとCW用耐火ボード34の内面34Fiとの間に隙間ができないように、第1目地部材80の側面80Sに接着剤等を塗布し、当該側面80SをCW用耐火ボード34の内面34Fiに接着しても良い。その場合は、留付ピン82を省略してもよい。また、CW用耐火ボード34の内面34Fiに対する第1目地部材80の取付方法は適宜変更可能である。
【0037】
第1目地部材80と下側耐火ボード152との間に形成された隙間Gには、第2目地部材90が配置されている。この第2目地部材90は、下側耐火ボード152の内面(鉄骨梁32側の面)152Fiに取り付けられており、下側耐火ボード152と一体に挙動するようになっている。具体的には、第2目地部材90の下面90Lに複数の留付ピン92が長手方向に間隔を空けて取り付けられており、これらの留付ピン92の頭部92Aを接着剤等で下側耐火ボード152の内面152Fiに接合することにより、第2目地部材90が下側耐火ボード152に取り付けられている。なお、
図4では留付ピン92の頭部が第2目地部材90よりも短くされているが、留付ピン92の長さを第2目地部材90よりも長くして、略直角に折り曲げることで第2目地部材90の支持強度を高めてもよい。また、第2目地部材90の上面90Uには、第1目地部材80の下面80LがCW用耐火ボード34の面外方向にスライド可能に面接触されている。この第2目地部材90によって第1目地部材80の下面80Lと下側耐火ボード152の内面152Fiとの隙間Gが略全長に渡って塞がれている。
【0038】
なお、第2目地部材90の下面90Lと下側耐火ボード152の内面152Fiとの間に隙間ができないように、第2目地部材90の下面90Lに接着剤等を塗布し、当該下面90Lを下側耐火ボード152の内面152Fiに接着しても良い。その場合は、留付ピン92を省略してもよい。また、下側耐火ボード152の内面152Fiに対する第2目地部材90の取付方法は適宜変更可能である。
【0039】
ここで、
図5(A)に示されるように、第1目地部材80及び第2目地部材90の幅W
1,W
2及び高さH
1,H
2は、火災時に加熱されたCW用耐火ボード34及び下側耐火ボード152がそれぞれ面外方向外側へ反り返ったときに(
図5(B)参照)、第1目地部材80の下面80Lと第2目地部材90の上面90Uとが完全に離れないような値に設定されている。これらの幅W
1,W
2及び高さH
1,H
2は、CW用耐火ボード34及び下側耐火ボード152の反り返り量に応じて適宜設定される。一例として、CW用耐火ボード34の厚さT
1が25mm以上、下側耐火ボード152の厚さT
2が15mm以上の場合は、第1目地部材80の幅W
1が50mm以上、高さH
1が25mm以上、第2目地部材90の幅W
2が50mm以上、高さH
2が25mm以上に設定される。
【0040】
次に、第1実施形態の作用について説明する。
【0041】
図3に示されるように、例えば、カーテンウォール12に風圧Fが作用すると、カーテンウォール12が面外方向(矢印M方向)に変形する。これにより、カーテンウォール12の室内側に取り付けられたCW用耐火ボード34が面外方向(矢印M方向)へ変位し、鉄骨梁32に取り付けられた下側耐火ボード152に対して接近したり、離れたりする。特に、本実施形態のようにカーテンウォール12の方立14及び無目16がアルミ製部材で構成されている場合は、カーテンウォール12が面外方向へ変形し易く、CW用耐火ボード34の面外方向への変位が大きくなる可能性がある。このとき、CW用耐火ボード34の内面34Fiに下側耐火ボード152の端面152A1が接触していると、CW用耐火ボード34と下側耐火ボード152との接触部が破損する可能性がある。
【0042】
これに対して本実施形態では、
図5(A)に示されるように、CW用耐火ボード34の内面34Fiと下側耐火ボード152の端面152A1との間に隙間Eが形成されている。従って、CW用耐火ボード34が面外方向へ変位しても、下側耐火ボード152に対するCW用耐火ボード34の接触が抑制される。従って、CW用耐火ボード34及び下側耐火ボード152の破損が抑制される。
【0043】
また、CW用耐火ボード34と下側耐火ボード152との目地部には、2つの第1目地部材80及び第2目地部材90が設けられている。第1目地部材80は、CW用耐火ボード34の内面34Fiから下側耐火ボード152の端部152Aの上方(内面152Fi側)へ張り出しており、CW用耐火ボード34の内面34Fiと下側耐火ボード152の端面152A1との隙間Eを略全長に渡って上側から覆っている。また、第2目地部材90は、第1目地部材80の下面80Lと下側耐火ボード152の内面152Fiとの隙間Gに配置されており、当該隙間Gを塞いでいる。これらの第1目地部材80及び第2目地部材90によってCW用耐火ボード34の内面34Fiと下側耐火ボード152の端面152A1との隙間Eが実質的に塞がれている。従って、CW用耐火ボード34の内面34Fiと下側耐火ボード152の端面152A1との隙間Eから鉄骨梁32側への熱の侵入が抑制される。
【0044】
更に、第1目地部材80の下面80Lと第2目地部材90の上面90Uとは、CW用耐火ボード34の面外方向にスライド可能に面接触されている。即ち、第1目地部材80と第2目地部材90とは、CW用耐火ボード34の面外方向の縁が切られている。そのため、前述したようにカーテンウォール12の面外方向の変形に伴ってCW用耐火ボード34が面外方向へ変位したときに、CW用耐火ボード34に取り付けられた第1目地部材80が第2目地部材90の上面90U上をスライドする。従って、第1目地部材80及び第2目地部材90の破損が抑制される。
【0045】
更にまた、CW用耐火ボード34を流用して鉄骨梁32の室外側を覆うことにより、鉄骨梁32の室外側を耐火被覆する耐火ボード等の耐火被覆材を省略することができる。従って、施工性の向上、コスト削減を図ることができる。特に、本実施形態は、カーテンウォール12と鉄骨梁32との間隔が狭く、鉄骨梁32の室外側を耐火被覆材等を設けることが困難な場合に有効である。
【0046】
ここで、火災時に、CW用耐火ボード34は、その外面34Fo側から加熱される。これにより、CW用耐火ボード34の内面34Fi側の部位に対して外面34Fo側の部位の収縮量が大きくなると、例えば、
図5(B)に示されるように、CW用耐火ボード34が面外方向外側(矢印J方向)へ反り返る。また、CW用耐火ボード34の反り返り量に応じて、当該CW用耐火ボード34に取り付けられた第1目地部材80が下向きに回転する。これと同様に、下側耐火ボード152は、その外面152Fo側(下側)から加熱される。これにより、下側耐火ボード152の内面152Fi側の部位に対して外面152Fo側の部位の収縮量が大きくなると、例えば、
図5(B)に示されるように、下側耐火ボード152が面外方向外側(矢印K方向)へ反り返る。また、下側耐火ボード152の反り返り量に応じて、当該下側耐火ボード152に取り付けられた第2目地部材90が下向きに回転する。このとき、第1目地部材80及び第2目地部材90は、各々の下面80Lと上面90Uとが完全に離れないようにそれぞれ回転する。これにより、第1目地部材80の下面80Lと下側耐火ボード152の内面152Fiとの隙間G(
図5(A)参照)が塞がれた状態が保持されるため、第1目地部材80の下面80Lと下側耐火ボード152の内面152Fiとの隙間Eから鉄骨梁32(
図3参照)側への熱(矢印N)の侵入が抑制される。従って、CW用耐火ボード34及び下側耐火ボード152の反り返りに伴う耐火性能の低下が抑制される。
【0047】
更に、第1目地部材80と第2目地部材90とは、各々の長辺側の下面80L及び上面90Uで面接触されている。これにより、第1目地部材80と第2目地部材90とが各々の短辺側の面(側面)で面接触された構成と比較して、CW用耐火ボード34及び下側耐火ボード152が反り返ったときに、第1目地部材80の下面80Lと第2目地部材90の上面90Uとが離れ難くなる。従って、第1目地部材80の下面80Lと第2目地部材90の上面90Uとの間から鉄骨梁32側への熱の侵入が更に抑制される。
【0048】
一方、
図6(A)には、比較例として、CW用耐火ボード34と下側耐火ボード152との目地部に、第1目地部材80及び第2目地部材90の一方のみを設けた構成が示されている。なお、
図6(A)に示される比較例では、第1目地部材80が、その下面80Lを下側耐火ボード152の内面152Fiに接触させた状態でCW用耐火ボード34に取り付けられており、
図6(B)に示される比較例では、第2目地部材90が、その側面90SをCW用耐火ボード34の内面34Fiに接触させた状態で下側耐火ボード152の内面152Fiに取り付けられている。
【0049】
図6(A)に示される比較例のように、CW用耐火ボード34にのみ第1目地部材80が取り付けられた構成では、CW用耐火ボード34及び下側耐火ボード152がそれぞれ面外方向外側(矢印J方向、矢印K方向)へ反り返ったときに、第1目地部材80の下面80Lと下側耐火ボード152の内面152Fiとの間に隙間が形成されてしまい、当該隙間から熱(矢印N)が侵入する可能性がある。これと同様に、
図6(B)に示される比較例のように、下側耐火ボード152にのみ第2目地部材90が取り付けられた構成では、CW用耐火ボード34及び下側耐火ボード152がそれぞれ面外方向外側(矢印J方向、矢印K方向)へ反り返ったときに、第2目地部材90の側面90SとCW用耐火ボード34の内面34Fiとの間に隙間が形成されてしまい、当該隙間から熱(矢印N)が侵入する可能性がある。
【0050】
これに対して本実施形態では、前述したようにCW用耐火ボード34と下側耐火ボード152との目地部に、第1目地部材80及び第2目地部材90の両方を設けたことにより、CW用耐火ボード34及び下側耐火ボード152がそれぞれ面外方向外側(矢印J方向、矢印K方向)へ反り返ったときに、第1目地部材80の下面80Lと第2目地部材90の上面90Uとが完全に離れないようにすることができる。これにより、CW用耐火ボード34の内面34Fiと下側耐火ボード152の端面152A1との隙間Eが実質的に塞がれるため、当該隙間Eから鉄骨梁32側への熱の侵入が抑制される。
【0051】
次に、第1実施形態の変形例について説明する。
【0052】
上記実施形態では、下側耐火ボード152の上側に第1目地部材80及び第2目地部材90を配置したが、
図7(A)に示されるように、下側耐火ボード152の下側に第1目地部材80及び第2目地部材90を配置しても良い。
【0053】
具体的には、第1目地部材80は、下側耐火ボード152の端部152Aの下側(外面152Fo側)に配置され、その側面80Sが留付ピン82によってCW用耐火ボード34の内面34Fiに取り付けられている。つまり、第1目地部材80は、下側耐火ボード152の外面152Foへ張り出した状態でCW用耐火ボード34に片持ちで支持されており、CW用耐火ボード34の内面34Fiと下側耐火ボード152の端面152A1との隙間Eを略全長に渡って下側(外側)から覆っている。
【0054】
第2目地部材90は、第1目地部材80の上面80Uと下側耐火ボード152の外面152Foとの間に形成された隙間Gに配置され、その上面90Uが留付ピン92によって下側耐火ボード152の外面152Foに取り付けられている。また、第2目地部材90の下面90Lには、第1目地部材80の上面80UがCW用耐火ボード34の面外方向にスライド可能に面接触されている。この第2目地部材90によって第1目地部材80の上面80Uと下側耐火ボード152の外面152Foとの隙間Gが略全長に渡って塞がれている。
【0055】
ここで、
図7(B)に示されるように、火災時にCW用耐火ボード34及び下側耐火ボード152がそれぞれ面外方向外側へ反り返ったときに、これらのCW用耐火ボード34及び下側耐火ボード152の反り返り量に応じて第1目地部材80及び第2目地部材90がそれぞれ下向きに回転する。このとき、第1目地部材80の上面80Uと第2目地部材90の下面90Lとが完全に離れないように第1目地部材80及び第2目地部材90の幅W
1,W
2及び高さH
1,H
2(
図5(A)参照)を設定することにより、第1目地部材80の上面80Uと下側耐火ボード152の外面152Foとの隙間G(
図7(A)参照)が塞がれた状態が保持される。これにより、第1目地部材80の下面80Lと下側耐火ボード152の内面152Fiとの隙間Eから鉄骨梁32(
図3参照)側への熱(矢印N)の侵入が抑制される。従って、CW用耐火ボード34及び下側耐火ボード152の反り返りに伴う耐火性能の低下が抑制される。
【0056】
次に、第2実施形態について説明する。なお、第1実施形態と同様の構成のものについては、同符号を付すると共に適宜省略して説明する。
【0057】
図8(A)には、第2実施形態に係る耐火ボード目地構造100が示されている。この耐火ボード目地構造100では、第1目地部材80の下面80Lと下側耐火ボード152の内面152Fiとの隙間Gに、第2目地部材としての熱膨張耐火材102が設けられている。
【0058】
熱膨張耐火材102は、常温ではシート状であるが、加熱(例えば、200℃以上)によって膨張して断熱層を形成するものであり、第1目地部材80の長手方向に沿って配置されている。この熱膨張耐火材102は、その下面102Lが下側耐火ボード152の内面152Fiに接着剤等で接合されると共に、その上面102Uに第1目地部材80の下面80LがCW用耐火ボード34の面外方向にスライド可能に接触されている。この熱膨張耐火材102によって、第1目地部材80の下面80Lと下側耐火ボード152の内面152Fiとの隙間Gが略全長に渡って塞がれている。なお、熱膨張耐火材102は、加熱によって発泡して断熱層を形成する熱発泡性耐火材等も含む概念である。
【0059】
次に、第2実施形態の作用について説明する。
【0060】
図8(B)に示されるように、火災時に、CW用耐火ボード34が面外方向外側(矢印J方向)へ反り返ると、CW用耐火ボード34の反り返り量に応じて当該CW用耐火ボード34に取り付けられた第1目地部材80が下向きに回転する。これと同様に、下側耐火ボード152が面外方向外側(矢印K方向)へ反り返ると、下側耐火ボード152の反り返り量に応じて当該下側耐火ボード152に取り付けられた熱膨張耐火材102が下向きに回転する。このとき、CW用耐火ボード34の内面34Fiと下側耐火ボード152の端面152A1との隙間E(
図8(A)参照)から、第1目地部材80の下面80Lと下側耐火ボード152の内面152Fiとの間に侵入した熱よって熱膨張耐火材102が加熱される。この結果、熱膨張耐火材102が熱膨張し、第1目地部材80の下面80Lと下側耐火ボード152の内面152Fiとの間に断熱層を形成する。これにより、第1目地部材80の下面80Lと下側耐火ボード152の内面152Fiとの隙間Gが塞がれるため、第1目地部材80の下面80Lと下側耐火ボード152の内面152Fiとの隙間Eから鉄骨梁32(
図3参照)側への熱(矢印N)の侵入が抑制される。従って、CW用耐火ボード34及び下側耐火ボード152の反り返りに伴う耐火性能の低下が抑制される。
【0061】
更に、熱膨張耐火材102は常温でシート状であり、切断や曲げ等の加工が容易であるため、施工性が向上する。
【0062】
なお、本実施形態では、下側耐火ボード152の上側に第1目地部材80及び熱膨張耐火材102を配置したが、前述した第1実施形態の変形例(
図7(A)参照)と同様に、下側耐火ボード152の下側に第1目地部材80及び熱膨張耐火材102を配置しても良い。
【0063】
次に、第3実施形態について説明する。なお、第1,第2実施形態と同様の構成のものについては、同符号を付すると共に適宜省略して説明する。
【0064】
図9(A)には、第3実施形態に係る耐火ボード目地構造110が示されている。この耐火ボード目地構造110では、CW用耐火ボード34の内面34Fiに垂下目地部材112が取り付けられている。
【0065】
垂下目地部材112は、例えば、セラミックブランケット、ロックウールブランケット、耐火クロス等の柔軟性を有するシート状の耐火材で形成されている。この垂下目地部材112は、CW用耐火ボード34の内面34Fi及び下側耐火ボード152の内面152Fiに沿って断面略L字状に屈曲されており、その上部112Aが留付ピン82でCW用耐火ボード34の内面34Fiに取り付けられている。この垂下目地部材112によって、CW用耐火ボード34の内面34Fiと下側耐火ボード152の端面152A1との隙間Eが略全長に渡って上側から塞がれている。
【0066】
また、垂下目地部材112の下部112Bは、CW用耐火ボード34の内面34Fiから下側耐火ボード152の内面152Fiへ張り出すと共に、その自重によって下側耐火ボード152の内面152Fiへ垂れ下がり、当該下側耐火ボード152に支持されている。これにより、下側耐火ボード152が面外方向外側へ反り返ったときに、下側耐火ボード152の反り返り量に応じて垂下目地部材112の下部112Bの先端部が自重により下側へ移動するようになっている。つまり、垂下目地部材112の下部112Bの先端部は、下側耐火ボード152の面外方向外側の反り返りに追従して下側へ移動するようになっている。
【0067】
次に、第3実施形態の作用について説明する。
【0068】
図9(B)に示されるように、火災時に、CW用耐火ボード34が面外方向外側(矢印J方向)へ反り返ると、CW用耐火ボード34の反り返り量に応じて当該CW用耐火ボード34に取り付けられた垂下目地部材112が下向きに回転する。一方、下側耐火ボード152が面外方向外側(矢印K方向)へ反り返ると、下側耐火ボード152に支持された垂下目地部材112の下部112Bにおける先端部が自重によって下側へ移動する。これにより、垂下目地部材112の下部112Bにおける先端部と下側耐火ボード152の内面152Fiとが接触した状態が保持される。この結果、垂下目地部材112の下部112Bにおける先端部と下側耐火ボード152の内面152Fiとの間から鉄骨梁32(
図3参照)側への熱(矢印N)の侵入が抑制される。従って、CW用耐火ボード34及び下側耐火ボード152の反り返りに伴う耐火性能の低下が抑制される。
【0069】
更に、垂下目地部材112は柔軟性を有するにシート状であり、切断や曲げ等の加工が容易であるため、施工性が向上する。
【0070】
なお、本実施形態では、施工性等の観点から垂下目地部材112を断面略L字状に屈曲させたが、垂下目地部材112を屈曲させずに平板状の状態でCW用耐火ボード34の内面34Fiに接着剤等で接合しても良い。
【0071】
また、上記第1〜第3実施形態では、CW用耐火ボード34と下側耐火ボード152との目地部に耐火ボード目地構造70,100,110を適用した場合を例に説明したが、これに限らない。各耐火ボード目地構造70,100,110は、角度を持って隣接する2枚の耐火ボードの目地部に適用可能であり、例えば、鉄骨柱の周囲に隣接して配置され、当該鉄骨柱を耐火被覆する2枚の耐火ボードの目地部にも適用可能である。この場合、第1目地部材80及び第2目地部材90は長手方向を上下方向にして配置される。
【0072】
また、上記第1〜第3実施形態では、第1耐火ボードとしてのCW用耐火ボード34、及び第2耐火ボードとしての下側耐火ボード152を繊維混入けい酸カルシウム板で形成したが、これに限らない。第1耐火ボード及び第2耐火ボードとしては、例えば、けい酸カルシウム板、石膏ボード、強化石膏ボード、繊維混入けい酸カルシウム板、モルタルボード、ロックウールボード、セラミックファイバーボード、PC板、ALCパネル、押し出し成形セメント板等で形成しても良い。
【0073】
更に、上記第1実施形態等では、ロックウール等を主材とする角材で第1目地部材80及び第2目地部材90を形成したが、これに限らない。第1目地部材80及び第2目地部材90は、第1耐火ボード及び第2耐火ボードと同様に、例えば、けい酸カルシウム部材、繊維混入けい酸カルシウム部材、石膏部材、強化石膏部材、繊維混入けい酸カルシウム部材、モルタル部材、ロックウール部材、セラミックファイバー部材、PC部材、ALC部材、押し出し成形セメント部材等を形成しても良い。更に、第1目地部材80及び第2目地部材90は角材に限らず、その形状も適宜変更可能である。
【0074】
以上、本発明の第1〜第3実施形態について説明したが、本発明はこうした実施形態に限定されるものでなく、第1〜第3実施形態及び各種の変形例を適宜組み合わせて用いても良いし、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施し得ることは勿論である。